(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6582 20110101AFI20240618BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240618BHJP
【FI】
H01R13/6582
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2023503709
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2022006622
(87)【国際公開番号】W WO2022185950
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2021034291
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】森田 優斗
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197719(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0145713(KR,A)
【文献】特開2020-102462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部端子と、
前記内部端子を保持する絶縁性部材と、
前記内部端子を取り囲む外部端子とを備え、
前記外部端子は、前記絶縁性部材における枠部を覆う周縁部と、前記周縁部に支持される接触支持部とを有し、
前記接触支持部は、前記周縁部に接続されて前記枠部から離れる側に向けて延在する第1タブ部と、前記第1タブ部に接続されて前記第1タブ部の延在方向とは異なる方向に延在するブリッジ部と、前記ブリッジ部に接続されて前記枠部に向けて延在する第2タブ部とを有し、
前記第2タブ部において、前記枠部に向かう端部は、自由端部であ
り、
前記接触支持部が、前記絶縁性部材の長さ方向の一方側および他方側において前記第2タブ部を有し、
前記ブリッジ部が、一方側の第2タブ部および他方側の第2タブ部に接続され、
前記第1タブ部が、前記一方側の第2タブ部および前記他方側の第2タブ部の間に位置することを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
前記第2タブ部が、屈曲または湾曲した形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第2タブ部の前記自由端部が接触部を有し、前記接触部の表面が、前記周縁部の周縁面と同一平面にあることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1タブ部および前記第2タブ部が、切り欠きによって離間していることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記接触支持部が、互いに対向する位置に複数個設けられることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記ブリッジ部が、凸形状または凹形状の係合部を有することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項7】
内部端子と、
前記内部端子を保持する絶縁性部材と、
前記内部端子を取り囲む外部端子とを備え、
前記外部端子は、前記絶縁性部材における枠部を覆う周縁部と、前記周縁部に支持される接触支持部とを有し、
前記接触支持部は、前記周縁部に接続されて前記枠部から離れる側に向けて延在する第1タブ部と、前記第1タブ部に接続されて前記第1タブ部の延在方向とは異なる方向に延在するブリッジ部と、前記ブリッジ部に接続されて前記枠部に向けて延在する第2タブ部とを有し、
前記第2タブ部において、前記枠部に向かう端部は、自由端部であり、
前記第2タブ部の前記自由端部が接触部を有し、前記接触部の表面が、前記周縁部の周縁面と同一平面にあることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項8】
前記接触支持部が、前記絶縁性部材の長さ方向の一方側および他方側において前記第1タブ部を有し、
前記ブリッジ部が、一方側の第1タブ部および他方側の第1タブ部に接続され、
前記第2タブ部が、前記一方側の第1タブ部および前記他方側の第1タブ部の間に位置することを特徴とする、請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記接触支持部が、前記絶縁性部材の長さ方向の一方側および他方側において前記第2タブ部を有し、
前記ブリッジ部が、一方側の第2タブ部および他方側の第2タブ部に接続され、
前記第1タブ部が、前記一方側の第2タブ部および前記他方側の第2タブ部の間に位置することを特徴とする、請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記第2タブ部が、屈曲または湾曲した形状を有することを特徴とする、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記第1タブ部および前記第2タブ部が、切り欠きによって離間していることを特徴とする、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
前記接触支持部が、互いに対向する位置に複数個設けられることを特徴とする、請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記ブリッジ部が、凸形状または凹形状の係合部を有することを特徴とする、請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
内部端子と、
前記内部端子を保持する絶縁性部材と、
前記内部端子を取り囲む外部端子とを備え、
前記外部端子は、前記絶縁性部材における枠部を覆う周縁部と、前記周縁部に支持される接触支持部とを有し、
前記接触支持部は、前記周縁部に接続されて前記枠部から離れる側に向けて延在する第1タブ部と、前記第1タブ部に接続されて前記第1タブ部の延在方向とは異なる方向に延在するブリッジ部と、前記ブリッジ部に接続されて前記枠部に向けて延在する第2タブ部とを有し、
前記第2タブ部において、前記枠部に向かう端部は、自由端部である電気コネクタと、
前記電気コネクタに対して前記絶縁性部材の厚み方向に挿抜可能に嵌合する相手方電気コネクタと、を備え、
前記相手方電気コネクタが前記電気コネクタに嵌合する場合、前記第2タブ部の前記自由端部は、前記相手方電気コネクタの外部端子に当接することを特徴とする、電気コネクタセット。
