(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
F02B39/00 S
F02B39/00 C
(21)【出願番号】P 2023543680
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2022017383
(87)【国際公開番号】W WO2023026581
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2021138212
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 大博
(72)【発明者】
【氏名】川満 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 能成
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-129928(JP,U)
【文献】特開平07-189725(JP,A)
【文献】国際公開第2016/010847(WO,A1)
【文献】特開2019-127944(JP,A)
【文献】特開2021-076077(JP,A)
【文献】実開平06-073337(JP,U)
【文献】特開2016-014353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
各々が前記ハウジングの外面の少なくとも一部を囲う複数のカバーであって、前記複数のカバーは、少なくとも第1のカバーおよび第2のカバーを含み、前記複数のカバーの各々は、当該カバーと前記ハウジングの外面との間に断熱材を収容する、複数のカバーと、
前記ハウジングの外面上に直接的に配置され、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーを連結する連結ピースと、
を備え
、
前記複数のカバーは、過給機のシャフトの円周方向に沿って配置され、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーは、それらの間に前記円周方向の隙間を有し、
前記連結ピースは、前記円周方向の隙間に配置され、前記複数のカバーおよび前記連結ピースによって、前記ハウジングの周りに閉ループが規定される、過給機。
【請求項2】
前記第1のカバー、前記第2のカバーおよび前記連結ピースは、同一の金属で形成される、請求項1に記載の過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、過給機に関する。本出願は2021年8月26日に提出された日本特許出願第2021-138212号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
過給機は、排気ガスの温度低下を抑制するために、断熱材を備える場合がある。例えば、特許文献1に開示される過給機は、過給機のタービンハウジングを囲むカバーと、タービンハウジングの外面との間に断熱材を備える。カバーは、概ね円筒形状を有しており、軸線方向に沿って2つの部分に分割される。2つの部分は、溶接によって互いに結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過給機のハウジングは、様々な形状を有し得る。したがって、ハウジングの形状によっては、断熱材を収容するカバーをハウジングに対して取り付けることが困難な場合がある。したがって、ハウジングに対するカバーの取付を改良することができる技術の開発が望まれる。
【0005】
本開示は、上記のような課題を考慮して、ハウジングに対するカバーの取付を改良することができる、過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る過給機は、ハウジングと、各々がハウジングの外面の少なくとも一部を囲う複数のカバーであって、複数のカバーは、少なくとも第1のカバーおよび第2のカバーを含み、複数のカバーの各々は、当該カバーとハウジングの外面との間に断熱材を収容する、複数のカバーと、ハウジングの外面上に直接的に配置され、第1のカバーおよび第2のカバーを連結する連結ピースと、を備え、複数のカバーは、過給機のシャフトの円周方向に沿って配置され、第1のカバーおよび第2のカバーは、それらの間に円周方向の隙間を有し、連結ピースは、円周方向の隙間に配置され、複数のカバーおよび連結ピースによって、ハウジングの周りに閉ループが規定される。
【0007】
