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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】レーダ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20240618BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20240618BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20240618BHJP
   H01Q 17/00 20060101ALI20240618BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G01S7/03 246
G01S13/931
H01Q1/42
H01Q17/00
H01Q21/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021074842
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169051
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田井中 佑介
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】栗田 章史
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-057483(JP,A)
【文献】特開2001-313521(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107134642(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - G01S 7/42
G01S 13/00 - G01S 13/95
H01Q 1/42
H01Q 15/00 - H01Q 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置(1)であって、
電波を放射する1つ以上のアンテナが設置されたアンテナ面(35)を含み、予め定められた周波数帯の対象電波を照射するように構成されたアンテナ部(341)と、
前記対象電波が透過する位置に設けられるように構成されたカバー部(32、8)と、
前記カバー部の外面のうち、前記アンテナ部の検知角度の範囲外の領域である検知範囲外領域(40)に前記カバー部と一体に形成される電波抑制部(36)であって、導電性を有する導電化部(50)と、導電性を有しない非導電化部(60)と、を含む前記電波抑制部と、
を備え、
前記導電化部は、前記カバー部の材質が変化した部分である
レーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記電波抑制部は、前記導電化部が、予め定められた形状に形成され予め定められた少なくとも一つの特定方向に沿って、予め定められた間隔で配列される
レーダ装置。
【請求項3】
請求項に記載のレーダ装置であって、
前記電波抑制部は、前記外面から突出するように形成される複数の突出部(70)と、前記外面から前記突出部を除いた残りの部分である非突出部(71)と、を備え、
前記突出部は前記特定方向に沿って、予め定められた間隔で配列され、
前記突出部の表面及び前記非突出部のうち少なくとも一方に、前記導電化部が形成される
レーダ装置。
【請求項4】
請求項に記載のレーダ装置であって、
前記電波抑制部では、前記導電化部が、前記突出部の表面、及び、前記非突出部のうちの両方に、形成される
レーダ装置。
【請求項5】
請求項または請求項に記載のレーダ装置であって、
前記突出部の突出高さは、λ/4の奇数倍である
レーダ装置。
【請求項6】
請求項から請求項のいずれか一項に記載のレーダ装置であって、
前記突出部の間隔は、λ/4の奇数倍である
レーダ装置。
【請求項7】
請求項から請求項のいずれか一項に記載のレーダ装置であって、
前記特定方向は、予め定められた第1方向と、前記第1方向に垂直な予め定められた第2方向と、を含む
レーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転や衝突防止などを目的として使用されるミリ波レーダが知られている。ミリ波レーダは、電波を照射し、照射した電波が物体にて反射した反射波を検出して、所定の検知エリア内における物体の存在やその物体までの距離を検知するためのレーダである。
【0003】
ミリ波レーダの性能は、車両に搭載して評価すると、レーダ単体で評価したときと比較して劣化する。これは、検知エリアから外れたり意図しない領域に回り込んだりした電波である不要波が、干渉波となってレーダ波の位相を乱し、物体の方位検知に誤差を生じさせることによって生じる。主要な不要波としては、例えば、バンパからの反射波が知られている。
【0004】
