(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】組電池の再構成方法、組電池の製造方法、組電池、製造支援装置および製造支援方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/54 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H01M10/54
(21)【出願番号】P 2021045412
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三橋 利彦
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-053167(JP,A)
【文献】特開2012-195084(JP,A)
【文献】特開2022-097109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H01M 10/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の再構成方法であって、
前記シール部の状態を示す所定指標値を取得する取得工程と、
取得された前記所定指標値で示される前記シール部の状態に応じて前記組電池の再構成における前記単電池の配置を決定する配置決定工程とを含む、組電池の再構成方法。
【請求項2】
前記取得工程において、回収された前記組電池から分解した前記単電池の前記シール部の前記所定指標値を測定することで前記所定指標値を取得し、
取得された前記所定指標値が規定値を満たさない場合、当該所定指標値の前記単電池は前記組電池の再構成に用いないと決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の組電池の再構成方法。
【請求項3】
前記配置決定工程において、取得された前記所定指標値が前記シール部の状態が良いことを示す値である程、前記組電池の使用時に温度が高くなる部位への配置を決定する、請求項1または請求項2に記載の組電池の再構成方法。
【請求項4】
前記配置決定工程において、前記所定指標値が前記シール部の状態が良いことを示す所定値以上である場合、前記組電池の使用時に温度が所定度以上となる部位への配置を決定する一方、前記所定指標値が前記所定値未満である場合、前記組電池の使用時に温度が前記所定度以上とならない部位への配置を決定する、請求項3に記載の組電池の再構成方法。
【請求項5】
ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の製造方法であって、
回収された前記組電池から分解した前記単電池の前記シール部の状態を示す所定指標値を取得する工程と、
取得された前記所定指標値で示される前記シール部の状態に応じて前記組電池の再構成において前記単電池を配置する部位を決定する工程と、
決定された部位に前記単電池を配置することにより前記組電池を再構成する工程とを含む、組電池の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法によって製造される、組電池。
【請求項7】
ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の製造支援装置であって、
前記製造支援装置は、演算処理部と記憶部とを備え、
前記演算処理部は、
取得された前記シール部の状態を示す所定指標値を前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶された前記所定指標値で示される前記シール部の状態に応じて前記組電池の再構成における前記単電池の配置を決定する、組電池の製造支援装置。
【請求項8】
ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の製造支援方法であって、
前記製造支援方法は、演算処理部と記憶部とを備える製造支援装置によって実行され、
前記製造支援方法は、前記演算処理部が、
取得された前記シール部の状態を示す所定指標値を前記記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に記憶された前記所定指標値で示される前記シール部の状態に応じて前記組電池の再構成における前記単電池の配置を決定するステップとを含む、組電池の製造支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、組電池の再構成方法、組電池の製造方法、組電池、製造支援装置および製造支援方法に関し、特に、ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の再構成方法、組電池の製造方法、組電池、製造支援装置および製造支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組電池の再構成時に、組電池を構成する二次電池の電池特性を取得し、取得した電池特性に応じて変化するばらつきの許容範囲を用いて二次電池を分類し、分類した二次電池ごとに組電池を再生する、二次電池の再利用方法があった(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に組電池を搭載して使用する場合、組電池の部位によって温度が異なる。また、電池の寿命に関連するのは組電池を構成する二次電池(たとえば、単電池)の電池特性だけではない。
【0005】
この開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、再構成後の組電池の寿命を長くすることが可能な組電池の再構成方法、組電池の製造方法、組電池、製造支援装置および製造支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示に係る組電池の再構成方法は、ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の再構成方法である。再構成方法は、シール部の状態を示す所定指標値を取得する取得工程と、取得された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池の再構成における単電池の配置を決定する配置決定工程とを含む。
