(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】紫外発光装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20240618BHJP
H01L 33/56 20100101ALI20240618BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/56
(21)【出願番号】P 2021039374
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】袴田 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
(72)【発明者】
【氏名】川岡 あや
(72)【発明者】
【氏名】守護 高志
(72)【発明者】
【氏名】松嶌 健史
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健一
(72)【発明者】
【氏名】立花 和也
(72)【発明者】
【氏名】上條 隆明
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/075789(WO,A1)
【文献】特開2016-006832(JP,A)
【文献】特開2014-150221(JP,A)
【文献】特表2014-521206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
紫外発光素子と、
フッ素樹脂層と、
を有し、
前記基板は、
実装面を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極は、
前記基板の前記実装面に接合されており、
前記フッ素樹脂層は、
前記紫外発光素子の前記第2面および前記側面に接しており、
前記フッ素樹脂層は、
前記紫外発光素子の前記第2面を覆う素子被覆部と、
前記基板の前記実装面を覆う基板被覆部と、
を有し、
前記基板被覆部は、
前記実装面の反対側に位置する平坦面を有する平坦部を有し、
前記素子被覆部における前記紫外発光素子の前記第2面から最も離れている点から前記紫外発光素子の前記第2面までの距離が、
前記基板被覆部の前記平坦部の前記平坦面から前記基板の前記実装面までの距離の1.3倍以上5倍以下であること
を含む紫外発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外発光装置において、
前記素子被覆部は、
前記紫外発光素子の前記第2面を覆う第1層と、
前記第1層を覆う第2層と、
を有し、
前記第1層および前記第2層は、
フッ素樹脂であり、
前記基板被覆部は、
前記第1層および前記第2層のうち前記第2層のみで形成されており、
前記第2層は、
前記紫外発光素子の前記側面を直接覆っていること
を含む紫外発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の紫外発光装置において、
前記第1層および前記第2層が、
融合していること
を含む紫外発光装置。
【請求項4】
請求項2に記載の紫外発光装置において、
前記第1層および前記第2層が、
融合していないこと
を含む紫外発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、紫外発光素子を有する紫外発光装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光を発する発光装置においては、基板に実装した半導体発光素子を樹脂で封止する。封止樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂である。これらの樹脂の屈折率は大気の屈折率よりも大きい。そのため、半導体発光素子と封止樹脂との界面における反射が抑制される。つまり、光取り出し効率が高い。
【0003】
近年、紫外発光素子を用いた発光装置が研究開発されてきている。例えば、特許文献1には、紫外発光素子2の上にガラス等のコート膜5を配置し、コート膜5の上にシリコーン樹脂等の封止樹脂4を配置する発光装置が開示されている(特許文献1の段落[0020]-[0029])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、紫外線はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂を変性させる。紫外線により硬化または劣化した樹脂はクラックの原因となる。このため、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂を用いない紫外発光装置が開発されてきている。
