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特許7505646非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法、装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法、装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240618BHJP
   G01R 23/165 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G01R31/26 G
G01R23/165 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023524502
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2020125281
(87)【国際公開番号】W WO2022088048
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】イエ・トォン
(72)【発明者】
【氏名】タオ・ジェヌニン
(72)【発明者】
【氏名】スゥ・シアオフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・チョンウー
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-117349(JP,A)
【文献】特開2010-068142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0082280(US,A1)
【文献】国際公開第2005/064586(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111800194(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 23/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置であって、
測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、前記ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算する第1の処理部と、
第1の入力信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算する第2の処理部であって、前記第1の入力信号と前記測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する、第2の処理部と、
前記利得圧縮補正係数に基づいて前記第1の非線形相関パラメータを補正し、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得する第3の処理部と、を含む、装置。
【請求項2】
前記第1の非線形相関パラメータ又は前記第2の非線形相関パラメータは、電力対雑音比を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の入力信号の信号確率分布は、
前記測定すべき信号が前記帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号に基づいて取得された信号確率分布、又は
ガウス分布に基づいて取得された信号確率分布を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記利得圧縮補正係数は、第1の係数及び第2の係数を含み、
前記第1の係数は、前記測定すべき信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第3の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記測定すべき信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表し、
前記第2の係数は、前記第2の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記第1の入力信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表す、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の処理部は、
前記第3の出力信号の電力と前記測定すべき信号の電力との比を前記第1の係数として計算する第4の処理部と、
前記第2の出力信号の電力と前記第1の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算する第5の処理部と、を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の処理部は、
前記第1の出力信号の電力と前記ノッチ信号の電力との比を前記第1の係数として計算する第6の処理部と、
第4の出力信号の電力と第2の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算する第7の処理部と、を含み、
前記第2の入力信号は、前記第1の入力信号に対して前記帯域阻止フィルタリングを行って得られたものであり、
前記第2の入力信号が前記非線形デバイスに入力される後に、前記非線形デバイスは前記第4の出力信号を出力する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の処理部は、
前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータに基づいて、前記第3の出力信号における線形項の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力を計算する第8の処理部と、
前記測定すべき信号の電力及び前記第3の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第1の係数を計算し、前記第1の入力信号の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第2の係数を計算する第9の処理部と、
算出された前記第1の係数及び前記第2の係数に基づいて、前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正して、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを取得する第10の処理部と、を含み、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが所定の条件を満たす場合、算出された前記第1の係数及び前記第2の係数を前記利得圧縮補正係数として決定し、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記第2の非線形相関パラメータとする、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが前記所定の条件を満たさない場合、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記前回の補正後の第2の非線形相関パラメータとして、第1の係数及び第2の係数を再度計算し、前記前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定するシステムであって、請求項1に記載の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置と、非線形デバイスと、を含む、システム。
【請求項10】
非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法であって、
測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、前記ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算するステップと、
第1の入力信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算するステップであって、前記第1の入力信号と前記測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する、ステップと、
前記利得圧縮補正係数に基づいて前記第1の非線形相関パラメータを補正し、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記第1の非線形相関パラメータ又は前記第2の非線形相関パラメータは、電力対雑音比を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の入力信号の信号確率分布は、
前記測定すべき信号が前記帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号に基づいて取得された信号確率分布、又は
ガウス分布に基づいて取得された信号確率分布を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記利得圧縮補正係数は、第1の係数及び第2の係数を含み、
