(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】アラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2021055975
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 優介
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-105291(JP,A)
【文献】特開2012-009064(JP,A)
【文献】特開2005-346444(JP,A)
【文献】特開2013-161380(JP,A)
【文献】特開2009-181394(JP,A)
【文献】特開2016-170569(JP,A)
【文献】特開2003-152726(JP,A)
【文献】特開2005-115788(JP,A)
【文献】特開2016-173807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントから出力されるアラームの監視に関する管理機能を有するアラーム管理装置であって、
前記プラントから出力される少なくとも前記アラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいて、予め定義された複数の状態のうちの、ある状態から別の状態への前記プラントの状態遷移を検出する検出部と、
前記状態遷移が検出された場合に、前記アラーム管理装置において監視する前記アラームの振る舞いに関する
アラーム定義情報であって遷移前の状態に対応する第1
アラーム定義情報を、遷移後の状態に対応する前記
アラーム定義情報である第2
アラーム定義情報へ変更する変更部と
を有し、
前記複数の状態は、前記プラントの制御対象全体に関わる
第1状態と、前記プラントの一部のフィールド機器を一時停止させつつ前記プラントの操業は継続する
第2状態とを少なくとも含
み、
前記アラーム定義情報は、
前記プラントにおけるフィールド機器を階層モデルで表現した場合の階層のノード単位で前記第2状態を定義可能である、
ことを特徴とするアラーム管理装置。
【請求項2】
前記変更部は、
前記状態遷移の内容を示す状態遷移通知に基づき、前記複数の状態ごとに予め定義された前記
アラーム定義情報のうちから選出される前記第2
アラーム定義情報によって、前記第1
アラーム定義情報を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載のアラーム管理装置。
【請求項3】
前記出力情報は、プロセスデータをさらに含み、
前記検出部は、
前記プラントから出力される前記アラームおよび前記プロセスデータの一方または双方に基づいて前記状態遷移を検出し、
前記変更部は、
前記アラームおよび前記プロセスデータに基づいて検出された前記状態遷移に応じて自律的に、前記第1
アラーム定義情報を変更する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアラーム管理装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記アラームを監視するオペレータを含む前記ユーザからの状態変更操作に基づいて前記状態遷移を検出し、
前記変更部は、
前記状態変更操作に基づいて検出された前記状態遷移に応じて、前記第1
アラーム定義情報を変更する
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のアラーム管理装置。
【請求項5】
前記変更部は、
前記ノード単位で予め定義された前記複数の状態ごとの前記
アラーム定義情報のうちから前記第2
アラーム定義情報を選出可能である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のアラーム管理装置。
【請求項6】
前記階層モデルに基づく前記ノード単位での前記プラントの状態が表示可能となるように、監視端末に対し前記プラントの状態を通知する通知部
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載のアラーム管理装置。
【請求項7】
プラントから出力されるアラームの監視に関する管理機能を有するコンピュータが、
前記プラントから出力される少なくとも前記アラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいて、予め定義された複数の状態のうちの、ある状態から別の状態への前記プラントの状態遷移を検出し、
前記状態遷移が検出された場合に、前記コンピュータにおいて監視する前記アラームの振る舞いに関する
アラーム定義情報であって遷移前の状態に対応する第1
アラーム定義情報を、遷移後の状態に対応する前記
アラーム定義情報である第2
アラーム定義情報へ変更する
処理を実行し、
前記複数の状態は、前記プラントの制御対象全体に関わる
第1状態と、前記プラントの一部のフィールド機器を一時停止させつつ前記プラントの操業は継続する
第2状態とを少なくとも含
み、
前記アラーム定義情報は、
前記プラントにおけるフィールド機器を階層モデルで表現した場合の階層のノード単位で前記第2状態を定義可能である、
ことを特徴とするアラーム管理方法。
【請求項8】
プラントから出力されるアラームの監視に関する管理機能を有するコンピュータに、
前記プラントから出力される少なくとも前記アラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいて、予め定義された複数の状態のうちの、ある状態から別の状態への前記プラントの状態遷移を検出し、
前記状態遷移が検出された場合に、前記コンピュータにおいて監視する前記アラームの振る舞いに関する
アラーム定義情報であって遷移前の状態に対応する第1
アラーム定義情報を、遷移後の状態に対応する前記
アラーム定義情報である第2
アラーム定義情報へ変更する
処理を実行させ、
前記複数の状態は、前記プラントの制御対象全体に関わる
第1状態と、前記プラントの一部のフィールド機器を一時停止させつつ前記プラントの操業は継続する
第2状態とを少なくとも含
み、
前記アラーム定義情報は、
前記プラントにおけるフィールド機器を階層モデルで表現した場合の階層のノード単位で前記第2状態を定義可能である、
ことを特徴とするアラーム管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石油、石油化学、化学、ガスなどを用いた各種プラントのプロセス制御に関し、プラントを監視するオペレータに対してプラントのフィールド機器等から出力されるアラームを通知し、適切な対処を促すアラームシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、プラントのアラーム監視におけるエンジニアおよびオペレータの作業を効率化するうえで、さらなる改善の余地がある。
【0005】
一般に、上述したアラームシステムにおけるアラームの見え方や、確認等の操作権限、オペレータごとの監視範囲といったアラームの振る舞いは、エンジニアによる設計、試験を含む所定のエンジニアリング作業を経て、システムに対し反映される。
【0006】
しかし、このようなエンジニアリング作業は通常、システムの運用開始時だけでなく、監視対象となるフィールド機器の追加や修理、交換といったメンテナンスなどが行われる場合にも行う必要がある。例えばシステムの一部がメンテナンスのために一時停止しても操業を続ける必要のあるプラントの場合、かかる一時停止により大量の無駄なアラームが発生し、操業を阻害するおそれがあるためである。
【0007】
ただし、エンジニアリング作業は、前述の設計、試験のほか、承認や周知といった工程を経る必要がある場合も多い。したがって、エンジニアは、エンジニアリング作業を行う必要があるたびに、煩雑な手順を踏む必要がある。
