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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240618BHJP
   A24F 40/05 20200101ALI20240618BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20240618BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/05
A24F40/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022561154
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 KR2021016505
(87)【国際公開番号】W WO2022211208
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0041624
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ギョウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン セオン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン チュル
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519492(JP,A)
【文献】特表2018-504927(JP,A)
【文献】特表2017-522934(JP,A)
【文献】特表2019-515684(JP,A)
【文献】特表2017-537634(JP,A)
【文献】国際公開第2020/079426(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のエアロゾル形成基材を供給する液状供給部と、
前記液状供給部の下部に配置され、超音波振動を発生させて前記供給された液状のエアロゾル形成基材を気化させて気化空間内にエアロゾルを生成す振動要素と、
前記気化空間と接続されて前記気化空間内で生成されたエアロゾルがマウスピース方向に移動するための気流通路と、を含み、
前記液状供給部は、
内部に所定の空間を具備し、前記空間に液状のエアロゾル形成基材を貯蔵する液状貯蔵槽と、
前記液状貯蔵槽と前記振動要素との間に配置され、前記液状貯蔵槽に貯蔵された前記液状のエアロゾル形成基材を吸収して前記振動要素に供給するウィク(wick)と、を含み、
前記振動要素の振動面と前記ウィクとは互いに接触し、
前記ウィクは、断面上で前記振動要素の少なくとも一部の領域を露出するように前記振動要素の中心部に配置され、前記気流通路の入口は、断面上で前記ウィクが、露出する前記振動要素の少なくとも一部の領域と重なり、前記入口は、前記気化空間と前記気流通路を結ぶ入口であり、
記気流通路の入口および前記気流通路の出口は、一直線でない構造からなる、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記ウィクと前記振動要素の接触面積は、前記振動要素の断面積より小さく、
前記気流通路の入口は、断面上で前記振動要素の外側部分と重なる、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記ウィクの直径または前記接触する部分の直径は、2.0mm~6.0mmである、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記ウィクの外郭から前記振動要素の外郭までの距離は、1.5mm以上である、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記気流通路の内壁には液状吸収体が配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記気流通路の内壁の特定領域には、濡れ性(wettability)を増加させる表面処理が施され、
前記液状吸収体は、前記特定領域に配置される、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記気流通路の内部にはメッシュ要素が配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記気流通路の内部には、前記発生したエアロゾルの移動を妨害する障害物が配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記気流通路の内壁の少なくとも一部領域には、濡れ性(wettability)を増加させる表面処理が施される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記振動要素の供給電力を制御する制御部をさらに含み、かつ、
前記制御部は、
前記気化空間で液滴が発生する程度を推定し、前記推定の結果に基づいて前記振動要素の供給電力を制御する、請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置およびその制御方法に関し、より詳細には、液滴吐出現象および気流通路目詰まり現象を防止できる構造的設計が適用されたエアロゾル発生装置および当該装置で行われる制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般的なシガレットの短所を克服する代替方法に関する需要が増加している。例えば、液状のエアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させる装置(e.g.液状型電子タバコ)に関する需要が増加している。これによって、液状型エアロゾル発生装置に関する研究が活発に行われている。
【0003】
最近では、超音波振動を通じて液状を気化させてエアロゾルを発生させる装置が提案されたことがある。例えば、図1に示されたように、液状貯蔵槽2に貯蔵された液状Lをウィク3を通じて吸収し、振動子4を通じて吸収された液状Lを気化させることによって、エアロゾルを発生させる装置が提案されたことがある。
【0004】
ところが、図示のように、提案された装置では、気化中に発生した液滴6が気化空間5外に飛び上がる現象が頻繁に発生することができる。例えば、ウィク3に吸収された液状Lの内部で形成された気泡が急激に成長して爆発するにつれて、液滴6が気化空間5外に飛び上がることができる。このような液滴6は、パフにより瞬間的に形成される負圧によりマウスピース1の外部に吐出されて、喫煙者に相当な不快感を与えることができ、気流通路7の内壁に液膜を形成することによって、気流通路7を塞ぐこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする技術的課題は、液滴吐出現象および気流通路目詰まり現象を防止できる構造的設計が適用されたエアロゾル発生装置および当該装置で行われる制御方法を提供することにある。
