(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】充電設備および充電設備の管理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240618BHJP
B60L 53/31 20190101ALI20240618BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
B60L53/31
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2021033300
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慶幸
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/073271(WO,A1)
【文献】特開2018-027013(JP,A)
【文献】特開2013-162710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 -13/00
B60L 15/00 -58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に形成された凹部の底面に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備であって、
前記蓄電装置と接続可能な接続機器を含む可動部と、
前記可動部が地面下に収納された第1状態と、前記可動部が地面上に露出し、前記蓄電装置と前記接続機器との接続が可能な第2状態との間で前記可動部を昇降させる昇降装置と、
前記充電設備の外部の機器との通信が可能な通信装置と、
前記通信装置を経由して受信した情報を用いて前記昇降装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記通信装置を用いて充電対象となる対象車両の位置と前記蓄電装置の残容量とを取得し、
前記残容量がしきい値よりも小さく、かつ、取得された前記位置が前記充電設備から第1距離以内の位置である場合に、前記可動部が上昇するように前記昇降装置を制御
し、
前記車両が前記充電設備に到着する時点で前記第2状態になるように前記車両の走行速度に応じて前記可動部の上昇速度を変化させる、充電設備。
【請求項2】
前記制御装置は、前記対象車両の走行状態から前記充電設備に到達する到達時刻を推定し、推定された前記到達時刻において前記第2状態にするための前記可動部の上昇制御の開始時刻を推定し、推定された前記開始時刻から前記到達時刻までの間に前記対象車両が走行する距離を前記第1距離として設定する、請求項1に記載の充電設備。
【請求項3】
前記可動部には、照明装置が設けられ、
前記制御装置は、
前記残容量が前記しきい値よりも大きい場合、取得された前記位置が前記充電設備から前記第1距離よりも短い第2距離以内の位置であるときに、前記可動部が上昇するように前記昇降装置を制御
し、
前記残容量が前記しきい値よりも小さい場合、取得された前記位置が前記充電設備から前記第1距離以内の位置であるときに、前記可動部が上昇するように前記昇降装置を制御するとともに前記照明装置を点灯させる、請求項1または2に記載の充電設備。
【請求項4】
地面に形成された凹部の底面に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の複数の充電設備の動作を管理する管理装置であって、
前記充電設備は、前記蓄電装置と接続可能な接続機器を含む可動部と、前記可動部が地面下に収納された第1状態と、前記可動部が地面上に露出し、前記蓄電装置と前記接続機器との接続が可能な第2状態との間で前記可動部を昇降させる昇降装置と、前記管理装置との通信が可能な通信装置と、前記通信装置を経由して受信した情報を用いて前記昇降装置を制御する制御装置とを備え、
前記管理装置は、
前記複数の充電設備のうちのいずれかの対象充電設備の充電対象となる対象車両の位置と、前記対象車両に搭載される前記蓄電装置の残容量とを取得し、
前記対象車両の前記残容量がしきい値よりも小さく、かつ、前記対象車両の位置が前記対象充電設備から第1距離以内の位置である場合に、前記対象充電設備に対して前記可動部の上昇を要求
し、
前記対象車両が前記対象充電設備に到着する時点で前記第2状態になるように前記対象車両の走行速度に応じて前記対象充電設備の前記可動部の上昇速度を変化させる、充電設備の管理装置。
【請求項5】
前記管理装置は、前記対象車両の走行状態から前記対象充電設備に到達する到達時刻を推定し、推定された前記到達時刻において前記第2状態にするための前記対象充電設備の前記可動部の上昇制御の開始時刻を推定し、推定された前記開始時刻から前記到達時刻までの間に前記対象車両が走行する距離を前記第1距離として設定する、請求項4に記載の充電設備の管理装置。
【請求項6】
前記可動部には、照明装置が設けられ、
前記管理装置は、
前記残容量が前記しきい値よりも大きい場合、取得された前記位置が前記対象充電設備から前記第1距離よりも短い第2距離以内の位置であるときに、前記対象充電設備に対して前記可動部の上昇を要求
し、
前記残容量が前記しきい値よりも小さい場合、取得された前記位置が前記対象充電設備から前記第1距離以内の位置であるときに、前記対象充電設備に対して前記可動部の上昇と前記照明装置の点灯とを要求する、請求項4または5に記載の充電設備の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載の蓄電装置を充電する可動式の充電設備の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される蓄電装置を充電するための充電設備は、車両等の外部の駐車場や歩道に設置されるが、設置スペースを占有するため、歩行や車両の走行の妨げになる場合がある。そのため、充電設備を可動式とし、たとえば、地面下に収納させる技術が公知である。
【0003】
