(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】給紙カセット及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20240618BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B65H1/14 310B
B65H1/04 324
(21)【出願番号】P 2023506829
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003371
(87)【国際公開番号】W WO2022196129
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2021045862
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 晃
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-239302(JP,A)
【文献】特開2019-18937(JP,A)
【文献】特開2005-35715(JP,A)
【文献】特開2016-160088(JP,A)
【文献】特開平3-195635(JP,A)
【文献】実開昭58-123840(JP,U)
【文献】実開昭59-100736(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/14
B65H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の給送方向に沿って給送されるシートを収容する本体部と、
前記本体部の底板上に配置され、シートが載置されるシート載置面を有する載置板と、
前記給送方向と交差する幅方向に沿って延びるシャフトと、
前記底板と前記載置板との間に配置されて、前記シャフトを中心として回動して前記載置板の前記給送方向の下流側の端部を昇降させるリフト板と、
前記底板上において前記幅方向に沿って互いに接近する方向及び離間する方向に移動可能に支持されて、前記シート載置面に載置されたシートを前記幅方向に位置決めする一対のサイドカーソルと、
前記幅方向に沿って前記底板に形成され、前記一対のサイドカーソルの移動を案内するガイド溝と、を備え、
前記シャフトの両端部は、前記幅方向に最も離間した位置に配置された前記一対のサイドカーソルよりも前記幅方向の外側で、前記本体部に設けられた軸受部に回転可能に支持され、
前記一対のサイドカーソルは、前記シートの側面に当接する当接壁と、前記当接壁の下端に形成され、上方から前記シャフトに外嵌する凹部と、を有し、前記一対のサイドカーソルが前記幅方向に移動する際、前記凹部が前記シャフト上を摺動することを特徴とする給紙カセット。
【請求項2】
前記底板は、前記給送方向に沿ったリブの上端縁に形成され、前記シャフトを下方から支持する複数の受け部を有し、
前記受け部は、前記幅方向の中央部と両端部とに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
【請求項3】
前記シャフトは所定の径を有する丸軸であり、
前記受け部は、前記幅方向から見て、円弧形状に凹んだ形状を有し、前記シャフトに外嵌することを特徴とする請求項2に記載の給紙カセット。
【請求項4】
前記本体部は、前記底板の前記幅方向の両端部に沿って設けられ、前記幅方向に互いに対向する一対の側板を有し、
前記軸受部は、前記一対の側板に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
【請求項5】
前記ガイド溝は、前記シャフトの前記給送方向の上流側及び下流側に配置された第1ガイド溝及び第2ガイド溝を有することを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
【請求項6】
前記リフト板は、前記給送方向における上流側の端部が前記シャフトに軸支され前記シャフトを中心として回動することで、前記搬送方向における下流側の端部が前記載置板に当接し、前記載置板の前記下流側の端部を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
【請求項7】
前記一対のサイドカーソルを前記幅方向に連動して移動させる連動機構を更に備え、
前記連動機構は、
前記底板に回転可能に支持されたピニオンギアと、
前記一対のサイドカーソルのそれぞれの前記当接壁の下端から前記幅方向の中央に向かって延び、前記ピニオンギアと噛み合うラックギアが形成されたラック板と、を有し、
前記シャフトは、前記ラック板よりも前記給送方向の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
【請求項8】
請求項1に記載の給紙カセットと、
