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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】荷卸し装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/04 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B65G59/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021146095
(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公開番号】P2023039104
(43)【公開日】2023-03-20
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和俊
(72)【発明者】
【氏名】依田 智
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0014954(US,A1)
【文献】特開2010-005769(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1445220(EP,A2)
【文献】特開2001-301973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0078877(US,A1)
【文献】特公昭56-006945(JP,B2)
【文献】特開2001-270624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 59/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部の上に段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離する荷卸し装置であって、
前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの1つの段の前記部分物品群を把持対象物品群として、前記把持対象物品群の側周面を把持して、前記把持対象物品群及びそれより上の段の前記部分物品群を保持する把持装置と、
前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの最上段の前記部分物品群を吸着対象物品群として、
前記吸着対象物品群を構成する複数の前記物品のそれぞれの上面を吸着して前記物品を保持する吸着部を複数備えると共に、これら複数の前記吸着部が互いに独立して動作する吸着装置と、
前記載置部と前記把持装置とを相対的に昇降させる第1昇降装置と、
前記吸着装置と前記把持装置とを相対的に昇降させる第2昇降装置と、
前記把持装置が保持している前記部分物品群を、前記把持装置から受け取って搬送する第1搬送装置と、を備え、
前記第2昇降装置が、前記把持装置が前記把持対象物品群を把持し、かつ、前記吸着装置が前記吸着対象物品群を吸着した状態で、前記把持対象物品群と前記吸着対象物品群とが離間するように、前記吸着装置と前記把持装置とを上下方向に離間させる、荷卸し装置。
【請求項2】
載置部の上に段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離する荷卸し装置であって、
前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの1つの段の前記部分物品群を把持対象物品群として、前記把持対象物品群の側周面を把持して、前記把持対象物品群及びそれより上の段の前記部分物品群を保持する把持装置と、
前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの最上段の前記部分物品群を吸着対象物品群として、
前記吸着対象物品群を構成する複数の前記物品のそれぞれの上面を吸着して前記物品を保持する吸着部を複数備えると共に、これら複数の前記吸着部が互いに独立して動作する吸着装置と、
前記載置部と前記把持装置とを相対的に昇降させる第1昇降装置と、
前記吸着装置と前記把持装置とを相対的に昇降させる第2昇降装置と、
前記把持装置が保持している前記部分物品群を、前記把持装置から受け取って搬送する第1搬送装置と、
前記把持装置と、前記吸着装置と、前記第1昇降装置と、前記第2昇降装置と、前記第1搬送装置と、を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記把持装置により、前記段積み物品群の最上段より下の段に設定された前記把持対象物品群の側周面を把持して、前記第1昇降装置により前記段積み物品群から複数段の前記部分物品群を分離し、分離した複数段の前記部分物品群の内の最上段の前記部分物品群を前記吸着対象物品群として、前記吸着装置により前記吸着対象物品群の一部又は全部の前記物品を吸着して保持し、前記第2昇降装置により前記吸着装置が保持している前記物品を前記把持装置に対して相対的に上昇させ、前記把持装置が保持している前記部分物品群を前記第1搬送装置により受け取って搬送し、前記吸着装置が保持している前記物品を、前記載置部に残った前記段積み物品群の上、又は前記載置部の上に戻す、必要個数分離動作を行う、荷卸し装置
【請求項3】
前記制御装置は、前記吸着装置により前記吸着対象物品群の一部又は全部の前記物品を吸着して保持した後、前記載置部に残った前記段積み物品群の上又は前記載置部の上に戻す場合に、前記吸着装置が保持している前記物品のうちの前記段積み物品群の側周面に近い側に位置することになる前記物品を優先的に戻すように前記吸着装置を制御する、請求項2に記載の荷卸し装置。
【請求項4】
前記段積み物品群の最上段の前記部分物品群から任意の個数の前記物品を取り出す取出装置と、前記取出装置から前記把持装置及び前記吸着装置へ前記段積み物品群を搬送する第2搬送装置と、
前記把持装置から前記取出装置へ前記段積み物品群を搬送する第4搬送装置と、
を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の荷卸し装置。
【請求項5】
前記第1昇降装置は、前記載置部を前記把持装置に対して昇降させ、
前記第2昇降装置は、前記吸着装置を前記把持装置に対して昇降させ、
前記第1搬送装置は、前記把持装置から受け取った前記部分物品群を支持する支持部と、前記支持部を移動させる移動機構と、を備え、
前記移動機構は、前記支持部を、前記把持装置よりも下側において、上下方向視で前記把持装置と重複する受取位置と、前記上下方向視で前記把持装置と重複しない搬出位置との間で移動させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の荷卸し装置。
【請求項6】
前記第1搬送装置から前記部分物品群を受け取って支持体の上に載置する受取装置と、
前記受取装置に空の前記支持体を供給する供給装置と、
前記受取装置により前記部分物品群が載置された前記支持体を、追加作業エリアへ搬送する第3搬送装置と、を更に備え、
前記追加作業エリアでは、前記支持体に載置された前記部分物品群に対して、1つ又は複数の前記物品を追加する作業が行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の荷卸し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置部の上に段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離する荷卸し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような荷卸し装置の一例が、実開平3-18033号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号又は名称は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の荷卸し装置は、矩形フレーム状のハンド(32)と、ハンド(32)の中央部に設けられた複数の吸着パッド(36)と、2組のプッシャ(48a、48b)と、を備えている。ハンド(32)の真下には、段積みされた複数の物品である段積み物品群が、パレットPに載置された状態で配置されている。
【0004】
この荷卸し装置では、強度の弱い物品等に対しては、複数の吸着パッド(36)が、最上段の部分物品群の上面を吸着する。また、吸着が困難な物品に対しては、2組のプッシャ(48a、48b)が、最上段の部分物品群の側面を押圧把持する。そして、ハンド(32)が、吸着パッド(36)及びプッシャ(48a、48b)と共に上昇することで、最上段の部分物品群は、上から2段目以降の部分物品群と分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平3-18033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような荷卸し装置では、段積み物品群から、段単位で荷卸し動作が行われる。そのため、1段の部分物品群を形成する物品の個数の整数倍以外の数の物品の荷卸しを行うことができなかった。しかし、荷卸し装置よりも下流における装置構成や作業内容によっては、段単位での荷卸し動作に限らず、1段の部分物品群を形成する物品の個数の整数倍以外の数の物品の荷卸しを行うことが求められる場合がある。
【0007】
そこで、段積み物品群から、1段の部分物品群を形成する物品の個数の整数倍以外の数の物品の荷卸しを行うことができる荷卸し装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、荷卸し装置の特徴構成は、載置部の上に段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離する荷卸し装置であって、
前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの1つの段の前記部分物品群を把持対象物品群として、前記把持対象物品群の側周面を把持して、前記把持対象物品群及びそれより上の段の前記部分物品群を保持する把持装置と、前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの最上段の前記部分物品群を吸着対象物品群として、前記吸着対象物品群を構成する複数の前記物品のそれぞれの上面を吸着して前記物品を保持する吸着部を複数備えると共に、これら複数の前記吸着部が互いに独立して動作する吸着装置と、前記載置部と前記把持装置とを相対的に昇降させる第1昇降装置と、前記吸着装置と前記把持装置とを相対的に昇降させる第2昇降装置と、前記把持装置が保持している前記部分物品群を、前記把持装置から受け取って搬送する第1搬送装置と、を備え、前記第2昇降装置が、前記把持装置が前記把持対象物品群を把持し、かつ、前記吸着装置が前記吸着対象物品群を吸着した状態で、前記把持対象物品群と前記吸着対象物品群とが離間するように、前記吸着装置と前記把持装置とを上下方向に離間させる点にある。
