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特許7505419パンタグラフ変位測定装置及びトロリ線硬点検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】パンタグラフ変位測定装置及びトロリ線硬点検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240618BHJP
   G06T 7/223 20170101ALI20240618BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240618BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G06T7/223
G06T7/00 650
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021028153
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129480
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】川畑 匠朗
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特許第6669294(JP,B1)
【文献】特開2010-266341(JP,A)
【文献】特開2020-144049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G06T 7/223
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の屋根上に設置されて前記鉄道車両のパンタグラフの中心位置のマーカを撮影するラインセンサカメラと、
前記鉄道車両の前記屋根上に設置されて架線の高さを計測する測域センサと、
前記鉄道車両の走行中に前記測域センサのデータに基づいて前記架線の高さを求めると共に、前記架線の高さと前記ラインセンサカメラを用いて取得した入力画像とを用いて前記パンタグラフの正確な高さを算出する画像処理装置と、を備え、
前記画像処理装置は、前記ラインセンサカメラを用いて取得した前記マーカの画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを作成し、前記測域センサにより取得した前記架線の高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記基準テンプレートを用いて前記入力画像とのテンプレートマッチングを行うことで前記パンタグラフの高さ方向の変位及び加速度を算出するパンタグラフ変位測定装置。
【請求項2】
鉄道車両の屋根上に設置されて前記鉄道車両のパンタグラフの中心位置のマーカを撮影するラインセンサカメラと、
前記鉄道車両の前記屋根上に設置されて前記パンタグラフの高さを計測する測域センサと、
前記鉄道車両の走行中に前記測域センサのデータに基づいて前記パンタグラフの高さを求めると共に、前記パンタグラフの高さと前記ラインセンサカメラを用いて取得した入力画像とを用いて前記パンタグラフの正確な高さを算出する画像処理装置と、を備え、
前記画像処理装置は、前記ラインセンサカメラを用いて取得した前記マーカの画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを作成し、前記測域センサにより取得した前記パンタグラフの高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記基準テンプレートを用いて前記入力画像とのテンプレートマッチングを行うことで前記パンタグラフの高さ方向の変位及び加速度を算出するパンタグラフ変位測定装置。
【請求項3】
鉄道車両の屋根上に設置されて前記鉄道車両のパンタグラフの中心位置のマーカを撮影するラインセンサカメラと、
前記鉄道車両の前記屋根上に設置されて前記パンタグラフを撮影するエリアセンサカメラと、
前記鉄道車両の走行中に前記エリアセンサカメラの画像に基づいて前記パンタグラフの高さを求めると共に、前記パンタグラフの高さと前記ラインセンサカメラを用いて取得した入力画像とを用いて前記パンタグラフの正確な高さを算出する画像処理装置と、を備え、
前記画像処理装置は、前記ラインセンサカメラを用いて取得した前記マーカの画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを作成し、前記エリアセンサカメラの画像に基づいて取得した前記パンタグラフの高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記基準テンプレートを用いて前記入力画像とのテンプレートマッチングを行うことで前記パンタグラフの高さ方向の変位及び加速度を算出するパンタグラフ変位測定装置。
【請求項4】
鉄道車両の屋根上に設置されたラインセンサカメラによって走行中の前記鉄道車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサカメラによって撮影した画像と前記鉄道車両の前記屋根上に設置された測域センサによって取得した架線の高さのデータとを画像処理装置により解析して前記パンタグラフの高さ方向の加速度を求め、前記架線であるトロリ線の硬点を検出するトロリ線硬点検出方法であって、
