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特許7505394飲料供給装置の製造方法および飲料供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】飲料供給装置の製造方法および飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020211386
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098062
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】門前 秀人
(72)【発明者】
【氏名】安海 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 仁
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520042(JP,A)
【文献】特開2013-135972(JP,A)
【文献】特開2007-204101(JP,A)
【文献】特開2016-203988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ケース内に飲料収容パウチを設置して成る飲料コンテナに、前記飲料収容パウチから飲料を取り出すための飲料流路および前記飲料収容パウチ内にガスを供給するためのガス流路を備えた飲料サーバーキャップを装着した飲料供給装置の製造方法であって、
前記飲料収容パウチを構成するフィルムは、前記外側ケースの内面に対向して配置される前記飲料収容パウチの外面を構成するパウチ低摩擦部と、前記パウチ低摩擦部によって覆われたパウチ樹脂層とを有し、
前記パウチ低摩擦部は、前記パウチ低摩擦部間の静止摩擦係数が前記パウチ樹脂層間の静止摩擦係数よりも低くなるとともに、前記パウチ低摩擦部および前記外側ケースの内面の間の静止摩擦係数が前記パウチ樹脂層および前記外側ケースの内面の間の静止摩擦係数よりも低くなるように形成され、
前記外側ケースのケース口筒部の開口は、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態では、前記飲料収容パウチを通過させることができない大きさで形成され、
前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置する時に、前記ケース口筒部を通過可能な状態にした前記飲料収容パウチを前記ケース口筒部を通じて前記外側ケース内に挿入した後、前記飲料収容パウチ内にガスを供給した後に、前記飲料収容パウチ内のガスを吸引し、その後、前記飲料収容パウチ内にガスを再び供給して膨らませて展開することで、前記外側ケースの内面に前記飲料収容パウチの外面が接触するように、前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置することを特徴とする飲料供給装置の製造方法。
【請求項2】
前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置する時には、前記飲料収容パウチを前記外側ケース内に挿入して前記飲料収容パウチ内にガスを供給した後に、前記飲料収容パウチ内に内側配置部材を挿入し、前記飲料収容パウチ内に前記内側配置部材を挿入した状態で前記飲料収容パウチ内のガスを吸引し、その後、前記飲料収容パウチ内にガスを再び供給することで、前記外側ケース内で前記飲料収容パウチを膨らませて展開することを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置の製造方法。
【請求項3】
前記内側配置部材は、前記飲料収容パウチ内に挿入された状態で、前記内側配置部材の挿入方向に見た場合に、前記飲料収容パウチ内における中央に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の飲料供給装置の製造方法。
【請求項4】
外側ケース内に飲料収容パウチを設置して成る飲料コンテナに、前記飲料収容パウチから飲料を取り出すための飲料流路および前記飲料収容パウチ内にガスを供給するためのガス流路を備えた飲料サーバーキャップを装着した飲料供給装置の製造方法であって、
前記飲料収容パウチを構成するフィルムは、前記外側ケースの内面に対向して配置される前記飲料収容パウチの外面を構成するパウチ低摩擦部と、前記パウチ低摩擦部によって覆われたパウチ樹脂層とを有し、
前記パウチ低摩擦部は、前記パウチ低摩擦部間の静止摩擦係数が前記パウチ樹脂層間の静止摩擦係数よりも低くなるとともに、前記パウチ低摩擦部および前記外側ケースの内面の間の静止摩擦係数が前記パウチ樹脂層および前記外側ケースの内面の間の静止摩擦係数よりも低くなるように形成され、
前記外側ケースのケース口筒部の開口は、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態では、前記飲料収容パウチを通過させることができない大きさで形成され、
前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置する時には、前記飲料収容パウチを前記外側ケース内に挿入して前記飲料収容パウチ内にガスを供給した後に、前記飲料サーバーキャップを前記飲料コンテナに装着し、前記飲料流路または前記ガス流路の少なくとも一方を通じて前記飲料収容パウチ内にガスを再び供給することで、前記外側ケース内で前記飲料収容パウチを膨らませて展開することで、前記外側ケースの内面に前記飲料収容パウチの外面が接触するように、前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置することを特徴とする飲料供給装置の製造方法。
【請求項5】
前記飲料サーバーキャップは、前記飲料コンテナに対して前記飲料サーバーキャップを装着した状態で前記飲料収容パウチ内に配置される、前記飲料収容パウチから飲料を取り出すための飲料注出管を有し、
前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置する時には、前記飲料収容パウチを前記外側ケース内に挿入して前記飲料収容パウチ内にガスを供給した後に、前記飲料サーバーキャップを前記飲料コンテナに装着し、前記飲料収容パウチ内に前記内側配置部材としての前記飲料注出管を配置した状態で、前記飲料流路または前記ガス流路の少なくとも一方を通じて前記飲料収容パウチ内のガスを吸引し、その後、前記飲料流路または前記ガス流路の少なくとも一方を通じて前記飲料収容パウチ内にガスを再び供給することで、前記外側ケース内で前記飲料収容パウチを膨らませて展開することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の飲料供給装置の製造方法。