前記第1の係数は、前記測定すべき信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第3の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記測定すべき信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表し、
前記第2の係数は、前記第2の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記第1の入力信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第3の出力信号の電力と前記測定すべき信号の電力との比を前記第1の係数として計算するステップと、
前記第2の出力信号の電力と前記第1の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算するステップと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第1の出力信号の電力と前記ノッチ信号の電力との比を前記第1の係数として計算するステップと、
第4の出力信号の電力と第2の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算するステップと、を含み、
前記第2の入力信号は、前記第1の入力信号に対して前記帯域阻止フィルタリングを行って得られたものであり、
前記第2の入力信号が前記非線形デバイスに入力される後に、前記非線形デバイスは前記第4の出力信号を出力する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータに基づいて、前記第3の出力信号における線形項の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力を計算するステップと、
前記測定すべき信号の電力及び前記第3の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第1の係数を計算し、前記第1の入力信号の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第2の係数を計算するステップと、
算出された前記第1の係数及び前記第2の係数に基づいて、前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正して、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを取得するステップと、を含み、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが所定の条件を満たす場合、算出された前記第1の係数及び前記第2の係数を前記利得圧縮補正係数として決定し、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記第2の非線形相関パラメータとする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが前記所定の条件を満たさない場合、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記前回の補正後の第2の非線形相関パラメータとして、第1の係数及び第2の係数を再度計算し、前記前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波マイクロ波分野、通信分野及び光通信分野において、より大きい帯域幅、より多い帯域の信号伝送を実現するために、益々多くの高周波デバイス、例えば40GHz帯域の無線周波増幅器、広帯域コヒーレント光受信機(トランスインピーダンス増幅器付き)などが応用されている。しかし、高周波デバイスは、幾つかの性能が不十分である場合が多く、例えば、広帯域無線周波数増幅器は非線形効果を有する可能性があるが、このような非線形効果は高周波デバイスの信号伝送性能を劣化させる。従って、研究者は、デバイスの最適化設計、非線形劣化の影響の予測及びデバイスの正確な選択のために、デバイスにおける非線形効果の大きさを測定するための指標及び測定方法を提案している。
【0003】
非線形効果を測定するための最も一般的な指標は、全高調波歪み(total harmonic distortion:THD)であり、即ち、単一周波数の入力信号の測定システムの出力において生成された高調波の大きさを観測することによって非線形性のレベルを推定する。しかし、このような方法は、非常に不正確であり、特により広い帯域幅の応用では、高周波と低周波における非線形性の大きさが大きく離れている。
【0004】
もう一つの既存の方法は、測定すべき信号を帯域阻止フィルタに通過させて、ノッチを有する信号(即ち、ノッチ信号)を形成し、ノッチ信号が非線形デバイスを通過した後に出力信号を取得し、出力信号内のノッチ位置における電力を非線形雑音として測定する。該非線形雑音は、該非線形デバイスの該測定すべき信号を伝送する際の非線形のレベルを反映し、このような方法は、従来の電力対雑音比(Power Noise Ratio:PNR)テスト方法と称される。
【0005】
上記のTHD又はPNRは、非線形デバイスの非線形相関パラメータと称されてもよい。
【0006】
図1は、従来のPNRテスト方法の一例の概略図である。図1に示すように、測定すべき信号100は帯域阻止フィルタリング処理101によりノッチ信号を形成し、ノッチ信号102が非線形デバイス103に入力され、非線形デバイス103の出力信号は104であり、計算ステップ105において出力信号104のPNRを計算し、測定すべき信号100を伝送する際の非線形デバイス103の非線形相関パラメータとする。
【0007】
なお、上述した背景技術の説明は、本発明の技術案を明確、完全に理解させるための説明であり、当業者を理解させるために記述されているものである。これらの技術案は、単なる本発明の背景技術部分として説明されたものであり、当業者により周知されたものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の発明者の発見によると、従来のPNRテスト方法を用いた場合、測定された非線形雑音が正確でない場合がある。本発明の発明者の更なる発見によると、非線形雑音の大きさは信号確率分布(Probability distribution function:PDF)に関係しており、測定すべき信号が帯域阻止フィルタリングを通過した後、形成されたノッチ信号の信号確率分布は測定すべき信号の信号確率分布に対して変化する。従って、ノッチ信号に基づいて算出された非線形雑音は、測定すべき信号が非線形デバイスを通過する際に実際に発生する非線形雑音に対して変化する。特に、非ガウス分布の測定すべき信号の場合、帯域阻止フィルタリングの後、ノッチ信号の信号確率分布は、測定すべき信号の信号確率分布と比べて変化が大きいため、算出された非線形雑音の偏差が大きい。ここで、実信号の場合、信号の確率分布は、実信号の振幅の確率分布を意味し、複素信号の場合、信号の確率分布は、複素信号のモジュラスの確率分布を意味する。
【0009】
本発明の実施例は、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法、装置及びシステムを提供する。該方法、装置及びシステムでは、ノッチ信号内のフィルタリングにより除去された部分の信号をシミュレートするための第1の入力信号を非線形デバイスに入力し、非線形デバイスの出力信号に基づいて従来のPNRテスト方法により取得された非線形相関パラメータを補正することで、該測定すべき信号を伝送する際の非線形デバイスの非線形相関パラメータを正確に取得することができる。これによって、如何なる信号確率分布を有する測定すべき信号に対しても非線形相関パラメータを正確に計算することができる。また、高価な高周波波形解析装置の使用を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例の第1の態様では、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置であって、測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、前記ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算する第1の処理部と、第1の入力信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算する第2の処理部であって、前記第1の入力信号と前記測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する、第2の処理部と、前記利得圧縮補正係数に基づいて前記第1の非線形相関パラメータを補正し、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得する第3の処理部と、を含む、装置を提供する。
【0011】
