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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】物品搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B65G1/00 521A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021196868
(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公開番号】P2023082883
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】川本 真
(72)【発明者】
【氏名】白石 徹
(72)【発明者】
【氏名】大勝 規弘
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-327111(JP,A)
【文献】実開昭50-015855(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1温度で物品を保管する物品保管部と前記第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムであって、
前記外部空間と前記物品保管部との間に壁材で覆われて形成された第1リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第1リフタと、
前記第1リフタ設置空間と前記物品保管部との間に壁材で覆われて形成された第2リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第2リフタと、
前記第1リフタ設置空間と前記第2リフタ設置空間とを連通する第1搬入出口と、
前記外部空間と前記第1リフタ設置空間とを連通する第2搬入出口と、
前記第2リフタ設置空間と前記物品保管部とを連通する第3搬入出口と、を備え、
前記第1搬入出口は、前記第2搬入出口及び前記第3搬入出口よりも上方に配置され、
前記第1リフタは、前記第1搬入出口と前記第2搬入出口との間で物品を搬送し、
前記第2リフタは、前記第1搬入出口と前記第3搬入出口との間で物品を搬送する、物品搬送システム。
【請求項2】
前記第1リフタは、第1マストと、前記第1マストに沿って昇降する第1昇降部と、前記第1昇降部に設置された第1コンベヤとを備え、
前記第2リフタは、第2マストと、前記第2マストに沿って昇降する第2昇降部と、前記第2昇降部に設置された第2コンベヤとを備え、
前記第1リフタは、前記第1コンベヤの上面が、前記第1搬入出口に対応する高さとなる位置と、前記第2搬入出口に対応する高さとなる位置との間で、前記第1コンベヤに載置した物品を前記上下方向に搬送し、
前記第2リフタは、前記第2コンベヤの上面が、前記第1搬入出口に対応する高さとなる位置と、前記第3搬入出口に対応する高さとなる位置との間で、前記第2コンベヤに載置した物品を前記上下方向に搬送する、請求項1に記載の物品搬送システム。
【請求項3】
前記物品保管部と前記外部空間との間の物品搬送経路に、当該物品搬送経路における空気の流通を妨げるエアカーテンを少なくとも1つ備えている、請求項1又は2に記載の物品搬送システム。
【請求項4】
前記第1リフタ設置空間及び前記第2リフタ設置空間は、断熱構造の壁材によって形成されている、請求項1から3の何れか一項に記載の物品搬送システム。
【請求項5】
第1温度で物品を保管する物品保管部と前記第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムであって、
物品を上下方向に搬送するリフタと、
前記リフタの搬送経路を覆うカバー部と、
前記カバー部に設けられ、前記物品保管部の側に開口する第1搬入出口と、
前記カバー部に設けられ、前記外部空間の側に開口する第2搬入出口と、を備え、
前記第1搬入出口は、前記第2搬入出口よりも上方に配置され、
前記リフタは、前記第1搬入出口と前記第2搬入出口との間で物品を搬送し、
前記リフタを第1リフタとし、前記カバー部を第1カバー部として、
前記第1搬入出口よりも前記物品保管部側において、物品を上下方向に搬送する第2リフタと、
前記第2リフタの搬送経路を覆う第2カバー部と、
前記第2カバー部に設けられ、前記物品保管部の側に開口する第3搬入出口と、
前記第2カバー部に設けられ、前記第1搬入出口の側に開口する第4搬入出口と、
前記第1搬入出口と前記第4搬入出口との間で物品を搬送する中間搬送装置と、をさらに備え、
前記第4搬入出口は、前記第3搬入出口よりも上方に配置され、
前記第2リフタは、前記第3搬入出口と前記第4搬入出口との間で物品を搬送する、物品搬送システム。
【請求項6】
前記中間搬送装置を第1中間搬送装置とし、
前記第1カバー部に設けられ、前記第2リフタの側に開口する第5搬入出口と、
前記第2カバー部に設けられ、前記第1リフタの側に開口する第6搬入出口と、
前記第5搬入出口と前記第6搬入出口との間で物品を搬送する第2中間搬送装置と、をさらに備え、
前記第5搬入出口は、前記第1搬入出口よりも下方且つ前記第2搬入出口よりも上方に配置され、前記第6搬入出口は、前記第3搬入出口よりも上方且つ前記第4搬入出口よりも下方に配置されている、請求項に記載の物品搬送システム。
【請求項7】
前記物品保管部は、下部から上部に向かうに従って室内温度が高い、請求項1からの何れか一項に記載の物品搬送システム。
【請求項8】
第1温度で物品を保管する物品保管部と前記第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムであって、
前記外部空間と前記物品保管部との間に形成された第1リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第1リフタと、