前記ラインセンサカメラによって撮影される前記パンタグラフの面の中心位置に設置されたマーカを撮影したマーカ画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを設定すること、
前記測域センサによって取得したデータから前記架線の高さを計測すること、
前記鉄道車両の走行中に前記ラインセンサカメラによって撮影した入力画像を横方向に分割し、分割した区間毎に前記基準テンプレートの拡大又は収縮を行うこと、
前記架線の高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記入力画像と前記基準テンプレートとのテンプレートマッチングを行うことで前記マーカの変位を検出しつつ、前記パンタグラフの高さ方向の変位を求めること、
前記パンタグラフの高さ方向の変位に対してフィルタリング処理による平滑化を行うこと、
前記平滑化を行ったデータを二階微分することで加速度を算出すること、を含むトロリ線硬点検出方法。
【請求項5】
鉄道車両の屋根上に設置されたラインセンサカメラによって走行中の前記鉄道車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサカメラによって撮影した画像と前記鉄道車両の前記屋根上に設置された測域センサによって取得したパンタグラフの高さのデータとを画像処理装置により解析して前記パンタグラフの高さ方向の加速度を求め、架線であるトロリ線の硬点を検出するトロリ線硬点検出方法であって、
前記ラインセンサカメラによって撮影される前記パンタグラフの面の中心位置に設置されたマーカを撮影したマーカ画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを設定すること、
前記測域センサによって取得したデータから前記パンタグラフの高さを計測すること、
前記鉄道車両の走行中に前記ラインセンサカメラによって撮影した入力画像を横方向に分割し、分割した区間毎に前記基準テンプレートの拡大又は収縮を行うこと、
前記パンタグラフの高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記入力画像と前記基準テンプレートとのテンプレートマッチングを行うことで前記マーカの変位を検出しつつ、前記パンタグラフの高さ方向の変位を求めること、
前記パンタグラフの高さ方向の変位に対してフィルタリング処理による平滑化を行うこと、
前記平滑化を行ったデータを二階微分することで加速度を算出すること、を含むトロリ線硬点検出方法。
【請求項6】
鉄道車両の屋根上に設置されたラインセンサカメラによって走行中の前記鉄道車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサカメラによって撮影した画像と前記鉄道車両の前記屋根上に設置されたエリアセンサカメラによって取得した画像に基づくパンタグラフの高さのデータとを画像処理装置により解析して前記パンタグラフの高さ方向の加速度を求め、架線であるトロリ線の硬点を検出するトロリ線硬点検出方法であって、
前記ラインセンサカメラによって撮影される前記パンタグラフの面の中心位置に設置されたマーカを撮影したマーカ画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを設定すること、
前記エリアセンサカメラによって取得した画像に基づく前記パンタグラフの高さを計測すること、
前記鉄道車両の走行中に前記ラインセンサカメラによって撮影した入力画像を横方向に分割し、分割した区間毎に前記基準テンプレートの拡大又は収縮を行うこと、
前記パンタグラフの高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記入力画像と前記基準テンプレートとのテンプレートマッチングを行うことで前記マーカの変位を検出しつつ、前記パンタグラフの高さ方向の変位を求めること、
前記パンタグラフの高さ方向の変位に対してフィルタリング処理による平滑化を行うこと、
前記平滑化を行ったデータを二階微分することで加速度を算出すること、を含むトロリ線硬点検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、パンタグラフ変位測定装置及びトロリ線硬点検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気鉄道設備において、トロリ線は、吊架線にハンガで吊り下げられている。
このハンガの設置箇所、トロリ線の接続箇所又は曲引きがある部分等は、他の部分に比べてトロリ線の重量が部分的に増加しており、トロリ線の硬点と呼ばれる。
このトロリ線の硬点を、車両の屋根上に設置された、トロリ線に摺動する集電装置であるパンタグラフが通過するとき、トロリ線の重量によりパンタグラフが急激に下降することがある。
このような急激な下降が生じると、トロリ線がパンタグラフから離れ、トロリ線とパンタグラフとの間にアークが発生する。
このアークによって生じる熱は、トロリ線に局所的な摩耗を生じさせる。
そのため、トロリ線の硬点は、他の部分に比較して摩耗の進行が早い。
従って、トロリ線の硬点を検出することは、電気鉄道設備を保守し、運用及び管理する上で重要な項目であり、実際に、トロリ線の硬点の計測は、検査項目の一つとして設定されている。
【0003】
上述のように、トロリ線の硬点においてパンタグラフには鉛直方向に大きな加速度が生じる。