【請求項15】
前記接触支持部が、前記絶縁性部材の長さ方向の一方側および他方側において前記第1タブ部を有し、
前記ブリッジ部が、一方側の第1タブ部および他方側の第1タブ部に接続され、
前記第2タブ部が、前記一方側の第1タブ部および前記他方側の第1タブ部の間に位置することを特徴とする、請求項14に記載の電気コネクタセット。
【請求項16】
前記接触支持部が、前記絶縁性部材の長さ方向の一方側および他方側において前記第2タブ部を有し、
前記ブリッジ部が、一方側の第2タブ部および他方側の第2タブ部に接続され、
前記第1タブ部が、前記一方側の第2タブ部および前記他方側の第2タブ部の間に位置することを特徴とする、請求項14に記載の電気コネクタセット。
【請求項17】
前記第2タブ部が、屈曲または湾曲した形状を有することを特徴とする、請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項18】
前記第2タブ部の前記自由端部が接触部を有し、前記接触部の表面が、前記周縁部の周縁面と同一平面にあることを特徴とする、請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項19】
前記第1タブ部および前記第2タブ部が、切り欠きによって離間していることを特徴とする、請求項14から請求項18のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項20】
前記接触支持部が、互いに対向する位置に複数個設けられることを特徴とする、請求項14から請求項19のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項21】
前記ブリッジ部が、凸形状または凹形状の係合部を有することを特徴とする、請求項14から請求項20のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、回路基板同士を電気的に接続するための多極コネクタであって、オス型の多極コネクタが、メス型の相手方コネクタに嵌合するコネクタセットを開示する。多極コネクタが相手方コネクタに嵌合する場合、多極コネクタの外部端子の外枠部に配設される凸部が、相手方コネクタの外部端子の内枠部に配設される凹部に嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記嵌合構造では、外枠部の凸部および内枠部の凹部が電気的に接続されるが、オス型の多極コネクタの外部端子の実装部とメス型の相手方コネクタの外部端子の天面との間には微小な間隙が存在するため、当該間隙においては電気的接続がなされない。外枠部の凸部および内枠部の凹部における電気的接続は、外部端子の実装部から離れているので、外部端子の実装部に対して電位差を有する。当該電位差により、高周波の不要な輻射ノイズが生じる可能性がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、不要な輻射ノイズを効果的に抑制する電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る電気コネクタは、
内部端子と、
前記内部端子を保持する絶縁性部材と、
前記内部端子を取り囲む外部端子とを備え、
前記外部端子は、前記絶縁性部材における枠部を覆う周縁部と、前記周縁部に支持される接触支持部とを有し、
前記接触支持部は、前記周縁部に接続されて前記枠部から離れる側に向けて延在する第1タブ部と、前記第1タブ部に接続されて前記第1タブ部の延在方向とは異なる方向に延在するブリッジ部と、前記ブリッジ部に接続されて前記枠部に向けて延在する第2タブ部とを有し、
前記第2タブ部において、前記枠部に向かう端部は、自由端部である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、第1タブ部の弾性変位の反作用として、第2タブ部の自由端部が絶縁性部材の厚み方向に弾性的に変位することによって、絶縁性部材の厚み方向(言い換えると、相手方電気コネクタの外部端子)への電気的接触が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る電気コネクタセットを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した電気コネクタセットを構成する電気コネクタおよび相手方電気コネクタの斜視図である。
【
図3】
図2に示した相手方電気コネクタの斜視図である。
【
図4】
図2に示した相手方電気コネクタの平面図である。
【
図7】
図5に示した電気コネクタの要部拡大図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った断面の斜視図である。
【
図9】
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図10】
図1のX-X線に沿った断面の一部を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る電気コネクタを説明する断面図である。
【
図12】第3実施形態に係る電気コネクタを説明する断面図である。
【
図13】第4実施形態に係る電気コネクタを説明する断面図である。
【
図14】第5実施形態に係る電気コネクタを説明する斜視図である。
【
図15】第6実施形態に係る電気コネクタを説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る電気コネクタ10および該電気コネクタ10を備える電気コネクタセット1についての実施の形態を説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。この明細書においては、電気コネクタ10の第1絶縁性部材11の長手方向、電気コネクタ10の第1絶縁性部材11の短手方向および電気コネクタ10の第1絶縁性部材11の厚み方向のそれぞれを、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向として規定している。なお、第1絶縁性部材(絶縁性部材)11の長さ方向というのは、第1絶縁性部材(絶縁性部材)11の長手方向および短手方向の両方を含む。
【0010】
〔電気コネクタセット〕