前記給紙カセットから給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートが収容される給紙カセット及び給紙カセットを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給紙カセットは、シートが収容される本体部と、本体部の底板上に配置されて、シートが載置される載置板と、を備えている。載置板に載置されたシートを給紙位置に上昇させるために、載置板は上下方向に回動可能に構成される場合がある。この場合、載置板は、リフト板によって回動する。リフト板は、本体部の底板と載置板との間に配置されて、シャフトを中心として回動して載置板を押し上げる。これにより載置板が回動して、シートの送給方向の下流側の端部が給紙位置に上昇する。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の給紙カセットは、揺動軸(シャフトに相当)の一端に固定されて用紙積載板(載置板に相当)の揺動端(下流側の端部に相当)を押し上げる作動板(リフト板に相当)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の作動板は、揺動軸の一端に固定されている。揺動軸の他端は、収納部(本体部に相当)の側壁を貫通して、カップリングによって駆動源に接続されている。このような構成の場合、揺動軸が回転して作動板を回動させて用紙積載板を押し上げると、用紙積載板に積載された用紙の重量が作動板を介して揺動軸に加わり、さらに、揺動軸が貫通する側壁に加わる。このように一方の側壁に重量が加わると、収納部が変形してしまう虞がある。収納部が変形すると、給紙カセットを装置本体に着脱する際に、給紙カセットが装置本体に干渉してしまうという問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、リフト板から加わる荷重によって変形しにくい給紙カセット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の給紙カセットは、所定の給送方向に沿って給送されるシートを収容する本体部と、前記本体部の底板上に配置され、シートが載置されるシート載置面を有する載置板と、前記給送方向と交差する幅方向に沿って延びるシャフトと、前記底板と前記載置板の間に配置されて、前記シャフトを中心として回動して前記載置板の前記給送方向の下流側の端部を昇降させるリフト板と、前記底板上において前記幅方向に沿って互いに接近する方向及び離間する方向に移動可能に支持されて、前記シート載置面に載置されたシートを前記幅方向に位置決めする一対のサイドカーソルと、前記幅方向に沿って前記底板に形成され、前記一対のサイドカーソルの移動を案内するガイド溝と、を備え、前記シャフトの両端部は、前記幅方向に最も離間した位置に配置された前記一対のサイドカーソルよりも前記幅方向の外側で、前記本体部に設けられた軸受部に回転可能に支持され、前記一対のサイドカーソルは、前記シートの側面に当接する当接壁と、前記当接壁の下端に形成され、上方から前記シャフトに外嵌する凹部と、を有し、前記一対のサイドカーソルが前記幅方向に移動する際、前記凹部が前記シャフト上を摺動する。
【0008】
本発明の給紙カセットにおいて、前記底板は、前記給送方向に沿ったリブの上端縁に形成され、前記シャフトを下方から支持する複数の受け部を有し、前記受け部は、前記幅方向の中央部と両端部とに配置されていることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記給紙カセットと、前記給紙カセットから給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、載置板からリフト板に加わる荷重が幅方向に分散するので、本体部の偏った変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る給紙カセットを示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る給紙カセットの底板の下流側端部を示す平面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る給紙カセットの受け部を、幅方向から見た断面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る給紙カセットにおいて、幅方向の中央部に配置された受け部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る給紙カセットの下流側端部を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る給紙カセットにおいて、サイドカーソルとシャフトを示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る給紙カセットにおいて、サイドカーソルとシャフトとを幅方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及び給紙カセットについて説明する。