トロリ線の硬点を検出するためには、トロリ線と変位が等価であるパンタグラフの鉛直方向の加速度を監視すればよい。
パンタグラフの鉛直方向の加速度は、パンタグラフの鉛直方向の変位を測定し、これを二階微分することによって求めることができる。
パンタグラフの変位を測定する従来の方法としては、レーザセンサ方式、光切断方式及び画像処理方式が知られている。
レーザセンサ方式では、パンタグラフがミラー等によりレーザで走査され、反射波の位相差又は反射したレーザの形状の変形等により、パンタグラフの変位が測定される。
光切断方式では、パンタグラフに縞状の光が投光され、パンタグラフの形状に応じて凹凸になった縞が受光され、パンタグラフの変位が測定される。
画像処理方式では、車両の屋根上に設置されたラインセンサカメラがパンタグラフを撮影し、撮影した画像に対してテンプレートマッチングの処理が行われ、パンタグラフの変位が測定される。
ここで、テンプレートマッチングを開示した従来技術としては特許文献1を例示することができ、キャリブレーション方法を開示した従来技術としては特許文献2を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-266341号公報
【文献】特開2010-169505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術において画像処理方式を適用する際のテンプレートマッチングでは、背景に移り込んだ電線等がテンプレートと類似していると、誤検出のおそれがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像処理方式を適用する際のテンプレートマッチングにおける誤検出を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明の一態様は、鉄道車両の屋根上に設置されて前記鉄道車両のパンタグラフの中心位置のマーカを撮影するラインセンサカメラと、前記鉄道車両の前記屋根上に設置されて架線の高さを計測する測域センサと、前記鉄道車両の走行中に前記測域センサのデータに基づいて前記架線の高さを求めると共に、前記架線の高さと前記ラインセンサカメラを用いて取得した入力画像とを用いて前記パンタグラフの正確な高さを算出する画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記ラインセンサカメラを用いて取得した前記マーカの画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを作成し、前記測域センサにより取得した前記架線の高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記基準テンプレートを用いて前記入力画像とのテンプレートマッチングを行うことで前記パンタグラフの高さ方向の変位及び加速度を算出するパンタグラフ変位測定装置である。
【0008】
又は、本発明の一態様は、鉄道車両の屋根上に設置されて前記鉄道車両のパンタグラフの中心位置のマーカを撮影するラインセンサカメラと、前記鉄道車両の前記屋根上に設置されて前記パンタグラフの高さを計測する測域センサと、前記鉄道車両の走行中に前記測域センサのデータに基づいて前記パンタグラフの高さを求めると共に、前記パンタグラフの高さと前記ラインセンサカメラを用いて取得した入力画像とを用いて前記パンタグラフの正確な高さを算出する画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記ラインセンサカメラを用いて取得した前記マーカの画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを作成し、前記測域センサにより取得した前記パンタグラフの高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記基準テンプレートを用いて前記入力画像とのテンプレートマッチングを行うことで前記パンタグラフの高さ方向の変位及び加速度を算出するパンタグラフ変位測定装置である。
【0009】
又は、本発明の一態様は、鉄道車両の屋根上に設置されて前記鉄道車両のパンタグラフの中心位置のマーカを撮影するラインセンサカメラと、前記鉄道車両の前記屋根上に設置されて前記パンタグラフを撮影するエリアセンサカメラと、前記鉄道車両の走行中に前記エリアセンサカメラの画像に基づいて前記パンタグラフの高さを求めると共に、前記パンタグラフの高さと前記ラインセンサカメラを用いて取得した入力画像とを用いて前記パンタグラフの正確な高さを算出する画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記ラインセンサカメラを用いて取得した前記マーカの画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを作成し、前記エリアセンサカメラの画像に基づいて取得した前記パンタグラフの高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定し、前記基準テンプレートを用いて前記入力画像とのテンプレートマッチングを行うことで前記パンタグラフの高さ方向の変位及び加速度を算出するパンタグラフ変位測定装置である。
【0010】