図1は、第1実施形態に係る電気コネクタセット1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示した電気コネクタセット1を構成する第1コネクタ10および第2コネクタ20の斜視図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、電気コネクタセット1は、第1コネクタ(電気コネクタ)10と、第1コネクタ10に対してZ軸方向(絶縁性部材の厚み方向、挿抜方向)に挿抜可能に嵌合する第2コネクタ(相手方電気コネクタ)20とを備える。電気コネクタセット1は、第2コネクタ20を第1コネクタ10に対向させた状態で第2コネクタ20を第1コネクタ10に向けてZ軸方向に移動させることによって、第1コネクタ10および第2コネクタ20が互いに嵌合するように構成されている。
【0012】
〔第1コネクタ〕
まず、
図5および
図6を参照しながら、第1コネクタ10の概略構成を説明する。
図5は、
図2に示した電気コネクタ10の平面図である。
図6は、
図2に示した電気コネクタ10の斜視図である。
【0013】
第1コネクタ10は、第1絶縁性部材(絶縁性部材)11と、第1内部端子(内部端子)12と、第1シールド端子(内部端子)15と、第1外部端子(外部端子)16とを有する。
【0014】
第1絶縁性部材11としては、例えば、液晶ポリマー等の電気絶縁性の樹脂が用いられる。第1絶縁性部材11は、第1枠部(枠部)13と、第1シールド保持部(端子保持部)13aと、第1端子保持部(端子保持部)13bとを有する。第1端子保持部13bは、第1コネクタ10のX軸方向(絶縁性部材の長手方向:長さ方向)の略中央部に配設され、2つの第1シールド保持部13aは、第1コネクタ10のX軸方向の両端側にそれぞれ離間して配設される。
【0015】
第1絶縁性部材11の第1端子保持部13bは、例えば凹状の第1内部端子用装着部を有する。第1内部端子用装着部に第1内部端子12を装着することによって、第1内部端子12が保持される。第1内部端子12は、第1コネクタ10のX軸方向の略中央部に位置する第1端子保持部13bに配設されており、X軸方向に沿って配列された複数の接続端子(例えば凹形状)から構成されている。第1内部端子12は、例えば凹形状を有しており、メス型の多極接続端子とも呼ばれる。
【0016】
図5に示した第1内部端子12では、X軸方向に沿って1列に配列された2個の接続端子が、一方側の列および他方側の列として、Y軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に離間して配置されている。当該構成によれば、限られた大きさを有する第1端子保持部13bの領域において、多くの第1内部端子12を配置できる。なお、多極の第1内部端子12の配列は、一方側の列および他方側の列という2列に限られず、1列や3列以上にすることができる。また、第1内部端子12の1列当たりの個数は、2個に限られず、1個や3個以上にすることができる。
【0017】
第1内部端子12は、例えば、信号電位又はグランド電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第1内部端子12としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1内部端子12の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第1内部端子12は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第1内部実装部12aを有する。第1内部実装部12aは、Y軸方向の側端に形成されている。
【0018】
周囲からの電磁波の干渉をできるだけ抑制する(すなわち、周囲からアイソレーションする)ため、第1シールド保持部(端子保持部)13aには、導電性の第1シールド端子(内部端子)15が設けられている。第1シールド端子15は、第1シールド保持部13aに保持されている。第1シールド端子15は、例えば凸形状を有しており、オス型の接続端子とも呼ばれる。
図5に示した第1シールド端子15では、1列で1個の接続端子が配置されている。なお、第1シールド端子15の配列は、上記態様に限られず、2列以上にすることができる。また、第1内部端子12の1列当たりの個数は、1個に限られず、2個以上にすることができる。第1シールド端子15は、凹形状を有するメス型の接続端子にすることができる。
【0019】
第1シールド端子15は、例えば、信号電位又はグランド電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。例えば、第1シールド端子15では、第1内部端子12よりも高周波の信号が伝送され、ミリ波の信号が伝送される。第1シールド端子15としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1シールド端子15の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第1シールド端子15は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第1シールド実装部(内部実装部)15aを有する。第1シールド実装部15aは、Y軸方向の側端に形成されている。
【0020】
第1枠部(枠部)13は、Z軸方向から見て、例えば矩形形状を有する。第1枠部(枠部)13は、第1外部端子用装着部を有する。第1外部端子用装着部には、対応する第1外部端子16の第1外部側方部16bおよび第1外部延在部16cが装着されて支持される。
【0021】
第1外部端子16は、第1外部側方部16bと、第1外部延在部16cを有する。第1外部側方部16bおよび第1外部延在部16cのZ軸方向の下端には、図示しない回路基板のグランド電極に実装するための第1外部実装部16aが複数個設けられている。
【0022】
第1外部端子16は、グランド電位に接続される導体である。第1外部端子16は、グランド電位に接続されることで、外部からの電磁波や第1内部端子12および第1シールド端子15からの不要輻射をシールドして、第1外部端子16で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間とすることができる。つまり、第1外部端子16は、第1内部端子12および第1シールド端子15を取り囲むことによって第1内部端子12および第1シールド端子15を電磁的にシールドする。第1外部端子16としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1外部端子16は、例えば、曲げ加工で形成される。
【0023】
〔第2コネクタ〕
図3および
図4を参照しながら、第2コネクタ20の概略構成を説明する。
図3は、
図2に示した第2コネクタ20の斜視図である。
図4は、
図2に示した第2コネクタ20の平面図である。