第1のカバー、第2のカバーおよび連結ピースは、同一の金属で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ハウジングに対するカバーの取付を改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る過給機を示す概略的な断面図である。
【
図2】
図2は、カバーと共にタービンハウジングを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、カバー無しにタービンハウジングを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、カバーと共にタービンハウジングを示す別方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る過給機TCを示す概略的な断面図である。例えば、過給機TCは、エンジンに適用される。過給機TCは、ハウジング1と、シャフト7と、タービンインペラ8と、コンプレッサインペラ9と、を備える。
【0013】
後述するように、タービンインペラ8およびコンプレッサインペラ9は、シャフト7と一体的に回転する。したがって、シャフト7の中心軸線方向、径方向および円周方向は、タービンインペラ8およびコンプレッサインペラ9に共通である。本開示では、これらシャフト7、タービンインペラ8およびコンプレッサインペラ9の中心軸線方向、径方向および円周方向は、他に指示が無い限り、それぞれ単に「中心軸線方向」、「径方向」および「円周方向」と称され得る。
【0014】
ハウジング1は、ベアリングハウジング2と、タービンハウジング3と、コンプレッサハウジング4と、を含む。中心軸線方向において、ベアリングハウジング2の一方の端部は、Gカップリング等の締結機構21aによってタービンハウジング3に連結される。中心軸線方向において、ベアリングハウジング2の他方の端部は、締結ボルト等の締結機構21bによってコンプレッサハウジング4に連結される。例えば、ベアリングハウジング2、タービンハウジング3およびコンプレッサハウジング4は、鋳鉄によって形成される。
【0015】
タービンハウジング3には、複数のカバー31,32,33が取り付けられる。なお、
図1には、カバー33は示されていない。本開示において、カバー31,32,33は、「インシュレータカバー」とも称され得る。カバー31,32は、カバー31,32とタービンハウジング3の外面30との間に、断熱材41,42を収容する。カバー31,32,33については、詳しくは後述する。
【0016】
ベアリングハウジング2は、軸受孔22を含む。軸受孔22は、ベアリングハウジング2内を中心軸線方向に延在する。軸受孔22は、一対の転がり軸受50,60を収容する。転がり軸受50,60は、シャフト7を回転可能に支持する。一対の転がり軸受50,60は、中心軸線方向に互いに離間する。
【0017】
中心軸線方向において、シャフト7の第1の端部には、タービンインペラ8が設けられる。タービンインペラ8は、シャフト7と一体的に回転する。タービンインペラ8は、タービンハウジング3に回転可能に収容される。中心軸線方向において、第1の端部とは反対側のシャフト7の第2の端部には、コンプレッサインペラ9が設けられる。コンプレッサインペラ9は、シャフト7と一体的に回転する。コンプレッサインペラ9は、コンプレッサハウジング4に回転可能に収容される。
【0018】
コンプレッサハウジング4は、中心軸線方向においてベアリングハウジング2と反対側の端部に、吸気口10を含む。吸気口10は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング2およびコンプレッサハウジング4は、それらの間にディフューザ流路11を規定する。ディフューザ流路11は、径方向の内側から外側に向けて拡がる。ディフューザ流路11は、環状形状を有する。ディフューザ流路11は、コンプレッサインペラ9を介して吸気口10に連通する。
【0019】
コンプレッサハウジング4は、コンプレッサスクロール流路12を含む。コンプレッサスクロール流路12は、ディフューザ流路11に対して径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路12は、ディフューザ流路11と連通する。また、コンプレッサスクロール流路12は、不図示のエンジンの吸気口と連通する。
【0020】
上記のようなコンプレッサハウジング4では、コンプレッサインペラ9が回転すると、吸気口10からコンプレッサハウジング4内に空気が吸気される。吸気は、コンプレッサインペラ9の翼の間の空間を通る間に、遠心力によって増速される。増速された空気は、ディフューザ流路11およびコンプレッサスクロール流路12で加圧される。加圧された空気は、不図示の吐出口から流出し、エンジンの吸気口に導かれる。