又は、本発明の一態様は、鉄道車両の屋根上に設置されたラインセンサカメラによって走行中の前記鉄道車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサカメラによって撮影した画像と測域センサによって取得した架線の高さのデータとを画像処理装置により解析して前記パンタグラフの高さ方向の加速度を求め、前記架線であるトロリ線の硬点を検出するトロリ線硬点検出方法であって、前記ラインセンサカメラによって撮影される前記パンタグラフの面の中心位置に設置されたマーカを撮影したマーカ画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを設定すること、前記測域センサによって取得したデータから前記架線の高さを計測すること、前記鉄道車両の走行中に前記ラインセンサカメラによって撮影した入力画像を横方向に分割し、分割した区間毎に前記基準テンプレートの拡大又は収縮を行うこと、前記入力画像と前記基準テンプレートとのテンプレートマッチングを行うことで前記マーカの変位を検出しつつ、前記パンタグラフの高さ方向の変位を求めること、前記パンタグラフの高さ方向の変位に対してフィルタリング処理による平滑化を行うこと、前記平滑化を行ったデータを二階微分することで加速度を算出すること、を含むトロリ線硬点検出方法である。
【0011】
又は、本発明の一態様は、鉄道車両の屋根上に設置されたラインセンサカメラによって走行中の前記鉄道車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサカメラによって撮影した画像と測域センサによって取得したパンタグラフの高さのデータとを画像処理装置により解析して前記パンタグラフの高さ方向の加速度を求め、架線であるトロリ線の硬点を検出するトロリ線硬点検出方法であって、前記ラインセンサカメラによって撮影される前記パンタグラフの面の中心位置に設置されたマーカを撮影したマーカ画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを設定すること、前記測域センサによって取得したデータから前記パンタグラフの高さを計測すること、前記鉄道車両の走行中に前記ラインセンサカメラによって撮影した入力画像を横方向に分割し、分割した区間毎に前記基準テンプレートの拡大又は収縮を行うこと、前記入力画像と前記基準テンプレートとのテンプレートマッチングを行うことで前記マーカの変位を検出しつつ、前記パンタグラフの高さ方向の変位を求めること、前記パンタグラフの高さ方向の変位に対してフィルタリング処理による平滑化を行うこと、前記平滑化を行ったデータを二階微分することで加速度を算出すること、を含むトロリ線硬点検出方法である。
【0012】
又は、本発明の一態様は、鉄道車両の屋根上に設置されたラインセンサカメラによって走行中の前記鉄道車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサカメラによって撮影した画像とエリアセンサカメラによって取得した画像に基づくパンタグラフの高さのデータとを画像処理装置により解析して前記パンタグラフの高さ方向の加速度を求め、架線であるトロリ線の硬点を検出するトロリ線硬点検出方法であって、前記ラインセンサカメラによって撮影される前記パンタグラフの面の中心位置に設置されたマーカを撮影したマーカ画像に基づき前記マーカの一ライン分の基準テンプレートを設定すること、前記エリアセンサカメラによって取得した画像に基づく前記パンタグラフの高さを計測すること、前記鉄道車両の走行中に前記ラインセンサカメラによって撮影した入力画像を横方向に分割し、分割した区間毎に前記基準テンプレートの拡大又は収縮を行うこと、前記入力画像と前記基準テンプレートとのテンプレートマッチングを行うことで前記マーカの変位を検出しつつ、前記パンタグラフの高さ方向の変位を求めること、前記パンタグラフの高さ方向の変位に対してフィルタリング処理による平滑化を行うこと、前記平滑化を行ったデータを二階微分することで加速度を算出すること、を含むトロリ線硬点検出方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像処理方式を適用する際のテンプレートマッチングにおける誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係るパンタグラフ変位測定装置の設置例を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態1における演算処理部を示す機能ブロック図である。
図3図3は、マーカ画像の作成について説明する図である。
図4図4は、図3に沿って作成したマーカ画像を示す図である。
図5図5は、基準テンプレートを示す図である。
図6図6は、マーカの検出位置を示す図である。
図7図7は、実施形態1における処理用コンピュータによるトロリ線の硬点の検出方法を示すフローチャートである。
図8図8は、S4において誤検出を生じうる、マーカとその他の電線との配置を示す図である。
図9図9は、限定されたテンプレートマッチング適用範囲を示す図である。
図10図10は、実施形態2に係るパンタグラフ変位測定装置の設置例を模式的に示す図である。
図11図11は、実施形態2における演算処理部を示す機能ブロック図である。
図12図12は、実施形態2における処理用コンピュータによるトロリ線の硬点の検出方法を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態3に係るパンタグラフ変位測定装置の設置例を模式的に示す図である。