【0009】
本構成によれば、把持装置により、段積み物品群から部分物品群を段毎に分離できる。そして、吸着装置により、最上段の部分物品群から任意の個数の物品を、段積み物品群から分離させることができる。従って、例えば、把持装置により段積み物品群の最上段より下の段の部分物品群の側周面を把持して、第1昇降装置により載置部と把持装置とを相対的に昇降させることで、段積み物品群から分離し、更に、吸着装置により最上段の部分物品群から任意の個数の物品を保持して、第2昇降装置により吸着装置と把持装置とを相対的に昇降させることで、把持装置の側に必要な個数の物品を残すことができる。そして、把持装置が把持している部分物品群を第1搬送装置が受け取ることにより、必要な個数の物品を段積み物品群から分離して搬送することができる。このように、本構成によれば、段積み物品群から、1段の部分物品群を形成する物品の個数の整数倍以外の数の物品の荷卸しを行うことができる。
【0010】
荷卸し装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】物品搬送設備の平面図
図2】荷卸し装置、第1昇降装置、第1搬送装置、受取装置、供給装置の側面図
図3】荷卸し装置、第1搬送装置の平面図
図4】取出装置及び搬送コンベヤを模式的に示す平面図
図5】把持対象物品群が把持装置により把持される工程を模式的に示す側面図
図6】部分物品群が段積み物品群から分離される工程を模式的に示す側面図
図7】吸着装置が把持装置に対して下降する工程を模式的に示す側面図
図8】吸着装置が吸着対象物品群を吸着する工程を模式的に示す側面図
図9】部分物品群が第1搬送装置により搬送される工程を模式的に示す側面図
図10】吸着装置により保持された物品を、段積み物品群に戻す工程を模式的に示す側面図
図11】載置部に残った段積み物品群、及び吸着装置を模式的に示す側面図
図12】段積み物品群の移動経路を模式的に示す平面図
図13】段積み物品群及び部分物品群の移動経路を模式的に示す平面図
図14】制御ブロック図
図15】制御装置による制御を示すフローチャート
図16】制御装置による制御を示すフローチャート
図17】制御装置による制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.全体概要
以下に、荷卸し装置1を物品搬送設備7に適用した例について図面に基づいて説明する。図1に示すように、物品搬送設備7は、物品Wを収容する自動倉庫2と、物品Wを搬送する物品搬送装置5と、物品Wの荷卸しを行う荷卸し装置1と、物品Wを物品搬送設備7と外部との間で搬出入する搬出入コンベヤ6と、を備えている。本実施形態では、自動倉庫2と、荷卸し装置1と、搬出入コンベヤ6とが、物品搬送装置5を介して接続されている。また、物品搬送設備7には、床部Fと天井との間に、第2床部Gが設置されている。第2床部Gは、床部Fに対して上方に間隔を空けた位置に設置されている。更に、第2床部Gと天井との間には、架台Dが設置されている。架台Dは、第2床部Gに対して上方に間隔を空けた位置に設置されている。
【0013】
以下では、後述する把持装置10と受取装置80とが並ぶ方向を第1方向Xとし、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとする。また、第1方向Xの一方側(図1における左側)を、第1方向第1側X1とし、他方側(図1における右側)を第1方向第2側X2とする。同様に、第2方向Yの一方側(図1における上側)を、第2方向第1側Y1とし、他方側(図1における下側)を第2方向第2側Y2とする。
【0014】
本実施形態では、物品Wは、パレットに載置された状態で、自動倉庫2に収容される。具体的には、複数の物品Wがパレットの上に段積みされた状態で、自動倉庫2に収容されている。本例では、1つのパレットに載置される複数の物品Wは、互いに同じ形状及び大きさの直方体形状とされている。また、1つのパレットに、1段につき規定の個数の物品Wが、複数段に亘って載置されている。図示の例では、1つのパレットに、1段につき8個の段ボール箱が、複数段、図2及び図5では4段載置されている。なお、物品Wは、例えば、飲料水、食品、衣服等を収容した段ボール箱である。
【0015】
2.自動倉庫
図1に示すように、自動倉庫2は、物品Wを保管する保管棚28と、自動倉庫2の内部に物品Wを搬入及び搬出する出入庫コンベヤ3と、保管棚28と出入庫コンベヤ3との間で物品Wを搬送する不図示の倉庫内搬送装置と、を備えている。本実施形態では、自動倉庫2は、床部Fに設置されている。本実施形態では、自動倉庫2は、物品搬送装置5の物品搬送経路Rを挟んで、荷卸し装置1が配置されている側(図示の例では第2方向第2側Y2)とは反対側(図示の例では第2方向第1側Y1)に配置されている。そして、自動倉庫2の保管棚28は、物品搬送経路Rの延在方向(図示の例では第1方向X)に並んで複数配置されている。保管棚28には、複数の保管部(不図示)が設けられている。保管部には、物品Wをパレットの上に載置した状態で保管している。倉庫内搬送装置は、複数の保管部と、出入庫コンベヤ3との間で、物品Wをパレットの上に載置した状態で搬送する。倉庫内搬送装置としては、例えばスタッカークレーン等を用いることができる。出入庫コンベヤ3は、物品搬送装置5に接続されており、物品搬送装置5との間で物品Wの受け渡しを行う。本例では、複数の出入庫コンベヤ3が、物品搬送経路Rの延在方向(図示の例では第1方向X)に並んで配置されている。出入庫コンベヤ3としては、例えば、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ等の公知の各種コンベヤを用いることができる。
【0016】
3.搬出入コンベヤ
搬出入コンベヤ6は、外部から物品搬送設備7の内部に物品Wを搬入すると共に、物品搬送設備7の内部から外部に物品Wを搬出する装置である。本実施形態では、搬出入コンベヤ6は、物品搬送経路Rに接続されている。また、搬出入コンベヤ6は、後述する追加作業エリア8に隣接している。図示の例では、搬出入コンベヤ6は、追加作業エリア8に対して第1方向第1側X1に隣接している。なお、本例では、搬出入コンベヤ6は、物品搬送設備7の外部から内部に向けて物品Wを搬入する搬入コンベヤ6aと、物品搬送設備7の内部から外部に向けて物品Wを搬出する搬出コンベヤ6bとを備えている。搬入コンベヤ6a及び搬出コンベヤ6bとしては、例えば、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ等の公知の各種コンベヤを用いることができる。
【0017】
4.物品搬送装置
物品搬送装置5は、自動倉庫2と荷卸し装置1との間で物品Wを搬送する装置である。また、物品搬送装置5は、荷卸し装置1と搬出入コンベヤ6との間で物品Wを搬送すると共に、自動倉庫2と搬出入コンベヤ6との間で物品Wを搬送する。本実施形態では、物品搬送装置5による物品Wの搬送経路を物品搬送経路Rと称する。本例では、物品搬送装置5は、物品搬送経路Rに沿って走行し、物品Wを搬送する物品搬送車4を備えている。ここでは、物品搬送経路Rは、物品搬送車4の走行方向を案内する軌道(レール)とされており、床部Fに設置されている。本実施形態では、物品搬送経路Rは、物品搬送車4が周回可能な無端状の周回経路とされている。そして、図1に示すように、物品搬送経路Rは、荷卸し装置1及び自動倉庫2と隣接している。更に、物品搬送経路Rは、荷卸し装置1を囲むように配置されている。
【0018】
本実施形態では、図1に示すように、物品搬送経路Rは、複数の直線部R´を備えている。本例では、物品搬送経路Rは、並行する2つの直線部R´を備えている。2つの直線部R´は、第1方向Xに沿うと共に、第2方向Yに分かれて配設されている。図示の例では、物品搬送経路Rは、直線部R´において、出入庫コンベヤ3と、搬出入コンベヤ6と、後述の作業コンベヤ88とのそれぞれに接続されている。そして、2つの直線部R´の間に、後述の搬送コンベヤ90を含む荷卸し装置1が設けられている。直線部R´は、この搬送コンベヤ90にも接続されている。本例では、物品搬送経路Rは、連結部(不図示)を更に有している。2つの直線部R´の第1方向第1側X1の端部同士が、連結部で連結されている。また、2つの直線部R´の第1方向第2側X2の端部同士が、連結部で連結されている。これにより、物品搬送車4は、物品搬送経路R上を一方通行で走行して、物品搬送経路Rを周回する。
【0019】
物品搬送車4は、物品搬送経路Rを予め設定された方向に走行する。図1においては、物品搬送車4の走行方向を矢印で示している。本実施形態では、物品搬送車4は、パレットの上に載置された状態の物品Wを搬送する。物品搬送車4は、コンベヤや出退動作するフォーク等を含む公知の移載機を備えている。これにより、物品搬送車4は、物品搬送経路Rに接続された各コンベヤとの間で物品Wをパレットごと受け渡す。
【0020】
5.荷卸し装置
荷卸し装置1は、図2に示すように、載置部9の上に段積みされた複数の物品Wである段積み物品群WAから、一部の段に属する複数の物品Wである部分物品群WBを分離することで、荷卸しを行う装置である。本実施形態では、荷卸し装置1は、載置部9の上に、全体として直方体状となるように段積みされた段積み物品群WAから、最上段又は最上段より1つ下の段(上から2段目)の部分物品群WBを分離して移動させる。また、本実施形態では、荷卸し装置1には、自動倉庫2から出庫された段積み物品群WAが供給される。そして、荷卸し装置1において分離された部分物品群WBは、搬出入コンベヤ6に送られる。荷卸し装置1は、物品搬送経路Rに囲まれた内側に設けられている。図示の例では、荷卸し装置1は、並行する2つの直線部R´の間に設けられている。荷卸し装置1は、この物品搬送経路Rを介して、自動倉庫2と搬出入コンベヤ6とに接続されている。なお、本例では、載置部9はパレットである。図示の例では、パレットの上に、1段につき複数個の物品Wが複数段積み付けられて、段積み物品群WAが構成されている。より詳細には、パレットの上に、1段につき8個の物品Wが4段積み付けられて、段積み物品群WAが構成されている。このため、段積み物品群WAは、全体として長方形状となっている。
【0021】
荷卸し装置1は、主要な構成として、把持装置10と、取出装置20と、吸着装置35と、第1昇降装置40と、第2昇降装置50と、第1搬送装置60と、第2搬送装置70と、第3搬送装置73と、第4搬送装置76と、受取装置80と、供給装置85と、追加作業エリア8と、制御装置Hと、を備えている。また、荷卸し装置1は、第2搬送装置70、第3搬送装置73、及び、第4搬送装置76を含む搬送装置を構成するための搬送コンベヤ90として、第1コンベヤ91から第10コンベヤ100を更に備えている。なお、特に言及しない限り、搬送コンベヤ90における合流部、分岐部には、段積み物品群WAの搬送方向を転換する方向変換装置(いわゆるトランサー)が設けられている。
【0022】
5-1.搬送コンベヤ