【0024】
第2コネクタ20は、第2絶縁性部材21と、第2内部端子22と、第2シールド端子25と、2つの第2外部端子26,26(以下、単に、第2外部端子26と記載することがある。)とを有する。
【0025】
第2絶縁性部材21としては、例えば、液晶ポリマー等の電気絶縁性の樹脂が用いられる。第2絶縁性部材21は、第2端子保持部23と、2つの第2シールド保持部24とを有する。第2端子保持部23は、第2コネクタ20のX軸方向の略中央部に配設され、2つの第2シールド保持部24は、第2コネクタ20のX軸方向の両端部にそれぞれ離間して配設される。
【0026】
第2端子保持部23は、例えば凸状の第2内部端子用装着部を有する。第2内部端子用装着部に第2内部端子22を装着することによって、第2内部端子22が保持される。第2内部端子22は、第2コネクタ20のX軸方向の略中央部に配設されており、X軸方向に沿って配列された複数の接続端子(例えば凸形状)から構成されている。そのため、第2内部端子22は、オス型の多極接続端子とも呼ばれる。第2内部端子22は、第1内部端子12に対して一対一で対応する。第2内部端子22は、対応する第1内部端子12に係合して電気的接続を形成する。
【0027】
第2内部端子22は、例えば、信号電位又はグランド電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第2内部端子22としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2内部端子22の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第2内部端子22は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第2内部実装部22aを有する。第2内部実装部22aは、Y軸方向の側端に形成されている。
【0028】
第2シールド保持部24は、例えば凹状の第2シールド端子用装着部を有する。第2シールド端子用装着部に第2シールド端子25を装着することによって、第2シールド端子25が保持される。第2内部端子22は、第2コネクタ20のX軸方向の両端部に配設される。第2シールド端子25は、例えば凹形状を有しており、メス型の接続端子とも呼ばれる。第2シールド端子25は、第1シールド端子15に対して一対一で対応する。第2シールド端子25は、対応する第1シールド端子15に係合して電気的接続を形成する。
【0029】
第2シールド端子25は、例えば、信号電位又はグランド電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第2シールド端子25としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2シールド端子25の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第2シールド端子25は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第2シールド実装部25aを有する。第2シールド実装部25aは、Y軸方向の側端に形成されている。
【0030】
2つの第2シールド保持部24は、それぞれ、第2外部端子用装着部を有する。第2外部端子用装着部には、対応する第2外部端子26が装着されて支持される。第2外部端子26は、図示しない回路基板のグランド電極に実装するための第2外部実装部26aを有する。第2外部実装部26aは、Z軸方向の下端に形成される。
【0031】
第2外部端子26は、グランド電位に接続される導体である。第2外部端子26は、グランド電位に接続されることで、外部からの電磁波や第2シールド端子25からの不要輻射をシールドして、第2外部端子26で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間とすることができる。つまり、第2外部端子26は、第2シールド端子25を電磁的にシールドする。第2外部端子26としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2外部端子26は、例えば、曲げ加工で形成される。
【0032】
〔第1外部端子(外部端子)〕
図5から
図10を参照しながら、第1外部端子(外部端子)16を説明する。
図7は、
図5に示した第1コネクタ10の要部拡大図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿った断面の斜視図である。
図9は、
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図10は、
図1のX-X線に沿った断面の一部を示す図である。
【0033】
図5および
図6に示すように、第1外部端子16は、Z軸方向からの平面視で輪郭が略矩形をしている枠形状を有する。第1外部端子16は、第1内部端子12および第1シールド端子15を取り囲むように平面視で周状に閉じている。ここで、周状とは、必ずしも多角周状に限定されるものではなく、たとえば円周状、楕円周状、多角周状と円周状を組み合わせた形状などであっても良い。
【0034】
第1外部端子16は、第1外部側方部(周縁部)16bと、第1外部延在部(周縁部)16cと、ガイド部17と、接触支持部30とを有する。第1外部側方部16bは、Y軸方向に延在して、X軸方向の一方側の側部および他方側の側部にそれぞれ設けられる。第1外部延在部16cは、X軸方向に延在して、一方側の側部の第1外部側方部16bおよび他方側の第1外部側方部16bをつなぐようにY軸方向の一方側の側部および他方側の側部にそれぞれ設けられる。
【0035】
ガイド部17は、平面視で略矩形形状を有するとともに、第1枠部13の側から第1枠部13から離れる側に向けて(外側から内側に向けて)下向きに傾斜している。ガイド部17は、第2コネクタ20を第1コネクタ10に対してZ軸方向に挿入するときに、第2外部端子26を第1コネクタの装着開口部に正確に導くためのガイドとして利用される。
【0036】
接触支持部30は、第1外部延在部16cの内側に複数個設けられる。図示した例では、接触支持部30は、一方側に2個設けられ、他方側には対向するように2個設けられて、合計4個設けられる。言い換えると、接触支持部30が、互いに対向する位置に複数個設けられる。これにより、複数の接触支持部30によって、より確実な電気的接続が提供される。
【0037】
