(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】光放射誘起ルミネセンスを用いた溶存酸素の測定
(51)【国際特許分類】
G01N 21/63 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G01N21/63 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022009391
(22)【出願日】2022-01-25
【審査請求日】2022-05-24
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】アナトリー・エー・コステロフ
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-195325(JP,A)
【文献】米国特許第05460971(US,A)
【文献】米国特許第05919710(US,A)
【文献】特開2019-135480(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107153055(CN,A)
【文献】特開2019-174361(JP,A)
【文献】米国特許第8173438(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を制御して、液体を含む容器内に光放射を放出するステップであって、
前記光源が、前記容器の外側に配置されており、
前記光放射が、溶存酸素吸収帯に適合する波長での放射を含み、複数のパルスを含む、ステップと、
光学測定値を生成するステップであって、前記生成が、前記容器の外部に位置するが前記容器の内部と光学的に連通している光検出器によってであり、前記光学測定値が、前記光放射によって誘起される前記液体中の溶存酸素のルミネセンスからのルミネセンス光の検出に基づく少なくとも1つの光学測定値を含む、ステップと、
前記光学測定値を分析して、前記液体が溶存酸素を含むかどうかを決定するステップと、
前記液体の1つ以上の特性に基づいて、前記パルスの各々の所望の持続時間を決定するステップであって、前記所望の持続時間は、励起された溶存酸素の放射寿命に3などの係数、又は2から4までの値を乗算することに基づいて決定する、ステップと、を含み、
前記光源を制御するステップが、前記光源を制御して前記所望の持続時間に基づいてパルスのシーケンスを生成するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の特性が:
前記液体の分類、
前記液体に含まれる1つ以上の化学物質、又は
前記液体の温度、
のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非パルス期間の間に検出されるサブセットに基づいて前記光学測定値のサブセットを決定するステップであって、前記非パルス期間が、前記光放射の前記パルスが発生していないときである、ステップをさらに含み、
前記光学測定値を分析するステップが、前記光学測定値の前記サブセットのみを分析するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光学測定値を生成するステップが、非パルス期間の間に発生する前記光検出器による検出のみに基づいて前記光学測定値を生成するステップであって、前記非パルス期間が、前記光放射のパルスが発生していないときである、ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
光源を制御して、液体を含む容器内に光放射を放出するステップであって、
前記光源が、前記容器の外側に配置されており、
前記光放射が、溶存酸素吸収帯に適合する波長での放射を含む、ステップと、
光学測定値を生成するステップであって、前記生成が、前記容器の外部に位置するが前記容器の内部と光学的に連通している光検出器によってであり、前記光学測定値が、前記光放射によって誘起される前記液体中の溶存酸素のルミネセンスからのルミネセンス光の検出に基づく少なくとも1つの光学測定値を含む、ステップと、
前記光学測定値を分析して、前記液体が溶存酸素を含むかどうかを決定するステップと、を含み、
前記光放射が、周期的に強度変調され、
前記光学測定値を分析するステップが:
前記液体が溶存酸素を含むかどうかを決定するステップにおいて、前記光学測定値の
前記周期的に強度変調された光放射に対して90°位相シフトされた直交成分を分析するステップを含む、方法。
【請求項6】
ロックイン増幅器を用いて前記直交成分を決定するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記液体に固有
であり、溶存酸素に関する放射寿命に基づいて
最適変調周波数を決定するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記光放射が、正弦波で周期的に強度変調される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記光放射が、前記容器に入る前に、ショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ、又は偏光子のうちの1つ以上を透過する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記光放射による励起に応答する前記液体のいずれかの溶存酸素のルミネセンスによって放出され且つ前記光検出器に遭遇するいずれかのルミネセンス光が、前記容器を出た後、前記光検出器に遭遇する前に、ロングパスフィルタ及びバンドパスフィルタのうちの一方又は両方を通して透過する、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記光放射が、前記光源による放出の後、前記容器に入る前に前記容器の光学表面の少なくとも一部を通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光学測定値を分析するステップが、前記液体中の前記溶存酸素の予測濃度を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
溶存酸素測定システムであって:
分析用の液体を一時的に貯蔵するための容器であって、前記容器が、透明又は半透明である1つ以上の光学窓を有する外面を含む、容器と;