特許文献1には、レーダ装置内に、電磁波を吸収する材料にて形成された吸収要素を設けることで、不要波による影響を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国2020/0243960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載のレーダ装置では、吸収要素を新たな部品として設置する必要があるため、製造のためのコストが上昇するという問題があった。また、吸収要素を設置する際の設置精度のばらつきが、物体の方位検知に誤差を生じさせる要因となる、という新たな課題も見出された。
【0007】
本開示の一態様では、吸収要素を設置する際に生じ得る課題を解決し、レーダ装置による方位検知誤差を低減する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、レーダ装置(1)であって、アンテナ部(341)と、カバー部(32、8)と、電波抑制部(36)と、を備える。アンテナ部は、電波を放射する1つ以上のアンテナが設置されたアンテナ面(35)を含み、予め定められた周波数帯の対象電波を照射するように構成される。カバー部は、対象電波が透過する位置に設けられるように構成される。電波抑制部は、カバー部の外面のうち、アンテナ部の検知角度の範囲外の領域である検知範囲外領域(40)にカバー部と一体に形成され、導電性を有する導電化部(50)と導電性を有しない非導電化部(60)と、を含む。
【0009】
このような構成によれば、電波抑制部はレーダ装置外へ向かう不要波及びレーダ装置内へ向かう不要波を抑制するので、これらの不要波が検知エリア内に放射される直接波と干渉することによって方位検知に誤差を生じさせること、を抑制することができる。また、吸収要素を新たに設置する必要がないため、製造のためのコストも、吸収要素を設置する際の設置精度のばらつきに基づいて生じ得る方位検知誤差も、抑制することができる。つまり、吸収要素を設置する際に生じ得る課題を解決し、レーダ装置による方位検知誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のレーダ装置を示す斜視図である。
図2図1におけるII-II線での断面図である。
図3図1におけるIII-III線での断面図である。
図4図3におけるIV-IV線での断面図に、アンテナ部341の構成を投影した説明図である。
図5】検知範囲外領域を説明する説明図である。
図6】実施形態の電波抑制部を説明する説明図である。
図7】実施形態の電波抑制部を説明する説明図である。
図8】不要波を説明する説明図である。
図9】実施形態の電波抑制部の作用を説明する説明図である。
図10】変形例1の電波抑制部を説明する説明図である。
図11】シミュレーションの対象を説明する説明図である。
図12】シミュレーションによる、S11の改善効果を示すグラフである。
図13】シミュレーションによる、S21の改善効果を示すグラフである。
図14】他の実施形態において電波抑制部がレドーム非対向面に形成される例を説明する説明図である。
図15】他の実施形態において電波抑制部がバンパ対向面に形成される例を説明する説明図である。
図16】他の実施形態において変形例1の電波抑制部がバンパ対向面に形成される例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。なお、以下でいう「垂直」とは、厳密な意味での垂直に限るものではなく、同様の効果を奏するのであれば厳密に垂直でなくてもよい。「奇数倍」、「等しい」についても同様である。
[実施形態]
[1.構成]
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示す本実施形態のレーダ装置1は、車両に搭載され、対象電波を送受信することにより、予め定められた検知範囲内に存在する物体との距離を少なくとも測定するための装置である。対象電波は、あらかじめ定められた周波数帯の電波であり、例えばミリ波が用いられる。本実施形態では、77GHz帯を周波数とするミリ波が用いられるが、使用される周波数はこれに限定されるものではない。
【0013】
レーダ装置1は、例えば、車両のバンパ8の内側に位置する、車両のボディ9の一部である金属製の板面に固定される。
図2図4に示すように、レーダ装置1は、ロアケース31と、レドーム32と、コネクタ33と、回路基板34と、電波抑制部36と、を備える。
【0014】
ロアケース31は、電波を非透過とする材料で形成された箱状の部材である。ロアケース31は、直方体状の外形に形成されており、1つの面が開口している。
レドーム32は、主に、電波を透過する樹脂材料で形成された板状の部材である。レドーム32は、対象電波が透過する位置に設けられている。レドーム32は、ロアケース31の開口を塞ぐようにロアケース31に取り付けられる。
【0015】
ロアケース31及びレドーム32は、回路基板34を収納する空間を形成する。ロアケース31及びレドーム32を併せて筐体ともいう。
ロアケース31の側壁には、コネクタ33が設けられる。コネクタ33は、回路基板34上の電子回路(すなわち、後述する送受信回路部342)と当該レーダ装置1を搭載する車両とを電気的に接続するために用いられる。
【0016】
回路基板34は、アンテナ部341と、送受信回路部342とを備える。
アンテナ部341は、例えば、複数のパッチアンテナ343を2次元アレイ状に配置することで構成され、対象電波を送受信する。アンテナ部341が構成された面をアンテナ面35という。
【0017】