前記第1リフタ設置空間と前記物品保管部との間に形成された第2リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第2リフタと、
前記第1リフタ設置空間と前記第2リフタ設置空間とを連通する第1搬入出口と、
前記外部空間と前記第1リフタ設置空間とを連通する第2搬入出口と、
前記第2リフタ設置空間と前記物品保管部とを連通する第3搬入出口と、
前記第1搬入出口を介して前記第1リフタと前記第2リフタとの間で物品を搬送する中間搬送装置と、を備え、
前記第1搬入出口は、前記第2搬入出口及び前記第3搬入出口よりも上方に配置され、
前記第1リフタは、前記中間搬送装置と前記第2搬入出口との間で物品を搬送し、
前記第2リフタは、前記中間搬送装置と前記第3搬入出口との間で物品を搬送する、物品搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1温度で物品を保管する物品保管部と第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000-142913号公報には、空調機器(24)とダクト(25)とを備えた空調設備により温度と湿度とが調節維持された物品保管部(収納棚(1))に穀物等の物品を保管する自動倉庫が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。この自動倉庫においては、スタッカークレーン(4)を用いて、物品の搬入出が行われる。また、この自動倉庫には、断熱材により形成されて、収納棚(1)を分断するように設けられた第一の仕切壁(16)及び第二の仕切壁(17)が、スタッカークレーン(4)の走行場所を除いて備えられている。これら2つの仕切壁(16,17)により、自動倉庫の内部空間は、搬入出側の内部空間(20)と、搬入出側とは反対側の奥側の内部空間(18)と、これらの中間の内部空間(19)とに分割される。また、第一の仕切壁(16)及び第二の仕切壁(17)におけるスタッカークレーン(4)の走行場所には、当該走行場所を塞ぐことができるように、それぞれ第一の扉(21)及び第二の扉(22)が備えられている。
【0003】
この自動倉庫では、物品を収納棚(1)に搬入する際には、第一の扉(21)及び第二の扉(22)を共に開放し、スタッカークレーン(4)により、外部空間から内部空間に物品を搬入する。物品を搬出する際には、予め搬入出側の内部空間(20)の側へ物品を移動させておき、物品の保管量に応じて、奥側の内部空間(18)及び中間の内部空間(19)を空にする。そして、奥側の内部空間(18)、中間の内部空間(19)の順に空調設備による温度と湿度の管理を停止できるようにしている。つまり、保管する物品の量に応じて、空調設備の稼働率を変更することにより、無駄な稼働を抑制して保管コストを低減できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-142913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この自動倉庫では、搬入出側には上述したような仕切壁は設けられていないため、物品の搬入出の際には外部空間と内部空間(特に搬入出側の内部空間(20))との空気が混ざり合い易い。このため、収納棚(1)の内部空間と、外部空間との温度差が大きいと、収納棚(1)の内部空間の温度が適切な温度から大きく乖離してしまう可能性がある。特に自動倉庫に保管される物品が、冷蔵や冷凍が必要な物の場合、外部空間と、収納棚(1)の内部空間との温度差は、より大きくなる可能性がある。
【0006】
上記に鑑みて、第1温度で物品を保管する物品保管部と第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する際に、物品保管部の温度が変化することを抑制することができる技術の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様として、第1温度で物品を保管する物品保管部と前記第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムは、前記外部空間と前記物品保管部との間に壁材で覆われて形成された第1リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第1リフタと、前記第1リフタ設置空間と前記物品保管部との間に壁材で覆われて形成された第2リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第2リフタと、前記第1リフタ設置空間と前記第2リフタ設置空間とを連通する第1搬入出口と、前記外部空間と前記第1リフタ設置空間とを連通する第2搬入出口と、前記第2リフタ設置空間と前記物品保管部とを連通する第3搬入出口と、を備え、前記第1搬入出口は、前記第2搬入出口及び前記第3搬入出口よりも上方に配置され、前記第1リフタは、前記第1搬入出口と前記第2搬入出口との間で物品を搬送し、前記第2リフタは、前記第1搬入出口と前記第3搬入出口との間で物品を搬送する
【0008】
この構成によれば、第1温度よりも暖かい第2温度の空気が、第2搬入出口から物品搬送システムに進入しても、外部空間と物品保管部との間に第1リフタ設置空間が存在するために、第2温度の空気が物品保管部に達することが妨げられる。また、相対的に暖かい空気は冷たい空気に対して上昇するから、第2搬入出口から進入した暖かい空気は、第1リフタ設置空間において上方に移動する。第1リフタ設置空間の上方には、当該空間と物品保管部の側とを連通する第1搬入出口が位置しており、第1リフタ設置空間を上昇した第2温度の空気は、第1搬入出口を介して物品保管部の側に進入する可能性がある。しかし、第1温度に比べて高い温度の空気は、上方に留まるため、物品保管部の温度への影響は限定的となる。従って、本構成によれば、第1温度で物品を保管する物品保管部と第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する際に、物品保管部の温度が変化することを抑制することができる。