【0008】
また、オペレータは、仮にエンジニアリング作業が周知されたとしても、それによりアラームの振る舞いがどのように変化し、また、その変化からどの機器あるいはプラント全体がどのような状態にあるのかを効率よく正確に把握することは難しい。
【0009】
本発明は、プラントのアラーム監視におけるエンジニアおよびオペレータの作業を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一側面に係るアラーム管理装置は、プラントから出力される少なくともアラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいて前記プラントの状態遷移を検出する検出部と、前記状態遷移が検出された場合に、監視中の前記アラームの振る舞いに関する定義情報である第1定義情報を、遷移後の前記プラントの状態に対応する前記定義情報である第2定義情報へ変更する変更部とを有することを特徴とする。
【0011】
一側面に係るアラーム管理方法は、コンピュータが、プラントから出力される少なくともアラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいて前記プラントの状態遷移を検出し、前記状態遷移が検出された場合に、監視中の前記アラームの振る舞いに関する定義情報である第1定義情報を、遷移後の前記プラントの状態に対応する前記定義情報である第2定義情報へ変更する処理を実行することを特徴とする。
【0012】
一側面に係るアラーム管理プログラムは、コンピュータに、プラントから出力される少なくともアラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいて前記プラントの状態遷移を検出し、前記状態遷移が検出された場合に、監視中の前記アラームの振る舞いに関する定義情報である第1定義情報を、遷移後の前記プラントの状態に対応する前記定義情報である第2定義情報へ変更する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
一実施形態によれば、プラントのアラーム監視におけるエンジニアおよびオペレータの作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】汎用的なアラームシステムの全体構成例を示す図である。
【
図2】エンジニアリング作業のフローを示す図である。
【
図3】実施形態に係るアラームシステムの全体構成例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る「状態」の説明図(その1)である。
【
図5】実施形態に係る「状態」の説明図(その2)である。
【
図6】実施形態に係る「状態遷移」の説明図である。
【
図7】データ管理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】エンジニアリング端末の構成例を示すブロック図である。
【
図9】データベース管理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図10】監視端末の構成例を示すブロック図である。
【
図11】監視端末の出力部の表示例を示す図である。
【
図12】アラームメッセージ監視画面の表示例を示す図である。
【
図13】プラント状態監視画面の表示例を示す図である。
【
図14】自律型状態遷移処理の処理シーケンスである。
【
図15】手動型状態遷移処理の処理シーケンスである。
【
図16】アラーム管理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願の開示するアラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略し、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0016】
[比較例]
まず、説明を分かりやすくするため、本実施形態の比較例から説明する。
図1は、汎用的なアラームシステム1’の全体構成例を示す図である。また、
図2は、エンジニアリング作業のフローを示す図である。
【0017】
アラームシステム1’は、国際標準規格であるISA18.2やIEC62682をベースに構築されたプロセス産業用のアラームシステムである。
図1に示すように、アラームシステム1’は、プラント2と、プロセスコントローラ10と、アラーム管理装置30と、エンジニアリング端末50と、データベース(DB)管理装置70と、監視端末90とを含む。
【0018】
プラント2と、プロセスコントローラ10とは、図示略のネットワークを介して相互に通信可能に接続される。同様に、プロセスコントローラ10と、アラーム管理装置30とは、相互に通信可能に接続される。同様に、アラーム管理装置30と、データベース管理装置70および監視端末90とは、相互に通信可能に接続される。同様に、データベース管理装置70と、エンジニアリング端末50とは、相互に通信可能に接続される。なお、
図1は、必ずしも物理的な構成を表すものではない。したがって、例えばアラーム管理装置30、データベース管理装置70および監視端末90などが、同一のマシン内に存在してもよい。この場合、上記の相互通信に関しては、内部通信によるやり取りが行われることになる。
【0019】
プラント2は、石油、石油化学、化学、ガスなどを用いた各種プラントの一例であり、生成物を得るためのさまざまな施設を備える工場等を含む。生成物の例は、LNG(液化天然ガス)、樹脂(プラスチック、ナイロン等)、化学製品等である。施設の例は、工場施設、機械施設、生産施設、発電施設、貯蔵施設、石油、天然ガス等を採掘する井戸元における施設等である。
【0020】
プラント2内には、生成物を生成するための各種機器、プラント2内の状態に関する情報を取得する複数のフィールド機器2aなどが含まれる。
【0021】
各フィールド機器2aは、プラント2のさまざまな場所に設定されるセンサなどの一例である。フィールド機器2aは、例えば、センサ機器および操作機器に大別(分類)される。センサ機器は、例えば物理量を取得(検出、測定等)する機器である。センサ機器の例は、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、速度センサ、加速度センサ等である。操作機器は、例えば物理量を操作する機器である。操作機器の例は、バルブ、ポンプおよびファン等であり、モータおよびアクチュエータ等によって駆動される。
【0022】
各フィールド機器2aは、無線通信や有線等によって、プロセスコントローラ10と通信可能に接続される。
【0023】
プロセスコントローラ10は、各フィールド機器2aからデータを収集し、プロセスデータとしてプロセス制御を実行する装置である。また、プロセスコントローラ10は、プロセスデータ値の異常や、各フィールド機器2aの通信異常、ハードウェア異常等を検知した場合に、アラームをアラーム管理装置30へ通知する。
【0024】
アラーム管理装置30は、アラーム監視の中核となる機能を提供する装置である。アラーム管理装置30は、プロセスコントローラ10からのアラームの通知を受けて、予めアラームの見え方や、確認等の操作権限、オペレータごとの監視範囲といったアラームの振る舞いが定義されたアラーム定義情報に従って、アラームの状態遷移を制御する。また、アラーム管理装置30は、アラームの状態が遷移したことを監視端末90に対してアラームメッセージとして通知する。
【0025】
エンジニアリング端末50は、アラームの振る舞いを示す属性値を定義するためのツール群をエンジニアEに対して提供する装置である。かかるツール群は、属性値を定義するためのUI(User Interface)を含む。ここで定義されたアラーム定義情報は、データベース管理装置70へ通知され、データベース管理装置70によってエンジニアリングデータベース72aへ登録される。