ここで、回路基板34の長辺方向をx軸方向、短辺方向をy軸方向とし、アンテナ面35に対して垂直な軸方向をz軸方向とする。以下では、このxyz三次元座標軸を適宜用いて説明する。但し、アンテナ面35を境界として放射波が放射される側がz軸のプラス側であり、その反対側がz軸のマイナス側である。
【0018】
複数のパッチアンテナ343を2次元アレイ状に配置するとは、x軸方向及びy軸方向に沿ってそれぞれ複数個のパッチアンテナ343が2次元的に配列されることをいう。
ここでは、図2図4に示すように、y軸方向に沿って1列に配置された複数(例えば、7個)のパッチアンテナ343が、それぞれ、一つのアレーアンテナ(以下、単位アンテナ344)として機能するように構成される。つまり、アンテナ部341は、図3図4に示すように、複数(例えば、5個)の単位アンテナ344がx軸方向に沿って配列された構造である。但し、単位アンテナ344に含まれるパッチアンテナ343の数、及びアンテナ部341に含まれる単位アンテナ344の数は、これに限定されるものではない。
【0019】
複数の単位アンテナ344は、例えば、いずれか1つが送信アンテナとして使用され、それ以外は受信アンテナとして使用され得る。つまり、レーダ装置1では、単位アンテナ344の配列方向であるx軸方向が方位検知方向となる。但し、送信アンテナ及び受信アンテナの態様はこれに限定されるものではなく、送信アンテナとして使用される単位アンテナ344、及び受信アンテナとして使用される単位アンテナ344の数及び配置は、任意に設定され得る。また、すべての単位アンテナ344が送信アンテナとして使用されてもよいし、すべての単位アンテナ344が受信アンテナとして使用されてもよい。
【0020】
送受信回路部342は、コネクタ33を介して入力される指令に従って、アンテナ部341に供給する送信信号を生成する回路を含む。また送受信回路部342は、アンテナ部341から供給される受信信号をダウンコンバート等の信号処理をしてコネクタ33を介して出力する回路等を含む。
【0021】
以下では、回路基板34がロアケース31に取り付けられたレーダ装置1に対しても、回路基板34のxyz軸方向を適用する。ここでは、レーダ装置1は、y軸方向が車高方向と一致し、x軸方向が水平方向と一致し、z軸方向が検知エリアの中心方向と一致するように車両に固定される。
【0022】
検知エリアは、図3に示すように、アンテナ面35の中央を原点として、x-z平面内においてアンテナ面35の法線方向、すなわちz軸方向を0°とする所定角度範囲(以下、所定角度範囲θxともいう)のエリアを含む。所定角度範囲θxは、例えば、-60°~+60°に設定される。但し、所定角度範囲θxはこれに限定されるものではなく、これよりも狭角に設定されてもよいし、これよりも広角に設定されてもよい。
【0023】
また、検知エリアは、図2に示すように、アンテナ面35の中央を原点として、y-z平面内においてアンテナ面35の法線方向、すなわちz軸方向を0°とする所定角度範囲(以下、所定角度範囲θyともいう)のエリアを含む。所定角度範囲θyは、所定角度範囲θxよりも狭角に設定される。
【0024】
電波抑制部36は、レドーム対向面321に、図2図4に示すように形成される。レドーム対向面321は、レドーム32における外面のうち、アンテナ面35に対向する(すなわち、向かい合う)面である。外面とは、露出する面をいう。なお、レドーム32における外面のうち、アンテナ面35に対向しない外面をレドーム非対向面322という。
【0025】
詳しくは、電波抑制部36は、レドーム対向面321における検知範囲外領域40内に形成される。検知範囲外領域40とは、図5に示すように、アンテナ部341の検知角度θの範囲(すなわち、アンテナ部341の検知エリア)外の領域である。ここでいうθは上述のθxであってもよいしθyであってもよい。例えば、アンテナ部341の検知角度θの範囲をレドーム対向面321に投影した領域(以下、投影領域41)が、レドーム対向面321におけるアンテナ部341の検知角度θの範囲(すなわち、検知エリア)内の領域に相当する。
【0026】
つまり、検知範囲外領域40とは、レドーム対向面321における投影領域41外の領域をいう。ここでは、電波抑制部36は、図4に示すように、レドーム対向面321における、検知範囲外領域40のほぼ全域に形成される。具体的には、電波抑制部36は、検知範囲外領域40のうち、投影領域41から予め定められた所定長さdk離れた予備領域45を除いた残りの領域(以下、形成領域44ともいう)に形成される。形成領域44とは、検知範囲外領域40のうちの電波抑制部36が形成される領域をいう。所定長さdkは、電波抑制部36がアンテナ部341の指向性に影響を与えない程度の長さに、適宜設定され得る。
【0027】
電波抑制部36は、図6及び図7に示すように、導電性を有する導電化部50と、導電性を有しない非導電化部60と、を含む。ここでいう導電性を有するとは、導電率が1S/m以上であることをいう。導電化部50は、レドーム対向面321において、レドーム32の材質を変化させた部分である。導電化部50は、レドーム32の材質を変化させることにより導電性を有するように、且つ、レドーム32と一体であるように形成される。電波抑制部36において導電化部50以外の残りの部分を非導電化部60という。
【0028】