【0009】
また、この構成によれば、物品保管部と外部空間との間に、さらに第2リフタ設置空間が存在する。そして、この第2リフタ設置空間と物品保管部とは、下方に設けられた第3搬入出口を介して連通している。暖かい空気は冷たい空気に対して上昇する。このため、外部空間から第1リフタ設置空間を介して第2リフタ設置空間に暖かい空気が進入しても、その暖かい空気は第2リフタ設置空間の上方に留まり、下方に設けられた第3搬入出口から物品保管部へ進入することが抑制される。従って、本構成によれば、物品保管部の温度が変化することを更に抑制することができる。
【0010】
また、別の態様として、第1温度で物品を保管する物品保管部と前記第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムは、物品を上下方向に搬送するリフタと、前記リフタの搬送経路を覆うカバー部と、前記カバー部に設けられ、前記物品保管部の側に開口する第1搬入出口と、前記カバー部に設けられ、前記外部空間の側に開口する第2搬入出口と、を備え、前記第1搬入出口は、前記第2搬入出口よりも上方に配置され、前記リフタは、前記第1搬入出口と前記第2搬入出口との間で物品を搬送し、前記リフタを第1リフタとし、前記カバー部を第1カバー部として、前記第1搬入出口よりも前記物品保管部側において、物品を上下方向に搬送する第2リフタと、前記第2リフタの搬送経路を覆う第2カバー部と、前記第2カバー部に設けられ、前記物品保管部の側に開口する第3搬入出口と、前記第2カバー部に設けられ、前記第1搬入出口の側に開口する第4搬入出口と、前記第1搬入出口と前記第4搬入出口との間で物品を搬送する中間搬送装置と、をさらに備え、前記第4搬入出口は、前記第3搬入出口よりも上方に配置され、前記第2リフタは、前記第3搬入出口と前記第4搬入出口との間で物品を搬送する。
【0011】
この構成によれば、第1温度よりも暖かい第2温度の空気が、第2搬入出口から物品搬送システムに進入しても、外部空間と物品保管部との間にカバー部によって覆われた空間が存在するために、第2温度の空気が物品保管部に達することが妨げられる。また、相対的に暖かい空気は冷たい空気に対して上昇するから、第2搬入出口から進入した暖かい空気は、カバー部によって覆われた空間において上方に移動する。カバー部によって覆われた空間の上方には、当該空間と物品保管部の側とを連通する第1搬入出口が位置しており、カバー部によって覆われた空間を上昇した第2温度の空気は、第1搬入出口を介して物品保管部の側に進入する可能性がある。しかし、第1温度に比べて高い温度の空気は、上方に留まるため、物品保管部の温度への影響は限定的となる。従って、本構成によれば、第1温度で物品を保管する物品保管部と第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する際に、物品保管部の温度が変化することを抑制することができる。
【0012】
また、この構成によれば、物品保管部と外部空間との間に、さらに第2カバー部によって覆われた空間が存在する。そして、この第2カバー部によって覆われた空間と物品保管部とは、下方に設けられた第3搬入出口を介して連通している。暖かい空気は冷たい空気に対して上昇する。このため、外部空間から第1カバー部によって覆われた空間を介して第2カバー部によって覆われた空間に暖かい空気が進入しても、その暖かい空気は第2カバー部によって覆われた空間の上方に留まり、下方に設けられた第3搬入出口から物品保管部へ進入することが抑制される。従って、本構成によれば、物品保管部の温度が変化することを更に抑制することができる。
【0013】
また、別の態様として、第1温度で物品を保管する物品保管部と前記第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムは、前記外部空間と前記物品保管部との間に形成された第1リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第1リフタと、前記第1リフタ設置空間と前記物品保管部との間に形成された第2リフタ設置空間に配置され、物品を上下方向に搬送する第2リフタと、前記第1リフタ設置空間と前記第2リフタ設置空間とを連通する第1搬入出口と、前記外部空間と前記第1リフタ設置空間とを連通する第2搬入出口と、前記第2リフタ設置空間と前記物品保管部とを連通する第3搬入出口と、前記第1搬入出口を介して前記第1リフタと前記第2リフタとの間で物品を搬送する中間搬送装置と、を備え、前記第1搬入出口は、前記第2搬入出口及び前記第3搬入出口よりも上方に配置され、前記第1リフタは、前記中間搬送装置と前記第2搬入出口との間で物品を搬送し、前記第2リフタは、前記中間搬送装置と前記第3搬入出口との間で物品を搬送する。
【0014】
この構成によれば、第1温度よりも暖かい第2温度の空気が、第2搬入出口から物品搬送システムに進入しても、外部空間と物品保管部との間に第1リフタ設置空間が存在するために、第2温度の空気が物品保管部に達することが妨げられる。また、相対的に暖かい空気は冷たい空気に対して上昇するから、第2搬入出口から進入した暖かい空気は、第1リフタ設置空間において上方に移動する。第1リフタ設置空間の上方には、当該空間と物品保管部の側とを連通する第1搬入出口が位置しており、第1リフタ設置空間を上昇した第2温度の空気は、第1搬入出口を介して物品保管部の側に進入する可能性がある。しかし、第1温度に比べて高い温度の空気は、上方に留まるため、物品保管部の温度への影響は限定的となる。従って、本構成によれば、第1温度で物品を保管する物品保管部と第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する際に、物品保管部の温度が変化することを抑制することができる。
【0015】