たとえば、特開2011-109807号公報(特許文献1)には、地面から立ち上がった状態になることができるとともに、地面下に収納された状態になるよう昇降可能に設置される充電用ポールが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような昇降可能な可動式の充電設備が地面下に収納された状態である場合には、当該充電設備を利用しようとしている、車両を運転中のユーザにとっては、利用対象の充電設備の正確な位置が確認できない場合がある。そのため、たとえば、車両に搭載されるバッテリの残量が少なく速やかな充電をユーザが希望している場合において、利用対象の充電設備を発見し、充電設備を地面から立ち上がった状態にするまでに時間を要し、充電設備を利用するまでに時間がかかるため、充電設備の利便性が損なわれる可能性がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、利用対象の充電設備を容易に発見し、速やかに利用可能とする充電設備および充電設備の管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に係る充電設備は、地面に形成された凹部の底面に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備である。この充電設備は、蓄電装置と接続可能な接続機器を含む可動部と、可動部が地面下に収納された第1状態と、可動部が地面上に露出し、蓄電装置と接続機器との接続が可能な第2状態との間で可動部を昇降させる昇降装置と、充電設備の外部の機器との通信が可能な通信装置と、通信装置を経由して受信した情報を用いて昇降装置を制御する制御装置とを備える。制御装置は、通信装置を用いて充電対象となる対象車両の位置と蓄電装置の残容量とを取得する。制御装置は、残容量がしきい値よりも小さく、かつ、取得された位置が充電設備から第1距離以内の位置である場合に、可動部が上昇するように昇降装置を制御する。
【0008】
このようにすると、残容量がしきい値よりも小さく、対象車両の位置が充電設備から第1距離以内の位置になると、可動部が上昇するため、ユーザが利用対象の充電設備を発見しやすくなるとともに、利用対象の充電設備に到達してから可動部を上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0009】
ある実施の形態においては、第1距離は、対象車両から充電設備が視認可能であって、かつ、対象車両が充電設備に到着するまでに可動部が第2状態となることが可能になるように設定される。
【0010】
このようにすると、ユーザが利用対象の充電設備を発見しやすくなるとともに、利用対象の充電設備に到達してから可動部を上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0011】
さらにある実施の形態においては、制御装置は、残容量がしきい値よりも大きい場合、取得された位置が充電設備から第1距離よりも短い第2距離以内の位置であるときに、可動部が上昇するように昇降装置を制御する。
【0012】
このようにすると、可動部が第2状態となる期間を不必要に長くなることを抑制しつつ、ユーザが利用対象の充電設備を発見しやすくなるとともに、利用対象の充電設備に到達してから可動部を上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0013】
本開示の他の局面に係る充電設備の管理装置は、地面に形成された凹部の底面に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の複数の充電設備の動作を管理する管理装置である。充電設備は、蓄電装置と接続可能な接続機器を含む可動部と、可動部が地面下に収納された第1状態と、可動部が地面上に露出し、蓄電装置と接続機器との接続が可能な第2状態との間で可動部を昇降させる昇降装置と、管理装置との通信が可能な通信装置と、通信装置を経由して受信した情報を用いて昇降装置を制御する制御装置とを備える。管理装置は、複数の充電設備のうちのいずれかの対象充電設備の充電対象となる対象車両の位置と、対象車両に搭載される蓄電装置の残容量とを取得する。管理装置は、対象車両の残容量がしきい値よりも小さく、かつ、対象車両の位置が対象充電設備から第1距離以内の位置である場合に、対象充電設備に対して可動部の上昇を要求する。
【0014】
このようにすると、残容量がしきい値よりも小さく、対象車両の位置が対象充電設備から第1距離以内の位置になると、可動部が上昇するため、ユーザが対象充電設備を発見しやすくなるとともに、対象充電設備に到達してから可動部を上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0015】
ある実施の形態においては、第1距離は、対象車両から対象充電設備が視認可能であって、かつ、対象車両が対象充電設備に到着するまでに可動部が第2状態となることが可能になるように設定される。
【0016】
このようにすると、ユーザが対象充電設備を発見しやすくなるとともに、対象充電設備に到達してから可動部を上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0017】
さらにある実施の形態においては、管理装置は、残容量がしきい値よりも大きい場合、取得された位置が対象充電設備から第1距離よりも短い第2距離以内の位置であるときに、対象充電設備に対して可動部の上昇を要求する。
【0018】
このようにすると、可動部が第2状態となる期間を不必要に長くなることを抑制しつつ、ユーザが対象充電設備を発見しやすくなるとともに、対象充電設備に到達してから可動部を上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によると、利用対象の充電設備を容易に発見し、速やかに利用可能とする充電設備および充電設備の管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】電動車両と、可動部が地面下に収納された状態の充電スタンドとの構成の一例を示す図である。
【
図2】電動車両と、可動部が地面上に露出した状態の充電スタンドとの構成の一例を示す図である。
【
図3】充電スタンドと駐車スペースとのレイアウトの一例を示す図である。
【
図4】充電スタンドと駐車スペースとのレイアウトの他の一例を示す図である。
【
図5】充電スタンドの制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】走行中の電動車両200と利用対象の充電スタンド300との位置関係を示す図である。
【
図7】変形例における充電スタンドの制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例における管理サーバで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】変形例における管理サーバで実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
以下では、本開示の実施の形態に係る充電設備である充電スタンド300の構成を一例として説明する。
図1は、電動車両200と、可動部300a(後述)が地面下に収納された状態の充電スタンド300との構成の一例を示す図である。
図2は、電動車両200と、可動部300aが地面上に露出した状態の充電スタンド300との構成の一例を示す図である。
【0023】
図1および