図14図14は、実施形態3における演算処理部を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置の設置例を模式的に示す図である。
図1には、鉄道車両である車両1のパンタグラフ11と、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2と、架線高さ計測用測域センサ3と、照明装置4と、パンタグラフ11に付されたマーカ5と、処理用コンピュータ6と、トロリ線である架線7と、が示されている。
本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置は、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2と、架線高さ計測用測域センサ3と、処理用コンピュータ6と、を備える。
【0017】
パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2は、車両1の屋根上であってパンタグラフ11とは車両1の前後方向に離間した位置に、パンタグラフ11を撮影するように設置されている。
具体的には、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2は、その光軸が斜め上方に向くように、且つその撮影領域にパンタグラフ11の全可動域が入るようにその向きを設定されている。
このパンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2によって取得した画像信号は、処理用コンピュータ6に入力される。
【0018】
架線高さ計測用測域センサ3は、架線7の偏位を計測するため、車両1の屋根上にその光軸がほぼ直上を向くように設置されている。
架線高さ計測用測域センサ3によって取得されたレーザデータは、処理用コンピュータ6に入力される。
【0019】
照明装置4は、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2によって撮影される領域に対して光を照射するものであり、図1においては2台設けられている。
ただし、照明装置4の数はこれに限定されるものではない。
【0020】
マーカ5は、白色部分と黒色部分とが交互に配置された白黒の縞模様のマーカであり、パンタグラフ11のパンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2側の中心位置に設置されている。
ここでは、マーカ5は、黒色の背景に高さの異なる2本の白線が離間して配置されたものであり、これにより光を反射する素材で形成された2本の白色部分と、光を反射しない素材で形成された3本の黒色部分とが交互に配されている。
【0021】
処理用コンピュータ6は、車両1の内部に設置され、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2から入力された画像及び架線高さ計測用測域センサ3のレーザデータを解析してパンタグラフ11の高さ方向の変位を検出するものである。
処理用コンピュータ6は、演算処理部61と、モニタ62と、を備える。
【0022】
図2は、本実施形態における演算処理部61を示す機能ブロック図である。
図2に示す演算処理部61は、データ処理部611、テンプレート設定部612、架線高さ計測部613、テンプレート拡大・収縮部614、テンプレートマッチング部615、パンタグラフ変位計算部616、フィルタリング処理部617、及び加速度計算部618を備える。
【0023】
図3は、マーカ画像8の作成について説明する図である。
図4は、図3に沿って作成したマーカ画像8を示す図である。
図2に示すデータ処理部611は、図3に示すように、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2により撮影した1スキャン分の画像を縦方向に一定数並べることで、図4に示すようなマーカ画像8を作成する。
また、データ処理部611は、架線7の偏位に対応したパンタグラフ変位を時系列的に並べる処理を行う。
【0024】
図5は、基準テンプレート9を示す図である。
図2に示すテンプレート設定部612は、図4に示すようなマーカ画像8から図5に示すような1ライン分(L)のマーカパターンをテンプレートマッチング用の基準テンプレート9として取得する。
すなわち、基準テンプレート9は、マーカ画像8からマーカ部分を抽出して得られる白色領域と黒色領域とにより形成される一次元の輝度値データである。
基準テンプレート9は、データ処理部611を経てテンプレート拡大・収縮部614へ送られる。
【0025】
図2に示す架線高さ計測部613は、架線高さ計測用測域センサ3で得られるレーザ座標データ(x,y)[mm]から時系列で連続するデータを架線として検出する。
ここで、複数の架線が検出された場合には、高さが最も低い架線が本線であるため、その高さが最も低い架線のみを抽出する。
【0026】
テンプレート拡大・収縮部614は、車両1の走行中にパンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2によって撮影した入力画像を横方向に任意の数で分割し、各画素の分解能に基づいて各分割した区間ごとに基準テンプレート9を拡大又は収縮する。
なお、各画素の分解能は、上記の特許文献2におけるキャリブレーション方法等の公知の手法により求めればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