【0013】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の全体の構成について説明する。
図1は画像形成装置1の内部構造を模式的に示す断面図である。各図のFr、Rr、L、Rは、画像形成装置の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0014】
画像形成装置1の装置本体2には、シート給送部3と、電子写真方式の画像形成部5と、定着装置7と、排出装置9と、が備えられている。装置本体2の上面には、排出トレイ11が形成されている。装置本体2には、シート給送部3から、画像形成部5と、定着装置7とを経由して、排出装置9に向かうシートの搬送経路13が形成されている。
【0015】
シート給送部3は、シートが収容される給紙カセット21と、給紙カセット21から搬送経路13に向かう給送方向に沿ってシートを給送する給送装置23と、を備えている。給紙カセット21は、装置本体2の前面に形成された開口(図示省略)を通って、前後方向に沿って装置本体2に着脱される。以下のシート給送部3に関する説明において、上流側と下流側とは、シートの給送方向における上流側と下流側とを示す。この例では、給送方向は、左側から右側に向かう方向である。また、給送方向と交差する方向を幅方向とする。給紙カセット21については後述する。
【0016】
画像形成部5は、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーに対応する4個のプロセスカートリッジ25と、循環走行する中間転写ベルト27と、転写ローラー29と、を備えている。4個のプロセスカートリッジ25は、中間転写ベルト27の下側の軌道に対向して、該ベルト27の走行方向に沿って並んで配置されている。4個のプロセスカートリッジ25は、走行する中間転写ベルト27に各色のトナー像を重ねて形成する。形成されたトナー像は、転写ローラー29と中間転写ベルト27との間に形成される転写ニップで、搬送経路13に沿って搬送されたシートに転写される。
【0017】
定着装置7は、シートに転写されたトナー像をシートに定着する。排出装置9は、トナー像が定着されたシートを排出する。排出されたシートは、排出トレイ11に積載される。
【0018】
次に、
図2~
図7を参照して、給紙カセット21について説明する。
図2は給紙カセット21を示す斜視図、
図3は給紙カセット21の底板の下流側端部を示す平面図、
図4Aは受け部を示す断面図、
図4Bは幅方向の中央部に配置された受け部を示す斜視図、
図5はリフト板を示す平面図、
図6はシャフトとサイドカーソルとを示す斜視図、
図7はシャフトとサイドカーソルとを幅方向から見た図である。
【0019】
図2に示されるように、給紙カセット21は、シートを収容する本体部31と、本体部31の底板上に配置される載置板33と、載置板33の下方に配置されるリフト板35(
図4参照)と、本体部31に支持される一対のサイドカーソル37(37F、37R)と、を備えている。
【0020】
本体部31は、上面が開口した浅い箱形状を有し、底板31aと、前後方向に対向する前後の側板31b、31cと、左右方向に対向する左右の側板31d、31eと、で構成される。前側の側板31bには、給紙カセット21が装置本体2に装着された際に、装置本体2の開口を閉止する外カバー41が設けられている。
【0021】
底板31aは、最大サイズ(例えばA3サイズ)の用紙を収容可能な寸法を有している。
図3に示されるように、底板31aの下流側の端部(右端部)には、幅方向Yに沿った一対の第1レール43が、給送方向Xに所定の間隔を開けて形成されている。さらに、底板31aには、幅方向Yの中央部に、給送方向Xに沿った第2レール45が形成されている。第2レール45は、底板31aの上流側端部と、第1レール43との間に形成されている。
【0022】
さらに、底板31aには、第1レール43よりも下流側に、リブ47が、幅方向Yに沿って突設されている。
図4Aに示されるように、リブ47は、高さ方向に短く給送方向Xに長い矩形状の断面形状を有している。リブ47の上端面(上端縁)には、複数個(この例では5個)の受け部47aが形成されている。各受け部57aは、幅方向Yから見て、U字状に凹んだ円弧形状に形成されている。この例では、
図3に示されるように、幅方向Yの中央部に3個の受け部47a(
図4Bも参照)が所定の間隔を開けて配置され、幅方向Yの両端部にそれぞれ1個の受け部47aが配置されている。
【0023】
さらに、
図3に示されるように、底板31aには、第1レール43よりも上流側と、受け部47aよりも下流側とに、それぞれ第1ガイド溝49aと第2ガイド溝49bとが、幅方向Yに沿って形成されている。
【0024】
図2に示されるように、載置板33は、最大サイズのシートを載置可能な寸法を有し、給送方向Xに沿った中央部51と、中央部51から幅方向Yに沿って前方及び後方に張り出す複数(この例では4個)の張り出し部53と、を有している。複数の張り出し部53は、上流側から順に、第1~第4張り出し部53-1、53-2、53-3、53-4を含む。載置板33の上面(中央部51と、第1~第4張り出し部53-1、53-2、53-3、53-4の上面)は、シートが載置されるシート載置面である。中央部51には、給送方向Xに沿った切り欠き55が形成されている。この切り欠き55を通して、本体部31の底板31aの第2レール45が露出している。
