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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20240618BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20240618BHJP
【FI】
H01R13/58
H01R13/6581
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021084059
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177649
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】林 知宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-97841(JP,A)
【文献】特開昭62-262381(JP,A)
【文献】国際公開第2007/112771(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0083407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/58
H01R 13/648
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線引出口を有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに収容された端子と、
前記端子に接続されて前記電線引出口から前記コネクタハウジングの外部に引き出される電線と、
前記電線において、前記電線引出口に隣接して前記電線引出口から外部に突出する突出部位に外挿されて前記突出部位を保持する合成樹脂製の電線保持部と、
前記コネクタハウジングに固定されて前記コネクタハウジングを覆う金属製のシールドシェルと、
前記電線の軸方向に交差する方向である第1方向で、前記電線保持部を前記シールドシェルとの間で挟持しつつ前記シールドシェルにボルト締結される金属製の電線押圧部と、
を備えており、
前記シールドシェルは、前記電線保持部の外周面が接触する収容部を有し、
前記電線押圧部は、前記第1方向で、前記電線保持部の前記外周面を前記収容部に向かって押圧する押圧面を有し、
前記電線保持部の前記外周面は、前記押圧面に押圧される部位の周囲において、前記軸方向の全長に亘って前記シールドシェルとの間に隙間を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記電線保持部は、前記電線の軸直角方向両側から前記電線を挟み込んで保持して相互に組み付けられることにより前記電線保持部を構成する第1保持部と第2保持部を有し、
前記第1保持部の前記第2保持部への接触面には、前記電線を収容して前記電線の外周面に接触する第1凹所が開口しており、
前記第2保持部の前記第1保持部への接触面には、前記電線を収容して前記電線の前記外周面に接触する第2凹所が開口しており、
前記第1保持部と前記第2保持部の組み付け時には、前記第1凹所と前記第2凹所が連接して電線貫通孔を構成し、
前記電線保持部の外周面形状は、矩形状である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
記電線押圧部は、前記電線保持部を外方から覆う支持部を有し、
前記支持部は、前記電線が挿通する電線挿通孔を有する、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記電線押圧部の前記押圧面と、前記シールドシェルの前記収容部において前記第1方向で前記押圧面と対向する対向面が、平坦面とされており、
前記押圧面と前記押圧面と対向する前記対向面に接触する前記電線保持部の前記外周面が、前記押圧面および前記対向面と平行に延びる平面である、請求項2に係属する場合の請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載機器間を電気的に接続するために、コネクタが用いられている。このようなコネクタは、コネクタハウジングと、コネクタハウジングに収容された端子と、端子に接続された電線とを含んでおり、電線がコネクタハウジングの電線引出口から外部に引き出されている。外部に引き出された電線には、車載時の振動等の外力が加わるため、電線に加わる外力が端子側に伝達されると、端子と相手側端子との接点にストレスが加わり、接点摩耗等の問題が生じるおそれがある。そこで、コネクタでは、電線に加わる外力が端子側に伝達されることを抑制する必要がある。そのため、特許文献1に開示のコネクタは、電線を保持した状態でコネクタハウジングに組み付けられる樹脂製のリアホルダを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-54393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1では、リアホルダは、コネクタハウジングに設けられた弾性突出片の先端に設けられたロック爪状の係止部が、リアホルダに設けられた被係止部を弾性変形しつつ乗り越えて弾性復帰した際に被係止部に係合することで、組み付けられるようになっている。それゆえ、係止部と被係止部との間にはわずかな隙間が生じることが避けられず、この隙間によるガタツキによって電線に伝達された外力が端子側に伝達されるおそれがあった。
【0005】
さらに、近年の車載機器の大電流化に伴い、電線の大径化が進んでおり、そのような大型の電線の揺れを防止するための十分な保持力を確保するためには、樹脂製のリアホルダを大型化せざるを得ず、コネクタの大型化が避けられないという問題も内在していた。加えて、リアホルダが樹脂製であることから、高温環境下ではクリープによってリアホルダが変形して、リアホルダと電線との間に隙間が生じてガタツキが生じるおそれもあった。