搬送コンベヤ90について、図1を参照して説明する。搬送コンベヤ90を構成する複数のコンベヤのうち、第1コンベヤ91は、物品搬送経路Rを走行する物品搬送車4から、自動倉庫2に収容されていた段積み物品群WAを受け取って、第2コンベヤ92に引き渡す。第2コンベヤ92は、第1コンベヤ91又は第6コンベヤ96から段積み物品群WAを受け取って、第3コンベヤ93又は第4コンベヤ94に引き渡す。第3コンベヤ93は、第2コンベヤ92から段積み物品群WAを受け取って、物品搬送経路Rを走行する物品搬送車4に引き渡す。図示の例では、第1コンベヤ91、第2コンベヤ92、及び第3コンベヤ93は第1方向Xに沿って直線状に配設されている。第1コンベヤ91と第2コンベヤ92との接続部分は、第1コンベヤ91と第6コンベヤ96との合流部66である。また、第2コンベヤ92と第3コンベヤ93との接続部分は、第2コンベヤ92から第3コンベヤ93と第4コンベヤ94とに分岐する第1分岐部67である。第1分岐部67には、後述する第1昇降装置40の第1昇降体41が設けられている。本例では、第1昇降体41は、載置部9を載置すると共に、段積み物品群WAの搬送方向を転換する方向変換機能を有している。
【0023】
また、搬送コンベヤ90を構成する複数のコンベヤのうち、第4コンベヤ94は、第2コンベヤ92から分岐し、第1昇降装置40から段積み物品群WAを受け取って、第5コンベヤ95に引き渡す。第5コンベヤ95は、第4コンベヤ94から段積み物品群WAを受け取って、第6コンベヤ96又は第10コンベヤ100に引き渡す。第6コンベヤ96は、第5コンベヤ95から段積み物品群WAを受け取って、第2コンベヤ92に引き渡す。第10コンベヤ100は、第5コンベヤ95から段積み物品群WAを受け取って、物品搬送経路Rを走行する物品搬送車4に引き渡す。図示の例では、第5コンベヤ95及び第10コンベヤ100は第1方向Xに沿って直線状に配設されている。第4コンベヤ94及び第6コンベヤ96は、それぞれが第2方向Yに沿うように並行に配設されている。第5コンベヤ95と第10コンベヤ100との接続部分は、第5コンベヤ95から第10コンベヤ100と第6コンベヤ96とに分岐する第2分岐部68である。
【0024】
また、搬送コンベヤ90を構成する複数のコンベヤのうち、第7コンベヤ97は、供給装置85から後述する支持体84に載置された部分物品群WBを受け取って、物品搬送経路Rを走行する物品搬送車4に引き渡す。第8コンベヤ98は、物品搬送車4から空の支持体84を受け取って供給装置85に引き渡す。図示の例では、第7コンベヤ97と第8コンベヤ98は、第1方向Xに沿って直線状に配設されている。第7コンベヤ97と第8コンベヤ98との間には、供給装置85の第2昇降体87が設けられている。本例では、第2昇降体87は、支持体84を載置すると共に、第2方向Yに支持体84を搬送するコンベヤとしての機能を有している。
【0025】
また、搬送コンベヤ90を構成する複数のコンベヤのうち、第9コンベヤ99は、物品搬送経路Rを走行する物品搬送車4から空の支持体84を受け取って、載置位置23に搬送する。空の支持体84は、載置位置23において、取出装置20により1つ又は複数の物品Wが載せられる。第9コンベヤ99は、更に、載置位置23から、物品Wを載置した支持体84を、物品搬送経路R上の物品搬送車4に引き渡す。本例では、支持体84は、パレットである。また、図示の例では、第9コンベヤ99は、U字状に配設されている。
【0026】
なお、搬送コンベヤ90を構成する複数のコンベヤとしては、例えば、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ等の公知の各種コンベヤを用いることができる。
【0027】
5-2.第2搬送装置
図1に示すように、第2搬送装置70は、取出装置20から把持装置10及び吸着装置35へ段積み物品群WAを搬送する装置である。第2搬送装置70は、段積み物品群WAを、第1昇降装置40に搬送することで、当該第1昇降装置40を介して、把持装置10及び吸着装置35に搬送する。本実施形態では、第2搬送装置70は、取出装置20から第2方向第2側Y2に向けて、段積み物品群WAを搬送する。本例では、第2コンベヤ92が、第2搬送装置70に相当する。
【0028】
5-3.第4搬送装置
図1に示すように、第4搬送装置76は、把持装置10から取出装置20へ段積み物品群WAを搬送する装置である。本実施形態では、第4搬送装置76は、把持装置10で部分物品群WBと分離された残りの段積み物品群WAを、取出装置20へ搬送する。ここでは、取出装置20は、合流部66にある段積み物品群WAを対象として物品Wの取出しを行うように設けられている。よって、第4搬送装置76は、当該残りの段積み物品群WAを合流部66へ搬送する。本例では、第4コンベヤ94、第5コンベヤ95、第6コンベヤ96が、第4搬送装置76に相当する。
【0029】
5-4.第3搬送装置
図1に示すように、第3搬送装置73は、受取装置80により部分物品群WBが載置された支持体84を、追加作業エリア8へ搬送する装置である。本実施形態では、第3搬送装置73は、部分物品群WBが載置された支持体84を、第2昇降装置50から受け取ることで、当該第2昇降装置50を介して受取装置80から受け取る。そして、第3搬送装置73は、後述する追加作業エリア8の作業コンベヤ88に搬送する。本例では、部分物品群WBが載置された支持体84は、第7コンベヤ97により物品搬送経路Rまで搬送された後、物品搬送経路R上の物品搬送車4に移載され、当該物品搬送車4により作業コンベヤ88まで搬送される(図13参照)。このため、本例では、第7コンベヤ97及び物品搬送車4が、第3搬送装置73に相当する。
【0030】
5-5.追加作業エリア
図1に示すように、追加作業エリア8は、支持体84に載置された部分物品群WBに対して、1つ又は複数の物品Wを追加する作業が行われるエリアである。本実施形態では、追加作業エリア8は、物品搬送経路Rに隣接して配置されている。また、追加作業エリア8は、搬出入コンベヤ6に対して、第1方向第2側X2に隣接して配置されている。追加作業エリア8では、例えば、追加作業エリア8に搬送されてきた部分物品群WBが載置された支持体84に対して、当該部分物品群WBと出荷先が同じである1つ又は複数の別の物品Wを追加する作業、いわゆる荷合わせ作業が行われる。本例では、追加作業エリア8は、作業領域89と、作業コンベヤ88とを備えている。作業領域89は、作業者及び作業ロボットの少なくとも一方が、荷合わせ作業等を行う領域である。作業コンベヤ88は、物品搬送経路Rに接続されており、部分物品群WBが載置された支持体84を物品搬送車4から受け取り、作業領域89へ搬送する。また、作業コンベヤ88は、部分物品群WBが載置された支持体84を、作業領域89から物品搬送経路Rへ搬送し、物品搬送車4に引き渡す。物品搬送車4は、部分物品群WBを受け取って、搬出コンベヤ6bに搬送する。
【0031】
5-6.取出装置
取出装置20は、図1及び図4に示すように、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBから任意の個数の物品Wを取り出す装置である。本実施形態では、取出装置20は、把持装置10に段積み物品群WAが搬送される前に、最上段の部分物品群WBから任意の個数の物品Wを取り出す。本例では、取出装置20は、床部Fに設置されている。また、取出装置20は、段積み物品群WAの搬送経路における、把持装置10と物品搬送経路Rとの間に設けられている。図示の例では、取出装置20は、合流部66に対応する位置に配置されている。具体的には、取出装置20は、合流部66を取出位置とし、当該取出位置に配置された段積み物品群WAを対象として物品Wの取出しを行う。本実施形態では、図4に示すように、取出装置20は、移載装置22と、画像認識システム24と、を備えている。
【0032】
画像認識システム24は、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBに属する1つ又は複数の物品Wを画像認識する。本実施形態では、画像認識システム24は、撮像装置25を備えている。撮像装置25は、取出位置における段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを上方から撮像する。そして、画像認識システム24は、撮像装置25が撮像した撮像情報に基づいて、最上段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数を判別する。画像認識システム24は、判別した最上段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数を示す情報を、制御装置Hに送信する。本実施形態では、図1及び図4に示すように、移載装置22と、画像認識システム24の撮像装置25とは、互いに分離して配置されている。なお、撮像装置25は、例えば、第2床部Gから下向きに吊り下げられて設置されていると好適である。
【0033】
移載装置22は、画像認識システム24による画像認識の結果に基づいて、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBから任意の個数の物品Wを取り出し、当該取り出した物品Wを支持体84に載置する。本実施形態では、移載装置22は、画像認識システム24により判別された最上段の物品Wの個数に基づいた制御装置Hの指令に従って、最上段の部分物品群WBから物品Wを取り出して支持体84に移載する。ここでは、移載装置22は、取出位置(合流部66)に位置する段積み物品群WAの最上段から1つ又は複数の物品Wを保持して取り出し、載置位置23にある空の支持体84に載置することで、物品Wの移載を行う(図4参照)。この際、一度の移載で必要数の物品Wを移載できない場合には、移載装置22は、移載動作を複数回繰り返す。本例では、移載装置22はピッキングロボットである。この場合、図4に示すように、移載装置22は、例えば多関節アーム等のロボットアームとして構成された駆動部22aと、駆動部22aの先端に支持された吸着パッド(不図示)とを備えている。図示の例では、駆動部22aは、取出位置(合流部66)に位置する段積み物品群WAの最上段から物品Wを吸着して保持し、載置位置23にある空の支持体84まで移動させて当該支持体84に載置する(図4参照)。物品Wが載せられた支持体84は、第9コンベヤ99によって物品搬送経路Rまで搬送された後、物品搬送経路R上の物品搬送車4に移載される。そして、物品搬送車4によって自動倉庫2に搬送され、自動倉庫2に収容される。
【0034】
5-7.第1昇降装置