【0006】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置は、液状のエアロゾル形成基材を供給する液状供給部と、気化空間内で前記供給された液状のエアロゾル形成基材を気化させてエアロゾルを発生させる気化要素と、前記気化空間内で発生したエアロゾルがマウスピース方向に移動するための気流通路と、を含み、前記気化要素と、前記気流通路の入口および前記気流通路の出口は、一直線でない構造からなり得る。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記液状供給部は、前記液状のエアロゾル形成基材を吸収して前記気化空間内に供給するウィク(wick)を含み、前記気化要素と、前記ウィクおよび前記気流通路の入口は、一直線でない構造からなり得る。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記液状供給部は、前記液状のエアロゾル形成基材を吸収して前記気化空間内に伝達するウィク(wick)を含み、前記気化要素は、超音波振動を通じて前記供給された液状のエアロゾル形成基材を気化させ、前記気化要素は、前記ウィクと接触するように配置されてもよい。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記ウィクは、前記気化要素の中心部に配置され、前記ウィクと前記気化要素の接触面積は、前記気化要素の断面積より小さくてもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記気流通路の内壁には、液状吸収体が配置されてもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記気流通路の内部には、メッシュ要素が配置されてもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記気流通路の内部には、前記発生したエアロゾルの移動を妨害する障害物が配置されてもよい。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記気流通路内壁の少なくとも一部領域には、濡れ性(wettability)を増加させる表面処理が施され得る。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記気化要素の供給電力を制御する制御部をさらに含み、かつ、前記制御部は、前記気化空間で液滴が発生する程度を推定し、前記推定結果に基づいて前記気化要素の供給電力を制御することができる。
【発明の効果】
【0016】
上述した本開示の幾つかの実施形態によれば、気化要素、気流通路の入口および出口が一直線でない構造からなり得る。例えば、気化要素と気流通路の入口が垂直線上に配置されないか、気流通路の入口と出口が垂直線上に配置されなくてもよい。この場合、気化要素で発生した液滴が気流通路の入口に流入したり気流通路の出口に排出されることを効果的に防止することができ、液滴吐出現象および気流通路目詰まり現象を大きく緩和することができる。
【0017】
また、振動要素より小さいサイズのウィクが振動要素の中心部に配置されてもよい。この場合、振動要素の中心部で気化が集中的に起こるので、液滴も、振動要素の中心部付近だけで集中的に発生することができる。これによって、発生した液滴が気流通路の入口に流入することを効果的に防止することができる。
【0018】
また、気流通路の内壁に液状吸収体が配置されてもよい。液状吸収体は、気流通路の内壁に粘着した液状を吸収して重力方向に排出する排水路として機能することによって、液滴吐出現象および気流通路目詰まり現象を効果的に防止することができる。
【0019】
また、気流通路の内壁に濡れ性(wettability)を増加させる表面処理が施され得る。このような表面処理は、気流通路の内壁に液状が粘着することを抑制することによって、液滴吐出現象および気流通路目詰まり現象を効果的に防止することができる。
【0020】
また、気流通路の内部に障害物またはメッシュ要素が配置されてもよいが、このような障害物またはメッシュ要素は、液滴が気流通路の出口に排出されることを効果的に防止することができる。
【0021】
また、液滴発生程度に対する推定結果に基づいて気化要素に供給される電力を動的に調節することができる。これによって、液滴吐出現象と気流通路目詰まり現象をさらに効果的に防止することができる。
【0022】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】液滴飛び現象による問題点を説明するための例示図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示的な構成図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示的な構成図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態によるウィクと振動要素の配置関係を説明するための例示図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置の気化構造を説明するための例示図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置の気化構造を説明するための例示図である。
図7】本開示の他の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置を説明するための例示図である。
図8】本開示の幾つかの実施形態による多重(層)構造のウィクを説明するための例示図である。
図9】本開示の幾つかの実施形態による多重(層)構造のウィクを説明するための例示図である。
図10】本開示の第1実施形態による気流通路の内部形態を示す例示図である。
図11】本開示の第2実施形態による気流通路の内部形態を示す例示図である。
図12】本開示の第2実施形態による気流通路の内部形態を示す例示図である。
図13】本開示の第3実施形態による気流通路の内部形態を示す例示図である。
図14】本開示の第4実施形態による気流通路の内部形態を示す例示図である。
図15】本開示の幾つかの実施形態による制御方法を示す例示的なフロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現でき、単に以下の実施形態は、本開示の技術的思想が完全になるようにし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0025】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0026】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解析されない。 本明細書において使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。