また、この構成によれば、物品保管部と外部空間との間に、さらに第2リフタ設置空間が存在する。そして、この第2リフタ設置空間と物品保管部とは、下方に設けられた第3搬入出口を介して連通している。暖かい空気は冷たい空気に対して上昇する。このため、外部空間から第1リフタ設置空間を介して第2リフタ設置空間に暖かい空気が進入しても、その暖かい空気は第2リフタ設置空間の上方に留まり、下方に設けられた第3搬入出口から物品保管部へ進入することが抑制される。従って、本構成によれば、物品保管部の温度が変化することを更に抑制することができる。
【0016】
物品搬送システムのさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】物品搬送システムを含む物品保管設備の構成例を模式的に示す側面図
図2】物品搬送システムを含む物品保管設備の他の構成例を模式的に示す側面図
図3】物品搬送システムを含む物品保管設備の他の構成例を模式的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、物品搬送システムの実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、物品搬送システム100を含む物品保管設備200の構成例を模式的に示す側面図である。図1に示すように、物品保管設備200は、第1温度で物品Bを保管する物品保管部1と、第2温度の外部空間2と物品保管部1との間で物品Bを搬送する物品搬送システム100とを備えている。ここで、物品Bは冷蔵や冷凍が必要な物であり、第2温度は第1温度よりも高い温度である。本実施形態では、物品Bは物品保管部1において冷凍保存される物であり、第1温度は例えば摂氏マイナス25度からマイナス15度程度である。従って、物品保管部1は、断熱構造の壁材8により覆われ、冷凍設備を備えた冷凍庫として構成されている。第2温度は常温であり、季節等による変動も含めて、例えば摂氏0度から40度程度である。
【0019】
図1に示すように、物品保管部1は物品Bを収納する収納部201を複数備えた収納棚として構成されている。物品保管部1は、それぞれの収納部201に物品Bを収納すると共に、それぞれの収納部201から物品Bを取り出すフォーク91を備えたスタッカークレーン9を備えている。スタッカークレーン9は、走行レール92に沿って走行する走行台車94と、走行台車94に立設された一対のマスト93と、マスト93に沿って昇降する昇降体95と、昇降体95に備えられた移載装置としてのフォーク91とを備えている。フォーク91は、収納部201と昇降体95との間を出退し、昇降体95と収納部201との間で物品Bを移載する。スタッカークレーン9は、フォーク91に物品Bを支持した状態で昇降体95の側にフォーク91を引退させ、走行レール92を走行して、物品保管部1と第1搬入出コンベヤ81との間で物品Bを搬送する。図1に示すように、第1搬入出コンベヤ81は、上下方向Yにおいて物品保管設備200の上方Y1に配置されている。
【0020】
図1に示すように、物品搬送システム100は、物品Bを上下方向Yに搬送するリフタ(第1リフタ3)と、第1リフタ3の搬送経路を覆うカバー部(第1カバー部4)と、第1カバー部4に設けられて物品保管部1の側に開口する第1搬入出口11と、第1カバー部4に設けられ、外部空間2の側に開口する第2搬入出口12とを備えている。第1搬入出口11は、第2搬入出口12よりも上方Y1に配置されている。後述するように、第1カバー部4は、断熱構造の壁材によって形成されている。
【0021】
上述した第1搬入出コンベヤ81は、第1搬入出口11を通って第1カバー部4を貫通するように設置されている。第1リフタ3は、マスト(第1マスト33)と、第1マスト33に沿って昇降する昇降部(第1昇降部32)と、第1昇降部32に設置された第1コンベヤ31とを備えている。第1コンベヤ31の上面が第1搬入出コンベヤ81の上面と同じ高さとなるように、第1昇降部32を上昇させることで、第1コンベヤ31と第1搬入出コンベヤ81との間で物品Bを受け渡しすることができる。
【0022】
第2搬入出口12には、第2搬入出口12を通って第1カバー部4を貫通するように第2搬入出コンベヤ82が設置されている。第1コンベヤ31の上面が第2搬入出コンベヤ82の上面と同じ高さとなるように、第1昇降部32を下降させることで、第1コンベヤ31と第2搬入出コンベヤ82との間で物品Bを受け渡しすることができる。つまり、第1リフタ3は、第1搬入出口11と第2搬入出口12との間で物品Bを搬送する。第2搬入出口12に配置された第2搬入出コンベヤ82は、外部空間2と第1リフタ設置空間30とに渡って延在しており、第2搬入出コンベヤ82を介して外部空間2と物品保管設備200との間で、物品Bの入出庫が可能である。
【0023】
このように、図1に例示する形態では、第1リフタ3を備えた物品搬送システム100により、外部空間2と物品保管部1との間で、物品Bの入出庫が可能である。
【0024】
第2搬入出口12は、外部空間2と第1カバー部4によって覆われた空間(第1リフタ設置空間30)とを連通しているため、第1温度よりも暖かい空気は第1リフタ設置空間30に進入する場合がある。そして、相対的に暖かい空気は冷たい空気に対して上昇するから、第2搬入出口12から進入した暖かい空気は、第2搬入出口12よりも上方Y1に配置された第1搬入出口11に達する可能性がある。第1搬入出口11は、第1リフタ設置空間30と第1温度の物品保管部1と連通しているため、外部空間2から進入した暖かい空気が、物品保管部1に進入する可能性がある。しかし、図1に示すように、第1搬入出口11は上方Y1に設置されているため、物品保管部1の上方Y1に留まり、物品保管部1の下方Y2の温度を上昇させることは抑制される。
【0025】
また、暖かい空気と冷たい空気とでは、飽和水蒸気量が異なり、多くの場合、暖かい空気には冷たい空気に対して多くの水蒸気が含まれている。外部空間2からの暖かく湿った空気が物品保管部1に達すると、空気が冷却されて結露を生じる可能性がある。本構成のように、外部空間2からの空気が物品保管部1に進入することを抑制することで、そのような結露の発生も抑制される。
【0026】