光放射を放出するための光源であって、前記光源が、前記容器の外部に配置され、前記光放射を前記1つ以上の光学窓のうちの少なくとも1つを通して前記容器の内部に放出するように配置され、前記光放射が、溶存酸素の吸収帯に適合する波長での放射を含む、光源と;
前記容器の外部に配置された光検出器であって、前記光検出器が、1つ以上の前記光学窓を介して前記容器の内部と光学的に連通しており、前記光放射によって誘起される前記液体中の前記溶存酸素のルミネセンスからのルミネセンス光を検出する、光検出器と;
前記ルミネセンス光を分析し、前記分析に基づいて、前記液体中の任意の溶存酸素の予測濃度を決定するための1つ以上のプロセッサと;
を含み、
前記光放射が、複数のパルスを含むか、又は周期的に強度変調され、
前記複数のパルスの各々の所望の持続時間は、励起された溶存酸素の放射寿命に3などの係数、又は2から4までの値を乗算することに基づいて決定され、
前記1つ以上のプロセッサが、前記周期的に強度変調された光放射によって誘起される前記ルミネセンス光の直交成分
であって、前記周期的に強度変調された光放射に対して90°位相シフトされた直交成分を分析する、溶存酸素測定システム。
【請求項14】
前記容器の外部に配置され、前記光放射の光路内に配置されたショートパスフィルタ、
前記容器の外部に配置され、前記光放射の光路内に配置されたバンドパスフィルタ、又は
前記容器の外部に配置され、前記光放射の前記光路内に配置された偏光子、
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項13に記載の溶存酸素測定システム。
【請求項15】
前記容器の外部に配置され、前記容器と前記光検出器との間に配置されたロングパスフィルタ、
前記容器の外部に配置され、前記容器と前記光検出器との間に配置されたバンドパスフィルタ、又は
前記容器の外部に配置され、前記容器と前記光検出器との間に配置された空間フィルタ、
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項14に記載の溶存酸素測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 有機液体は、空気と接触すると酸素を溶解する。有機液体中の溶存酸素は、有機液体を利用する1つ以上の下流プロセスに影響を及ぼす可能性があり、及び/又は有機液体を用いて生成される最終生成物の1つ以上の特性に影響を及ぼす可能性がある。1つの非限定的な例として、プラスチックなどの化学製品は、有機液体前駆体を用いて製造することができる。有機液体前駆体中の溶存酸素の存在(例えば、少なくとも閾値濃度の存在)は、化学製品を製造する際の重合プロセスに影響を及ぼすことができ、最終化学製品の色に影響を及ぼすことができ、及び/又は最終化学製品の他の特性に影響を及ぼすことができる。従って、化学的プロセスにおいて利用される有機液体中の溶存酸素レベルのモニタリングは、溶存酸素が存在する場合及び/又は少なくとも閾値濃度で存在する場合に修復を実施することを可能にするために重要である。
【背景技術】
【0002】
[0002] 有機液体中の溶存酸素を測定するために種々の技術が提案されている。しかしながら、これらの様々な技術は、有機液体と直接接触するために測定に利用される構成要素(例えば、プローブ及び/又は半透過性膜)を必要とすることがあり、有機液体に化学物質を添加することを必要とすることがあり、及び/又は有機液体の限定されたサブセットでのみ利用されることがある。構成要素と有機液体との接触は、経時的に有機液体の汚染及び/又は構成要素への損傷を生じ得る。有機液体に化学物質を添加することは、その特性に悪影響を及ぼす可能性がある。いくつかの状況において、これは、有機液体の全体に悪影響を及ぼすことなくサンプルの分析を可能にするために、有機液体のサンプルを無駄に除去することを必要とし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] 本明細書に記載される実施は、液体中の溶存酸素のルミネセンスを誘起し、ルミネセンスからの検出されたルミネセンス光を分析して、液体中の溶存酸素(もしあれば)に関連する測定値を決定する方法及び装置に関する。例えば、検出されたルミネセンス光を分析して、液体が溶存酸素を含む(例えば、少なくとも閾値濃度を含む)かどうかを決定し、液体中の溶存酸素の予測濃度を決定し、及び/又は液体中の溶存酸素に関連する他の測定値を決定するステップ。
【0004】
[0004] いくつかの実施において、方法は、光源を制御して、液体を含む容器内に光放射を放出するステップを含む。光源は容器の外側に配置され、光放射は溶存酸素吸収帯に適合する波長で放射を含む。本方法はさらに、光学測定値を生成するステップを含む。光学測定値は、容器の外側に配置されるが容器の内部と光学的に連通している光検出器によって生成される。本方法はさらに、光学測定値を分析して、液体が溶存酸素を含むかどうかを決定するステップを含む。
【0005】
[0005] 本明細書に開示される技術のこれら及び他の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0006】
[0006] いくつかの実施では、光放射は複数のパルスを含む。パルス光放射の実施のうちのいくつかにおいて、本方法は、液体の1つ以上の特性に基づいて、各パルスの所望の持続時間を決定するステップをさらに含む。これらの実施において、光源を制御するステップは、所望の持続時間に基づいてパルスのシーケンスを生成するように光源を制御するステップを含む。1つ以上の特性は、液体の分類、液体に含まれる1つ以上の化学物質、又は液体の温度のうちの1つ以上を含むことができる。
【0007】
[0007] パルス光放射の実施のうちのいくつかにおいて、本方法は、非パルス期間中に検出されるサブセットに基づいて光学測定値のサブセットを決定するステップをさらに含む。これらの実施では、光学測定値を分析するステップは、光学測定値のサブセットのみを分析するステップを含む。非パルス期間は、光放射のパルスが発生していないときである。
【0008】
[0008] パルス光放射の実施のうちのいくつかにおいて、本方法は、非パルス期間中に生じる、光検出器による検出のみに基づいて光学測定値を生成するステップをさらに含む。
【0009】
[0009] いくつかの実施では、光放射は周期的に強度変調される。周期的に強度変調された光放射の実施のうちのいくつかにおいて、光学測定値を分析するステップは、液体が溶存酸素を含むかどうかを決定する際に、光学測定値の直交高調波成分(すなわち、励起変調に関して/2だけ位相シフトされた)を分析するステップを含む。これらの実施のうちのいくつかにおいて、本方法は、ロックイン増幅器を使用して直交成分を決定するステップ、及び/又は、液体に固有の溶存酸素に対するルミネセンス寿命に基づいて最適変調周波数を決定するステップをさらに含む。