【0007】
このような構成によれば、単電池のシール部の状態を示す所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池の再構成における単電池の配置が決定される。組電池の使用時においては、単電池の配置によって単電池のシール部に与える影響が異なる。また、単電池のシール部の状態に応じて単電池の寿命が異なる。このため、単電池の寿命を長くするように単電池を組電池に再構成できる。その結果、再構成後の組電池の寿命を長くすることが可能な組電池の再構成方法を提供することができる。
【0008】
取得工程において、回収された組電池から分解した単電池のシール部の所定指標値を測定することで所定指標値を取得し、取得された所定指標値が規定値を満たさない場合、当該所定指標値の単電池は組電池の再構成に用いないと決定する工程をさらに含むようにしてもよい。このような構成によれば、再構成した組電池の寿命に影響を与える、単電池のシール部の所定指標値が既定値を満たさないような単電池は組電池の再構成に用いないようにすることができる。その結果、再構成後の組電池の寿命を長くすることができる。
【0009】
配置決定工程において、取得された所定指標値がシール部の状態が良いことを示す値である程、組電池の使用時に温度が高くなる部位への配置を決定するようにしてもよい。組電池の使用時において温度が高くなる部位はシール部に与える影響が大きい。このような構成によれば、このようなシール部に与える影響が大きい部位に、シール部の状態が良い単電池を配置することができる。その結果、再構成後の組電池の寿命を長くすることができる。
【0010】
配置決定工程において、所定指標値がシール部の状態が良いことを示す所定値以上である場合、組電池の使用時に温度が所定度以上となる部位への配置を決定する一方、所定指標値が所定値未満である場合、組電池の使用時に温度が所定度以上とならない部位への配置を決定するようにしてもよい。このような構成によれば、シール部に与える影響が比較的大きい部位に、シール部の状態が良い単電池を配置することができ、シール部に与える影響が比較的小さい部位に、シール部の状態が良くない単電池を配置することができる。その結果、再構成後の組電池の寿命を長くすることができる。
【0011】
この開示の他の局面によれば、組電池の製造方法は、ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の製造方法である。製造方法は、回収された組電池から分解した単電池のシール部の状態を示す所定指標値を取得する工程と、取得された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池の再構成において単電池を配置する部位を決定する工程と、決定された部位に単電池を配置することにより組電池を再構成する工程とを含む。
【0012】
このような構成によれば、再構成後の組電池の寿命を長くすることが可能な組電池の製造方法を提供することができる。
【0013】
この開示のさらに他の局面によれば、組電池は、上述の製造方法によって製造される。このような構成によれば、再構成後の組電池の寿命を長くすることが可能な組電池を提供することができる。
【0014】
この開示のさらに他の局面によれば、組電池の製造支援装置は、ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の製造支援装置である。製造支援装置は、演算処理部と記憶部とを備える。演算処理部は、取得されたシール部の状態を示す所定指標値を記憶部に記憶させ、記憶部に記憶された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池の再構成における単電池の配置を決定する。
【0015】
このような構成によれば、再構成後の組電池の寿命を長くすることが可能な組電池の製造支援装置を提供することができる。
【0016】
この開示のさらに他の局面によれば、組電池の製造支援方法は、ラミネート型でシール部を有する複数の単電池を含んで構成される組電池の製造支援方法である。製造支援方法は、演算処理部と記憶部とを備える製造支援装置によって実行される。製造支援方法は、演算処理部が、取得されたシール部の状態を示す所定指標値を記憶部に記憶させるステップと、記憶部に記憶された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池の再構成における単電池の配置を決定するステップとを含む。
【0017】
このような構成によれば、再構成後の組電池の寿命を長くすることが可能な組電池の製造支援方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
この開示によれば、再構成後の組電池の寿命を長くすることが可能な組電池の再構成方法、組電池の製造方法、組電池、製造支援装置および製造支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】組電池の回収から製造・販売までの物流の一態様を示す図である。
【
図2】電池物流モデルにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】この実施の形態の電池物流モデルに適用される電池管理システムの構成例を示す図である。
【
図4】この実施の形態の車両、管理サーバおよび製造業者の端末の構成の概略を示す図である。
【
図5】第1実施形態における車両に搭載される組電池における温度分布の例を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態における電池製造支援処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】この実施の形態のセルのシール幅の検査を説明するための第1の図である。