レドーム32の材質を変化させた部分、とは具体的には、レドーム32の材料である樹脂を炭化させた部分、である。樹脂は、熱が加えられて炭化することによって、導電性を有するように、材質が変化し得る。なお、樹脂を炭化することにより得られる導電率は、約10-100S/mである。
【0029】
レドーム32の材料としての樹脂は、芳香族系の樹脂が用いられ得る。例えば、PBT(すなわち、ポリブチレンテレフタラート)、PPS(すなわち、ポリフェニレンサルファイド)、PI(すなわち、ポリイミド)、フェノール等が含まれる。
【0030】
つまり、導電化部50は、レドーム対向面321において、レドーム32の材料である樹脂が炭化したことにより導電性を有する部分であり、具体的には、樹脂にレーザ光を照射することによって樹脂を炭化させる。導電化部50は、レドーム対向面321において、後述する不要波を抑制したい箇所(すなわち、ここではレドーム対向面321における検知範囲外領域40のほぼ全域)に、レーザ光を適宜照射することによって形成される。このようにして、電波抑制部36は、レドーム32と一体に形成される。ここでいう一体に形成されるとは、レドーム32に新たな部品を追加すること無く、レドーム32の一部として形成されること、をいう。
【0031】
レーダ装置1では、図7に示すように、電波抑制部36は、レドーム対向面321から突出するように形成される複数の突出部70を備える。突出部70は、レドーム32と同じ材料により形成される。電波抑制部36のうち、突出部70を除いた残りの部分、すなわち、レドーム対向面321における形成領域44内から突出部70を除いた残りの部分を非突出部71という。
【0032】
それぞれの突出部70は、略立方体に形成されており、複数の突出部70は、x方向及びy方向に沿って、予め定められた間隔であるピッチ間隔Pで配列される。つまり、突出部70の表面であって突出する方向(すなわち、-z方向)における面である天面324は、略正方形に形成されている。ここでは、天面324の一辺の長さ(すなわち、突出部70の幅D)、及び突出部70のレドーム対向面321からの突出高さHは等しい。そして、電波抑制部36のうち、突出部70の表面であって突出する方向(すなわち、-z方向)における天面324、及び、非突出部71の両方に、導電化部50が形成される。
【0033】
ここで、電波抑制部36では、突出部70の天面324に着目すると、導電化部50は、予め定められた形状である略正方形に形成され、特定方向であるx方向及びy方向に沿って、予め定められた間隔であるピッチ間隔Pで配列されている、といえる。特定方向は、導電化部50が配列される方向である。突出部70の導電化部50は、x方向に沿ってまたはy方向に沿って、ピッチ間隔P毎に順に、略正方形にレーザ光を照射することにより形成される。
【0034】
一方、電波抑制部36では、非突出部71に着目すると、導電化部50は、予め定められた形状である直線に形成され、特定方向であるx方向及びy方向に沿って、予め定められた間隔(すなわち、突出部70の幅D)で配列されている、といえる。ここでいう直線とは、ピッチ間隔Pを線幅とする直線をいう。突出部70の導電化部50は、x方向に沿ってまたはy方向に沿って、突出部70の幅D毎に順に、ピッチ間隔Pを線幅とする直線状にレーザ光を照射することにより形成される。つまり、非突出部71に着目すると、導電化部50が格子状に形成される。
【0035】
ここで、アンテナ部341が送受信する対象電波の波長をλとして、突出部70のレドーム対向面321からの突出高さHは、H=λ/4に設定される。但し、厳密にH=λ/4である必要はなく、例えば±25%以内程度のずれがあってもよい。なお、突出高さHは、λ/4の奇数倍であればよい。奇数は、2n+1(但し、nは整数)で表される。
【0036】
また、突出部70の幅Dは、D=λ/4に設定される。但し、厳密にD=λ/4である必要はなく、例えば±25%以内程度のずれがあってもよい。なお、突出部70の幅Dは、λ/4の奇数倍であればよい。
【0037】
また、突出部70の間隔であるピッチ間隔Pは、P=λ/4に設定される。但し、厳密にP=λ/4である必要はなく、例えば±25%以内程度のずれがあってもよい。なお、ピッチ間隔Pは、λ/4の奇数倍であればよい。
【0038】
[2.作用]
車両では、図8に示すように、レーダ装置1(すなわち、アンテナ部341)から直接放射された放射波(以下、直接波ともいう)は、レドーム32を介してレーダ装置1外部に放射される。直接波の一部は、バンパ8にて1回反射され、または、バンパ8とレドーム32との間で多重反射され、レーダ装置1へ向かう反射波またはバンパ8へ向かう反射波となり得る。ここでは、直接波の一部であって、バンパ8とレドーム32との間の反射によってレーダ装置1へ向かう反射波(すなわち、レーダ装置1の筐体内へ向かう反射波)またはバンパ8へ向かう反射波を、不要波という。このような不要波は、レーダ装置1外及びレーダ装置1内において、検知エリア内に放射される直接波(すなわち、レーダ波)と干渉することによって、方位検知に誤差を生じさせるおそれがある。
【0039】
レーダ装置1では、図9に示すように、電波抑制部36にて突出部70の突出高さHがλ/4に設定されている。このため、突出部70に形成された導電化部50での反射波101と、非突出部71に形成された導電化部50での反射波102とは、位相が180°近くずれ、互いに打ち消しあう。つまり、レドーム32における対象電波の反射特性(すなわち、いわゆるS11特性)は、対象電波の周波数において相対的に小さい値となる。