第1昇降装置40は、載置部9と把持装置10とを相対的に昇降させる装置である。この第1昇降装置40により、把持装置10による把持対象となる段の部分物品群WB(把持対象物品群WC)が、把持装置10による把持に適した位置に配置される。また、この第1昇降装置40により、把持装置10により把持された部分物品群WBと、それより下の段の部分物品群WBとが上下方向に分離される。本実施形態では、第1昇降装置40は、載置部9を把持装置10に対して昇降させる。図2に示すように、第1昇降装置40は、床部Fに設置されている。また、第1昇降装置40は、把持装置10の真下に配置されている。換言すると、第1昇降装置40は、把持装置10と上下方向Z視で重複する位置において、把持装置10よりも下側に設けられている。本例では、第1昇降装置40は、第1分岐部67に配置されている。本実施形態では、第1昇降装置40は、上下方向Zに沿うように立設された支柱42と、支柱42に沿って昇降する第1昇降体41と、を備えている。第1昇降体41は、段積み物品群WAを載置した載置部9を下方から支持する。支柱42の上端と、把持装置10の下端との間には、後述する第1搬送装置60の支持部63が進入可能な第1空間E1が形成されている。第1昇降体41が昇降することにより、載置部9及び当該載置部9に載置された段積み物品群WAが昇降する。そして、第1昇降装置40は、第1昇降体41を昇降させることにより、把持装置10の設置高さに対応する高さに、把持装置10による把持対象となる段の部分物品群WBを位置させる。また、本例では、第1昇降体41は、段積み物品群WAの搬送方向を転換する方向変換機能を更に有している。これにより、第1昇降体41は、第2コンベヤ92から受け取った段積み物品群WAを、第3コンベヤ93及び第4コンベヤ94のうちから選択された方のコンベヤに引き渡す。すなわち、第1昇降体41は、第2コンベヤ92、第3コンベヤ93、第4コンベヤ94の搬送面に対応する位置において、第1分岐部67としての機能を果たす。
【0035】
5-8.把持装置
図2及び図3に示すように、把持装置10は、段積み物品群WAを構成する複数段の部分物品群WBのうちの1つの段の部分物品群WBを把持対象物品群WCとして、把持対象物品群WCの側周面を把持して、把持対象物品群WC及びそれより上の段の部分物品群WBを保持する装置である。本実施形態では、把持装置10は、最上段の部分物品群WB、又は最上段より1つ下の段(上から2段目)の部分物品群WBの側周面を把持することで、把持対象物品群WC及びそれより上の段の部分物品群WBを保持する。すなわち、本実施形態では、最上段又は最上段より1つ下の段の部分物品群WBが把持対象物品群WCとされる。本例では、段積み物品群WAから分離する物品Wの個数が、1段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数と同じ場合、把持装置10は、最上段の部分物品群WBを把持対象物品群WCとする。また、段積み物品群WAから分離する物品Wの個数が、最上段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数より多く、最上段及び上から2段目の部分物品群WBを構成する物品Wの個数より少ない場合は、最上段より1つ下の段の部分物品群WBを把持対象物品群WCとする。そして、把持装置10により保持された複数の物品Wが、段積み物品群WAから分離される(荷卸しされる)部分物品群WBとなる。把持装置10により保持された部分物品群WBは、その後、把持対象物品群WCより下の段の部分物品群WBと分離されて、第1搬送装置60を介して受取装置80に引き渡される。なお、段積み物品群WAから分離する物品Wの個数が、2段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数より多い場合には、部分物品群WBを把持して分離する動作を複数回行う。
【0036】
本実施形態では、図2に示すように、把持装置10は、第2床部Gに設けられている。そして、把持装置10は、第1昇降装置40よりも上側に、当該第1昇降装置40と上下方向Z視で重複するように配置されている。また、把持装置10は、第1搬送装置60に隣接して配置されている。具体的には、把持装置10は、第1搬送装置60に対し第1方向第2側X2に隣接して配置されている。また、把持装置10は、第1搬送装置60が備える支持部63よりも上方に配置されている。図示の例では、把持装置10は、上下方向Z視で、第1分岐部67と重複するように配置されている。
【0037】
本実施形態では、図3に示すように、把持装置10は、把持対象物品群WCを押圧把持する複数の把持部材11を備えている。具体的には、把持装置10は、把持対象物品群WCを挟んで第1方向Xに対向する第1把持部材11a及び第3把持部材11cと、把持対象物品群WCを挟んで第2方向Yに対向する第2把持部材11b及び第4把持部材11dとを備えている。把持装置10は、第1把持部材11aと第3把持部材11cとによって、把持対象物品群WCを第1方向Xに挟んで把持する。また、把持装置10は、第2把持部材11bと第4把持部材11dとによって、把持対象物品群WCを第2方向Yに挟んで把持する。本例では、第3把持部材11cは、第1搬送装置60の側に配置されている。
【0038】
本実施形態では、第1把持部材11a及び第3把持部材11cは、それぞれ、第1方向Xに移動自在に構成されている。同様に、第2把持部材11b及び第4把持部材11dは、それぞれ、第2方向Yに移動自在に構成されている。第1把持部材11aと第3把持部材11cとが、第1方向Xに互いに接近することで、把持対象物品群WCは第1方向Xに押圧把持される。第2把持部材11bと第4把持部材11dとが第2方向Yに互いに接近することで、把持対象物品群WCは第2方向Yに押圧把持される。
【0039】
本実施形態では、図2及び図3に示すように、把持装置10は、駆動機構15と、直動案内機構16とを備えている。駆動機構15は、把持部材11を第1方向X、又は第2方向Yに沿って往復移動させるための機構である。駆動機構15は、複数の把持部材11のそれぞれに対応して設けられている。本例では、4つの把持部材11に対応して、4つの駆動機構15が設けられている。4つの駆動機構15のそれぞれは、対応する把持部材11に連結されている。これにより、第1把持部材11aと第3把持部材11cとが互いに接近及び離間することができる。同様に、第2把持部材11bと第4把持部材11dとが互いに接近及び離間することができる。本例では、駆動機構15はサーボモータ及びボールねじで構成されている。例えば、ボールねじのナット部が、把持部材11に連結され、ボールねじのねじ軸部がサーボモータにより回転駆動される構成とすることができる。
【0040】
直動案内機構16は、複数の把持部材11のそれぞれに対応して設けられている。本例では、4つの把持部材11に対応して、4組の直動案内機構16が設けられている。具体的には、1つの把持部材11に対し一対の直動案内機構16が設けられている。これにより、それぞれの把持部材11(第1把持部材11a、第2把持部材11b、第3把持部材11c、第4把持部材11d)は、対応する一対の直動案内機構16に案内されて、第1方向X、又は第2方向Yに往復移動する。
【0041】
本実施形態では、把持装置10は、支持部材19と、枠体39と、昇降部18とを更に備えている。枠体39は、4つの支持部材19を支持している。これにより、枠体39は、把持部材11、これらを案内する直動案内機構16、及び駆動機構15を支持している。また、本実施形態では、把持装置10に対して下側に第1昇降装置40が配置されているため、枠体39は、第1昇降装置40に対して適切な高さに把持装置10が配置されるように、把持装置10を支持する機能も果たす。支持部材19は、枠体39上に設けられている。支持部材19は、4つの把持部材11に対応して4つ設けられている。支持部材19には、直動案内機構16及び駆動機構15が支持されている。把持部材11は、直動案内機構16に支持されていると共に、駆動機構15に連結されている。昇降部18は、第3把持部材11cを支持する支持部材19を昇降可能に構成されている。これにより、分離した部分物品群WBを、支持部63によって第1方向Xに移動させる場合に、部分物品群WBが、第3把持部材11c及び当該第3把持部材11cの駆動機構15と干渉しないように、これらを上方に退避させる。
【0042】
本実施形態では、複数の把持部材11(ここでは、第1把持部材11a、第2把持部材11b、第3把持部材11c、及び第4把持部材11d)によって囲まれた領域である把持領域17に、把持対象物品群WCが配置される。把持領域17は、段積み物品群WAから、把持対象物品群WCを含む部分物品群WBを分離するための荷卸し動作が行われる領域である。本例では、把持領域17は上下方向Z視で矩形状の領域であり、段積み物品群WAが上下方向Zに通過可能な大きさに形成されている。把持領域17の上下方向Zの範囲は、4つの把持部材11の上下方向Zにおける配置領域に相当する。
【0043】
第1昇降体41の上昇により、第1昇降体41に載置された段積み物品群WAのうち、把持対象物品群WCが把持領域17に対応する位置に配置されると、把持部材11は、把持対象物品群WCの側へ移動して、把持対象物品群WCの側周面を押圧把持する。本例では、第1把持部材11aと第3把持部材11cとが互いに接近することにより、把持対象物品群WCを第1方向Xに押圧把持する。同様に第2把持部材11bと第4把持部材11dとが互いに接近することにより、把持対象物品群WCを第2方向Yに押圧把持する。また、把持部材11は、把持対象物品群WCの側とは反対の側へ移動することで、把持対象物品群WCの側周面を押圧把持する状態を解除する。本例では、第1把持部材11aと第3把持部材11cとが、第1方向Xに互いに離れ、第2把持部材11bと第4把持部材11dとが第2方向Yに互いに離れることで、把持対象物品群WCに対する押圧把持が解除される。
【0044】
なお、本例では、把持部材11には、干渉回避部14がそれぞれ形成されている。図示の例では、第2把持部材11bの第1方向Xの両端部に、凹凸形状の干渉回避部14が形成されている(図2参照)。第1把持部材11a、第3把持部材11c、第4把持部材11dにも、同様の構成で干渉回避部14が形成されている。これらの干渉回避部14は、互いに隣接する把持部材11同士で、上下方向に互い違いになるように形成されている。これにより、4つの把持部材11が互いに把持対象物品群WCの側に接近しても、互いに干渉することなく、把持対象物品群WCを押圧把持できる。
【0045】
5-9.第2昇降装置
第2昇降装置50は、吸着装置35と把持装置10とを相対的に昇降させる装置である。この第2昇降装置50により、段積み物品群WAの最上段の物品Wと吸着装置35とが接近する。また、この第2昇降装置50により、吸着装置35が吸着した最上段の物品Wと段積み物品群WAとが上下方向に分離される。本例では、図2に示すように、第2昇降装置50は、吸着装置35よりも上側であって、上下方向Z視で重複する位置に設けられている。また、第2昇降装置50は、架台Dによって上側から吊下げられた状態で支持されている。そして、第2昇降装置50の下端に、吸着装置35が連結されている。
【0046】