【
図8】この実施の形態のセルのシール幅の検査を説明するための第2の図である。
【
図9】第2実施形態における車両に搭載される組電池における温度分布の例を説明するための図である。
【
図10】第2実施形態における電池製造支援処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、この開示の実施の形態は説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
【0021】
本開示において、組電池(「電池パック」ともいう。)は、複数のスタック(モジュールまたはブロックともいう。)を含む。複数のスタックは、直列接続されていてもよいし並列接続されていてもよい。複数のスタックの各々は、直列または並列に接続された複数のセル(単電池)を含む。
【0022】
一般に、組電池の「再利用」は、リユース、リビルドおよびリサイクルに大別される。リユースの場合、回収された組電池は、必要な出荷検査を経て、そのままリユース品として出荷される。リビルトの場合、回収された組電池は、たとえば一旦、スタックまたはセルに分解される。そして、分解されたスタックまたはセルのうち、再利用可能なスタックまたはセルが組み合わされ、新たな組電池が製造される(再構成)。新たに製造された組電池は、出荷検査を経て、リビルト品として出荷される。これに対し、リサイクル(資源リサイクル)では、各セルから再生可能な材料が取り出されるため、回収された組電池が他の組電池として使用されることはない。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、組電池の回収から製造・販売までの物流の一態様を示す図である。以下では、
図1に示される物流の態様を「電池物流モデル」と称する。
図2は、電池物流モデルにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0024】
図1および
図2を参照して、電池物流モデルでは、複数の車両90A~90Dから組電池900A~900Cが回収される。本実施の形態では、回収された組電池900A~900Cから使用済みのセルが取り出され、再利用可能なセルを再利用することで、組電池900が製造(再構成)および販売される。そして、あるユーザの車両90に搭載された組電池900と交換される。
【0025】
回収業者10は、車両90A~90Cから使用済みの組電池900A~900Cを回収する。車両90A~90Cには、組電池900A~900Cがそれぞれ搭載されている。なお、
図1では、紙面の都合上、3台の車両のみを示すが、実際には、より多くの車両から組電池900が回収される。回収業者10は、回収された組電池900A~900Cを分解し、組電池900A~900Cから複数のセルを取り出す(ステップS101)。
【0026】
この電池物流モデルでは、セルごとに当該セルを特定するための識別情報(以下「ID」という。)が付与されている。各セルの情報は、管理サーバ80によってIDを用いて管理されている。そのため、回収業者10は、組電池900A~900Cから取り出された各セルのIDを、端末70A(
図3参照)を用いて管理サーバ80に送信する。
【0027】
検査業者20は、回収業者10によって回収された各セルの性能検査を実施する(ステップS102)。具体的には、検査業者20は、回収されたセルの電気的特性を検査する。たとえば、検査業者20は、満充電容量、抵抗値、OCV(Open Circuit Voltage)、SOC(State Of Charge)等を検査できる。検査業者20は、上記の電気的特性に加えて、各セルに含まれる電解液の残量を検査する。
【0028】
そして、検査業者20は、それらの検査結果に基づいて、各セルを再利用可能なセルと再利用不可能なセルとに分別し、再利用可能なセルについては製造業者30に引き渡し、再利用不可能なセル(資源リサイクルすることが望ましいセル)についてはリサイクル業者50に引き渡す。なお、各セルの検査結果は、検査業者20の端末70B(
図3参照)を用いて管理サーバ80に送信される。
【0029】
製造業者30は、検査業者20から引き渡されたセルを再構成することによって新たな組電池900を製造する(ステップS103)。本実施の形態では、組電池900を製造するための情報(組立情報)が管理サーバ80において生成され、製造業者30の端末70C(
図3参照)に送信される。製造業者30は、その組立情報に従って、セルを組合わせて、車両90の組電池900を製造(リビルド)する。
【0030】
販売店40は、製造業者30によって製造された組電池900を車両用として販売したり、住宅等で利用可能な定置用として販売したりする(ステップS104)。本実施の形態では、車両90が販売店40に持ち込まれ、販売店40において、車両90の組電池900が製造業者30により製造されたリユース品またはリビルド品に交換される。
【0031】
リサイクル業者50は、検査業者20によって再利用不可能とされたセル(またはスタック)を解体し、新たなセルやその他製品の原料として利用するために再資源化する。
【0032】
なお、
図1では、回収業者10、検査業者20、製造業者30および販売店40は互いに異なる業者としたが、業者の区分はこれに限定されるものではない。たとえば、検査業者20と製造業者30とが同一業者であってもよい。あるいは、回収業者10は、組電池900を回収する業者と、回収された組電池900を解体する業者とに分かれていてもよい。また、各業者および販売店の拠点は、特に限定されるものではない。各業者および販売店の拠点は別々であってもよいし、複数の業者または販売店が同一拠点にあってもよい。
【0033】
図3は、この実施の形態の電池物流モデルに適用される電池管理システム1の構成例を示す図である。
図3を参照して、電池管理システム1は、端末70A~70Dと、管理サーバ80と、通信ネットワーク81と、基地局82とを備える。