【0040】
このように、バンパ8からレドーム32へ向かう反射波の一部は、突出部70及び非突出部71に形成された導電化部50により互いに打ち消し合うので、レドーム32にて反射され再びバンパ8に向かう反射波が抑制される。したがって、電波抑制部36によって、レーダ装置1外へ向かう(すなわち、バンパ8へ向かう)不要波が抑制される。これにより、該不要波が、バンパ8との多重反射等によって、検知エリア内に放射される直接波と干渉して方位検知に誤差を生じさせること(すなわち、干渉波となること)、が抑制される。
【0041】
また、レーダ装置1では、図9に示すように、突出部70の天面324及び非突出部71の両方に導電化部50が形成されるので、バンパ8からレドーム32へ向かう反射波は筐体内へ透過し難い。バンパ8からレドーム32へ向かう反射波は、突出部70における天面324を除く側面からしか筐体内へ透過できないため、である。例えば、図9に示す反射波103-反射波105のうち、反射波105は筐体内へ透過するが、反射波103-104は導電化部50にて反射され筐体内へ透過できない。
【0042】
換言すれば、ある特定の角度でバンパ8からレドーム32へ向かう反射波(例えば、反射波105)以外は、筐体内へ透過できない。レドーム32における対象電波の透過特性(すなわち、いわゆるS21特性)は、相対的に小さい値となる。このように、バンパ8からレドーム32へ向かう反射波の一部は、突出部70及び非突出部71に形成された導電化部50により減衰されて筐体内へ透過する。したがって、電波抑制部36によって、レーダ装置1内へ向かう(すなわち、バンパ8からの)不要波が抑制される。これにより、該不要波が、レーダ装置1内での多重反射等によって、検知エリア内に放射される直接波と干渉して方位検知に誤差を生じさせること(すなわち、干渉波となること)、が抑制される。
【0043】
つまり、電波抑制部36はレドーム32と一体に形成され、結果として、電磁波を吸収するいわゆる吸収要素と同様に、不要波による物体の方位検知誤差への影響を抑制するように作用する。
【0044】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(3a)レーダ装置1によれば、電波抑制部36は、レドーム32のレドーム対向面321のうちの検知範囲外領域40に、レドーム32と一体に形成され、導電化部50と非導電化部60とを含む。
【0045】
電波抑制部36はレーダ装置1外へ向かう不要波及びレーダ装置1内へ向かう不要波を抑制するので、これらの不要波が検知エリア内に放射される直接波と干渉することによって方位検知に誤差を生じさせること、を抑制することができる。また、吸収要素を新たに設置する必要がないため、製造のためのコストも、吸収要素を設置する際の設置精度のばらつきに基づいて生じ得る方位検知誤差も、抑制することができる。
【0046】
つまり、吸収要素を設置する際に生じ得る課題を解決し、レーダ装置1による方位検知誤差を低減することができる。また、吸収要素等をレドーム32と別に(例えば、回路基板34上に)新たに設置する必要がないため、レーダ装置1の軽量化を図ることができ、レーダ装置1の薄型化(すなわち、z方向の厚さを薄くすること)を図ることができる。このように、レーダ装置1では、吸収要素を設置する際に生じ得る課題を解決し、レーダ装置1による方位検知誤差を低減することができる。
【0047】
(3b)レーダ装置1によれば、導電化部50は、レドーム32の材質が変化した部分である。材質が変化した部分とは、具体的には、材料が炭化した部分をいう。これにより、レドーム32の一部が導電化部50(すなわち、電波抑制部36)として形成されるので、製造のためのコストをより低減することができる。また、レーダ装置1をより軽量化し、より薄型化することができる。
【0048】
(3c)レーダ装置1によれば、電波抑制部36は、導電化部50が、予め定められた形状に形成され、予め定められた特定方向に沿って、予め定められた間隔で配列される。つまり、導電化部50が、特定方向において周期性をもって配列される。これにより、導電化部50の形状、間隔等を適宜設定することによって、導電化部50が周期性を持たず配列される場合よりも、不要波が逆相になって互いに打ち消し合い減衰する可能性を高めることができる。結果として、レーダ装置1による方位検知誤差を抑制することができる。また、導電化部50が周期性をもって配列されるので、導電化部50が周期性を持たず配列される場合よりも、レーザ光を照射して炭化させる際の作業効率を高めることができる。
【0049】
(3d)上述のレーダ装置1によれば、電波抑制部36は、突出部70と非突出部71と、を備えるように形成され、突出部70は特定方向に沿って予め定められた間隔で配列され、突出部70の表面及び非突出部71のうち少なくとも一方に導電化部50が形成される。これにより、突出部70の突出高さHを適宜設定することによって、不要波が逆相になって互いに打ち消し合い減衰する可能性を高めることができる。また、電波抑制部36は、導電化部50が突出部70の表面及び非突出部71のうちの少なくとも一方に形成されるので、不要波を減衰させることができる。結果として、レーダ装置1の方位検知誤差を抑制することができる。
【0050】