【0006】
そこで、コネクタ自体の大型化を抑制しつつ電線の保持力を向上することで、電線に加わる外力が端子側に伝達されることを抑制または阻止することができる、コネクタを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、電線引出口を有するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに収容された端子と、前記端子に接続されて前記電線引出口から前記コネクタハウジングの外部に引き出される電線と、前記電線において、前記電線引出口に隣接して前記電線引出口から外部に突出する突出部位に外挿されて前記突出部位を保持する合成樹脂製の電線保持部と、前記コネクタハウジングに固定されて前記コネクタハウジングを覆う金属製のシールドシェルと、前記電線の軸方向に交差する方向である第1方向で、前記電線保持部を前記シールドシェルとの間で挟持しつつ前記シールドシェルにボルト締結される金属製の電線押圧部と、を備えており、前記シールドシェルは、前記電線保持部の外周面が接触する収容部を有し、前記電線押圧部は、前記第1方向で、前記電線保持部の前記外周面を前記収容部に向かって押圧する押圧面を有し、前記電線保持部の前記外周面は、前記押圧面に押圧される部位の周囲において、前記軸方向の全長に亘って前記シールドシェルとの間に隙間を有している、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示のコネクタによれば、コネクタ自体の大型化を抑制しつつ電線の保持力を向上することで、電線に加わる外力が端子側に伝達されることを抑制または阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係るコネクタを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたコネクタにおける分解斜視図である。
図3図3は、図1に示されたコネクタを構成するコネクタ本体における分解斜視図である。
図4図4は、図1に示されたコネクタにおける縦断面図であって、図5におけるIV-IV断面図である。
図5図4におけるV-V断面図である。
図6図6は、図1に示されたコネクタを構成する第1保持部を示す斜視図である。
図7図7は、図1に示されたコネクタを構成する第2保持部を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示されたコネクタを構成するシールドシェルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)電線引出口を有するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに収容された端子と、前記端子に接続されて前記電線引出口から前記コネクタハウジングの外部に引き出される電線と、前記電線において、前記電線引出口に隣接して前記電線引出口から外部に突出する突出部位に外挿されて前記突出部位を保持する合成樹脂製の電線保持部と、前記コネクタハウジングに固定されて前記コネクタハウジングを覆う金属製のシールドシェルと、前記電線の軸方向に交差する方向である第1方向で、前記電線保持部を前記シールドシェルとの間で挟持しつつ前記シールドシェルにボルト締結される金属製の電線押圧部と、を備えている、ものである。
【0011】
この構造によれば、コネクタハウジングの電線引出口から外部に突出する電線の突出部位に、合成樹脂製の電線保持部が外挿されて、電線保持部に電線が先ず保持されている。さらに、コネクタは、コネクタハウジングに固定されてコネクタハウジングを覆う金属製のシールドシェルと、電線の軸方向に交差する第1方向でシールドシェルにボルト締結される金属製の電線押圧部を有している。そして、電線保持部は、電線の軸方向に交差する第1方向で、シールドシェルと電線押圧部との間で挟持されている。これにより、繰り返しの振動や高温下においても、シールドシェルと電線押圧部の間に隙間が生じ難く、電線保持部を介して電線を押圧し続けることが可能となる。特に、ボルトの軸力で電線押圧部をシールドシェルに向かって押圧することから、それらの間に電線保持部を保持するための十分な保持力を確保することができる。それゆえ、仮に電線が大径化した場合でも、コネクタの大型化の必要性を抑制しつつ、電線の固定的な保持を実現することができる。さらに、コネクタハウジングの電線引出口から外部に引き出された電線は、合成樹脂製の電線保持部を介してシールドシェルと電線押圧部の間で挟持されることから、金属製のシールドシェルや電線押圧部が直接電線に接触することが抑制されて、電線の損傷等の発生を低減または回避できる。
【0012】
(2)前記電線保持部は、前記電線の軸直角方向両側から前記電線を挟み込んで保持して相互に組み付けられることにより前記電線保持部を構成する第1保持部と第2保持部を有し、前記第1保持部の前記第2保持部への接触面には、前記電線を収容して前記電線の外周面に接触する第1凹所が開口しており、前記第2保持部の前記第1保持部への接触面には、前記電線を収容して前記電線の前記外周面に接触する第2凹所が開口しており、前記第1保持部と前記第2保持部の組み付け時には、前記第1凹所と前記第2凹所が連接して電線貫通孔を構成し、前記電線保持部の外周面形状は、矩形状である、ことが好ましい。
【0013】