【0025】
第1張り出し部53-1の上流側端部は、本体部31の前後の側板31b、31cに設けられた支軸(図示省略)に回動可能に支持されている。載置板33は、支軸を中心として、本体部31の底板31a上に沿った水平な姿勢から、載置板33の下流側端部が上昇する傾斜姿勢に回動可能である。
【0026】
リフト板35は、
図5に示されるように、載置板33の中央部51とほぼ同じ幅を有する矩形状を有している。リフト板35は、シャフト61の中央部に固定されて、シャフト61と一体に回動する。シャフト61は丸軸であり、本体部31の底板31aに形成された受け部47a(
図3、
図4A、
図4B参照)に支持されている。受け部47aは、シャフト61に外嵌している。
【0027】
シャフト61の両端部は、
図5に示されるように、本体部31の前後の側板31b、31cに設けられた軸受部63を貫通している。シャフト61の後端部61rは、後側の側壁31cを貫通して、カップリングやギア列を介して駆動モーター(いずれも図示省略)に接続されている。シャフト61の前端部は、前側の側板31bに回転可能に支持されている。リフト板35は、シャフト61に対して下流側に回動して、載置板33の中央部51の下流側の端部と底板31aとの間に配置される。
【0028】
図2に示されるように、一対のサイドカーソル37は、前カーソル37Fと後カーソル37Rとを含む。
図4に示されるように、前カーソル37Fは、給送方向Xに沿った垂直な当接壁71Fと、当接壁71Fの下端部から幅方向Yに沿って後方に延びるラック板73Fと、を有している。ラック板73Fの上流側の側縁には、ラックギア75Fが形成されている。後カーソル37Rは、給送方向Xに沿った垂直な当接壁71Rと、当接壁71Rの下端部から幅方向Yに沿って前方に延びるラック板73Rと、を有している。ラック板73Rの下流側の側縁には、ラックギア75Rが形成されている。前側のラック板73Fは樹脂製であり、後側の当接壁71Rと後側のラック板73Rとは金属製(例えば、板金)である。前述のように、給紙カセット21は前後方向に沿って装置本体2に着脱される。給紙カセット21が装置本体2に装着される際に、収容されたシートによって後側の当接壁71Rとラック板73Rとに負荷が加わるため、後側の当接壁71Rとラック板73Rとを金属製とすることで強度を高めている。一方で、前側のラック板73Fには、収容されたシートから負荷が加わらず、高い強度を必要としないので、樹脂で形成されている。また、前側の当接壁71Fも樹脂製であってもよい。
【0029】
図2に示されるように、当接壁71F、71Rには、上流側の部分に、下縁から切り欠かれた略矩形状の切り欠き部77F、77Rが形成されている。さらに、
図5及び
図6に示されるように、当接壁71F、71Rには、切り欠き部77F、77Rよりも下流側に、下縁から切り欠かれた凹部79(
図5、
図6には前側の凹部79Fのみを図示)が形成されている。さらに、当接壁71F、71Rの下縁には、上流側と下流側の端部に、幅方向Yから見てL字状の係合部(図示省略)が形成されている。
【0030】
図2に示されるように、前後のサイドカーソル37F、37Rは、それぞれの当接壁71F、71Rが幅方向Yにおいて対向するように、本体部31の底板31aに配置される。この際、当接壁71F、71Rの切り欠き77F、77Rには、載置板33の第3張り出し部53-3が入り込む。また、
図6及び
図7に示されるように、当接壁71F、71Rの凹部79が、リフト板35のシャフト61に外嵌する。さらに、当接壁71F、71Rの係合部が、底板31aの第1及び第2ガイド溝49a及び49bに係合する。また、ラック板73F、73Rは、底板31aに形成された第1レール43に係合するとともに、ラック板73F、73Rのラックギア75F、75Rが、底板31aに支持されたピニオンギア81(
図5、
図6参照)と噛み合う。
【0031】
前サイドカーソル37Fの当接壁71Fを第1及び第2ガイド溝49a及び49bに沿って一方向に移動させると、当接壁71Fと共にラック板73Fが第1レール43に沿って移動してピニオンギア81が回転する。すると、後サイドカーソル37Rのラック板73Rが第1レール43に沿って他方向に移動し、当接壁71Rが第1及び第2ガイド溝49a及び49bに沿って他方向に移動する。ラック板73F、73Rにはベアリング(図示省略)が備えられているので、ラック板73F、73Rは円滑に移動する。この結果、両当接壁71F、71Rは、互いに接近又は離間する方向に同期して移動する。このように、ラック板73F、73Rとピニオンギア81とは、一対のサイドカーソル37F、37Rを幅方向Yに連動して移動させる連動機構の一例である。
【0032】
この際、