【0027】
テンプレートマッチング部615は、テンプレート拡大・収縮処理を行いながら、入力画像とマーカ5に対応する基準テンプレート9との類似度を計算することでマーカ5の変位[pix]を検出する。
入力画像と基準テンプレート9との類似度計算には、正規化相互相関の一種であるZNCC(Zero means Normalized Cross Correlation)を使用する。
具体的には、1ピクセルごとにスキャンしながら、入力画像と基準テンプレート9の類似度を算出し、その中で類似度が最大になった位置の座標[pix]を変位とする。
テンプレートマッチング部615によって得られたマーカ5の変位[pix]は、データ処理部611を経てパンタグラフ変位計算部616へ送られる。
【0028】
図6は、マーカ5の検出位置を示す図である。
パンタグラフ変位計算部616は、テンプレートマッチング部615で求めたマーカ5の変位[pix]が大まかな変位であるので、マーカ5のより正確な変位を求めるべく、検出されたマーカ5の範囲内で図6に示すようにマーカ5の二本ある白線のうち、下側の白線の下端Pをエッジ検出により求め、サブピクセル推定を行ってマーカ5の正確な変位[pix]を検出する。
このようにして検出したマーカ5の変位[pix]を実際の変位[mm]に変換し、予め測定しておいたマーカ5の下側の白線の下端からパンタグラフ11の上面までの距離を考慮し、実際のパンタグラフ11の高さ方向の変位であるパンタグラフ変位[mm]を算出する。
なお、マーカ5の変位[pix]を実際の変位[mm]に変換する手法としては、マーカ5の変位[pix]に上記の特許文献2におけるキャリブレーション方法により求めたキャリブレーション係数を乗じることで求める等の、公知の手法を用いればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
パンタグラフ変位計算部616によって得られたパンタグラフ変位[mm]は、データ処理部611を経てフィルタリング処理部617へ送られる。
【0029】
フィルタリング処理部617は、データ処理部611で時系列的に並べられた架線7の偏位[mm]に対応したパンタグラフ変位[mm]に対する平滑化を行う。
【0030】
加速度計算部618は、フィルタリング処理部617で求めた平滑化後のパンタグラフ変位[mm]に対して二階微分を行い、架線7の偏位[mm]に対応したパンタグラフ11の高さ方向の加速度[mm/s]を算出する。
なお、本実施形態では、硬点の検出基準として加速度[mm/s]を20Gとしている。
すなわち、パンタグラフ11の高さ方向の加速度が20G以上となる位置を硬点として検出している。
加速度計算部618によって得られた加速度[mm/s]は、データ処理部611を経てモニタ62に出力及び表示される。
【0031】
図7は、本実施形態における処理用コンピュータ6によるトロリ線の硬点の検出方法を示すフローチャートである。
【0032】
図7に示すように、まず、テンプレート設定部612は、マーカ画像8から1ライン分の基準テンプレート9を設定する(S1)。
【0033】
次に、架線高さ計測部613は、架線高さ計測用測域センサ3で得られるレーザ座標データ(x,y)[mm]から時系列で連続するデータを架線として検出する(S2)。
【0034】
次に、テンプレート拡大・収縮部614は、車両1の走行中にパンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2によって撮影した入力画像を横方向に任意の数に分割し、上記の特許文献2におけるキャリブレーション方法により求めた各画素の分解能に基づいて各分割した区間毎に基準テンプレート9の拡大又は収縮を行う(S3)。
テンプレートマッチング部615は、基準テンプレート9の拡大・収縮処理を行いつつ、入力画像と基準テンプレート9との類似度を計算することでマーカ変位[pix]を検出する(S4)。
図8は、S4において誤検出を生じうる、マーカとその他の電線との配置を示す図である。
図9は、限定されたテンプレートマッチング適用範囲を示す図である。
S4においては、図8に示すような状態での誤検出を防止するために、S2で得られた架線高さ[mm]から図9に示すようにテンプレートマッチングによる探索の適用範囲が架線高さ周辺に限定される。
【0035】
パンタグラフ変位計算部616は、高精度なパンタグラフ変位[mm]を求める(S5)。
S5では、S4で求めたマーカ変位が大まかであるため、より高精度なマーカ変位を求める。
パンタグラフ変位計算部616は、検出されたマーカの範囲内で図6に示すマーカの2本の白線のうち、下側の白線の下端である検出位置Pをエッジ検出により求め、サブピクセル推定により高精度なマーカ変位[pix]を検出する。
そして、パンタグラフ変位計算部616は、高精度なマーカ変位[pix]の算出後、上記の特許文献2におけるキャリブレーション方法により求めたキャリブレーション係数を乗じることでマーカ変位[mm]を算出する。
そして、パンタグラフ変位計算部616は、予め測定した、マーカの下側の白線の下端の検出位置Pからパンタグラフ上面までの距離を追加し、高精度なパンタグラフ変位[mm]を算出する。
【0036】
なお、上述のS3からS5の処理は、入力画像のラインごとに行われる。
【0037】
その後、フィルタリング処理部617は、データ処理部611で時系列的に並べられた架線7の偏位[mm]に対応したパンタグラフ変位[mm]に対する平滑化を行う(S6)。