【0034】
端末70Aは、回収業者10の端末である。端末70Bは、検査業者20の端末である。端末70Cは、製造業者30の端末である。端末70Dは、販売店40の端末である。
【0035】
管理サーバ80および各端末70A~70Dは、インターネット等である通信ネットワーク81を介して互いに通信可能に構成されている。通信ネットワーク81の基地局82は、車両90と無線通信によって情報の授受が可能に構成されている。
【0036】
検査業者20には電池検査システム2が設置されている。電池検査システム2は、各セルの劣化の進行度合いを評価するための特性を測定する。そして、電池検査システム2は、当該セルの劣化の進行度合いの評価結果に基づいて、当該セルの再利用態様(リビルドまたはリサイクル)を判定する。電池検査システム2により判定されたセルの再利用態様は、たとえば端末70Bを介して管理サーバ80に送信される。
【0037】
図4は、この実施の形態の車両90、管理サーバ80および製造業者30の端末70Cの構成の概略を示す図である。
図4を参照して、車両90は、組電池900と、温度センサ112と、電力制御ユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」という)120と、モータジェネレータ(以下「MG(Motor Generator)」という)130と、駆動輪140と、電子制御ユニット(以下「ECU(Electronic Control Unit)」という)150と、記憶部160と、通信装置170とを含む。
【0038】
組電池900は、複数のセルにより構成され、たとえば、複数のリチウムイオン二次電池のセルが直列および/または並列に適宜接続されて構成される。組電池900は、MG130により駆動輪140を駆動するための電力をPCU120へ供給する。
【0039】
温度センサ112は、組電池900内の組電池の温度Tiを検出し、その検出値をECU150へ出力する。温度センサ112は、少なくとも、組電池の外周近傍に配置されるセル(またはモジュール)の温度、および、組電池の中央部に配置されるセル(またはモジュール)の温度を検出する。
【0040】
図5は、第1実施形態における車両90に搭載される組電池900における温度分布の例を説明するための図である。
図5を参照して、車載用の典型的な組電池900は、数十個~数百個のセルを含むが、組電池900に含まれるセル数は特に限定されるものではない。
【0041】
組電池900にはセル100A~100Zを冷却するための冷却機構(不図示)が設けられている。冷却機構は、液体(たとえば、水)の冷媒を用いる水冷機構である。水冷機構によりセル100A~100Zへと送られた水は、矢印AR1,AR2で示すセル100A~100Zの配列方向に流通する。これにより、各セル100A~100Zが冷却される。なお、冷却機構の冷却方式は特に限定されず、空気により冷却する空冷機構であってもよい。
【0042】
このような構成においては、水冷機構により送られる液体の上流側(矢印AR1で示す)に設けられたセルに対する冷却効果の方が、下流側(矢印AR2で示す)に設けられたセルに対する冷却効果よりも高い。そのため、上流側に設けられたセル(たとえばセル100A)は、下流側に設けられたセル(たとえばセル100Z)と比べて、低温になる傾向がある。
【0043】
本実施の形態では、セル100A~100Zを2つに区分する。そして、上流側に設けられたセル100A~100Mを「低温部」とも記載し、下流側に設けられたセル100N~100Zを「高温部」とも記載する。高温部とは、組電池900の使用時に温度が所定温度以上となる部位であり、低温部とは、組電池900の使用時に温度が所定温度以上とならない部位である。一般に、二次電池の温度が高くなる程、二次電池の劣化の進行が速くなる。そのため、高温部は、低温部と比べて、劣化が進みやすいと言える。
【0044】
再び、
図4を参照して、MG130は、回転電機であって、たとえば三相交流モータジェネレータである。MG130は、PCU120によって駆動され、駆動輪140を回転させる。また、MG130は、車両90の制動時等に回生発電を行なうことも可能である。MG130により発電された電力は、PCU120により整流されて組電池900に充電される。
【0045】
PCU120は、インバータおよびコンバータを含んで構成され(いずれも不図示)、ECU150からの駆動信号に従ってMG130を駆動する。PCU120は、MG130の力行駆動時は、組電池900に蓄えられた電力を交流電力に変換してMG130へ供給し、MG130の回生駆動時(車両90の制動時等)は、MG130が発電した電力を整流して組電池900へ供給する。
【0046】
ECU150は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory))、および、各種信号を入出力するための入出力ポートを含んで構成される(いずれも不図示)。ECU150は、車両90が所望の状態となるようにPCU120および組電池900の充放電を制御する。また、ECU150は、温度センサ112から温度Tiの検出値を取得し、組電池900の温度情報を生成して記憶部160へ出力する。
【0047】
リビルド品を製造するためのリビルド情報は、管理サーバ80において生成される。そのため、ECU150は、組電池900の温度情報を生成して記憶部160に蓄積し、記憶部160から温度情報を定期的に読み出して、通信装置170により管理サーバ80へ送信する。
【0048】
管理サーバ80は、情報処理装置210と、通信装置220と、再利用品データベース(以下「DB」という。)230と、電池情報DB240とを含む。
【0049】
再利用品DB230は、回収業者10により回収された中古の組電池900A~900C(
図1参照)に含まれ、かつ、検査業者20により再利用可能とされたセル100の情報を蓄積する。この情報は、たとえば、検査業者20によって各セル100の性能評価(劣化状態の評価)を実施することで収集され、各セル100の劣化状態や、各セル100の劣化しにくさを示す指標(劣化速度、セル容量、セル抵抗、負極の厚み、目付量等)を含む。
