(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】クロップシャーの切断制御システム
(51)【国際特許分類】
B23D 36/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B23D36/00 503C
(21)【出願番号】P 2023565972
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2022027843
(87)【国際公開番号】W WO2024013976
(87)【国際公開日】2024-01-18
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑村 憲幸
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219356(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2236849(KR,B1)
【文献】特開平8-257831(JP,A)
【文献】特開2017-159412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延ラインを搬送走行中の被切断材を切断するクロップシャーの切断制御システムにおいて、
前記クロップシャーの入側に配置され、搬送走行中の前記被切断材の画像を検出する画像検出器を備え、
前記画像検出器により検出された画像データから前記被切断材の先端位置あるいは尾端位置及び移動量を求め、求めた前記被切断材の前記先端位置あるいは前記尾端位置及び前記移動量に基づいて前記クロップシャーの切断刃の駆動速度を補正するように構成されるクロップシャーの切断制御システム。
【請求項2】
前記被切断材の速度を検出する速度検出器を更に備え、前記速度検出器で検出された速度から前記切断刃の速度基準を算出し、前記被切断材の前記先端位置あるいは前記尾端位置及び前記速度を用いて前記速度基準を補正するように構成される請求項1に記載のクロップシャーの切断制御システム。
【請求項3】
前記クロップシャーを起動した後に、前記移動量を前記クロップシャーの弧長移動量と比較して前記補正を行うように構成される請求項1または請求項2に記載のクロップシャーの切断制御システム。
【請求項4】
前記画像検出器からの前記画像データの伝送遅れを考慮して前記補正を行うように構成される請求項2に記載のクロップシャーの切断制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クロップシャーの切断制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クロップシャーは、例えば鉄鋼プラントの熱間圧延ラインに設置され、搬送走行中の被切断材(鋼材)の先端あるいは尾端の形状不良部をクロップ切断するために用いられる。クロップシャーは、電動機のような駆動装置を駆動源とし、変速機を介して上下の切断刃で被切断材を切断するように構成されている。被切断材の歩留まりを向上させるためには、クロップシャーにより被切断材を所望の設定位置で精度良く切断する必要がある。
【0003】
熱間圧延ラインの粗圧延機出側には形状測定装置が設置され、被切断材の先端あるいは尾端の形状が測定される。測定した形状から被切断材の切断位置が設定される。プログラマブルロジックコントローラ(以下、「PLC」と記す)と搬送テーブルに取り付けられたレゾルバ等の速度検出器やクロップシャー出側に取り付けられたメジャーリングロールにより検出された速度を用いて被切断材の移動量を求め、この移動量からトラッキング制御をPLCにて行いクロップシャーの駆動タイミングを演算し、設定された切断位置で切断されるように構成されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1に開示された制御装置によりクロップシャーを制御するときは、被切断材検出器により被切断材を検出した後に、クロップシャーを起動するタイミングを演算する。この演算では、クロップシャー及び被切断材の加速率が一定であるものとして、被切断材の検出時点の速度と、被切断材の現在位置とに基づいて、クロップシャーの起動タイミングを算出する。以下、クロップシャーの起動タイミングの演算方法について説明する。
【0005】
先ず、クロップシャーの起動タイミングを生成するための距離LCUTは、下式(1)のように表される。下式(1)中、LMSは、被切断材検出器からクロップシャーの中心までの距離(設備上の絶対距離=一定値)であり、LSETは、被切断材の切断長さ(設定値)であり、LSは、クロップシャーが起動してから切断が実行されるまでに被切断材が進む距離である。
[式1]
LCUT=LMS-LSET-LS・・・(1)
【0006】
上式(1)中のL
MS及びL
SETは固定値である。このため、L
Sに誤差が含まれていなければ、設定した切断位置通りに被切断材を切断することができる。しかし、L
Sは、下式(2)の通り速度の関数を含んでいる。下式(2)中、L
cは、クロップシャーが起動してから切断するまでに回転する距離(一定)であり、Vは、被切断材の移動量(設定値)であり、Kは、リード率(設定値)であり、αは、クロップシャーの加速度(一定)である。Vは、材料速度に相当する。材料速度Vが一定であればL