図2に示すように、充電スタンド300は、上端の位置が地面と略同じ位置となり、可動部300aが地面下に収納された第1状態(
図1参照)と、上端が地面上の所定位置まで上昇し、可動部300aが露出した第2状態(
図2参照)との間で昇降可能に構成される。
【0024】
充電スタンド300は、たとえば、円筒形状の筐体を有し、地面に形成される凹部の底面に設置される。地面に形成される凹部は、充電スタンド300の筐体の外周面と所定の間隙を有するように形成され、深さが第1状態の充電スタンド300の鉛直方向の長さと同程度になるように形成される。
【0025】
充電スタンド300は、可動部300aと、固定部300bとを含む。可動部300aの上部には、コネクタ302を収納可能な収納スペースが形成される。コネクタ302には、他方端が電源350に接続されるケーブル304の一方端が接続される。電源350は、たとえば、商用電源等によって構成される交流電源である。ケーブル304は、たとえば、カール部を有する形状的な伸縮部あるいは巻き取り構造を有する構造的な伸縮部を有し、コネクタ302が持ち出された場合には、駐車スペースに駐車された電動車両200のインレット220まで伸縮可能に構成される。
【0026】
固定部300bは、地面に形成される凹部の底面に固定される。なお、固定部300bは、地面に形成される凹部内のいずれかに固定されればよく、特に凹部の底面に固定されることに限定されるものではない。
【0027】
固定部300bは、可動部300aを上下方向に昇降する昇降装置306と、昇降装置306の動作を制御する制御装置308とを含む。
【0028】
昇降装置306は、可動部300aを昇降させるアクチュエータを含む。昇降装置306は、たとえば、可動部300aに固定されたラックギヤに噛み合わされたピニオンギヤを電動アクチュエータを用いて回転させることにより可動部300aを昇降させる、ラックピニオン式の機構を有していてもよいし、ピストンに接続されるロッドを可動部300aに固定して、固定部300bに固定されるシリンダ本体に供給される油圧を増減することにより可動部300aを昇降させる、油圧シリンダを用いた機構を有していてもよいし、可動部300aと固定部300bとの間で磁力による反発力を発生させて可動部300aを昇降させる機構を有していてもよい。
【0029】
昇降装置306は、たとえば、ストッパ機構等により可動部300aが第1状態に相当する位置を超えて下降しないように構成され、また、第2状態に相当する位置を超えて上昇しないように構成される。
【0030】
制御装置308は、CPU(Central Processing Unit)308aと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等によって構成されるメモリ308bと、外部の機器の通信可能な通信部308cとを含む。制御装置308は、メモリ308bに記憶された情報や、通信部308cを経由して受信した情報やその他図示しないセンサ類から取得した情報に基づいて充電スタンド300に設けられる電気機器(たとえば、昇降装置306)を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理をCPU300aによって実行する構成に限られず、専用ハードウェア(電子回路)で構築する構成とすることも可能である。
【0031】
通信部308cは、充電スタンド300の外部の機器と各種情報等を通信可能に構成される。
図1および
図2には、通信装置204と通信部308cと管理サーバ600とが通信可能であることが一例として示される。
【0032】
通信部308cは、たとえば、有線通信により管理サーバ600と通信可能に構成されてもよい。また、通信部308cは、たとえば、無線通信により通信装置204および管理サーバ600と通信可能に構成されてもよい。
【0033】
制御装置308は、たとえば、上昇制御の実行条件が成立する場合に、充電スタンド300が第1状態から第2状態に切り替わるように昇降装置306における上昇制御を実行する。上昇制御の実行条件は、たとえば、充電スタンド300が第1状態であるという条件と、充電スタンド300おける上昇制御の実行要求(以下、上昇要求と記載する場合がある)があるという条件とを含む。制御装置308は、たとえば、充電スタンド300で充電を行なうユーザが所有する携帯端末(図示せず)から上昇要求を示す情報を受信するようにしてもよいし、外部の機器からの情報に基づいて上昇要求の有無を判定してもよい。
【0034】
あるいは、制御装置308は、たとえば、下降制御の実行条件が成立する場合に、充電スタンド300が第2状態から第1状態に切り替わるように昇降装置306における下降制御を実行する。下降制御の実行条件は、たとえば、充電スタンド300が第2状態であるという条件と、充電スタンド300における下降制御の実行要求(以下、下降要求と記載する)があるという条件とを含む。制御装置308は、たとえば、携帯端末から下降要求を示す情報を受信するようにしてもよいし、外部の機器からの情報に基づいて下降要求の有無を判定してもよい。
【0035】
管理サーバ600は、制御装置と、通信装置と、記憶装置(いずれも図示せず)とを含む。管理サーバ600の制御装置は、CPUおよびメモリ等によって構成される。管理サーバ600の通信装置は、通信ネットワークを介して、あるいは、直接的に充電スタンド300、あるいは、携帯端末などのその他の機器と通信可能に構成される。管理サーバ600の記憶装置には、所定の情報が記憶される。管理サーバ600の制御装置は、電動車両200や充電スタンド300から通信装置を経由して所定の情報を受信したり、受信した情報の一部または全部を記憶装置に記憶したりする。
【0036】
図1および
図2には、充電スタンド300によって充電が可能な駐車スペースに駐車される電動車両200の構成の一例がさらに示されている。
図1および
図2に示すように、電動車両200は、たとえば、プラグインハイブリッド自動車および電気自動車などの蓄電装置を搭載した車両が含まれる。なお、電動車両200の構成は、充電スタンド300から電力供給を受けることが可能な構成を有していればよく、特に上述のように列挙した車両に限定されるものではなく、たとえば、外部給電用の蓄電装置を搭載した車両であってもよい。
【0037】
電動車両200は、ECU(Electronic Control Unit)202と、通信装置204と、位置検出装置206と、充電器212と、バッテリ214と、インバータ216と、モータジェネレータ218と、インレット220とを含む。
【0038】
ECU202は、CPUと、ROMやRAM等によって構成されるメモリとを含む。ECU202は、メモリに記憶された情報や、センサ類(たとえば、後述する位置検出装置206、電圧センサ224、電流センサ226あるいは温度センサ228)から取得した情報に基づいて電動車両200に設けられる電気機器(たとえば、通信装置204、充電器212あるいはインバータ216)を制御する。