【0026】
データベース管理装置70は、アラーム定義情報の変更履歴を管理する装置である。データベース管理装置70は、エンジニアリング端末50からアラーム定義情報を受け取り、データベース化して履歴を管理する。また、データベース管理装置70は、アラーム管理装置30に対する最新のアラーム定義情報の反映や、履歴からの復元等を実施することもできる。
【0027】
監視端末90は、アラーム管理装置30からのアラームメッセージを取得して、アラームメッセージや現在のアラーム状態を表示する装置である。オペレータOは、監視端末90に表示された表示内容を通じて、アラームメッセージや現在のアラーム状態を確認することができる。
【0028】
なお、プロセスコントローラ10は、一般に、各フィールド機器2aにつながる専用ハードウェアとして構成されるが、汎用のPCサーバとして構成されるいわゆるAPC(Advanced Process Control)サーバの機能の少なくとも一部がプロセスコントローラ10上で動作する場合もある。また、プロセスコントローラ10は、図示しないOPC(Open Platform Communications)サーバを介して、またはオリジナルインターフェイスやその他のインターフェイスなどを介して、プラント2を運転制御する規格にしたがってデータを受信する。
【0029】
また、アラーム管理装置30は、OPCを利用することもできるし、OPC以外の独自の規格を利用することもできる。OPCを利用する場合、プロセスコントローラ10とアラーム管理装置30とは、OPCの規格に沿ってデータを送受信する。また、OPC以外の独自の規格を利用する場合、プロセスコントローラ10とアラーム管理装置30とは、かかる独自の規格に沿ってデータを送受信する。
【0030】
また、プロセスコントローラ10のプロセス制御の一例としては、基本的にはPID制御(Proportional-Integral-Differential Controller)を実行する。また、オプション的に、プラント2の制御に用いられる制御値またはプラント2の稼働状況を示すプロセス値を含むプラント2に関する制御データを用いたシミュレーション等により、プラント2の高度制御(APC)を実行することができる。制御データは、プロセス値(プロセス変数)PV、設定値(設定変数)SVおよび操作値(操作変数)MVなどである。
【0031】
[エンジニアEの観点による問題点]
ところで、アラームシステム1’において、アラーム定義情報を設定するアラームエンジニアリングは、最初の設定をそのまま変更することなく操業を続けるようなジョブは少ない。なぜなら、操業中にフィールド機器2aの追加、修理、交換、ファームウェアのアップデート、そしてその後のコミッショニングの実施といったメンテナンスなどが行われる場合に、フィールド機器2aの一時停止等により、大量の無駄なアラームが発生してしまうことが予想されるためである。
【0032】
その際に、プラント2全体の操業を一時的に停止させる場合には問題とならないが、システムを部分的に停止して操業を続けていくようなプラント2では、このような大量の無駄なアラームは操業を阻害するものとなる。したがって、このような場合、一般的にはオペレータOの監視範囲設定を一時的に変更したり、メンテナンス対象となるフィールド機器2aから発生するアラームの上下限値を変更したり、抑制したりすることにより、アラームの通知を一時的に止めるなどの作業を行う。
【0033】
しかし、いずれの作業にしても、人の手を介する作業となり、作業ミスや伝達ミスにより、誤ったアラームエンジニアリングがなされて、操業中のオペレーションに深刻な影響を与えてしまう場合があり得る。また、エンジニアEがメンテナンスのたびに、新たにアラーム定義情報を設計して、上長の承認を得、オペレータOに向けて周知してようやくアラーム定義情報をアラームシステム1’に反映するのは、エンジニアEに大きな負担をかけてしまう。なお、さらにメンテナンス完了後は、アラーム定義情報を元に戻してそのテストを行う必要も出てくる場合があるため、かかる場合、エンジニアEの負担はさらに増すこととなる。
【0034】
参考に、
図2にエンジニアリング作業のフローを示す。
図2に示すように、一般にアラーム定義情報の反映までには、設計(ステップS1)、承認(ステップS2)、試験(ステップS3)、周知(ステップS4)、反映(ステップS5)の各工程を順に踏む必要があると考えられる。全てのシステム導入先で、ステップS1~S5の全ての工程が常に実施されるわけではないが、アラームエンジニアリングは、専任の担当者が実施する必要のあるジョブも多く、プロセス産業に関するエンジニアリングの中でも特に慎重に実施されることが多い作業の一つである。
【0035】
[オペレータOの観点による問題点]
一方、オペレータOは、前述したエンジニアEの観点による問題点が発生しているプラント2の状態を正確に把握することは難しく、さらにその状態に応じて自身の監視業務にどのような影響が与えられるのか把握することが難しい。無論、エンジニアEから、アラーム定義情報の変更時にどのようなメンテナンスがあり、どのような定義情報の変更がなされるのか周知される場合が多いが、それを可視化できる仕組みは、アラームシステム1’には存在しない場合が多い。
【0036】
そのため、オペレータOは、あるアラームが発生するのが正しいのか間違っているのかが分からなくなり、そのような状況になると、アラームシステムとしての信頼性を担保することが難しくなる。
【0037】
ひいては、メンテナンス完了後に、アラーム定義情報を元に戻した際に作業ミスが出てしまってアラームの抑制が続いてしまった、または通常時の設定に戻すことを失念してしまった場合、オペレータOは、なぜアラームが出ないのか原因が全く分からないことさえ想定される。
【0038】
そこで、実施形態に係るアラームシステム1では、プラント2から出力される少なくともアラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいてプラント2の状態遷移を検出し、状態遷移が検出された場合に、監視中のアラームの振る舞いに関する定義情報である第1定義情報を、遷移後のプラントの状態に対応する上記定義情報である第2定義情報へ変更することとした。
【0039】
[本実施形態の全体構成]
図3は、実施形態に係るアラームシステム1の全体構成例を示す図である。なお、
図3は
図1に対応しているため、ここでは
図1と異なる点について主に説明する。
【0040】
図3に示すように、実施形態に係るアラームシステム1では、アラーム管理装置30は、「State Owner」機能を有する。また、エンジニアリング端末50は、「State Engineering Tool」機能を有する。また、データベース管理装置70は、「State-based DB Manager」機能を有する。また、監視端末90は、「State Viewer」機能を有する。
【0041】
すなわち、実施形態に係るアラームシステム1は、プラント2の「State」に基づくアラーム監視機能を実現する。ここで、本実施形態においての「State」、すなわち「状態」について説明する。
図4は、実施形態に係る「状態」の説明図(その1)である。また、
図5は、実施形態に係る「状態」の説明図(その2)である。
【0042】
図4に示すように、実施形態に係るアラームシステム1では、ユーザが定義可能なプラント2の「状態」を、「システム状態」と「階層状態」との2つに大別して取り扱う。
【0043】
「システム状態」は、プロセスコントローラ10が制御するプラント2の制御対象全体に関わる状態を指す。かかる「システム状態」の状態定義では、同図に示すように、状態の適用範囲を設定することはできない。必ずシステム全体を対象とする状態定義となる。
