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  • 特許-音声出力方法 図1
  • 特許-音声出力方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】音声出力方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240618BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20240618BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q30/0241
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022005068
(22)【出願日】2022-01-17
(65)【公開番号】P2023104207
(43)【公開日】2023-07-28
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰造
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 成
(72)【発明者】
【氏名】西川 裕己
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039582(JP,A)
【文献】特開2012-014730(JP,A)
【文献】特開2021-049919(JP,A)
【文献】特開2006-276940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共交通機関の移動体における音声出力方法であって、
前記移動体が備える記憶部が、前記移動体の内部に出力する音声であって、前記移動体の情報に係る案内音声と、広告に係る広告音声とを分けて記憶する記憶工程と、
前記移動体が備える制御部が、前記移動体の乗員に視覚障碍者が含まれるか否かを判定する判定工程と、
前記制御部が、前記乗員に視覚障碍者が含まれると判定された場合、前記移動体が前記広告音声の出力を抑制する抑制工程と、
を含むことを特徴とする音声出力方法。
【請求項2】
前記乗員に視覚障碍者が含まれると判定された場合であっても、前記制御部は、前記案内音声の出力を抑制しないことを特徴とする請求項1に記載の音声出力方法。
【請求項3】
前記乗員に視覚障碍者が含まれると判定された場合、前記制御部は、前記案内音声を出力する前に、前記案内音声が出力されることを予告する予告音声を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の音声出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共交通機関における音声出力方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば公共交通機関としての路線バスでは、広告に係る音声を車内に出力することが多い。公共交通機関の車内広告に関し、例えば、車両が停止した場合に、例えば駅等の車両の停止位置に対応する案内音声の出力が終了した後に、該停止位置に対応する広告音声を出力する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-124757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公共交通機関は、健常者だけでなく、例えば視覚障碍者等の障害者にも利用される。視覚障碍者にとって音は周囲の状況等を知るための重要な情報である。例えば公共交通機関の車内に広告に係る音声が出力されると、視覚障碍者が周囲の状況等を知ることが難しくなる可能性がある。上述した特許文献1では、視覚障碍者について考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、例えば視覚障碍者の状況把握が妨げられることを抑制することができる音声出力方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る音声出力方法は、公共交通機関の移動体における音声出力方法であって、前記移動体が備える記憶部が、前記移動体の内部に出力する音声であって、前記移動体の情報に係る案内音声と、広告に係る広告音声とを分けて記憶する記憶工程と、前記移動体が備える制御部が、前記移動体の乗員に視覚障碍者が含まれるか否かを判定する判定工程と、前記制御部が、前記乗員に視覚障碍者が含まれると判定された場合、前記移動体が前記広告音声の出力を抑制する抑制工程と、を含むというものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る公共交通システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係るバスの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
音声出力方法に係る実施形態について図1及び図2を参照して説明する。本実施形態では、公共交通機関の一例として路線バスを挙げる。図1において、音声出力方法が適用される公共交通システム1は、停留所10及びバス20を備えている。
【0009】
停留所10は、通信部11、処理部12及びカメラ13を有する。カメラ13は、例えば停留所10の案内表示板や上屋(即ち、屋根構造体)等に配置されていてよい。カメラ13は、停留所10の周囲(特に、停留所10でバス待ちをしている人)を撮像する。処理部12は、カメラ13により撮像された画像に所定の画像処理を施して、白杖を所持する者を視覚障碍者として認識する。
【0010】
バス20は、通信部21、処理部22、カメラ23、制御部24、スピーカ25及び記憶部26を有する。カメラ23は、バス20の車内を撮像可能に配置されている。処理部22は、カメラ23により撮像された画像に所定の画像処理を施して、白杖を所持する者を視覚障碍者として認識する。記憶部26には、バス20の情報に係る案内音声と、広告に係る広告音声とが格納されている。案内音声には、例えば、停留所を案内するための音声、バス20の挙動に係る音声(例えば“発車します”、“右に曲がります”、“左に曲がります”、“停車します”、“急停車します”等)、バス20の車内設備(例えばシートベルト、優先席等)を案内するための音声、等が含まれていてよい。ここで、案内音声と広告音声とは分けて(即ち、別々に)記憶部26に格納されている。
【0011】
停留所10とバス20とは、通信部11及び21を介して通信可能に構成されている。尚、停留所10とバス20との間の通信方法には、既存の各種態様を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0012】