さらに、本実施形態では、図1に示すように、物品保管部1と外部空間2との間の物品搬送経路Kに位置する第1搬入出口11及び第2搬入出口12に、エアカーテン20が備えられている。具体的には、第1搬入出口11には第1エアカーテン21が備えられ、第2搬入出口12には第2エアカーテン22が備えられている。上述したように、第2搬入出口12は、外部空間2と第1リフタ設置空間30とを連通しているため、第1温度よりも暖かい空気が第1リフタ設置空間30に進入し易い。しかし、第2搬入出口12に第2エアカーテン22を備えることによって、このような暖かい空気を第1リフタ設置空間30に進入しにくくすることができる。また、第1搬入出口11に第1エアカーテン21を備えることによって、第1リフタ設置空間30に進入した暖かい空気を物品保管部1に進入しにくくすることができる。
【0027】
尚、エアカーテン20は、第1搬入出口11及び第2搬入出口12の双方に設置されていなくてもよく、第1エアカーテン21及び第2エアカーテン22の何れか一方のみが設置されている形態であってもよい。また、エアカーテン20は、例えば、第1リフタ設置空間30の上下方向Yにおける中間部分に設置されていてもよい。つまり、物品搬送システム100は、物品搬送経路Kにおける空気の流通を妨げるエアカーテン20を、物品搬送経路Kに少なくとも1つ備えていればよい。
【0028】
また、上述したように、第1カバー部4は、断熱構造の壁材によって形成されている。第1カバー部4によって覆われた第1リフタ設置空間30の温度は、第2搬入出口12から流入する空気だけではなく、第2温度の外部空間2からの輻射熱によっても上昇する可能性がある。そして、第1リフタ設置空間30からの輻射熱によって物品保管部1の側の温度も上昇する可能性がある。第1カバー部4が断熱構造の壁材によって形成されていると、第2温度の外部空間2からの輻射熱によって第1リフタ設置空間30の温度が上昇すること、及び、第1リフタ設置空間30からの輻射熱によって物品保管部1の側の温度が上昇することを抑制することができる。即ち、外部空間2と物品保管部1との間に位置する第1カバー部4が断熱構造の壁材によって形成されることで、物品保管部1よりも高い外部空間2の熱が物品保管部1に伝達されることを抑制することができる。
【0029】
図2は、物品搬送システム100を含む物品保管設備200の他の構成例を模式的に示す側面図である。図1に例示した物品保管設備200と共通する部分については同じ符号で示している。図2に例示する形態では、物品搬送システム100は、さらに、第1搬入出口11よりも物品保管部1の側において、物品を上下方向Yに搬送する第2リフタ5と、第2リフタ5の搬送経路を覆う第2カバー部6と、第2カバー部6に設けられて物品保管部1の側に開口する第3搬入出口13と、第2カバー部6に設けられて第1搬入出口11の側に開口する第4搬入出口14と、第1搬入出口11と第4搬入出口14との間で物品を搬送する第1中間コンベヤ71(中間搬送装置、第1中間搬送装置)とを更に備えている。第4搬入出口14は、第3搬入出口13よりも上方に配置されている。図2に示すように、本例では、第4搬入出口14は、第1搬入出口11と同じ高さに配置されている。第1中間コンベヤ71は、第1カバー部4及び第2カバー部6を貫通して、第1搬入出口11及び第4搬入出口14をつないでいる。
【0030】
図2に例示する形態では、第1搬入出コンベヤ81は、第3搬入出口13を通って第2カバー部6を貫通するように設置されている。第1リフタ3と同様に、第2リフタ5は、第2マスト53と、第2マスト53に沿って昇降する昇降部(第2昇降部52)と、第2昇降部52に設置された第2コンベヤ51とを備えている。第2コンベヤ51の上面が第1搬入出コンベヤ81の上面と同じ高さとなるように、第2昇降部52を下降させることで、第2コンベヤ51と第1搬入出コンベヤ81との間で物品Bを受け渡しすることができる。
【0031】
第1中間コンベヤ71は、第1搬入出口11を通って第1カバー部4を貫通すると共に第4搬入出口14を通って第2カバー部6を貫通するように設置されている。第2コンベヤ51の上面が第1中間コンベヤ71の上面と同じ高さとなるように、第2昇降部52を上昇させることで、第2コンベヤ51と第1中間コンベヤ71との間で物品Bを受け渡しすることができる。つまり、第2リフタ5は、第3搬入出口13と第4搬入出口14との間で物品Bを搬送する。
【0032】
また、図1に例示した形態と同様に、第1コンベヤ31の上面が第1中間コンベヤ71の上面と同じ高さとなるように、第1昇降部32を上昇させることで、第1コンベヤ31と第1中間コンベヤ71との間で物品Bを受け渡しすることができる。そして、第1コンベヤ31の上面が第2搬入出コンベヤ82の上面と同じ高さとなるように、第1昇降部32を下降させることで、第1コンベヤ31と第2搬入出コンベヤ82との間で物品Bを受け渡しすることができる。第1中間コンベヤ71の一端は第1搬入出口11に配置されており、第2搬入出コンベヤ82の一端は第2搬入出口12に配置されているから、図2に例示した形態においても、第1リフタ3は、第1搬入出口11と第2搬入出口12との間で物品Bを搬送する。
【0033】
このように、図2に例示する形態では、第1リフタ3及び第2リフタ5を備えた物品搬送システム100により、外部空間2と物品保管部1との間で、物品Bの入出庫が可能である。
【0034】
この形態では、物品保管部1と外部空間2との間に、さらに第2カバー部6によって覆われた空間(第2リフタ設置空間50)が存在する。そして、第2リフタ設置空間50と物品保管部1とは、下方Y2に設けられた第3搬入出口13を介して連通している。上述したように、暖かい空気は冷たい空気に対して上昇する。従って、外部空間2から第1リフタ設置空間30及び第2リフタ設置空間50に暖かい空気が進入しても、その暖かい空気は第2リフタ設置空間50の上方Y1に留まり、下方Y2に設けられた第3搬入出口13から物品保管部1へ進入することが抑制される。
【0035】