【0006】
しかし、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の封止に適した樹脂を用いずに紫外発光素子を封止することは必ずしも容易ではない。また、シリコーン樹脂等を用いない場合には、封止部材の表面が平坦となり光取り出し効率が低下する傾向にある。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、紫外発光素子を封止するとともに光取り出し効率の向上を図った紫外発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における紫外発光装置は、基板と、紫外発光素子と、フッ素樹脂層と、を有する。基板は、実装面を有する。紫外発光素子は、電極を有する第1面と第1面の反対側の第2面と側面とを有する。紫外発光素子の第1面の電極は、基板の実装面に接合されている。フッ素樹脂層は、紫外発光素子の第2面および側面に接している。フッ素樹脂層は、紫外発光素子の第2面を覆う素子被覆部と、基板の実装面を覆う基板被覆部と、を有する。基板被覆部は、実装面の反対側に位置する平坦面を有する平坦部を有する。素子被覆部における紫外発光素子の第2面から最も離れている点から紫外発光素子の第2面までの距離が、基板被覆部の平坦部の平坦面から基板の実装面までの距離の1.3倍以上5倍以下である。
【0009】
この紫外発光装置においては、フッ素樹脂層が、素子被覆部と基板被覆部とを有する。素子被覆部が基板被覆部の膜厚に比べて十分に盛り上がっている。このため、紫外発光素子の第2面から出射される光は紫外発光装置の外部に出る際に反射されにくい。この紫外発光装置の光取り出し効率は高い。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、紫外発光素子を封止するとともに光取り出し効率の向上を図った紫外発光装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態の紫外発光装置100の概略構成図である。
【
図2】第1の実施形態の紫外発光装置100の形状を示す図である。
【
図3】第1の実施形態の紫外発光装置100の製造方法を説明するための図(その1)である。
【
図4】第1の実施形態の紫外発光装置100の製造方法を説明するための図(その2)である。
【
図5】第1の実施形態の紫外発光装置100の製造方法を説明するための図(その3)である。
【
図6】第1の実施形態の紫外発光装置100の製造方法を説明するための図(その4)である。
【
図7】第1の実施形態の変形例における紫外発光装置200の概略構成図である。
【
図8】第1の実施形態の変形例における紫外発光装置300の概略構成図である。
【
図9】第1の実施形態の変形例における紫外発光装置400の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、紫外発光装置とその製造方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。実施形態とは異なる構造を有していても構わない。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、必ずしも実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.紫外発光装置
図1は、第1の実施形態の紫外発光装置100の概略構成図である。
図1に示すように、紫外発光装置100は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂層140と、空気層150と、を有する。紫外発光装置100は、紫外線を発する。
【0014】
基板110は、紫外発光素子120を実装するための基板である。基板110は、実装面110aを有する。実装面110aは、紫外発光素子120を実装するための面である。基板110は、基材111と、回路パターン112、113と、スルーホール114と、を有する。回路パターン112は、基板110の実装面110aの側のパターンである。回路パターン113は、基板110の実装面110aの反対側のパターンである。スルーホール114は、回路パターン112と回路パターン113とを電気的に接続する。スルーホール114は金属で充填されている。実装面110aは、回路パターン112の表面である。