【0044】
また、「階層状態」は、プラント2の各フィールド機器2aなどを階層モデルで表現した場合に、階層のノード単位に指定可能な状態を指す。したがって、かかる「階層状態」の状態定義では、同図に示すように、状態の適用範囲を設定することが可能である。このように、部分的な範囲に対して「状態」の適用を可能とすることによって、メンテナンスなどにより影響ある範囲をオペレータOに認識させやすく可視化することが可能となる。
【0045】
また、
図5に示すように、ユーザが定義可能なプラント2の「状態」には例えば、「稼働中状態」、「メンテナンス中状態」、「コミッショニング中状態」、「エンジニアリング中状態」、「システム異常状態」および「非常事態状態」などが含まれる。なお、「コミッショニング中状態」は、エンジニアEが閾値等のパラメータ調整などを行っている状態を指す。
【0046】
同図に示す各状態のうち、「稼働中状態」、「メンテナンス中状態」、「コミッショニング中状態」および「エンジニアリング中状態」は、「システム状態」または「階層状態」のいずれにおいても定義可能である。一方、「システム異常状態」および「非常事態状態」は、「システム状態」としてのみ定義可能である。
【0047】
図3の説明に戻る。エンジニアリング端末50の「State Engineering Tool」機能は、前述のツール群の一部として実現される機能であり、
図4および
図5を用いて説明した「状態」の定義を行うための機能である。本機能は、状態に関する情報(状態の適用範囲および状態遷移条件)を定義し、また、状態ごとのアラーム定義情報を定義する。本機能により定義された状態別アラーム定義情報は、データベース管理装置70へ通知され(ステップS11)、データベース管理装置70によってエンジニアリングデータベース72aへ登録されて、状態ごとに管理される。
【0048】
アラーム管理装置30の「State Owner」機能は、アラーム管理装置30のアラーム管理機能の一部として実現される。本機能は、プラント2の状態を定期的にモニタリングして、その状態が前述の状態遷移条件に合致した場合に、これに応じて内部的に管理している状態を遷移させるための機能である。なお、アラーム管理装置30が有する図中のアラーム定義情報32bは、アラーム管理装置30において監視中のアラームの振る舞いに関する定義情報である。アラーム定義情報32bは、「第1定義情報」の一例に相当する。
【0049】
状態遷移条件が成立し、プラント2の状態遷移を検出すると、「State Owner」機能は、データベース管理装置70に対して、状態遷移条件の成立を示す状態遷移通知を行ってアラーム定義情報の切り替えを促す(ステップS12)。
【0050】
また、「State Owner」機能は、監視端末90に対してプラント2の状態を監視するための状態通知を行い(ステップS13)、後述する「State Viewer」機能によってオペレータOに対し、現在のプラント2の状態や状態遷移条件の合致状況などを表示させる。
【0051】
ここで、
図6は、実施形態に係る「状態遷移」の説明図である。
図6に示すように、実施形態に係る「状態遷移」には、「自律型状態遷移」と、「手動型状態遷移」との2種類がある。
【0052】
「自律型状態遷移」は、既に説明したように、プラント2の状態を定期的にモニタリングして、その状態がエンジニアEの定義した状態遷移条件に合致した場合に、これに応じて自律的にデータベース管理装置70に対し状態遷移通知を行う。
【0053】
これに対し、「手動型状態遷移」は、オペレータOまたはエンジニアEが意図的に状態を変更させるためのものである。
図3の説明に戻る。「手動型状態遷移」は、例えば監視端末90から手動による状態変更操作が通知されると(ステップS14)、かかる通知の検出に応じて「State Owner」機能が、データベース管理装置70に対して状態遷移通知を行って(ステップS12)、「自律型状態遷移」と同様にアラーム定義情報の切り替えを促す。
【0054】
「自律型状態遷移」および「手動型状態遷移」それぞれの場合の具体的な処理シーケンスについては、
図14および
図15を用いた説明で後述する。
【0055】
データベース管理装置70の「State-based DB Manager」機能は、エンジニアリングデータベース72aの管理機能の一部として実現される。本機能は、状態ごとのアラーム定義情報の管理を行うための機能である。
【0056】
本機能は、「State Engineering Tool」機能にて定義された状態ごとのアラーム定義情報をデータベースとして格納しておく機能を有する。そして、「State Owner」機能から状態遷移通知を受け取ると、エンジニアリングデータベース72aから、遷移後の状態に対応するアラーム定義情報を選出して切り替えを実施する(ステップS15)。切り替えられたアラーム定義情報である切り替え後データベース(「第2定義情報」の一例に相当)は、アラーム管理装置30に反映され、その後は反映によりアラーム定義情報32bとなった切り替え後データベースにてアラーム監視の操業が開始される。
【0057】
監視端末90の「State Viewer」機能は、監視端末90のUI機能の一部として実現される機能である。本機能は、プラント2の状態、および、状態遷移条件の合致状況などを可視化するためのUI機能である。オペレータOおよびエンジニアEは、本機能を用いて、現在プラント2がどの状態にあるのかを把握することができる。また、本機能は、前述の「手動型状態遷移」を行うための制御用UIも備えている。
【0058】
このように、実施形態に係るアラームシステム1では、アラーム管理装置30が、プラント2から出力される少なくともアラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいてプラント2の状態遷移を検出し、状態遷移が検出された場合に、監視中のアラームの振る舞いに関する定義情報である第1定義情報を、遷移後のプラントの状態に対応する上記定義情報である第2定義情報へ変更することとした。
【0059】
したがって、実施形態に係るアラーム管理装置30によれば、プラント2のアラーム監視におけるエンジニアEおよびオペレータOの作業を効率化することができる。以下、実施形態に係るアラームシステム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0060】
[アラーム管理装置30の機能構成]
図7は、アラーム管理装置30の構成例を示すブロック図である。なお、
図7および後に示す
図8~
図10では、本実施形態の説明に必要となる構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0061】
図7に示すように、アラーム管理装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。なお、アラーム管理装置30は、アラーム管理装置30を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を出力するための出力部(例えば、ディスプレイ等)を有してもよい。
【0062】
通信部31は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部31は、図示略のネットワークと有線または無線で接続され、かかるネットワークを介して、プロセスコントローラ10、データベース管理装置70および監視端末90との間で各種情報の送受信を行う。
【0063】
記憶部32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図7の例では、記憶部32は、状態情報32aと、アラーム定義情報32bとを記憶する。
【0064】