(3e)特に上述のレーダ装置1によれば、電波抑制部36において、導電化部50は、非突出部71及び突出部70の表面のうちの両方に形成される。これにより、電波抑制部36は、突出部70及び非突出部71のうち一方に導電化部50が形成される場合よりも多くの導電化部50を備えるので、不要波をより減衰させることができる。結果として、レーダ装置1の方位検知誤差をより抑制することができる。
【0051】
(3f)上述のレーダ装置1によれば、突出部70の突出高さHは、λ/4の奇数倍である。これにより、突出部70の突出高さHがλ/4の奇数倍でない場合よりも、不要波が逆相になって互いに打ち消し合い減衰する可能性を更に高めることができる。結果として、レーダ装置1の方位検知誤差を更に抑制することができる。
【0052】
(3g)電波抑制部36において、隣り合う突出部70同士の間隔(すなわち、ピッチ幅P)は、特定方向において、λ/4の奇数倍である。これにより、不要波(例えば、特に特定方向に伝搬する不要波)が逆相になって互いに打ち消し合い減衰する可能性を高めることができる。結果として、レーダ装置1の方位検知誤差をより抑制することができる。
【0053】
(3h)導電化部50が、規則性をもって配列される特定方向は、x方向と、x方向に垂直なy方向と、を含む。例えば、導電化部50の形状が直線であり、このような導電化部50がx方向及びy方向にそれぞれ配列されると、電波抑制部36では導電化部50が、互いに垂直に、格子状に配列される。これにより、導電化部50は互いに垂直となるため、レーザ光を照射して炭化させる際の作業効率をより高めることができる。
【0054】
なお、上述の実施形態において、レドーム32がカバー部に相当し、単位アンテナ344がアンテナに相当し、レドーム対向面321がカバー部の外面に相当する。また、1辺の長さが幅Dである略正方形が予め定められた形状に相当し、x方向及びy方向が特定方向に相当し、ピッチ間隔Pが予め定められた間隔に相当する。また、ピッチ間隔Pを線幅とする直線が予め定められた形状に相当し、x方向及びy方向が特定方向に相当し、幅Dが予め定められた間隔に相当する。また、x方向が第1方向に相当し、y方向が第2方向に相当する。
【0055】
[4.変形例]
変形例1は、基本的な構成は上述の実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、上述の実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0056】
変形例1のレーダ装置1では、レドーム32に電波抑制部36aを備える。図10に示すように、電波抑制部36aは、突出部70を備えない。電波抑制部36aは、レドーム32のレドーム対向面321に、上述のピッチ間隔Pを線幅とする直線に形成される導電化部50が、x方向及びy方向に沿って上述の幅Dの間隔毎に配列される。つまり、電波抑制部36aでは導電化部50が、互いに垂直に、格子状に配列される。これにより、上述の(1a)-(1c)、(1h)と同様の効果を得ることができる。
【0057】
[5.測定]
図12は、アンテナ部341で取得される信号に基づき、60GHz-90GHzの範囲でS11を、シミュレーションによって算出した結果を示す。太い実線が本開示の実施形態であり、細い実線が変形例1であり、短い破線が後述する比較例1であり、長い破線が後述する比較例2である。実施形態では、λ=約4mm(すなわち、対象電波である77GHz帯の電波の約1波長)、D=約1mm(すなわち、約λ/4)、H=約1mm、P=約1mmとした。
【0058】
図11に示すように、比較例1は、突出部70を形成せず板状に形成したレドーム32のうち、形成領域44と同じ領域に、電波抑制部36に代えて電波吸収体201(すなわち、吸収要素)を形成した。電波吸収体201としては炭素繊維をフィラーとして混ぜたPBTを用いた。比較例1では、電波抑制部36aを、2色成形によって、レドーム32のうちの形成領域44と同じ領域を、炭素繊維をフィラーとして混ぜたPBTによって形成し、残りの部分を、炭素繊維をフィラーとして混ぜないPBTによって形成した。
【0059】
比較例2では、レドーム32を、PBTを用いて形成した。比較例2では、レドーム32に本開示の実施形態の電波抑制部36と同様の突出部70及び非突出部71を形成し、突出部70及び非突出部71のいずれにも導電化部50を形成しない構成とした。
【0060】
変形例1は、上述のように、突出部70を形成せずPBTを板状に形成したレドーム32に、ピッチ間隔Pを線幅とする直線に形成される導電化部50が、x方向及びy方向に沿って幅Dの間隔毎に配列される構成とした。
【0061】
本開示の実施形態では、S11が、特に対象電波の周波数(すなわち、77GHz)付近において、比較例1及び比較例2よりもより小さいこと(すなわち、反射波が大きく抑制されること)、がわかる。つまり、レドーム32にて反射されバンパ8へ向かうおそれがある上述の不要波が大きく抑制されること、がわかる。
【0062】
また、変形例1では、S11が、対象電波の周波数よりも低い周波数においては比較例1よりも小さく(すなわち、反射波が大きく抑制され)、対象電波の周波数よりも高い周波数においては比較例1とほぼ同じであること、がわかる。つまり、レドーム32にて反射されバンパ8へ向かうおそれがある上述の不要波が、比較例1と同程度またはそれよりも大きく抑制されること、がわかる。