接触支持部30の内側面には、係合部としての係合凸部37が形成されている。第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態にある場合、第1外部端子16の係合凸部37が第2外部端子26の係合凹部(被係合部)27に係合するように構成されている。当該構成によれば、第1内部端子12や第1シールド端子15に影響を及ぼすことなく確実に嵌合できる。
【0038】
〔第1実施形態〕
図7および
図8に示すように、接触支持部30は、第1外部延在部(周縁部)16cに対して両持ちで弾性的に支持されるように構成されている。接触支持部30は、第1外部側方部16bおよび第1外部延在部16cが交わるコーナー寄りに配設される。
【0039】
接触支持部30は、支持タブ部(第1タブ部)31と、ブリッジ部32と、接触タブ部(第2タブ部)33とを有する。支持タブ部31は、第1外部延在部16cに接続されて第1枠部13から離れる側(以下、単に「内側」ということがある。)に向けて延在する。支持タブ部31は、屈曲または湾曲した形状を有する。ブリッジ部32は、支持タブ部31に接続される。ブリッジ部32は、支持タブ部(第1タブ部)31の延在方向とは異なる方向に延在して、例えば、X軸方向(第1絶縁性部材11の長手方向)に延在する。上述した係合凸部37は、ブリッジ部32に配設される。接触タブ部33は、ブリッジ部32に接続されて第1枠部13の側(以下、単に「外側」ということがある。)に延在する。接触タブ部33は、ブリッジ部32に対して片持ちで弾性的に支持されている。言い換えると、ブリッジ部32は、支持タブ部31および接触タブ部33を架け渡している。接触タブ部33は、屈曲または湾曲した形状を有し、例えば複数段で屈曲または湾曲した形状を有する。
【0040】
接触支持部30は、第1絶縁性部材11の長さ方向の一方側および他方側において支持タブ部31を有する。言い換えると、接触支持部30は、一方側の支持タブ部31および他方側の支持タブ部31という2つの支持タブ部31,31を有する。ブリッジ部32が、一方側の支持タブ部(第1タブ部)31および他方側の支持タブ部(第1タブ部)31に接続される。したがって、接触支持部30は、一方側の支持タブ部(第1タブ部)31および他方側の支持タブ部(第1タブ部)31によって、第1外部延在部(周縁部)16cに対して両持ちで弾性的に支持される。
【0041】
接触タブ部33は、一方側の支持タブ部31および他方側の支持タブ部31の間に位置し、例えば、一方側の支持タブ部31および他方側の支持タブ部31の中間に位置する。支持タブ部31および接触タブ部33は、切り欠き35によって離間している。これにより、Y軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)の変位をZ軸方向(第1絶縁性部材11の厚み方向)の変位に変換するための変位方向変換構造を容易に実現できる。
【0042】
接触タブ部33は、一端においてブリッジ部32に接続されるとともに、他端において自由端部39を有する。言い換えると、接触タブ部(第2タブ部)33において、第1枠部13に向かう端部は、自由端部である。接触タブ部33の自由端部39は、接触部34を有する。第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態には無い場合、接触部34の表面は、周縁面18以下にあるように構成され、例えば、第1外部延在部(周縁部)16cの周縁面18と同一平面にあるように構成される。これにより、第1外部延在部(周縁部)16cの周縁面18における、自由端部39の先端の引っ掛かり(干渉)を抑制できる。
【0043】
図9に示すように、第1絶縁性部材11の第1枠部13の内面と、接触支持部30との間には、隙間36が設けられている。隙間36は、接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位できるように寸法構成されている。接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位すると、支持タブ部31も外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位する。この変位の反作用として、ブリッジ部32に対して片持ちで弾性的に支持されている2つの接触タブ部33,33は、支持タブ部31に対して相対的に反対方向に動くことになる。そのため、2つの接触タブ部33,33は、ブリッジ部32を基点にして、相対的に内側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位する。上述したように、接触タブ部33が、屈曲または湾曲した形状を有するので、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図9でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位する。
【0044】
図10に示すように、第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態にある場合を考える。この場合、接触支持部30(支持タブ部31)が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位することの反作用により、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図9でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位する。したがって、接触支持部30は、Y軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)の変位をZ軸方向(第1絶縁性部材11の厚み方向)の変位に変換するための変位方向変換構造を有する。そして、自由端部39の接触部34は、例えば、対向する第2外部端子26の第2外部実装部26aに当接する。したがって、第2コネクタ20の第2外部端子26の第2外部実装部26aと第1コネクタ10の第1外部端子16の天面との間には微小な間隙が存在していても、当該間隙において電気的接触がなされる。これにより、第2コネクタ20の第2外部端子26に対して、第2外部実装部26aに近いところでの電気的接続が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。そして、2つの支持タブ部31,31によって接触支持部30が支持されるので、片持ちでの弾性支持の剛性を高めることができる。
【0045】
〔第2実施形態〕
図11を参照しながら、第2実施形態を説明する。
図11は、第2実施形態に係る第1コネクタ10を説明する断面図である。
【0046】
第2実施形態に係る第1コネクタ10では、接触タブ部33は、自由端部39の側が屈曲または湾曲しているとともに、自由端部39の側が斜め上方に直線状に延在している形状を有する。
