(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】車両管理システムおよびこれに用いる店舗用制御装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240618BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240618BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021156505
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅 正二郎
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-346009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備える車両管理システムであって、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を前記車両用制御装置に送信
し、
更に、
前記エネルギ供給店に配置されて前記通信網を介して通信可能な供給店用制御装置を備え、
前記店舗用制御装置は、車両ユーザから前記修理交換情報に基づいて部品の修理または交換の作業を行なうエネルギ供給店の選択を伴う作業予約を受け付けると共に、前記作業予約を受け付けたときには前記作業予約に係る劣化部品情報を前記作業予約に係るエネルギ供給店の供給店用制御装置に送信する、
車両管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の車両管理システムであって、
前記店舗用制御装置は、前記作業予約を受け付けたときには前記作業予約に係る部品の前記作業予約に係るエネルギ供給店への配送処理を行なう、
車両管理システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両管理システムであって、
前記車両用制御装置は、過去に走行用のエネルギの供給を受けたエネルギ供給店に関する使用供給店情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記使用供給店情報に基づいて使用頻度の高いエネルギ供給店を特定して前記修理交換情報を出力する、
車両管理システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の車両管理システムであって、
前記供給店用制御装置は、前記作業予約に係る部品の修理又は交換と共に車両へのエネルギの供給を行なったときには、車両へのエネルギの供給に対して前記作業予約に係る部品の修理又は交換を行なわなかったときに比して割引料金を適用する、
車両管理システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれか1つの請求項に記載の車両管理システムであって、
前記車両用制御装置は、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記残量情報に基づいてエネルギの残量が所定残量以下に至っ
たときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信する、
車両管理システム。
【請求項6】
請求項5記載の車両管理システムであって、
前記店舗用制御装置は、前記残量情報に基づくエネルギの残量を供給するの必要な時間が前記作業予約に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信する、
車両管理システム。
【請求項7】
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備える車両管理システムであって、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信すると共に、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を、前記残量情報に基づいて前記エネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに前記車両用制御装置に送信する、
ことを特徴とする車両管理システム。
【請求項8】
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備え、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信する、
車両管理システムにおける前記店舗用制御装置であって、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を前記車両用制御装置に送信
し、
更に、
前記車両管理システムは、前記エネルギ供給店に配置されて前記通信網を介して通信可能な供給店用制御装置を備え、
前記店舗用制御装置は、車両ユーザから前記修理交換情報に基づいて部品の修理または交換の作業を行なうエネルギ供給店の選択を伴う作業予約を受け付けると共に、前記作業予約を受け付けたときには前記作業予約に係る劣化部品情報を前記作業予約に係るエネル
ギ供給店の供給店用制御装置に送信する、
店舗用制御装置。
【請求項9】
請求項8記載の店舗用制御装置であって、
前記車両用制御装置は、過去に走行用のエネルギの供給を受けたエネルギ供給店に関する使用供給店情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記使用供給店情報に基づいて使用頻度の高いエネルギ供給店を特定して前記修理交換情報を出力する、
店舗用制御装置。
【請求項10】
請求項8または9記載の店舗用制御装置であって、
前記車両用制御装置は、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記残量情報に基づいてエネルギの残量が所定残量以下に至ったときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信する、
店舗用制御装置。
【請求項11】
請求項10記載の店舗用制御装置であって、
前記残量情報に基づくエネルギの残量を供給するの必要な時間が前記作業予約に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信する、
店舗用制御装置。
【請求項12】