【0039】
通信装置204は、電動車両200の外部の機器と各種情報等を通信可能に構成される。通信装置204は、たとえば、管理サーバ600と通信可能に構成されるとともに、充電スタンド300と通信可能に構成される。なお、通信装置204は、携帯端末と通信可能に構成されてもよい。
【0040】
位置検出装置206は、たとえば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(電波)に基づいて電動車両200の現在地を取得し、電動車両200の現在地を示す信号をECU202へ出力する。なお、電動車両200の現在地を取得する方法としては、GPS衛星以外で位置検出が可能な衛星等を利用して現在地を取得する方法であってもよいし、あるいは、携帯基地局や無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントとの所定情報の授受により現在地を取得する方法であってもよい。
【0041】
充電器212は、インレット220から交流電力が供給される場合に、供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリ214に供給する。充電器212が動作することによってバッテリ214が充電される。充電器212は、たとえば、ECU202からの制御信号により制御される。
【0042】
バッテリ214は、たとえば、再充電可能に構成された電力貯蔵要素であり、代表的には、ニッケル水素電池あるいは液体または固体の電解質を含むリチウムイオン電池等の二次電池が適用される。あるいは、バッテリ214は、電力を貯蔵できる蓄電装置であればよく、たとえば、バッテリ214に代えて大容量のキャパシタが用いられてもよい。
【0043】
インバータ216は、たとえば、バッテリ214の直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ218に供給する。また、インバータ216は、たとえば、モータジェネレータ218から交流電力(回生電力)を直流電力に変換してバッテリ214に供給して、バッテリ214を充電する。
【0044】
モータジェネレータ218は、インバータ216からの電力供給を受けて駆動輪222に回転力を与える。駆動輪222は、モータジェネレータ218によって与えられた回転力によって回転し、電動車両200を走行させる。
【0045】
インレット220は、電動車両200の外装部分にリッド等のカバー(図示せず)とともに設けられる。インレット220は、外部の充電設備(たとえば、充電スタンド300)から充電電力の供給を受ける受電部である。インレット220は、充電スタンド300のコネクタ302が取り付け可能な形状を有する。インレット220およびコネクタ302の双方には接点が内蔵されており、インレット220にコネクタ302が取り付けられると接点同士が接触して、インレット220とコネクタ302とが電気的に接続される。このとき、電動車両200のバッテリ214は、充電スタンド300から供給される電力を用いた充電が可能な状態になる。
【0046】
ECU202には、電圧センサ224と、電流センサ226と、温度センサ228とが接続される。
【0047】
電圧センサ224は、バッテリ214の電圧VBを検出し、検出した電圧VBを示す信号をECU202に送信する。電流センサ226は、バッテリ214の電流IBを検出し、検出した電流IBを示す信号をECU202に送信する。温度センサ228は、バッテリ214の温度TBを検出し、検出した温度TBを示す信号をECU202に送信する。
【0048】
ECU202は、たとえば、電動車両200の運転中に、電圧センサ224、電流センサ226および温度センサ228による検出結果を用いてバッテリ214の残容量を示すSOC(State Of Charge)を算出する。SOCは、バッテリ214の満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を百分率で表したものである。なお、SOCの算出方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、または、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法など、種々の公知の手法を採用できる。
【0049】
充電スタンド300は、駐車場内の複数の駐車スペースに隣接する歩道や、道路に設定された複数の駐車スペースに隣接する歩道等に設置される場合がある。
図3は、充電スタンド300と駐車スペース400とのレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すように、駐車場内において複数箇所の駐車スペース400が仕切り線402によって横並びに設定される場合には、各駐車スペース400に隣接した位置に充電スタンド300が設置される。
図3には、駐車スペース400の長手方向の一方端(
図3の紙面右側)に歩道500が設けられる構成が一例として示される。この場合、充電スタンド300は、歩道500に沿って設置されることとなる。複数の駐車スペース400のいずれかに電動車両200を駐車する場合であって、充電スタンド300が第2状態である場合には、ユーザは、充電スタンド300からコネクタ302を持ち出して電動車両200のインレット220に接続する。
【0050】
図4は、充電スタンド300と駐車スペース410とのレイアウトの他の一例を示す図である。
図4に示すように、道路に沿って複数箇所の駐車スペース410が仕切り線412により縦列方向に設定される場合にも、各駐車スペース410に隣接した位置に充電スタンド300が設置される。
図4には、歩道510に沿って駐車スペース410が設定される構成が一例として示される。この場合、充電スタンド300は、歩道510に沿って設置されることとなる。複数の駐車スペース410のいずれかに電動車両200を駐車する場合であって、充電スタンド300が第2状態である場合には、ユーザは、直近の充電スタンド300からコネクタ302を持ち出して電動車両200のインレット220に接続する。
【0051】
上述のような昇降可能な可動式の充電スタンド300が地面下に収納された第1状態である場合には、当該充電スタンド300を利用しようとしている、電動車両200を運転中のユーザにとっては、利用対象の充電スタンド300の正確な位置が確認できない場合がある。そのため、たとえば、電動車両200に搭載されるバッテリ214の残量が少なく速やかな充電をユーザが希望している場合において、利用対象の充電スタンド300を発見し、充電スタンド300を第2状態にするまでに時間を要し、充電スタンド300を利用するまでに時間がかかるため、充電スタンド300の利便性が損なわれる可能性がある。