本発明の実施例の第2の態様では、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法であって、測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、前記ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算するステップと、第1の入力信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算するステップであって、前記第1の入力信号と前記測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する、ステップと、前記利得圧縮補正係数に基づいて前記第1の非線形相関パラメータを補正し、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得するステップと、を含む、方法を提供する。
【0012】
本発明の実施例の第3の態様では、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定するシステムであって、上記の第1の態様に記載の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置と、非線形デバイスと、を含む、システムを提供する。
【0013】
本発明の実施例の有利な効果は以下の通りである。ノッチ信号内のフィルタリングにより除去された部分の信号をシミュレートするための第1の入力信号を非線形デバイスに入力し、非線形デバイスの出力信号に基づいて従来のPNRテスト方法により取得された非線形相関パラメータを補正することで、該測定すべき信号を伝送する際の非線形デバイスの非線形相関パラメータを正確に取得することができる。これによって、如何なる信号確率分布を有する測定すべき信号に対しても非線形相関パラメータを正確に計算することができる。また、高価な高周波波形解析装置の使用を回避することができる。
【0014】
下記の説明及び図面に示すように、本発明の特定の実施形態が詳細に開示され、本発明の原理を採用できる方式が示される。なお、本発明の実施形態の範囲はこれらに限定されない。本発明の実施形態は、添付される特許請求の範囲の要旨及び項目の範囲内において、変更されたもの、修正されたもの及び均等的なものを含む。
【0015】
1つの実施形態に記載された特徴及び/又は示された特徴は、同一又は類似の方式で1つ又はさらに多くの他の実施形態で用いられてもよいし、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよいし、他の実施形態における特徴に代わってもよい。
【0016】
なお、本文では、用語「含む/有する」は、特徴、部材、ステップ又は構成要件が存在することを意味し、一つ又は複数の他の特徴、部材、ステップ又は構成要件の存在又は付加を排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の多くの態様は以下の図面を参照することによってよりよく理解される。図面における構成要素は、単に本発明の原理を示すものであり、比例的に描かれるものではない。本明細書の一部の図示及び説明を容易にするために、図面の対応する部分を拡大又は縮小することができる。本発明の実施例の1つの図面及び1つの実施形態に記載された要素及び特徴は、1つ又はさらに多くの図面又は実施形態に示された要素及び特徴と組み合わせてもよい。また、図面において、類似の符号は複数の図面における対応する素子を示し、1つ以上の実施形態に用いられる対応素子を示してもよい。
図1】従来のPNRテスト方法の一例の概略図である。
図2】本発明の実施例1の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法の一例のフローチャートである。
図3図2に示す方法の一例の概略図である。
図4】第1の入力信号及び測定すべき信号の信号確率分布の一例の概略図である。
図5】利得圧縮補正係数の計算の一例の概略図である。
図6】利得圧縮補正係数の計算の他の例の概略図である。
図7】利得圧縮補正係数の計算の他の例の概略図である。
図8】本発明の実施例1の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法の効果の一例を示す図である。
図9】本発明の実施例2の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置の一例の概略図である。
図10】第2の処理部902の一例の概略図である。
図11】第2の処理部902の他の例の概略図である。
図12】第2の処理部902の他の例の概略図である。
図13】本発明の実施例3の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定するシステムの構成の一例の概略図である。
図14】電子機器の構成の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例の上記及びその他の特徴は、図面及び下記の説明により理解できるものである。これらの実施形態は単なる例示的なものであり、本発明を限定するものではない。なお、本発明の原理及び実施形態を当業者が容易に理解できるように、本発明の実施例は、画像圧縮処理の再構成画像を一例にして説明しているが、本発明の実施例はこれに限定されず、他の画像処理の再構成画像も本発明の範囲内のものである。
【0019】
本発明の実施例では、用語「第1」、「第2」は異なる要素を名称で区分するためのものであり、これらの要素の空間的配列又は時間的順序などを意味するものではなく、これらの要素はこれらの用語に限定されない。用語「及び/又は」は列挙された用語の1つ又は複数のうち何れか及びその組み合わせを含む。用語「包括」、「含む」、「有する」は説明された特徴、要素、素子又は部材の存在を意味するが、他の1つ又は複数の特徴、要素、素子又は部材の存在又は追加を排除するものではない。
【0020】
本発明の実施例では、単数形の「一」、「該」等は複数形を含み、「一種」又は「一類」を意味し、「1つ」に限定するものではない。また、用語「前記」は、文脈上明確に指示されない限り、単数形及び複数形両方を含む。また、文脈上明確に指示されない限り、用語「応じて」は「少なくとも部分的に応じて」を意味し、用語「に基づいて」は「少なくとも部分的に基づいて」を意味する。
【0021】
以下は、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0022】
<実施例1>
本発明の実施例1は、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法を提供する。図2は、該方法の一例のフローチャートである。図2に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0023】
ステップ201:測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、該ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の該非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、該測定すべき信号を伝送する際の該非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算する。
【0024】
ステップ202:第1の入力信号が該非線形デバイスに入力された後の該非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算する。該第1の入力信号と該測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する。
【0025】
ステップ203:該利得圧縮補正係数に基づいて該第1の非線形相関パラメータを補正し、該測定すべき信号を伝送する際の該非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得する。
【0026】
本発明の実施例1によれば、第2の出力信号に基づいて第1の非線形相関パラメータを補正することによって、ノッチ信号と測定すべき信号との信号確率分布の相違に起因する非線形相関パラメータの計算誤差を解消することができるため、該測定すべき信号を伝送する際の非線形デバイスの非線形相関パラメータを正確に取得することができる。
【0027】
本実施例では、第1の非線形相関パラメータ及び第2の非線形相関パラメータは、非線形デバイスの非線形効果を測定可能なパラメータであり、第1の非線形相関パラメータ及び第2の非線形相関パラメータは、例えば非線形デバイスの出力信号の電力対雑音比(Power Noise Ratio:PNR)であってもよい。また、本実施例はこれに限定されず、第1の非線形相関パラメータ及び第2の非線形相関パラメータは、非線形デバイスの出力信号に基づいて算出された他のパラメータであってもよい。
【0028】
本実施例では、測定すべき信号及び第1の入力信号が実信号である場合、信号確率分布とは、該実信号の時間領域における振幅の確率分布を意味し、測定すべき信号及び第1の入力信号が複素信号である場合、信号確率分布とは、該複素信号の時間領域における振幅の確率分布を意味する。
【0029】