【0027】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解しなければならない。
【0028】
本開示において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0029】
まず、本開示の多様な実施形態において使用される幾つかの用語について明確にする。
【0030】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成基材」は、エアロゾル(aerosol)を形成できる物質を意味し得る。エアロゾルは、揮発性化合物を含んでもよい。エアロゾル形成基材は、固体または液状でありうる。例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻み(e.g.葉タバコ刻み、板状葉刻みなど)、再構成タバコなどタバコ原料を基礎にするタバコ物質を含んでもよいし、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物、プロピレングリコール(propylene glycol)、植物性グリセリン(vegetable glycerin)および/または多様な香味剤などの多様な組み合わせに基づく液状組成物を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲が前記列挙された例示に限定されるものではない。以下の実施形態において、他の言及がない限り、液状は、液状のエアロゾル形成基材を指すものでありうる。
【0031】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル形成基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味し得る。
【0032】
以下の実施形態において、「パフ(puff)」は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0033】
本開示の実施形態に対する本格的な説明に先立って、理解の便宜を提供するために、液滴吐出現象と気流通路目詰まり現象について簡略に説明する。
【0034】
液滴吐出現象は、気化空間(すなわち、気化が行われた気化要素周辺の空間)内で発生した液滴がマウスピースを通じてエアロゾル発生装置の外部に吐出される現象を意味し得る。例えば、液滴は、液状の内部で形成された気泡の急激な成長および爆発によって発生でき、パフにより形成された瞬間的な負圧によってエアロゾル発生装置の外部に吐出され得る。吐出された液滴がユーザの口部に吸入されると、ユーザは、相当な不快感を感じることができるので、エアロゾル発生装置には、液滴吐出現象に対する防止設計が適用されることが好ましい。
【0035】
また、気流通路目詰まり現象は、気流通路の内部に流入した液滴が気流通路の内壁に粘着して液膜を形成し、形成された液膜が気流通路の少なくとも一部を塞ぐ現象を意味し得る。ここで、気流通路の内部でエアロゾルが凝縮されて生じた凝縮物も、液膜の形成と成長を加速化することができる。このような気流通路目詰まり現象は、吸い込み性と霧化量を大きく低減することができるので、エアロゾル発生装置には、気流通路目詰まり現象に対する防止設計が適用されることが好ましい。
【0036】
以下では、上述した液滴吐出現象と気流通路目詰まり現象を防止できる構造的設計が適用されたエアロゾル発生装置の多様な実施形態について添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図2および図3は、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置10を概略的に示す例示的な構成図である。具体的に、図2は、エアロゾル発生装置10の内部構成要素を重点的に示し、図3は、エアロゾル発生装置10の外観を重点的に示す。
【0038】
図2および図3に示されたように、本実施形態によるエアロゾル発生装置10は、超音波振動を通じてエアロゾルを発生させる装置でありうる。すなわち、エアロゾル発生装置10の気化要素17は、超音波振動を通じて液状を気化させる振動要素でありうる。
【0039】
図示のように、エアロゾル発生装置10は、マウスピース11、上部ケース12、液状貯蔵槽13、ウィクホルダー14、ウィク(wick)15、制御本体ケース16、振動要素17、バッテリー19および制御部18を含んでもよい。ただし、これは、ただ本開示の目的を達成するための好ましい実施形態であり、必要に応じて一部の構成要素が追加されたり省略されてもよいことはもちろんである。以下、エアロゾル発生装置10の各構成要素について説明する。
【0040】
マウスピース11は、エアロゾル発生装置10の一端に位置してユーザの口部と接触する構造物として機能することができる。ユーザは、マウスピース11を通じて振動要素17により発生したエアロゾルを吸入することができる。図2は、マウスピース11が別途の構造物で構成されたもののように示しているが、マウスピース11は、上部ケース12の一部として具現されてもよく、他の方式で具現されてもよい。
【0041】
次に、上部ケース12は、エアロゾル発生装置10の上部外観を形成することができる。上部ケース12は、内部の構成要素を保護できる適切な素材からなり得る。また、上部ケース12は、振動要素17により発生したエアロゾルがマウスピース11の方向に移動するための気流通路を形成することができる。ただし、場合によって、前記気流通路は、別途の管形構造物を通じて形成されてもよい。以下の説明において、「気流通路」は、気流が移動する通路空間または該通路空間を形成する構造物を包括する意味として使用する。
【0042】
幾つかの実施形態において、エアロゾル発生装置10の上部は、制御本体(すなわち、下部)に結合されるカートリッジ形態で具現されてもよい。この場合、上部ケース12は、「カートリッジケース」と称されることがあり、マウスピース11、上部ケース12、液状貯蔵槽13、ウィクホルダー14およびウィク15がカートリッジを構成することもできる。ここで、振動要素17は、制御本体側に位置し得るが、これは、相対的に高価な要素である振動要素17をカートリッジから除外することによって、カートリッジ交換費用を節減させるためのものと理解できる。参考として、当該技術分野において、カートリッジは、カトマイザー(catomizer)、アトマイザー(atomizer)または気化器などの用語と混用して使用することができる。
【0043】
次に、液状貯蔵槽13は、内部に所定の空間を具備し、該当空間に液状のエアロゾル形成基材を貯蔵することができる。また、液状貯蔵槽13は、貯蔵された液状をウィク15を通じて振動要素17に供給することができる。