【0052】
そこで、本実施の形態においては、充電スタンド300の制御装置308は、充電対象となる対象車両のバッテリ214のSOCがしきい値よりも小さく、かつ、対象車両の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置である場合に、充電スタンド300の可動部300aが上昇するように昇降装置306を制御するものとする。
【0053】
このようにすると、ユーザが利用対象の充電スタンド300を発見しやすくなるとともに、利用対象の充電スタンド300に到達してから可動部300aを上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0054】
以下、
図5を参照して、制御装置308で実行される制御処理の一例について説明する。
図5は、充電スタンド300の制御装置308で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0055】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、制御装置308は、充電要求を受信したか否かを判定する。制御装置308は、たとえば、充電要求を受信したときにオン状態に設定されるフラグに基づいて充電要求を受信したか否かを判定する。制御装置308は、たとえば、当該フラグがオン状態である場合に充電要求を受信したと判定する。充電要求は、電動車両200または管理サーバ600からの充電の要求を示す。
【0056】
電動車両200のECU202は、たとえば、ユーザによって目的地が設定されると、目的地周辺の利用可能な充電スタンド300を特定する動作を行なう。あるいは、ECU202は、たとえば、ユーザによって利用可能な充電スタンド300を検索するための所定の操作が行なわれると、電動車両200の周辺の利用可能な充電スタンド300を特定する動作を行なう。
【0057】
ECU202による利用可能な充電スタンド300を特定する動作は、たとえば、目的地あるいは電動車両200を中心として所定の範囲内の利用可能な充電スタンド300を管理サーバ600に問い合わせるなどして検索することにより行なわれる。ECU202は、検索結果から中心から直近の利用可能な充電スタンド300を特定する。ECU202は、特定された充電スタンド300との間で通信を確立した後に特定された充電スタンド300に対して充電要求を送信する。
【0058】
あるいは、ECU202は、たとえば、ユーザによって目的地が設定されると、設定された目的地の位置情報を管理サーバ600に送信する。あるいは、ECU202は、たとえば、ユーザによって利用可能な充電スタンド300を検索するための操作が行なわれると、電動車両200の位置情報を管理サーバ600に送信する。
【0059】
管理サーバ600は、たとえば、目的地あるいは電動車両200を中心として所定の範囲内の利用可能な充電スタンド300を検索する。管理サーバ600は、検索結果から中心から直近の利用可能な充電スタンド300を特定する。管理サーバ600は、特定された充電スタンド300との間で通信を確立した後に特定された充電スタンド300に対して充電要求を送信する。
【0060】
充電要求を受信したと判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0061】
S102にて、制御装置308は、充電対象の電動車両200の位置情報とSOCとを要求する。制御装置308は、たとえば、充電要求の送信元(電動車両200または管理サーバ600)に対して電動車両200の位置情報とSOCとを要求するための要求情報を送信する。
【0062】
制御装置308は、たとえば、電動車両200から充電要求を受信した場合には、送信元の電動車両200に対して要求情報を送信する。あるいは、制御装置308は、管理サーバ600から充電要求を受信した場合には、送信元の管理サーバ600に対して充電対象の電動車両200の位置情報とSOCとを要求する要求情報を送信する。管理サーバ600は、充電スタンド300から要求情報を受信すると、充電対象の電動車両200に対して位置情報とSOCとを要求する要求情報を送信する。
【0063】
電動車両200のECU202は、要求情報を受信した場合に、位置検出装置206を用いて電動車両200の位置情報を取得するとともに、バッテリ214の電流IB、電圧VBおよび温度TBを用いてSOCを取得する。ECU202は、取得した位置情報とSOCとを充電スタンド300に送信する。このとき、位置情報とSOCとは管理サーバ600を経由して充電スタンド300に送信されてもよい。
【0064】
S104にて、制御装置308は、充電対象の電動車両200の位置情報およびSOCを受信するか否かを判定する。制御装置308は、充電対象の電動車両200から位置情報およびSOCを受信してもよいし、あるいは、管理サーバ600を経由して受信してもよい。充電対象の電動車両200の位置情報およびSOCを受信すると判定される場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。
【0065】
S106にて、制御装置308は、充電対象の電動車両200に搭載されるバッテリ214のSOCがしきい値Aよりも小さいか否かを判定する。しきい値Aは、たとえば、予め定められた値であって、バッテリ214の充電を要するか否か(すなわち、バッテリ214の蓄電量が枯渇しているか否か)を判定するための値である。SOCがしきい値Aよりも小さいと判定される場合(S106にてYES)、処理はS108に移される。
【0066】
S108にて、制御装置308は、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置であるか否かを判定する。第1距離は、たとえば、充電対象となる電動車両200から充電スタンド300が視認可能であって、かつ、充電対象の電動車両200が充電スタンド300に到達するまでに可動部300aが第2状態となることが可能になるように設定される。第1距離として、たとえば、予め定められた値が設定されてもよいし、あるいは、制御装置308は、たとえば、電動車両200の走行状態から充電スタンド300に到達する到達時刻を推定し、推定された到達時刻において可動部300aが第2状態になるようにするための上昇制御の開始時刻を推定し、推定された開始時刻から到達時刻までの間に電動車両200が走行する距離を第1距離として設定してもよい。充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置であると判定される場合(S108にてYES)、処理はS110に移される。
【0067】
S110にて、制御装置308は、上昇制御を実行する。制御装置308は、可動部300aが第2状態に相当する位置まで上昇するように昇降装置306を制御する。制御装置308は、このとき、上記したフラグをオフ状態に設定する。