さらに、図1に例示した形態と同様に、図2に例示した形態においても、物品保管部1と外部空間2との間の物品搬送経路Kにエアカーテン20が備えられている。図2に例示した形態では、第1搬入出口11及び第2搬入出口12における第1エアカーテン21及び第2エアカーテン22に加え、第3搬入出口13及び第4搬入出口14にもエアカーテン20が備えられている。具体的には、第3搬入出口13には第3エアカーテン23が備えられ、第4搬入出口14には第4エアカーテン24が備えられている。それぞれの搬入出口にエアカーテン20が備えられることで、外部空間2の暖かい空気と、物品保管部1の冷たい空気とが混じることが抑制される。
【0036】
尚、エアカーテン20は、第1搬入出口11、第2搬入出口12、第3搬入出口13、第4搬入出口14の全てに設置されていなくてもよく、少なくとも1箇所に設置されている形態であってもよい。また、エアカーテン20は、例えば、第1リフタ設置空間30の上下方向Yにおける中間部分や、第2リフタ設置空間50の上下方向Yにおける中間部分に設置されていてもよい。つまり、物品搬送システム100は、物品搬送経路Kにおける空気の流通を妨げるエアカーテン20を、物品搬送経路Kに少なくとも1つ備えていればよい。
【0037】
また、第1カバー部4と同様に第2カバー部6も、断熱構造の壁材によって形成されている。第1リフタ設置空間30と物品保管部1との間に位置する第2カバー部6が断熱構造の壁材によって形成されることで、物品保管部1よりも高い外部空間2の熱が第1リフタ設置空間30及び第2リフタ設置空間50を介して物品保管部1に伝達されることを抑制することができる。
【0038】
図3は、物品搬送システム100を含む物品保管設備200のさらに他の構成例を模式的に示す側面図である。図1及び図2に例示した物品保管設備200と共通する部分については同じ符号で示している。図2に例示する形態に対して、図3に例示する形態では、物品搬送システム100は、さらに、第1カバー部4に設けられて第2リフタ5の側に開口する第5搬入出口15と、第2カバー部6に設けられて第1リフタ3の側に開口する第6搬入出口16と、第5搬入出口15と第6搬入出口16との間で物品Bを搬送する第2中間コンベヤ72(第2中間搬送装置)とを備えている。第5搬入出口15は、第1搬入出口11よりも下方Y2且つ第2搬入出口12よりも上方Y1に配置され、第6搬入出口16は、第3搬入出口13よりも上方Y1且つ第4搬入出口14よりも下方Y2に配置されている。従って、第2中間コンベヤ72は、第1搬入出コンベヤ81及び第2搬入出コンベヤ82よりも上方Y1且つ第1中間コンベヤ71よりも下方Y2に配置されている。図3に示すように、第2中間コンベヤ72は、第5搬入出口15を通って第1カバー部4を貫通すると共に第6搬入出口16を通って第2カバー部6を貫通するように設置されている。
【0039】
図3に例示する形態においても、図2に例示する形態と同様に、第2コンベヤ51の上面が第1搬入出コンベヤ81の上面と同じ高さとなるように、第2昇降部52を下降させることで、第2コンベヤ51と第1搬入出コンベヤ81との間で物品Bを受け渡しすることができる。また、第2コンベヤ51の上面が第1中間コンベヤ71の上面と同じ高さとなるように、第2昇降部52を上昇させることで、第2コンベヤ51と第1中間コンベヤ71との間で物品Bを受け渡しすることができる。図3に例示する形態では、さらに、第2コンベヤ51の上面が第1中間コンベヤ71よりも下方Y2に位置する第2中間コンベヤ72の上面と同じ高さとなるように、第2昇降部52を上昇させることで、第2コンベヤ51と第2中間コンベヤ72との間で物品Bを受け渡しすることができる。
【0040】
つまり、図2に例示した形態では、第2リフタ5は、第3搬入出口13と第4搬入出口14との間で物品Bを搬送するが、図3に例示する形態では、第2リフタ5は、第3搬入出口13と第4搬入出口14との間、及び第3搬入出口13と第6搬入出口16との間で物品Bを搬送する。
【0041】
また、図2に例示した形態と同様に、図3に例示する形態においても、第1コンベヤ31の上面が第1中間コンベヤ71の上面と同じ高さとなるように、第1昇降部32を上昇させることで、第1コンベヤ31と第1中間コンベヤ71との間で物品Bを受け渡しすることができる。また、図3に例示する形態では、さらに、第1コンベヤ31の上面が第1中間コンベヤ71よりも下方Y2に位置する第2中間コンベヤ72の上面と同じ高さとなるように、第2昇降部52を上昇させることで、第1コンベヤ31と第2中間コンベヤ72との間で物品Bを受け渡しすることができる。そして、第1コンベヤ31の上面が第2搬入出コンベヤ82の上面と同じ高さとなるように、第1昇降部32を下降させることで、第1コンベヤ31と第2搬入出コンベヤ82との間で物品Bを受け渡しすることができる。
【0042】
つまり、図2に例示した形態では、第1リフタ3は、第1搬入出口11と第2搬入出口12との間で物品Bを搬送するが、図3に例示する形態では、第2リフタ5は、第1搬入出口11と第2搬入出口12との間(第1物品搬送経路K1)、及び第5搬入出口15と第2搬入出口12との間(第2物品搬送経路K2)で物品Bを搬送する。
【0043】
このように、図3に例示する形態でも、第1リフタ3及び第2リフタ5を備えた物品搬送システム100により、外部空間2と物品保管部1との間で、物品Bの入出庫が可能である。図1及び図2に例示する形態では、1つの物品搬送経路Kに沿って、外部空間2と物品保管部1との間で物品Bが搬送されるが、図3に例示する形態では、第1物品搬送経路K1及び第2物品搬送経路K2の何れか一方の物品搬送経路Kに沿って、外部空間2と物品保管部1との間で物品Bが搬送される
【0044】
図3から明らかなように、第1物品搬送経路K1における第3搬入出口13と第4搬入出口14との距離は、第2物品搬送経路K2における第3搬入出口13と第6搬入出口16との距離に比べて長い。また、第1物品搬送経路K1における第1搬入出口11と第2搬入出口12との距離は、第2物品搬送経路K2における第6搬入出口16と第2搬入出口12との距離に比べて長い。すなわち、第1物品搬送経路K1に比べて第2物品搬送経路K2の方が、物品搬送システムの中における搬送経路が短い。このため、第1物品搬送経路K1に沿って物品Bを搬送する場合に比べて、第2物品搬送経路K2に沿って物品Bを搬送する方が、搬送時間は短くなり、搬送効率が高くなる。