【0044】
次に、ウィクホルダー14は、ウィク15を支持したり取り囲んでいる構造物を意味し得る。ウィクホルダー14は、液状貯蔵槽13に貯蔵された液状がウィク15側に移動するようにガイドする役割を行うこともできる。ウィクホルダー14は、液状接触、振動、加熱などによる物理化学的変形の少ない素材からなることが好ましい。例えば、ウィクホルダー14は、シリコーン素材からなり得るが、これに限定されるものではない。幾つかの実施形態において、ウィクホルダー14は、省略されてもよい。
【0045】
次に、ウィク15は、液状貯蔵槽13に貯蔵された液状を吸収して気化空間内の振動要素17に供給することができる。ウィク15は、液状貯蔵槽13の液状を吸収できる任意の素材で具現されてもよい。例えば、ウィク15は、コットン(cotton)、シリカ(silica)、繊維、多孔性構造物(e.g.ビーズ集合体)などからなり得るが、これに限定されるものではない。
【0046】
幾つかの実施形態において、ウィク15は、振動要素17より小さいサイズで製造されて、振動要素17に接触するように配置されてもよいが、このようなサイズおよび配置関係について、図4を参照して後述する。
【0047】
液状貯蔵槽13、ウィクホルダー14およびウィク15は、振動要素17に液状を供給する役割を行うので、「液状供給部」と称されることがある。
【0048】
一方、図2および図3は、液状供給部がウィク15を含む場合を例示しているが、液状供給部は、他の形態で具現されてもよい。例えば、液状供給部は、ウィク15を含まずに、液状供給通路を通じて液状貯蔵槽13の液状を振動要素17に供給するように具現されてもよい。
【0049】
以下では、エアロゾル発生装置10の制御本体を構成する要素について説明する。
【0050】
制御本体ケース16は、制御本体の外観を形成することができる。場合によって、制御本体ケース16は、エアロゾル発生装置10の全体外観を形成することもできる。制御本体ケース16は、制御本体内部の構成要素を保護できる適切な素材からなり得る。
【0051】
次に、振動要素17は、気化空間内に供給された液状を気化させるために振動(超音波振動)を発生させることができる。例えば、振動要素17は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換させることができる圧電素子で具現されて、制御部18の制御によって振動を発生させることができる。当該技術分野における当業者なら、圧電素子の動作原理について自明に理解できるところ、これに関するさらなる説明は省略する。振動要素17は、制御部18およびバッテリー19と電気的に連結されてもよい。
【0052】
幾つかの実施形態において、図4などに示されたように、振動要素17とウィク15が互いに接触するように配置されてもよい。かくして、振動要素17から発生した振動が損失なしにウィク15に伝達されて、気化が円滑に起こることができる。また、ウィク15が振動要素17の中心部に配置され、ウィク15の直径(e.g.接触断面の直径)が振動要素17より小さくてもよい。すなわち、ウィク15と振動要素17の接触面積が振動要素17の断面積より小さくてもよい。かくして、振動要素17の中心部付近だけで集中的に液滴が発生し、発生した液滴が気流通路の入口まで到達することを効果的に防止することができる。本実施形態において、直径は、例えば中心を通る直線の最短長さ、最長長さまたは平均長さを意味し得る。
【0053】
前述した実施形態において、ウィク15の直径D1または接触部分の直径D1は、約2.0mm~8.0mmであってもよく、好ましくは、約2.5mm~7.0mm、約3.0mm~6.0mmまたは約3.0mm~5.0mmであってもよい。このような数値範囲内で、適切な気化面積を通じて十分な霧化量を保障することができ、振動要素17の一般的なサイズを考慮したとき、外郭部分(すなわち、非接触部分)のマージンが十分に確保されて、発生した液滴が気流通路の入口に流入することを効果的に防止することができる。
【0054】
また、幾つかの実施形態において、ウィク15の外郭から振動要素17の外郭までの距離D2は、約1mm以上であってもよく、好ましくは、約1.2mm以上、1.5mm以上、1.7mm以上、2.0mm以上または2.5mm以上であってもよい。このような数値範囲内で、外郭部分(すなわち、非接触部分)のマージンが十分に確保されて、発生した液滴が気流通路の入口に流入することを効果的に防止することができる。
【0055】
一方、幾つかの実施形態において、振動要素17は、制御本体側に位置せず、エアロゾル発生装置10の上部に位置することもできる。
【0056】
さらに図2および図3を参照して説明を継続する。
【0057】
図2に明確に示されてはいないが、制御本体の内部には、振動要素17の外郭を固定するように配置された固定部材(e.g.ダンパー)をさらに含んでもよい。固定部材は、振動要素17を保護すると同時に、振動要素17により発生した振動が制御本体ケース16の外部に伝達されないように、振動を吸収する役割を行うことができる。したがって、固定部材は、シリコーンのように振動をよく吸収できる素材からなることが好ましい。また、固定部材は、防水または防湿が可能な素材からなり、振動要素17と制御本体ケース16間の隙間をシールする役割も行うことができる。この場合、制御本体ケース16と振動要素17間の隙間に液体(e.g.液状のエアロゾル形成基材)または気体(e.g.エアロゾル)が漏れ出て、制御本体に故障が発生する問題を大きく軽減することができる。例えば、制御部18のような電気的構成要素が湿気により損傷したり故障が発生することをあらかじめ防止することができる。
【0058】
次に、バッテリー19は、エアロゾル発生装置10が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、バッテリー19は、振動要素17が超音波振動を発生させることができるように電力を供給することができ、制御部18が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0059】
また、バッテリー19は、エアロゾル発生装置10に設置されたディスプレイ(不図示)、センサー(不図示)、モーター(不図示)、入力装置(不図示)などの電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0060】
次に、制御部18は、エアロゾル発生装置10の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部は、振動要素17およびバッテリー19の動作を制御することができ、エアロゾル発生装置10に含まれた他の構成要素の動作を制御することもできる。制御部は、バッテリー19が供給する電力、振動要素17の動作などを制御することができる。また、制御部は、エアロゾル発生装置10の構成それぞれの状態を確認して、エアロゾル発生装置10が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0061】