sの誤差が小さいが、材料速度Vが変動するとL
sの誤差が大きくなる。
[式2]
【0007】
材料速度Vの変動分を補正するために、クロップシャー起動後のクロップシャー周速度と材料速度を比較し、クロップシャーの速度基準に速度補正を行う切断点追跡制御がある。クロップシャーが起動し、切断刃が切断を開始するまでの時間tsは、下式(3)のように表される。下式(3)中、lsは、クロップシャー切断刃の下死点までの距離(弧長)であり、ΔLsは、クロップシャー切断開始点から下死点までの距離(弧長)であり、Vbは、クロップシャー切断速度である。クロップシャー切断速度Vbは、後述する速度基準に対応する。
[式3]
ts=(ls-ΔLs)/Vb=(ls-ΔLs)/K・V・・・(3)
【0008】
一方、同一時刻における材料の被切断点が切断開始点に達するまでに要する時間tbは、下式(4)のように表される。下式(4)中、lbは、被切断材被切断点が下死点に達するまでの距離であり、lcは、被切断材被切断点の切断開始点から下死点までの距離である。
[式4]
tb=(lb-lc)/V・・・(4)
【0009】
lbは、下式(5)のように表される。下式(5)中、LCUTは、切断トラッキング開始からカット開始位置までの距離であり、LTRKは、クロップシャー起動後におけるカット切断点位置までの距離である。
[式5]
lb=LMS-LCUT-LTRK・・・(5)
【0010】
上式(3)と上式(4)が等しくなるように、即ち、ts=tbとなるように制御すれば良く、これにより下式(6)が得られる。
[式6]
(ls-ΔLs)/K-(lb-lc)=0・・・(6)
【0011】
上式(6)より、材料の移動量に対し切断刃の移動量が常に一定の関係になるように切断刃速度を制御すれば良い。
【0012】
以上の制御による切断刃速度の補正量vは、下式(7)のように表される。下式(7)中、ksは、位置制御ゲイン(=Δc/3)である。
[式7]
v=ks{(ls-ΔLs)/K-(lb-lc)}
=ks{(ls-ΔLs)/K-(LMS-LCUT-LTRK-lc)}・・・(7)
【0013】
また、下記特許文献2には、歩留まり向上させるために、被切断材の切断長さLSETを形状検出器によって測定することで、設定された切断点での切断精度を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】日本特開2012-66313号公報
【文献】日本特開2012-170997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、レゾルバやメジャーリングロールのような速度検出器を用いても、実際には被切断材の速度変動が生じ、その結果として、各速度検出器を使用してのトラッキングに誤差が存在することになり、設定された切断点での切断精度に誤差が発生してしまう。このような速度変動は、仕上圧延機の圧下率変動、被切断材の表面の凹凸(平坦でないこと)、速度検出器における被切断材の滑りなどに起因する。しかも、切断トラッキング開始以降、被切断材の実際の位置を検出し補正する仕組みがないため、各速度検出器で検出した被切断材の速度を使用してトラッキング制御を行わざるを得ない。
【0016】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、被切断材の速度変動が生じたとしても、設定された切断点での被切断材の切断誤差を可及的に抑制することが可能なクロップシャーの切断制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の観点は、熱間圧延ラインを搬送走行中の被切断材を切断するクロップシャーの切断制御システムに関連する。切断制御システムは、クロップシャーの入側に配置され、搬送走行中の被切断材の画像を検出する画像検出器を備える。画像検出器により検出された画像データから被切断材の先端位置あるいは尾端位置及び移動量を求め、求めた被切断材の先端位置あるいは尾端位置及び移動量に基づいてクロップシャーの切断刃の駆動速度を補正する。
【0018】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。切断制御システムは、被切断材の速度を検出する速度検出器を更に備える。速度検出器で検出された速度から切断刃の速度基準を算出し、被切断材の先端位置あるいは尾端位置及び移動量を用いて速度基準を補正する。
【0019】
第3の観点は、第1または第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。切断制御システムは、クロップシャーを起動した後に、移動量をクロップシャーの弧長移動量と比較して補正を行うように構成される。
【0020】
第4の観点は、第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。切断制御システムは、画像検出器からの画像データの伝送遅れを考慮して補正を行うように構成される。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、各速度検出器で検出された被切断材の速度ではなく、画像検出器で検出された被切断材の画像データから求めた被切断材の位置及び移動量に基づいてクロップシャーの切断刃の駆動速度を補正するように構成した。これにより、被切断材の速度変動が生じたとしても、設定された切断点での被切断材の切断誤差を可及的に抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態によるクロップシャーの切断制御システムを備える熱間圧延ラインの構成を説明するための図である。