【0068】
なお、充電要求を受信していないと判定される場合(S100にてNO)、充電対象の電動車両200に搭載されるバッテリ214のSOCがしきい値A以上であると判定される場合(S106にてNO)、あるいは、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置でないと判定される場合(S108にてNO)、この処理は終了される。さらに、位置情報およびSOCを受信していないと判定される場合(S104にてNO)、処理はS102に戻される。
【0069】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る充電設備である充電スタンド300の制御装置308の動作の一例について
図6を参照しつつ説明する。
図6は、走行中の電動車両200と利用対象の充電スタンド300との位置関係を示す図である。
図6の斜線の円領域が利用対象の充電スタンド300を示している。
【0070】
たとえば、電動車両200の走行開始前に目的地が設定され、目的地周辺において利用可能な充電スタンド300が特定された場合を想定する。電動車両200のECU202は、利用可能な充電スタンド300が特定されると、特定された充電スタンド300との通信が確立した後に充電要求を送信する。
【0071】
充電対象となる電動車両200からの充電要求を受信すると(S100にてYES)、送信元の電動車両200に対して位置情報およびSOCが要求される(S102)。充電対象となる電動車両200のECU202は、位置情報およびSOCの要求に応じて位置検出装置206から電動車両200の位置に関する情報を取得するとともに、バッテリ214の電流IB、電圧VBおよび温度TBとを用いてSOCを取得し、取得した位置情報とSOCとを利用対象の充電スタンド300に送信する。
【0072】
充電対象となる電動車両200から位置情報およびSOCを受信すると(S104にてYES)、受信したSOCがしきい値Aよりも小さいか否かが判定される(S106)。そして、SOCがしきい値Aよりも小さい場合には(S106にてYES)、電動車両200の位置が利用対象の充電スタンド300から第1距離以内の位置であるか否かが判定される(S108)。
【0073】
電動車両200の位置が利用対象の充電スタンド300から第1距離よりも遠くの位置である場合には(S108にてNO)、利用対象の充電スタンド300は、第1状態を維持する。
【0074】
一方、
図6に示すように、電動車両200が充電スタンド300に近づくことで、電動車両200の位置が利用対象の充電スタンド300から第1距離以内の位置になると(S108にてYES)、上昇制御が実行される(S110)。そのため、利用対象の充電スタンド300の可動部300aが第2状態になるように昇降装置306が制御される。
【0075】
そのため、電動車両200が充電スタンド300に到着する時点において可動部300aが第2状態になる。
【0076】
以上のようにして、本実施の形態に係る充電設備である充電スタンド300によると、SOCがしきい値Aよりも小さく、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置になると、充電スタンド300の可動部300aが上昇するように昇降装置306が制御される。第1距離は、充電対象の電動車両200から充電スタンド300が視認可能であって、かつ、充電対象の電動車両200が充電スタンド300に到着するまでに充電スタンド300の可動部300aが第2状態となることが可能になるように設定される。そのため、ユーザが利用対象の充電スタンド300を発見しやすくなるとともに、利用対象の充電スタンド300に到達してから可動部300aを上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。したがって、利用対象の充電設備を容易に発見し、速やかに利用可能とする充電設備を提供することができる。
【0077】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、電源350は、交流電源であるとして説明したが、電源350は、直流電源であってもよい。この場合において、電動車両200は、たとえば、充電器212を省略した構成であってもよい。
【0078】
さらに上述の実施の形態では、充電スタンド300の筐体は、円筒形状を有する場合を一例として説明したが、特に昇降動作が可能な形状であればよく、特に円筒形状に限定されるものではない。たとえば、充電スタンド300の筐体は、直方形状を有していてもよい。
【0079】
さらに上述の実施の形態では、充電スタンド300の制御装置308において、SOCがしきい値Aよりも小さく、かつ、車両の位置が第1距離以内である場合に、上昇制御を実行するものとして説明したが、可動部300aの上端や可動部300aの外周に照明装置を設けておき、上昇制御を実行するとともに照明装置を点灯させるようにしてもよいし、あるいは、スピーカ等を設けておき、上昇制御を実行するとともにスピーカから所定の音や音声等を発生させるようにしてもよい。
【0080】
このようにすると、さらにユーザが利用対象の充電スタンド300を発見しやすくすることができる。
【0081】
さらに上述の実施の形態では、電動車両200や管理サーバ600から充電対象の電動車両200の位置情報やバッテリ214のSOCを受信するものとして説明したが、たとえば、充電スタンド300の制御装置308は、ユーザが所有する携帯端末から充電対象の電動車両200の位置情報やバッテリ214のSOCを受信してもよい。携帯端末は、たとえば、電動車両200から取得した位置情報とSOCとを充電スタンド300や管理サーバ600に送信してもよい。
【0082】
さらに上述の実施の形態では、第1距離は、対象車両から充電スタンド300が視認可能であって、かつ、対象車両が充電設備に到着するまでに可動部300aが第2状態となることが可能になるように設定されるものとして説明したが、たとえば、第1距離を予め定められた値とし、対象車両が充電設備に到着する時点で可動部300aが第2状態となるように対象車両の走行状態に応じて(たとえば、対象車両の走行速度に応じて)可動部300aの上昇速度を変化させるようにしてもよい。
【0083】
さらに上述の実施の形態では、充電スタンド300の制御装置308において、SOCがしきい値Aよりも小さく、かつ、車両の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置である場合に、上昇制御が実行されるものとして説明したが、たとえば、SOCがしきい値A以上である場合には、車両の位置が第1距離よりも短い第2距離以内である場合に、上昇制御が実行されてもよい。