幾つかの実施形態において、制御部18は、気化空間内で液滴が発生する程度を推定し、推定結果に基づいて振動要素17に供給される電力を調節することができる。かくして、液滴吐出現象と気流通路目詰まり現象をさらに緩和させることができる。本実施形態に関しては、図15を参照して詳細に後述する。
【0062】
制御部は、少なくとも一つのプロセッサ(processor)により具現されてもよい。前記プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイで具現されてもよく、汎用的なマイクロプロセッサとこのマイクロプロセッサで実行され得るプログラムが保存されたメモリーの組み合わせで具現されてもよい。また、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、制御部が他の形態のハードウェアで具現されてもよいことを理解することができる。
【0063】
以下では、より理解の便宜を提供するために、図5および図6を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置10の気化構造について説明する。
【0064】
図5は、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置10の断面を通じてエアロゾル移動経路を例示し、図6は、外気流入経路を例示している。参考として、図6は、エアロゾル発生装置10の他の方向の断面(e.g.側面から見た断面)を示す図であり、エアロゾルAの移動と外気(Air)の流入は、互いに異なる気流通路121、123を通じて行われるものと理解できる。
【0065】
図5に示されたように、振動要素17、気流通路121の入口121Aおよび出口121Bは、一直線でない構造からなり得る。または振動要素17、ウィク15および気流通路121の入口が一直線でない構造からなり得る。例えば、図示のように、気流通路121の入口121Aが振動要素17に垂直でない方向に位置したり、気流通路121の出口121Bが入口121Aに垂直でない方向に位置してもよい。かくして、気化空間内で発生した液滴122が気流通路121の入口121Aに流入したり、気流通路121の出口121Bを通じて排出されることを効果的に防止することができる。
【0066】
また、上記で説明したように、振動要素17より小さいサイズのウィク15が振動要素17の中心部に配置されることによって、液滴122が気流通路121の入口121Aに流入することをさらに効果的に防止することができる。例えば、図示のように、発生した液滴122がウィク15の周辺に飛び上がっても、ウィク15と気流通路121間のマージン空間により発生した液滴(e.g.122)の大多数が気流通路121の入口121Aに到達しないことがある。
【0067】
液状Lの供給経路、エアロゾルAの移動経路および外気(Air)の流入経路に関しては、図5および図6の矢印を参照する。ただし、図5および図6は、本開示の一部例示を示しているだけであるから、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0068】
以上では、図2図6を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置10について説明した。以下では、図7図9を参照して本開示の他の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置20について説明する。
【0069】
図7は、本開示の他の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置20を説明するための例示図である。図7は、エアロゾル発生装置20の上部だけを例示している。以下、図7を参照して説明するが、本開示の明瞭さのために、前述した実施形態と重複する内容に関する説明は省略する。
【0070】
図7に示されたように、本実施形態によるエアロゾル発生装置20は、加熱を通じてエアロゾルを発生させる装置でありうる。すなわち、エアロゾル発生装置10の気化要素26は、加熱を通じて液状を気化させる加熱要素でありうる。
【0071】
図示のように、エアロゾル発生装置20は、マウスピース21、上部ケース22、液状貯蔵槽23、ウィクハウジン24、ウィク25および加熱要素26を含んでもよい。また、図示してはいないが、エアロゾル発生装置20は、制御部(不図示)、バッテリー(不図示)および制御本体ケース(不図示)をさらに含んでもよい。ただし、これは、ただ本開示の目的を達成するための好ましい実施形態であり、必要に応じて一部の構成要素が追加されたり省略されてもよいことはもちろんである。以下、エアロゾル発生装置20の各構成要素について説明する。
【0072】
マウスピース21、上部ケース22および液状貯蔵槽23は、それぞれ図2に例示されたマウスピース11、上部ケース12および液状貯蔵槽13に対応するので、これらに関する説明は省略する。
【0073】
次に、ウィクハウジン24は、ウィク25の少なくとも一部を取り囲んでいるハウジングを意味し得る。幾つかの実施形態において、ウィクハウジン24は省略されてもよい。
【0074】
次に、ウィク25は、液状貯蔵槽23に貯蔵された液状Lを吸収して加熱要素26に供給することができる。ウィク25は、液状貯蔵槽23の液状Lを吸収できる任意の素材で具現されてもよい。例えば、ウィク25は、コットン、シリカ、繊維、多孔性構造物(e.g.ビーズ集合体)などからなり得るが、これに限定されるものではない。
【0075】
幾つかの実施形態において、ウィク25は、多重(層)構造からなり得る。多重(層)構造のウィク25は、液滴の発生を効果的に抑制できるが、ウィク25の詳細構造と液滴発生を抑制する原理については、図8および図9を参照して詳細に後述する。
【0076】
液状貯蔵槽23、ウィクハウジン24およびウィク25は、液状Lを貯蔵および供給する役割を行うので、「液状供給部」と称されることがある。
【0077】
次に、加熱要素26は、ウィク25を通じて供給された液状Lを加熱してエアロゾルを発生させることができる。図示のように、加熱要素26は、ウィク25の少なくとも一部を取り囲んでいるコイル(coil)で具現されてもよいことが、これに限定されるものではなく、加熱を通じて液状Lを気化させることができると、加熱要素26は、いかなる方式で具現されても関係ない。
【0078】
幾つかの実施形態において、ウィク25は、加熱要素26と一体型で具現されてもよい。例えば、ウィク25は、メタルフォーム(metal foam)、金属ビーズからなる多孔性集合体などのように液状Lの吸収機能および発熱機能を同時に具備している要素で具現されてもよい。
【0079】