【
図3】切断制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】クロップシャーの切断刃速度の補正について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図1は、実施の形態によるクロップシャーの切断制御システムを備える熱間圧延ラインの構成を説明するための図である。
【0025】
熱間圧延ラインLには、粗圧延機1と仕上圧延機2が設置されている。以下の説明では、粗圧延機1を上流側、仕上圧延機2を下流側とする。粗圧延機1と仕上圧延機2の間には、被切断材Mである鋼材(圧延材)を搬送し、図示省略するレゾルバ等の速度検出器が付設された搬送テーブル3が設置されている。熱間圧延ラインLには、搬送テーブル3上を搬送走行中の被切断材Mの先端あるいは尾端をクロップ切断可能なクロップシャー4が更に配置されている。クロップシャー4は、クロップシャー駆動装置40により駆動される。本実施の形態では、被切断材Mの先端を切断する場合を例に説明する。
【0026】
粗圧延機1の出側には、被切断材Mの形状を測定可能な形状検出器5が設置されている。形状検出器5の下流側には、被切断材Mの先端の通過を検出可能な被切断材検出器としての鋼材端検出器6が設置されている。クロップシャー4の下流側、且つ、仕上圧延機2の入側には、被切断材Mの尾端速度を検出可能なメジャーリングロール7が設置されている。
【0027】
熱間圧延ラインLには、本実施の形態による切断制御システムが設けられている。切断制御システムは、被切断材Mの画像を検出する画像検出器8と、画像識別装置80と、切断制御装置10を有する。
【0028】
画像検出器8は、鋼材端検出器6の下流側、且つ、クロップシャー4の入側に設定される例えばCCDカメラである。画像検出器8は、画像識別装置80に接続されている。
【0029】
図2は、画像識別装置80の構成の一例を示す図である。画像識別装置80は、画像入力部81と、設備長入力部82と、ピクセル・長さ変換部83と、材料位置検出部84と、材料速度検出部85を備える。
【0030】
画像入力部81は、画像検出器8の画像データ(画像情報)をリアルタイムで取り込み、材料位置検出部84に出力する。設備長入力部82は、予め設定した画像エリアの長さ情報を取り込み、ピクセル・長さ変換部83に出力する。ピクセル・長さ変換部83は、画像1ピクセル当たりの長さを導き出し、材料位置検出部84に出力する。材料位置検出部84は、画像入力部81から入力される画像データから被切断材Mの先端を検出し、検出した被切断材Mの先端をトラッキング情報として切断点追跡制御部17及び材料速度検出部85に出力する。材料速度検出部85は、被切断材Mの先端と、画像1ピクセル当たりの長さとから、被切断材Mの移動量を演算する。即ち、画像データのフレームレート(1秒当たりのコマ数)と、被切断材Mの端部の位置の1フレーム当たりの移動量とから、被切断材Mの実際の移動量(速度)が求められる。材料速度検出部85は、求めた被切断材Mの移動量をトラッキング情報として後述の切断点追跡制御部17に出力する。
【0031】
切断制御装置10は、切断点設定部11と、先端速度検出部12と、尾端速度検出部13と、クロップシャー演算タイミング発生部14と、クロップシャー起動演算部15と、クロップシャー駆動制御部16と、切断点追跡制御部17を備える。
【0032】
切断点設定部11は、形状検出器5により測定された被切断材Mの形状から切断点(切断位置)を設定する。先端速度検出部12は、搬送テーブル3に接続され、被切断材Mの先端速度を検出する。尾端速度検出部13は、メジャーリングロール7に接続され、被切断材Mの尾端速度を検出する。クロップシャー演算タイミング発生部14は、鋼材端検出器6による被切断材Mの先端(または尾端)の検出を入力とし、クロップシャー4の演算タイミングを発生する。クロップシャー起動演算部15は、クロップシャーの演算タイミングが入力されると、被切断材Mの切断点並びに被切断材Mの先端速度及び尾端速度からクロップシャー4の起動タイミングを演算する。クロップシャー駆動制御部16は、演算結果である起動タイミングに到達すると、被切断材Mの先端速度あるいは尾端速度に応じた速度基準を演算する。切断点追跡制御部17は、画像識別装置80から入力された被切断材Mの位置情報、即ち、被切断材Mの端部及び移動量から、クロップシャー4の速度補正量を演算し、演算した速度補正量をクロップシャー駆動制御部16に出力する。クロップシャー駆動制御部16は、演算した速度基準に、切断点追跡制御部17から入力された速度補正量を足しこみ、クロップシャー駆動装置40を駆動する。
【0033】
ここで、画像データはデジタルデータであることから伝送遅れは生じるが、定周期処理であるため、遅れ時間からの速度誤差は求めることができる。切断点追跡制御部17は、この速度誤差分を速度補正量に加味することができる。
【0034】
切断制御装置10の具体的構造に限定はないが、一例として次のようなものであってもよい。