測定すべき信号が変化し(例えば、測定すべき信号の周波数、電力、信号確率分布などが変化し)、通常、該測定すべき信号を伝送する際の非線形デバイスの非線形相関パラメータも変化する。このため、実施例1の方法によれば、異なる測定すべき信号に対して第2の非線形相関パラメータを取得して、該非線形デバイスが異なる測定すべき信号を伝送する際の第2の非線形相関パラメータを正確に取得し、測定すべき信号、非線形デバイス及び第2の非線形相関パラメータの対応関係を形成することができる。該対応関係は、非線形デバイスの最適化設計、非線形劣化影響の予測及び非線形デバイスの正確選択などに用いることができる。
【0030】
図3は、図2に示す方法の一例の概略図である。図3の破線枠31は、図2のステップ201に対応するステップを示す。図3に示すように、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法では、測定すべき信号300は、帯域阻止フィルタリング処理301を経てノッチ信号302を形成し、ノッチ信号302が非線形デバイス303に入力され、非線形デバイス303の第1の出力信号が304であり、第1の計算処理305において第1の出力信号304のPNRを計算し、算出されたPNRを、測定すべき信号300を伝送する際の非線形デバイス303の第1の非線形相関パラメータとする。
【0031】
第1の計算処理305において第1の非線形相関パラメータを計算するステップは、関連技術を参照してもよい。例えば、計算処理304において、第1の出力信号304のノッチ周波数における信号電力Pnを非線形雑音の電力とし、第1の出力信号304のノッチ周波数以外の他の周波数における信号電力Ptを非線形雑音の電力と有効信号電力Peとの和としてもよい。これによって、Pe=Pt-Pn、PNR=(Pt-Pn)/Pn、PNRを非線形相関パラメータとすることができる。また、第1の計算処理305では、他の方法を用いて非線形相関パラメータを計算してもよい。
【0032】
図3に示すように、ノッチ信号302は、2組のノッチ周波数f1及びf2を有し、f1とf2は対称である。さらに、他の例では、f1とf2は非対称であってもよく、或いは、ノッチ信号は1つのノッチ周波数f1a(例えば、図3におけるノッチ信号302aで示されている)のみを有し、或いは、ノッチ信号は3つ以上のノッチ周波数を有してもよい。さらに、該ノッチ信号の該1つ以上のノッチ周波数は、対称的に分布してもよいし、非対称的に分布してもよい。ここで、図3に示すように、ノッチ信号が302aである場合、非線形デバイス303の第1の出力信号は、304aである。
【0033】
本実施例では、図3の破線枠31(図2のステップ201)の具体的な態様について、関連技術における従来のPNRテスト方法の説明を参照してもよい。
【0034】
図3の破線枠32は、図2のステップ202に対応するステップを示す。図3に示すように、第1の入力信号306が非線形デバイス303に入力され、非線形デバイス303の第2の出力信号は307であり、第2の計算処理308において利得圧縮補正係数を計算する。
【0035】
本実施例では、第1の入力信号の電力と測定すべき信号の電力とは同一である。ここで、「同一」とは、両者の差の絶対値が所定の閾値T1以下であることを意味し、該所定の閾値T1は例えば0.05%であってもよい。例えば、図3に示す第1の入力信号306の総電力はP1であり、測定すべき信号300の総電力はP2であり、|P1-P2|≦T1。これによって、信号電力の変化が第2の非線形相関パラメータの計算への影響を除去することができる。
【0036】
本実施例では、第1の入力信号の信号確率分布と測定すべき信号の信号確率分布とは異なる。1つの態様では、測定すべき信号が帯域阻止フィルタリング(例えば、図3の帯域阻止フィルタリング処理301)により除去された部分の信号に基づいて第1の入力信号の信号確率分布を設定してもよく、例えば、第1の入力信号の信号確率分布は、測定すべき信号が帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号の信号確率分布と同一又は近似してもよい。別の態様では、ガウス分布に従って第1の入力信号の信号確率分布を設定してもよく、例えば、第1の入力信号の信号確率分布は、ガウス分布と同一又は近似してもよい。さらに別の態様では、測定すべき信号が帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号の信号確率分布とガウス分布とに対して重み付け加算処理を行ってもよく、第1の入力信号の信号確率分布を該重み付け加算処理後の信号確率分布に設定してもよい。
【0037】
図4は、第1の入力信号及び測定すべき信号の信号確率分布の一例の概略図である。図4に示すように、第1の入力信号と測定すべき信号の両方が実信号であってもよく、測定すべき信号の振幅確率分布は曲線401として表され、第1の入力信号の振幅確率分布は曲線402として表される。第1の入力信号の振幅確率分布と測定すべき信号の振幅確率分布とは異なり、ここで、第1の入力信号の振幅確率分布はガウス分布である。
【0038】
本実施例では、第1の入力信号の信号確率分布及び電力が設定されている場合、関連技術における方式を用いて該第1の入力信号を生成してもよい。例えば、測定すべき信号がシングルキャリア信号である場合、「測定すべき信号の電力と同一であり、且つ信号確率分布がガウス分布である第1の入力信号」を取得するために、測定すべき信号のシンボルの分布を変更し、成形パルスの方式を保持することによって実現されてもよい。
【0039】
本実施例では、図3に示すように、第2の計算処理308(図2のステップ202)において算出された利得圧縮補正係数は、第1の係数aと第2の係数bとを含んでもよい。
【0040】
ここで、第1の係数aは、測定すべき信号(例えば、図3の300)が非線形デバイス(例えば、図3の303)に入力された場合、該非線形デバイスにより出力された第3の出力信号における線形項の二乗平均平方根(RMS)振幅又はモジュラスと該測定すべき信号の二乗平均平方根(RMS)振幅又はモジュラスとの比を表す。第2の係数bは、第2の出力信号(例えば、図3の307)における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと第1の入力信号(例えば、図3の306)の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表す。
【0041】
図3の破線枠33は、図2のステップ203に対応するステップを示す。図3に示すように、第3の計算処理309では、利得圧縮補正係数を用いて第1の非線形相関パラメータを補正して、第2の非線形相関パラメータを取得する。
【0042】
第3の計算処理309(図2のステップ203)では、第1の係数a及び第2の係数bに基づいて第1の非線形相関パラメータを補正してもよく、例えば、次の式(1)に従って第1の非線形相関パラメータを補正してもよい。
【0043】
【数1】
式(1)において、PNRmeasureは第1の非線形相関パラメータを表し、PNRorthoは第2の非線形相関パラメータを表す。
【0044】
なお、式(1)について、測定すべき信号の信号確率分布がガウス分布である場合、測定すべき信号が帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号の信号確率分布もガウス分布であるため、a=bであり、さらに、PNRmeasureとPNRorthoとは等しい。
【0045】
第3の計算処理309のブロック図には、第1の非線形相関パラメータに対応するPNR310と、第2の非線形相関パラメータに対応するPNR311とが示されている。ここで、ノッチ周波数における雑音の凸部312により、PNR310とPNR311との間には誤差が生じる。さらに、曲線313は、第1の出力信号304又は304aにおける直交雑音を示す。
【0046】
本実施例では、図3に示すように、測定すべき信号300、ノッチ信号302(302a)及び第1の入力信号306は何れも実信号であってもよいし、測定すべき信号300、ノッチ信号302(302a)及び第1の入力信号306は何れも複素信号であってもよい。
【0047】
次に、ステップ202について詳細に説明する。
【0048】
図5は、利得圧縮補正係数の計算の一例の概略図であり、ステップ202の1つの態様に対応する。
【0049】
図5に示すように、利得圧縮補正係数を計算する方法は、以下のステップを含む。
【0050】
ステップ501:第3の出力信号の電力と測定すべき信号の電力との比を第1の係数aとして計算する。
【0051】
ステップ502:第2の出力信号の電力と第1の入力信号の電力との比を第2の係数bとして計算する。
【0052】
図5に示す態様では、非線形デバイスの出力信号と入力信号との振幅又はモジュラスの比を使用して利得圧縮補正係数を計算してもよいと近似的に考えられる。
【0053】
ステップ501では、測定すべき信号の電力及び第3の出力信号の電力は、測定によって取得されてもよく、例えば、測定すべき信号の周波数スペクトルでの総電力を測定すべき信号の電力Pin(x)として測定してもよい。非線形デバイスに測定すべき信号が入力された場合、該非線形デバイスにより出力された第3の出力信号のスペクトルでの総電力を第3の出力信号の電力Ptotal(x)として測定する。
【0054】
ステップ501において、次の式(2)に従って第1の係数aを近似的に計算してもよい。
【0055】
【数2】
ステップ502では、第1の入力信号の電力及び第2の出力信号の電力の両方は、測定により取得されてもよく、例えば、第1の入力信号のスペクトルでの総電力を第1の入力信号の電力Pin(x)として測定してもよい。第1の入力信号が非線形デバイスに入力された場合、非線形デバイスにより出力された第2の出力信号のスペクトルでの総電力を第2の出力信号の電力Ptotal(x)として測定する。