【0047】
上述したように、接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位すると、支持タブ部31も外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位する。この変位の反作用として、接触タブ部33は、支持タブ部31に対して相対的に反対方向に動き、ブリッジ部32を基点にして、相対的に内側に向けて弾性的に変位する。その結果、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図11でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位する。
【0048】
第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態にある場合、接触タブ部33の自由端部39が第1絶縁性部材11の厚み方向(
図11でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位することにより、自由端部39の先端は、例えば、対向する第2外部端子26の第2外部実装部26aに当接する。これにより、第2コネクタ20の第2外部端子26に対して、第2外部実装部26aに近いところでの電気的接続が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。そして、自由端部39が斜め上方に突出するように延在するので、接触タブ部33の弾性変位量が小さくても、電気的接触が可能になる。
【0049】
〔第3実施形態〕
図12を参照しながら、第3実施形態を説明する。
図12は、第3実施形態に係る第1コネクタ10を説明する断面図である。
【0050】
第3実施形態に係る第1コネクタ10では、接触タブ部33の自由端部39が、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図12でのZ軸方向の上向き)に突出する形状を有する。
【0051】
上述したように、接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位すると、支持タブ部31も外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位する。この変位の反作用として、接触タブ部33は、支持タブ部31に対して相対的に反対方向に動き、ブリッジ部32を基点にして、相対的に内側に向けて弾性的に変位する。その結果、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図12でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位する。
【0052】
第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態にある場合、接触タブ部33の自由端部39が第1絶縁性部材11の厚み方向(
図12でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位することにより、突出した自由端部39は、例えば、対向する第2外部端子26の第2外部実装部26aに当接する。これにより、第2コネクタ20の第2外部端子26に対して、第2外部実装部26aに近いところでの電気的接続が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。そして、自由端部39が上方に突出するので、接触タブ部33の弾性変位量が小さくても、電気的接触が可能になる。
【0053】
〔第4実施形態〕
図13を参照しながら、第4実施形態を説明する。
図13は、第4実施形態に係る第1コネクタ10を説明する断面図である。
【0054】
第4実施形態に係る第1コネクタ10では、接触タブ部33は、自由端部39の側が下方に折り返された逆U字の形状を有する。
【0055】
上述したように、接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位すると、支持タブ部31も外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位する。この変位の反作用として、接触タブ部33は、支持タブ部31に対して相対的に反対方向に動き、ブリッジ部32を基点にして、相対的に内側に向けて弾性的に変位する。その結果、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図13でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位する。
【0056】
第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態にある場合、接触タブ部33の自由端部39が第1絶縁性部材11の厚み方向(
図13でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位することにより、自由端部39の接触部34は、例えば、対向する第2外部端子26の第2外部実装部26aに当接する。これにより、第2コネクタ20の第2外部端子26に対して、第2外部実装部26aに近いところでの電気的接続が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。そして、自由端部39が逆U字状に折り返しされているので、第1外部延在部(周縁部)16cの周縁面18における、自由端部39の先端の引っ掛かり(干渉)を抑制できる。
【0057】
〔第5実施形態〕
図14を参照しながら、第5実施形態を説明する。
図14は、第5実施形態に係る第1コネクタ10を説明する断面図である。
【0058】
第5実施形態に係る第1コネクタ10では、接触支持部30は、支持タブ部(第1タブ部)31と、ブリッジ部32と、接触タブ部(第2タブ部)33とを有するが、支持タブ部31が、第1絶縁性部材11の長さ方向の一方側だけに設けられる。
図7に示す第1実施形態と比較すると、第5実施形態では、接触支持部30は、1つの支持タブ部31および1つの接触タブ部33を有することが相違している。そして、接触支持部30は、1つの支持タブ部31によって、第1外部延在部(周縁部)16cに対して片持ちで弾性的に支持される。
【0059】