【0063】
図13は、アンテナ部341で取得される信号に基づき、60GHz-90GHzの範囲でS21を、シミュレーションによって算出した結果を示す。
本開示の実施形態では、60GHz-90GHzのほぼ全範囲において、S21が、比較例1と同程度かそれよりも小さいこと(すなわち、透過波が大きく抑制されること)、がわかる。つまり、バンパ8からの反射波がレドーム32を透過して筐体内で多重反射するおそれがある不要波が、比較例1と同程度またはそれよりも大きく抑制されること、がわかる。
【0064】
また、変形例1では、S21が、比較例1とほぼ同程度であること、がわかる。つまり、バンパ8からの反射波がレドーム32を透過して筐体内で反射するおそれがある不要波が、比較例1と同程度に抑制されること、がわかる。
【0065】
このように、本開示の電波抑制部36及び変形例1の電波抑制部36aは、レドーム32と一体に形成された部分であり、比較例1(すなわち、吸収要素)と同程度かそれ以上に(すなわち、良好に)不要波を大きく抑制できる部分であること、がわかる。結果として、本開示の電波抑制部36及び変形例1の電波抑制部36aは、方位検知誤差の抑制効果があることがわかる。そして、本開示の実施形態の電波抑制部36の方が、変形例1よりも、方位検知誤差の抑制効果がより大きいことがわかる。
【0066】
[6.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(6a)上述のレーダ装置1では、図示しないが、電波抑制部36、36aは、少なくとも導電化部50をフィルムまたは塗膜、接着剤、接着シートで覆うことによって、導電化部50が絶縁されるように構成されてもよい。これにより、導電化部50が絶縁され、導電化部50から炭化した樹脂が剥離することを抑制することができる。フィルムとしては、例えば、線膨張の違いによる剥離の抑制の観点、工程集約による低コスト化の観点から、レドーム32の材料と同質の材料が望ましい。但し、必ずしもレドーム32の材料と同質材である必要はなく、アクリル、PET(すなわち、ポリエチレンテレフタレート)、PC(すなわち、ポリカーボネート)等が用いられ得る。
(6b)上述のレーダ装置1において、電波抑制部36、36aでは、ピッチ間隔Pを線幅とする直線に形成される導電化部50が、x方向及びy方向に沿って幅Dの間隔毎に配列されたが、線幅は一定でなくてもよい。また、間隔は一定でなくてもよい。
【0067】
(6c)上述のレーダ装置1において、電波抑制部36、36aでは、導電化部50が、予め定められた形状に形成され、予め定められた少なくとも一つの特定方向に沿って、予め定められた間隔で複数配列される。予め定められた形状は、線状、円状、多角形状、楕円、その他、種々の形状であり得る。また、特定方向は、アンテナ部341による方位検知が可能な方向や、その他の任意の方向であり得る。特定方向は、一方向であってもよいし、複数の方向であってもよい。また、特定方向が複数である場合、これらの方向は互いに直交していてもよいし、互いに直交していなくてもよい。また、配列される際の間隔は、予め定められた一定間隔であってもよいし、予め定められた一定間隔でなくてもよい。
【0068】
(6d)上述のレーダ装置1において、電波抑制部36、36aでは、全ての突出部70の突出高さHは均一でなくてもよい。また、全ての突出部70同士の間隔(すなわち、上述のピッチ間隔P)は均一でなくてもよい。抑制したい不要波の周波数に応じて、突出部70の突出高さH、またはピッチ間隔Pは、突出部70が形成される位置に応じて、それぞれ異なっていてもよい。また、突出部70の形状は、立方体に限らず、例えば、円柱、多角形柱、その他といった、任意の形状であり得る。
【0069】
また、上述のレーダ装置1において、電波抑制部36では、導電化部50は突出部70及び非突出部71のうち突出部70のみに形成され得る。または、非突出部71のみに形成され得る。また、上述のレーダ装置1において、電波抑制部36では、導電化部50は天面324以外に突出部70の側面に形成され得る。また、上述のレーダ装置1において、電波抑制部36では、突出部70と同様の凸部が、例えば、2段、3段…といったように、z軸方向に沿って複数段順に階段状に形成され得る。そして、1段目、2段目、3段目…それぞれの天面(すなわち、突出する方向である-z方向における面)に導電化部50が形成され得る。
【0070】
(6e)上述のレーダ装置1において、電波抑制部36、36aでは、導電化部50の厚さ(すなわち、炭化された部分のz方向の長さ)は、均一でなくてもよい。炭化された部分の厚さが大きいほど導電率が大きくなる。例えば、不要波をより減衰させたい部分に形成される電波抑制部36、36aにおいては、導電化部50の厚さは、他の部分に形成される導電化部50よりも大きくしてもよい。
【0071】
(6f)上述のレーダ装置1において、電波抑制部36、36aは、レドーム対向面321の検知範囲外領域40の全域に形成されてもよい。または、電波抑制部36、36aは、レドーム対向面321の検知範囲外領域40のうちの、予め定められた任意の領域に形成されてもよい。また、電波抑制部36、36aは、レドーム対向面321の検知範囲外領域40のうち、1か所に形成されてもよいし、複数か所に形成されてもよい。また、電波抑制部36、36aが形成される領域(すなわち、形成領域44)の大きさは、予め定められた任意の大きさであり得る。