【0021】
タービンハウジング3は、中心軸線方向においてベアリングハウジング2と反対側の端部に、吐出口13を含む。吐出口13は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。タービンハウジング3は、連結流路14を含む。連結流路14は、径方向の内側から外側に向けて拡がる。連結流路14は、環状形状を有する。連結流路14は、タービンインペラ8を介して吐出口13に連通する。
【0022】
タービンハウジング3は、タービンスクロール流路15を含む。タービンスクロール流路15は、連結流路14に対して径方向の外側に位置する。タービンスクロール流路15は、連結流路14と連通する。また、タービンスクロール流路15は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口は、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスを受け入れる。
【0023】
上記のようなタービンハウジング3では、排気ガスは、ガス流入口からタービンスクロール流路15に導かれ、さらに、連結流路14およびタービンインペラ8を介して吐出口13に導かれる。排気ガスは、タービンインペラ8の翼の間の空間を通る間に、タービンインペラ8を回転させる。タービンインペラ8の回転力は、シャフト7を介してコンプレッサインペラ9に伝達される。コンプレッサインペラ9が回転すると、上記のとおりに空気が加圧される。こうして、加圧された空気がエンジンの吸気口に導かれる。
【0024】
続いて、カバー31,32,33について説明する。
【0025】
図2は、カバー31,32,33と共にタービンハウジング3を示す斜視図であり、タービンハウジング3の内側、すなわち、ベアリングハウジング2と対向する側を示す。
図3は、カバー31,32,33無しにタービンハウジング3を示す斜視図であり、
図2と同じ方向からタービンハウジング3を示す。
【0026】
図2を参照して、上記のように、タービンハウジング3には、複数のカバー31,32,33が取り付けられる。本実施形態では、3つのカバー31,32,33が、タービンハウジング3に取り付けられる。他の実施形態では、3つより多いまたは3つより少ないカバーが、タービンハウジング3に取り付けられてもよい。
【0027】
カバー31,32,33は、円周方向にタービンハウジング3を囲う。具体的には、カバー31,32,33は、径方向において中心軸線から最も離れたタービンハウジング3の輪郭に沿って、タービンハウジング3を囲う。カバー31,32,33は、円周方向に互いに分割されている。他の実施形態では、カバーは、例えば、中心軸線方向に互いに分割されていてもよい。
【0028】
図1を参照して、カバー31,32,33の各々は、タービンハウジング3の外面30と各カバー31,32,33との間に、空間を有する。なお、上記のように、
図1には、カバー33は示されていない。カバー31は、カバー31とタービンハウジング3の外面30との間の空間に、断熱材41を収容する。また、カバー32は、カバー32とタービンハウジング3の外面30との間の空間に、断熱材42を収容する。また、
図2および
図3を参照して、カバー33(
図2)は、カバー33とタービンハウジング3の外面30との間の空間に、断熱材43(
図3)を収容する。断熱材41,42,43は、例えば、シリカ繊維およびバインダを含む材料によって形成されてもよい。断熱材41,42,43の材料はこれに限定されず、他の材料が使用されてもよい。例えば、断熱材41,42,43は、カバー31,32,33の内面に固定されてもよく、または、タービンハウジング3の外面30に固定されてもよい。
【0029】
図4は、カバー31,32,33と共にタービンハウジング3を示す別方向から見た斜視図であり、タービンハウジング3の外側を示す。すなわち、
図4は、
図2と反対の方向からタービンハウジング3を示す。第1のカバー31は、円周方向において第1の端部31aおよび第2の端部31bを含む。第2のカバー32は、円周方向において第1の端部32aおよび第2の端部32bを含む。第3のカバー33は、円周方向において第1の端部33aおよび第2の端部33bを含む。
【0030】