接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位すると、支持タブ部31も外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位する。この変位の反作用として、一方側の接触タブ部33は、支持タブ部31に対して相対的に反対方向に動き、ブリッジ部32を基点にして、相対的に内側に向けて弾性的に変位する。その結果、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図14でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位する。
【0060】
第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態にある場合、接触タブ部33の自由端部39が第1絶縁性部材11の厚み方向(
図14でZ軸方向の上向き)に弾性的に変位することにより、自由端部39の接触部34は、例えば、対向する第2外部端子26の第2外部実装部26aに当接する。これにより、第2コネクタ20の第2外部端子26に対して、第2外部実装部26aに近いところでの電気的接続が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。そして、1つの支持タブ部31によって接触支持部30が支持されるので、片持ちでの弾性支持の剛性を低めに調整できる。
【0061】
〔第6実施形態〕
図15を参照しながら、第6実施形態を説明する。
図15は、第6実施形態に係る第1コネクタ10を説明する断面図である。
【0062】
第6実施形態に係る第1コネクタ10では、接触支持部30は、支持タブ部(第1タブ部)31と、ブリッジ部32と、接触タブ部(第2タブ部)33とを有するが、1つの支持タブ部31および2つの接触タブ部33,33を有する。したがって、接触支持部30は、1つの支持タブ部31によって、第1外部延在部(周縁部)16cに対して片持ちで弾性的に支持される。ブリッジ部32は、支持タブ部31に接続される。ブリッジ部32は、支持タブ部(第1タブ部)31の延在方向とは異なる方向に延在して、例えば、X軸方向(第1絶縁性部材11の長手方向)に延在する。
【0063】
接触支持部30は、第1絶縁性部材11の長さ方向の一方側および他方側において接触タブ部33を有する。言い換えると、接触支持部30は、一方側の接触タブ部33および他方側の接触タブ部33という2つの接触タブ部33,33を有する。ブリッジ部32が、一方側の接触タブ部(第2タブ部)33および他方側の接触タブ部(第2タブ部)33に接続される。支持タブ部31は、第1外部延在部(周縁部)に接続されて、一方側の接触タブ部33および他方側の接触タブ部33の間に位置し、例えば、一方側の接触タブ部33および他方側の接触タブ部33の中間に位置する。支持タブ部31および接触タブ部33は、切り欠き35によって離間している。これにより、Y軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)の変位をZ軸方向(第1絶縁性部材11の厚み方向)の変位に変換するための変位方向変換構造を容易に実現できる。
【0064】
2つの接触タブ部33,33は、一端においてブリッジ部32に接続されるとともに、他端において自由端部39を有する。言い換えると、接触タブ部(第2タブ部)33において、第1枠部13に向かう端部は、自由端部である。接触タブ部33の自由端部39は、接触部34を有する。第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態には無い場合、接触部34の表面は、周縁面18以下にあるように構成され、例えば、第1外部延在部(周縁部)16cの周縁面18と同一平面にあるように構成される。
【0065】
接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位すると、支持タブ部31も外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位する。この変位の反作用として、一方側の接触タブ部33および他方側の接触タブ部33は、支持タブ部31に対して相対的に反対方向に動き、ブリッジ部32を基点にして、相対的に内側に向けて弾性的に変位する。その結果、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(
図15でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位する。
【0066】
第1コネクタ10および第2コネクタ20が嵌合状態にある場合、2つの接触タブ部33,33の自由端部39が第1絶縁性部材11の厚み方向(
図15でのZ軸方向の上向き)に弾性的に変位することにより、自由端部39の接触部34は、例えば、対向する第2外部端子26の第2外部実装部26aに当接する。これにより、第2コネクタ20の第2外部端子26に対して、第2外部実装部26aに近いところでの電気的接続が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。そして、2つの接触タブ部33,33が第2外部実装部26aに当接するので、より確実な電気的接触が提供される。
【0067】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0068】
接触タブ部33のX軸方向の幅は、切り欠き35のX軸方向の幅よりも大きくなるように構成される。言い換えると、切り欠き35のX軸方向の幅を狭くして、接触タブ部33のX軸方向の幅が大きくなるように構成される。これにより、接触タブ部33による接触領域を大きくでき、高周波の不要な輻射ノイズが切り欠き35を通じて出入りすることを抑制できる。切り欠き35のX軸方向の幅は、最大使用周波数の1/4波長以下にすることができ、例えば、0.1mm以下にすることができる。
【0069】
上述したように、接触支持部30が外側に向けてY軸方向(第1絶縁性部材11の長手直交方向、短手方向)に弾性的に変位することの反作用により、接触タブ部33の自由端部39は、第1絶縁性部材11の厚み方向(Z軸方向の上向き)に弾性的に変位する。当該変位方向変換構造は、接触支持部30が弾性変位するときの反作用を利用するので、嵌合・非嵌合における挿抜力にほとんど影響を及ぼさず、所定の挿抜力を確保できる。例えば、接触支持部30の弾性変位量に対して、半分程度の接触タブ部33の自由端部39の弾性変位量が得られるように構成することができる。
【0070】
接触支持部30は、Y軸方向(絶縁性部材の長手直交方向、短手方向)に延在する第1外部側方部(周縁部)16bの内側において対向するように設けられてもよい。接触支持部30は、第1外部側方部(周縁部)16bの一方側に少なくとも1個設けられ、他方側には対向するように少なくとも1個設けられる。言い換えると、接触支持部30は、第1外部側方部(周縁部)16bにおいて、互いに対向する位置に少なくとも1個設けられる。