【0084】
以下、
図7を参照して、変形例において充電スタンド300の制御装置308で実行される制御処理の一例について説明する。
図7は、変形例における充電スタンド300の制御装置308で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0085】
なお、
図7のフローチャートのS100,S102,S104,S106,S108およびS110の処理は、
図5のフローチャートのS100,S102,S104,S106,S108およびS110の処理と比較して、以下に説明する場合を除き、それぞれ同じ処理である。そのため、それらの詳細な説明は繰り返さない。
【0086】
S106にて、バッテリ214のSOCがしきい値A以上であると判定される場合(S106にてNO)、処理はS150に移される。
【0087】
S150にて、制御装置308は、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置であるか否かを判定する。第2距離は、第1距離よりも短い距離である。第2距離は、第1距離よりも短い距離であればよく、たとえば、予め定められた距離であってもよいし、あるいは、第1距離から予め定め距離を減算した距離であってもよい。充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置であると判定される場合(S150にてYES)、処理はS110に移される。なお、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置でないと判定される場合(S150にてNO)、この処理は終了される。
【0088】
このようにすると、SOCがしきい値A以上であって(S106にてNO)、かつ、車両の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置である場合には(S150にてYES)、上昇制御が実行される(S110)。その結果、利用対象の充電スタンド300の可動部300aが第2状態になるように昇降装置306が制御される。
【0089】
そのため、可動部300aが第2状態となる期間を不必要に長くなることを抑制しつつ、ユーザが利用対象の充電スタンド300を発見しやすくなるとともに、利用対象の充電スタンド300に到達してから可動部300aを上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0090】
さらに上述の実施の形態では、充電スタンド300の制御装置308において、SOCがしきい値Aよりも小さく、かつ、車両の位置が利用対象の充電スタンド300から第1距離以内の位置であるか否かが判定されるものとして説明したが、制御装置308に代えて管理サーバ600において判定されるようにしてもよい。
【0091】
以下、
図8を参照して、変形例において管理サーバ600で実行される制御処理の一例について説明する。
図8は、変形例における管理サーバ600で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0092】
S200にて、管理サーバ600は、充電要求を受信したか否かを判定する。管理サーバ600は、たとえば、充電要求を受信したときにオン状態に設定されるフラグに基づいて充電要求を受信したか否かを判定する。管理サーバ600は、たとえば、当該フラグがオン状態である場合に充電要求を受信したと判定する。充電要求は、電動車両200からの充電の要求を示す。
【0093】
電動車両200のECU202は、たとえば、ユーザによって目的地が設定されると、目的地の位置情報とともに、管理サーバ600に対して充電要求を送信する。あるいは、ECU202は、ユーザによって充電を要求するための所定の操作が行なわれると、電動車両200の位置情報とともに、管理サーバ600に対して充電要求を送信する。
【0094】
充電要求を受信したと判定される場合(S200にてYES)、処理はS202に移される。
【0095】
S202にて、管理サーバ600は、利用可能な充電スタンドを特定する。管理サーバ600は、たとえば、目的地あるいは電動車両200を中心として所定の範囲内の利用可能な充電スタンド300を検索する。管理サーバ600は、たとえば、検索結果から中心から直近の利用可能な充電スタンド300を特定する。
【0096】
S204にて、管理サーバ600は、特定した充電スタンド300の位置情報を電動車両200に送信する。電動車両200のECU202は、たとえば、特定された充電スタンド300の位置情報を用いてナビゲーションシステムにおける目的地を特定された充電スタンド300に設定してもよい。特定した充電スタンド300の位置情報については、予め管理サーバ600の記憶装置に記憶されていてもよいし、あるいは、特定した充電スタンド300から取得されてもよい。
【0097】
S206にて、管理サーバ600は、充電対象の電動車両200の位置情報とSOCとを要求する。管理サーバ600は、たとえば、充電要求の送信元である電動車両200に対して位置情報とSOCとを要求する要求情報を送信する。
【0098】
電動車両200のECU202は、管理サーバ600から要求情報を受信した場合に、位置検出装置206を用いて電動車両200の位置情報を取得するとともに、バッテリ214の電流IB、電圧VBおよび温度TBを用いてSOCを取得する。ECU202は、取得した位置情報とSOCとを管理サーバ600に送信する。
【0099】
S208にて、管理サーバ600は、充電対象の電動車両200の位置情報およびSOCを受信するか否かを判定する。充電対象の電動車両200の位置情報およびSOCを受信すると判定される場合(S208にてYES)、処理はS210に移される。
【0100】
S210にて、管理サーバ600は、充電対象の電動車両200に搭載されるバッテリ214のSOCがしきい値Aよりも小さいか否かを判定する。しきい値Aについては、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。SOCがしきい値Aよりも小さいと判定される場合(S210にてYES)、処理はS212に移される。
【0101】
S212にて、管理サーバ600は、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置であるか否かを判定する。第1距離については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置であると判定される場合(S212にてYES)、処理はS214に移される。
【0102】