電線保持部が、電線の軸直角方向両側から組み付けられる第1保持部と第2保持部に分割されており、第1保持部と第2保持部とを電線を間に挟んで組み付けるだけで、第1保持部の第1凹所と第2保持部の第2凹所が連接して電線挿通孔を形成する。それゆえ、コネクタハウジングから外部に引き出された電線に対して電線保持部を容易に装着することができる。さらに、電線保持部の外周面形状が、矩形状であることから、金属製のシールドシェルと電線押圧部において、電線保持部に接触する接触面をストレートに形成することができる。その結果、金属製のシールドシェルと電線押圧部の形状の簡素化により、コネクタの製造コストを抑えつつ、電線保持力が向上されたコネクタを提供することが可能となる。
【0014】
(3)前記シールドシェルは、前記電線保持部の外周面が接触する収容部を有し、前記電線押圧部は、前記第1方向で、前記電線保持部の前記外周面を前記収容部に向かって押圧する押圧面と、前記電線保持部を外方から覆う支持部とを有し、前記支持部は、前記電線が挿通される電線挿通孔を有する、ことが好ましい。シールドシェルには、電線保持部の外周面が接触する収容部が設けられ、電線押圧部には、第1方向で電線保持部の外周面を収容部に向かって押圧する押圧面が設けられていることから、電線保持部をシールドシェルの収容部と電線押圧部の押圧面との間で安定して挟持して保持することができる。さらに、電線押圧部が電線保持部を外方から覆う支持部も有していることから、電線押圧部のコネクタからの抜け出し方向への変位も有利に阻止できる。加えて、支持部には電線挿通孔が設けられていることから、電線のコネクタ外部への引き出しも容易になし得る。
【0015】
(4)前記電線押圧部の前記押圧面と、前記シールドシェルの前記収容部において前記第1方向で前記押圧面と対向する対向面が、平坦面とされており、前記押圧面と前記押圧面と対向する前記対向面に接触する前記電線保持部の前記外周面が、前記押圧面および前記対向面と平行に延びる平面である、ことが好ましい。押圧面と第1方向で押圧面と対向する収容部の対向面が何れも平坦面であり、それらの間に介在される電線保持部において押圧面とそれに対向する収容部の面に接触する外周面も、それらの面と平行に延びる平面で構成されている。それゆえ、ボルトの軸力を各面で安定して受け止めて、電線押圧部による電線保持部のシールドシェルへの押圧状態を一層安定して保持することができる。
【0016】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のコネクタ10について、図1から図8を用いて説明する。コネクタ10は、車載機器間を電気的に接続するものであり、図1中の左下方向に延びる電線12に対して車載機器が電気的に接続されるとともに、図1中の上方から、図示しない相手側車載機器の端子が電気的に接続されるようになっている。なお、コネクタ10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上下方向、左右方向および前後方向を、図1中に示す上下方向、左右方向および前後方向を基準として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0018】
<コネクタ10>
実施形態1のコネクタ10は、電線引出口14を有するコネクタハウジング16と、コネクタハウジング16に収容された端子18と、を有している。そして、電線12が、端子18に接続されて電線引出口14からコネクタハウジング16の外部に引き出されている。また、コネクタ10は、電線12におけるコネクタハウジング16からの突出部位20を保持する合成樹脂製の電線保持部22と、コネクタハウジング16に固定されてコネクタハウジング16を覆う金属製のシールドシェル24と、シールドシェル24との間で電線保持部22を挟持する金属製の電線押圧部26と、を備えている。なお、実施形態1では、一対の端子18,18と一対の電線12,12とを有しており、各電線12が各端子18に接続されている。
【0019】
<電線12>
電線12は、図4にも示されるように、被覆電線である。すなわち、電線12は、芯線28の周囲が合成樹脂製の絶縁被覆30で覆われることにより構成されている。電線12の後端部は、絶縁被覆30が剥がされて芯線28が露出している。この露出した芯線28に端子18が溶着等により固着されることで、電線12が端子18に対して電気的に接続されている。
【0020】
<端子18>
端子18は、金属製であり、前後方向に延びる平板形状とされた部分を有している。端子18の後端部には、板幅寸法(上下方向寸法)が大きくされた部分を有しており、この板幅寸法が大きくされた部分に、電線12の後端部において露出された芯線28が固着されている。また、平板形状とされた部分の前端部からは、略筒状とされた接点部32が上方に向かって突出している。この接点部32に、相手側車載機器のタブ状の端子が組み付けられて、接点部32と端子とが相互に接触することで、コネクタ10の端子18と相手側車載機器の端子とが電気的に接続されるようになっている。実施形態1では、電線12の後端部に端子18が固着されることでハーネスアセンブリ34が構成されており、一対のハーネスアセンブリ34,34が左右方向で並んで配置されている。
【0021】
<コネクタハウジング16>
コネクタハウジング16は、絶縁性を有する合成樹脂により形成されている。実施形態1のコネクタハウジング16は、図3にも示されるように、複数の部材により構成されており、上下に開口する略筒状のハウジング本体36と、ハウジング本体36の上方開口部を覆うハウジング蓋部38と、ハウジング本体36の下方開口部を覆うハウジング底部40とを備えている。
【0022】
ハウジング本体36は、略矩形筒形状であり、前壁42と、後壁44と、左右両側の側壁46,46とを備えている。これら各壁42,44,46,46は、上下方向に広がっている。そして、前壁42には、厚さ方向(前後方向)で貫通する円形の電線引出口14が形成されている。実施形態1では、一対の電線12,12が設けられていることから、前壁42において、一対の電線引出口14,14が左右方向で並んで形成されている。また、前壁42には、前方に突出する収容筒部48が設けられており、この収容筒部48により一対の電線引出口14,14が外側から覆われている。収容筒部48は、左右方向に長い外形を有しており、角が丸められた略矩形または略長円形である。