【請求項6】
外側ケース内に飲料収容パウチを設置して成る飲料コンテナに、前記飲料収容パウチから飲料を取り出すための飲料流路および前記飲料収容パウチ内にガスを供給するためのガス流路を備えた飲料サーバーキャップを装着した飲料供給装置の製造方法であって、
前記外側ケースは、前記飲料収容パウチの外面に対向して配置される前記外側ケースの内面を構成するケース低摩擦部と、前記ケース低摩擦部によって覆われたケース樹脂層とを有し、
前記ケース低摩擦部は、前記ケース低摩擦部および前記飲料収容パウチの外面の間の静止摩擦係数が前記ケース樹脂層および前記飲料収容パウチの外面の間の静止摩擦係数よりも低くなるように形成され、
前記外側ケースのケース口筒部の開口は、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態では、前記飲料収容パウチを通過させることができない大きさで形成され、
前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置する時に、前記ケース口筒部を通過可能な状態にした前記飲料収容パウチを前記ケース口筒部を通じて前記外側ケース内に挿入した後に、前記飲料収容パウチ内にガスを供給して膨らませて展開することで、前記外側ケースの内面に前記飲料収容パウチの外面が接触するように、前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置することを特徴とする飲料供給装置の製造方法。
【請求項7】
外側ケース内に飲料収容パウチを設置して成る飲料コンテナに、前記飲料収容パウチから飲料を取り出すための飲料流路および前記飲料収容パウチ内にガスを供給するためのガス流路を備えた飲料サーバーキャップを装着した飲料供給装置であって、
前記外側ケースは、前記飲料収容パウチの外面に対向して配置される前記外側ケースの内面を構成するケース低摩擦部と、前記ケース低摩擦部によって覆われたケース樹脂層とを有し、
前記ケース低摩擦部は、前記ケース低摩擦部および前記飲料収容パウチの外面の間の静止摩擦係数が前記ケース樹脂層および前記飲料収容パウチの外面の間の静止摩擦係数よりも低くなるように形成され、
前記外側ケースのケース口筒部の開口は、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態では、前記飲料収容パウチを通過させることができない大きさで形成され、
前記外側ケースの内面に前記飲料収容パウチの外面が接触するように、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態で、前記外側ケース内に前記飲料収容パウチが設置されていることを特徴とする飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置の製造方法および飲料供給装置に関し、特に、ビールを供給するために使用される飲料供給装置の製造方法および飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビール等の飲料を供給するための飲料供給装置として、ビール等の飲料を収容する飲料コンテナと、飲料コンテナから飲料を取り出すための飲料流路および飲料コンテナにガスを供給するためのガス流路を備えた飲料サーバーキャップとを備えた飲料供給装置が知られている。
【0003】
近年、このようなビール等を供給するための飲料供給装置においても、その使用後において飲料コンテナや飲料サーバーキャップの各部品を分別回収してリサイクルすることや、その軽量化が要求されており、このような要求に答えるために、本出願人は、特許文献1において、飲料コンテナを、樹脂フィルムを熱溶着することで形成された飲料収容パウチと、飲料収容パウチをその内部に収容するPET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂から成る外側ケースとから構成することを提案した。
【0004】
そして、本出願人は、特許文献1の飲料供給装置では、外側ケースのケース口筒部の開口が、飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態では飲料収容パウチを通過させることができない大きさで形成されたていることから、外側ケース内に飲料収容パウチを設置する方法として、折り畳む等の手法によってケース口筒部を通過可能な状態にした飲料収容パウチを外側ケース内に挿入した後に、飲料収容パウチ内にエアー等のガスを供給して膨らませて展開することで、外側ケース内に飲料収容パウチを設置する、という方法を検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特願2019-124365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示される飲料コンテナについて、本出願人が試験を重ねたところ、外側ケースの内側に飲料収容パウチを設置する時に、外側ケースの内部において飲料収容パウチを良好に展開させることができない場合があり、その結果、飲料収容パウチの内容積が不安定になってしまうという問題に加えて、以下のような問題が生じることが分かった。
【0007】
すなわち、特許文献1に開示される飲料コンテナにおいては、外側ケースの内面に対して飲料収容パウチの外面を接触させた状態で、外側ケース内に飲料収容パウチを設置することで、飲料収容パウチ内に収容された内容液の重量を外側ケースによっても支え、また、内容液の供給開始後においても、飲料収容パウチ内に二酸化炭素等のガスを供給することで飲料収容パウチが膨らんだ状態を維持して、外側ケースの内面に対して飲料収容パウチの外面が接触した状態を維持することで、内容液の重量を外側ケースによっても支えることを予定している。
【0008】
そして、このような飲料コンテナにおいて、外側ケースの内側に飲料収容パウチを設置する時に、外側ケースの内部において飲料収容パウチを良好に展開させることができなかった場合、外側ケースの内面と飲料収容パウチの外面との間に隙間が生じて、飲料収容パウチ内の内容液の重量を外側ケースによって支えることができない部分が生じ、当該部分において、飲料収容パウチに過剰な負荷が掛かってしまい、飲料収容パウチに損傷が生じるおそれがあることが分かった。