【0050】
電池情報DB240は、車両90から定期的に受信する、組電池900の温度情報を、車両90を特定するIDと紐付けて蓄積する。
【0051】
情報処理装置210は、CPU、メモリおよび入出力バッファを含んで構成される(いずれも不図示)。情報処理装置210は、組電池900の交換を行なう車両90を特定するための情報を販売店40の端末70Dから通信装置220により受信すると、電池情報DB240に記憶された車両90についてのデータと、再利用品DB230に記憶された再利用可能なセル100についてのデータとを用いて、組電池900のリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する。このリビルド情報を生成するための具体的な処理の詳細については、後ほど説明する。そして、情報処理装置210は、生成されたリビルド情報を通信装置220により製造業者30の端末70Cへ送信する。
【0052】
製造業者30の端末70Cは、通信装置71と、制御部72と、表示部73とを含む。通信装置71は、管理サーバ80により生成されたリビルド情報を管理サーバ80から取得する。制御部72は、取得されたリビルド情報に従って、検査業者20により検査されたセルの中から交換用セルを選択し、選択された交換用セルの情報を表示部73に表示させる。製造業者30は、表示部73に表示された交換用セルの情報に基づいて、車両90の組電池900のリビルド品を製造する。端末70A,70B、70Dの構成も、端末70Cの構成と同様である。
【0053】
従来、組電池900の再構成時に、組電池900を構成するセル100の電池特性を取得し、取得した電池特性に応じて変化するばらつきの許容範囲を用いて二次電池を分類し、分類したセル100ごとに組電池900を再生する、セル100の再利用方法があった。車両90に組電池900を搭載して使用する場合、組電池900の部分によって温度が異なる。また、組電池900の寿命に関連するのは組電池900を構成するセル100の電池特性だけではない。
【0054】
そこで、組電池900の再構成方法は、ラミネート型でシール部を有する複数のセル100を含んで構成される組電池900の再構成方法であり、シール部の状態を示す所定指標値を取得する取得工程と、取得された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池900の再構成におけるセル100の配置を決定する配置決定工程とを含む。
【0055】
これにより、セル100のシール部の状態を示す所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池900の再構成におけるセル100の配置が決定される。組電池900の使用時においては、セル100の配置によってセル100のシール部に与える影響が異なる。また、セル100のシール部の状態に応じてセル100の寿命が異なる。このため、セル100の寿命を長くするようにセル100を組電池900に再構成できる。その結果、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0056】
図6は、第1実施形態における電池製造支援処理の流れを示すフローチャートである。
図6を参照して、この電池製造支援処理は、管理サーバ80の情報処理装置210によって実行される。
【0057】
まず、情報処理装置210は、検査業者20の端末70Bからのセル100のIDおよび当該セル100のシール幅の入力を受付けたか否かを判断する(ステップS111)。
【0058】
ここで、検査業者20でのシール幅の検査について説明する。
図7および
図8は、それぞれ、この実施の形態のセル100のシール幅の検査を説明するための第1および第2の図である。
図7(A)および
図8(A)は、セル100の平面図を示す。
図7(B)および
図8(B)は、セル100の一部の断面図を示す。
【0059】
この実施の形態において、セル100は、ラミネート型のリチウムイオン二次電池である。セル100は、ラミネート型であれば、他の種類の二次電池(たとえば、リチウムイオンポリマー二次電池,全固体電池)であってもよい。
【0060】
図7および
図8を参照して、セル100は、電極体101と、第1面側ラミネートフィルム102と、第2面側ラミネートフィルム103と、正極タブ104と、負極タブ105とを含む。
【0061】
電極体101は、複数の正極と、複数の負極と、複数のセパレータとを有する。正極および負極は、交互に積層される。正極は、リチウム(Li)イオンを吸蔵する正極活物質を有する。負極は、リチウムイオンを吸蔵する負極活物質を有する。セパレータは、正極と負極との間に配置される。セパレータは、リチウムイオンを透過させる絶縁性の材料により形成される。
【0062】
第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103は、電極体101を収納する。なお、図示されていないが、第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103で挟まれた内部には、電極体101とともに、電解液も封入される。第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103は、
図7(A)および
図8(A)の平面図における外周縁に沿って、シール部(第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103の外周のハッチングされた部分。
図7(B)のA-A断面図および
図8(B)のB-B断面図参照。)を有する。第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103の外周縁は、平面図において、例えば矩形形状である。
【0063】