本実施形態では、把持装置10の上下方向の位置が固定されており、第2昇降装置50は、吸着装置35を把持装置10に対して昇降させる。すなわち、第2昇降装置50は、吸着装置35を上下方向Zに移動させることで、吸着装置35と把持装置10とを相対的に昇降させる。図2に示すように、第2昇降装置50は、昇降機構36を備えている。昇降機構36は、架台Dから吊り下げられていると共に、吸着装置35を上方から支持している。本例では、昇降機構36には、気圧又は液圧によりロッドを上下方向Zに沿って出退させるように動作するシリンダが用いられている。ここでは、当該シリンダのロッドの先端が、吸着装置35に連結されている。この昇降機構36により、吸着装置35が、上下方向Zに沿って往復移動される。
【0047】
5-10.吸着装置
吸着装置35は、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを構成する1つ又は複数の物品Wの一部又は全部を吸着保持する装置である。この吸着装置35により吸着保持する物品Wの数を制御することで、把持装置10により段積み物品群WAから分離する物品Wの数を調整することができる。本実施形態では、吸着装置35は、昇降機構36により吊下げ支持されている。また、吸着装置35は、把持領域17の真上に設けられている。換言すると、吸着装置35は、把持装置10より上側であって、上下方向Z視で把持領域17と重複する位置に配置されている。図示の例では、吸着装置35は、第1分岐部67、第1昇降装置40、及び、第2昇降装置50と、上下方向Z視で重複する位置に配置されている。
【0048】
吸着装置35は、段積み物品群WAを構成する複数段の部分物品群WBのうちの最上段の部分物品群WBを吸着対象物品群WDとして、吸着対象物品群WDを構成する複数の物品Wのそれぞれの上面を吸着して物品Wを保持する吸着部30を複数備えると共に、これら複数の吸着部30が互いに独立して動作するように構成されている。すなわち、吸着装置35は、吸着対象物品群WDに対して上側から接近し、当該吸着対象物品群WDを構成する複数の物品Wのそれぞれの上面を吸着することができる構成となっている。また、吸着装置35が備える複数の吸着部30は互いに独立して動作し、それぞれが、物品Wを吸着する吸着状態と、物品Wを吸着しない非吸着状態とに切り替えられる。これにより、吸着部30は、吸着対象物品群WDから、任意の個数の物品Wを吸着して保持することができる。本実施形態では、把持領域17に把持対象物品群WCが配置された状態で、複数の吸着部30の一部又は全部が、それぞれ、吸着対象物品群WDの物品Wを吸着する。具体的には、吸着装置35は、複数の吸着部30を、吸着対象物品群WDの物品Wの上面に当接する位置に下降させた状態で、複数の吸着部30の一部又は全部に物品Wを吸着させる。本例では、段積み物品群WAから分離する物品Wの個数が、最上段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数より多く、最上段及び上から2段目の部分物品群WBを構成する物品Wの個数より少ない場合に、吸着装置35は、最上段の部分物品群WBから1つ又は複数個の物品Wを吸着保持して、把持装置10に保持されている部分物品群WBの物品Wの個数が、分離したい物品Wの個数と同じになるように調整する。
【0049】
本実施形態では、吸着装置35は、複数の吸着部30を一体的に支持する吸着支持部31を備えている。本例では、第1方向X及び第2方向Yのそれぞれに複数の吸着部30が並ぶように配置されている。吸着支持部31は、それら複数の吸着部30の配置を維持したままで、第2昇降装置50により一体的に昇降させることができるように、複数の吸着部30を支持している。また、この吸着支持部31が、第2昇降装置50の昇降機構36に連結されている。図示の例では、複数の吸着部30が、吸着支持部31の下側を向く面に固定されている。本例では、複数の吸着部30のそれぞれは、吸着パッドである。それぞれの吸着パッドは、不図示の配管及び弁を介して吸引装置に接続されている。そして、配管の途中に設けられた弁を開閉することにより、それぞれの吸着部30を、吸着状態と非吸着状態とに切り替えることができるように構成されている。
【0050】
5-11.供給装置
図2に示すように、供給装置85は、受取装置80に空の支持体84を供給する装置である。本実施形態では、供給装置85は、受取装置80から受け取った部分物品群WBを、第3搬送装置73(図1参照)に引き渡す役割も果たす。図2に示すように、供給装置85は、床部Fに設置されている。また、供給装置85は、受取装置80の真下に配置されている。換言すると、供給装置85は、受取装置80と上下方向Z視で重複する位置において、受取装置80よりも下側に設けられている。本例では、供給装置85は、平面視における、第7コンベヤ97と第8コンベヤ98との間に配置されている。
【0051】
本例での供給装置85の基本的構成は、第1昇降装置40と同じである。そのため、第1昇降装置40と共通する構成については簡略に説明する。供給装置85は、第1昇降装置40と同様に、第2支柱86と、第2昇降体87と、を備えている。第2支柱86の上端と、受取装置80の下端との間には、後述する第1搬送装置60の支持部63が進入可能な第2空間E2が形成されている。第2昇降体87は、空の支持体84、又は部分物品群WBを載置した支持体84を下方から支持する。供給装置85は、第2昇降体87を昇降させることにより、受取装置80の設置高さに対応する高さに空の支持体84を配置する。具体的には、第2昇降体87は、第8コンベヤ98から空の支持体84を受け取って上昇する。そして、空の支持体84の載置面を、第2空間E2の下側に隣接する高さに配置する。次に、後述するように、受取装置80により、空の支持体84の上に、段積み物品群WAから分離された部分物品群WBが載置される。その後、第2昇降体87は下降して、第7コンベヤ97(第3搬送装置73)に、支持体84に載置された部分物品群WBを引き渡す。
【0052】
5-12.受取装置
受取装置80は、前記第1搬送装置60から前記部分物品群WBを受け取って支持体84の上に載置する装置である。本実施形態では、受取装置80は、把持装置10に対して第1方向第1側X1に設けられている。本例では、受取装置80は、第2床部Gに設けられている。また、受取装置80は、供給装置85よりも上側であって、上下方向Z視で供給装置85と重複する位置に配置されている。
【0053】
本実施形態では、受取装置80の基本的な構成については、把持装置10と同じであるため、簡略に説明を行う。本実施形態では、受取装置80は、把持装置10が分離した部分物品群WBを、第1搬送装置60から受け取る。本実施形態では、受取装置80は、部分物品群WBを把持する複数の受取用把持部材81を備えている。本例では受取用把持部材81は、把持部材11と同じ構成である。すなわち、本例での受取装置80は、4つの受取用把持部材81を備えている。この受取用把持部材81により、部分物品群WBのうち把持対象物品群WCを押圧把持することで、第1搬送装置60から当該部分物品群WBを受け取る。そして、供給装置85において、受取装置80の設置高さに対応する高さに配置された支持体84に当該部分物品群WBを引き渡す。なお、本例では、4つの受取用把持部材81のうち、第1搬送装置60の側の受取用把持部材81は、把持装置10の第3把持部材11cと同様に、上下方向Zに移動自在に構成されている。これにより、第1搬送装置60により部分物品群WBが受取装置80まで搬送されてくる際に、部分物品群WBと当該受取用把持部材81とが干渉することを回避する。
【0054】
5-13.第1搬送装置
図1に示すように、第1搬送装置60は、把持装置10が保持している部分物品群WBを、把持装置10から受け取って搬送する装置である。本実施形態では、第1搬送装置60は、把持装置10から受け取った部分物品群WBを、受取装置80に向けて搬送する。そして、第1搬送装置60は、当該部分物品群WBを、受取装置80に引き渡す。このように、第1搬送装置60は、把持装置10と受取装置80とを接続する搬送装置である。本実施形態では、第1搬送装置60は、第2床部Gに設けられている。そして、第1搬送装置60は、上下方向Z視で、把持装置10と重複する領域から受取装置80と重複する領域までに亘って配置されている。
【0055】
本実施形態では、図2及び図3に示すように、第1搬送装置60は、把持装置10から受け取った部分物品群WBを支持する支持部63と、支持部63を移動させる移動機構65と、を備えている。そして、移動機構65は、支持部63を、把持装置10よりも下側において、上下方向Z視で把持装置10と重複する受取位置と、前記上下方向視で前記把持装置10と重複しない搬出位置との間で移動させる。受取位置では、支持部63は、把持装置10の下方に形成された第1空間E1(図2参照)に配置される。本実施形態では、支持部63は、受取位置において、把持装置10から部分物品群WBを受け取る。その後、支持部63は、第1方向第1側X1に移動することで、部分物品群WBを第1方向第1側X1に向けて搬送する。そして、支持部63は、搬出位置において、部分物品群WBを、受取装置80に引き渡す。具体的には、搬出位置では、部分物品群WBを載置した支持部63は、上述の第2空間E2(図2参照)に配置される。そして、搬出位置において、支持部63に載置された部分物品群WBが受取装置80に引き渡される。その後、支持部63は、搬出位置から受取位置に向けて移動する。そして、受取装置80から、供給装置85により供給された支持体84に、部分物品群WBが引き渡される。なお、図示の例では、支持部63はスライドテーブルである。
【0056】
本例では、移動機構65は、支持部63を第1方向Xに案内するガイド62と、支持部63を受取位置と搬出位置との間で移動させるための搬送ベルト64や駆動源(図示略)等を備えている。図示の例では、搬送ベルト64は、第1方向Xに沿って延在するように配置され、複数の駆動プーリ(図示略)に巻きかけられている。そして、駆動源及び駆動プーリにより搬送ベルト64が回動して、支持部63が第1方向Xに往復移動する。
【0057】
5-14.制御装置
制御装置Hは、荷卸し動作を行う場合に、把持装置10と、吸着装置35と、第1昇降装置40と、第2昇降装置50と、第1搬送装置60と、取出装置20と、を制御する。本実施形態では、制御装置Hは、把持装置10と、吸着装置35と、第1昇降装置40と、第2昇降装置50と、第1搬送装置60とを制御して、段積み物品群から必要数の物品Wを分離する必要個数分離動作を行う。以下では、必要個数分離動作について順に説明する。ここで、必要数は、出荷指示、出荷オーダー等の指示情報に基づいて定まる、段積み物品群WAから分離する(荷卸しを行う)ことが要求されている物品Wの個数である。
【0058】