【0009】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、飲料収容パウチの内容積の安定化を図るとともに、飲料収容パウチの損傷の発生を回避する飲料供給装置の製造方法および飲料供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の飲料供給装置の製造方法は、外側ケース内に飲料収容パウチを設置して成る飲料コンテナに、前記飲料収容パウチから飲料を取り出すための飲料流路および前記飲料収容パウチ内にガスを供給するためのガス流路を備えた飲料サーバーキャップを装着した飲料供給装置の製造方法であって、前記飲料収容パウチを構成するフィルムは、前記外側ケースの内面に対向して配置される前記飲料収容パウチの外面を構成するパウチ低摩擦部と、前記パウチ低摩擦部によって覆われたパウチ樹脂層とを有し、前記パウチ低摩擦部は、前記パウチ低摩擦部間の静止摩擦係数が前記パウチ樹脂層間の静止摩擦係数よりも低くなるとともに、前記パウチ低摩擦部および前記外側ケースの内面の間の静止摩擦係数が前記パウチ樹脂層および前記外側ケースの内面の間の静止摩擦係数よりも低くなるように形成され、前記外側ケースのケース口筒部の開口は、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態では、前記飲料収容パウチを通過させることができない大きさで形成され、前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置する時に、前記ケース口筒部を通過可能な状態にした前記飲料収容パウチを前記ケース口筒部を通じて前記外側ケース内に挿入した後、前記飲料収容パウチ内にガスを供給した後に、前記飲料収容パウチ内のガスを吸引し、その後、前記飲料収容パウチ内にガスを再び供給して膨らませて展開することで、前記外側ケースの内面に前記飲料収容パウチの外面が接触するように、前記外側ケース内に前記飲料収容パウチを設置することにより、前記課題を解決するものである
また、本発明の飲料供給装置は、外側ケース内に飲料収容パウチを設置して成る飲料コンテナに、前記飲料収容パウチから飲料を取り出すための飲料流路および前記飲料収容パウチ内にガスを供給するためのガス流路を備えた飲料サーバーキャップを装着した飲料供給装置であって、前記外側ケースは、前記飲料収容パウチの外面に対向して配置される前記外側ケースの内面を構成するケース低摩擦部と、前記ケース低摩擦部によって覆われたケース樹脂層とを有し、前記ケース低摩擦部は、前記ケース低摩擦部および前記飲料収容パウチの外面の間の静止摩擦係数が前記ケース樹脂層および前記飲料収容パウチの外面の間の静止摩擦係数よりも低くなるように形成され、前記外側ケースのケース口筒部の開口は、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態では、前記飲料収容パウチを通過させることができない大きさで形成され、前記外側ケースの内面に前記飲料収容パウチの外面が接触するように、前記飲料収容パウチを膨らませて展開させた状態で、前記外側ケース内に前記飲料収容パウチが設置されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本請求項1、6~7に係る発明によれば、外側ケース内に挿入された飲料収容パウチ内にエアー等のガスを供給して膨らませて展開する時に、折り畳まれた飲料収容パウチの外面同士の摩擦抵抗や外側ケースの内面に対する飲料収容パウチの外面の摩擦、特に樹脂材料間で生じがちなブロッキング(密着)によって、飲料収容パウチの展開が妨害されてしまうことを抑制することが可能であるため、飲料収容パウチを良好に膨らませて、飲料収容パウチの内容積の安定化を図ることができるとともに、外側ケースの内面と飲料収容パウチの外面との間に形成される隙間に起因した飲料収容パウチの損傷の発生を抑制することができる。
【0012】
また、飲料収容パウチ内にガスを供給して膨らませる途中で、飲料収容パウチ内のガスを吸引して飲料収容パウチを萎ませる工程を挟むことにより、飲料収容パウチの外面間の引っ掛かりが解消され易くなる等、展開途中の飲料収容パウチの形状等の状態を整えることが可能であるため、飲料収容パウチを良好に膨らませて展開することができる。
本請求項2に係る発明によれば、飲料収容パウチ内にガスを供給して膨らませる途中で、飲料収容パウチ内に内側配置部材を挿入した状態で飲料収容パウチ内のガスを吸引することにより、内側配置部材の外周に飲料収容パウチを纏わせて、展開途中の飲料収容パウチの形状を整えることが可能であるため、飲料収容パウチを良好に展開することができる。
本請求項3に係る発明によれば、内側配置部材が、飲料収容パウチ内に挿入された状態で、内側配置部材の挿入方向に見た場合に、飲料収容パウチ内における中央に配置されていることにより、飲料収容パウチ内のガスを吸引した時に、内側配置部材の外周において飲料収容パウチの形状を良好に整えることができる。
本請求項4に係る発明によれば、飲料サーバーキャップを飲料コンテナに装着した後に、飲料収容パウチ内にガスを再び供給することにより、飲料コンテナに対する飲料サーバーキャップの装着作業に起因して外側ケース内における飲料収容パウチの設置状態にずれが生じる場合であっても、当該ずれが最終的に維持されてしまうことを防止できる。
本請求項5に係る発明によれば、飲料コンテナに装着される飲料サーバーキャップを、飲料収容パウチ内にエアー等のガスを供給・吸引する部材として機能させるとともに、飲料サーバーキャップの飲料注出管を内側配置部材として利用することにより、製造工程および製造負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置を示す説明図。
図2】飲料サーバーキャップを中心として示す説明図。
図3】飲料供給装置の使用方法の第1、2手順を示す説明図。
図4】飲料供給装置の使用方法の第3、4手順を示す説明図。
図5】飲料供給装置の使用方法の第5手順を示す説明図。
図6】飲料供給装置の製造時において外側ケース内に飲料収容パウチを設置する方法の第1、2手順を示す説明図。
図7】飲料供給装置の製造時において外側ケース内に飲料収容パウチを設置する方法の第3、4手順を示す説明図。
図8】本発明の第2実施形態に係る飲料収容パウチおよび外側ケースを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置10について、図面に基づいて説明する。
【0015】
まず、飲料供給装置10は、図1等に示すように、ビールを収容する飲料コンテナ30と、飲料コンテナ30に着脱可能に取り付けられる飲料サーバーキャップ20と、飲料サーバーキャップ20に着脱可能に装着されるカプラ40とを備えている。
【0016】
飲料コンテナ30は、図1に示すように、ビールを収容する飲料収容パウチ31と、飲料収容パウチ31(の少なくとも一部、本実施形態では全体)をその内部に収容する外側ケース33とを備えている。
【0017】