【0015】
紫外発光素子120は、紫外光を発する半導体発光素子である。紫外発光素子120の発光波長は、例えば、200nm以上320nm以下である。紫外発光素子120は、第1面120aと第2面120bと側面120cとを有する。第1面120aは電極を有する。第1面120aは基板110の実装面110aと対面している。紫外発光素子120の第1面120aの電極は接合層130を介して基板110の実装面110aに接合されている。第2面120bは第1面120aの反対側の面である。第2面120bは紫外発光素子120の外部に光を取り出す光取り出し面である。第2面120bはフッ素樹脂層140と対面している。側面120cは、第1面120aおよび第2面120b以外の面である。
【0016】
接合層130は、紫外発光素子120を基板110に実装するための層である。接合層130は、紫外発光素子120の第1面120aの電極と、基板110の実装面110aの回路パターン112と、を接合する。接合層130の材質は、例えば、Au-Sn半田である。
【0017】
フッ素樹脂層140は、紫外発光素子120から発せられる紫外光を外部に好適に取り出すための透光性フッ素樹脂である。フッ素樹脂層140は、もちろん、紫外線を透過させる。フッ素樹脂層140は、紫外発光素子120および基板110に固定されている。
【0018】
空気層150は、基板110と紫外発光素子120との間に位置する閉空間である。空気層150には、気体が充填されている。気体は、例えば、大気である。空気層150は、基板110の実装面110aと紫外発光素子120の第1面120aとの間に位置している。なお、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cと、フッ素樹脂層140と、の間には空気層はほとんど存在しない。
【0019】
2.フッ素樹脂層
2-1.フッ素樹脂層の材質
フッ素樹脂層140の材質はフッ素樹脂である。フッ素樹脂はCF結合を有するポリマーである。フッ素樹脂は、例えば、FEPである。フッ素樹脂層140の屈折率は、大気の屈折率より大きい。フッ素樹脂層140の屈折率は、例えば、1.2以上1.6以下である。
【0020】
2-2.フッ素樹脂層の領域
図1に示すように、フッ素樹脂層140は、素子被覆部141と、基板被覆部142と、を有する。
【0021】
素子被覆部141は、紫外発光装置100の中心付近を占める領域である。素子被覆部141は、紫外発光素子120の第2面120bを覆っている。素子被覆部141は、紫外発光素子120の第2面120bに接触している。素子被覆部141は、紫外発光素子120の第2面120bより上の領域を占める。紫外発光素子120の第2面120bが矩形であるため、素子被覆部141を基板110に射影した射影領域の形状も矩形である。
【0022】
基板被覆部142は、紫外発光装置100の外縁付近を占める領域である。基板被覆部142は、基板110の実装面110aを覆っている。基板被覆部142は、基板110の実装面110aに接触している。基板被覆部142は、紫外発光素子120の側面120cの外側の領域を占める。基板被覆部142は、素子被覆部141を除いた領域である。基板被覆部142は、素子被覆部141の周囲を取り囲んでいる。基板被覆部142は、環状に近い領域である。
【0023】
2-3.フッ素樹脂層の形状
図2は、第1の実施形態の紫外発光装置100の形状を示す図である。
図2に示すように、紫外発光素子120の側面120cを延長する面が、素子被覆部141と基板被覆部142との境界面である。
【0024】
素子被覆部141は、紫外発光素子120から遠ざかる向きの凸形状部PR1を有する。凸形状部PR1はドーム状である。
【0025】
点Q1は、素子被覆部141において紫外発光素子120の第2面120bから最も遠い点である。点Q2は、点Q1を紫外発光素子120の第2面120bに正射影した点である。点Q2は、紫外発光素子120の第2面120bの中心付近に位置している。距離H1は、点Q1と点Q2との間の距離である。距離H1は、素子被覆部141における最も膜厚が厚い箇所の膜厚である。
【0026】