図5及び図6に示すように、制御装置Hは、把持装置10により、段積み物品群WAの最上段より下の段に設定された把持対象物品群WCの側周面を把持して、第1昇降装置40により段積み物品群WAから複数段の前記部分物品群WBを分離する。本例では、制御装置Hは、第1昇降装置40を制御して段積み物品群WAを昇降させ、把持装置10による把持対象となる段の部分物品群WBである把持対象物品群WCを、把持装置10による把持に適した位置に配置する。そして、制御装置Hは、把持装置10を制御して、把持装置10により把持対象物品群WCを把持する。図示の例では、制御装置Hは、最上段より1段下(上から2段目の段)の部分物品群WBを把持対象物品群WCとして、当該把持対象物品群WCの側周面を把持するように、把持装置10を制御する。次に、制御装置Hは、把持装置10により把持対象物品群WCを把持した状態で、第1昇降体41を下降させるように第1昇降装置40を制御する。これにより、把持装置10によって把持された把持対象物品群WC及びそれより上の段(本例では最上段)の部分物品群WBとが、把持対象物品群WCより下の段(本例では上から3段目以降各段)の部分物品群WBと分離される。その後、制御装置Hは、支持部63を搬出位置から受取位置に移動させるように、第1搬送装置60を制御する。
【0059】
図7及び図8に示すように、制御装置Hは、分離した複数段の部分物品群WBの内の最上段の部分物品群WBを吸着対象物品群WDとして、吸着装置35により吸着対象物品群WDの一部又は全部の物品Wを吸着して保持し、第2昇降装置50により吸着装置35が保持している物品Wを把持装置10に対して相対的に上昇させる。本例では、制御装置Hは、把持装置10により把持対象物品群WCを把持した状態で、吸着装置35を下降させるように、第2昇降装置50を制御する。より詳細には、制御装置Hは、複数の吸着部30が、吸着対象物品群WDを構成する物品Wの上面に当接する位置になるよう、吸着装置35を下降させる。その後、制御装置Hは、吸着対象物品群WDの一部又は全部の物品Wを吸着部30に吸着させるよう、吸着装置35を制御する。その際、制御装置Hは、吸着する必要がある個数の物品Wを吸着するように、複数の吸着部30の一部又は全部を非吸着状態から吸着状態に切り替える。つまり、制御装置Hは、把持装置10により把持した把持対象物品群WCの物品Wの個数と、把持対象物品群WCよりも上の段(図示の例では最上段)における吸着装置35により吸着しない物品Wの個数の総数とが、必要数と等しくなるように、吸着する必要がある物品Wの個数を決定する。すなわち、本例では、吸着する必要がある物品Wの個数は、把持対象物品群WCの物品Wの個数と、それより上の段の部分物品群WBの物品Wの個数との総数から、必要数を差し引いた個数である。そして、決定した個数の物品Wを吸着するように、吸着装置35を制御する。このようにして、制御装置Hは、吸着装置35により、吸着対象物品群WDから一部又は全部の物品Wを吸着させる。その後、制御装置Hは、吸着状態を維持しつつ、吸着装置35を上昇させるように、吸着装置35及び第2昇降装置50を制御する。これにより、吸着装置35が保持している1つ又は複数の物品Wが、把持装置10及び把持対象物品群WCに対して分離される。
【0060】
そして、図9図10、及び図11に示すように、制御装置Hは、把持装置10が保持している部分物品群WBを第1搬送装置60により受け取って搬送し、吸着装置35が保持している物品Wを、載置部9に残った段積み物品群WAの上、又は載置部9の上に戻す。本例では、制御装置Hは、把持部材11による把持対象物品群WCに対する把持を解除するように、把持装置10を制御する。これにより、把持装置10が保持していた部分物品群WBは、第1搬送装置60の支持部63の搬送面上に載置される。次に制御装置Hは、支持部63を、受取位置から搬出位置に移動させるように、第1搬送装置60を制御する。これにより、段積み物品群WAから分離した必要数の物品Wからなる部分物品群WBは、受取装置80に向けて搬送される。その際、昇降部18により第3把持部材11cが上昇することで、支持部63に載置された部分物品群WBと、第3把持部材11cとの干渉が回避される。次に、制御装置Hは、載置部9に残った段積み物品群WAを上昇させるように、第1昇降装置40を制御する。具体的には、残った段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBが、把持領域17に対応する高さに配置されるように、第1昇降体41を上昇させる。ここまで、吸着装置35は、先に吸着した1つ又は複数の物品Wをそのまま吸着保持している。そして、制御装置Hは、吸着装置35の吸着状態を維持しつつ、吸着装置35を下降させるよう第2昇降装置50を制御する。具体的には、制御装置Hは、吸着装置35により吸着している物品Wの下面が、載置部9に残った段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBの上面に当接する位置になるよう、吸着装置35を下降させる。そして、制御装置Hは、吸着装置35の状態を、物品Wを吸着する吸着状態から非吸着状態に切り替える。これにより、吸着装置35が保持していた物品Wが、載置部9に残った段積み物品群WAの上に戻される。なお、把持装置10が、最下段の部分物品群WBを把持対象物品群WCとして把持して、当該把持対象物品群WCを第1搬送装置60の支持部63に引き渡した場合、載置部9には段積み物品群WAは残っていないため、吸着装置35が保持していた物品Wは、載置部9の上に戻される。
【0061】
なお、制御装置Hは、吸着装置35により吸着保持された物品Wを、把持装置10が保持している部分物品群WBの上に戻すように、吸着装置35及び第2昇降装置50を制御することもできる。具体的には、制御装置Hは、把持装置10により把持対象物品群WCを把持した状態で、吸着対象物品群WDの一部又は全部を保持している吸着装置35を下降させるように、第2昇降装置50を制御する。そして、制御装置Hは、把持装置10が保持している部分物品群WBの上に、任意の個数の物品Wを載せるように、吸着装置35を制御することができる。この際、制御装置Hは、当該把持装置10が保持している部分物品群WBの上に載せる物品Wを吸着している吸着部30を吸着状態から非吸着状態に切り替える。
【0062】
本実施形態では、制御装置Hは、吸着装置35により吸着対象物品群WDの一部又は全部の物品Wを吸着して保持した後、当該物品Wを載置部9に残った段積み物品群WAの上又は載置部9の上に戻す場合に、吸着装置35が保持している物品Wのうちの段積み物品群WAの側周面に近い側に位置することになる物品Wを優先的に戻すように吸着装置35を制御する。本例では、制御装置Hは、必要個数分離動作を行った後、載置部9に残った段積み物品群WAを、第4搬送装置76(第4コンベヤ94、第5コンベヤ95、第6コンベヤ96)により、把持装置10へ向けて再度搬送する(図13の2点鎖線)。そして、制御装置Hは、そのような段積み物品群WAに対して、必要個数分離動作を新たに行う。ここで、吸着装置35に保持されていた物品Wが、最上段において、段積み物品群WAの側周面から遠い中央側にあると、把持装置10により最上段より1つ下の段(上から2段目)を把持対象物品群WCとして把持した場合に、当該中央側にある物品Wの荷重により、把持対象物品群WCが崩れる可能性がある。これは、把持装置10から把持対象物品群WCを構成する各物品Wに伝わる押圧力が、段積み物品群WAの側周面から遠い中央側に向かうに従って小さくなることに起因する。吸着装置35が保持していた物品Wを、段積み物品群WAの側周面に近い側に位置するものから優先的に戻すことにより、把持装置10が把持した把持対象物品群WCが崩れる可能性を低減することができる。載置部9に残った段積み物品群WAを構成する物品Wの個数が、次の指示情報に基づいて段積み物品群WAから分離する物品Wの必要数よりも少ない場合、当該残った段積み物品群WAは、自動倉庫2に戻される。本例では、当該段積み物品群WAは、第4コンベヤ94、第5コンベヤ95、第10コンベヤ100を経由して、物品搬送車4に移載される(図13の1点鎖線)。その後、当該段積み物品群WAは、物品搬送車4により自動倉庫2まで搬送され、自動倉庫2に入庫される。
【0063】
次に、本実施形態における、取出装置20の制御について説明する。
【0064】
制御装置Hは、最上段の部分物品群WBの物品数より多い物品数が必要数である場合に、取出装置20により、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBの物品数と、最上段より下の1段又は複数段の部分物品群WBの物品数との合計の物品数が必要数となるように、最上段の部分物品群WBから物品Wを取り出させるように、取出装置20を制御することができる。このように、取出装置20による物品Wの取り出しを行うことで、吸着装置35による物品Wの吸着保持を不要とすることができる。この場合、把持装置10においては、制御装置Hは、段積み物品群WAに対し、最上段より1つ下の段の部分物品群WBを把持対象物品群WCとして、それより下の段の部分物品群WBとの分離を行うよう、把持装置10及び第1昇降装置40とを制御する。これにより、必要数の物品Wを段積み物品群WAから分離することができる。その後、制御装置Hは、第1搬送装置60により、分離した部分物品群WBを、受取装置80に搬送させる。
【0065】
或いは、制御装置Hは、載置部9の上の段積み物品群WAを構成する物品Wの総数が、必要数となるように、取出装置20により物品Wを取り出させるように、取出装置20を制御しても良い。この場合、制御装置Hは、把持装置10による部分物品群WBの把持、吸着装置35による物品Wの吸着保持を不要とすることができる。載置部9の上にある段積み物品群WAを構成する物品Wの数が少ない場合等には、このような制御を行うと、効率的に必要数の物品Wを得ることができる。
【0066】
本実施形態では、制御装置Hは、記憶部47と、判定部48とを備えている。記憶部47は、自動倉庫2に収容されている各段積み物品群WAの物品Wの種類や個数を記憶している。また、記憶部47は、外部から入力された指示情報が記憶される。この指示情報には、荷卸し装置1により段積み物品群WAから分離して出荷することが要求されている物品Wの個数(必要数)が含まれている。更に、記憶部47には、撮像装置25により取得した撮像情報や、撮像情報から取得した最上段の物品Wの個数等の情報も記憶される。判定部48は、取出装置20による物品Wの取出しの可否、及び、取出装置20による物品Wの取出しを行う場合に取り出す物品の個数の判定を行う。また、判定部48は、吸着装置35による物品Wの吸着保持の可否、及び、吸着装置35による物品Wの吸着保持を行う場合に吸着保持する物品の個数の判定を行う。
【0067】
図12の矢印に示すように、この荷卸し装置1では、段積み物品群WAを、第1コンベヤ91、第2コンベヤ92、第3コンベヤ93の順に移動させ、物品搬送車4に移載する第1荷卸し経路L1に沿って搬送することができる。上記のとおり、取出装置20により段積み物品群WAから物品Wを取り出した後、載置部9の上にある残りの段積み物品群WAを構成する物品Wの総数が必要数と同じである場合には、制御装置Hは、第1荷卸し経路L1に沿って当該段積み物品群WAを搬送する。この場合、取出装置20により物品Wが取り出された後の段積み物品群WAは、第2コンベヤ92から第1昇降体41を通過して、第3コンベヤ93に搬送される。すなわち、制御装置Hは、把持装置10、吸着装置35、及び第1昇降装置40を用いた、段積み物品群WAから部分物品群WBを分離する荷卸し動作を行わない。そして、第3コンベヤ93から物品搬送車4に移載された段積み物品群WAは、追加の作業がある場合には、追加作業エリア8に搬送され、追加作業エリア8における追加作業が行われた後、搬出コンベヤ6bに搬送される。また、追加の作業がない場合には、段積み物品群WAは、追加作業エリア8を経由せずに、搬出コンベヤ6bに搬送される。