飲料収容パウチ31は、可撓性を有したフィルムを所定箇所で熱溶着することで袋状に形成されたパウチとして構成され、本実施形態では、2枚のフィルムの外縁を熱溶着することで製袋された所謂平パウチとして構成されている。
【0018】
飲料収容パウチ31を構成する各フィルムは、図1に示すように、外側ケース33の内面に対向して配置される飲料収容パウチ31の外面を構成するパウチ低摩擦部31aと、パウチ低摩擦部31aによって覆われたナイロン等の樹脂材料から成るパウチ樹脂層31bとを有している。
【0019】
パウチ低摩擦部31aは、パウチ低摩擦部31a間(同士)の静止摩擦係数がパウチ樹脂層31b間(同士)の静止摩擦係数(言い替えると、パウチ低摩擦部31aを形成しなかった場合におけるパウチ樹脂層31b間の静止摩擦係数)よりも低くなるとともに、パウチ低摩擦部31aおよび外側ケース33(本実施形態の場合、後述するケース樹脂層33b)の内面の間の静止摩擦係数がパウチ樹脂層31bおよび外側ケース33の内面の間の静止摩擦係数(言い替えると、パウチ低摩擦部31aを形成しなかった場合におけるパウチ樹脂層31bおよび外側ケース33の内面の間の静止摩擦係数)よりも低くなるように形成された低摩擦層として構成されている。
【0020】
パウチ低摩擦部(低摩擦層)31aの具体的態様は、パウチ樹脂層31bの外面を少なくとも部分的(本実施形態では全面的)に覆うように形成されたものであれば如何なるものでもよく、例えば、商品名「ニッカリコ」(AS-100S、ニッカ株式会社製)等の滑り性を向上させる粉末をパウチ樹脂層31bの外面側に散布することで形成されたものや、流動パラフィン等の滑り性を向上させる材料をパウチ樹脂層31bの外面側に塗布・蒸着・ラミネート・印刷等することで形成されたもの等、如何なるものでもよい。
【0021】
飲料収容パウチ31の開口部には、図1に示すように、PEやPP等の合成樹脂から形成された筒状の口筒部としてのスパウト32が装着されている。
スパウト32は、飲料収容パウチ31に形成された開口部に挿入されて配置され、図2に示すように、飲料収容パウチ31の外側に配置される筒状部32aと、筒状部32aの下端から外周側に広がるように形成されたフランジ部32bとを有している。
フランジ部32bは、飲料収容パウチ31の内側に配置され、フランジ部32bの上面は、飲料収容パウチ31の内面に熱溶着されている。
【0022】
外側ケース33は、図1に示すように、飲料収容パウチ31をその内部に収容するケース本体33cと、筒状に形成されたケース口筒部33dを有している。
本実施形態では、外側ケース33全体が、PET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂材料から形成されたケース樹脂層33bとして構成され、これにより、飲料収容パウチ31の外面に対向する外側ケース33の内面についてもPETから形成されている。
ケース口筒部33dの開口の大きさは、図1から分かるように、飲料収容パウチ31を膨らませて展開させた状態では、飲料収容パウチ31を通過させることができない程度に小さい。
【0023】
カプラ40は、図3(b)~図5に示すように、飲料コンテナ30からビールを取り出すとともに飲料コンテナ30に二酸化炭素を供給するために、飲料サーバーキャップ20に着脱可能に装着されるものである。
【0024】
カプラ40は、図3(b)に示すように、金属製の筒状のカプラ外筒部41と、カプラ外筒部41内に長手方向に沿って進退可能に配置された金属製の筒状のカプラ内筒部42と、カプラ外筒部41の先端側に取り付けられた弾性材料から成る環状の外筒側シール部材43と、カプラ内筒部42の外周側に取り付けられた弾性材料から成る環状の内筒側シール部材44と、カプラ外筒部41の内周面に形成された環状凹部内に配置されカプラ外筒部41の内周面とカプラ内筒部42の外周面との間をシールする弾性材料から成るOリング45と、カプラ内筒部42の内側に配置されカプラ40側から飲料コンテナ30側へのビールの逆流を阻止するとともに飲料コンテナ30側からカプラ40へのビールの流れを許容するボール状のチェック弁46とを備えている。
【0025】
飲料サーバーキャップ20は、図5に示すように、飲料収容パウチ31からビールを取り出すための飲料流路50と飲料収容パウチ31に二酸化炭素を供給するためのガス流路60とを備えるものであり、図2に示すように、飲料流路50を開閉可能に閉止する飲料バルブ21と、飲料バルブ21を閉止方向に向けて付勢する飲料用付勢バネ22と、ガス流路60を開閉可能に閉止するガスバルブ23と、ガスバルブ23を閉止方向に向けて付勢するガス用付勢バネ24と、ガスバルブ23に取り付けられて飲料流路50を形成する筒状の注出部材25と、注出部材25に取り付けられる飲料注出管26と、スパウト32に上方から着脱可能に取り付け可能なアダプター27と、ケース口筒部33dに対して上下方向に着脱可能に取り付けられるクロージャー部材28と、使用者による飲料サーバーキャップ20の把持性を向上するためのハンドル部材29とを備えている。
なお、飲料サーバーキャップ20の各部品は、全て合成樹脂から形成されている。
【0026】
以下、飲料サーバーキャップ20の各構成要素について説明する。
【0027】
飲料バルブ21は、図2図3に示すように、略円板状に形成された部位であり、本実施形態では、飲料用付勢バネ22と一体に単一部品として形成されている。
飲料用付勢バネ22は、図2図3に示すように、略筒状に形成された全体形状を有し、上下方向にバネ力を生じる形状で形成されている。
単一部品として構成された飲料バルブ21および飲料用付勢バネ22は、図2に示すように、ガスバルブ23および注出部材25によって形成される収容部内に配置され、具体的には、飲料バルブ21の上面がガスバルブ23の下面に当接するとともに、飲料用付勢バネ22の下端が注出部材25に当接するように配置されている。
【0028】
飲料バルブ21は、図2に示すように、飲料用付勢バネ22によって上方に向けて付勢され、ガスバルブ23の下面に押し付けられる。これにより、飲料バルブ21とガスバルブ23との間がシールされ、飲料流路50が閉止される。
なお、本実施形態では、図2に示すように、ガスバルブ23の下面に下面側環状シール部23eを突出形成したが、飲料バルブ21とガスバルブ23との間のシール構造は、飲料バルブ21とガスバルブ23との間の隙間(飲料流路50)を開閉可能にシールするものであれば、如何なるものでもよく、例えば、飲料バルブ21の上面に環状シール部を突出形成してもよい。
【0029】
ガスバルブ23は、図2に示すように、その中央部に上下方向に貫通するバルブ開口孔23dが形成された略ドーナツ状のバルブ本体部23aと、バルブ本体部23aのバルブ開口孔23dの内周面に環状に突出して形成された環状凸部23bと、バルブ本体部23aの下面から突出して形成された突出片23cとを有している。