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備え、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信すると共に、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信する、
車両管理システムにおける前記店舗用制御装置であって、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を、前記残量情報に基づいて前記エネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに前記車両用制御装置に送信する、
ことを特徴とする店舗用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システムおよびこれに用いる店舗用制御装置に関し、詳しくは、通信網を介して通信可能な車両用制御装置と管理用サーバと店舗用コンピュータとを備える車両管理システムおよびこれに用いる店舗用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両管理システムとしては、故障予測サーバと車両とをネットワークを介して接続してなるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、故障予測サーバは、予め車両から取得した故障発生前の車両データを用いて近い将来において車両に故障が発生するか否かを予測し、故障を予測したときには対象車両の顧客に報告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のシステムでは、車両の部品等の故障を予測したときには対象車両の顧客に報告するが、対象車両の顧客には走行に支障がないうちはメンテナンスのための入庫を行なわないでもよいと考えるものも多数存在する。このため、車両の適切なメンテナンスが行なわれない場合が生じる。
【0005】
本発明の車両管理システムは、車両のメンテナンスをより適正に行なうことができるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両管理システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備える車両管理システムであって、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を前記車両用制御装置に送信する、
ことを特徴とする。
【0007】
この本発明の車両管理システムでは、車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に管理用サーバに送信する。管理用サーバは、車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行なう。また、管理用サーバは、劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには、劣化に係る部品の情報とその部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を店舗用制御装置に送信する。店舗用制御装置は、劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を車両用制御装置に送信する。車両用制御装置が所定メッセージと部品の修理または交換が可能なエネルギ供給店とを車両の表示装置などに表示して車両ユーザに報知することにより、車両ユーザにエネルギ供給店でエネルギ供給を受けるついでに部品の修理や交換を依頼することを促すことができる。この結果、車両のメンテナンスをより適正に行なうことができる。エネルギ供給店としては、ガソリンスタンドや水素ステーション、充電ステーションなどを考えることができる。所定メッセージとしては、「「部品の修理または交換が必要です。表示の店舗までお越しください。」などを考えることができる。
【0008】
本発明の車両管理システムにおいて、前記エネルギ供給店に配置されて前記通信網を介して通信可能な供給店用制御装置を備え、前記店舗用制御装置は、車両ユーザから前記修理交換情報に基づいて部品の修理または交換の作業を行なうエネルギ供給店の選択を伴う作業予約を受け付けると共に、前記作業予約を受け付けたときには前記作業予約に係る劣化部品情報を前記作業予約に係るエネルギ供給店の供給店用制御装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、作業予約が行なわれたときに、車両ユーザに関する情報と共に劣化に係る部品の情報をエネルギ供給店に報知することができ、その後の部品の修理や交換などのメンテナンスを良好に行なうことができる。この場合、前記店舗用制御装置は、前記作業予約を受け付けたときには前記作業予約に係る部品の前記作業予約に係るエネルギ供給店への配送処理を行なうものとしてもよい。こうすれば、作業予約に係る部品のエネルギ供給店への配送をスムーズに行なうことができる。配送処理としては、作業予約に係る部品と配送先のエネルギ供給店の配送伝票などの出力処理などを挙げることができる。
【0009】
また、本発明の車両管理システムにおいて、前記車両用制御装置は、過去に走行用のエネルギの供給を受けたエネルギ供給店に関する使用供給店情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、前記店舗用制御装置は、前記使用供給店情報に基づいて使用頻度の高いエネルギ供給店を特定して前記修理交換情報を出力するものとしてもよい。こうすれば、車両ユーザによる使用頻度の高いエネルギ供給店で、エネルギ供給のついでに部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことを促すことができる。
【0010】
供給店用制御装置を備える態様の本発明の車両管理システムにおいて、前記供給店用制御装置は、前記作業予約に係る部品の修理又は交換と共に車両へのエネルギの供給を行なったときには、車両へのエネルギの供給に対して前記作業予約に係る部品の修理又は交換を行なわなかったときに比して割引料金を適用するものとしてもよい。こうすれば、車両ユーザに車両のメンテナンスを受けることによるメリットを与えることができ、車両のメンテナンスをより促進することができる。
【0011】