【0010】
[0010] 周期的に強度変調された光放射の実施のうちのいくつかでは、光放射は正弦波強度変調される。
【0011】
[0011] 周期的に強度変調された光放射の実施のうちのいくつかでは、光放射は、容器に入る前に、ショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ、及び/又は偏光子を透過する。例えば、光放射はバンドパスフィルタのみを通して透過させることができる。別の例として、光放射は、ショートパスフィルタ及び偏光子のみを透過することができる。
【0012】
[0012] 周期的に強度変調された光放射の実施のうちのいくつかにおいて、光放射による励起に応答して液体の任意の溶存酸素のルミネセンスによって放出され、光検出器に遭遇する任意のルミネセンス光は、容器を出た後、光検出器に遭遇する前にロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタを通して透過される。
【0013】
[0013] いくつかの実施では、光放射は、光源による放出の後、容器に入る前に、容器の光学表面の少なくとも一部を移動する。
【0014】
[0014] いくつかの実施では、光学測定値を分析するステップは、液体中の溶存酸素の予測濃度を決定するステップを含む。
【0015】
[0015] いくつかの実施において、溶存酸素測定システムが提供され、分析のための液体を一時的に貯蔵するための容器を含む。容器は、透明又は半透明である1つ以上の光学窓を有する外面を含む。システムは、光放射を放出する光源をさらに含む。光源は、容器の外部に配置され、1つ以上の光学窓のうちの少なくとも1つを通して容器の内部に光放射を放出するように配置される。光放射は、溶存酸素の吸収帯に適合する波長の放射を含む。システムは、容器の外部に配置された光検出器をさらに含む。光検出器は、光学窓、及び任意でレンズ及び/又はフィルタなどの他の光学素子のうちの1つ以上を介して、容器の内部と光学的に連通している。
【0016】
[0016] 本明細書に開示される技術のこれら及び他の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0017】
[0017] いくつかの実施において、システムは、光検出器による光学測定値を処理し、処理に基づいて、液体中の任意の溶存酸素の予測濃度を決定するための1つ以上のプロセッサをさらに含む。
【0018】
[0018] いくつかの実施では、光放射は複数のパルスを含むか、又は周期的に強度変調される。
【0019】
[0019] いくつかの実施では、システムは、容器の外部に配置され且つ光放射の光路内に配置されるショートパスフィルタ、容器の外部に配置され且つ光放射の光路内に配置されるバンドパスフィルタ、及び/又は容器の外部に配置され且つ光放射の光路内に配置される偏光子をさらに含む。例えば、システムは、ショートパスフィルタ又はバンドパスフィルタのいずれかを含むことができ、また、偏光子を含むこともできる。別の例として、システムは、ショートパスフィルタのみを含むことができる。
【0020】
[0020] いくつかの実施では、システムは、容器の外部に配置され且つ容器と光検出器との間に配置されたロングパスフィルタ、容器の外部に配置され且つ容器と光検出器との間に配置されたバンドパスフィルタ、及び/又は容器の外部に配置され且つ容器と光検出器との間に配置された空間フィルタをさらに含む。例えば、システムはロングパスフィルタのみ又はバンドパスフィルタのみを含むことができる。
【0021】
[0021] 本明細書でより詳細に説明される前述の概念及び追加の概念のすべての組み合わせは、本明細書で開示される主題の一部であると考えられることは理解されるべきである。例えば、本開示の末尾に現れるクレームされた主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示された主題の一部であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0022] 本開示の選択された態様が様々な実施に従って使用され得る例示的な溶存酸素測定システムを図式的に示す。
【
図2】[0023] 本明細書に記載される様々な実施に従った例示的な方法のフローチャートである。
【
図3】[0024] 励起酸素分子の経時的な量の例を、パルス光放射の例と共に示す。
【
図4】[0025] 周期的に強度変調された光放射の例と、変調された光放射からの検出された光学測定値の例とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0026] 本明細書に記載される実施は、液体中の標的溶存分子のルミネセンスを誘起し、ルミネセンスからの検出されたルミネセンス光を分析して、液体中の溶存分子(もしあれば)に関連する測定値を決定する方法及び装置に関する。例えば、検出されたルミネセンス光を分析して、液体が標的分子を含む(例えば、少なくとも閾値濃度を含む)かどうかを決定し、液体中の標的分子の予測濃度を決定し、及び/又は液体中の標的分子に関連する他の測定値を決定するステップ。様々な実施において、溶存分子は溶存酸素であり、本明細書で提供される多くの例は溶存酸素に関して説明される。しかしながら、本明細書に記載される方法及び装置の実施は、流体又は固体中の他の標的分子に利用することができる。
【0024】
[0027] 標的溶存分子のルミネセンスは、溶存分子の吸収帯に適合する波長での放射を含む(例えば、それに限定される)光放射を放出するレーザー及び/又は他の光源を用いて誘起することができる。例えば、溶存酸素の吸収帯は、755-775ナノメートル及び1263-1283ナノメートルを含む。溶存酸素の吸収帯に適合する放射は、吸収帯内にある放射、又は吸収帯中心の2ナノメートル内、5ナノメートル内、又は他の閾値内にある放射を含むことができる。
【0025】
[0028] ルミネセンスからのルミネセンス光の検出は、フォトダイオード又は光電子増倍管(PMT)などの光検出器を使用して行うことができる。例えば、光検出器は、もしあれば、光放射に応答する標的分子のルミネセンスによって生成されるルミネセンス光の光路内にあることができる。さらに、光検出器は、光学測定値を生成することができ、これらの光学測定値は、ルミネセンス光が生成されるときに、ルミネセンス光によって影響される。
【0026】