【0071】
第1外部端子16の係合部37を凹形状にするとともに、第2外部端子26の被係合部を凸形状にすることもできる。
【0072】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0073】
この発明の一態様に係る電気コネクタ10は、
内部端子12,15と、
前記内部端子12,15を保持する絶縁性部材11と、
前記内部端子12,15を取り囲む外部端子16とを備え、
前記外部端子16は、前記絶縁性部材11における枠部13を覆う周縁部16b,16cと、前記周縁部16b,16cに支持される接触支持部30とを有し、
前記接触支持部30は、前記周縁部16b,16cに接続されて前記枠部13から離れる側に向けて延在する第1タブ部31と、前記第1タブ部31に接続されて前記第1タブ部31の延在方向とは異なる方向に延在するブリッジ部32と、前記ブリッジ部32に接続されて前記枠部13に向けて延在する第2タブ部33とを有し、
前記第2タブ部33において、前記枠部13に向かう端部は、自由端部であることを特徴とする。
【0074】
上記構成によれば、第1タブ部31の弾性変位の反作用として、第2タブ部33の自由端部39が絶縁性部材11の厚み方向に弾性的に変位することによって、絶縁性部材11の厚み方向(言い換えると、相手方電気コネクタ20の外部端子26)への電気的接触が可能になるので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。
【0075】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記接触支持部30が、前記絶縁性部材11の長さ方向の一方側および他方側において前記第1タブ部31,31を有し、
前記ブリッジ部32が、一方側の第1タブ部31および他方側の第1タブ部31に接続され、
前記第2タブ部33が、前記一方側の第1タブ部31および前記他方側の第1タブ部31の間に位置する。
【0076】
上記実施形態によれば、2つの第1タブ部31,31によって接触支持部30が支持されるので、片持ちでの弾性支持の剛性を高めることができる。
【0077】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記接触支持部30が、前記絶縁性部材11の長さ方向の一方側および他方側において前記第2タブ部33,33を有し、
前記ブリッジ部32が、一方側の第2タブ部33および他方側の第2タブ部33に接続され、
前記第1タブ部31が、前記一方側の第2タブ部33および前記他方側の第2タブ部33の間に位置する。
【0078】
上記実施形態によれば、2つの第2タブ部33,33が第2外部実装部26aに当接するので、より確実な電気的接触が提供される。
【0079】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記ブリッジ部32が、凸形状または凹形状の係合部37を有する。
【0080】
上記実施形態によれば、内部端子12,15に影響を及ぼすことなく確実に嵌合できる。
【0081】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第2タブ部33が、屈曲または湾曲した形状を有する。
【0082】
上記実施形態によれば、第2タブ部33の自由端部39は、絶縁性部材11の厚み方向に弾性的に変位する。
【0083】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第2タブ部33の前記自由端部39が接触部34を有し、前記接触部34の表面が、前記周縁部16b,16cの周縁面18と同一平面にある。
【0084】
上記実施形態によれば、周縁部16b,16cの周縁面18における、自由端部39の先端の引っ掛かり(干渉)を抑制できる。
【0085】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第1タブ部31および前記第2タブ部33が、切り欠き35によって離間している。
【0086】
上記実施形態によれば、絶縁性部材11の長手直交方向(短手方向、Y軸方向)の変位を絶縁性部材11の厚み方向(Z軸方向)の変位に変換するための変位方向変換構造を容易に実現できる。
【0087】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記接触支持部30が、互いに対向する位置に複数個設けられる。
【0088】
上記実施形態によれば、複数の接触支持部30によって、より確実な電気的接続が提供される。
【0089】
この発明の一態様に係る電気コネクタセット1は、
上述した電気コネクタ10と、前記電気コネクタ10に対して前記絶縁性部材11の厚み方向に挿抜可能に嵌合する相手方電気コネクタ20とを備え、
前記第2タブ部33の前記自由端部39は、前記相手方電気コネクタ20の外部端子26に当接することを特徴とする。
【0090】
上記構成によれば、第1タブ部31の弾性変位の反作用として、第2タブ部33の自由端部39が絶縁性部材11の厚み方向に弾性的に変位することによって、自由端部39が相手方電気コネクタ20の外部端子26に当接するので、不要な輻射ノイズを効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0091】
1…電気コネクタセット
10…第1コネクタ(電気コネクタ)
11…第1絶縁性部材(絶縁性部材)
12…第1内部端子(内部端子)
12a…第1内部実装部(内部実装部)
13…第1枠部(枠部)
13a…第1シールド保持部(端子保持部)
13b…第1端子保持部(端子保持部)
15…第1シールド端子 (内部端子)
15a…第1シールド実装部(内部実装部)
16…第1外部端子(外部端子)
16a…第1外部実装部(外部実装部)
16b…第1外部側方部(周縁部)
16c…第1外部延在部(周縁部)
17…ガイド部
18…周縁面
20…第2コネクタ(相手方電気コネクタ)
21…第2絶縁性部材
22…第2内部端子
22a…第2内部実装部
23…第2端子保持部
24…第2シールド保持部
25…第2シールド端子
25a…第2シールド実装部
26…第2外部端子(外部端子)
26a…第2外部実装部
27…係合凹部(被係合部)
30…接触支持部
31…支持タブ部(第1タブ部)
32…ブリッジ部
33…接触タブ部(第2タブ部)
34…接触部
35…切り欠き
36…隙間
37…係合凸部(係合部)
39…自由端部