【0030】
環状凸部23bよりも上方側に位置するバルブ開口孔23dは、図4(b)のB箇所に示すように、カプラ40の内筒側シール部材44を上方から受け入れる部位として機能する。
ここで、環状凸部23bよりも上方側におけるバルブ開口孔23dの内径は、カプラ40の内筒側シール部材44の外径よりも小さく設計され、これにより、図4(a)(b)のB箇所に示すように、バルブ開口孔23d内に内筒側シール部材44が挿入された時に、バルブ開口孔23dの内周面と内筒側シール部材44の外周面との間は密着してシールされる。
なお、バルブ開口孔23d内に内筒側シール部材44が挿入された時には、図4(b)のB箇所に示すように、環状凸部23bの上面と内筒側シール部材44の下面との間についても、密着してシールされるように設計されている。
突出片23cは、図2に示すように、注出部材25の上端側部分の外周側に配置されて、注出部材25に対して着脱可能に取り付けられる。
【0031】
ガスバルブ23は、図2に示すように、その下端がアダプター27に当接するとともにその上端がガスバルブ23に当接して設置されたガス用付勢バネ24によって上方に向けて付勢され、クロージャー部材28の下面に押し付けられる。これにより、ガスバルブ23とクロージャー部材28との間がシールされ、ガス流路60が閉止される。
なお、本実施形態では、図2に示すように、ガスバルブ23の上面に上面側環状シール部23fを形成したが、ガスバルブ23とクロージャー部材28との間のシール構造は、ガスバルブ23とクロージャー部材28との間の隙間(ガス流路60)を開閉可能にシールするものであれば、如何なるものでもよく、例えば、クロージャー部材28の下面側に環状シール部を形成してもよい。
【0032】
また、ガスバルブ23は、複数種類(2種類)の樹脂材料から多色成形(二色成形)され、具体的には、他部材(飲料バルブ21、クロージャー部材28、カプラ40の内筒側シール部材44)との接触によってシール部を形成する部位(環状凸部23bよりも上方側のバルブ開口孔23dの内周面、下面側環状シール部23e、上面側環状シール部23f)については、弾性を有した樹脂材料から形成され、それ以外の部位についてはより剛性を有した樹脂材料から形成されている。
【0033】
注出部材25は、図2に示すように、ガスバルブ23に取り付けられてその内部に飲料流路50を形成するものである。注出部材25の下端部分には、図2に示すように、飲料収容パウチ31内からビールを取り出すための円筒状の飲料注出管26が取り付けられている。
【0034】
飲料注出管26は、飲料コンテナ30に対して飲料サーバーキャップ20を装着した状態で飲料収容パウチ31内に配置され、上下方向に沿って延び、飲料収容パウチ31の底付近にまで延びている。
飲料注出管26は、上下方向に見た場合(飲料注出管26の挿入方向に見た場合)、(膨らませた状態の)飲料収容パウチ31内の中央(または中央付近)に配置される。
なお、飲料注出管26の材料としては、樹脂材料や金属材料等の如何なるものでもよい。
【0035】
注出部材25とガスバルブ23とによって形成された収容部内には飲料バルブ21と飲料用付勢バネ22とが配置され、これにより、注出部材25とガスバルブ23とを組み付けた状態では、飲料バルブ21と飲料用付勢バネ22とガスバルブ23と注出部材25と(飲料注出管26と)は、1つのユニットとして取り扱うことができる。
【0036】
アダプター27は、合成樹脂から形成され、図2に示すように、飲料収容パウチ31のスパウト32に着脱可能に取り付けられ、飲料サーバーキャップ20の各構成要素とスパウト32との間に介在して配置されるものであり、言い替えると、飲料サーバーキャップ20の各構成要素は、アダプター27を介してスパウト32に取り付けられる。
また、注出部材25と飲料注出管26とを除いて、飲料サーバーキャップ20の各構成要素は、スパウト32の外側に配置されている。
【0037】
アダプター27は、飲料収容パウチ31の上方においてスパウト32およびケース口筒部33dの間に介在して配置されるように形成され、図2に示すように、略筒状に形成されたアダプター本体27aと、アダプター本体27aの内周側に突出して形成された環状のスナップ係合部27bと、アダプター本体27aの外周側に突出して形成された環状の被挟持部27gとを有している。
アダプター本体27aの少なくとも一部は、図2に示すように、ケース口筒部33d内に僅かな間隙を持って配置されている。
【0038】
スナップ係合部27bは、スパウト32に対して上方からスナップフィット形式で係合する部位であり、図2に示すように、スパウト32の外周側に配置される環状の外周側部分27cと、スパウト32の内周側に挿入される環状の内周側部分27dと、外周側部分27cの上端側と内周側部分27dの上端側とを径方向に連結する環状の連結部27eとを有している。
スナップ係合部27bは、アダプター27(外周側部分27cまたは内周側部分27dの少なくとも一方)またはスパウト32の少なくとも一方の弾性を利用して、本実施形態では、主に外周側部分27cおよび内周側部分27dの弾性を利用して、スパウト32にスナップフィットする。
【0039】
外周側部分27cの内周面には、図2に示すように、スパウト32の外周面に形成された被係合部32cに係合可能な係合部27fが形成されている。
なお、本実施形態では、外周側部分27cの内周面に係合部27fが形成されているが、係合部27fは、外周側部分27cの内周面または内周側部分27dの外周面の少なくとも一方に形成すればよい。なお、内周側部分27dの外周面に係合部27fを形成する場合には、スパウト32の内周面に被係合部32cを形成すればよい。
【0040】
被挟持部27gは、図2に示すように、ケース口筒部33dの上端とクロージャー部材28(クロージャー本体部28a)の下面との間で上下方向に挟まれる部位である。アダプター27とクロージャー部材28との間には、Oリング27hが配置され、本実施形態では、Oリング27hは、図2に示すように、アダプター27の被挟持部27gの上面とクロージャー本体部28aの下面との間に介在して配置されている。これにより、ケース口筒部33dとクロージャー部材28とを組み付けた状態では、ケース口筒部33dとクロージャー部材28とによってクロージャー部材28が保持される。
【0041】
クロージャー部材28は、アダプター27の少なくとも一部を覆うように(本実施形態では、飲料サーバーキャップ20の各部品21~27を覆うように)構成され、図2に示すように、その中央部に上下方向に貫通する開口孔28dを有した円板状のクロージャー本体部28aと、クロージャー本体部28aの外周側部分から下方に向けて垂下するスカート部28bと、クロージャー本体部28aの内周側部分から上方に向けて突出する環状のカプラ用突出部28cとを有している。