そして、加速度計算部618は、架線7の偏位[mm]に対応した平滑化後のパンタグラフ変位[mm]の高さ方向の加速度[mm/s]を算出する(S7)。
ここで、加速度の算出は、平滑化後の変位データを2階微分することにより行う。
【0038】
このようにして、パンタグラフ11の高さ方向の加速度が20G以上となる位置を硬点として検出する。
【0039】
以上説明した本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置によれば、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2によって取得された画像及び架線高さ計測用測域センサ3によって取得されたレーザデータを解析することにより、非接触でパンタグラフ11の高さ方向の変位を測定することができる。
そのため、本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置によれば、保守車両を用いた夜間等の停電時間帯の運用のみならず、通常の営業車両に適用してパンタグラフ11の高さ方向の変位を測定することが可能となり、利便性が向上する。
また、本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置によれば、架線高さ計測用測域センサ3により大まかな架線高さを検出し、この大まかな架線高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定することで誤マッチングを防止するため、高精度なパンタグラフ高さ計測及びトロリ線である架線の硬点検出が可能になる。
【0040】
<実施形態2>
実施形態1では、大まかな架線高さを検出し、テンプレートマッチングの適用範囲を限定することで誤マッチングを防止することで、高精度なパンタグラフ高さ計測及びトロリ線である架線の硬点検出を可能とする技術について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、大まかな架線高さの検出に代えて、大まかなパンタグラフ高さを検出してもよい。
【0041】
図10は、本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置の設置例を模式的に示す図である。
本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置は、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2と、パンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aと、処理用コンピュータ6Aと、を備える。
図10に示すパンタグラフ変位測定装置は、架線高さ計測用測域センサ3に代えてパンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aを備え、演算処理部61を備える処理用コンピュータ6に代えて演算処理部61Aを備える処理用コンピュータ6Aを備える点が図1に示すパンタグラフ変位測定装置と異なり、その他の構成は実施形態1と同じであるため、その説明は実施形態1を援用する。
【0042】
パンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aは、パンタグラフ11の偏位を計測するため、車両1の屋根上にその光軸がほぼ直上を向くように設置されている。
パンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aによって取得されたレーザデータは、処理用コンピュータ6Aに入力される。
【0043】
図11は、本実施形態における演算処理部61Aを示す機能ブロック図である。
図11に示す演算処理部61Aは、架線高さ計測部613に代えてパンタグラフ高さ計測部619を備える点のみが図2に示す演算処理部61と異なり、その他の構成は図2に示す演算処理部61と同じであるためその説明は実施形態1を援用する。
【0044】
図12は、本実施形態における処理用コンピュータ6Aによるトロリ線の硬点の検出方法を示すフローチャートである。
図12に示すフローチャートは、S2の架線高さ計測処理に代えて、S2Aのパンタグラフ高さ計測処理を含む点が図7に示すフローチャートと異なり、その他の処理は図7に示すフローチャートと同じであるためその説明は実施形態2を援用する。
【0045】
パンタグラフ高さ計測部619は、パンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aで得られるレーザ座標データ(x,y)[mm](測域センサのスキャン範囲はパンタグラフ周辺のみに限定)から一番低い位置にあるものをパンタグラフとして検出する(S2A)。
そして、S4においては、S2Aで得られたパンタグラフ高さ[mm]からテンプレートマッチングによる探索範囲がパンタグラフ高さ周辺に限定される。
【0046】
本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置によれば、パンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aにより大まかなパンタグラフ高さを検出し、この大まかなパンタグラフ高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定することで誤マッチングを防止するため、高精度なパンタグラフ高さ計測及びトロリ線である架線の硬点検出が可能になる。