基板被覆部142は、平坦部FS1と接続部JC1とを有する。平坦部FS1は平坦面FS1aと平坦面FS1bとを有する。平坦面FS1aは、基板110の実装面110aの反対側の面である。平坦面FS1bは、基板110の実装面110aと接触する面である。距離H2は、平坦面FS1aと平坦面FS1bとの間の距離である。距離H2は、平坦部FS1の膜厚である。
【0027】
距離H1は、例えば、200μm以上500μm以下である。距離H2は、例えば、100μm以上200μm以下である。紫外発光素子120の幅W1、すなわち、紫外発光素子120の第2面120bの一辺の長さは、例えば、0.5mm以上2mm以下である。紫外発光素子120の高さは、例えば、0.3mm以上0.7mm以下である。
【0028】
素子被覆部141における紫外発光素子120の第2面120bから最も離れている点から紫外発光素子120の第2面120bまでの距離H1が、基板被覆部142の平坦部FS1の平坦面FS1aから基板110の実装面110aまでの距離H2の1.3倍以上5倍以下である。すなわち、距離H1は、距離H2の1.3以上5以下である。好ましくは、1.4以上4以下である。より好ましくは、1.5以上3以下である。
【0029】
距離H1は、例えば、幅W1の0.15以上0.8以下である。好ましくは、0.2以上0.7以下である。より好ましくは、0.2以上0.6以下である。
【0030】
接続部JC1は、素子被覆部141の周囲の領域である。接続部JC1は、素子被覆部141に向かうにつれて膜厚が厚くなっている。このため、接続部JC1の膜厚は平坦部FS1の膜厚よりも厚い。
【0031】
また、フッ素樹脂層140は、基板110の実装面110aと紫外発光素子120の第1面120aとの間の隙間を埋めていない。この埋めていない隙間が空気層150である。
【0032】
3.屈折率
紫外発光素子120の屈折率は1.7程度である。フッ素樹脂層140の屈折率は1.2以上1.6以下の程度である。大気の屈折率は1である。紫外発光素子120、フッ素樹脂層140、大気の順で屈折率が高い。この場合には、各材料同士の境界で全反射が生じにくい。
【0033】
第1の実施形態では、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cは、空気層150と接触していない。前述のように紫外発光素子120の屈折率は空気層150の屈折率より十分に大きい。紫外発光素子120のうち外部に光を取り出す第2面120bおよび側面120cが屈折率の低い空気層150と接触していないため、紫外発光素子120からの光は素子外部に出射しやすい。したがって、紫外発光装置100の光取り出し効率は高い。
【0034】
4.製造方法
4-1.素子実装工程
図3に示すように、基板110の実装面110aに紫外発光素子120を実装する。基板110の実装面110aの上に例えばAu-Sn半田を載せる。紫外発光素子120の第1面120aの電極がAu-Sn半田と接触するようにAu-Sn半田の上に紫外発光素子120を載せる。そして、例えば、リフローにより紫外発光素子120を基板110に実装する。これにより、紫外発光素子120の第1面120aが基板110の実装面110aに接合される。
【0035】
4-2.フッ素樹脂片載置工程
図4に示すように、紫外発光素子120の第2面120bの上にフッ素樹脂片F1を載置する。フッ素樹脂片F1は、紫外発光装置100と同程度の大きさのフッ素樹脂である。フッ素樹脂片F1の幅は、紫外発光素子120の幅W1と同程度である。フッ素樹脂片F1は、例えば、FEPである。フッ素樹脂片F1は、第1面F1aと第2面F1bとを有する。第2面F1bは第1面F1aの反対側の面である。フッ素樹脂片F1の第1面F1aは、紫外発光素子120の第2面120bと接触している。フッ素樹脂片F1の数は、紫外発光素子120の数と同じである。つまり、紫外発光素子120のそれぞれの上にフッ素樹脂片F1が配置されている。
【0036】
4-3.フッ素樹脂シート載置工程
図5に示すように、フッ素樹脂片F1の上にフッ素樹脂シートF2を載置する。フッ素樹脂片F1の材質とフッ素樹脂シートF2の材質とは同じである。フッ素樹脂シートF2の膜厚は、フッ素樹脂片F1の膜厚よりも薄い。フッ素樹脂シートF2は第1面F2aと第2面F2bとを有する。第2面F2bは第1面F2aの反対側の面である。フッ素樹脂片F1の第2面F1bの上にフッ素樹脂シートF2の第1面F2aが接触している。フッ素樹脂シートF2の第2面F2bの上には何も配置されていない。
【0037】
4-4.減圧工程
次に、
図5の状態で積層したものを真空加熱装置に入れる。そして、真空加熱装置を減圧する。真空加熱装置の内圧は、例えば、1Pa以上100Pa以下である。