状態情報32aは、アラーム管理装置30が内部的に管理する状態に関する情報であり、現在の状態を含む。また、状態情報32aは、エンジニアEによって定義されたプラント2の各種の状態、および、これらの状態へ遷移するための状態遷移条件などを含む。
【0065】
アラーム定義情報32bは、現在の状態に対応し、反映中のアラームの振る舞いに関する定義情報である。アラーム定義情報32bは、上述した通り「第1定義情報」の一例に相当する。
【0066】
制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部32に記憶されている図示略の各種プログラム(アラーム管理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部33は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0067】
図7に示すように、制御部33は、取得部33aと、状態監視部33bと、検出部33cと、通知部33dと、変更部33eと有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部33の内部構成は、
図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行うことができる構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部33が有する各処理部の接続関係は、
図7に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0068】
制御部33は、上述した「State Owner」機能を実現するための各処理を実行する。
【0069】
取得部33aは、通信部31を介し、プロセスコントローラ10から出力されるアラームを取得する。また、取得部33aは、通信部31を介し、監視端末90から状態変更操作通知を取得する。また、取得部33aは、通信部31を介し、データベース管理装置70から通知される切り替え後データベース、すなわち遷移後のプラント2の状態に対応するアラーム定義情報を取得する。切り替え後データベースは、上述した通り「第2定義情報」の一例に相当する。
【0070】
状態監視部33bは、取得部33aによって取得されたプロセスコントローラ10からのアラームに基づいて、プラント2の状態を定期的にモニタリングする。
【0071】
検出部33cは、状態監視部33bによってモニタリングされるプラント2の状態が状態遷移条件に合致するか否かを判定し、合致した場合に、プラント2の状態遷移を検出する。また、検出部33cは、取得部33aによって状態変更操作通知が取得された場合に、プラント2の状態遷移を検出する。
【0072】
通知部33dは、検出部33cによって状態遷移が検出された場合に、通信部31を介し、データベース管理装置70に対して状態遷移通知を行う。また、通知部33dは、変更部33eによって切り替え後データベースがアラーム定義情報32bに対し反映された場合に、変更完了通知を監視端末90に対し送信する。
【0073】
変更部33eは、取得部33aによってデータベース管理装置70から切り替え後データベースが取得された場合に、これをアラーム定義情報32bに対し反映させ、アラーム定義情報32bを遷移後の状態に応じたものへ変更する。
【0074】
なお、「State Owner」機能について補足すると、制御部33は、システム状態への状態遷移が発生した場合は、適用範囲の特定は行わず、システム全体に対する状態変更をデータベース管理装置70へ通知する。階層状態の場合は、具体的にどのノードに対して状態遷移が行われるかを状態情報32aから特定して通知する。
【0075】
また、「State Owner」機能は、状態情報を公開するAPI(Application Programming Interface)を外部に提供しており、監視端末90や外部アプリケーションは、かかるAPIを介して、状態の取得や可視化を実現することが可能である。かかるAPIには、例えば、状態情報の取得インターフェイスや、状態遷移条件の成立条件/解除条件の取得インターフェイス、状態変化通知インターフェイスなどが含まれる。
【0076】
[エンジニアリング端末50の機能構成]
次に、エンジニアリング端末50の機能構成について説明する。
図8は、エンジニアリング端末50の構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、エンジニアリング端末50は、入力部51と、出力部52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55とを有する。
【0077】
入力部51は、例えば、キーボードやマウス等によって実現され、エンジニアリング端末50を利用するエンジニアEから各種操作を受け付ける。出力部52は、例えば、ディスプレイ等によって実現され、エンジニアリング端末50を利用するエンジニアEに対し、各種情報を出力する。なお、入力部51および出力部52は、例えばタッチパネルディスプレイ等により一体に構成されてもよい。
【0078】
通信部53は、上述した通信部31と同様に、例えばNIC等によって実現される。通信部53は、図示略のネットワークと有線または無線で接続され、かかるネットワークを介して、データベース管理装置70との間で各種情報の送受信を行う。
【0079】
記憶部54は、上述した記憶部32と同様に、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図8の例では、設定ツールUI情報54aを記憶する。
【0080】
設定ツールUI情報54aは、上述した「State Engineering Tool」機能を実現するためのUIに関する情報であり、エンジニアEに対し提供されるUIなどを含む。
【0081】
制御部55は、上述した制御部33と同様に、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部54に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部55は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0082】
図8に示すように、制御部55は、入出力制御部55aと、状態設定部55bと、アラーム設定部55cと、通知部55dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部55の内部構成は、
図8に示した構成に限られず、後述する情報処理を行うことができる構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部55が有する各処理部の接続関係は、
図8に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0083】
制御部55は、上述した「State Engineering Tool」機能を実現するための各処理を実行する。
【0084】
入出力制御部55aは、設定ツールUI情報54aに基づいて、アラームの振る舞いを示す属性値を定義するためのツール群を出力部52に出力させる出力制御を行う。また、入出力制御部55aは、ツール群を介し、入力部51から入力されたエンジニアEの各種操作に対する入力制御を行う。
【0085】
状態設定部55bは、入力部51から入力された入力値に基づいて、アラームシステム1における各種の状態定義を設定する。また、アラーム設定部55cは、入力部51から入力された入力値に基づいて、状態設定部55bによって設定された状態にそれぞれ紐づくアラーム定義情報を設定する。
【0086】
通知部55dは、通信部53を介し、アラーム設定部55cによって設定された状態ごとのアラーム定義情報をデータベース管理装置70へ通知する。
【0087】