【0056】
ステップ502において、次の式(3)に従って第2の係数bを近似的に計算してもよい。
【0057】
【数3】
図5に示す態様によれば、測定された値に基づいて簡単な方式で利得圧縮補正係数を算出することができる。
【0058】
図6は、利得圧縮補正係数の計算の他の例の概略図であり、ステップ202の別の態様に対応する。
【0059】
図6に示すように、利得圧縮補正係数を計算する方法は、以下のステップを含む。
【0060】
ステップ601:第1の出力信号の電力とノッチ信号の電力との比を第1の係数aとして計算する。
【0061】
ステップ602:第4の出力信号の電力と第2の入力信号の電力との比を第2の係数bとして計算する。
【0062】
図6に示す態様では、信号が帯域阻止フィルタリングされて非線形デバイスに入力されると近似的に考えられる場合、非線形デバイスの出力信号と入力信号との振幅又はモジュラスの比を使用して、利得圧縮補正係数を計算してもよい。
【0063】
ステップ601では、ノッチ信号の電力及び第1の出力信号の電力の両方は、測定によって取得されてもよく、例えば、測定すべき信号が帯域阻止フィルタリングにより取得された後のノッチ信号(例えば、図3の302又は302a)のスペクトルでの総電力を、ノッチ信号の電力Pin(x-xnotch)として測定してもよい。このノッチ信号が非線形デバイスに入力された場合、該非線形デバイスにより出力された第1の出力信号のスペクトルでの総電力を第1の出力信号の電力Ptotal(x-xnotch)として測定する。
【0064】
ステップ601において、次の式(4)に従って第1の係数aを近似的に計算してもよい。
【0065】
【数4】
ステップ602において、第2の入力信号は、第1の入力信号に対して帯域阻止フィルタリングを行って得られたものであり、該第2の入力信号が該非線形デバイスに入力される場合、該非線形デバイスは該第4の出力信号を出力する。
【0066】
ステップ602では、第2の入力信号の電力及び第4の出力信号の電力の両方は、測定によって取得されてもよく、例えば、第2の入力信号のスペクトルでの総電力を第2の入力信号の電力Pin(x-xg,notch)として測定してもよい。この非線形デバイスに第2の入力信号が入力された場合、この非線形デバイスにより出力された第4の出力信号のスペクトルでの総電力を第4の出力信号の電力Ptotal(x-xg,notch)として測定する。
【0067】
ステップ602において、次の式(5)に従って第2の係数bを近似的に計算してもよい。
【0068】
【数5】
図6に示す態様によれば、測定された値に基づいて簡単な方法で利得圧縮補正係数を算出することができる。
【0069】
図7は、利得圧縮補正係数の計算の他の例の概略図であり、ステップ202のさらに別の態様に対応する。
【0070】
図7に示すように、利得圧縮補正係数を計算する方法は、以下のステップを含む。
【0071】
ステップ701:第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータに基づいて、第3の出力信号における線形項の電力及び第2の出力信号における線形項の電力を計算する。
【0072】
ステップ702:測定すべき信号の電力及び第3の出力信号における線形項の電力に基づいて、第1の係数を計算し、第1の入力信号の電力及び第2の出力信号における線形項の電力に基づいて、第2の係数を計算する。
【0073】
ステップ703:算出された第1の係数及び第2の係数に基づいて、第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正して、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを取得する。
【0074】
ステップ701において、非線形デバイスの出力信号の総電力Ptotalは、線形項の電力Pcorrと直交項の電力Porthoとの和として考えてもよく、直交項の電力Porthoは、PNRortho(i-1)の逆数と総出力電力Ptotalとの積として表してもよい。従って、線形項の電力corrは、次の式(6)で表されてもよい。
【0075】
【数6】
ここで、PNRorthoは、第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを表す。
【0076】
ステップ701では、第3の出力信号の線形項の電力を計算するために、上記の式(6)を次の式(6a)に変換してもよい。
【0077】
【数7】
ここで、Pcorr(x)は第3の出力信号における線形項の電力を表し、Ptotal(x)は第3の出力信号の総電力を表す。
【0078】
ステップ701において、第2の出力信号における線形項の電力を計算するために、上記の式(6)を次の式(6b)に変換してもよい。
【0079】
【数8】
ここで、Pcorr(x)は第2の出力信号における線形項の電力を表し、Ptotal(x)は第2の出力信号の総電力を表す。
【0080】
ステップ702において、測定すべき信号の電力Pin(x)と第3の出力信号における線形項の電力Pcorr(x)とに基づいて第1の係数aを計算し、例えば、次の式(7)に従って第1の係数aを計算してもよい。
【0081】
【数9】
ステップ702において、第1の入力信号の電力Pin(x)と第2の出力信号の線形項の電力Pcorr(x)とに基づいて第2の係数bを計算し、例えば、次の式(8)に従って第2の係数bを計算してもよい。
【0082】
【数10】
ステップ703では、算出された第1の係数及び第2の係数に基づいて、第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータPNRortho(i-1)を補正し、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータPNRortho(i)を取得する。
【0083】
例えば、ステップ703において、式(1)と類似する式(9)を使用して、今回の修正後の第2の非線形相関パラメータPNRortho(i)を取得してもよい。
【0084】
【数11】
上記の式(6)、(6a)、(6b)、(9)において、iは、自然数であってもよく、現在の処理がステップ701~ステップ703の循環的な反復処理のうちの何回目の処理であるかを示すために用いられる。ここで、i=1の場合、現在の処理がステップ701~ステップ703の循環的な反復処理のうちの1回目の処理(即ち、初期の処理)であることを意味する。この場合、上記の式(9)は、次の式(9a)で表される。
【0085】
【数12】
ここで、PNRortho(0)は第1の非線形相関パラメータを表し、即ち、式(9a)におけるPNRortho(0)と式(1)におけるPNRortho(0)とは等しい。
【0086】
また、図7に示すように、利得圧縮補正係数を計算する方法は、以下のステップをさらに含んでもよい。
【0087】
ステップ704:今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが所定の条件を満たすか否かを判断する。
【0088】
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータPNRortho(i)が所定の条件を満たす場合、今回のステップ702により算出された第1の係数a及び第2の係数bを利得圧縮補正係数として決定し、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータPNRortho(i)を第2の非線形相関パラメータとし、即ちPNRortho(i)を式(1)におけるPNRorthoとする。この際に、ステップ703では、PNRortho相当するPNRortho(i)が算出されたため、図2におけるステップ203を行わず、即ち、図2におけるステップ202及びステップ203は図7のステップ701~ステップ704により実現される。
【0089】
また、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータPNRortho(i)が所定の条件を満たさない場合、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータPNRortho(i)を前回の補正後の第2の非線形相関パラメータとして、第1の係数(a)及び第2の係数(b)を再度計算し、該前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正し、即ち、i+1回目のステップ701~ステップ703の処理を行う。
【0090】
ステップ704において、所定の条件は、例えば、iが所定の数値に達したこと、即ち、ステップ701~ステップ703の循環的な反復処理が所定の回数に達したことであり、又は、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータPNRortho(i)と前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータPNRortho(i-1)との差と前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータPNRortho(i-1)との比が閾値T2以下であること、例えば
(外1)