【0038】
4-5.減圧加熱工程
次に、上記の減圧状態で積層体を加熱する。加熱温度は、例えば、100℃以上500℃以下である。加熱温度は、フッ素樹脂片F1およびフッ素樹脂シートF2の融点に応じて調整すればよい。これにより、フッ素樹脂片F1およびフッ素樹脂シートF2はほぼ同時に溶融する(
図6参照)。このように、フッ素樹脂シートF2を溶融させる際に、フッ素樹脂片F1が溶融してフッ素樹脂片F1とフッ素樹脂シートF2とが融合する。保持時間は、例えば、1分以上10分以下である。
【0039】
4-6.復圧工程
図6に示すように、紫外発光素子120の第2面120bの上に素子被覆部141が形成され、基板110の実装面110aの上に基板被覆部142が形成されている。このため、加熱温度を維持したまま、真空加熱装置の内部を大気圧に復圧する。減圧加熱工程から復圧工程にかけて、フッ素樹脂片F1およびフッ素樹脂シートF2は紫外発光素子120および基板110に固定される。
【0040】
4-7.放置工程
真空加熱装置の内部でしばらく積層体を放置する。これにより、真空加熱装置の内部は室温まで下がる。または、真空加熱装置の内部を室温まで冷却してもよい。
【0041】
4-8.その他の工程
基板110をそれぞれの紫外発光装置100に切り出す。また、その他の工程を実施してもよい。
【0042】
5.第1の実施形態の効果
第1の実施形態の紫外発光装置100のフッ素樹脂層140は、素子被覆部141と基板被覆部142とを有する。素子被覆部141は紫外発光素子120の第2面120bから突出する凸形状部PR1を有する。凸形状部PR1は十分に高く、平坦面と大きく異なる曲面である。このため、紫外発光素子120の第2面120bからフッ素樹脂層140に入射する光は、凸形状部PR1から紫外発光装置100の外部に出る際に反射されにくい。つまり、この紫外発光装置100の光取り出し効率は高い。
【0043】
6.変形例
6-1.フッ素樹脂層(その1)
図7は、第1の実施形態の変形例における紫外発光装置200の概略構成図である。
図7に示すように、紫外発光装置200は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂層240と、を有する。フッ素樹脂層240は、素子被覆部241と、基板被覆部242と、を有する。素子被覆部241は、第1層241aと第2層241bとを有する。第1層241aはフッ素樹脂片F1に由来する層である。第2層241bはフッ素樹脂シートF2に由来する層である。フッ素樹脂片F1とフッ素樹脂シートF2とは異なるフッ素樹脂である。フッ素樹脂片F1の融点はフッ素樹脂シートF2の融点より高い。このため、フッ素樹脂片F1は真空加熱装置の内部で溶融せずに第1層241aとして残留する。つまり、第1層241aおよび第2層241bが融合していない。第1層241aは、紫外発光素子120の第2面120bを覆っている。第2層241bは、紫外発光素子120の側面120cおよび第1層241aを覆っている。
【0044】
6-2.フッ素樹脂層(その2)
図8は、第1の実施形態の変形例における紫外発光装置300の概略構成図である。
図8に示すように、紫外発光装置300は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂層340と、を有する。フッ素樹脂層340は、素子被覆部341と、基板被覆部342と、を有する。素子被覆部341は、第1層341aと第2層341bとを有する。第1層341aはフッ素樹脂片F1に由来する層である。第2層341bはフッ素樹脂シートF2に由来する層である。フッ素樹脂片F1とフッ素樹脂シートF2とは異なるフッ素樹脂である。真空加熱装置の内部ではフッ素樹脂片F1およびフッ素樹脂シートF2が溶融する。そして、フッ素樹脂片F1がドーム形状の第1層341aとなり、フッ素樹脂シートF2が第1層341aを覆う第2層341bとなる。第1層341aおよび第2層341bが融合している。ここで、第1層341aの屈折率が第2層341bの屈折率よりも大きいとよい。
【0045】
6-3.フッ素樹脂層(その3)
図9は、第1の実施形態の変形例における紫外発光装置400の概略構成図である。