【0045】
例えば、冬期など、外部空間2の温度(第2温度)と、物品保管部1の温度(第1温度)との差が小さい場合には、夏期などで当該温度差が大きい場合に比べて、外部空間2と物品保管部1との間で物品Bの入出庫が行われても、物品保管部1の温度を上昇させる可能性が低くなる。従って、第1温度と第2温度との差に応じて、第1物品搬送経路K1と第2物品搬送経路K2とを選択することによって、搬送効率を向上させることができる。
【0046】
また、図1及び図2に例示した形態と同様に、図3に例示した形態においても、物品保管部1と外部空間2との間の物品搬送経路Kにエアカーテン20が備えられている。図3に例示した形態では、第1搬入出口11、第2搬入出口12、第3搬入出口13、第4搬入出口14における第1エアカーテン21、第2エアカーテン22、第3エアカーテン23、第4エアカーテン24に加え、第5搬入出口15及び第6搬入出口16にもエアカーテン20が備えられている。具体的には、第5搬入出口15には第5エアカーテン25が備えられ、第6搬入出口16には第6エアカーテン26が備えられている。それぞれの搬入出口にエアカーテン20が備えられることで、外部空間2の暖かい空気と、物品保管部1の冷たい空気とが混じることが抑制される。
【0047】
尚、上述したように、エアカーテン20は、第1搬入出口11、第2搬入出口12、第3搬入出口13、第4搬入出口14、第5搬入出口15、第6搬入出口16の全てに設置されていなくてもよく、少なくとも1箇所に設置されている形態であってもよい。つまり、物品搬送システム100は、物品搬送経路Kにおける空気の流通を妨げるエアカーテン20を、物品搬送経路Kに少なくとも1つ備えていればよい。図3に例示する形態では、並列する2つの物品搬送経路Kが存在するため、エアカーテン20が1つのみ設置される場合には、第1物品搬送経路K1及び第2物品搬送経路K2に共通する箇所(例えば第2搬入出口12や第3搬入出口13)にエアカーテン20が設置されると好適である。また、エアカーテン20は、例えば、第1リフタ設置空間30の上下方向Yにおける中間部分や、第2リフタ設置空間50の上下方向Yにおける中間部分に設置されていてもよい。
【0048】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0049】
(1)上記においては、スタッカークレーン9を用いて、物品保管部1と第1搬入出コンベヤ81との間で物品Bが搬送される形態を例示したが、スタッカークレーン9に限らず天井搬送車や、地上搬送車や、収納棚の各段に設置された搬送台車や、コンベヤ等、各種の搬送装置を用いて物品Bが搬送される形態とすることができる。
【0050】
(2)上記においては、物品保管部1と外部空間2との間の物品搬送経路Kにエアカーテン20を備えている形態を例示したが、エアカーテン20を備えていない形態であってもよい。
【0051】
(3)上記においては、第1カバー部4及び第2カバー部6が、断熱構造の壁材によって形成されている形態を例示して説明した。しかし、物品保管部1との境界に位置する部分以外については、断熱構造ではない壁材によって形成されていてもよい。例えば、図1に示す第1カバー部4の内、物品保管部1と第1リフタ設置空間30との境界に位置する部分(第1境界部41)が断熱構造の壁材によって形成され、他の部分は断熱構造ではない壁材によって形成されていてもよい。同様に、図2及び図3に示す第2カバー部6の内、物品保管部1と第2リフタ設置空間50との境界に位置する部分(第2境界部61)が断熱構造の壁材によって形成され、他の部分は断熱構造ではない壁材によって形成されていてもよい。
【0052】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送システムの概要について簡単に説明する。
【0053】
1つの態様として、第1温度で物品を保管する物品保管部と前記第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する物品搬送システムは、物品を上下方向に搬送するリフタと、前記リフタの搬送経路を覆うカバー部と、前記カバー部に設けられ、前記物品保管部の側に開口する第1搬入出口と、前記カバー部に設けられ、前記外部空間の側に開口する第2搬入出口と、を備え、前記第1搬入出口は、前記第2搬入出口よりも上方に配置され、前記リフタは、前記第1搬入出口と前記第2搬入出口との間で物品を搬送する。
【0054】
この構成によれば、第1温度よりも暖かい第2温度の空気が、第2搬入出口から物品搬送システムに進入しても、外部空間と物品保管部との間にカバー部によって覆われた空間が存在するために、第2温度の空気が物品保管部に達することが妨げられる。また、相対的に暖かい空気は冷たい空気に対して上昇するから、第2搬入出口から進入した暖かい空気は、カバー部によって覆われた空間において上方に移動する。カバー部によって覆われた空間の上方には、当該空間と物品保管部の側とを連通する第1搬入出口が位置しており、カバー部によって覆われた空間を上昇した第2温度の空気は、第1搬入出口を介して物品保管部の側に進入する可能性がある。しかし、第1温度に比べて高い温度の空気は、上方に留まるため、物品保管部の温度への影響は限定的となる。従って、本構成によれば、第1温度で物品を保管する物品保管部と第1温度よりも高い第2温度の外部空間との間で物品を搬送する際に、物品保管部の温度が変化することを抑制することができる。
【0055】
また、物品搬送システムは、前記物品保管部と前記外部空間との間の物品搬送経路に、当該物品搬送経路における空気の流通を妨げるエアカーテンを少なくとも1つ備えていると好適である。
【0056】