本発明の車両管理システムにおいて、前記車両用制御装置は、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、前記店舗用制御装置は、前記残量情報に基づいてエネルギの残量が所定残量以下に至ったときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、効率よく車両ユーザが車両にエネルギを供給する際に部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことを促すことができる。この場合、前記店舗用制御装置は、前記残量情報に基づいて前記エネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が前記作業予約に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、エネルギ供給店でエネルギ供給を受けている間に部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことができることを車両ユーザに促すことができる。
【0012】
本発明の第2の車両管理システムは、
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備える車両管理システムであって、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信すると共に、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信し、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を、前記残量情報に基づいて前記エネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに前記車両用制御装置に送信する、
ことを特徴とする。
【0013】
この本発明の第2の車両管理システムでは、車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に管理用サーバに送信すると共に、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は管理用サーバを経由して店舗用制御装置に送信する。管理用サーバは、車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行なう。そして、劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報とその部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を店舗用制御装置に送信する。店舗用制御装置は、劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を、残量情報に基づくエネルギの残量を供給するの必要な時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに車両用制御装置に送信する。車両用制御装置が所定メッセージと部品の修理または交換が可能なエネルギ供給店とを車両の表示装置などに表示して車両ユーザに報知することにより、車両ユーザにエネルギ供給店にエネルギ供給を受けるついでに部品の修理や交換を依頼することを促すことができる。しかも、残量情報に基づいてエネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに車両用制御装置に送信するから、エネルギ供給店でエネルギ供給を受けている間に部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことができることを車両ユーザに促すことができる。
【0014】
本発明の店舗用制御装置は、
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備え、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信する、
車両管理システムにおける前記店舗用制御装置であって、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を前記車両用制御装置に送信する、
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の店舗用制御装置は、通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置および管理用サーバと共に車両管理システムを構成する。車両管理システムにおいて、車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に管理用サーバに送信する。管理用サーバは、車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報とその部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を店舗用制御装置に送信する。店舗用制御装置は、劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を車両用制御装置に送信する。車両用制御装置が所定メッセージと部品の修理または交換が可能なエネルギ供給店とを車両の表示装置などに表示して車両ユーザに報知することにより、車両ユーザにエネルギ供給店にエネルギ供給を受けるついでに部品の修理や交換を依頼することができることを促すことができる。この結果、車両のメンテナンスをより適正に行なうことができる。エネルギ供給店としては、ガソリンスタンドや水素ステーション、充電ステーションなどを考えることができる。所定メッセージとしては、「「部品の修理または交換が必要です。表示の店舗までお越しください。」などを考えることができる。
【0016】
本発明の店舗用制御装置において、前記車両管理システムは、前記エネルギ供給店に配置されて前記通信網を介して通信可能な供給店用制御装置を備え、前記店舗用制御装置は、車両ユーザから前記修理交換情報に基づいて部品の修理または交換の作業を行なうエネルギ供給店の選択を伴う作業予約を受け付けると共に、前記作業予約を受け付けたときには前記作業予約に係る劣化部品情報を前記作業予約に係るエネルギ供給店の供給店用制御装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、作業予約が行なわれたときに、車両ユーザに関する情報と共に劣化に係る部品の情報をエネルギ供給店に報知することができ、その後の部品の修理や交換などのメンテナンスを良好に行なうことができる。