【0023】
この収容筒部48には、ゴム等の弾性体からなる防水ゴム50が収容される。防水ゴム50は、収容筒部48と略対応する形状であり、前壁42における電線引出口14,14と対応する位置において、厚さ方向に貫通する挿通孔52,52が形成されている。防水ゴム50は、収容筒部48よりも僅かに大きい大きさで形成されており、コネクタ10の組立時において、防水ゴム50は収容筒部48に対して略圧縮状態で組み付けられる。これにより、電線引出口14を通じてのコネクタハウジング16内部への水の浸入が防止されている。
【0024】
後壁44には、コネクタハウジング16にシールドシェル24が固定される際に、後述するボルト164が螺合するボルト穴54が設けられている。実施形態1では、図3,4にも示されるように、後壁44において2つのボルト穴54,54が設けられており、ボルト穴54,54が、それぞれ後方と右方に開口している。また、各側壁46の内面には、ハウジング蓋部38が組み付けられる際に、後述するハウジング蓋部38の係合枠体68が係合する係合突部56が設けられている。さらに、各側壁46の外面には、ハウジング底部40が組み付けられる際に、後述するハウジング底部40の係合枠体84が係合する係合突部58が設けられている。
【0025】
ハウジング蓋部38は、垂直方向(上下方向に直交する方向)に広がる蓋板部60を備えており、蓋板部60が、ハウジング本体36の上方開口部を覆い得る大きさで形成されている。実施形態1では、ハウジング蓋部38をハウジング本体36に組み付けた際に、蓋板部60が、ハウジング本体36の内部に入り込むようになっている。蓋板部60には、厚さ方向(上下方向)で貫通する図示しない貫通孔が形成されており、当該貫通孔の外周縁部には、上方に突出する略筒状の筒状部62が形成されている。要するに、上下方向に延びる筒状部62の内孔と蓋板部60に設けられた貫通孔とが相互に連通しており、筒状部62および蓋板部60を上下方向で貫通する連通孔64が形成されている。連通孔64の内面には、図示しない係合突部が設けられており、後述する筒状ハウジング72の係合枠体78が係合できるようになっている。
【0026】
蓋板部60において左右方向中央には、下方に突出する仕切壁部66が設けられており、所定の前後方向寸法を有している。これにより、ハウジング蓋部38がハウジング本体36に組み付けられた際には、ハウジング本体36の内部が仕切壁部66により左右方向で仕切られるようになっている。そして、ハウジング本体36において仕切壁部66の左右両側に各端子18が配されることから、仕切壁部66により各端子18の相互の接触が防止されている。また、蓋板部60において、左右方向両側には、下方に突出する係合枠体68が設けられている。
【0027】
ハウジング蓋部38の筒状部62には、略筒状の周壁70を有する筒状ハウジング72が組み付けられる。筒状ハウジング72は、周壁70の内周側に、上下方向に延びる略矩形筒状の保持筒部74を備えており、コネクタ10の組立時に、保持筒部74に端子18の接点部32が挿入されて保持されるようになっている。実施形態1では、一対の端子18,18が設けられていることから、筒状ハウジング72には、一対の保持筒部74,74が、左右方向で並んで設けられている。この保持筒部74に保持された接点部32に対して上方から相手側車載機器の端子が組み付けられることから、保持筒部74の上方開口部が、相手側の端子が組み付けられる端子組付口76である。また、筒状ハウジング72は、下方に突出する係合枠体78を備えている。
【0028】
ハウジング底部40は、垂直方向に広がる底板部80を備えており、底板部80が、ハウジング本体36の下方開口部を覆い得る大きさで形成されている。底板部80には、上方に突出する挿入部82が設けられている。これにより、ハウジング底部40をハウジング本体36に組み付けた際に、挿入部82がハウジング本体36の内部に入り込むようになっていると共に、底板部80の外周縁部がハウジング本体36の周壁(各壁42,44,46,46)の下端と重ね合わされるようになっている。また、底板部80において、左右方向両側縁部には、上方に突出する係合枠体84が設けられている。
【0029】
<電線保持部22>
実施形態1の電線保持部22は、左右方向で隣接する電線12,12を保持している。電線保持部22は、電線12の長さ方向(前後方向)で所定の寸法を有しており、電線保持部22の外周面形状(図5に示される横断面の外形)は、左右方向に長い矩形状である。特に、実施形態1では、電線保持部22の外周面形状が、角が丸められた略矩形状または略長円形状である。それゆえ、実施形態1では、電線保持部22の外周面における上下方向両側に、垂直方向に広がる平面86,86を有していると共に、左右方向両側に上下方向に広がる平面88,88を有している。垂直方向に広がる平面86は所定の左右方向寸法を有していると共に、上下方向に広がる平面88は所定の上下方向寸法を有している。なお、平面86の左右方向寸法や平面88の上下方向寸法は略0であってもよく、電線保持部の外周面形状は、例えば楕円形であってもよい。そして、電線保持部22の外周面において、上側または下側の平面86と、左側または右側の平面88とを接続する部分が、いずれも湾曲面89である。
【0030】
電線保持部22は、左右方向両側に、それぞれの電線12,12を囲う筒状部分90,90を有している。そして、これら左右方向で隣接する筒状部分90,90が、左右方向中央部分の連結部分92によって相互に連結されている。すなわち、筒状部分90,90の内孔が、電線12,12が貫通状態で配される電線貫通孔94,94であり、前後方向において電線保持部22を貫通している。実施形態1では、両筒状部分90,90が、何れも円筒形状である。