第2搬入出口は、外部空間と第1カバー部によって覆われた空間とを連通しているため、第1温度よりも暖かい空気が外部空間からカバー部によって覆われた空間に進入する可能性がある。また、第1搬入出口は、カバー部によって覆われた空間と、物品保管部の側の空間とを連通しているため、外部空間からの暖かい空気が、第1カバー部によって覆われた空間を経由して物品保管部の側に進入する可能性がある。物品保管部と外部空間との間の物品搬送経路にエアカーテンを少なくとも1つ備えることによって、物品搬送経路における空気の流通が妨げられるので、外部空間からの暖かい空気が物品保管部の側に進入することを抑制することができる。
【0057】
また、前記カバー部は、断熱構造の壁材によって形成されていると好適である。
【0058】
カバー部によって覆われた空間の温度は、第2搬入出口から流入する空気だけではなく、第2温度の外部空間からの輻射熱によっても上昇する可能性がある。そして、カバー部によって覆われた空間からの輻射熱によって物品保管部の側の温度も上昇する可能性がある。カバー部が断熱構造の壁材によって形成されていると、第2温度の外部空間からの輻射熱によってカバー部によって覆われた空間の温度が上昇すること、及び、カバー部によって覆われた空間からの輻射熱によって物品保管部の側の温度が上昇することを抑制することができる。即ち、外部空間と物品保管部との間に位置するカバー部が断熱構造の壁材によって形成されることで、物品保管部よりも高い外部空間の熱が物品保管部に伝達されることを抑制することができる。
【0059】
物品搬送システムは、前記リフタを第1リフタとし、前記カバー部を第1カバー部として、前記第1搬入出口よりも前記物品保管部側において、物品を上下方向に搬送する第2リフタと、前記第2リフタの搬送経路を覆う第2カバー部と、前記第2カバー部に設けられ、前記物品保管部の側に開口する第3搬入出口と、前記第2カバー部に設けられ、前記第1搬入出口の側に開口する第4搬入出口と、前記第1搬入出口と前記第4搬入出口との間で物品を搬送する中間搬送装置と、をさらに備え、前記第4搬入出口は、前記第3搬入出口よりも上方に配置され、前記第2リフタは、前記第3搬入出口と前記第4搬入出口との間で物品を搬送すると好適である。
【0060】
この構成によれば、物品保管部と外部空間との間に、さらに第2カバー部によって覆われた空間が存在する。そして、この第2カバー部によって覆われた空間と物品保管部とは、下方に設けられた第3搬入出口を介して連通している。暖かい空気は冷たい空気に対して上昇する。このため、外部空間から第1カバー部によって覆われた空間を介して第2カバー部によって覆われた空間に暖かい空気が進入しても、その暖かい空気は第2カバー部によって覆われた空間の上方に留まり、下方に設けられた第3搬入出口から物品保管部へ進入することが抑制される。従って、本構成によれば、物品保管部の温度が変化することを更に抑制することができる。
【0061】
物品搬送システムが、前記第1リフタ、前記第2リフタ、前記第1カバー部、前記第2カバー部、前記第1搬入出口、前記第2搬入出口、前記第3搬入出口、前記第4搬入出口、前記中間搬送装置を備える場合、前記中間搬送装置を第1中間搬送装置として、前記第1カバー部に設けられ、前記第2リフタの側に開口する第5搬入出口と、前記第2カバー部に設けられ、前記第1リフタの側に開口する第6搬入出口と、前記第5搬入出口と前記第6搬入出口との間で物品を搬送する第2中間搬送装置と、をさらに備え、前記第5搬入出口は、前記第1搬入出口よりも下方且つ前記第2搬入出口よりも上方に配置され、前記第6搬入出口は、前記第3搬入出口よりも上方且つ前記第4搬入出口よりも下方に配置されていると好適である。
【0062】
この構成によれば、物品保管部と外部空間との間で、物品を搬送する物品搬送経路として、第3搬入出口、第4搬入出口、第1搬入出口、第2搬入出口を通る経路(第1物品搬送経路と称す)と、第3搬入出口、第6搬入出口、第5搬入出口、第2搬入出口を通る経路(第2物品搬送経路と称す)との2つの経路が設定できる。第1物品搬送経路における第3搬入出口と第4搬入出口との距離は、第2物品搬送経路における第3搬入出口と第6搬入出口との距離に比べて長く、第1物品搬送経路における第1搬入出口と第2搬入出口との距離は、第2物品搬送経路における第6搬入出口と第2搬入出口との距離に比べて長い。このため、第1物品搬送経路に比べて第2物品搬送経路の方が、物品搬送システムの中における搬送経路が短い。従って、第1物品搬送経路に沿って物品を搬送する場合に比べて、第2物品搬送経路に沿って物品を搬送する方が、搬送時間は短くなり、搬送効率が高くなる。例えば、冬期など、外部空間の温度(第2温度)と、物品保管部の温度(第1温度)との差が小さい場合には、夏期などで当該温度差が大きい場合に比べて、外部空間と物品保管部1との間で物品の入出庫が行われても、物品保管部の温度を上昇させる可能性が低くなる。従って、本構成によれば、第1温度と第2温度との差に応じて、第1物品搬送経路と第2物品搬送経路とを選択することによって、搬送効率を向上させることができる。
【0063】
また、前記物品保管部は、下部から上部に向かうに従って室内温度が高いと好適である。
【0064】
物品搬送システムは、外部空間から暖かい空気が物品搬送システムに進入しても、暖かい空気が下方に移動しくい構造となっているため、相対的に室内温度が低い物品保管部の下方の室内温度の上昇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 :物品保管部
2 :外部空間
3 :第1リフタ(リフタ)
4 :第1カバー部(カバー部)
5 :第2リフタ
6 :第2カバー部
8 :壁材
11 :第1搬入出口
12 :第2搬入出口
13 :第3搬入出口
14 :第4搬入出口
15 :第5搬入出口
16 :第6搬入出口
20 :エアカーテン
71 :第1中間コンベヤ(中間搬送装置、第1中間搬送装置)
72 :第2中間コンベヤ(第2中間搬送装置)
81 :第1搬入出コンベヤ
82 :第2搬入出コンベヤ
100 :物品搬送システム
B :物品
K :物品搬送経路
K1 :第1物品搬送経路(物品搬送経路)
K2 :第2物品搬送経路(物品搬送経路)
Y :上下方向
Y1 :上方
Y2 :下方
図1
図2
図3