【0017】
本発明の店舗用制御装置において、前記車両用制御装置は、過去に走行用のエネルギの供給を受けたエネルギ供給店に関する使用供給店情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、前記店舗用制御装置は、前記使用供給店情報に基づいて使用頻度の高いエネルギ供給店を特定して前記修理交換情報を出力するものとしてもよい。こうすれば、車両ユーザによる使用頻度の高いエネルギ供給店で、エネルギ供給のついでに部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことを促すことができる。
【0018】
本発明の店舗用制御装置において、前記車両用制御装置は、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、前記店舗用制御装置は、前記残量情報に基づいてエネルギの残量が所定残量以下に至ったときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、効率よく車両ユーザが車両にエネルギを供給する際に部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことを促すことができる。この場合、前記残量情報に基づくエネルギの残量を供給するの必要な時間が前記作業予約に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに劣化に係る部品の修理または交換を促すメッセージを含む情報を前記車両用制御装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、エネルギ供給店でエネルギ供給を受けている間に部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことができることを車両ユーザに促すことができる。
【0019】
本発明の第2の店舗用制御装置は、
通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置と、前記通信網を介して通信可能な管理用サーバと、前記通信網を介して通信可能な店舗用制御装置と、を備え、
前記車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に前記管理用サーバに送信すると共に、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は前記管理用サーバを経由して前記店舗用制御装置に送信し、
前記管理用サーバは、前記車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、前記劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報と該部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を前記店舗用制御装置に送信する、
車両管理システムにおける前記店舗用制御装置であって、
前記店舗用制御装置は、前記劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を、前記残量情報に基づいて前記エネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに前記車両用制御装置に送信する、
ことを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の店舗用制御装置は、通信網を介して通信可能な車載された車両用制御装置および管理用サーバと共に車両管理システムを構成する。車両管理システムにおいて、車両用制御装置は、車両識別情報と車両の使用に関する車両使用情報とを含む車両情報を所定期間毎に管理用サーバに送信すると共に、走行用のエネルギの残量に関する残量情報を直接に又は管理用サーバを経由して店舗用制御装置に送信する。管理用サーバは、車両情報に基づいて車両の部品の劣化の程度を判定する劣化判定を行ない、劣化判定により車両の部品の劣化の程度が所定程度に至っていると判定したときには劣化に係る部品の情報とその部品に係る車両識別情報とを含む劣化部品情報を店舗用制御装置に送信する。店舗用制御装置は、劣化部品情報を受信したときには、劣化に係る部品の修理または交換を行なうことができると共に劣化に係る部品を搭載する車両に対して走行用のエネルギを供給することができるエネルギ供給店の少なくとも1つを含む供給店情報と劣化に係る部品の修理または交換が必要な旨の所定メッセージとを含む修理交換情報を、残量情報に基づいてエネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに車両用制御装置に送信する。車両用制御装置が所定メッセージと部品の修理または交換が可能なエネルギ供給店とを車両の表示装置などに表示して車両ユーザに報知することにより、車両ユーザにエネルギ供給店にエネルギ供給を受けるついでに部品の修理や交換を依頼することを促すことができる。しかも、残量情報に基づいてエネルギ供給店でのエネルギ供給に要する時間が劣化に係る部品の修理又は交換に要する時間以上となったときに車両用制御装置に送信するから、エネルギ供給店でエネルギ供給を受けている間に部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことができることを車両ユーザに促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例としての車両管理システム10の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】実施例の車両管理システム10における自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【
図3】自動車20の部品の劣化の程度が修理や交換が必要である程度に至った際の各処理を模式的に示す模式図である。
【