なお、「State Engineering Tool」機能について補足すると、エンジニアEは、状態の詳細定義を行うことができる。詳細定義においては、エンジニアEは、少なくとも状態の種別や、さらに階層状態の場合は、条件定義、適用範囲定義を行うことができる。
【0088】
[データベース管理装置70の機能構成]
次に、データベース管理装置70の機能構成について説明する。
図9は、データベース管理装置70の構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、データベース管理装置70は、通信部71と、記憶部72と、制御部73とを有する。
【0089】
通信部71は、上述した通信部31,53と同様に、例えばNIC等によって実現される。通信部71は、図示略のネットワークと有線または無線で接続され、かかるネットワークを介して、アラーム管理装置30およびエンジニアリング端末50との間で各種情報の送受信を行う。
【0090】
記憶部72は、上述した記憶部32,54と同様に、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図9の例では、エンジニアリングデータベース72aを記憶する。
【0091】
エンジニアリングデータベース72aは、状態ごとのアラーム定義情報をデータベースとして格納しておく。
【0092】
制御部73は、上述した制御部33,55と同様に、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部72に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部73は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0093】
図9に示すように、制御部73は、取得部73aと、状態管理部73bと、切替部73cと、通知部73dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部73の内部構成は、
図9に示した構成に限られず、後述する情報処理を行うことができる構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部73が有する各処理部の接続関係は、
図9に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0094】
制御部73は、上述した「State-based DB Manager」機能を実現するための各処理を実行する。
【0095】
取得部73aは、通信部71を介し、エンジニアリング端末50から通知される状態別アラーム定義情報を取得する。また、取得部73aは、通信部71を介し、アラーム管理装置30からの状態遷移通知を取得する。
【0096】
状態管理部73bは、取得部73aによって取得された状態別アラーム定義情報をエンジニアリングデータベース72aへ登録して、状態ごとに管理する。
【0097】
切替部73cは、取得部73aによってアラーム管理装置30からの状態遷移通知が取得された場合に、かかる状態遷移通知に含まれる遷移後の状態の種別に基づき、遷移後の状態に対応するアラーム定義情報をエンジニアリングデータベース72aから選出して切り替えを実施する。
【0098】
通知部73dは、通信部71を介し、切替部73cによって切り替えられたアラーム定義情報を切り替え後データベースとしてアラーム管理装置30へ向けて通知する。
【0099】
なお、「State-based DB Manager」機能について補足すると、切替部73cは、遷移後の状態に対応するアラーム定義情報を選出するに際し、アラーム管理装置30に反映すべきアラーム定義情報をノード単位に決定付けて判定する。
【0100】
[監視端末90の機能構成]
次に、監視端末90の機能構成について説明する。
図10は、監視端末90の構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、監視端末90は、入力部91と、出力部92と、通信部93と、記憶部94と、制御部95とを有する。
【0101】
入力部91は、上述した入力部51と同様に、例えば、キーボードやマウス等によって実現され、監視端末90を利用するオペレータOから各種操作を受け付ける。出力部92は、上述した出力部52と同様に、例えば、ディスプレイ等によって実現され、監視端末90を利用するオペレータOに対し、各種情報を出力する。なお、入力部91および出力部92は、例えばタッチパネルディスプレイ等により一体に構成されてもよい。
【0102】
通信部93は、上述した通信部31,53,71と同様に、例えばNIC等によって実現される。通信部93は、図示略のネットワークと有線または無線で接続され、かかるネットワークを介して、アラーム管理装置30との間で各種情報の送受信を行う。
【0103】
記憶部94は、上述した記憶部32,54,72と同様に、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図10の例では、状態ビューワUI情報94aと、アラームメッセージデータベース94bとを記憶する。
【0104】
状態ビューワUI情報94aは、上述した「State Viewer」機能を実現するためのUIに関する情報であり、オペレータOに対し提供されるUIなどを含む。
【0105】
アラームメッセージデータベース94bは、後述する取得部95bによってアラーム管理装置30から取得されるアラームメッセージが格納されるデータベースである。
【0106】
制御部95は、上述した制御部33,55,73と同様に、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部94に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部95は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0107】
図10に示すように、制御部95は、入出力制御部95aと、取得部95bと、通知部95cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部95の内部構成は、
図10に示した構成に限られず、後述する情報処理を行うことができる構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部95が有する各処理部の接続関係は、
図10に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0108】
制御部95は、上述した「State Viewer」機能を実現するための各処理を実行する。
【0109】
入出力制御部95aは、状態ビューワUI情報94aおよびアラームメッセージデータベース94bに基づいて、プラント2の状態などを可視化する状態ビューワであるプラント状態監視画面や、アラームメッセージを可視化するアラームメッセージ監視画面を出力部92に表示させる出力制御を行う。
【0110】
ここで、入出力制御部95aが出力部92に表示させる表示例について、
図11~
図13を用いて説明する。
図11は、監視端末90の出力部92の表示例を示す図である。また、
図12は、アラームメッセージ監視画面の表示例を示す図である。また、
図13は、プラント状態監視画面の表示例を示す図である。
【0111】
図11に示すように、入出力制御部95aは、出力部92に対し、アラームメッセージ監視画面およびプラント状態監視画面を併せて表示させる。
【0112】
図12に示すように、アラームメッセージ監視画面は、アラームメッセージのメッセージレベルを示す記号のほか、タイムスタンプやメッセージナンバー、メッセージの内容などが表示される。
【0113】
また、