【0031】
<第1保持部96および第2保持部98>
実施形態1の電線保持部22は、図2にも示されるように、複数の部材により構成されており、上方に位置する第1保持部96と、下方に位置する第2保持部98とを有している。第1保持部96と第2保持部98とは、電線12の軸直角方向両側(上下方向両側)から電線12を挟み込んで保持して相互に組み付けられるようになっている。
【0032】
すなわち、図6,7にも示されるように、第1保持部96および第2保持部98における左右方向両側には、上下方向で重ね合わされることにより筒状部分90を構成する半割筒状部100,100が設けられている。また、第1保持部96および第2保持部98における左右方向中央には、上下方向で重ね合わされることにより連結部分92を構成する上側連結部102と下側連結部104が設けられている。そして、第1保持部96において左右方向両側の半割筒状部100,100が上側連結部102により連結されていると共に、第2保持部98において左右方向両側の半割筒状部100,100が下側連結部104により連結されている。
【0033】
したがって、第1保持部96および第2保持部98の外周面において、半割筒状部100の周方向端部同士が上下方向で重ね合されることで、電線保持部22における左右方向両側の平面88,88が構成されている。また、上側連結部102および下側連結部104の外周面が、電線保持部22における上下方向両側の平面86,86である。
【0034】
第1保持部96において、第2保持部98への接触面となる下面には、電線12を収容して電線12の外周面に接触する第1凹所106が開口している。また、第2保持部98において、第1保持部96への接触面となる上面には、電線12を収容して電線12の外周面に接触する第2凹所108が開口している。要するに、第1保持部96および第2保持部98において、半割筒状部100の内孔が、それぞれ第1凹所106および第2凹所108である。実施形態1では、第1保持部96および第2保持部98の左右方向両側に、それぞれ一対の第1凹所106,106および第2凹所108,108が設けられている。そして、第1保持部96と第2保持部98との組み付け時には、これら第1凹所106と第2凹所108とが連接して、電線貫通孔94が構成されるようになっている。
【0035】
第1保持部96と第2保持部98との重ね合わせ面には、第1保持部96と第2保持部98の組み付け時に、相互に嵌合する嵌合突部110と嵌合穴112が設けられている。実施形態1では、第1保持部96において第2保持部98側に開口する嵌合穴112が設けられていると共に、第2保持部98において第1保持部96側に突出する嵌合突部110が設けられている。なお、嵌合突部110は、略圧入状態で嵌合穴112に挿入されてもよいし、僅かな隙間を有して挿入されてもよい。
【0036】
第1凹所106および第2凹所108の内周面には、内周側に向かって突出する圧接リブ114が設けられている。実施形態1では、第1凹所106および第2凹所108において、複数の圧接リブ114が電線12の軸方向(前後方向)で相互に離隔して設けられており、各圧接リブ114が、第1凹所106および第2凹所108の周方向の略全長に亘って設けられている。第1凹所106における圧接リブ114と第2凹所108における圧接リブ114とは、前後方向で略等しい位置に形成されている。これにより、第1保持部96と第2保持部98との組み付け時には、電線貫通孔94の内周面において略環状の圧接リブが形成されるようになっている。このような圧接リブ114が設けられることにより、コネクタ10の組立時に圧接リブ114が各電線12の絶縁被覆30に食い込むことで、電線保持部22による各電線12の保持力を向上させることができる。
【0037】
<シールドシェル24>
図8にも示されるように、シールドシェル24は、全体として上方に開口する略箱形状であり、略矩形の底壁部116と、底壁部116の外周縁部から上方に突出する前側の前壁部118と、後側の後壁部120と、左右両側の一対の側壁部122,122とを備えている。前壁部118は、所定の前後方向寸法を有しており、後壁部120や側壁部122よりも厚さ寸法が大きくされている。そして、前壁部118には、電線保持部22が収容される収容部124が、上方に開口すると共に前後方向で貫通して設けられている。すなわち、後述するように、シールドシェル24において各壁部116,118,120,122,122に囲まれる領域であるコネクタハウジング用凹部125にコネクタハウジング16が収容されると共に、収容部124にコネクタハウジング16の前方に設けられる電線保持部22が収容されるようになっている。
【0038】
収容部124が設けられることにより前壁部118は、前後方向視において、略U字状とされている。すなわち、前壁部118は、底部分126と、底部分126の左右方向両側から上方に略ストレートに突出する一対の側部分128,128とを備えている。収容部124の内周面は、部分的に電線保持部22の外周面と接触するようになっている。すなわち、収容部124の内周面において左右方向中央、要するに底部分126の上面は、電線保持部22の外周面における下側の平面86と略対応する平坦面130である。この平坦面130は、後述するシールドシェル24と電線押圧部26との組付時において電線押圧部26の押圧面150と上下方向(後述する第1方向)で対向する対向面である。そして、平坦面130と電線保持部22の外周面における下側の平面86とが相互に平行に延びており、収容部124に電線保持部22が収容された際には、平坦面130と下側の平面86とが相互に接触するようになっている。
【0039】