[0029] 多くの実施において、光放射を放出する光源と、光放射によって誘起されるルミネセンス光(もしあれば)を検出する光検出器とは、共に、分析される液体と完全に接触しないことができる。これらの実施のうちのいくつかのバージョンにおいて、光源及び光検出器は、分析のための液体を一時的に貯蔵する容器の外部にある(例えば、液体が通過するための入口及び出口を含む)。これらのバージョンでは、容器は、1つ以上の光学窓を含むことができ、1つ以上の窓は、光放射を容器内に通過させることができ、1つ以上の窓(同一及び/又は異なる窓)は、ルミネセンス光を容器外に通過させることができる。例えば、容器のシェルの少なくとも一部は光学材料(例えば、アクリル、ガラス、ポリカーボネート)から構成することができ、その部分は光学窓(例えば、単一の光学窓又は複数の光学窓のうちの1つ)を形成することができる。
【0027】
[0030] 容器が光学窓を含むいくつかのバージョンでは、光源は、放出された光放射が容器の光学窓に向けられ、光学窓を通って移動することによって容器に入るように配置される。レンズ及び/又は反射器は、光源と、光放射が移動する光学窓との間に任意に介在することができ、光学窓に向けて光放射を方向付け及び/又は集束させることができる。さらに、光学フィルタ(例えば、ショートパス、ロングパス、バンドパス、及び/又は空間)及び/又は光学偏光子を、追加的又は代替的に、光源と光学窓との間に介在することができる。
【0028】
[0031] さらに、容器が光学窓を含むいくつかのバージョンでは、光検出器は、標的溶存分子のルミネセンスによって放出され、光学窓を通って移動することによって容器から出るルミネセンス光が光検出器に向けられるように配置される。光学レンズ及び/又は光学反射器は、光源と、ルミネセンス光が容器を出る光学窓との間に任意に介在することができ、ルミネセンス光を光検出器に向けて方向付け及び/又は集束させることができる。光学フィルタ及び/又は偏光子は、追加的又は代替的に、光検出器と光学窓との間に介在することができる。
【0029】
[0032] 本明細書に開示されるいくつかの実施において、光源は、光放射が非連続励起を有するように制御される。これらの実施のうちのいくつかのバージョンでは、光放射はパルス化される。それらの実施のうちのいくつかの他のバージョンでは、光放射は周期的に強度変調される(例えば、正弦波強度変調される)。
【0030】
[0033] 光放射がパルス化されるいくつかの実施では、各パルスの持続時間は、異なる液体間で変化し得る励起された標的溶存分子の寿命に基づいて決定することができる。例えば、溶存酸素については、各パルスの持続時間は、分析される液体中の一重項O2寿命に基づいて決定することができ、この寿命は、異なる液体間で変化する。例えば、一重項O2寿命は、テトラクロロメタン中では約17ミリ秒であり得、一方、アセトン中では0.051ミリ秒であり得る。これらの実施のうちのいくつかのバージョンでは、持続時間は、寿命に3などの係数、又は2から4までの値を乗算することに基づいて決定することができる。例えば、各パルスの持続時間を液体分析物に関する一重項O2寿命の3倍とすることにより、液体中の励起O2分子の最大可能数の約95%がパルスの終わりまでに到達する。
【0031】
[0034] 分析される液体に基づき、励起された分子の閾値パーセンテージ(例えば、95%、90%、又は他の閾値)を達成しようとするパルスに関する持続時間を利用することにより、パルスが、十分に長い持続時間であるが、必要な持続時間より長くないことを確実にすることができる。十分に長い持続時間は、標的溶存分子の閾値パーセンテージが励起され、結果として生じるルミネセンス光を検出することができ、及び/又は溶存濃度及び/又は他の溶存測定値を分析するために使用することができることを確実にする。持続時間が閾値パーセンテージを達成するのに必要な時間より長くなることを防止することにより、非パルス期間に生じる、より多くの量のルミネセンス光を、ある期間にわたって分析することが可能になる。これにより、非パルス期間内に生じる検出されたルミネセンス光の複数の事例の分析に基づくことができる、標的溶存分子測定値のより迅速な解明が可能となる。
【0032】
[0035] いくつかの実施では、液体分析物の1つ以上の特性を(例えば、人間のオペレータの入力又は制御システムからの入力に基づいて)受け取ることができ、特性を利用して各パルスの持続時間を決定することができる。それらの特性は、液体の分類及び/又は液体の温度を含むことができる。液体の分類は、複数の液体(例えば、「水素含有」)を包含する属分類、又は特定の溶媒(例えば、「アセトン」)のみを包含する、より詳細な(granular)分類であり得る。1つの特定の例として、メモリ又は他のコンピュータ可読媒体は、それぞれ1つ以上の特定の特性と、対応するパルス持続時間との間の関連を記憶することができる。受け取られた特性は、メモリから、対応するパルス持続時間を決定するために使用することができる。次いで、光源は、対応するパルス持続時間に基づいて制御され得る。例えば、光源用のドライバは、対応するパルス持続時間に基づいて構成することができる。
【0033】
[0036] 光放射がパルス化されるいくつかの実施では、時間分解測定及び/又は分析が利用される。別の言い方をすれば、分析されるルミネセンス光(例えば、標的溶存分子の予測される濃度の決定において)は、それぞれが対応するパルスに続く非パルス期間中に光検出器によって検出されるルミネセンス光に制限され得る。溶存酸素及び他の溶存分子のルミネセンスは、0でない寿命を有し、それが対応するパルスの後も継続することを意味し、したがって、非パルス期間中に検出することができる。例えば、アセトン中の発光された溶存酸素の寿命は約0.051ミリ秒であり、テトラクロロメタン中の発光された溶存酸素の寿命は約17ミリ秒である。さらに、光放射のレイリー散乱は瞬間的であり、パルス中にのみ発生することを意味する。したがって、パルスに続く非パルス期間中に検出されたルミネセンス光を分析するステップは、レイリー散乱が非パルス期間中に発生せず、したがって、レイリー散乱からの光が非パルス期間中に検出されたルミネセンス光に影響を与えないので、レイリー散乱からの光が溶存標的分子分析に悪影響を及ぼすことを防止(又は少なくとも緩和)することができる。いくつかの他の実施では、パルス期間からのルミネセンス光も、任意に分析中に考慮することができるが、分析は、少なくとも、非パルス期間中に検出されるルミネセンス光に対してより強く重み付けされ得る。
【0034】