図13に示すように、プラント状態監視画面は、システム全体に関わるシステム状態と、プラント2の各フィールド機器2aなどを階層モデルで表現した場合の階層状態とが併せて表示される。
【0114】
図13では、例えばシステム状態は「正常」であることを示している。また、階層状態は、部分的なノードN1~N10は稼働中状態でないものの、全体としては稼働中であることを示している。
【0115】
また、同図では、ノードN1~N3,N5~N10については、メンテナンス中状態に伴う影響下にあることを示している。一方で、ノードN4については、稼働中状態であるにも関わらず、何らかの異常の兆候があることを示している。
【0116】
したがって、オペレータOは、
図11に示すように、例えばアラームメッセージ監視画面を常時監視し、必要に応じてプラント状態監視画面にてプラント状態を確認することができる。
【0117】
例えば、オペレータOは、アラームメッセージ監視画面にノードN1~N3,N5~N10に関するアラームメッセージが表示されていなくとも、プラント状態監視画面にてこれらノードがメンテナンス中状態の影響下にあり、異常ではないことを正確に把握することが可能となる。
【0118】
一方で、オペレータOは、アラームメッセージ監視画面にノードN4に関するアラームメッセージが表示された場合に、プラント状態監視画面にてかかるノードがメンテナンス中状態の影響下にないはずであることから、何らかの異常の兆候あるいは異常があることを把握することが可能となる。
【0119】
また、オペレータOは、アラームメッセージ監視画面にアラームメッセージが少ない場合には、プラント状態監視画面にて一部のノードが稼働中状態以外のメンテナンス中状態などにあるかを迅速に把握することが可能となる。
【0120】
また、オペレータOは、逆にアラームメッセージ監視画面にアラームメッセージが多すぎる場合には、プラント状態監視画面にて例えば通常の稼働中状態であるにも関わらずアラームが多発しており、システム全体あるいは一部に、異常の兆候あるいは異常があることを迅速に把握することが可能となる。
【0121】
図10の説明に戻る。また、入出力制御部95aは、入力部51から入力されたオペレータOの各種操作に対する入力制御を行う。例えば、入出力制御部95aは、入力部91を介して状態変更操作が入力された場合に、これを受け付ける。
【0122】
取得部95bは、通信部93を介し、アラーム管理装置30からのアラームメッセージを取得し、アラームメッセージデータベース94bへ格納する。
【0123】
通知部95cは、入出力制御部95aによってオペレータOによる状態変更操作が受け付けられた場合に、通信部93を介し、受け付けられた状態変更操作をアラーム管理装置30へ通知する。
【0124】
[自律型状態遷移処理の処理シーケンス]
次に、アラームシステム1が実行する自律型状態遷移処理の処理シーケンスについて、
図14を用いて説明する。
図14は、自律型状態遷移処理の処理シーケンスである。
【0125】
図14に示すように、プロセスコントローラ10が、アラーム管理装置30に対し、随時アラームを出力する(ステップS101)。そして、アラーム管理装置30は、かかるアラームに基づいて随時、状態遷移条件の条件判定を行い、条件成立を検出する(ステップS102)。なお、状態遷移条件の条件判定には、アラーム以外の情報を用いることもできる。例えば、プロセスデータ値を用いたユーザの指定する条件式の成立などが想定される。かかる例は、具体的に、A温度計の温度が第1閾値以上、B温度計の温度が第2閾値以上、C圧力計の圧力が第3閾値以上、…というように各プロセスデータ値について複合的な条件が成立した場合に状態遷移をさせたい場合などに有用である。なお、この場合、必ずしもアラームが出力されるとは限らないため、アラーム管理装置30は、プロセスデータ値を監視する必要がある。
【0126】
そして、条件成立が検出された場合、アラーム管理装置30は、データベース管理装置70に対し、状態遷移通知を行う(ステップS103)。データベース管理装置70は、状態遷移通知を受けると、これに基づいてエンジニアリングデータベース72aから遷移後の状態に対応するアラーム定義情報を選出して切り替え後データベースとするデータベース切り替えを実施する(ステップS104,S105)。
【0127】
そして、データベース管理装置70は、アラーム管理装置30に対し、切り替え後データベースを通知する(ステップS106)。アラーム管理装置30は、通知された切り替え後データベースを反映し、アラーム管理装置30が内部で管理する状態を変更する(ステップS107)。その後は、切り替え後のアラーム定義情報32bにてアラーム監視の操業が開始される。
【0128】
そして、アラーム管理装置30は、監視端末90に対し、変更完了通知を行い(ステップS108)、監視端末90は、かかる変更完了通知の表示を行って(ステップS109)、オペレータOに対し提示する。
【0129】
[手動型状態遷移処理の処理シーケンス]
次に、アラームシステム1が実行する手動型状態遷移処理の処理シーケンスについて、
図15を用いて説明する。
図15は、手動型状態遷移処理の処理シーケンスである。
【0130】
図15に示すように、オペレータOが意図的に状態変更操作を行うと(ステップS201)、監視端末90は、これを受けてアラーム管理装置30に対し、状態変更操作通知を行う(ステップS202)。
【0131】
アラーム管理装置30は、状態変更操作通知を受けると、データベース管理装置70に対し、状態遷移通知を行う(ステップS203)。データベース管理装置70は、状態遷移通知を受けると、これに基づいてエンジニアリングデータベース72aから遷移後の状態に対応するアラーム定義情報を選出して切り替え後データベースとするデータベース切り替えを実施する(ステップS204,S205)。
【0132】
そして、データベース管理装置70は、アラーム管理装置30に対し、切り替え後データベースを通知する(ステップS206)。アラーム管理装置30は、通知された切り替え後データベースを反映し、アラーム管理装置30が内部で管理する状態を変更する(ステップS207)。その後は、切り替え後のアラーム定義情報32bにてアラーム監視の操業が開始される。
【0133】
そして、アラーム管理装置30は、監視端末90に対し、変更完了通知を行い(ステップS208)、監視端末90は、かかる変更完了通知の表示を行って(ステップS209)、オペレータOに対し提示する。
【0134】
[効果]
上述してきたように、実施形態に係るアラーム管理装置30は、プラント2から出力される少なくともアラームを含む出力情報またはユーザからの指示に基づいてプラント2の状態遷移を検出する検出部33cと、かかる状態遷移が検出された場合に、監視中のアラームの振る舞いに関する定義情報であるアラーム定義情報32b(「第1定義情報」の一例に相当)を、遷移後のプラント2の状態に対応する上記定義情報である切り替え後データベース(「第2定義情報」の一例に相当)へ変更する変更部33eとを有する。したがって、実施形態に係るアラーム管理装置30によれば、プラント2のアラーム監視におけるエンジニアEおよびオペレータOの作業を効率化することができる。
【0135】
具体的には、エンジニアEは、メンテナンス中やコミッショニング中なども含めた総合的なアラームエンジニアリングを事前に設計することができる。また、これにより、メンテナンスのたびに対応方法を検討するなどの必要性がなくなり、作業のオーバーヘッドが低減することが期待できる。また、システムが自律的にエンジニアリングの切り替えを行うことにより、効率的かつ確実にアラーム定義情報32bを更新することができ、切り替え時のミスの発生を解消することができる。
【0136】