一方、図示のように、加熱要素26(またはウィク25)、気流通路221の入口221Aおよび出口221Bは、一直線でない構造からなり得る。例えば、図示のように、気流通路221の入口221Aが加熱要素26に垂直でない方向に位置したり、気流通路221の出口221Bが入口221Aに垂直でない方向に位置してもよい。かくして、気化空間内で発生した液滴が気流通路221の入口221Aに流入したり、気流通路221の出口221Bを通じて排出されることを効果的に防止することができる。
【0080】
以下では、本開示の幾つかの実施形態による多重(層)構造のウィク25について図8および図9を参照して説明する。
【0081】
図8は、本開示の幾つかの実施形態による多重(層)構造のウィク25を示す例示図である。図8は、理解の便宜のためにウィク25が二重(層)構造からなることを例示しているが、ウィク25は、三重(層)以上の構造からなってもよい。
【0082】
図8に示されたように、ウィク25は、コア部251と外皮部252を含むように構成されてもよい。コア部251と外皮部252それぞれは、単一(層)構造または多重(層)構造からなり得る。
【0083】
コア部251は、主に液状を吸収する役割を行うことができる。換言すれば、コア部251は、ウィク25内部の気孔に液状が円滑に供給されるのに主導的な役割をすることができる。
【0084】
上記のような役割のために、幾つかの実施形態によるコア部251は、外皮部252より高い移送能力を有するように具現されてもよい。例えば、コア部251は、外皮部252より低い密度または高い多孔度(porosity)を有することができる。他の例として、コア部251は、外皮部252より濡れ性(wettability)が高い素材からなってもよい。
【0085】
コア部251は、例えばコットン、シリカ、繊維、ビーズ集合体などの素材からなり得る。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0086】
次に、外皮部252は、液滴の発生を防止し、加熱要素26の熱をコア部251まで伝達して円滑な気化を保障する役割を行うことができる。例えば、外皮部252は、コア部251の内部で気泡が急激に成長するにつれて、吸収された液状がウィク25の外部に急激に押し出されることを抑制することによって、ウィク25での液滴発生を防止することができる。また、外皮部252は、加熱要素26の高温からコア部251を保護することもできる。
【0087】
上記のような役割のために、幾つかの実施形態による外皮部252は、コア部251より低い移送能力を有するように具現されてもよい。例えば、外皮部252は、コア部251より高い密度または低い多孔度を有することができる。この場合、気泡の急激な成長によって吸収された液状がウィク25の外部に押し出されることを効果的に抑制することができ、加熱要素26の熱も、コア部251までよく伝達されることができる。他の例として、外皮部252は、コア部251より濡れ性が低い素材からなり得る。この場合、コア部251で気化した液状が外皮部252でさらに凝結して、霧化量が減少する問題を緩和することができる。それだけでなく、気泡生成の原因となる薄い液膜が外皮部252で形成されることを防止して、気化時に液滴が発生することを大きく緩和することができる。
【0088】
外皮部252は、例えばコットン、シリカ、繊維、ビーズ集合体、メンブレン(membrane)、不織布などの素材からなり得る。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0089】
一方、コア部251と外皮部252の物理的規格(e.g.厚さ)および/または素材などは多様化することができ、これは、霧化量と液滴発生を総合的に考慮してに適宜選択することができる。
【0090】
幾つかの実施形態において、外皮部252の厚さは、約5mm以下であってもよく、好ましくは、約4mmまたは3mm以下であり、より好ましくは、約2mmまたは1mm以下であってもよい。このような数値範囲で、外皮部252によって霧化量が減少する問題を大きく緩和することができる。
【0091】
また、幾つかの実施形態において、コア部251は、外皮部252と異なる素材からなり得る。例えば、コア部251は、外皮部252より濡れ性が高い素材からなり得る。この場合、気化した液状の凝結に起因して霧化量が減少したり、気泡(または液滴)生成の原因となる薄い液膜が外皮部252に形成されることを抑制することができる。ただし、他の幾つかの実施形態において、コア部251は、外皮部252と同じ素材からなってもよい。例えば、コア部251は、外皮部252と同じ繊維素材からなってもよい。
【0092】
コア部251と外皮部252の配置形態も多様化することができ、これも、霧化量と液滴の発生を総合的に考慮して適宜選択することができる。
【0093】
幾つかの実施形態において、外皮部252がコア部251を全体的にカバーする形態(e.g.取り囲む形態)で配置されてもよい。この場合、ウィク25から液滴が飛び上がる現象を大きく緩和することができる。
【0094】
他の幾つかの実施形態において、外皮部252がコア部251の一部領域をカバーする形態に配置されてもよい。例えば、外皮部252は、コア部251の全体領域のうち、加熱要素26の配置領域のみをカバーするように配置されてもよい。この場合、霧化量減少問題を多少緩和することができ、また、材料費が節減される効果を達成することができる。他の例として、図9に示されたように、外皮部252は、コア部251の全体領域のうち、加熱要素26との接触領域のみをカバーするように配置されてもよい。換言すれば、ウィク25と加熱要素26が接触する領域のみをカバーするように外皮部252が配置されてもよい。この場合、加熱要素26との未接触領域(e.g.巻き取られたコイルの隙間)で気化が促進されて、霧化量減少問題を大きく緩和することができる。それだけでなく、気化と液滴飛び現象が集中的に起こる接触領域が外皮部252によりカバーされることによって、液滴発生を効果的に抑制することができる。
【0095】
以上では、図7図9を参照して本開示の他の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置20について説明した。以下では、図10以降の図面を参照して液滴吐出現象および/または気流通路目詰まり現象を防止するための構造的設計が適用された気流通路30-1~30-4の多様な実施形態について説明する。以下で記述される多様な実施形態は、上述したエアロゾル発生装置10、20の気流通路121、221に制限なしに適用可能である。
【0096】
まず、図10は、本開示の第1実施形態による気流通路30-1の内部形態を示す例示図である。
【0097】
図10に示されたように、本実施形態による気流通路30-1の内壁31には、液状吸収体32が配置されてもよい。図10は、1個の液状吸収体32が配置されたことを例示しているが、液状吸収体32の個数が2個以上になり得ることはもちろんである。
【0098】