第1のカバー31は、第2の端部31bにフランジ31cを含む。フランジ31cは、タービンハウジング3の外面30から離間するように突出し、さらに、突出方向に概ね直角に曲げられている。例えば、フランジ31cは、第1のカバー31の第2の端部31bの縁部に沿って設けられる。また、第3のカバー33は、第1の端部33aにフランジ33cを含む。フランジ33cは、フランジ31cに対応する形状を有する。すなわち、フランジ33cは、タービンハウジング3の外面30から離間するように突出し、さらに、突出方向に概ね直角に曲げられている。例えば、フランジ33cは、第3のカバー33の第1の端部33aの縁部に沿って設けられる。本実施形態では、第1のカバー31および第3のカバー33は、同じ金属、例えばステンレスによって形成されており、フランジ31cおよびフランジ33cは、溶接によって互いに固定される。フランジ31cおよびフランジ33cの固定手段は溶接に限らず、例えば、ボルト、針金またはフック等の他の固定手段が用いられてもよい。
【0031】
第2のカバー32は、第1の端部32aにフランジ32cを含む。フランジ32cは、タービンハウジング3の外面30から離間するように突出し、さらに、突出方向に概ね直角に曲げられている。例えば、フランジ32cは、第2のカバー32の第1の端部32aの縁部に沿って設けられる。また、第3のカバー33は、第2の端部33bにフランジ33dを含む。フランジ33dは、フランジ32cに対応する形状を有する。すなわち、フランジ33dは、タービンハウジング3の外面30から離間するように突出し、さらに、突出方向に概ね直角に曲げられている。例えば、フランジ33dは、第3のカバー33の第2の端部33bの縁部に沿って設けられる。本実施形態では、第2のカバー32および第3のカバー33は、同じ金属、例えばステンレスによって形成されており、フランジ32cおよびフランジ33dは、溶接によって互いに固定される。フランジ32cおよびフランジ33dの固定手段は溶接に限らず、他の固定手段が用いられてもよい。
【0032】
上記のように、第1のカバー31および第3のカバー33は、円周方向に連続的に配置され、フランジ31cおよびフランジ33cによって直接的に固定される。同様に、第2のカバー32および第3のカバー33は、円周方向に連続的に配置され、フランジ32cおよびフランジ33dによって直接的に固定される。しかしながら、タービンハウジング3は、タービンスクロール流路15を規定するスクロール壁16を含む。また、スクロール壁16には、フランジ17が設けられる。本実施形態では、これらスクロール壁16およびフランジ17の位置に起因して、第1のカバー31および第2のカバー32を円周方向に連続して配置することが困難である。したがって、第1のカバー31および第2のカバー32は、第1のカバー31の第1の端部31aと、第2のカバー32の第2の端部32bとの間に、円周方向に隙間gを有する。第1のカバー31の第1の端部31aと、第2のカバー32の第2の端部32bとは、隙間gを橋渡しする連結ピース34によって、互いに間接的に連結される。
【0033】
図2および
図4を参照して、本実施形態では、2つの連結ピース34が使用される。他の実施形態では、1つのみの連結ピース34が使用されてもよく、または、3つ以上の連結ピース34が使用されてもよい。2つの連結ピース34は、中心軸線方向においてタービンハウジング3の両方の面、例えばスクロール壁16の両方の面に、タービンスクロール流路15を挟んで配置される。各連結ピース34の一方の端部は、第1のカバー31の第1の端部31aに連結され、他方の端部は、第2のカバー32の第2の端部32bに連結される。本実施形態では、連結ピース34は、第1のカバー31および第2のカバー32と同じ金属、例えばステンレスによって形成されており、溶接によって第1のカバー31および第2のカバー32に固定される。連結ピース34の第1のカバー31および第2のカバー32への固定手段は溶接に限らず、例えば、ボルト、針金またはフック等の他の固定手段が用いられてもよい。
【0034】
連結ピース34は、タービンハウジング3の外面30上に直接的に配置される。すなわち、連結ピース34は、断熱材41を収容しない。別の観点では、連結ピース34は、第1のカバー31および第2のカバー32を橋渡しするためのみに使用される。例えば、連結ピース34は、タービンハウジング3の外面30と接触してもよく、または、外面30と非接触であってもよく、または、外面30と部分的に接触してもよい。
【0035】
上記のように、カバー31,32,33および連結ピース34は、円周方向に互いに連結され、タービンハウジング3の周りに閉ループを規定する。したがって、カバー31,32,33および連結ピース34は、タービンハウジング3により強固に巻き付くことができ、これによって、カバー31,32,33は、タービンハウジング3により強固に固定される。