図4】自動車20の電子制御ユニット30により実行される車両情報送信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】管理サーバ120により実行される劣化判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】店舗用コンピュータ220により実行される修理通知配送処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】店舗用コンピュータ220により実行される予約受付処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】店舗用コンピュータ220により実行される通知処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】給油店コンピュータ320により実行される精算処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明の一実施例としての車両管理システム10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は、実施例の車両管理システム10における自動車20の構成の概略を示す構成図である。図示するように、実施例の車両管理システム10は、ネットワーク12により通信可能に接続された自動車20に搭載された電子制御ユニット30、車両管理センターに配置された管理サーバ120、各販売店に設置された店舗用コンピュータ220、複数のガソリンスタンドに設置された給油店コンピュータ320を備える。
【0024】
自動車20は、
図2に示すように、エンジンEGとモータMGと自動変速装置ATとを備える。エンジンEGは、例えばガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料を用いて駆動する内燃機関として構成されており、その出力軸21はクラッチ22を介して自動変速装置ATの入力軸23に接続されている。モータMGは、例えば同期発電電動機として構成されており、その回転子は自動変速装置ATの入力軸23に接続されている。モータMGは、図示しないバッテリからの直流電力を図示しないインバータにより三相交流電力に変換して印加することにより駆動する。自動変速装置ATは、例えばトルクコンバータと自動変速機とからなる前進6段、後進1段の油圧駆動の変速機として構成されており、その出力軸としての駆動軸24はデファレンシャルギヤ26を介して駆動輪28a,28bに連結されている。
【0025】
自動車20は、車速センサ49や、車輪速センサ50、加速度センサ51、ヨーレートセンサ52、勾配センサ53、クリアランスソナー54などの各種センサや、カメラ60、ミリ波レーダ61、GPS(Global Positioning System)62、表示装置70、通信装置72、乗員室を空調する空調装置74、ナビゲーションシステム80、電子制御ユニット30を備える。
【0026】
カメラ60は、車両前方や後方、側方を撮影可能なように複数台配置されている。通信装置72は、無線通信網を介して管理センター220と通信したり、インターネットを介して各種情報を受信する。空調装置74は、車室内の空気調和を行なう。
【0027】
ナビゲーションシステム80は、自車両を設定した目的地に誘導するシステムであり、図示しない地図情報データベースや表示部を備える。地図情報データベースには、地図情報として各区間における道路の路面舗装状態や道路の幅、車線数、歩道の幅、車両通行可能な方向、法定速度などが記憶されている。ナビゲーションシステム80は、目的地が設定されると、目的地の情報とGPS62により取得した現在地(現在の自車両の位置)の情報と地図情報データベースに記憶されている情報とに基づいて経路を設定し、経路案内を行なう。
【0028】
電子制御ユニット30は、CPU31を中心として構成されたマイクロコンピュータであり、CPU31の他に、プログラムなどを記憶するROM32や、データを一時的に記憶するRAM32、データなど記憶するフラッシュメモリ34、タイマー機能などを有する時刻計35、図示しない入出力ポートを備える。
【0029】
電子制御ユニット30には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。入力ポートを介して電子制御ユニット30に入力される信号としては、イグニッションスイッチ42からのイグニッション信号、シフトレバー43のポジションを検出するシフトポジションセンサ44からのシフトポジションSP、アクセルペダル45の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ46からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル47の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ48からのブレーキポジションBPなどを挙げることができる。また、車速センサ49からの車速V、車輪速センサ50からの車輪速Vw、加速度センサ51からの前後加速度α1や横加速度α2、勾配センサ53からの路面勾配θ、クリアランスソナー54からの近接情報、ミリ波レーダ61からのレーダ情報、GPS62からのGPSデータ(位置情報)なども挙げることができる。さらに、エンジンEGに取り付けられた各種センサからのエンジンEGの状態を示す信号なども挙げることができる。
【0030】
電子制御ユニット30からは各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。出力ポートを介して電子制御ユニット30から出力される制御信号としては、表示装置70への表示制御信号や、通信装置72への通信制御信号、空調装置74への空調制御信号などを挙げることができる。また、エンジンEGを運転制御するためのスロットル制御信号や燃料噴射制御、点火制御信号などの制御信号も挙げることができる。
【0031】
管理サーバ120は、ユーザ認証などに用いられる顧客情報や後述する車両情報などを記憶する顧客情報記憶部130と、車両の部品の劣化判定を行なう劣化判定部132と、通信装置134と、を備える。劣化判定部132は機能ブロックである。顧客情報記憶部130は、車両毎に車両識別情報、車種や形式、部品などの車両構成データ、顧客名や顧客住所などの顧客データ、車両を販売した販売店、過去に生じた故障やその修理内容などの故障関連データなどを記憶している。劣化判定部132は、車両を構成する消耗部品に対して使用年数や走行距離に基づいて部品の劣化の程度が修理や交換などが必要である程度に至ったか否かを判定する。
【0032】