【0068】
また、図13に示すように、この荷卸し装置1は、段積み物品群WAを、第1コンベヤ91、第2コンベヤ92の順に移動させ、把持装置10において、段積み物品群WAから部分物品群WBを分離し、当該分離された部分物品群WBを、第1搬送装置60により受取装置80に移動させ、その後、第7コンベヤ97を介して、物品搬送車4に移載する第2荷卸し経路L2に沿って搬送することができる。段積み物品群WAが取出装置20が配置された合流部66に到達した時点で、当該段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数、又は、段積み物品群WAの最上段及び上から2段目の部分物品群WBを構成する物品Wの個数が、必要数と同じである場合、制御装置Hは、第2荷卸し経路L2を選択する。この場合、制御装置Hは、取出装置20による物品Wの取出しを行わない。また、段積み物品群WAが取出装置20が配置された合流部66に到達した時点で、当該段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数、又は、段積み物品群WAの最上段及び上から2段目の部分物品群WBを構成する物品Wの個数が、必要数と異なる場合であっても、取出装置20による物品Wの取出しを行うことで、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを構成する物品Wの個数、又は、段積み物品群WAの最上段及び上から2段目の部分物品群WBを構成する物品Wの個数が、必要数と同じになるようにすることもできる。この場合も、制御装置Hは、第2荷卸し経路L2を選択する。いずれの場合であっても、把持装置10においては、最上段又は最上段から1つ下の段(上から2段目)を把持対象物品群WCとして、それより下の段の部分物品群WBと分離する荷卸し動作が行われる。
【0069】
なお、制御装置Hは、上述の必要個数分離動作を行う場合にも、第2荷卸し経路L2を選択する。この場合、制御装置Hは、取出装置20による物品Wの取出しを行っても良いし行わなくても良い。いずれにしても、第2荷卸し経路L2に沿って搬送され、第7コンベヤ97から物品搬送車4に移載された部分物品群WBは、追加の作業がある場合には、追加作業エリア8に搬送され、追加作業エリア8における追加作業が行われた後、搬出コンベヤ6bに搬送される。また、追加の作業がない場合には、部分物品群WBは、追加作業エリア8を経由せずに、搬出コンベヤ6bに搬送される。
【0070】
また本実施形態では、第2荷卸し経路L2を選択する場合において、物品Wの数を調整するために、取出装置20と吸着装置35とのいずれか一方を用い、或いは、取出装置20と吸着装置35との双方を用いることができる。ここで、物品Wの数を調整するために、取出装置20と吸着装置35とのいずれか一方を用いる場合、これらのいずれを用いるかは、例えば、荷卸し動作の開始(段積み物品群WAが、物品搬送車4から第1コンベヤ91に移載されたとき)から、荷卸し動作の完了(部分物品群WBが搬出コンベヤ6bに移載されたとき)までに要する時間の予測値である予測荷卸し時間に基づいて判定すると好適である。すなわち、吸着装置35を使用して物品Wの数を調整した場合の荷卸し動作開始から完了までの予測荷卸し時間を第1予測時間T1とし、取出装置20を使用して物品Wの数を調整した場合の荷卸し動作開始から完了までの予測荷卸し時間を第2予測時間T2とする。そして、T1の値がT2の値よりも小さい場合は、制御装置Hは、吸着装置35による物品Wの数の調整を選択する。また、T2の値がT1の値よりも小さい場合は、制御装置Hは、取出装置20による物品Wの数の調整を選択する。なお、取出装置20と吸着装置35とのいずれを用いるかの判定基準はこれには限定されず、段積み物品群WAを構成する物品Wの種類や、個数、段積み物品群WAの形状等、様々な条件を判定基準とすることができる。
【0071】
6.荷卸し動作
以下では、本実施形態における荷卸し動作について、図15から図17に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0072】
制御装置Hは、先ず、記憶部47に記憶された指示情報に基づいて、段積み物品群WAから分離して出荷することが要求されている物品Wの個数である必要数の情報を取得する(ステップS1)。そして、制御装置Hは、段積み物品群WAに対する取出装置20による物品Wの取出しが必要であるか否かを判定し(ステップS2)、取出装置20による物品Wの取出しが必要である場合は(ステップS2:YES)、自動倉庫2から第1コンベヤ91に搬送された段積み物品群WAを、取出位置(合流部66)へ搬送するよう、第1コンベヤ91を制御する(ステップS3)。次に、制御装置Hは、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを画像認識するように、画像認識システム24を制御する(ステップS4)。画像認識により、最上段の部分物品群WBの物品の個数が把握されると、制御装置Hは、移載装置22により、最上段の部分物品群WBから取り出すべき個数の物品Wを取り出す(ステップS5)。その後、制御装置Hは、取出装置20による、取り出すべき個数の物品Wの取出しが完了したか否かを判定する(ステップS6)。制御装置Hは、取り出すべき個数の物品Wの取出しが完了したと判定した場合(ステップS6:YES)、把持装置10により段積み物品群WAから部分物品群WBを分離する必要があるか否かを判定する(ステップS7)。段積み物品群WAから部分物品群WBを分離する必要がある場合は(ステップS7:YES)、制御装置Hは、段積み物品群WAを、把持装置10へ搬送するように、第2コンベヤ92(第2搬送装置70)と、第1昇降装置40とを制御する(ステップS8)。なお、制御装置Hは、取出装置20による、取り出すべき個数の物品Wの取出しが完了するまでの間(ステップS6:No)、移載装置22による物品Wの取出しを継続する。
【0073】
次に、制御装置Hは、把持対象物品群WCを、把持領域17に配置するように、第1昇降装置40を制御する(ステップS9)。そして、制御装置Hは、把持対象物品群WCを把持部材11により把持させるように、把持装置10を制御する(ステップS10)。その後、制御装置Hは、段積み物品群WAから、把持対象物品群WCを含む部分物品群WBを分離するように、第1昇降装置40を制御する(ステップS11)。そして、制御装置Hは、支持部63を受取位置に移動するよう、第1搬送装置60を制御する(ステップS12)。また、制御装置Hは、吸着装置35による1つ又は複数個の物品Wの吸着保持が必要か否かを判定する(ステップS13)。吸着装置35による物品Wの吸着保持が必要と判定した場合は(ステップS13:YES)、吸着装置35を下降させるよう、第2昇降装置50を制御する(ステップS14)。そして、制御装置Hは、吸着装置35により段積み物品群WAの最上段の吸着対象物品群WDの一部又は全部の物品Wを吸着して保持させるように、吸着装置35を制御する(ステップS15)。その後、制御装置Hは、吸着装置35を上昇させるように、第2昇降装置50を制御する(ステップS16)。なお、本例では、ステップS13からステップS16の処理を、ステップS12の後に行っているが、ステップS13からステップS16の処理は、ステップS9からステップS12の処理と重複した期間に行っても良い。その後、制御装置Hは、把持対象物品群WCに対する把持状態を解除するよう、把持装置10を制御する(ステップS17)。これにより、部分物品群WBが、把持装置10から支持部63に引き渡される。なお、制御装置Hは、吸着装置35による物品Wの吸着保持が必要ないと判定した場合は(ステップS13:NO)、吸着装置35による物品Wの吸着保持を行わず、ステップS17の処理を実行する。そして、制御装置Hは、支持部63を受取位置から搬出位置に搬送するよう第1搬送装置60を制御する(ステップS18)。その後、制御装置Hは、分離した部分物品群WBを受取装置80に引き渡すよう、受取装置80を制御する(ステップS19)。
【0074】
次に、制御装置Hは、受取装置80が保持している部分物品群WBを、供給装置85により供給される空の支持体84に載置するように、受取装置80と、供給装置85とを制御する(ステップS20)。そして、制御装置Hは、支持体84に載置された部分物品群WBに対して追加の作業が必要か否かを判定する(ステップS21)。この判定により、追加の作業が必要と判定した場合(ステップS21:YES)、制御装置Hは、部分物品群WBを、追加作業エリア8に搬送するように、第7コンベヤ97及び物品搬送車4(第3搬送装置73)を制御する(ステップS22)。
【0075】
一方、制御装置Hは、ステップS7の判定において、段積み物品群WAから部分物品群WBを分離する必要がないと判定した場合は(ステップS7:NO)、段積み物品群WAを把持装置10に搬送することなく、ステップS21の処理へ進む。その後、制御装置Hは、部分物品群WBを搬出コンベヤ6bに搬送するよう、物品搬送車4を制御する(ステップS23)。なお、制御装置Hは、ステップS21において、部分物品群WBに対して追加の作業が必要ないと判定した場合は(ステップS21:NO)、部分物品群WBを、追加作業エリア8に搬送することなく、搬出コンベヤ6bに搬送するように、物品搬送車4を制御する(ステップS23)。
【0076】
また、制御装置Hは、部分物品群WBを載置した支持部63を受取位置から搬出位置に搬送した後、吸着装置35に吸着保持された物品Wが残っているか否かを判定する(ステップS24)。制御装置Hは、吸着装置35に物品Wが残っていると判定した場合(ステップS24:YES)、吸着装置35に残った物品Wを、載置部9の上の残りの段積み物品群WAの上又は載置部9の上に戻すように、吸着装置35、第2昇降装置50及び第1昇降装置40を制御する(ステップS25)。その後、制御装置Hは、当該残りの段積み物品群WAを、把持装置10に搬送するか否かを判定する(ステップS26)。制御装置Hは、吸着装置35に物品Wが残っていないと判定した場合(ステップS24:NO)は、当該残りの段積み物品群WAを、把持装置10に再度搬送するか否かを判定する(ステップS26)。制御装置Hは、段積み物品群WAを、把持装置10に搬送すると判定した場合(ステップS26:YES)、当該段積み物品群WAを把持装置10に搬送するよう、第4コンベヤ94、第5コンベヤ95、及び第6コンベヤ96(第4搬送装置76)を制御する。一方、制御装置Hは、残りの段積み物品群WAを、把持装置10に搬送しないと判定した場合(ステップS26:NO)、当該段積み物品群WAを自動倉庫に収容するように、第3コンベヤ93と物品搬送車4とを制御する(ステップS27)。
【0077】
7.その他の実施形態
次に、荷卸し装置のその他の実施形態について説明する。