また、収容部124の内周面において、平坦面130の左右方向両側、要するに底部分126から側部分128,128に移行する部分は、電線保持部22における半割筒状部100,100の外周面(湾曲面89)と略対応する湾曲面132,132である。これにより、収容部124に電線保持部22が収容された際には、湾曲面132,132と電線保持部22における下側の湾曲面89,89とが相互に接触するようになっている。そして、収容部124の内周面において、湾曲面132,132よりも上方の部分は、側部分128,128の左右方向内面により構成されて、上下方向に広がる鉛直面134,134である。これにより、収容部124に電線保持部22が収容された際には、鉛直面134,134と電線保持部22の左右両側において上下方向に広がる平面88,88とが相互に接触するようになっている。
【0040】
なお、前壁部118の内面において収容部124よりも前方には、底部分126から上方に突出する抜止壁部136が設けられている。この抜止壁部136により、収容部124に収容された電線保持部22の脱落が抑制される。抜止壁部136の上端面には、各電線12の外周面に対応する凹部137が形成されている。
【0041】
また、前壁部118において左右両側の側部分128,128の上端面には、後述するボルト162,162が螺合するボルト穴138,138が形成されている。後壁部120において、コネクタハウジング16の後方のボルト穴54と対応する位置には、厚さ方向(前後方向)で貫通するボルト孔140が形成されている。右側の側壁部122において、コネクタハウジング16の右方のボルト穴54と対応する位置には、厚さ方向(左右方向)で貫通するボルト孔142が形成されている。さらに、後壁部120の上方部分には、ボルト挿通孔144を有する外部接続部146が設けられている。すなわち、外部接続部146に外部電線等の末端に設けられた端子部を重ね合わせて、ボルト挿通孔144に図示しないボルトを挿通し締結することで、シールドシェル24と外部電線等とが電気的に接続されるようになっている。
【0042】
<電線押圧部26>
電線押圧部26は、電線12の軸方向(前後方向)に交差する方向である第1方向で、電線保持部22をシールドシェル24との間で挟持しつつシールドシェル24にボルト締結される部材である。実施形態1では、シールドシェル24の収容部124に収容された電線保持部22に対して上方から電線押圧部26が重ね合わされた状態で、電線押圧部26がシールドシェル24に対してボルト締結されている。すなわち、実施形態1では、電線保持部22をシールドシェル24との間で挟持しつつシールドシェル24にボルト締結される方向である第1方向が上下方向である。
【0043】
そして、図2にも示されるように、電線押圧部26は、電線保持部22を上方から覆い押圧する押圧壁部148を有している。押圧壁部148の下面が、電線保持部22を第1方向(上下方向)で下方の収容部124に向かって押圧する押圧面150である。押圧面150は、電線保持部22における上側の平面86と略対応する平坦面である。すなわち、押圧面150と電線保持部22の外周面における上側の平面86とが相互に平行に延びており、電線押圧部26がシールドシェル24に固定された際には、押圧面150と上側の平面86とが相互に接触するようになっている。押圧壁部148は平面視において略矩形状であり、押圧壁部148の左右方向両側には、上下方向で貫通するボルト挿通孔152,152が形成されている。
【0044】
押圧壁部148の前端部には、電線押圧部26がシールドシェル24に固定された際に前壁部118を前方から覆う支持部154が設けられている。すなわち、電線押圧部26がシールドシェル24に固定された際には、支持部154により電線保持部22が、外方(前方)から覆われるようになっている。この支持部154には、前方に突出する筒状部156が設けられており、筒状部156の内孔が支持部154を貫通して前後方向両側で開口している。この筒状部156の内孔により、コネクタ10の組立時において電線12が挿通される電線挿通孔158が構成されている。
【0045】
<コネクタ10の組立方法>
以下、コネクタ10の組立方法の具体的な一例を説明する。なお、コネクタ10の組立方法は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0046】
先ず、各電線12と各端子18を準備する。各電線12の絶縁被覆30を剥いで芯線28を露出させた後、露出させた芯線28に対して端子18を固着する。これにより、各ハーネスアセンブリ34を形成する。
【0047】
その後、ハウジング本体36の成形用キャビティ内に各ハーネスアセンブリ34をセットした状態で樹脂材料を成形用キャビティ内に充填させてハウジング本体36を成形することで、各ハーネスアセンブリ34が固定されたハウジング本体36を得る。これにより、ハウジング本体36内に各ハーネスアセンブリ34の端子18を収容すると共に、各電線12をハウジング本体36の電線引出口14から外部に突出させる。なお、ハウジング本体36を予め成形して、ハウジング本体36の電線引出口14に各電線12を挿通することで、ハウジング本体36内に端子18を収容した状態でハウジング本体36と各電線12とを固定してもよい。この状態では、各端子18における接点部32が、ハウジング本体36から上方に突出している。次に、このハウジング本体36に対して、予め準備したハウジング蓋部38およびハウジング底部40を組み付ける。すなわち、各係合突部56と各係合枠体68を係合させて、ハウジング本体36に対してハウジング蓋部38を組み付ける。また、各係合突部58と各係合枠体84を係合させて、ハウジング本体36に対してハウジング底部40を組み付ける。なお、ハウジング本体36に対してハウジング蓋部38およびハウジング底部40が組み付けられる際に、例えば各部材間に適切なシール部材を設けることで、コネクタハウジング16への水の浸入が防止されるようになっていてもよい。