店舗用コンピュータ220は、通信装置230と、顧客情報記憶部232と、修理等通知処理部234と、予約受付処理部236と、作業通知処理部238とを備える。修理等通知処理部234や予約受付処理部236、作業通知処理部238は機能ブロックである。顧客情報記憶部230には、顧客名や顧客住所などの顧客データ、車両識別情報、車種や形式、部品などの車両構成情報、過去に生じた故障やその修理内容などの故障関連データなどを記憶している。修理等通知処理部234は、車両の部品に劣化の程度が修理や交換が必要である程度であると判定されたときにその部品の修理や交換が可能な給油店と修理や交換が必要である旨を通知したり、給油店にその部品等の情報を送信する処理を行なう。予約受付処理部236は、修理交換情報の通知に基づいて車両ユーザから劣化に係る部品の修理や交換の作業予約を受け付ける処理を行なう。作業通知処理部238は、劣化に係る部品の修理や交換の作業を車両ユーザに促す通知処理を行なう。
【0033】
給油店コンピュータ320は、通信装置330と、修理受付処理部332と、代金処理部334とを備える。修理受付処理部332と代金処理部334は機能ブロックである。修理受付処理部332は、店舗用コンピュータ220から送信される修理や交換が必要な部品等の情報を受け付けたり、その部品の配送情報を受け付ける処理を行なう。代金処理部334は、給油に対する代金や部品の修理や交換などのメンテナンスに対する代金、メンテナンスを行なったときの給油に対する割引代金の計算処理を行なう。
【0034】
図3は、自動車20の部品の劣化の程度が修理や交換が必要である程度に至った際の各処理を模式的に示す模式図である。以下、この模式図と
図4~
図9の各処理のフローチャートを用いて各処理を説明する。
図4は、自動車20の電子制御ユニット30により実行される車両情報送信処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、管理サーバ120により実行される劣化判定処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、店舗用コンピュータ220により実行される修理通知配送処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、店舗用コンピュータ220により実行される予約受付処理の一例を示すフローチャートである。
図8は、店舗用コンピュータ220により実行される通知処理の一例を示すフローチャートである。
図9は、給油店コンピュータ320により実行される精算処理の一例を示すフローチャートである。以下順に説明する。
【0035】
図4の車両情報送信処理は、自動車20をシステム起動した後に電子制御ユニット30により所定時間毎に繰り返し実行される。車両情報送信処理では、現在位置や車速、加速度などの一般的な車両状態の情報の他に、車両の走行距離Lや使用年数Y、燃料残量Qf、繰り返し処理間に給油した給油店の情報を入力する(ステップS100)。そして、入力した各種情報を車両識別情報と共に車両情報として管理サーバ120に送信し(ステップS110)、本処理を終了する。車両情報を受信した管理サーバ120は、各種情報を車両識別情報に関連つけて顧客情報記憶部130に記憶する。
【0036】
図5の劣化判定処理は、管理サーバ120の機能ブロックとしての劣化判定部132により行なわれる。この処理は、所定期間毎に劣化判定が必要な部品について繰り返し実行される。例えば、使用年数Yが所定年数(例えば0.5年や1年など)だけ経過する毎に、あるいは、走行距離Lが所定距離(例えば500kmや1000kmなど)だけ長くなる毎に、劣化判定が必要な部品について繰り返し実行される。劣化判定処理では、まず、対象の車両の使用年数Yと走行距離Lとを入力し(ステップS200)、使用年数Yと走行距離Lとに基づいて劣化カウンタCを計算する(ステップS210)。劣化カウンタCは、使用年数Yが長くなるほど大きくなると共に、走行距離Lが長くなるほど大きくなるように計算される。そして、計算した劣化カウンタCが劣化判定閾値Cref以上に至っているか否かを判定する(ステップS220)。劣化判定閾値Crefは、その部品の耐用年数などに基づいて使用年数や走行距離により修理や交換が必要であると考えられる値として設定されるものである。また、劣化判定閾値Crefは、自動車20に衝突などの履歴があるときには、通常より小さく設定される場合もある。劣化カウンタCが劣化判定閾値Cref未満であると判定したときには、対象となる部品の劣化の程度は修理や交換が必要となる程度まで至っていないと判断し、本処理を終了する。一方、劣化カウンタCが劣化判定閾値Cref以上であると判定したときには、対象となる部品の劣化の程度は修理や交換が必要となる程度に至っていると判断し、劣化判定した対象となる部品に係る車両識別情報と対象となる部品の部品情報を劣化部品情報としてその自動車20を販売した販売店の店舗用コンピュータ220に送信し(ステップS230)、本処理を終了する。劣化部品情報を受信した店舗用コンピュータ220は、部品情報を車両識別情報に関連つけて顧客情報記憶部232に記憶する。
【0037】
図6の修理等通知処理は、店舗用コンピュータ220の機能ブロックとしての修理等通知処理部234により行なわれる。この処理は、管理サーバ120から劣化部品情報を受信したときに実行される。修理等通知処理では、まず、劣化部品情報に含まれる車両識別情報を用いてその自動車20が過去に給油した給油店の情報を管理サーバ120から取得する(ステップS300)。続いて、その自動車20が過去に給油した給油店のうち使用頻度の高い給油店を抽出する(ステップS310)。この場合、使用頻度の最も高い給油店を抽出するものとしてもよいし、使用頻度が高い順に複数(例えば2つや3つ)の給油店を抽出するものとしてもよい。そして、抽出した給油店の情報と部品の修理や交換などのメンテナンスを促すメッセージと修理交換情報として自動車20の電子制御ユニット30に送信し(ステップS320)、本処理を終了する。メッセージとしては「車両の部品の劣化が進んでいます。以下の給油店で部品の修理や交換を行なうことができます。予約を行なうとスムーズに作業を行なうことができます。」などを考えることができる。なお、修理交換情報を受信した自動車20の電子制御ユニット30は、給油店の情報とメッセージとを表示装置74に表示出力する。これにより、車両の部品の修理や交換が必要であることと、その修理や交換を表示された給油店で行なうことを車両ユーザに報知することができ、予約を促すことができる。
【0038】