【0078】
(1)上記の実施形態では、段積み物品群WAのうち、最上段の部分物品群WB、又は最上段よりも1つ下の段(上から2段目)の部分物品群WBを把持対象物品群WCとして把持し、当該把持対象物品群WCとそれより上の段の部分物品群WBとを把持装置10により保持する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、把持装置10は、段積み物品群WAのいずれの段の部分物品群WBを把持対象物品群WCとして把持しても良い。いずれの段の部分物品群WBを把持対象物品群WCとしても、当該把持対象物品群WCとそれより上の段の部分物品群WBとが把持装置10により保持される。把持対象物品群WCとして把持される部分物品群WBの段は、物品Wの種類、形状、材質等によって、適宜設定変更されると好適である。
【0079】
(2)上記の実施形態では、制御装置Hは、吸着装置35が保持している物品Wを、載置部9に残った段積み物品群WAの上に戻す場合に、吸着装置35が保持している物品Wのうちの段積み物品群WAの側周面に近い側に位置することになる物品Wを優先的に戻すように吸着装置35を制御する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、吸着装置35が保持している物品Wのうちの段積み物品群WAの中央部に近い側に位置することになる物品Wを優先的に戻すようにしても良い。或いは、吸着装置35が保持している物品Wを戻す場合の優先順位を定めていなくても良い。
【0080】
(3)上記の実施形態では、荷卸し装置1は、物品Wの数を調整するために、取出装置20と吸着装置35との一方又は双方を用いることができる構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、荷卸し装置1は、取出装置20を備えずに、吸着装置35のみ備える構成としても良い。
【0081】
(4)上記の実施形態では、把持装置10の上下方向Zの位置が固定されており、第2昇降装置50により吸着装置35が上下方向Zに移動することで、吸着装置35と把持装置10とを相対的に昇降させる構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、吸着装置35の上下方向Zの位置が固定されており、把持装置10が上下方向Zに移動することで、吸着装置35と把持装置10とを相対的に昇降させる構成としても良い。或いは、把持装置10と吸着装置35との双方が上下方向Zに移動する構成であっても良い。
【0082】
(5)上記の実施形態では、把持装置10において、段積み物品群WAから分離された部分物品群WBは、受取装置80を介して、第1搬送装置60から第3搬送装置73に引き渡される構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、第1搬送装置60と第3搬送装置73とが直接接続され、当該部分物品群WBを、受取装置80を介さずに、第1搬送装置60から第3搬送装置73に搬送する構成としても良い。
【0083】
(6)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0084】
8.上記実施形態の概要
以下では、上記において説明した荷卸し装置の概要について説明する。
【0085】
荷卸し装置は、載置部の上に段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離する荷卸し装置であって、
前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの1つの段の前記部分物品群を把持対象物品群として、前記把持対象物品群の側周面を把持して、前記把持対象物品群及びそれより上の段の前記部分物品群を保持する把持装置と、前記段積み物品群を構成する複数段の前記部分物品群のうちの最上段の前記部分物品群を吸着対象物品群として、前記吸着対象物品群を構成する複数の前記物品のそれぞれの上面を吸着して前記物品を保持する吸着部を複数備えると共に、これら複数の前記吸着部が互いに独立して動作する吸着装置と、前記載置部と前記把持装置とを相対的に昇降させる第1昇降装置と、前記吸着装置と前記把持装置とを相対的に昇降させる第2昇降装置と、前記把持装置が保持している前記部分物品群を、前記把持装置から受け取って搬送する第1搬送装置と、を備える。
【0086】
本構成によれば、把持装置により、段積み物品群から部分物品群を段毎に分離できる。そして、吸着装置により、最上段の部分物品群から任意の個数の物品を、段積み物品群から分離させることができる。従って、例えば、把持装置により段積み物品群の最上段より下の段の部分物品群の側周面を把持して、第1昇降装置により載置部と把持装置とを相対的に昇降させることで、段積み物品群から分離し、更に、吸着装置により最上段の部分物品群から任意の個数の物品を保持して、第2昇降装置により吸着装置と把持装置とを相対的に昇降させることで、把持装置の側に必要な個数の物品を残すことができる。そして、把持装置が把持している部分物品群を第1搬送装置が受け取ることにより、必要な個数の物品を段積み物品群から分離して搬送することができる。このように、本構成によれば、段積み物品群から、1段の部分物品群を形成する物品の個数の整数倍以外の数の物品の荷卸しを行うことができる。
【0087】
ここで、前記把持装置と、前記吸着装置と、前記第1昇降装置と、前記第2昇降装置と、前記第1搬送装置と、を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記把持装置により、前記段積み物品群の最上段より下の段に設定された前記把持対象物品群の側周面を把持して、前記第1昇降装置により前記段積み物品群から複数段の前記部分物品群を分離し、分離した複数段の前記部分物品群の内の最上段の前記部分物品群を前記吸着対象物品群として、前記吸着装置により前記吸着対象物品群の一部又は全部の前記物品を吸着して保持し、前記第2昇降装置により前記吸着装置が保持している前記物品を前記把持装置に対して相対的に上昇させ、前記把持装置が保持している前記部分物品群を前記第1搬送装置により受け取って搬送し、前記吸着装置が保持している前記物品を、前記載置部に残った前記段積み物品群の上、又は前記載置部の上に戻す、必要個数分離動作を行うと好適である。
【0088】
本構成によれば、最上段の部分物品群における任意の個数の物品を吸着保持することができるため、段積み物品群から、1段の部分物品群を形成する物品の個数の整数倍以外の必要な個数の物品を把持装置に把持させることができる。そして、制御装置が第1昇降装置と第1搬送装置とを制御することで、段積み物品群から必要な個数の物品を分離して搬送することができる。その後、吸着装置が保持している物品を、載置部に残った段積み物品群の上、又は載置部の上に戻すことで、必要な個数の物品を分離した後に残った物品を全て載置部の上に戻すことができる。
【0089】
また、前記制御装置は、前記吸着装置により前記吸着対象物品群の一部又は全部の前記物品を吸着して保持した後、前記載置部に残った前記段積み物品群の上又は前記載置部の上に戻す場合に、前記吸着装置が保持している前記物品のうちの前記段積み物品群の側周面に近い側に位置することになる前記物品を優先的に戻すように前記吸着装置を制御すると好適である。
【0090】
把持装置は、把持対象物品群の側周面を把持するため、把持装置により複数段の部分物品群を把持した場合、側周面から遠い中央側に荷重がかかると、把持対象物品群が崩れる可能性がある。本構成によれば、載置部の段積み物品群の最上段における側周面に近い側に優先的に物品が戻されるので、次回、把持装置により把持した場合に、把持対象物品群を含む部分物品群が崩れにくくすることができる。
【0091】
また、前記段積み物品群の最上段の前記部分物品群から任意の個数の前記物品を取り出す取出装置と、前記取出装置から前記把持装置及び前記吸着装置へ前記段積み物品群を搬送する第2搬送装置と、を更に備えると好適である。
【0092】
本構成によれば、段積み物品群を把持装置及び前記吸着装置へ搬送する前に、取出装置により最上段の部分物品群から任意の個数の物品を取り出すことができる。これにより、把持装置及び前記吸着装置を用いることなく、1段の部分物品群を形成する物品の個数未満の数の物品を段積み物品群から分離して搬送することができる。
【0093】
また、前記第1昇降装置は、前記載置部を前記把持装置に対して昇降させ、前記第2昇降装置は、前記吸着装置を前記把持装置に対して昇降させ、前記第1搬送装置は、前記把持装置から受け取った前記部分物品群を支持する支持部と、前記支持部を移動させる移動機構と、を備え、前記移動機構は、前記支持部を、前記把持装置よりも下側において、上下方向視で前記把持装置と重複する受取位置と、前記上下方向視で前記把持装置と重複しない搬出位置との間で移動させると好適である。
【0094】
本構成によれば、段積み物品群から、1段の部分物品群を形成する物品の個数の整数倍以外の数の物品の荷卸しを適切に行うことができる。またその際、把持装置により把持された必要な個数の物品を、把持装置よりも下側の受け取り位置において、移動機構に引き渡して、搬出位置へ移動させることで、段積み物品群から分離した部分物品群を適切に搬送することができる。
【0095】
また、前記第1搬送装置から前記部分物品群を受け取って支持体の上に載置する受取装置と、前記受取装置に空の前記支持体を供給する供給装置と、前記受取装置により前記部分物品群が載置された前記支持体を、追加作業エリアへ搬送する第3搬送装置と、を更に備え、前記追加作業エリアでは、前記支持体に載置された前記部分物品群に対して、1つ又は複数の前記物品を追加する作業が行われると好適である。
【0096】
本構成によれば、段積み物品群から分離した部分物品群を、支持体に載置した状態で、追加作業エリアに搬送することができる。そして、追加作業エリアにおいて、作業者等やロボット等により、当該部分物品群に対して1つ又は複数の物品を追加する作業を行なわせることができる。これにより、例えば、荷卸し装置により取り扱うことが難しい形状や大きさの物品を支持体の上に追加するなどの作業が必要な場合であっても、当該作業を適切に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示に係る技術は、荷卸し装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
8 :追加作業エリア
9 :載置部
10 :把持装置
20 :取出装置
30 :吸着部
35 :吸着装置
40 :第1昇降装置
50 :第2昇降装置
60 :第1搬送装置
63 :支持部
65 :移動機構
70 :第2搬送装置
73 :第3搬送装置
80 :受取装置
84 :支持体
85 :供給装置
H :制御装置
W :物品
WA :段積み物品群
WB :部分物品群
WC :把持対象物品群
WD :吸着対象物品群
Z :上下方向
図1
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