【0048】
そして、ハウジング本体36に対してハウジング蓋部38を組み付けて、各端子18における接点部32をハウジング蓋部38の筒状部62(連通孔64)に挿入する。その後、ハウジング蓋部38に筒状ハウジング72を組み付ける。すなわち、連通孔64の内面に設けられた図示しない各係合突部と各係合枠体78とを係合させる。これにより、各保持筒部74に各接点部32を保持させる。
【0049】
また、各電線12を防水ゴム50の各挿通孔52に挿通させて、防水ゴム50をハウジング本体36の収容筒部48に収容する。これにより、コネクタハウジング16に対して各ハーネスアセンブリ34が固定されたコネクタ本体160(図2等参照)を得る。コネクタ本体160では、コネクタハウジング16に各端子18が収容されていると共に、各電線引出口14から各電線12が前方に引き出されている。各電線12におけるコネクタハウジング16から前方(外部)に突出する部分において、特に、電線引出口14(防水ゴム50)に隣接する部分が突出部位20である。
【0050】
この突出部位20に対して上下方向両側から第1保持部96と第2保持部98とを組み付けて、突出部位20に電線保持部22を外挿する。その際、嵌合突部110が嵌合穴112に対して略圧入状態で挿入されて、第1保持部96と第2保持部98との組付けが意図せず解除されないようになっていてもよい。そして、電線保持部22が組み付けられたコネクタ本体160にシールドシェル24を固定する。具体的には、シールドシェル24のコネクタハウジング用凹部125にコネクタハウジング16を収容すると共に、収容部124に電線保持部22を収容する。そして、各電線12において電線保持部22から前方に突出する部分を、抜止壁部136に設けられた各凹部137上に配置する。その後、各電線12に対して電線押圧部26の筒状部156を前方から外挿して、電線押圧部26のボルト挿通孔152と前壁部118の各側部分128におけるボルト穴138とを相互に位置合わせする。これらボルト挿通孔152およびボルト穴138にボルト162を挿通して締結することで、電線保持部22が電線押圧部26とシールドシェル24とで挟持された状態で、電線押圧部26をシールドシェル24にボルト固定する。
【0051】
さらに、コネクタハウジング16において右方に開口するボルト穴54と、シールドシェル24の右側の側壁部122に設けられたボルト孔142とを位置合わせして、ボルト164を挿通して締結する。また、コネクタハウジング16において後方に開口するボルト穴54と、シールドシェル24の後壁部120に設けられたボルト孔140とを位置合わせして、ボルト164を挿通して締結する。これにより、コネクタハウジング16とシールドシェル24とを固定する。この結果、実施形態1のコネクタ10が完成する。
【0052】
なお、第1保持部96と第2保持部98とは、嵌合突部110と嵌合穴112とがある程度隙間をもった状態で組み付けられてもよい。すなわち、コネクタ10の組立てに際しては、シールドシェル24の収容部124に第2保持部98を載置した後、コネクタハウジング用凹部125にコネクタハウジング16を収容して、その後各電線12における突出部位20に上方から第1保持部96を重ね合わせて、この第1保持部96の上方から電線押圧部26をシールドシェル24にボルト締結により固定するようになっていてもよい。
【0053】
実施形態1のコネクタ10では、各電線12においてコネクタハウジング16から突出する突出部位20が、合成樹脂製の電線保持部22により保持されている。そして、この電線保持部22が上下方向両側から、いずれも金属製とされたシールドシェル24と電線押圧部26により挟持されている。特に、電線押圧部26がボルト締結によりシールドシェル24に固定されることで、ボルトの締付力を利用して、電線押圧部26により電線保持部22が上下方向で押圧される。これにより、繰り返し振動が入力される場合や、長期間高温に晒される場合にも、電線保持部22と各電線12との間に隙間が形成されることが防止されて、十分な電線12の保持力を得ることができる。この結果、電線12に加わる外力が端子18側に伝達されることが抑制または阻止される。また、仮に電線が大径化しても、例えば電線保持部を大きくして保持力を得るということがなく、コネクタ全体の大型化も抑制される。さらに、各電線12においてコネクタハウジング16に隣接する部分(突出部位20)は、合成樹脂製の電線保持部22により保持されることから、例えば金属製の部材により保持される場合に比べて、電線12の損傷等が抑制される。
【0054】
電線保持部22は、上下の分割構造とされており、各電線12を第1保持部96と第2保持部98により上下方向で挟み込んで固定することで、電線保持部22が各電線12に組み付けられる。また、電線保持部22は、角が丸められた略矩形状または略長円形状であり、上下方向両側および左右方向両側に平面86,88を有している。これにより、電線保持部22が電線押圧部26における押圧面150に対して、広い接触面積をもって接触することができて、電線押圧部26による押圧力を効率良く作用させることができる。
【0055】
シールドシェル24の前壁部118には、電線保持部22が収容される収容部124が設けられている。これにより、電線保持部22を、電線押圧部26における押圧面150と収容部124との間で挟持することができる。また、収容部124に収容された電線保持部22は、電線押圧部26における支持部154により外方(前方)から覆われることから、電線保持部22がシールドシェル24から前方へ脱落することが防止される。
【0056】