図7の予約受付処理は、店舗用コンピュータ220の機能ブロックとしての予約受付処理部236により行なわれる。予約受付処理では、自動車20の表示装置74に図示しない予約受付画面を表示する制御信号を送信する(ステップS400)。予約受付画面は、使用頻度が高いとして抽出した給油店の名称が一覧表示され、いずれかの給油店を選択することができるようになっているのが好ましい。車両ユーザにより予約受付画面から給油店が選択されると、メンテナンスを行なう給油店の選択を受け付ける(ステップS410)。そして、選択された給油店の給油店コンピュータ320に劣化部品情報を送信すると共に(ステップS420)、選択された給油店に部品を配送する配送処理を行なって(ステップS430)、本処理を終了する。劣化部品情報を受信した給油店コンピュータ320は、機能ブロックとしての修理受付処理部332で劣化部品情報(車両識別情報と部品情報)を記憶する。配送処理としては、部品メーカなどに部品の配送を依頼する処理などが該当する。
【0039】
図8の通知処理は、店舗用コンピュータ220の機能ブロックとしての作業通知処理部238により行なわれる。通知処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。通知処理では、まず、自動車20の燃料残量Qfを管理サーバ120から取得し(ステップS500)、燃料残量Qfが通知判定閾値Qref未満に至ったか否かを判定する(ステップS510)。通知判定閾値Qrefは、自動車20に給油を行なうのにある程度の時間を要する燃料残量として予め定めた燃料残量としてもよいが、給油に要する時間が部品の修理や交換に要する時間以上となる燃料残量とするのが好ましい。これは、給油のついでに部品の修理や交換をする際に給油に要する時間で部品の修理や交換が終了することにより、車両ユーザに給油に要する時間より長い時間を待たせるのを抑制するためである。燃料残量Qfが通知判定閾値Qref以上であると判定したときには、まだ通知するの時期ではないと判断し、本処理を終了する。一方、燃料残量Qfが通知判定閾値Qref未満であると判定したときには、選択した給油店で給油と部品の修理や交換を行なう旨のメッセージを自動車20の電子制御ユニット30に送信し(ステップS520)、本処理を終了する。メッセージとしては「選択した給油店で給油してください。給油に必要な時間で部品の修理や交換も行なうことができます。給油と同時にメンテナンスを行なった場合には給油について割引されます。」などを考えることができる。こうしたメッセージを受信した自動車20の電子制御ユニット30は、メッセージを表示装置74に表示出力することにより、車両ユーザに選択した給油店での給油と部品の修理又は交換を促すことができる。
【0040】
図9の精算処理は、給油店コンピュータ320の機能ブロックとしての代金処理部334により行なわれる。精算処理は、自動車20への給油と部品の修理や交換が完了したときに実行される。精算処理では、まず、給油代金の計算を行なう(ステップS600)。この計算は、給油の単価に給油量を乗じることにより行なうことができる。続いて、部品の修理や交換などのメンテナンスを行なったか否かを判定する(ステップS610)。メンテナンスを行なったか否かの判定は、部品の修理や交換を行なったときに作業入力しておき、この入力の有無により行なうことができる。メンテナンスを行なっていないと判定したときには、給油代金を明細書出力して(ステップS620)、本処理を終了する。一方、メンテナンスを行なったと判定したときには、給油代金に対する割引金を計算し(ステップS630)、給油代金と割引金とメンテナンス代金(部品の修理や交換の代金9とを含む明細書を出力して(ステップS640)、本処理を終了する。割引金は、例えば給油代金の数パーセントとして計算することを考えることができる。このように給油と共に部品の修理や交換を行なうことにより、給油代金に対して割り引きサービスを付与することにより、車両ユーザに給油と共に劣化に係る部品の修理や交換を行なうことを促すことができる。
【0041】
以上説明した実施例の車両管理システム10では、自動車20の電子制御ユニット30は車両情報を所定時間毎に管理サーバ120に送信する。管理サーバ120は、使用年数Yと走行距離Lとに基づく劣化カウンタCを用いて対象となる部品の劣化の程度は修理や交換が必要となる程度に至っているか否かの劣化判定を行ない、部品の劣化の程度は修理や交換が必要となる程度に至っている判定したときには、対象となる部品に係る車両識別情報と対象となる部品の部品情報を劣化部品情報としてその自動車20を販売した販売店の店舗用コンピュータ220に送信する。販売店の店舗用コンピュータ220は、その自動車20が過去に給油した給油店の情報に基づいてその自動車20が過去に給油した給油店のうち使用頻度の高い給油店を抽出し、抽出した給油店の情報と部品の修理や交換などのメンテナンスを促すメッセージと修理交換情報として自動車20の電子制御ユニット30に送信する。この修理交換情報を受信した自動車20の電子制御ユニット30により給油店の情報とメッセージとを表示装置74に表示出力することにより、車両の部品の修理や交換が必要であることや、その修理や交換を給油店で行なうことができることを車両ユーザに報知することができる。この結果、車両ユーザに給油店で給油のついでに部品の修理や交換を依頼することを促すことができる。しかも車両ユーザの使用頻度の高い給油店を抽出するから、車両ユーザが比較的よく利用する給油店で給油のついでに部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことを促すことができる。
【0042】
また、実施例の車両管理システム10では、店舗用コンピュータ220は、車両ユーザにより給油店を選択して部品の修理や交換を行なう作業予約を受け付け、作業予約を受け付けたときには選択された給油店の給油店コンピュータ320に劣化部品情報を送信する。これにより、作業予約を受け付けたときに、車両ユーザに関する情報と共に劣化に係る部品の情報を選択された給油店に報知することができ、その後の部品の修理や交換などのメンテナンスを良好に行なうことができる。しかも、選択された給油店に部品を配送する配送処理も行なうから、作業予約に係る部品の選択した給油店への配送をスムーズに行なうことができる。
【0043】
さらに、実施例の車両管理システム10では、店舗用コンピュータ220は、自動車20の燃料残量Qfが通知判定閾値Qref未満に至ったときに選択した給油店で給油と部品の修理や交換を行なう旨のメッセージを自動車20の電子制御ユニット30に送信する。こうしたメッセージを自動車20の電子制御ユニット30により表示装置74に表示出力することにより、車両ユーザに選択した給油店での給油と部品の修理又は交換を促すことができる。しかも、通知判定閾値Qrefとして給油に要する時間が部品の修理や交換に要する時間以上となる燃料残量を用いれば、給油に必要な時間で部品の修理や交換も行なうことができることを車両ユーザに報知することができ、給油と同時に部品の修理や交換を行なうことを促すことができる。