、又は、連続的なk回の算出されたPNRortho(i-1)の平均二乗誤差が閾値T3よりも小さいこと(kは自然数である)であってもよい。なお、本実施例はこれらに限定されず、該所定の条件は他の条件であってもよい。
【0091】
本発明の実施例1によれば、ノッチ信号内のフィルタリングにより除去された部分の信号をシミュレートするための第1の入力信号を非線形デバイスに入力し、非線形デバイスの出力信号に基づいて従来のPNRテスト方法により取得された非線形相関パラメータを補正することで、該測定すべき信号を伝送する際の非線形デバイスの非線形相関パラメータを正確に取得することができる。これによって、如何なる信号確率分布を有する測定すべき信号に対しても非線形相関パラメータを正確に計算することができる。また、高価な高周波波形解析装置の使用を回避することができる。
【0092】
図8は、本発明の実施例1の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法の効果の一例を示す図である。図8に示すように、折れ線801は、図1の従来のPNRテスト方法を用いて得られた異なる周波数でのPNR(第1の非線形相関パラメータに対応する)を示し、折れ線802は、図2の方法を用いて得られた異なる周波数でのPNR(第2の非線形相関パラメータに対応する)を示し、折れ線803は、異なる周波数でのPNRの目標値(即ち、PNRの実際値)を示す。横軸は周波数を表し、単位はGHzであり、縦軸はPNRを表し、単位はdBである。
【0093】
図8に示すように、本発明の実施例1の方法を用いて得られたPNRは、従来のPNRテスト方法によって得られたPNRよりもPNRの目標値に近く、即ち、本発明の実施例1の方法により得られたPNRの方がより正確である。
【0094】
<実施例2>
本発明の実施例2は、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置を提供する。該装置の問題を解決するための原理は、実施例1の方法と類似するため、その具体的な実施は、実施例1の方法の実施を参照してもよく、同様な内容について重複する説明を省略する。
【0095】
図9は、本発明の実施例2の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置の一例の概略図である。図9に示すように、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900は、以下の各部を含む。
【0096】
第1の処理部901は、測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、該ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の該非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、該測定すべき信号を伝送する際の該非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算する。
【0097】
第2の処理部902は、第1の入力信号が該非線形デバイスに入力された後の該非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算する。該第1の入力信号と該測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する。
【0098】
第3の処理部903は、該利得圧縮補正係数に基づいて該第1の非線形相関パラメータを補正し、該測定すべき信号を伝送する際の該非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得する。
【0099】
本実施例では、該第1の非線形相関パラメータ又は該第2の非線形相関パラメータは、電力対雑音比を含む。
【0100】
本実施例では、該第1の入力信号の信号確率分布は、該測定すべき信号が該帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号に基づいて取得された信号確率分布、又は、ガウス分布に基づいて取得された信号確率分布を含む。
【0101】
本実施例では、該利得圧縮補正係数は、第1の係数及び第2の係数を含む。ここで、該第1の係数は、該測定すべき信号が該非線形デバイスに入力された後の該非線形デバイスの第3の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと該測定すべき信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表し、該第2の係数は、該第2の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと該第1の入力信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表す。
【0102】
図10は、第2の処理部902の一例の概略図である。図10に示すように、第2の処理部902は、以下の各部を含む。
【0103】
第4の処理部1001は、該第3の出力信号の電力と該測定すべき信号の電力との比を該第1の係数として計算する。
【0104】
第5の処理部1002は、該第2の出力信号の電力と該第1の入力信号の電力との比を該第2の係数として計算する。
【0105】
図11は、第2の処理部902の他の例の概略図である。図11に示すように、第2の処理部902は、以下の各部を含む。
【0106】
第6の処理部1101は、該第1の出力信号の電力と該ノッチ信号の電力との比を該第1の係数として計算する。
【0107】
第7の処理部1102は、第4の出力信号の電力と第2の入力信号の電力との比を該第2の係数として計算する。
【0108】
ここで、該第2の入力信号は、該第1の入力信号に対して該帯域阻止フィルタリングを行って得られたものであり、該第2の入力信号が該非線形デバイスに入力される後に、該非線形デバイスは該第4の出力信号を出力する。
【0109】
図12は、第2の処理部902の他の例の概略図である。図12に示すように、第2の処理部902は、以下の各部を含む。
【0110】
第8の処理部1201は、該第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータに基づいて、該第3の出力信号における線形項の電力及び該第2の出力信号における線形項の電力を計算する。
【0111】
第9の処理部1202は、該測定すべき信号の電力及び該第3の出力信号における線形項の電力に基づいて、該第1の係数を計算し、該第1の入力信号の電力及び該第2の出力信号における線形項の電力に基づいて、該第2の係数を計算する。
【0112】
第10の処理部1203は、算出された該第1の係数及び該第2の係数に基づいて、該第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正して、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを取得する。
【0113】
図12では、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが所定の条件を満たす場合、第2の処理部902は、算出された該第1の係数及び該第2の係数を該利得圧縮補正係数として決定し、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを該第2の非線形相関パラメータとする。また、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが該所定の条件を満たさない場合、第2の処理部902は、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを該前回の補正後の第2の非線形相関パラメータとして、第1の係数及び第2の係数を再度計算し、該前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正する。
【0114】
なお、図12に示すように第2の処理部902が構成されている場合、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900は、第3の処理部903を別途設けなくてもよく、即ち、第3の処理部903の機能を図12に示す第2の処理部902に組み込むようにしてもよい。
【0115】
なお、本実施例では、各ユニットの具体的な説明は、実施例1における対応するステップの説明を参照してもよく、ここでその説明を省略する。
【0116】
本発明の実施例2によれば、該測定すべき信号を伝送する際の非線形デバイスの非線形相関パラメータを正確に取得することができる。これによって、如何なる信号確率分布を有する測定すべき信号に対しても非線形相関パラメータを正確に計算することができる。また、高価な高周波波形解析装置の使用を回避することができる。
【0117】
<実施例3>
本発明の実施例は、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定するシステムをさらに提供する。該システムは、非線形デバイスと、実施例2に記載の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置とを含み、その内容はここに組み込まれる。該非線形デバイスは、電気入力電気出力デバイス、例えば無線周波数増幅器であってもよし、光信号を入力とし、電気信号を出力とする光入力電気出力デバイス、例えばトランスインピーダンス増幅器を有する光コヒーレント受信機であってもよい。なお、本発明の実施例はこれらに限定されない。