カメラ13により撮像された画像から視覚障碍者が認識された場合、処理部12は、停留所10に視覚障碍者がいることを示す情報を、通信部11を介してバス20に送信する。他方で、上記画像から視覚障碍者が認識されなかった場合、処理部12は、停留所10に視覚障碍者がいないことを示す情報を、通信部11を介してバス20に送信してもよいし、視覚障碍者の有無を示す情報を送信しなくてもよい。
【0013】
停留所10に視覚障碍者がいることを示す情報を、通信部21を介して受信したバス20の制御部24は、例えばバス20が停留所10に到着した後、広告音声の出力を抑制する。このとき、制御部24は、処理部22により視覚障碍者が認識されたことを条件に(即ち、停留所10において視覚障碍者がバス20に乗車したことが認識されたことを条件に)、広告音声の出力を抑制してよい。その一方で、制御部24は、案内音声の出力は抑制しない。
【0014】
「広告音声の出力を抑制する」には、例えば、広告音声の音量を下げる又はミュートにする、広告音声の出力頻度を低下させる、広告音声の出力を禁止する、等の概念が含まれてよい。
【0015】
バス20の制御部24は、例えばバス20のドア(即ち、乗降口)が開閉されたときに、処理部22により視覚障碍者が認識されたか否かを判定する。処理部22により視覚障碍者が認識されていないと判定された場合、制御部24は、視覚障碍者が降車したと推定し、広告音声の出力の抑制を解除する。他方で、処理部22により視覚障碍者が認識されたと判定された場合、制御部24は、広告音声の出力の抑制を継続する。
【0016】
停留所10の処理部12及びバス20の処理部22各々における画像処理は、停留所10及びバス20とは異なる装置(例えばネットワーク上のサーバ等)において行われてよい。この場合、停留所10の処理部12は、カメラ13により撮像された画像を、通信部11を介して上記異なる装置に送信してよい。上記異なる装置は、カメラ13により撮像された画像に所定の画像処理を施した結果(即ち、視覚障碍者が認識されたか否かを示す情報)をバス20に送信してよい。バス20の処理部22は、カメラ23により撮像された画像を、通信部21を介して上記異なる装置に送信してよい。上記異なる装置は、カメラ23により撮像された画像に所定の画像処理を施した結果をバス20に送信してよい。
【0017】
バス20の制御部24は、広告音声の出力が抑制されている期間に、例えば広告音声に対応する文字情報を、バス20の車内の乗客が視認可能な表示装置に表示してよい。制御部24は、視覚障碍者が案内音声を聞き取りやすいように、広告音声の出力が抑制されている期間に、例えば、案内音声の音量を上げたり、案内音声の再生速度を低下させたりしてよい。例えば、視覚障碍者が聞き取りやすいように作成された特別な案内音声が記憶部26に格納されていてもよい。この場合、制御部24は、広告音声の出力が抑制されている期間に、上記特別な案内音声を出力してよい。制御部24は、広告音声の出力が抑制されている期間に案内音声を出力する場合、案内音声を出力する前に、例えば案内音声を出力することを予告する予告音声を出力してよい。
【0018】
次に、バス20の制御部24の動作について図2のフローチャートを参照して説明を加える。図2において、制御部24は、視覚障碍者がいるか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101の処理において、視覚障碍者がいると判定された場合(ステップS101:Yes)、制御部24は、広告音声の出力を抑制する(ステップS102)。その後、所定時間経過後に、ステップS101の処理が行われる。つまり、図2に示す動作は、所定時間に応じた周期で繰り返し行われる。
【0019】
ステップS101の処理において、視覚障碍者がいないと判定された場合(ステップS101:No)、広告音声の出力が抑制されているとき、制御部24は、広告音声の出力の抑制を解除する。その後、所定時間経過後に、ステップS101の処理が行われる。他方で、広告音声の出力が抑制されていないときは、所定時間経過後に、ステップS101の処理が行われる。
【0020】
(技術的効果)
公共交通システム1では、バス20に視覚障碍者が乗車している場合、制御部24により広告音声の出力が抑制される。このため、例えば、視覚障碍者が案内音声を比較的容易に聞き取ることを期待できる。また、広告音声の出力が抑制されることに起因して、視覚障碍者が、その周囲の音(即ち、環境音)を比較的容易に聞き取ることを期待できる。従って、公共交通システム1によれば、視覚障碍者の状況把握が妨げられることを抑制することができる。
【0021】
バス20の制御部24は、広告音声の出力が抑制されている期間(即ち、視覚障碍者がバス20に乗車している期間)、視覚障碍者の状況把握を補助するために、バス20が停留所以外の場所で停車した場合に、バス20の停車理由(例えば信号待ち、渋滞等)を知らせるための音声を、案内音声として出力してよい。
【0022】
バス20の制御部24は、広告音声の出力が抑制されている期間に、例えば視覚障碍者が乗車していることを報知する音声や、会話を控えることを要請する音声、等を出力してよい。尚、公共交通システム1は、路線バスに限らず、例えば鉄道等の他の公共交通機関にも適用可能である。
【0023】
以上に説明した実施形態から導き出される発明の各種態様を以下に説明する。
【0024】
発明の一態様に係る音声出力方法は、公共交通機関の移動体における音声出力方法であって、前記移動体の内部に出力する音声であって、前記移動体の情報に係る案内音声と、広告に係る広告音声とを分けて記憶する記憶工程と、前記移動体の乗員に視覚障碍者が含まれるか否かを判定する判定工程と、前記乗員に視覚障碍者が含まれると判定された場合、前記移動体が前記広告音声の出力を抑制する抑制工程と、を含むというものである。上述の実施形態においては「バス20」が「公共交通機関の移動体」の一例に相当する。
【0025】
当該音声出力方法では、前記乗員に視覚障碍者が含まれると判定された場合であっても、前記移動体は、前記案内音声の出力を抑制しなくてよい。
【0026】
当該音声出力方法では、前記乗員に視覚障碍者が含まれると判定された場合、前記移動体は、前記案内音声を出力する前に、前記案内音声が出力されることを予告する予告音声を出力してよい。
【0027】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う音声出力方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0028】
1…公共交通システム、10…停留所、11、21…通信部、12、22…処理部、13、23…カメラ、20…バス、24…制御部、25…スピーカ、26…記憶部
図1
図2