【0047】
<実施形態3>
実施形態1では架線高さ計測用測域センサ3を備え、実施形態2ではパンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aを備える形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらに代えて、パンタグラフ11の高さを計測するパンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bを備えていてもよい。
【0048】
図13は、本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置の設置例を模式的に示す図である。
本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置は、パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ2と、パンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bと、処理用コンピュータ6Bと、を備える。
図13に示すパンタグラフ変位測定装置は、パンタグラフ高さ計測用測域センサ3Aに代えてパンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bを備え、演算処理部61Aを備える処理用コンピュータ6Aに代えて演算処理部61Bを備える処理用コンピュータ6Bを備える点が図10に示すパンタグラフ変位測定装置と異なり、その他の構成は実施形態2と同じであるため、その説明は実施形態1,2を援用する。
【0049】
パンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bは、車両1の屋根上であってパンタグラフ11とは車両1の前後方向に離間した位置に、パンタグラフ11を撮影するように設置されている。
具体的には、パンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bは、その光軸が斜め上方に向くように、且つその撮影領域にパンタグラフ11(の全可動域)が入るようにその向きを設定されている。
このパンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bによって取得した画像信号は、処理用コンピュータ6Bに入力される。
【0050】
図14は、本実施形態における演算処理部61Bを示す機能ブロック図である。
図14に示す演算処理部61Bは、パンタグラフ高さ計測部619に代えてパンタグラフ高さ計測部619Aを備える点のみが図10に示す演算処理部61Aと異なり、その他の構成は図10に示す演算処理部61Aと同じであるため、その説明は実施形態1,2を援用する。
【0051】
本実施形態の検出方法は、実施形態2の図12に示すフローチャートを用いて説明する。
S2Aのパンタグラフ高さ計測処理の詳細が実施形態2と異なり、その他の処理は実施形態2と同じであるため、その説明は実施形態2を援用する。
本実施形態では、S2AをS2A´(図示しない)と表記する。
【0052】
パンタグラフ高さ計測部619Aは、パンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bで得られる画像データから、予め登録したパンタグラフ舟体のテンプレート画像とのテンプレートマッチングを行うことでパンタグラフの高さ[pix]を検出する(S2A´)。
そして、S4においては、S2Aで得られたパンタグラフ高さ[pix]からテンプレートマッチングによる探索範囲がパンタグラフ高さ周辺に限定される。
【0053】
本実施形態に係るパンタグラフ変位測定装置によれば、パンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ3Bで取得した画像を用いたテンプレートマッチングにより大まかなパンタグラフ高さを検出し、この大まかなパンタグラフ高さに基づいてテンプレートマッチングの適用範囲を限定することで誤マッチングを防止するため、高精度なパンタグラフ高さ計測及びトロリ線である架線の硬点検出が可能になる。
【0054】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、上述の構成に対して、構成要素の付加、削除又は転換を行った様々な変形例も含むものとする。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
11 パンタグラフ
2 パンタグラフ変位計測用ラインセンサカメラ
3 架線高さ計測用測域センサ
3A パンタグラフ高さ計測用測域センサ
3B パンタグラフ高さ計測用エリアセンサカメラ
4 照明装置
5 マーカ
6,6A,6B 処理用コンピュータ
61,61A,61B 演算処理部
611 データ処理部
612 テンプレート設定部
613 架線高さ計測部
614 テンプレート拡大・収縮部
615 テンプレートマッチング部
616 パンタグラフ変位計算部
617 フィルタリング処理部
618 加速度計算部
619,619A パンタグラフ高さ計測部
62 モニタ
7 架線
8 マーカ画像
9 基準テンプレート

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14