【0118】
図13は、本発明の実施例3の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定するシステムの構成の一例の概略図である。図13に示すように、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定するシステムは、非線形デバイス1301と、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900とを含み、該非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900は、第1の処理部901、第2の処理部902及び第3の処理部903を含み、その具体的な態様は、実施例2を参照してもよく、ここでその説明を省略する。
【0119】
図14は、電子機器の構成の一例の概略図である。図14に示すように、電子機器1400は、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP))1410、及びメモリ1420を含む。メモリ1420は、プロセッサ1410に接続される。メモリ1420は、様々なデータを記憶してもよく、情報処理のプログラムをさらに記憶してもよい。プロセッサ1410の制御により該プログラムを実行する。また、電子機器1400は、信号送信機1430を含む。電子機器1400は、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900の機能を実現することができる。
【0120】
1つの態様では、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900の機能はプロセッサ1410に統合されてもよい。ここで、プロセッサ1410は、実施例1に記載された非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法を実現するように構成されてもよい。
【0121】
もう1つの態様では、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900はプロセッサ1410とそれぞれ配置されてもよく、例えば、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900はプロセッサ1410に接続されたチップであり、プロセッサ1410の制御により非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置900の機能を実現するように構成されてもよい。
【0122】
なお、電子機器1400は、図14に示す構成要素の全てを含む必要はない。さらに、電子機器1400は、図14に示されていない構成要素を含んでもよく、関連技術を参照してもよい。
【0123】
本発明の実施例によれば、該測定すべき信号を伝送する際の非線形デバイスの非線形相関パラメータを正確に取得することができる。これによって、如何なる信号確率分布を有する測定すべき信号に対しても非線形相関パラメータを正確に計算することができる。また、高価な高周波波形解析装置の使用を回避することができる。
【0124】
本発明の実施例は、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置においてプログラムを実行する際に、コンピュータに、該非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置において上記実施例1に記載の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能なプログラムをさらに提供する。
【0125】
本発明の実施例は、コンピュータに、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する装置において上記実施例1に記載の非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する、記憶媒体をさらに提供する。
【0126】
本発明の実施例を参照しながら説明したフィルタリング特性を測定する装置においてフィルタリング特性を測定する方法は、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組み合わせで実施されてもよい。例えば、図面に示す機能的ブロック図における1つ若しくは複数、又は機能的ブロック図の1つ若しくは複数の組み合わせは、コンピュータプログラムフローの各ソフトウェアモジュールに対応してもよいし、各ハードウェアモジュールに対応してもよい。これらのソフトウェアモジュールは、図面に示す各ステップにそれぞれ対応してもよい。これらのハードウェアモジュールは、例えばフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を用いてこれらのソフトウェアモジュールをハードウェア化して実現されてもよい。
【0127】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、モバイルハードディスク、CD-ROM又は当業者にとって既知の任意の他の形の記憶媒体に位置してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ったり、記憶媒体に情報を書き込むように該記憶媒体をプロセッサに接続してもよいし、記憶媒体がプロセッサの構成部であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体はASICに位置する。該ソフトウェアモジュールは、フィルタリング特性を測定する装置のメモリに記憶されてもよいし、フィルタリング特性を測定する装置に挿入されたメモリカードに記憶されてもよい。
【0128】
図面に記載されている一つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの一つ以上の組合せは、本願に記載されている機能を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理装置、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の適切な組み合わせで実現されてもよい。図面に記載されている一つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの一つ以上の組合せは、例えば、コンピューティング機器の組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSP通信と組み合わせた1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は他の任意の構成で実現されてもよい。
【0129】
以上は具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明しているが、上記の説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の保護の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨及び原理を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び変更を行ってもよく、これらの変形及び変更も本発明の範囲に属する。
【0130】
また、上述の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
プロセッサと、コンピュータ読み取り可能なプログラムが記憶されたメモリと、を含む電子機器であって、前記プロセッサは、前記コンピュータ読み取り可能なプログラムを実行する際に、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法を実現し、前記方法は、
測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、前記ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算するステップと、
第1の入力信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算するステップであって、前記第1の入力信号と前記測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する、ステップと、
前記利得圧縮補正係数に基づいて前記第1の非線形相関パラメータを補正し、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得するステップと、を含む、電子機器。
(付記2)
前記第1の非線形相関パラメータ又は前記第2の非線形相関パラメータは、電力対雑音比を含む、付記1に記載の電子機器。
(付記3)
前記第1の入力信号の信号確率分布は、
前記測定すべき信号が前記帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号に基づいて取得された信号確率分布、又は
ガウス分布に基づいて取得された信号確率分布を含む、付記1に記載の電子機器。