第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103は、金属製(例えば、アルミニウム(Al)製)のフィルム基体と、フィルム基体の両面上に形成された樹脂層とを有している。シール部は、第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103の両樹脂層を接触させた状態で、これらの樹脂層を加熱により溶着させることにより形成される。
図7で示されるように、製造直後の新品時には、シール部は、長辺側および短編側のそれぞれで、第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103の外周縁から一様の所定幅とされる。
【0064】
セル100の充放電を続けていると、電解液からガスが発生することにより、第1面側ラミネートフィルム102および第2面側ラミネートフィルム103で挟まれた電解液がある空間の圧力が上がる場合がある。この圧力により、シール部を剥がす方向に力が掛かる。これにより、セル100の新品時には、
図7で示すように、シール部の幅が一様であった状態が、セル100の使用を続けると、
図8で示すように、シール部の一部の幅が新品時よりも小さくなってしまう場合がある。このシール部の幅(「シール幅」ともいう。)が0となってしまうと、セル100が開封してしまう虞がある。
【0065】
このため、検査業者20において、シール幅が測定される。具体的には、ノギスまたは定規などの長さを測定する器具により、シール部の厚みが一定の部分のシール幅が測定される。
図8(A)で示したように、セル100の長辺の中程のシール幅が全周で最も小さくなる場合が比較的多いので、少なくともセル100の長辺のいずれかの中程のシール幅が計測される。しかし、シール部の溶着が弱い部分のシール幅が全周で最も小さくなる場合もあるので、他の複数部分のシール幅も計測されることが望ましい。また、シール幅が小さくなっている部分を目視で確認することもできるため、その部分のシール幅も計測されることが望ましい。
【0066】
検査業者20の検査員は、このようにセル100のシール幅を測定して、測定したシール幅と当該セル100のIDとを端末70Bに入力する。入力されたシール幅およびセル100のIDは、対応付けられて、端末70Bの記憶装置に蓄積される。端末70Bは、所定のタイミングで、シール幅およびセル100のIDの組合せを管理サーバ80に送信する。
【0067】
図6に戻って、情報処理装置210は、端末70Bからシール幅およびセル100のIDの組合せを受信すると、これらの入力を受付けた(ステップS111でYES)と判断し、受信したシール幅をセル100のIDに対応付けて、再利用品DB230に蓄積する(ステップS112)。
【0068】
ステップS112の後、情報処理装置210は、シール幅が規定値を超えるか否かを判断する(ステップS113)。この規定値は、この規定値以下であると当該セル100は再利用には望ましくないと判断するための値である。シール幅が規定値を超えない(ステップS113でNO)と判断した場合、情報処理装置210は、当該セル100のIDに対応づけて、再利用が不可である旨も、再利用品DB230に蓄積する(ステップS114)。
【0069】
セルIDおよびシール幅の入力を受付けていない(ステップS111でNO)と判断した場合、シール幅が規定値を超える(ステップS113でYES)と判断した場合、または、ステップS114の後、情報処理装置210は、製造業者30への組電池900の製造指示を作成するタイミングであるか否かを判断する(ステップS121)。
【0070】
製造指示の作成タイミングである(ステップS121でYES)と判断した場合、情報処理装置210は、使用するセル100を決定する対象の組電池900の部位の通常時の温度の上限を特定する(ステップS122)。組電池900の各部位の通常時の温度は、走行時および充電時等における温度であり、車両90の温度センサ112によって検出されて、管理サーバ80の電池情報DB240に蓄積される。通常時の温度には異常時の温度は含まれない。ステップS122において、この電池情報DBに蓄積された温度のうち、使用するセル100を決定する対象の部位の温度の上限が特定される。
【0071】
情報処理装置210は、使用セルの決定対象の部位が、特定した当該部位の温度の上限が所定温度以上の高温部位であるか否かを判断する(ステップS123)。前述の
図5で示したように、高温部位は水冷機構の下流側である傾向がある。使用セルの決定対象の部位が高温部位である(ステップS123でYES)と判断した場合、情報処理装置210は、再利用品DB230に蓄積されたセル100のうち、シール幅が大きい(たとえば、所定限界幅以上の)セル100を、当該部位に配置するセル100として決定する(ステップS124)。
【0072】
一方、使用セルの決定対象の部位が高温部位でない(ステップS123でNO)と判断した場合、情報処理装置210は、再利用品DB230に蓄積されたセル100のうち、シール幅が小さい(たとえば、所定限界幅未満の)セル100を、当該部位に配置するセル100として決定する(ステップS125)。
【0073】
ステップS124またはステップS125の後、情報処理装置210は、組電池900の全部位について、使用するセル100が決定されたか否かを判断する(ステップS126)。全部位について使用するセル100が決定されていない(ステップS126でNO)と判断した場合、情報処理装置210は、実行する処理をステップS122に戻す。
【0074】
一方、全部位について使用するセル100が決定された(ステップS126でYES)と判断した場合、情報処理装置210は、使用するセル100のIDと、そのセル100を配置する組電池900の部位との組合せを示す製造指示を、製造業者30の端末70Cに出力する(ステップS127)。
【0075】
製造業者30は、管理サーバ80の情報処理装置210から製造指示を受信すると、
図2のステップS103で示したように、その製造指示にしたがって、指定されたセル100の指定された部位に配置することで組電池900を製造する。
【0076】
[第2実施形態]