【0042】
スカート部28bは、図2に示すように、ケース口筒部33dの上側部分の外周側に配置され、スカート部28bの内周面には、ケース口筒部33dの外周面に形成されたネジ部に螺合されるネジ部が形成されている。
カプラ用突出部28cには、図2図3(b)に示すように、クロージャー部材28に対してカプラ40が挿入された時に、カプラ外筒部41に形成された係合部に係合する係合部28eが内周側に向けて突出形成されおり、これにより、クロージャー部材28に対するカプラ40の抜け出しが阻止される。
【0043】
ハンドル部材29は、図1図2に示すように、外側ケース33のケース口筒部33dの外周側に取り付けられ、クロージャー部材28と外側ケース33との間で上下方向に挟み込まれて固定されている。
【0044】
次に、本実施形態の飲料供給装置10の使用方法について、以下に説明する。
【0045】
まず、図3(a)(b)に示すように、カプラ40を飲料サーバーキャップ20に対して装着する。具体的には、クロージャー部材28内にカプラ40の先端を挿入した後に、上下軸を中心としてカプラ40を回転させて、クロージャー部材28の係合部28eとカプラ40のカプラ外筒部41の外周側に形成された係合部とを係合させることで、カプラ40が抜けない状態にする。
【0046】
また、図3(b)に示すように、カプラ40をクロージャー部材28に装着した状態では、図3(b)のA箇所において、外筒側シール部材43の外周面とクロージャー部材28の開口孔28dの内周面とが径方向に密着するとともに、外筒側シール部材43の下端面とクロージャー部材28とが上下方向に密着して、飲料サーバーキャップ20内への外気の侵入が阻止される。
【0047】
次に、図4(a)(b)に示すように、カプラ外筒部41に対してカプラ内筒部42を下方に向けて進出させると、カプラ40の内筒側シール部材44がガスバルブ23のバルブ開口孔23d内に挿入されて、図4(a)(b)のB箇所において、内筒側シール部材44の外周面とクロージャー部材28のバルブ開口孔23dの内周面とが密着するとともに、内筒側シール部材44の下端面とクロージャー部材28の環状凸部23bの上面とが密着して、飲料流路50とガス流路60との間が遮断される。
【0048】
また、図4(b)の状態では、図4(b)のC箇所に示すように、カプラ内筒部42が下方に進出して、カプラ内筒部42の外周面に形成された環状の凹部がOリング45に対向する位置に来るため、Oリング45によるカプラ外筒部41とカプラ内筒部42との間のシールが解除される。
【0049】
また、図4(b)の状態では、カプラ内筒部42が下方に進出して、飲料用付勢バネ22による付勢力に抗して飲料バルブ21がカプラ内筒部42の下端によって下方に押され、図4(b)のD箇所に示すように、飲料バルブ21とガスバルブ23との間のシールが開放されて、飲料収容パウチ31内とカプラ40との間でビールを流動させるための飲料流路50が開通し、飲料収容パウチ31内からカプラ40側へのビールの取り出しが可能な状態になる。
ここで、飲料流路50について具体的に説明すると、本実施形態では、図4(b)に示すように、飲料流路50は、飲料注出管26の内側と、注出部材25およびガスバルブ23の内側と、カプラ内筒部42の下端に形成された切り欠き部と、カプラ内筒部42の内側とから構成される。
なお、飲料流路50は、飲料収容パウチ31内にビールを充填する時に、飲料収容パウチ31内のガス(エアー)を排出するための流路としても利用される。
【0050】
次に、図4(b)の状態から、カプラ内筒部42を更に下方に進出させると、内筒側シール部材44によってガスバルブ23(および注出部材25)が下方に押され、図5のE箇所に示すように、ガスバルブ23とクロージャー部材28との間のシールが開放されて、飲料収容パウチ31内とカプラ40との間で二酸化炭素を流動させるためのガス流路60が開通し、カプラ40側から飲料収容パウチ31内への二酸化炭素の供給が可能な状態になる。
ここで、ガス流路60について具体的に説明すると、本実施形態では、図5に示すように、ガス流路60は、カプラ外筒部41とカプラ内筒部42との間の間隙と、ガスバルブ23とクロージャー部材28との間の間隙と、ガスバルブ23とアダプター27との間の間隙と、スパウト32と注出部材25との間の間隙とから構成される。
なお、ガス流路60は、飲料収容パウチ31内にビールを充填する時の流路としても利用される。
【0051】
次に、本実施形態の飲料供給装置10(飲料コンテナ30)の製造時において、外側ケース33内に飲料収容パウチ31を設置する方法について、以下に説明する。
【0052】
まず、外側ケース33内に飲料収容パウチ31を設置する時には、図6(a)に示すように、ケース口筒部33dを通じて、ケース口筒部33dを通過可能な状態(大きさ)にした飲料収容パウチ31を外側ケース33内に挿入する。
ここで、本実施形態では、飲料収容パウチ31を折り畳むことによって、飲料収容パウチ31をケース口筒部33dを通過可能な状態にしたが、飲料収容パウチ31をケース口筒部33dを通過可能な状態にするための具体的な手法は、これに限定されず、例えば、外側ケース33外において、ガスを注入する等して飲料収容パウチ31を膨らませた後に、飲飲料収容パウチ31内のガスを抜いて飲飲料収容パウチ31を任意の大きさに萎ませることによって、飲料収容パウチ31をケース口筒部33dを通過可能な状態に調整してもよい。
なお、飲料収容パウチ31の具体的な折り畳み方や飲料収容パウチ31の萎ませ方については、ケース口筒部33dを通過させることが可能な大きさに、飲料収容パウチ31をするものであれば、如何なるものでもよい。
また、本実施形態においては、図6に示すように、外側ケース33内へ飲料収容パウチ31を挿入する時には、飲料収容パウチ31の開口部に、アダプター27が取り付けられたスパウト32を装着しており、これにより、アダプター27を外側ケース33のケース口筒部33dによって支持して、外側ケース33内における飲料収容パウチ31の配置状態を安定させることができる。
【0053】
次に、図6(b)に示すように、ガス供給装置(図示しない)のガス供給具Tを飲料収容パウチ31内に挿入して、飲料収容パウチ31内にエアーや二酸化炭素等のガスを供給して膨らませて展開する。
なお、この段階では、飲料収容パウチ31をある程度(飲料注出管26を飲料収容パウチ31内に挿入することができる程度)に膨らませればよく、飲料収容パウチ31を完全に膨らませる(外側ケース33の内面に飲料収容パウチ31の外面が接触するように飲料収容パウチ31を膨らませる)必要はない。