【0072】
(6g)上述のレーダ装置1において、電波抑制部36、36aは、図14に示すように、レドーム非対向面322に形成され得る。図14では、レドーム非対向面322における形成領域44を示す。図14において、形成領域44には、電波抑制部36、36aのいずが形成されてもよい。この場合、レドーム32がカバー部に相当し、レドーム非対向面322がカバー部の外面に相当する。なお、電波抑制部36、36aは、レドーム32、バンパ8、エンブレムのうち、少なくとも一つに形成されてよい。
バンパ8においては、電波抑制部36、36aは、図15及び図16に示すように、バンパ8aの外面のうち、アンテナ面35に対向する面(すなわち、レーダ装置1に対向する面)であるバンパ対向面81に形成され得る。この場合、バンパ8aがカバー部に相当し、バンパ対向面81がカバー部の外面に相当する。
また、電波抑制部36、36aは、図15及び図16のバンパ8aの外面のうち、アンテナ面35に対向しない側の面(すなわち、レーダ装置1に対向しない側の面)であるバンパ非対向面82に形成され得る。この場合、バンパ8aがカバー部に相当し、バンパ非対向面82がカバー部の外面に相当する。
【0073】
なお、図15及び図16のバンパ8aを車両のエンブレムに置き換えてもよい。車両に取り付けられたエンブレムにおいては、電波抑制部36、36aは、エンブレムの外面のうち、アンテナ面35(すなわち、レーダ装置1)に対向する面に形成され得る。この場合、エンブレムがカバー部に相当し、エンブレムの外面のうち、アンテナ面35に対向する面がカバー部の外面に相当する。
また、電波抑制部36は、車両に取り付けられたエンブレムの外面のうち、アンテナ面35(すなわち、レーダ装置1)に対向しない面に形成され得る。この場合、エンブレムがカバー部に相当し、エブレムの外面のうち、アンテナ面35に対向しない面がカバー部の外面に相当する。
【0074】
(6h)上述のレーダ装置1において、電波抑制部36では、導電化部50は、レドーム32に、金属(例えば、アルミ)を蒸着させることにより、レドーム32と一体であり、導電性を備えるように形成されてもよい。また、導電化部50は、レドーム32に金属の薄膜を接着剤等によって接着することで、レドーム32と一体であり、導電性を備えるように形成されてもよい。
【0075】
(6i)上述のレーダ装置1は、レドーム32の材料である樹脂として、上述の樹脂にフィラー(すなわち、充填剤)が混ぜられた樹脂が用いられてもよい。フィラーとしては、混ぜられることによって樹脂の強度を大きくし、熱が加えられることによって導電性を有するようになる材料が用いられ得る。例えば、ガラス繊維がフィラーとして用いられる。ガラス繊維の他には、例えば、アラミド繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ケイ素繊維、ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維などが挙げられる。
【0076】
(6j)上述のレーダ装置1は、x軸方向に加えy軸方向も方位検知方向とするように構成されてもよい。この場合、アンテナ部341において、複数のパッチアンテナ343は、上述の実施形態と同様に配置され得る。但し、アンテナ部341は、上述の実施形態と同様の使用方法によってx軸方向の方位検知が可能なだけでなく、x軸に1列に並ぶ複数のパッチアンテナ343を有したアレーアンテナを単位アンテナとして使用することで、y軸方向の方位検知も可能としてもよい。このようなレーダ装置1によれば、x軸方向だけでなく、y軸方向についても、方位検知誤差を抑制する効果を得ることができる。
【0077】
(6k)上述のレーダ装置1において、送受信回路部342は、回路基板34のアンテナ面35の反対側に配置されてもよいし、ロアケース31の外部に配置されて回路基板34のアンテナ部341と図示しないケーブル等によって接続されてもよい。
【0078】
(6l)上述のレーダ装置1において、レドーム32は、図示しないが、直方体状の外形であって、その一面が開口した箱型の形状に形成されてもよい。つまり、レドーム32は、長方形の筒状に形成された筒状部と、筒状部の一方の開口を塞ぐように配置された板状部とを有し、板状部に電波抑制部36が形成されてもよい。そして、このようなレドーム32とロアケース31とによって筐体が形成されてもよい。
【0079】
(6m)上述の実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上述の実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上述の実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上述の実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…レーダ装置、8…バンパ、32…レドーム、35…アンテナ面、36…電波抑制部、40…検知範囲外領域、50…導電化部、60…非導電化部、81…バンパ対向面、82…バンパ非対向面、321…レドーム対向面、322…レドーム非対向面、341…アンテナ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16