[0037] 非パルス期間の間に光検出器によって検出されるルミネセンス光に分析が制限されるか、又はより重く重み付けされるいくつかの実施において、光検出器は活性化のみされることができ、そのような非パルス期間の間にルミネセンス光を検出する。いくつかの他の実施では、光検出器は、パルス期間中に活性化されてもよいが、ルミネセンス光のサブセットが、非パルス期間中に発生するそれに基づいて決定され、そのサブセットのみが分析される(又は、そのサブセットが分析においてより重く重み付けされる)。非パルス期間を決定する際に、光源からの信号を利用することができ、この信号は、光源がいつ光放射を生成しているか、及び/又は光放射を生成していないかを示す。追加的又は代替的に、共通クロック又は同期クロックを利用して、パルス期間と非パルス期間とを区別することができる。いくつかの実施では、非パルス期間のそれぞれの持続時間は、分析される液体の特性に基づいて決定することができる。例えば、溶存酸素が分析されており、特性が特定の液体を示すより詳細な(granular)分類を含む場合、持続時間は、液体中の発光一重項O2の寿命に基づくことができる。例えば、アセトン中の寿命は、約0.051ミリ秒であり得、非パルス期間は、それぞれ、閾値に等しいか、又は閾値内(例えば、10%以内、5%以内、又は他の閾値パーセンテージ内)であり得る。
【0035】
[0038] 光放射が周期的に強度変調される(例えば、正弦波変調される)いくつかの実施では、固定変調周波数は、分析される液体の特性に基づいて任意に決定することができる。例えば、特性が特定の液体を示すより詳細な(granular)分類を含む場合、持続時間は、液体中の発光溶存分子の寿命に基づくことができる。例えば、溶存酸素については、アセトン(寿命が約0.051msである)に対して第1の周波数を利用することができ、一方、テトラクロロメタン(寿命が約17msである)に対してはより低い第2の周波数を利用することができる。光放射が周期的に強度変調される場合、溶存標的分子のルミネセンスも周期的に強度変調されることに留意されたい。しかしながら、変調されたルミネセンスの振幅は、光放射の振幅から変化することができ、光放射の振幅に対して位相シフトすることができる。振幅及び/又は位相の変動は、液体分析物中の発光された標的分子の寿命、並びに光放射の振幅及び周波数に依存し得る。
【0036】
[0039] また、光放射が周期的に強度変調されるいくつかの実施では、光検出器によって生成される光学測定値は、レイリー散乱からの光によって影響を受ける可能性がある。それらの実施のうちのいくつかにおいて、光学測定値を分析するステップは、標的溶存分子の測定値を決定する際に、光学測定値の直交(位相シフト90度)成分を分析するステップを含むことができる。同位相(in-phase)成分を分析しない一方で、直交成分を分析するステップは、レイリー散乱の結果である光を分析から効果的に抑制する(又は完全に除去する)ことができる。任意に、ロックイン増幅器が、光学測定値を処理する際に利用され、検出された光の直交成分の測定を可能にする。ロックイン増幅器のための基準信号は、周期的に強度変調された光放射又はその変調を誘起する電気信号に基づくことができ、上記のように、液体分析物中の標的溶存分子の放射寿命に依存でき、任意で光放射の特性に依存できる、変調されたルミネセンスの位相シフトを任意に考慮することができる。
【0037】
[0040] また、光放射が周期的に強度変調されるいくつかの実施では、1つ以上の光学構成要素及び/又は光学技術を追加的又は代替的に利用して、レイリー散乱の結果である検出光を抑制することができる。一例として、光学偏光子は、光放射の経路内に配置することができ(例えば、光源と容器の光学窓との間に介在する)、レイリー散乱を緩和するように選択することができる。別の例として、特定の波長をフィルタ除去するように選択されたスペクトルフィルタを追加的又は代替的に利用することができる。例えば、ショートパスフィルタは光放射の経路内にあることができ、及び/又はロングパスフィルタは光学窓と光検出器との間に介在することができる。これは、ルミネセンスが光放射に対してレッドシフトするのに対して、レイリー散乱からのバックグラウンド光は光放射のスペクトルに適合するので、効果的であり得る。さらに別の例として、光学窓と光検出器との間に介在された空間フィルタなどの空間フィルタを追加的又は代替的に利用することができる。
【0038】
[0041] 次に図面を参照すると、
図1は、本開示の選択された態様が様々な実施に従って使用され得る例示的な溶存酸素測定システム100を図式的に示す。
図1に示された構成要素は、一定の縮尺で描かれていない。様々な構成要素のサイズ及び様々な構成要素間の空間的関係は、説明のために誇張されている。
【0039】
[0042] 溶存酸素測定システム100は、溶存酸素分析用の液体を少なくとも一時的に含む内部122を含む容器120を含む。容器120は、
図1にハッチング線で示され且つ内部122を画定するシェル124を含む。シェル124は、容器120の形状に応じて様々な形態をとることができる。例えば、
図1において、容器120は円筒形(
図1の断面図に示される)を有することができる。光学容器120が他の形状を有する他の実施では、容器120の形状は異なることができる。
【0040】
[0043]
図1において、シェル124の全体は、アクリル又はガラスなどの光学材料から構成され、透明又は半透明である。したがって、
図1において、シェル124は、特異な光学窓を効果的に形成し、この光学窓を介して、光放射が内部122に入ることができ、及び/又はこの光学窓を介して、ルミネセンス光が出ることができる。いくつかの他の実施では、シェル124の一部は不透明であってもよく、シェル124の他の部分は透明又は半透明であってもよい。したがって、それらの実施では、シェル124の全体よりも少ない部分が光の出入りを可能にし、シェル124は、光が出入りすることができる複数の光学窓を含むことができる。
【0041】
[0044] 容器120によって含むことができる液体は、様々な化学プロセスで利用されるものなどの様々な有機液体を含む。様々な実施において、光学容器120は、例えば、シェル124によって気密封止されて、内部122に含まれる液体が、選択された位置以外では漏れることができないようにすることができる。例えば、容器120は、任意に、シェル124を通る1つ以上の通路126A、126Bを含むことができ、これらの通路は、分析のために容器120の内部122に液体サンプルを導入し、内部122から液体サンプルを取り出すために設けられた選択された位置である。