図2に示されるように、両当接壁71F、71Rは、載置板33の第2、第3張り出し部53-2、53-3の間と、第3、第4張り出し部53-3、53-4の間を通過する。両当接壁71F、71Rが互いに接近する方向に移動して、当接壁71F、71Rの対向する垂直面が載置板33に載置されたシートの側縁に当接することで、シートが幅方向Yの中央に対して位置決めされるようになっている。このように、当接壁71F、71Rの内側面が、シートの位置を規制する。
【0033】
さらに、給紙カセット21には、
図2に示されるように、本体部31の底板31aには、エンドカーソル95が備えられている。エンドカーソル95は、底板31aの第2レール45に係合して、第2レール45に沿って給送方向Xに移動する。エンドカーソル95は、載置板33に載置されたシートの端縁に当接して、シートを給送方向Xにおいて位置決めする。
【0034】
上記構成を有する給紙カセット21に収容されたシートの給紙動作について説明する。まず、給紙カセット21を装置本体2から引き出し、シート束を載置板33に載置して、シート束の下流側の端縁を本体部31の右側板31eに当接させる。その後、一対のサイドカーソル37F、37Rの一方を移動させてシート束の側縁に当接させる。これにより、他方のサイドカーソルが同期して移動し、当接壁71F、71Rの規制面がシート束の側面に当接して、シート束が幅方向Yに位置決めされる。このように一対のサイドカーソル37F、37Rが移動する際、ラック板73F、73Rは第1レール43に沿って幅方向Yに移動し、当接壁71F、71Rは、第1及び第2ガイド溝49a及び49b及びリフト板35のシャフト61に沿って幅方向Yに移動する。詳細には、当接壁71F、71Rの凹部79がシャフト61上を摺動する。
【0035】
その後、エンドカーソル95を第2レール45に沿って移動させて、シート束の上流側端縁に当接させる。これにより、シート束が給送方向Xに位置決めされる。
【0036】
その後、給紙カセット21を装置本体2に装着する。すると、リフト板35のシャフト61の後端部61rに接続されたカップリングが装置本体2のモーターと接続される。その後モーターが駆動されると、シャフト61が回転して、リフト板35が上流側に回動する。すると、載置板33の下流側端部がリフト板35で持ち上げられて載置板33が水平姿勢から傾斜姿勢に回動する。その結果、載置板33に載置されたシート束の下流側の端部が上昇する。シート束の最上面の下流側の端部が所定の給紙高さに達すると、モーターの駆動が停止される。載置板33の回動時、載置板33の第3張り出し部53-3は、一対のサイドカーソル37F、37Rの当接壁71F、71Rの切り欠き77F、77Rを通る。また、第4張り出し部53-4は、一対のサイドカーソル37F、37Rの下流側を通る。
【0037】
上記説明から明らかなように、本発明の給紙カセット21によれば、リフト板35のシャフト61の両端部は、本体部31の前後の側板31b、31cに支持されているので、載置板33からリフト板35に加わる荷重が、前後の側板31b、31cに加わる。さらに、シャフト61は、本体部31の底板31aから突出する受け部47aに支持されているので、これらの受け部47a、すなわち、底板31aにも荷重が加わる。受け部47aは、幅方向Yの中央部と両端部とに配置されているので、荷重が幅方向Yに分散して加わり、本体部31(底板)の偏った変形を防止できる。
【0038】
例えば、前述の先行技術のように、シャフトの一端にリフト板が固定されて、給紙カセットの底板の中央部と一方の端部とでシャフトが支持されている場合、リフト板に加わる荷重によって、底板が、給送方向Xから見て下に凸の凹状に変形する場合がある。しかし、本実施形態のように、シャフト61が幅方向Yの中央部と両端部とで支持されている場合は、リフト板35に加わる荷重が幅方向Yに分散するので、底板31aの変形を防止できる。なお、シャフト61は底板31aの中央部と両端部とに配置された受け部47aのみに支持されてもよく、底板31aの中央部に配置された受け部47aと前後の側板31b、31cに設けられた軸受部63とに支持されてもよい。
【0039】
さらに、受け部47aは、幅方向Yから見てU字状に凹んだ円弧形状であり、シャフト61に外嵌しているので、シャフト61の回転を滑らかに案内することができる。
【0040】
さらに、シャフト61の両端部は、最も離間した位置に移動したサイドカーソル37F、37Rよりも幅方向Yの外側で、本体部31の前後の側板31b、31cに支持されている。これにより、一対のサイドカーソル37F、37Rが移動する際に、ラック板73F、73Rが底板31aに形成された第1レール43に沿って案内されるとともに、当接壁71F、71Rがシャフト61に沿って案内される。このため、当接壁71F、71Rとラック板73F、73Rとの位置関係を保ったままで、幅方向Yに安定して移動させることができ、一対のサイドカーソル37F、37Rの移動作業を円滑に実施できる。
【0041】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。