液状吸収体32は、気流通路30-1の内壁31に粘着した液状333を吸収して重力方向に排出することによって、気流通路30-1の内壁31に液膜が形成されたり成長することを防止することができる。より具体的に、液状吸収体32は、気流通路30-1内で一種の排水路として機能することによって、液膜が気流通路30-1の中心に向かって成長することを防止することができ、流入した液滴331とエアロゾルAの凝縮物332が内壁31に粘着せずに迅速に重力方向に排出されるようにすることができる。液状吸収体32によって液膜の形成が抑制されることによって、液滴吐出現象と気流通路目詰まり現象を自然に緩和することができる。
【0099】
液状吸収体32は、液状吸収が容易な素材からなることが好ましい。例えば、液状吸収体32は、親水性素材からなるか、多孔性素材からなり得る。このような素材の例としては、フィルターペーパー(filter paper)、繊維などが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0100】
一方、液状吸収体32の配置位置、配置領域および/または配置形態などは、多様に設計可能である。
【0101】
幾つかの実施形態において、図10に示されたように、液状吸収体32が気流通路30-1の内壁31の特定位置で重力方向に延びるように配置されてもよい。この場合、重力により液状吸収体32に吸収された液状333が液状吸収体32に沿って排出されるので、排水機能がさらに強化されることができる。
【0102】
以下では、図11および図12を参照して本開示の第2実施形態による気流通路30-2の内部形態について説明する。
【0103】
図11は、本開示の他の幾つかの実施形態による気流通路30-2の内部形態を示す図である。
【0104】
本実施形態において、液状吸収体32と類似した目的(すなわち、気流通路目詰まり現象と液滴吐出現象の防止)のために、気流通路30-2の内壁31に濡れ性を増加させる表面処理が施され得る。内壁の濡れ性が増加すると、液滴の粘着が抑制されて、結果的に、液膜の形成および成長を防止することができるためである。
【0105】
具体的に、図11に示されたように、気流通路30-2の内壁31の少なくとも一部領域312に濡れ性を増加させる表面処理が施され得る。このような表面処理は、液膜が気流通路30-2の中心に向かって成長することを防止することができ、流入した液滴334とエアロゾルAの凝縮物335が内壁31に粘着せずに、迅速に重力方向に排出されるようにすることができる。
【0106】
表面処理の例としては、メッキ処理(e.g.電気メッキ)、親水コーティングなどが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。また、メッキ処理は、例えば、金、銀、ニッケル、銅などのような金属で行われ得るが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0107】
幾つかの実施形態において、前記表面処理は、接触角が約30°以下になるように行われ得、好ましくは、約20°または10°以下、より好ましくは、接触角が0°に近づくように行われ得る。濡れ性が大きくなるほど、気流通路30-2の内壁31で液膜の形成および成長をさらに抑制することができるためである。
【0108】
一方、表面処理は、気流通路30-2の内壁31の一部または全体領域に対して行われてもよく、その領域は、多様に設計され、選択されることができる。
【0109】
幾つかの実施形態において、表面処理領域は、気流通路30-2の内壁31の下部領域の一部または全部を含んでもよい。例えば、気流通路30-2の内壁31の下部領域にのみ表面処理が施され得る。これは、液膜が内壁31の下部位置に主に形成されるという点を反映したものと理解できる。他の例として、気流通路30-2の内壁31の下部領域および上部領域に全部表面処理が施され、かつ、下部領域の濡れ性が上部領域よりさらに高まるように表面処理が施されてもよい。
【0110】
また、幾つかの実施形態において、前記表面処理が施された領域に液状吸収体32が配置されてもよい。例えば、図12に示されたように、一定間隔で形成された複数の第1領域(e.g.312-1、312-2)に前記表面処理が施された場合(または第1領域(e.g.312-1、312-2)の濡れ性が、それらの間に位置する第2領域(e.g.313-1,313-2)より高まるように表面処理が施された場合)、複数の第1領域(e.g.312-1、312-2)に液状吸収体(e.g.32-1、32-2)が配置されてもよい。この場合、排水経路上に液状吸収体(e.g.32-1、32-2)が配置される効果が達成されるので、気流通路30-2の内壁31の排水機能がさらに強化されることができる。また、これによって、液滴吐出現象と気流通路目詰まり現象をさらに緩和することができる。
【0111】
以下では、図13を参照して本開示の第3実施形態による気流通路30-3について説明する。
【0112】
図13は、本開示の第3実施形態による気流通路30-3の内部形態を示す例示図である。
【0113】
図13に示されたように、本実施形態において、気流通路30-3の内部にエアロゾルAの移動を妨害できる障害物34が配置されてもよい。すなわち、エアロゾルAの移動を妨害できる形態で特定構造物34が配置されてもよい。図示のように、一つ以上の障害物34が気流通路30-3の内部に配置されてもよく、障害物34の長さおよび配置間隔などは、多様に設計可能である。
【0114】
障害物34が配置されると、エアロゾルAの移動中に障害物34の下部方向(すなわち、マウスピースの反対方向)にエアロゾルの凝縮物や液滴336が生じることができる。生じた凝縮物または液滴336は、重力方向に自然に排出され得るので、液滴336が気流通路30-3の出口を通じて排出されたり、気流通路30-3の内部に液膜が形成されることを効果的に防止することができる。
【0115】
障害物34は、エアロゾルAの移動を妨害できる多様な素材からなり得る。幾つかの実施形態において、障害物34が多孔性素材、メッシュ素材またはメンブレン素材からなってもよい。この場合、エアロゾルAに対する移動妨害が最小化されて、障害物34に起因して霧化量が減少したり吸い込み性が低下する問題を大きく軽減することができる。
【0116】
以下では、図14を参照して本開示の第4実施形態による気流通路30-4について説明する。
【0117】
図14は、本開示の第4実施形態による気流通路30-4の内部形態を示す例示図である。
【0118】
図14に示されたように、本実施形態による気流通路30-4の内部には、液滴337の移動を制限できるメッシュ要素35が配置されてもよい。メッシュ要素35は、メッシュ板(または多孔板)のように複数のホールを含む構造物であってもよく、複数のホールは、エアロゾルAを通過させるが、液滴337の移動を制限できるサイズを有していてもよい。幾つかの実施形態において、メッシュ要素35の代わりに、エアロゾルAのみを選択的に透過させるメンブレンが配置されてもよい。