【0044】
加えて、実施例の車両管理システム10では、給油店コンピュータ320は、給油と共に部品の修理や交換を行なったときには、給油代金に対する割引金を計算し、給油代金と割引金とメンテナンス代金(部品の修理や交換の代金)とを含む明細書を出力する。このように給油と共に部品の修理や交換を行なうことによって給油代金に対して割り引きサービスが受けられ、これにより車両ユーザに給油と共に劣化に係る部品の修理や交換を行なうことを促すことができる。
【0045】
実施例の車両管理システム10における店舗用コンピュータ220は、劣化部品情報を受信したときには、その自動車20が過去に給油した給油店の情報に基づいてその自動車20が過去に給油した給油店のうち使用頻度の高い給油店を抽出し、抽出した給油店の情報と部品の修理や交換などのメンテナンスを促すメッセージと修理交換情報として自動車20の電子制御ユニット30に送信する。この修理交換情報を受信した自動車20の電子制御ユニット30により給油店の情報とメッセージとを表示装置74に表示出力することにより、車両の部品の修理や交換が必要であることや、その修理や交換を給油店で行なうことができることを車両ユーザに報知することができる。この結果、車両ユーザに給油店で給油のついでに部品の修理や交換を依頼することを促すことができる。しかも車両ユーザの使用頻度の高い給油店を抽出するから、車両ユーザが比較的よく利用する給油店で給油のついでに部品の修理や交換などのメンテナンスを行なうことを促すことができる。
【0046】
また、実施例の店舗用コンピュータ220は、車両ユーザにより給油店を選択して部品の修理や交換を行なう作業予約を受け付け、作業予約を受け付けたときには選択された給油店の給油店コンピュータ320に劣化部品情報を送信する。これにより、作業予約を受け付けたときに、車両ユーザに関する情報と共に劣化に係る部品の情報を選択された給油店に報知することができ、その後の部品の修理や交換などのメンテナンスを良好に行なうことができる。しかも、選択された給油店に部品を配送する配送処理も行なうから、作業予約に係る部品の選択した給油店への配送をスムーズに行なうことができる。
【0047】
さらに、実施例の店舗用コンピュータ220は、自動車20の燃料残量Qfが通知判定閾値Qref未満に至ったときに選択した給油店で給油と部品の修理や交換を行なう旨のメッセージを自動車20の電子制御ユニット30に送信する。こうしたメッセージを自動車20の電子制御ユニット30により表示装置74に表示出力することにより、車両ユーザに選択した給油店での給油と部品の修理又は交換を促すことができる。しかも、通知判定閾値Qrefとして給油に要する時間が部品の修理や交換に要する時間以上となる燃料残量を用いれば、給油に必要な時間で部品の修理や交換も行なうことができることを車両ユーザに報知することができ、給油と同時に部品の修理や交換を行なうことを促すことができる。
【0048】
実施例の車両管理システム10における店舗用コンピュータ220の修理等通知処理では、使用頻度の高い給油店を抽出するものとしたが、車両ユーザの自宅や就業先などから所定距離範囲内の給油店を抽出するものとしてもよい。
【0049】
実施例の車両管理システム10における店舗用コンピュータ220の予約受付処理では、選択された給油店への部品の配送処理を行なうものとしたが、こうした配送処理は行なわないものとしても構わない。
【0050】
実施例の車両管理システム10における店舗用コンピュータ220では、通知処理を行なうものとしたが、こうした通知処理を行なわないものとしても構わない。
【0051】
実施例の車両管理システム10における給油店コンピュータ320の精算処理では、給油と共に部品の修理や交換を行なったときには、給油代金に対する割引金を計算して割引サービスを提供するものとしたが、こうした割引サービスは提供しないものとしても構わない。
【0052】
実施例の自動車20では、エンジンEGの出力軸21にクラッチ22を介して接続された自動変速装置ATの入力軸23にモータMGを取り付けた構成としたが、エンジンを有するあらゆる構成のハイブリッド自動車としたり、走行用のモータを備えないエンジンと変速機とを備える自動車としても構わない。また、エンジンを搭載しない電気自動車や燃料電池車としたり、走行用のモータを備えないエンジン自動車としても構わない。
【0053】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、電子制御ユニット30が「車両用制御装置」に相当し、管理サーバ120が「管理用サーバ」に相当し、店舗用コンピュータ220が「店舗用制御装置」に相当し、車両管理システム10が「車両管理システム」に相当する。
【0054】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0055】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、車両管理システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 車両管理システム、12 ネットワーク、20 自動車、21 出力軸、22 クラッチ、23 入力軸、24 駆動軸、26 デファレンシャルギヤ、28a,28b 駆動輪、30 電子制御ユニット、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 フラッシュメモリ、35 時刻計、42 イグニッションスイッチ、43 シフトレバー、44 シフトポジションセンサ、45 アクセルペダル、46 アクセルペダルポジションセンサ、47 ブレーキペダル、48 ブレーキペダルポジションセンサ、49 車速センサ49、50 車輪速センサ、51 加速度センサ、53 勾配センサ、54 クリアランスソナー、60 カメラ、61 ミリ波レーダ、62 GPS、70 表示装置、72 通信装置、74 空調装置、80 ナビゲーションシステム、120 管理サーバ、130 顧客情報記憶部、132 劣化判定部、134 通信装置、220 店舗用コンピュータ、230 通信装置、232 顧客情報記憶部、234 修理等通知処理部、236 予約受付処理部、238 作業通知処理部、320 給油店コンピュータ、330 通信装置、332 修理受付処理部、334 代金処理部。