また、上記ガス供給装置(図示しない)の具体的態様は、如何なるものでもよい。
【0054】
次に、飲料収容パウチ31内からガス供給具Tを抜いた後に、図7(a)に示すように、飲料サーバーキャップ20(の少なくとも一部)を飲料コンテナ30に装着する。
この飲料サーバーキャップ20を飲料コンテナ30に装着した状態では、飲料収容パウチ31内に内側配置部材としての飲料注出管26が挿入される。
なお、本実施形態では、本工程において、図7(a)に示すように、飲料サーバーキャップ20を構成する全部品を飲料コンテナ30に装着したが、飲料サーバーキャップ20を構成する部品の一部のみを飲料コンテナ30に装着してもよく、例えば、クロージャー部材28やハンドル部材29等の一部部品を除いた飲料サーバーキャップ20の各部品を飲料コンテナ30に装着してもよい。
【0055】
次に、図7(b)に示すように、飲料収容パウチ31内に飲料注出管26を挿入した状態で、(図5に示す)飲料流路50またはガス流路60の少なくとも一方を通じて飲料収容パウチ31内のガスを吸引する。
この時、図7(b)に示すように、飲料収容パウチ31内のガスを吸引して飲料収容パウチ31を萎ませて、飲料注出管26の外周に飲料収容パウチ31を纏わり付かせることで、展開途中の飲料収容パウチ31の形状を整えることができる。
また、上述した飲料収容パウチ31内のガスの吸引は、飲料サーバーキャップ20に着脱可能に装着された吸引具(図示しない)を有した吸引装置(図示しない)によって行われる。なお、当該吸引装置の具体的態様は如何なるものでもよいが、吸引具としてカプラ40を利用してもよい。
【0056】
その後、(図5に示す)飲料流路50またはガス流路60の少なくとも一方を通じて飲料収容パウチ31内にガスを再び供給することで、図1に示すような、外側ケース33の内面に飲料収容パウチ31の外面が接触するように、飲料収容パウチ31を膨らませて展開させた状態で、外側ケース33内に飲料収容パウチ31を設置する。
なお、外側ケース33内での飲料収容パウチ31の設置が完了した状態において、一部領域において、外側ケース33の内面と飲料収容パウチ31の外面との間に多少の隙間があってもよく、また、飲料収容パウチ31を膨らませた状態では、飲料収容パウチ31のフィルムに部分的な多少の伸びが生じていてもよい。
また、外側ケース33の内面と飲料収容パウチ31の外面との間は、固着されていない。
また、図1~8においては、図示の関係上、外側ケース33の内面と飲料収容パウチ31の外面との間に隙間があるように描かれているが、外側ケース33内への飲料収容パウチ31の設置を完了した状態では、少なくとも大部分(飲料コンテナ30の底部に相当する位置において)において、外側ケース33の内面と飲料収容パウチ31の外面とは密着した状態となる。
また、上述した飲料収容パウチ31内へのガスの供給は、飲料サーバーキャップ20に着脱可能に装着されたガス供給具(図示しない)を有したガス供給装置(図示しない)によって行われる。なお、当該ガス供給装置の具体的態様は如何なるものでもよいが、ガス供給具としてカプラ40を利用してもよい。
【0057】
なお、上記では、外側ケース33内に飲料収容パウチ31を設置する方法の一例を説明したが、飲料収容パウチ31を設置する方法の具体的態様については、ケース口筒部33dを通過可能な状態にした飲料収容パウチ31を外側ケース33内に挿入した後に、飲料収容パウチ31内にガスを供給して膨らませて展開することで、外側ケース33の内面に飲料収容パウチ31の外面が接触するように、外側ケース33内に飲料収容パウチ31を設置するものであれば、如何なるものでもよい。
【0058】
例えば、上記では、飲料収容パウチ31内にガス供給を行った後、飲料収容パウチ31内からガスを吸引して萎ませる工程(図7(b)に示す工程)を挟んで、再度、飲料収容パウチ31内にガス供給を行うものとして説明した。しかしながら、飲料収容パウチ31内のガスを吸引して萎ませる工程を実施することなく、飲料収容パウチ31への1回または複数回のガス供給によって、外側ケース33内で飲料収容パウチ31を膨らませて、外側ケース33内への飲料収容パウチ31の設置を完了してもよい。
また、上記では、飲料収容パウチ31の設置にあたって、飲料収容パウチ31への計2回のガス供給と飲料収容パウチ31からの1回のガス吸引を行うものとして説明したが、ガス供給やガス吸引の回数やタイミングについては、最終的に、外側ケース33内で飲料収容パウチ31を膨らませて、外側ケース33内への飲料収容パウチ31の設置を完了するものであれば、如何なるものでもよい。
また、上記では、飲料収容パウチ31からのガス吸引を、飲料収容パウチ31内に内側配置部材としての飲料注出管26を挿入した状態で行うものとして説明したが、飲料収容パウチ31内に内側配置部材を挿入することなく、飲料収容パウチ31からのガス吸引を行ってもよく、この場合でも、展開途中の飲料収容パウチ31の形状を整える効果を一定程度得ることができる。
また、上記では、飲料収容パウチ31からのガス吸引を行う時に、飲料収容パウチ31内に挿入される内側配置部材として、飲料注出管26を利用するものとして説明したが、内側配置部材の具体的態様は、飲料注出管26である必要はない。なお、内側配置部材を配置する目的は、飲料収容パウチ31内のガスを吸引する時に、内側配置部材の外周に飲料収容パウチ31を纏わり付かせて展開途中の飲料収容パウチ31の形状を整えることであることから、内側配置部材の挿入方向(内側配置部材の延在方向、本実施形態では上下方向)に見た場合に、(本実施形態では水平方向における)飲料収容パウチ31内の中央(または中央付近)に内側配置部材を配置するのが好ましく、また、飲料収容パウチ31内に内側配置部材を配置してガス吸引を行う時に内側配置部材が飲料収容パウチ31の底付近にまで延びているのが好ましい。
また、上記では、飲料収容パウチ31を外側ケース33内に挿入して飲料収容パウチ31内にガスを供給した後に、飲料サーバーキャップ20を飲料コンテナ30に装着し、飲料収容パウチ31内にガスを再び供給することで、外側ケース33内で飲料収容パウチ31を膨らませて展開するものとして説明したが、飲料コンテナ30に対して飲料サーバーキャップ20を装着することなく(飲料コンテナ30に対する飲料サーバーキャップ20の装着とは関係なく)、外側ケース33内への飲料収容パウチ31の設置を完了させてもよい。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置10について、図8に基づいて説明する。ここで、第2実施形態では、飲料収容パウチ31および外側ケース33の一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0060】