収容部124において電線押圧部26の押圧面150と第1方向(上下方向)で対向する対向面は平坦面130であり、収容部124への電線保持部22の収容時において、電線保持部22における下側の平面86と接触している。このように収容部124において押圧面150と対向する対向面を平坦面130とすることで、角が丸められた略矩形状または略長円形状とされた電線保持部22の上下両側の平面86,86を、いずれも平坦とされた押圧面150および平坦面130と接触させることができる。これにより、電線保持部22を、電線押圧部26とシールドシェル24との間でより安定して挟持することができて、電線保持部22と各電線12との間に隙間が発生することも抑制される。特に、実施形態1では、電線保持部22の外周面における上下の平面86,86だけでなく、下側の湾曲面89,89や左右の平面88,88も収容部124の内周面である湾曲面132,132や鉛直面134,134に接触することから、電線保持部22が、電線押圧部26とシールドシェル24との間でより安定して挟持される。
【0057】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)前記実施形態では、電線保持部22が上下の第1保持部96と第2保持部98との2つの部材により構成されていたが、例えば3つ以上の部材から構成されてもよい。3つの部材で構成される場合、電線保持部は、例えば左側の電線を左方から覆う部材と、左右の電線の間に設けられる部材と、右側の電線を右方から覆う部材とにより構成されてもよく、これら3つの部材で構成される電線保持部が、各電線を覆って保持した状態で収容部に配置されてもよい。なお、電線保持部が3つの部材により構成される場合、各部材を連結する凹部や凸部が適宜設けられてもよい。また、2つの部材で構成される場合であっても、凸部(実施形態中の嵌合突部110)および凹部(実施形態中の嵌合穴112)は、第1保持部および第2保持部の左右方向中央に設けられる必要はなく、左右両側の半割筒状部の周方向端面に設けられてもよい。
【0059】
(2)前記実施形態では、2本の電線12,12が設けられていたが、電線は、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0060】
(3)電線保持部は、前記実施形態のように第1保持部と第2保持部が別体とされている態様の他、第1保持部と第2保持部における一方の端部同士がヒンジ部によりヒンジ連結された構造であってもよい。この場合、ヒンジ部を中心として第1保持部と第2保持部とを開閉させることが可能であり、第1保持部と第2保持部とを拡開させてその間に電線を挟み込んだ後、第1保持部と第2保持部における他方の端部同士を相互に固定することで電線保持部により電線が保持され得る。
【0061】
(4)前記実施形態では、電線保持部22において電線12,12を囲う筒状部分90,90が何れも円筒形状であったが、例えば角筒形状であってもよい。
【0062】
(5)前記実施形態では、第1保持部96における第1凹所106の内周面と第2保持部98における第2凹所108の内周面との両方に圧接リブ114が設けられていたが、何れか一方でもよいし、圧接リブは設けられなくてもよい。圧接リブが設けられる場合でも、圧接リブは前記実施形態のような半円環形状に限定されるものではなく、突起状や、電線の軸方向に延びる形状や、螺旋形状など、任意の形状が採用され得る。また、第1保持部における圧接リブと第2保持部における圧接リブは前後方向で同じ位置に設けられる必要はなく、前後方向で異なる位置に設けられてもよい。
【0063】
(6)前記実施形態では、コネクタハウジング16とシールドシェル24とがボルト164の締結により固定されていたが、例えば相互に係合する係合突部と係合枠体とを設けて、これらの係合によりコネクタハウジングとシールドシェルとが固定されるようになっていてもよい。
【0064】
(7)前記実施形態に記載のコネクタハウジング16の形状は単なる例示であり、コネクタハウジングの形状は限定されるものではない。前記実施形態では、略筒状のハウジング本体36にハウジング蓋部38とハウジング底部40が組み付けられて端子18が収容される略箱状のコネクタハウジング16が構成されていたが、例えば上方に開口する下部ハウジングに対して蓋状の上部ハウジングが組み付けられることで、端子が収容される略箱状のコネクタハウジングが構成されるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 コネクタ
12 電線
14 電線引出口
16 コネクタハウジング
18 端子
20 突出部位
22 電線保持部
24 シールドシェル
26 電線押圧部
28 芯線
30 絶縁被覆
32 接点部
34 ハーネスアセンブリ
36 ハウジング本体
38 ハウジング蓋部
40 ハウジング底部
42 前壁
44 後壁
46 側壁
48 収容筒部
50 防水ゴム
52 挿通孔
54 ボルト穴
56,58 係合突部
60 蓋板部
62 筒状部
64 連通孔
66 仕切壁部
68 係合枠体
70 周壁
72 筒状ハウジング
74 保持筒部
76 端子組付口
78 係合枠体
80 底板部
82 挿入部
84 係合枠体
86,88 平面
89 湾曲面
90 筒状部分
92 連結部分
94 電線貫通孔
96 第1保持部
98 第2保持部
100 半割筒状部
102 上側連結部
104 下側連結部
106 第1凹所
108 第2凹所
110 嵌合突部
112 嵌合穴
114 圧接リブ
116 底壁部
118 前壁部
120 後壁部
122 側壁部
124 収容部
125 コネクタハウジング用凹部
126 底部分
128 側部分
130 平坦面
132 湾曲面
134 鉛直面
136 抜止壁部
137 凹部
138 ボルト穴
140,142 ボルト孔
144 ボルト挿通孔
146 外部接続部
148 押圧壁部
150 押圧面
152 ボルト挿通孔
154 支持部
156 筒状部
158 電線挿通孔
160 コネクタ本体
162,164 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8