図1において、第1の通路126Aは内部122に液体を導入するためのものであり、第2の通路126Bは内部122から液体を取り出すためのものであるが、これに限定されるものではない。例えば、通路126A、126Bは、内部122の中/外への液体の通過を許容及び/又は防止するように作動可能なバルブなどの様々な形態をとることができる。別の例として、内部への液体の導入と内部からの液体の排出との両方のために単一の通路を設けることができる。
【0042】
[0045] 溶存酸素測定システム100はまた、光源110及び光検出器を含み、これらは両方とも容器120の外部にあり、その結果、容器120内に導入される液体と接触しない。
【0043】
[0046] 光源110は、光放射111を放出する。光源110によって放出される光放射111は、溶存酸素の吸収帯に適合する波長の放射を含む(例えば、制限される)ことができる。光源110は、レーザー源又は外部レーザー源から放出されるレーザー光を送達する光ファイバなど、様々な形態をとることができる。光源110は、コヒーレント光又はインコヒーレント光を放出することができる。本明細書に記載されるように、様々な実施では、光源110は、光放射111がパルス励起又は、代替的に、周期的に強度変調された励起などの非連続励起を有するように制御される(例えば、以下に説明するロジック101によって)。
【0044】
[0047]
図1では、様々な光学素子が容器120の外部に示されており、光放射111の光路内に配置されている。より詳細には、
図1は、ショートパスフィルタ112、偏光子114、及び正レンズ116を用いて示されている。様々な実施では、光路内の図示された光学構成要素のうちの1つ以上を省略することができる。さらに、代替光路に沿って光放射111を方向転換するミラー又はその他の反射器など、追加及び/又は代替の光学構成要素を提供することができる。
【0045】
[0048] ショートパスフィルタ112が提供される実施では、光放射111に含まれる、溶存酸素の吸収帯に適合する波長の放射に近い値(例えば、5ナノメートル、10ナノメートル、又は他の閾値内)などの値よりも長い放射の波長をフィルタ除去するように選択することができる。例えば、そのような放射が1263~1283ナノメートルである場合、ショートパスフィルタ112は、1283ナノメートルより長い波長をフィルタ除去することができる。偏光子114が提供される実施では、光検出器130の光路内へのレイリー散乱を緩和するために利用することができる。様々な実施において、光放射111が周期的に強度変調された放射であるとき、ショートパスフィルタ112及び/又は偏光子114が提供される。正レンズ116が提供される実施では、シェル124の一部を通過することによって、光放射111を狭めて容器120の内部122に向けて集束させることができる。
【0046】
[0049] 光源110によって放出される光放射111は、溶存酸素の吸収帯に適合する波長での放射を含むので、容器120内に含まれた液体中に存在する溶存酸素は、光放射111による励起によって発光される。
図1では、簡略化のため、容器120内に含まれる液体の図示を省略している。しかしながら、ルミネセンス105は、点線の同心円として概略的に示されている。ルミネセンス105は、光放射111の、溶存酸素の吸収帯に適合する波長での放射による励起に応答する溶存酸素のルミネセンスを表す。また、
図1には、内部122から、シェル124を通って光検出器130の光路内に放出されるルミネセンス光106Aの一部が示されている。
【0047】
[0050]
図1では、様々な光学素子が容器120の外部に示されており、光検出器130の光路内に配置されている。より詳細には、
図1は、コリメータ132、ロングパスフィルタ134、及び正レンズ136を用いて示されている。様々な実施では、光路内の図示された光学構成要素のうちの1つ以上を省略することができる。さらに、光検出器130の代替光路に沿ってルミネセンス光106Aを方向転換するミラー又はその他の反射器などの追加及び/又は代替の光学構成要素を提供することができる。
【0048】
[0051] ロングパスフィルタ136が提供される実施では、光放射111に含まれる放射の波長よりも短い放射の波長をフィルタ除去するように選択することができる。例えば、光放射111の波長が1269nmである場合、ロングパスフィルタ136は、1270ナノメートルよりも短い波長をフィルタ除去することができる。これは、ルミネセンス光が、光放射111に含まれ、溶存酸素の吸収帯に適合する(これに対して、レイリー散乱の結果である光はそうではない)波長である放射に対してレッドシフトすることができるので、ルミネセンス光を通過させる一方で、レイリー散乱の結果である光をフィルタ除去するのに有益であり得る。様々な実施において、光放射111が周期的に強度変調された放射であるとき、ロングパスフィルタ134が提供される。正レンズ136が提供される実施において、正レンズは、ルミネセンス光106A(及び、容器120から放出される任意の他の光、例えば、レイリー散乱の結果である光)を狭めて、光検出器130に向かって集束させることができる。コリメータ132が提供される実施では、コリメータは、ルミネセンス光106A(及び、容器120から放出される任意の他の光、例えば、レイリー散乱の結果である光)をコリメートすることができる。
【0049】
[0052] また、
図1には、容器120から放出され得るが、光検出器に向けられない(すなわち、光検出器の光路内にない)他のルミネセンス光106Bが示されている。追加的なルミネセンス光を放出することができるが、単純化のためにルミネセンス光106A及び106Bのみが示されていることに留意されたい。いくつかの実施では、光検出器130の光路に沿ってルミネセンス光106B及び/又は他のルミネセンス光を方向転換するために、反射器を任意に提供することができる。
【0050】
[0053] 光検出器130は、例えば、フォトダイオード又はPMTとすることができる。光検出器130は、溶存酸素のルミネセンスによって放出され、シェル124の光学窓を通って移動することによって容器120を出るルミネセンス光(例えば、ルミネセンス光106A)の少なくとも一部が、光検出器130に向けられるように配置される。光検出器130は、対応する時間の瞬間に光検出器130によって検出された光にそれぞれ基づいた光学測定値を生成する。これらの光学測定値のうちのいくつかは、ルミネセンス光106Aなどのルミネセンス光によって影響を受けることができ、任意に、それらの光学測定値のいくつかは、レイリー散乱からの光などの他の光によって影響を受けることができる。
【0051】