まず、上述した第1実施形態では、図1に示すように、飲料収容パウチ31を構成するフィルムが、パウチ低摩擦部31aとパウチ樹脂層31bとを有しているものとして説明したが、第2実施形態では、図8に示すように、パウチ低摩擦部(低摩擦層)31aが形成されておらず、ナイロン等の樹脂材料から成るパウチ樹脂層31bが、外側ケース33の内面に対向して配置される飲料収容パウチ31の外面を構成している。
【0061】
また、第2実施形態では、図8に示すように、外側ケース33が、飲料収容パウチ31の外面に対向して配置される外側ケース33の内面を構成するケース低摩擦部33aと、ケース低摩擦部33aによって覆われたPET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂材料から成るケース樹脂層33bとを有している。
ケース低摩擦部33aは、ケース低摩擦部33aおよび飲料収容パウチ31の外面の間の静止摩擦係数がケース樹脂層33bおよび飲料収容パウチ31の外面の間の静止摩擦係数(言い替えると、ケース低摩擦部33aを形成しなかった場合におけるケース樹脂層33bおよび飲料収容パウチ31の外面の間の静止摩擦係数)よりも低くなるように形成された低摩擦層として構成されている。
ケース低摩擦部(低摩擦層)33aの具体的態様は、ケース樹脂層33bの内面を少なくとも部分的(本実施形態では全面的)に覆うように形成されたものであれば如何なるものでもよく、例えば、商品名「ニッカリコ」(AS-100S、ニッカ株式会社製)等の滑り性を向上させる粉末をケース樹脂層33bの内面側に散布することで形成されたものや、流動パラフィン等の滑り性を向上させる材料をケース樹脂層33bの内面側に塗布・蒸着・ラミネート・印刷等することで形成されたもの等、如何なるものでもよい。
【0062】
なお、第2実施形態では、飲料収容パウチ31を構成するフィルムにパウチ低摩擦部(低摩擦層)31aが形成されていないものとして説明したが、第2実施形態の変形例として、飲料収容パウチ31を構成するフィルムにパウチ低摩擦部31a(低摩擦層)を形成してもよく、言い替えると、パウチ低摩擦部31a(低摩擦層)が形成された第1実施形態の飲料収容パウチ31と、ケース低摩擦部33a(低摩擦層)が形成された第2実施形態の外側ケース33とを組み合わせて、飲料コンテナ30を構成してもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0064】
例えば、上述した実施形態では、飲料収容パウチ31内に収容される飲料がビールであるものとして説明したが、本発明が対象とする飲料の具体的種類はビールに限定されず、例えば、二酸化炭素を含有した炭酸飲料であってもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、飲料サーバーキャップ20を構成する全ての部品が樹脂製であるものとして説明したが、飲料サーバーキャップ20を構成する部品の具体的材料はこれに限定されず、一部の部品を金属から構成してもよい。
また、上記に限らず、例えばガスバルブ23とガス用付勢バネ24とを単一部品として形成する等、上述した実施形態では別体に形成されている部品を一体に単一部品としてもよく、また、上述した実施形態では単一部品として形成されている部品を複数のパーツから構成してもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、飲料収容パウチ31が、2枚のフィルムの外縁を熱溶着することで製袋されたものとして説明したが、飲料収容パウチ31の具体的態様は、これに限定されず、例えば、1枚の樹脂フィルムを折り畳んで重なったフィルム部同士を熱溶着して製袋用シール部を形成したものであってもよく、また、3枚以上のフィルムを所定箇所で熱溶着して製袋用シール部を形成することでパウチ20を構成してもよい。
また、飲料収容パウチ31を構成するフィルムの具体的構成については、如何なるものでもよく、例えば、パウチ樹脂層31bの内側に、樹脂や金属等から成る1層または2層以上の他の層を形成してもよいし形成しなくてもよい。
また、パウチ樹脂層31bを構成する具体的材料としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、PET等の如何なるものでもよく、また、パウチ樹脂層31bの内側に他の層を形成する場合における、当該層を構成する具体的材料としては、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、PET等の樹脂材料や、アルミ等の金属材料や、紙材料等の如何なるものでもよい。
【0067】
また、外側ケース33の具体的態様についても、ケース樹脂層33bの外側に樹脂や金属等から成る1層または2層以上の他の層を形成したもの等、如何なるものでもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 ・・・ 飲料供給装置
20 ・・・ 飲料サーバーキャップ
21 ・・・ 飲料バルブ
22 ・・・ 飲料用付勢バネ
23 ・・・ ガスバルブ
23a ・・・ バルブ本体部
23b ・・・ 環状凸部
23c ・・・ 突出片
23d ・・・ バルブ開口孔
23e ・・・ 下面側環状シール部
23f ・・・ 上面側環状シール部
24 ・・・ ガス用付勢バネ
25 ・・・ 注出部材
26 ・・・ 飲料注出管(内側配置部材)
27 ・・・ アダプター(制御部材)
27a ・・・ アダプター本体
27b ・・・ スナップ係合部
27c ・・・ 外周側部分
27d ・・・ 内周側部分
27e ・・・ 連結部
27f ・・・ 係合部
27g ・・・ 被挟持部
27h ・・・ Oリング
28 ・・・ クロージャー部材
28a ・・・ クロージャー本体部
28b ・・・ スカート部
28c ・・・ カプラ用突出部
28d ・・・ 開口孔
28e ・・・ 係合部
29 ・・・ ハンドル部材
30 ・・・ 飲料コンテナ
31 ・・・ 飲料収容パウチ
31a ・・・ パウチ低摩擦部
31b ・・・ パウチ樹脂層
32 ・・・ スパウト
32a ・・・ 筒状部
32b ・・・ フランジ部
32c ・・・ 被係合部
33 ・・・ 外側ケース
33a ・・・ ケース低摩擦部
33b ・・・ ケース樹脂層
33c ・・・ ケース本体
33d ・・・ ケース口筒部
40 ・・・ カプラ
41 ・・・ カプラ外筒部
42 ・・・ カプラ内筒部
43 ・・・ 外筒側シール部材
44 ・・・ 内筒側シール部材
45 ・・・ Oリング
46 ・・・ チェック弁
50 ・・・ 飲料流路
60 ・・・ ガス流路
T ・・・ ガス供給具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8