(付記4)
前記利得圧縮補正係数は、第1の係数及び第2の係数を含み、
前記第1の係数は、前記測定すべき信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第3の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記測定すべき信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表し、
前記第2の係数は、前記第2の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記第1の入力信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表す、付記1に記載の電子機器。
(付記5)
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第3の出力信号の電力と前記測定すべき信号の電力との比を前記第1の係数として計算するステップと、
前記第2の出力信号の電力と前記第1の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算するステップと、を含む、付記4に記載の電子機器。
(付記6)
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第1の出力信号の電力と前記ノッチ信号の電力との比を前記第1の係数として計算するステップと、
第4の出力信号の電力と第2の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算するステップと、を含み、
前記第2の入力信号は、前記第1の入力信号に対して前記帯域阻止フィルタリングを行って得られたものであり、
前記第2の入力信号が前記非線形デバイスに入力される後に、前記非線形デバイスは前記第4の出力信号を出力する、付記4に記載の電子機器。
(付記7)
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータに基づいて、前記第3の出力信号における線形項の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力を計算するステップと、
前記測定すべき信号の電力及び前記第3の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第1の係数を計算し、前記第1の入力信号の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第2の係数を計算するステップと、
算出された前記第1の係数及び前記第2の係数に基づいて、前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正して、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを取得するステップと、を含み、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが所定の条件を満たす場合、算出された前記第1の係数及び前記第2の係数を前記利得圧縮補正係数として決定し、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記第2の非線形相関パラメータとする、付記4に記載の電子機器。
(付記8)
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが前記所定の条件を満たさない場合、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記前回の補正後の第2の非線形相関パラメータとして、第1の係数及び第2の係数を再度計算し、前記前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正する、付記7に記載の電子機器。
(付記9)
コンピュータ読み取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能なプログラムは、非線形デバイスの非線形相関パラメータを測定する方法をコンピュータに実現させ、前記方法は、
測定すべき信号に対して帯域阻止フィルタリングしてノッチ信号を生成し、前記ノッチ信号が非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第1の出力信号に基づいて、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第1の非線形相関パラメータを計算するステップと、
第1の入力信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第2の出力信号に基づいて利得圧縮補正係数を計算するステップであって、前記第1の入力信号と前記測定すべき信号とは、同一の電力及び異なる信号確率分布を有する、ステップと、
前記利得圧縮補正係数に基づいて前記第1の非線形相関パラメータを補正し、前記測定すべき信号を伝送する際の前記非線形デバイスの第2の非線形相関パラメータを取得するステップと、を含む、記憶媒体。
(付記10)
前記第1の非線形相関パラメータ又は前記第2の非線形相関パラメータは、電力対雑音比を含む、付記9に記載の記憶媒体。
(付記11)
前記第1の入力信号の信号確率分布は、
前記測定すべき信号が前記帯域阻止フィルタリングにより除去された部分の信号に基づいて取得された信号確率分布、又は
ガウス分布に基づいて取得された信号確率分布を含む、付記9に記載の記憶媒体。
(付記12)
前記利得圧縮補正係数は、第1の係数及び第2の係数を含み、
前記第1の係数は、前記測定すべき信号が前記非線形デバイスに入力された後の前記非線形デバイスの第3の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記測定すべき信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表し、
前記第2の係数は、前記第2の出力信号における線形項の二乗平均平方根振幅又はモジュラスと前記第1の入力信号の二乗平均平方根振幅又はモジュラスとの比を表す、付記9に記載の記憶媒体。
(付記13)
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第3の出力信号の電力と前記測定すべき信号の電力との比を前記第1の係数として計算するステップと、
前記第2の出力信号の電力と前記第1の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算するステップと、を含む、付記12に記載の記憶媒体。
(付記14)
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第1の出力信号の電力と前記ノッチ信号の電力との比を前記第1の係数として計算するステップと、
第4の出力信号の電力と第2の入力信号の電力との比を前記第2の係数として計算するステップと、を含み、
前記第2の入力信号は、前記第1の入力信号に対して前記帯域阻止フィルタリングを行って得られたものであり、
前記第2の入力信号が前記非線形デバイスに入力される後に、前記非線形デバイスは前記第4の出力信号を出力する、付記12に記載の記憶媒体。
(付記15)
前記利得圧縮補正係数を計算するステップは、
前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータに基づいて、前記第3の出力信号における線形項の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力を計算するステップと、
前記測定すべき信号の電力及び前記第3の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第1の係数を計算し、前記第1の入力信号の電力及び前記第2の出力信号における線形項の電力に基づいて、前記第2の係数を計算するステップと、
算出された前記第1の係数及び前記第2の係数に基づいて、前記第1の非線形相関パラメータ又は前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正して、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを取得するステップと、を含み、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが所定の条件を満たす場合、算出された前記第1の係数及び前記第2の係数を前記利得圧縮補正係数として決定し、今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記第2の非線形相関パラメータとする、付記12に記載の記憶媒体。
(付記16)
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータが前記所定の条件を満たさない場合、
今回の補正後の第2の非線形相関パラメータを前記前回の補正後の第2の非線形相関パラメータとして、第1の係数及び第2の係数を再度計算し、前記前回の補正後に得られた第2の非線形相関パラメータを補正する、付記15に記載の記憶媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14