S214にて、管理サーバ600は、充電スタンド300の可動部300aの上昇を要求する。管理サーバ600は、充電スタンド300に対して上昇要求を示す情報を送信する。充電スタンド300は、管理サーバ600からの上昇要求に応じて上昇制御を実行する。このとき、制御装置308は、可動部300aが第2状態に相当する位置まで上昇するように昇降装置306を制御する。管理サーバ600は、このとき、上記したフラグをオフ状態に設定する。
【0103】
なお、充電要求を受信していないと判定される場合(S200にてNO)、充電対象の電動車両200に搭載されるバッテリ214のSOCがしきい値Aよりも小さいと判定される場合(S210にてNO)、あるいは、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置でないと判定される場合(S212にてNO)、この処理は終了される。さらに、位置情報およびSOCを受信していないと判定される場合(S208にてNO)、処理はS206に戻される。
【0104】
以上のようなフローチャートに基づく変形例における充電スタンド300の管理装置である管理サーバ600の動作の一例について説明する。
【0105】
たとえば、電動車両200の走行開始前に目的地が設定され、目的地の位置情報とともに充電要求が管理サーバ600に送信された場合を想定する。
【0106】
充電対象となる電動車両200からの充電要求を受信すると(S200にてYES)、目的地周辺の利用可能な充電スタンド300が特定され(S202)、特定された充電スタンドの位置情報が電動車両200に送信されるとともに(S204)、位置情報およびSOCが要求される(S206)。
【0107】
充電対象となる電動車両200のECU202は、位置情報およびSOCの要求に応じて位置検出装置206から電動車両200の位置に関する情報を取得するとともに、バッテリ214の電流IB、電圧VBおよび温度TBとを用いてSOCを取得し、取得した位置情報とSOCとを管理サーバ600に送信する。
【0108】
充電対象となる電動車両200から位置情報およびSOCを受信すると(S208にてYES)、受信したSOCがしきい値Aよりも小さいか否かが判定される(S210)。そして、SOCがしきい値Aよりも小さい場合には(S210にてYES)、充電対象となる電動車両200の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置であるか否かが判定される(S212)。
【0109】
充電対象となる電動車両200の位置が利用対象の充電スタンド300から第1距離もより遠くの位置である場合には(S212にてNO)、利用対象の充電スタンド300は、第1状態を維持する。
【0110】
一方、電動車両200が充電スタンド300に近づくことで、電動車両200の位置が利用対象の充電スタンド300から第1距離以内の位置になると(S212にてYES)、充電スタンド300に対して可動部300aの上昇が要求される(S214)。そのため、充電スタンド300の可動部300aが第2状態になるように昇降装置306が制御される。
【0111】
このようにしても、ユーザが利用対象の充電スタンド300を発見しやすくなるとともに、電動車両200が利用対象の充電スタンド300に到達してから可動部300aを上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。したがって、利用対象の充電設備を容易に発見し、速やかに利用可能とする充電設備の管理装置を提供することができる。
【0112】
さらに上述の変形例では、管理サーバ600において、SOCがしきい値Aよりも小さく、かつ、車両の位置が充電スタンド300から第1距離以内の位置である場合に、充電スタンド300に対して可動部300aの上昇が要求されるものとして説明したが、たとえば、SOCがしきい値A以上である場合には、車両の位置が第1距離よりも短い第2距離以内である場合に、充電スタンド300に対して可動部300aの上昇が要求されてもよい。
【0113】
以下、
図9を参照して、変形例において管理サーバ600で実行される制御処理の他の一例について説明する。
図9は、変形例における管理サーバ600で実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0114】
なお、
図9のフローチャートのS200,S202,S204,S206,S208,S210,S212およびS214の処理は、
図8のフローチャートのS200,S202,S204,S206,S208,S210,S212およびS214の処理と比較して、以下に説明する場合を除き、それぞれ同じ処理である。そのため、それらの詳細な説明は繰り返さない。
【0115】
S210にて、バッテリ214のSOCがしきい値A以上であると判定される場合(S210にてNO)、処理はS250に移される。
【0116】
S250にて、管理サーバ600は、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置であるか否かを判定する。第2距離については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置であると判定される場合(S250にてYES)、処理はS214に移される。なお、充電対象の電動車両200の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置でないと判定される場合(S250にてNO)、この処理は終了される。
【0117】
このようにすると、SOCがしきい値A以上であって(S210にてNO)、かつ、車両の位置が充電スタンド300から第2距離以内の位置である場合には(S250にてYES)、充電スタンド300に対して可動部300aの上昇が要求される(S110)。その結果、利用対象の充電スタンド300の可動部300aが第2状態になるように昇降装置306が制御される。
【0118】
そのため、可動部300aが第2状態となる期間を不必要に長くなることを抑制しつつ、ユーザが利用対象の充電スタンド300を発見しやすくなるとともに、利用対象の充電スタンド300に到達してから可動部300aを上昇させる場合と比較して、早期に充電を開始することができる。
【0119】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
200 電動車両、202 ECU、204 通信装置、206 位置検出装置、212 充電器、214 バッテリ、216 インバータ、218 モータジェネレータ、220 インレット、222 駆動輪、224 電圧センサ、226 電流センサ、228 温度センサ、300 充電スタンド、300a 可動部、300b 固定部、302 コネクタ、304 ケーブル、306 昇降装置、308 制御装置、308a CPU、308b メモリ、308c 通信部、350 電源、400,410 駐車スペース、402,412 仕切り線、500,510 歩道、600 管理サーバ。