前述した第1実施形態においては、
図5および
図6で示したように、組電池900を高温部と低温部とに分けて、比較的シール幅の大きいセル100を高温部に配置し、比較的シール幅の小さいセル100を低温部に配置するようにした。
【0077】
第2実施形態においては、組電池900の温度範囲を2段階以上の複数段階の範囲に分けて、シール幅に応じてセル100を配置するようにする。
【0078】
図9は、第2実施形態における車両90に搭載される組電池900における温度分布の例を説明するための図である。第1実施形態においては、
図5で示したように、組電池900の温度範囲は、高温部と低温部とに分けるようにした。
図9を参照して、第2実施形態においては、組電池900の温度範囲が、通常時の温度の上限が、温度T1~T2の部分、温度T2~T3の部分、・・・、温度Tk~Tk+1の部分、・・・、温度Tn-2~Tn-1の部分、および、温度Tn-1~Tnの部分(T1<T2<・・・<Tk<Tk+1<・・・<Tn-2<Tn-1<Tn)に分けられる。
【0079】
図10は、第2実施形態における電池製造支援処理の流れを示すフローチャートである。
図10を参照して、この電池製造支援処理は、管理サーバ80の情報処理装置210によって実行される。
図10の電池製造支援処理のうち、ステップS124A以外の処理は、
図6で示した電池製造支援処理と共通であるので、重複する説明は繰り返さない。
【0080】
前述の
図6で示したステップS122の後、情報処理装置210は、再利用品DB230に蓄積されたセル100のうち、ステップS122で特定した当該部位の通常時の温度の上限を含む温度範囲に応じたシール幅のセル100を、当該部位のセル100として決定し(ステップS124A)、実行する処理を前述の
図6で示したステップS126に進める。
【0081】
[その他の変形例]
(1) 前述した実施の形態においては、
図6から
図8および
図10で示したように、シール部の状態を示す指標が、計測時のシール幅が全周で最も小さいシール部のシール幅であることとした。しかし、これに限定されず、シール部の状態を示す指標値は、計測時のシール部の接着の状態を示すものであればよく、製造直後の新品時のシール幅に対する、計測時の全周で最も小さいシール幅の比率であってもよいし、計測時の全周のうち所定の複数の部分のシール幅の平均値であってもよいし、製造直後の新品時のシール幅に対する、計測時の当該平均値の比率であってもよいし、計測時のシール部の接着面積であってもよいし、製造直後の新品時のシール部の接着面積に対する、測定時の接着面積の比率であってもよいし、計測時の全周の所定の複数の部分のシール幅のうち所定閾値未満となっている部分の数であってもよい。
【0082】
(2) 前述した実施の形態においては、組電池900の各部の温度は、車両90の温度センサ112によって検出され、定期的に管理サーバ80に送信されるようにした。これにより、
図5および
図9で示したような組電池900の各部の温度範囲が特定されるようにした。しかし、これに限定されず、実験またはシミュレーションによって組電池900の各部の温度範囲が予め特定されるようにしてもよい。
【0083】
(3) 前述した実施の形態においては、組電池900のセル100の検査、および、セル100から組電池900への再構成は、作業者によって実行されるようにした。しかし、これに限定されず、組電池900のセル100の検査、および、セル100から組電池900への再構成が、検査機器、製造機械およびロボットなどの機械によって自動的に実行されるようにしてもよい。
【0084】
(4) 前述した実施の形態においては、
図6のステップS122からステップS125、ならびに、
図10のステップS122およびステップS124Aで示したように、組電池900の部位ごとの温度に応じたシール幅のセル100を配置して組電池900を構成するようにした。しかし、これに限定されず、組電池900の部位ごとの温度に関係なく、セル100の冷却機構の比較的冷却効果が高い上流側から比較的冷却効果が低い下流側に向けて、シール幅の小さいセル100から大きいセル100に並ぶ順でセル100を配置するようにしてもよい。
【0085】
(5) 前述した実施の形態は、組電池900の再構成方法、組電池900の製造方法、組電池900、組電池900の製造支援装置、および、組電池900の製造支援方法と捉えることができる。
【0086】
[まとめ]
(1)
図1から
図10で示したように、組電池900の再構成方法は、ラミネート型でシール部を有する複数のセル100を含んで構成される組電池900の再構成方法である。
図6および
図10で示したように、再構成方法は、シール部の状態を示す所定指標値を取得する取得工程(たとえば、
図6,
図10のステップS112)と、取得された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池900の再構成におけるセル100の配置を決定する配置決定工程(たとえば、
図6,
図10のステップS122~ステップS126)とを含む。
【0087】
これにより、セル100のシール部の状態を示す所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池900の再構成におけるセル100の配置が決定される。組電池900の使用時においては、セル100の配置によってセル100のシール部に与える影響が異なる。また、セル100のシール部の状態に応じてセル100の寿命が異なる。このため、セル100の寿命を長くするようにセル100を組電池900に再構成できる。その結果、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0088】
(2)
図6および
図10で示したように、取得工程において、回収された組電池900から分解したセル100のシール部の所定指標値を測定することで所定指標値を取得し(たとえば、
図6,
図10のステップS111,ステップS112)、取得された所定指標値が規定値を満たさない場合、当該所定指標値のセル100は組電池900の再構成に用いないと決定する工程(たとえば、