図9に示すように、紫外発光装置400は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂層440と、を有する。フッ素樹脂層440は、素子被覆部441と、基板被覆部442と、を有する。素子被覆部441は、第1層441aと第2層441bとを有する。第1層441aはフッ素樹脂片F1に由来する層である。第2層441bはフッ素樹脂シートF2に由来する層である。フッ素樹脂片F1とフッ素樹脂シートF2とは異なるフッ素樹脂である。第2層441bは、紫外発光素子120の側面120cを覆っている。ここで、フッ素樹脂片F1の幅は紫外発光素子120の幅W1よりも大きい。このため、フッ素樹脂片F1が溶融する際に、紫外発光素子120の側面120cを覆う。
【0046】
6-4.材質
フッ素樹脂層140の材質は、例えば、FEP、PFA、PTFE、ETFE、PVDF、PCTFE、ECTFEである。
【0047】
6-5.フッ素樹脂シートの膜厚
フッ素樹脂シートF2の膜厚は、フッ素樹脂片F1の膜厚よりも厚くてもよい。
【0048】
6-6.空気層
空気層150をアンダーフィルにより埋めてもよい。
【0049】
6-7.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0050】
(評価試験)
1.サンプルの作製
3種類のサンプルを作成した。サンプル1は、基板110に紫外発光素子120を実装しただけの発光装置であった。サンプル2は、サンプル1にFEPのフッ素樹脂シートにより紫外発光素子120を覆った発光装置であった。サンプル3は、サンプル1にFEPのフッ素樹脂片F1を載せ、その上にFEPのフッ素樹脂シートF2を載せて溶融させた発光装置であった。サンプル3では、紫外発光素子120の直上のフッ素樹脂層がレンズ形状に盛り上がっている。
【0051】
2.試験結果
表1は試験結果を示す表である。なお、明るさはサンプル1の明るさで規格化されている。表1に示すように、第1の実施形態の紫外発光装置100に該当するサンプル3は、フッ素樹脂シートがないサンプル1に比べて20%程度明るい。サンプル3は、サンプル2に比べて10%程度明るい。
【0052】
[表1]
サンプル 明るさ
サンプル1 1
サンプル2 1.1
サンプル3 1.2
【0053】
(付記)
第1の態様における紫外発光装置は、基板と、紫外発光素子と、フッ素樹脂層と、を有する。基板は、実装面を有する。紫外発光素子は、電極を有する第1面と第1面の反対側の第2面と側面とを有する。紫外発光素子の第1面の電極は、基板の実装面に接合されている。フッ素樹脂層は、紫外発光素子の第2面および側面に接している。フッ素樹脂層は、紫外発光素子の第2面を覆う素子被覆部と、基板の実装面を覆う基板被覆部と、を有する。基板被覆部は、実装面の反対側に位置する平坦面を有する平坦部を有する。素子被覆部における紫外発光素子の第2面から最も離れている点から紫外発光素子の第2面までの距離が、基板被覆部の平坦部の平坦面から基板の実装面までの距離の1.3倍以上5倍以下である。
【0054】
第2の態様における紫外発光装置においては、素子被覆部は、紫外発光素子の第2面を覆う第1層と、第1層を覆う第2層と、を有する。第1層および第2層は、フッ素樹脂であり、基板被覆部は、第1層および第2層のうち第2層のみで形成されており、第2層は、紫外発光素子の側面を直接覆っている。
【0055】
第3の態様における紫外発光装置においては、第1層および第2層が、融合している。
【0056】
第4の態様における紫外発光装置においては、第1層および第2層が、融合していない。
【0057】
第5の態様における紫外発光装置の製造方法においては、第1面を基板に実装された紫外発光素子の第2面の上にフッ素樹脂片を載置し、フッ素樹脂片の上にフッ素樹脂シートを載置し、減圧下で加熱することによりフッ素樹脂シートを溶融させ、フッ素樹脂シートを紫外発光素子および基板に固定する。
【0058】
第6の態様における紫外発光装置の製造方法においては、フッ素樹脂片とフッ素樹脂シートとは同じ材質である。フッ素樹脂シートを溶融させる際に、フッ素樹脂片が溶融してフッ素樹脂片とフッ素樹脂シートとが融合する。
【0059】
第7の態様における紫外発光装置の製造方法においては、フッ素樹脂片とフッ素樹脂シートとは異なる材質である。フッ素樹脂シートを溶融させる際に、フッ素樹脂片が溶融しない。
【0060】
第8の態様における紫外発光装置の製造方法においては、フッ素樹脂片とフッ素樹脂シートとは異なる材質である。フッ素樹脂シートを溶融させる際に、フッ素樹脂片が溶融してフッ素樹脂片とフッ素樹脂シートとが融合する。
【符号の説明】
【0061】
100…紫外発光装置
110…基板
120…紫外発光素子
130…接合層
140…フッ素樹脂層
150…空気層