また、オペレータOは、メンテナンスやコミッショニングが実施される際に、どのような変更がなされるのかを把握することができる。また、シミュレーション時にもこのような「状態」のテストを組み入れることが可能となり、実際の運用場面での事故が少なくなることが期待できる。また、システムとして、プラント2の状態を確認するためのUIを提供することで、現状どのような状況でアラームが動作しているのかをリアルタイムに確認することができ、どのアラームのエンジニアリングに変更があるのかを効率的に把握することが可能となる。
【0137】
また、変更部33eは、状態遷移の内容を示す状態遷移通知に基づき、プラント2の状態ごとに予め定義された定義情報のうちから選出される切り替え後データベースによって、アラーム定義情報32bを更新する。したがって、実施形態に係るアラーム管理装置30によれば、プラント2の状態ごとに予め定義された定義情報に基づいてプラント2の状態ごとで効率的にアラーム定義情報32bを切り替えることが可能となる。
【0138】
また、上記出力情報は、プロセスデータをさらに含み、検出部33cは、プラント2から出力されるアラームおよびプロセスデータの一方または双方に基づいて状態遷移を検出し、変更部33eは、アラームおよびプロセスデータに基づいて検出された状態遷移に応じて自律的に、アラーム定義情報32bを変更する。したがって、実施形態に係るアラーム管理装置30によれば、自律型状態遷移処理により、効率的かつ確実にアラーム定義情報32bを更新することができ、切り替え時のミスの発生を解消することができる。
【0139】
また、検出部33cは、アラームを監視するオペレータOを含むユーザからの状態変更操作に基づいて状態遷移を検出し、変更部33eは、状態変更操作に基づいて検出された状態遷移に応じて、アラーム定義情報32bを変更する。したがって、実施形態に係るアラーム管理装置30によれば、手動型状態遷移処理により、オペレータOやエンジニアEの意図的な状態遷移を発生させ、これに基づき例えば効率的なテスト等を行うことが可能となる。
【0140】
また、アラームの振る舞いに関する定義情報は、プラント2におけるフィールド機器2aなど(「制御対象機器」の一例に相当)を階層モデルで表現した場合の階層のノード単位でプラント2の状態を定義可能であり、変更部33eは、上記ノード単位で予め定義されたプラント2の状態ごとの上記定義情報のうちから切り替え後データベースを選出可能である。したがって、実施形態に係るアラーム管理装置30によれば、一部のフィールド機器2aを一時停止させつつプラント2の操業は継続するような場合であっても、大量の無駄なアラームを発生させることなく、オペレータOの監視業務を支援することが可能となる。
【0141】
また、実施形態に係るアラーム管理装置30は、階層モデルに基づくノード単位でのプラント2の状態が表示可能となるように、監視端末90に対しプラントの状態を通知する通知部33dをさらに有する。したがって、実施形態に係るアラーム管理装置30によれば、メンテナンスなどにより影響ある範囲をオペレータOに認識させやすく可視化することが可能となる。
【0142】
[その他の実施形態]
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0143】
[表示例等]
上記実施形態で用いた表示例の表示レイアウトなどは、あくまで一例であり、任意に変更することができる。
【0144】
[バッチ処理機能との連動]
また、上記実施形態は、バッチ処理機能と連動して、プロセスの進捗に応じてアラームの振る舞いを変化させるようにしてもよい。かかる場合、プラント2の状態から考え方を発展させて、プラント2のバッチ処理におけるプロセスの進捗に応じて、アラームの検出条件を変化させたりすることが期待できる。
【0145】
[エンジニアリング支援機能]
また、上記実施形態は、メンテナンス時のエンジニアリング作業を容易なものとするため、例えばプラント2の状態が遷移した場合に、遷移後の状態の適用範囲から発生するアラームは自動的に全て低プライオリティで通知するなど、適用範囲に対して一括したエンジニアリング作業が可能となるようにしてもよい。
【0146】
[シミュレータ機能の連携]
また、上記実施形態は、実際の現場におけるシミュレーションを行う際に、かかるシミュレーションを行うシミュレータ機能と連携することにより、メンテナンスやコミッショニング実施時のシミュレーションを容易に実施できることが期待できる。
【0147】
[システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0148】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0149】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0150】
[ハードウェア]
上述してきた実施形態に係るアラーム管理装置30や、エンジニアリング端末50、データベース管理装置70および監視端末90は、例えば
図16に示すような構成のコンピュータ100によって実現される。以下、アラーム管理装置30を例に挙げて説明する。
図16は、実施形態に係るアラーム管理装置30の機能を実現するコンピュータ100の一例を示すハードウェア構成図である。
【0151】
図16に示すように、コンピュータ100は、通信装置100a、HDD(Hard Disk Drive)100b、メモリ100c、プロセッサ100dを有する。また、
図16に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0152】
通信装置100aは、NICなどであり、他の装置との通信を行う。HDD100bは、
図7に示した機能を動作させるプログラムやデータベースを記憶する。
【0153】
プロセッサ100dは、
図7に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100b等から読み出してメモリ100cに展開することで、
図7等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、アラーム管理装置30が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ100dは、取得部33a、状態監視部33b、検出部33c、通知部33d、変更部33e等と同様の機能を有するプログラムをHDD100b等から読み出す。そして、プロセッサ100dは、取得部33a、状態監視部33b、検出部33c、通知部33d、変更部33e等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0154】
このように、コンピュータ100は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する情報処理装置として動作する。また、コンピュータ100は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、ここにいうプログラムは、コンピュータ100のみによって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のハードウェア構成を有するコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0155】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【符号の説明】
【0156】
1 アラームシステム
2 プラント
10 プロセスコントローラ
30 アラーム管理装置
31 通信部
32 記憶部
32a 状態情報
32b アラーム定義情報
33 制御部
33a 取得部
33b 状態監視部
33c 検出部
33d 通知部
33e 変更部
50 エンジニアリング端末
70 データベース管理装置
90 監視端末
E エンジニア
O オペレータ