図6,
図10のステップS113,ステップS114)をさらに含む。これにより、再構成した組電池900の寿命に影響を与える、セル100のシール部の所定指標値が既定値を満たさないようなセル100は組電池900の再構成に用いないようにすることができる。その結果、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0089】
(3)
図5、
図6、
図9および
図10で示したように、配置決定工程において、取得された所定指標値がシール部の状態が良いことを示す値である程、組電池900の使用時に温度が高くなる部位への配置を決定する。組電池900の使用時において温度が高くなる部位はシール部に与える影響が大きい。これにより、このようなシール部に与える影響が大きい部位に、シール部の状態が良いセル100を配置することができる。その結果、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0090】
(4)
図5および
図6で示したように、配置決定工程において、所定指標値がシール部の状態が良いことを示す所定値以上である場合、組電池900の使用時に温度が所定度以上となる部位への配置を決定する(たとえば、
図6のステップS124)一方、所定指標値が所定値未満である場合、組電池900の使用時に温度が所定度以上とならない部位への配置を決定する(たとえば、
図6のステップS125)。これにより、シール部に与える影響が比較的大きい部位に、シール部の状態が良いセル100を配置することができ、シール部に与える影響が比較的小さい部位に、シール部の状態が良くないセル100を配置することができる。その結果、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0091】
(5)
図1から
図10で示したように、組電池900の製造方法は、ラミネート型でシール部を有する複数のセル100を含んで構成される組電池900の製造方法である。
図2、
図6および
図10で示したように、製造方法は、回収された組電池900から分解したセル100のシール部の状態を示す所定指標値を取得する工程(たとえば、
図2のステップS101,ステップS102,
図6,
図10のステップS111~ステップS114)と、取得された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池900の再構成においてセル100を配置する部位を決定する工程(たとえば、
図6,
図10のステップS122~ステップS127)と、決定された部位にセル100を配置することにより組電池900を再構成する工程(
図2のステップS103)とを含む。これにより、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0092】
(6) 組電池900は、上述の(5)の製造方法によって製造される。これにより、再構成後の組電池の寿命を長くすることができる。
【0093】
(7)
図1から
図10で示したように、組電池900の製造支援装置(たとえば、管理サーバ80)は、ラミネート型でシール部を有する複数のセル100を含んで構成される組電池900の製造支援装置である。
図4で示したように、製造支援装置は、演算処理部(たとえば、情報処理装置210のCPU)と記憶部(たとえば、情報処理装置210のメモリ、再利用品DB230、電池情報DB240)とを備える。
図6および
図10で示したように、演算処理部は、取得されたシール部の状態を示す所定指標値を記憶部に記憶させ(たとえば、
図6,
図10のステップS111,ステップS112)、記憶部に記憶された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池900の再構成におけるセル100の配置を決定する(たとえば、
図6,
図10のステップS122~ステップS126)。これにより、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0094】
(8)
図1から
図10で示したように、組電池900の製造支援方法は、ラミネート型でシール部を有する複数のセル100を含んで構成される組電池900の製造支援方法である。
図4、
図6および
図10で示したように、製造支援方法は、演算処理部(たとえば、情報処理装置210のCPU)と記憶部(たとえば、情報処理装置210のメモリ、再利用品DB230、電池情報DB240)とを備える製造支援装置(たとえば、管理サーバ80)によって実行される。
図6および
図10で示したように、製造支援方法は、演算処理部が、取得されたシール部の状態を示す所定指標値を記憶部に記憶させるステップ(たとえば、
図6,
図10のステップS111,ステップS112)と、記憶部に記憶された所定指標値で示されるシール部の状態に応じて組電池の再構成における単電池の配置を決定するステップ(たとえば、
図6,
図10のステップS122~ステップS126)とを含む。これにより、再構成後の組電池900の寿命を長くすることができる。
【0095】
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1 電池管理システム、2 電池検査システム、10 回収業者、20 検査業者、30 製造業者、40 販売店、50 リサイクル業者、70A~70D 端末、71,170,220 通信装置、72 制御部、73 表示部、80 管理サーバ、81 通信ネットワーク、82 基地局、90,90A~90C 車両、100,100A~100Z セル、101 電極体、102 第1面側ラミネートフィルム、103 第2面側ラミネートフィルム、104 正極タブ、105 負極タブ、112 温度センサ、120 PCU、130 MG、140 駆動輪、150 ECU、160 記憶部、210 情報処理装置、230 再利用品DB、240 電池情報DB、900,900A~900C 組電池。