図3は、切断制御装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。切断制御装置10の機能は、
図3に示す処理回路により実現することができる。同様に、画像識別装置80の機能も、
図3に示す処理回路により実現することができる。この処理回路は、専用ハードウェア10aであってもよい。この処理回路は、プロセッサ10b及びメモリ10cを備えていてもよい。この処理回路は、一部が専用ハードウェア10aとして形成され、更にプロセッサ10b及びメモリ10cを備えていてもよい。
図3の例は、処理回路の一部が専用ハードウェア10aとして形成されるとともに、処理回路がプロセッサ10b及びメモリ10cをも備えている。
【0035】
処理回路の少なくとも一部が、少なくとも1つの専用ハードウェア10aであってもよい。この場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路が、少なくとも1つのプロセッサ10b及び少なくとも1つのメモリ10cを備えてもよい。この場合、切断制御装置10の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ10cに格納される。プロセッサ10bは、メモリ10cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ10bは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPとも呼ばれる。メモリ10cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ等が該当する。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、切断制御装置10の各機能を実現することができる。
【0036】
図4は、クロップシャー4の切断刃速度の補正について説明するための模式図である。
図4では、姿勢の異なるクロップシャー4a,4b,4cが示されている。4aは、起動点P1でのクロップシャーを示し、4bは、切断開始点P2でのクロップシャーを示し、4cは、下死点P3でのクロップシャーを示している。
【0037】
図4に示すように、被切断材Mの切断する先端部分(ハッチングを付した部分)の長さ(設定値)をL
SET、材料速度をV、鋼材端検出器6からクロップシャー4の中心までの距離(設備上の絶対距離=一定値)をL
MSとすると、クロップシャー4の起動タイミングを生成する距離L
CUTは、下式(8)のように表される。
[式8]
L
CUT=L
MS-L
SET-L
s・・・(8)
【0038】
ここで、上式(8)中、LSは、クロップシャー4aが起動してからクロップシャー4bによる切断が実行されるまでに被切断材Mが進む距離である。鋼材端検出器6から距離LCUTだけ離れた位置P1に被切断材Mの切断点が到着すると、クロップシャー4aを起動する。即ち、P1は、クロップシャー起動点である。その後、被切断材Mの切断点のクロップシャー起動点P1からの距離LTRKをトラッキングする。LTRKのトラッキングは、クロップシャー起動点P1からクロップシャー4bの切断開始点P2まで行われる。言い換えると、画像データから求められた被切断材Mの移動量は、クロップシャー4の弧長lsと比較される。
【0039】
前述の式(7)のとおり、切断点追跡制御部17によるクロップシャー4の切断刃速度の補正量vは、下式(9)で求めることができる。下式(9)中、ΔLSは、クロップシャー4bの切断開始点P2からクロップシャー4cの下死点P3までのクロップシャー4の弧長移動量である。
[式9]
v=ks{(ls-ΔLs)/K-(LMS-LCUT-LTRK-lc)}・・・(9)
【0040】
本実施の形態では、上式(9)のLTRKに、画像識別装置80の材料位置検出部84及び材料速度検出部85の出力信号が入力される。そして、上式(9)で求められた補正量vがクロップシャー駆動制御部16に出力される。これにより、被切断材Mの速度Vが変動したとしても、実際の被切断材Mの位置がトラッキングされる。これにより、切断制御装置10によるトラッキング制御の誤差を可及的抑制することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、鋼材端検出器6の下流側に設けられた画像検出器8の画像データから被切断材Mの位置及び実速度を求め、求めた位置及び実速度からクロップシャー4の切断刃の速度の補正量vを求めることで、設定された切断点での被切断材の切断誤差を可及的に抑制することができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上記実施の形態では、被切断材Mの先端を切断する場合を例に説明したが、被切断材Mの尾端を切断する場合にも適用することができる。上述した実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、上述した実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0043】
L…熱間圧延ライン、M…被切断材、3…搬送テーブル(速度検出器)、4…クロップシャー、7…メジャーリングロール(速度検出器)、8…画像検出器