【0036】
なお、本実施形態では、カバー31,32,33の各々は、上記のカバー31,32,33および連結ピース34によるタービンハウジング3への巻き付きに加えて、スポット溶接によってタービンハウジング3の外面30に直接的に固定される。また、連結ピース34も同様に、スポット溶接によってタービンハウジング3の外面30に直接的に固定されてもよい。しかしながら、タービンハウジング3の外面30は鋳肌を含む。カバー31,32,33が鋳肌にスポット溶接される場合、スポット溶接の強度は低くなる場合がある。したがって、過給機TCが長期の使用によって繰り返し熱応力に晒されると、スポット溶接は、タービンハウジング3の外面30から剥がれる可能性がある。しかしながら、本実施形態では、カバー31,32,33および連結ピース34が、タービンハウジング3の周りに閉ループを規定するため、鋳肌へのスポット溶接が剥がれる場合にも、カバー31,32,33および連結ピース34は、引き続きタービンハウジング3に固定される。
【0037】
以上のような過給機TCは、タービンハウジング3と、各々がタービンハウジング3の外面30の少なくとも一部を囲う複数のカバー31,32,33であって、複数のカバー31,32,33は、少なくとも第1のカバー31および第2のカバー32を含み、複数のカバー31,32,33の各々は、当該カバー31,32,33とタービンハウジング3の外面30との間に断熱材41,42,43を収容する、複数のカバー31,32,33と、タービンハウジング3の外面30上に直接的に配置され、第1のカバー31および第2のカバー32を連結する連結ピース34と、を備える。このような構成によれば、タービンハウジング3の形状に起因して、第1のカバー31および第2のカバー32を連続的に配置できない場合であっても、連結のためのみに使用される連結ピース34によって、第1のカバー31および第2のカバー32を橋渡しすることができる。したがって、例えば、タービンハウジング3の形状が複雑な場合であっても、連結ピース34によって、複数のカバーをつなぎ留めることができる。よって、タービンハウジング3に対するカバー31,32,33の取付を改良することができる。
【0038】
また、過給機TCでは、第1のカバー31、第2のカバー32および連結ピース34は、同一の金属で形成される。したがって、過給機TCが繰り返し熱応力に晒されても、第1のカバー31、第2のカバー32および連結ピース34は、熱膨張に追従することができる。よって、第1のカバー31、第2のカバー32および連結ピース34のタービンハウジング3への取付が緩むことを抑制することができる。また、第1のカバー31、第2のカバー32および連結ピース34を溶接によって連結する場合、溶接の強度を向上することができる。
【0039】
また、過給機TCでは、複数のカバー31,32,33は、過給機TCのシャフト7の円周方向に沿って配置され、第1のカバー31および第2のカバー32は、それらの間に円周方向の隙間gを有し、連結ピース34は、隙間gに配置され、複数のカバー31,32,33および連結ピース34によって、タービンハウジング3の周りに閉ループが規定される。このような構成によれば、カバー31,32,33および連結ピース34は、タービンハウジング3により強固に巻き付くことができ、これによって、カバー31,32,33が、タービンハウジング3により強固に固定される。また、複数のカバー31,32,33および連結ピース34によって、タービンハウジング3の周りに閉ループが規定されることから、例えば、鋳肌へのスポット溶接が剥がれる場合にも、カバー31,32,33および連結ピース34を、引き続きタービンハウジング3に固定することができる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0041】
例えば、上記の実施形態では、連結ピース34は、タービンハウジング3に取り付けられるカバー31,32に適用される。しかしながら、追加的にまたは代替的に、他の実施形態では、連結ピースは、コンプレッサハウジング4に取り付けられる不図示のカバーに適用されてもよい。この場合、コンプレッサハウジング4の外面とカバーとの間には断熱材が収容される一方で、連結ピースは、コンプレッサハウジング4の外面上に直接的に配置される。
【符号の説明】
【0042】
3 タービンハウジング(ハウジング)
7 シャフト
31 第1のカバー
32 第2のカバー
33 第3のカバー
34 連結ピース
41 断熱材
42 断熱材
43 断熱材
g 隙間
TC 過給機