[0054] ロジック101を提供し、光源110及び/又は光検出器130と動作可能に結合することができる。ロジック101は、メモリ(図示せず)に格納された命令(一時的及び/又は非一時的)を実行して、本明細書に記載される1つ以上の方法のすべて又は態様を実行する1つ以上のプロセッサなど、様々な形態をとることができる。例えば、プロセッサのうちの1つ以上は、光学測定値を分析して、光学測定値に基づいて、溶存酸素に関する1つ以上の測定値を決定することができる。別の例として、プロセッサのうちの1つ以上は、追加的又は代替的に、分析される液体の特性103を受け取り、特性103に基づいて(例えば、特性にマッピングされたメモリ内のデータに基づいて)、どのように光源110を制御する(例えば、パルス持続時間を決定する)か、光検出器130が光学測定値を検出すべき期間、及び/又はどのように溶存酸素に関連する測定値を決定するために光学測定値を分析するか、を決定することができる。特性103は、例えば、特性を特定する入力のようなユーザ入力に基づくことができる。特性103は、追加的又は代替的に、例えば、化学処理プラントの制御システムなどの制御システムからの入力に基づくことができる。
【0052】
[0055] ロジック101に含めることができるプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むことができる。ロジック101は、追加的又は代替的に、アナログ又はデジタルであり得る1つ以上のディスクリート構成要素を含むことができ、それぞれ任意に1つ以上のプロセッサを組み込むことができる。例えば、ロジック101は、光検出器130からの光学測定値を処理して、光学測定値から、検出された光の直交成分を抽出するために使用できるロックイン増幅器を含むことができる。別の例として、ロジック101は、光源110のためのドライバを含むことができ、ドライバは、所望の特性を有するパルス光放射又は変調光放射を生成するように任意に(例えば、動的に)構成することができる。例えば、ドライバは、本明細書に記載するように決定された所望のパルス持続時間を有するパルスを用いてパルス光放射を生成するように構成することができる。
【0053】
[0056] 容器内にある液体は、光源110、光検出器130、及び/又は光学構成要素112、114、116、132、134、及び/又は136を腐食するか、そうでなければ損傷する温度、粒子、酸性度などの特性を有することができることに留意されたい。光源110、光検出器130、及び/又は光学構成要素112、114、116、132、134、及び/又は136の配置は、このような構成要素が容器の外部にあり、液体と接触しないことを可能にする一方で、依然として効果的な溶存酸素分析を可能にする。
【0054】
[0057]
図2は、本開示の選択された態様を実施するための例示的な方法200のフローチャートを示す。他の実施は、
図2に示されるもの以外の追加の動作を含むことができ、
図2のステップを異なる順序で及び/又は並行して実施することができ、及び/又は
図2の動作のうちの1つ以上を省略することができる。
図2のステップは、ステップを実行するシステムに関して説明される。このようなシステムは、例えば、
図1の構成要素のうちの1つ以上を含むことができる。
【0055】
[0058] ステップ202において、システムは、光源を制御して、液体を含む容器の内部に、溶存酸素の吸収帯に適合する波長での放射を含む光放射を放出する。例えば、光源は、光路に沿って、容器のシェルの光学窓を通って容器内に光放射を放出するように制御することができる。
【0056】
[0059] ステップ202は、いくつかの実施では、ステップ202A又はステップ202Bのいずれかを含むことができる。
【0057】
[0060] ステップ202Aにおいて、システムは、光源を制御して、複数のパルスで光放射を放出する。いくつかの実施では、各パルスの持続時間は、分析される液体中の一重項O
2寿命に基づいており、これは、異なる液体間で変化する。それらの実施のうちのいくつかのバージョンでは、システムは、液体の特性を示す入力に基づいてパルス持続時間を決定する。いくつかの追加的又は代替的なバージョンにおいて、持続時間は、分析される液体中の一重項O
2寿命を3などの係数、又は2~4の値で乗算することに基づいて決定され得る。例えば、各パルスの持続時間を液体分析物についての一重項O
2寿命の3倍とすることにより、液体中の最大可能な(所与の放射パワーでの)数のO
2分子の約95%が、パルスの終わりまでに励起される。より詳細には、一定強度の光放射の場合、励起された分子の数Nは、以下の速度論式:
【数1】
によって記述することができ、式中、Aは励起の速度であり、τは、分析物中の一重項O
2寿命である。最初に励起された分子がないと仮定すると、その微分方程式の解は
【数2】
である。その解から、パルス持続時間が一重項O
2寿命(τ)の3倍であるときに、励起された分子の最大可能数の95%に達すると決定することができる。他の係数(3倍以外)は、励起された分子の別の所望のパーセンテージを達成するように選択することができる。
【0058】
[0061] ステップ202Bにおいて、システムは、光源を制御して、周期的に強度変調される(例えば、正弦波変調される)光放射を放出する。いくつかの実施では、固定変調周波数は、分析される液体の特性に基づいて任意に決定することができる。例えば、アセトン(寿命が約0.051msである)に対して第1の周波数を利用することができ、一方、テトラクロロメタン(寿命が約17msである)に対してはより低い第2の周波数を利用することができる。
【0059】
[0062] ステップ204において、システムは、容器の内部と光学的に連通している光検出器を用いて光学測定値を生成する。例えば、光検出器は、容器の外部にあってもよいが、ステップ202の光放射による励起に応答して溶存酸素ルミネセンスによって生成され、その光学窓を通って移動することによって容器から出る任意のルミネセンス光の少なくとも一部が、光検出器の方に向けられるように配置することができる。光学測定値はそれぞれ、対応する時間の瞬間に光検出器によって検出された光に基づいている。それらの光学測定値のうちのいくつかは、ルミネセンス光が、対応する時間に生成している場合、ルミネセンス光によって影響を受けることができる。任意に、それらの光学測定値のうちのいくつかは、対応する時間に生成される場合、レイリー散乱からの光などの他の光によって影響を受けることができる。
【0060】
[0063] ステップ204は、いくつかの実施では、ステップ204A又はステップ204Bのいずれかを含むことができる。
【0061】