【0119】
メッシュ要素35は、気流通路30-4の入口または中間に配置されてもよく、出口に配置されてもよい。また、図示のように、メッシュ要素35は、気流通路30-4の全体を塞ぐことができるサイズに設計されてもよく、気流通路30-4の一部のみを塞ぐことができるサイズに設計されてもよい(図13の障害物34を参照)。
【0120】
以上では、図10図14を参照して本開示の第1~第4実施形態による気流通路30-1~30-4について説明した。各実施形態を区分して説明したが、これは、理解の便宜を提供するためのものに過ぎず、上述した第1~第4実施形態は、多様な形態で組合わせることができる。例えば、気流通路の内壁には、濡れ性を増加させる表面処理が施され、気流通路の入口には、メッシュ要素(e.g.35)が配置されてもよい。
【0121】
以下では、図15を参照して本開示の幾つかの実施形態による制御方法について説明する。
【0122】
以下で後述する制御方法の各段階は、エアロゾル発生装置(e.g.10、20)の制御部(e.g.19)により行われてもよく、制御部(e.g.19)がプロセッサで具現される場合、前記制御方法の各段階は、プロセッサにより実行可能な一つ以上のインストラクション(instructions)で具現されてもよい。したがって、以下の説明で、特定段階または動作の主体が省略された場合、制御部(e.g.19)により行われるものと理解できる。
【0123】
図15は、本開示の幾つかの実施形態による制御方法を示す例示的なフロチャートである。ただし、これは、ただ本開示の目的を達成するための好ましい実施形態であり、必要に応じて一部段階が追加されたり削除されることはもちろんである。
【0124】
図15に示されたように、前記制御方法は、液滴発生程度(e.g.パフ党液滴発生回数、一定時間の間の液滴発生回数など)を推定する段階S10から始まることができる。本段階で、液滴発生程度を推定する具体的な方式は多様化することができ、これは、実施形態によって変わることができる。
【0125】
幾つかの実施形態において、制御部は、気化要素(e.g.振動要素、加熱要素)の温度、電流、抵抗または電圧などの変化に基づいて液滴の発生程度を推定することができる。具体的に、ウィクから液滴が飛び上がる場合(e.g.内部で気泡が急激に成長する場合)、ウィクが瞬間的に非飽和状態に到達することになるが、これによって、ウィク周辺の気化要素の温度が急激に上昇したり、気化要素の電流、抵抗またはかかる電圧などが急激に変動することができる。したがって、制御部は、温度、電流、抵抗または電圧などの変化に基づいて液滴発生程度を推定することができる。例えば、制御部は、温度、電流、抵抗または電圧などの変動値または勾配が臨界値以上の場合、液滴発生回数が増加したと判断することができる。
【0126】
他の幾つかの実施形態において、制御部は、気流通路内の気流変化に基づいて液滴の発生程度を推定することができる。気流変化は、気流センサーにより感知されることができるが、これに限定されるものではない。気化速度が速くなるほど、液滴の発生も加速化されるので、気流の急激な増加は、液滴の増加を示す指標になり得る。したがって、制御部は、気流の変化に基づいて液滴の発生程度を推定することができる。
【0127】
段階S20で、制御部は、推定結果に基づいて気化要素への供給電力を調節することができる。例えば、制御部は、液滴発生程度が基準値以上(e.g.液滴発生回数の推定値が基準値以上または液滴発生回数の増加勾配の推定値が基準値以上)という判断に応答して、気化要素に供給される電力を減少させることができる。他の例として、液滴発生程度が基準値未満(以下)という判断に応答して、制御部は、気化要素に供給される電力を増加させることができる。この場合、気化が加速化して霧化量が増大することができる。
【0128】
本段階S20で、供給電力の調節幅(すなわち、増加幅と減少幅)は、既定の固定値または状況によって変動する変動値であってもよく、多様な方式で設定することができる。
【0129】
幾つかの実施形態において、供給電力の増加幅と減少幅は、同じ値に設定することができる。この場合、液滴発生程度と霧化量をバランスよく考慮した電力制御が行われ得る。
【0130】
他の幾つかの実施形態において、供給電力の増加幅は、減少幅より大きい値に設定されてもよい。この場合、供給電力を大きく増加させた後、徐々に減少させる方式で電力が調節されるので、霧化量にさらに重点を置いた電力制御が行われ得る。
【0131】
さらに他の幾つかの実施形態において、供給電力の減少幅は、増加幅より大きい値に設定されてもよい。この場合、供給電力を大きく減少させた後、徐々に増加させる方式で電力が調節されるので、液滴発生の防止にさらに重点を置いた電力制御が行われ得る。
【0132】
また、幾つかの実施形態において、供給電力の調節幅(増加幅または減少幅)は、電力調節の結果(すなわち、フィードバック)に基づいて変更することもできる。例えば、供給電力を減少させたにもかかわらず、液滴の発生程度があまり減少しない場合、減少幅は、さらに大きい値に設定されてもよい。反対の場合なら、減少幅は、さらに小さい値に設定されてもよい。
【0133】
一方、段階S10および段階S20は、フィードバック方式でエアロゾル発生装置の動作中(e.g.喫煙中)に繰り返し行われ得る。
【0134】
以上では、図15を参照して本開示の幾つかの実施形態による制御方法について説明した。上述した方法によれば、液滴発生程度による動的な電力調節を通じて液滴吐出現象と気流通路目詰まり現象を大きく緩和することができ、適切な霧化量を保障することができる。これによって、エアロゾル発生装置に対するユーザの満足度が大きく向上することができる。
【0135】
以上では、図15を参照して説明された本開示の技術的思想または制御部の動作に関連した内容は、コンピュータが読み取り可能な媒体上にコンピュータが読み取り可能なコードで具現されてもよい。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、例えば移動型記録媒体(CD、DVD、ブルーレイディスク、USB保存装置、移動式ハードディスク)であるか、固定式記録媒体(ROM、RAM、コンピュータ具備タイプハードディスク)であってもよい。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された前記コンピュータプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して他のコンピューティング装置に転送されて前記他のコンピューティング装置に設置されてもよく、これによって、前記他のコンピューティング装置において使用できる。
【0136】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解されるべきである。
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