[0064] ステップ204Aは、ステップ202Aが実行されるときに、いくつかの実施において任意に実行することができる。ステップ204Aにおいて、システムは、非パルス期間の間のみ光学測定値を生成する。すなわち、システムは、パルスが光源によって生成されていない持続時間の少なくとも一部の間にのみ光学測定値を生成する。これは、散乱光の検出を緩和(又は防止)する一方で、対応するパルスが終了した後に続くルミネセンスからのルミネセンス光の検出を可能にする。
【0062】
[0065] ステップ204Bは、ステップ202Bが実行されるときに、いくつかの実施において任意に実行することができる。ステップ204Bにおいて、システムは、検出された光の直交成分のみを含む光学測定値を生成する。いくつかの実施では、ロックイン増幅器は、光検出器によって最初に検出される光を処理する際に利用され、検出された光の直交成分のみを含む光学測定値を生成する。本明細書に記載されるように、これは、光学測定値から、レイリー散乱の結果である光を抑制するのに役立つことができる。
【0063】
[0066] ステップ206において、システムは、ステップ204の光学測定値を分析して、液体が溶存酸素を含むかどうかを決定し、及び/又は溶存酸素の予測濃度を決定する。これらの決定は、例えば、光学測定値のうちの1つ以上の時間分解された大きさ及び/又は振幅に基づくことができる。いくつかの実施では、分析物中の溶存酸素に関連する測定値を決定する際に、システムは、光学測定値に基づいて、かつ分析物に対する溶存酸素の放射寿命に基づいて測定値を決定する。例えば、より短い放射寿命ではより強いルミネセンスが予想され、一方、より長い放射寿命ではより弱いルミネセンスが予想される。
【0064】
[0067] ステップ206は、いくつかの実施では、ステップ206A又はステップ206Bのいずれかを含むことができる。
【0065】
[0068] ステップ206Aは、ステップ202Aが実行されるときに、いくつかの実施において任意に実行することができる。ステップ206Aにおいて、システムは、非パルス期間からの光学測定値のみを分析し、パルス期間からの測定値(もしあれば)の分析は行わない。いくつかの実施では(例えば、ステップ204Aが実行される場合)、光検出器によって生成される光学測定値は、非パルス期間からのものに制限される。他の実施では、光学測定値は、パルス期間及び非パルス期間からのものを含む。これらの他の実施では、非パルス期間からの光学測定値のサブセットを決定し、分析することができる。例えば、測定値からのタイムスタンプ及び光源(例えば、そのドライバ)からの信号を利用して、非パルス期間から光学測定値のサブセットを識別することができる。
【0066】
[0069] ステップ206Bは、ステップ202Bが実行されるときに、いくつかの実施において任意に実行することができる。ステップ206Bにおいて、システムは光学測定値の直交成分のみを分析する。いくつかの実施では(例えば、ステップ204Bが実行される場合)、光検出器によって生成される光学測定値は、直交成分測定値に制限される。他の実施では、光学測定値は、直交成分及び同位相成分を含む。これらの他の実施では、直交成分を決定し、分析することができる。例えば、光放射と光学測定値との間の位相シフトを利用して、直交成分を分解することができる。
【0067】
[0070]
図3は、励起酸素分子の経時的な量の例を、パルス光放射の例と共に示す。特に、線305は励起酸素分子の量を表し、点線311Aはパルス光放射の第1のパルスを表し、点線311Bはパルス光放射の第2のパルスの一部を表す。第1のパルスと第2のパルスとの間の時間である非パルス期間と同様に、第1のパルスに対応するパルス期間も注釈される。
【0068】
[0071]
図3から分かるように、励起酸素分子の量は、第1のパルスを通して増加する。第1のパルスが停止すると、励起酸素分子の量は減少する。しかしながら、特に、励起酸素分子(及びそれらの結果として生じるルミネセンス)は、停止後及び非パルス期間の少なくとも一部の間、残存する。さらに、レイリー散乱は第1のパルスの停止で停止する。従って、非パルス期間の間に生じる光学測定値を分析することは、レイリー散乱からの光の影響を分析から緩和又は除去する。これにより、溶存酸素が存在するかどうかの及び/又は溶存酸素の濃度の正確かつ/又は詳細な決定をすることができる。例えば、濃度は、非パルス期間の全部又は一部の間の光放射の時間分解測定値に基づいて決定することができる。
【0069】
[0072]
図4は、周期的に強度変調された光放射410の例と、変調された光放射からの検出された光学測定値430の例とを示す。特に、線412は、光放射410の経時的な振幅を表し、線432は、光学測定値430の経時的な振幅を表す。
図4の例では、光放射410の周波数と光学測定値430の周波数は同じであることに留意されたい。しかしながら、光学測定値430の振幅は、光放射410のものに比べて低減される。さらに、光学測定値430は、光放射410に対して90度位相シフトされる。これは、例えば、垂直線414及び434を見ることによって観察することができ、これらの垂直線は、光学測定値430及び光放射410に対する期間の対応する開始を反映する。
【0070】
[0073] いくつかの実施について本明細書で説明し、図示してきたが、機能を実行し、及び/又は結果を得るための様々な他の手段及び/又は構造、及び/又は、本明細書に記載された利点のうちの1つ以上を利用することができ、そのような変形及び/又は修正のそれぞれは、本明細書に記載された実施の範囲内にあると考えられる。より一般的には、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本教示が使用される特定の用途又は複数の用途に依存する。当業者は、本明細書中に記載される特定の実施に対する多くの等価物を認識するか、又はルーチンの実験以上のものを用いずに確認することができるであろう。したがって、前述の実施は、例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、実施は、具体的に記載され、特許請求されたもの以外で実施されてもよいことが理解されるべきである。本開示の実施は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に向けられる。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の2つ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。