(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】製氷機の水皿支持構造
(51)【国際特許分類】
F25C 1/045 20180101AFI20240618BHJP
【FI】
F25C1/045 A
(21)【出願番号】P 2020073199
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-03-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月8日に株式会社クレディセゾンへ販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000208503
【氏名又は名称】大和冷機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 慎
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-097459(JP,U)
【文献】特開2006-183876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 ~ 1/12
F25C 1/16 ~ 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板側フレームと、
平面視が概略矩形形状に形成され、矩形形状とした一辺の側を前記天板側フレームに枢動可能に連結され、矩形形状とした他方の辺の側が上下動可能に支持される水皿と、
この水皿の前記他方の辺の側で前記天板側フレームに支持されたギアモーターと、
このギアモーターにて回動されて前記水皿の他方の辺と平行に配置される回転軸と、
前記水皿の他方の辺の幅方向で前記水皿を挟むように配置され、前記回転軸にて回動されて前記水皿の他方の辺を上下方向に駆動する一対の駆動アームと、
前記
天板側フレームに固定可能で前記回転軸を回転可能に支持するブラケットとを備えた製氷機の水皿支持構造であって、
前記ブラケットは、上方に向けて突き出る係止部を備え、前記係止部は弾性片に支持されて所定の押圧力を所定方向に付勢可能であり、
前記天板側フレームには、前記係止部に対応した貫通穴が形成されており、
前記係止部は前記貫通穴に対して脱落不能に係止可能であることを特徴とする製氷機の水皿支持構造。
【請求項2】
前記係止部は、上方に向けて突き出る第一の係止部と、第二の係止部とを備え、前記第一の係止部は移動不能であり、前記第二の係止部は弾性片に支持されて所定の押圧力を所定方向に付勢可能であり、
前記貫通穴は、前記第一の係止部に対応した第一の貫通穴と、前記第二の係止部に対応した第二の貫通穴が形成されており、
前記第一の係止部は前記第一の貫通穴に対して脱落不能に係止可能であり、前記第二の係止部は、前記弾性片を撓ませて変位した状態で前記第二の貫通穴に挿入可能であるとともに、同弾性片による前記押圧力にて前記第二の貫通穴の縁部に押圧されると当該第二の貫通穴に対して脱落不能に係止可能であることを特徴とする請求項1に記載の製氷機の水皿支持構造。
【請求項3】
前記第二の係止部には、前記回転軸を前記天板側フレームと平行となる組み付け状態で係止する第二の係止突起とともに、前記第二の貫通穴に挿入される過程で仮に同第二の貫通穴の縁部に対して係止可能な第三の係止突起を有し、
前記ブラケットは、前記第三の係止突起によって係止したときに傾斜状態で仮固定可能であることを特徴とする請求項2に記載の製氷機の水皿支持構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記第一の係止部と、前記第二の係止部との間に、上方に突出する突起を突設してあり、前記天板側フレームには、同突起が嵌合する第三の貫通穴を形成してあることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の製氷機の水皿支持構造。
【請求項5】
前記回転軸には、所定位置に径の異なる凹凸形状が周方向に連続して形成されており、
前記ブラケットは、上部から下方に向けて立設されて下方に向けて開口する樹脂アームを有し、同樹脂アームは、前記回転軸の凹凸形状部位に対し、軸方向の長さ方向において回転可能に係合することを特徴とする請求項2~請求項4のいずれかに記載の製氷機の水皿支持構造。
【請求項6】
前記樹脂アームは、
前記回転軸の長さ方向に所定間隔を設けて形成され、前記回転軸を貫通して支持可能な軸穴を有する一対の第一の支持アームと、
この一対の第一の支持アームの間にて先端を下方に開口する二股形状とし、同二股形状で前記回転軸を挟持しつつ、同回転軸に形成された前記凹凸形状に対して軸方向に移動不能となるように係止可能な第二の支持アームとを有することを特徴とする
請求項5に記載の製氷機の水皿支持構造。
【請求項7】
前記回転軸には、前記凹凸形状として円環状の溝が形成され、前記第二の支持アームには、同溝に入り込んで軸方向に係止する畝部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の製氷機の水皿支持構造。
【請求項8】
前記天板側フレームは、矩形形状の板材の四辺の所定長さを上方側に略90度屈曲した屈曲部位が形成されており、後方側における屈曲部位には前記第一の係止部の第一の係止突起に対応した第一の貫通穴が形成され、
前記第一の係止部の上端の前面側には、上端に向かうほど後退するように、テーパー面が形成されていることを特徴とする請求項2~請求項7のいずれかに記載の製氷機の水皿支持構造。
【請求項9】
前記天板側フレームにおける水平面には、前記第二の係止部の先端部分である前記第二の係止突起が挿入可能な第二の貫通穴が形成され、
前記第二の係止突起は、断面がくさび形形状となっており、当該第二の係止突起の下端は、くさび状に突出する前方が上方に向かう傾斜面となっていることを特徴とする
請求項3に記載の製氷機の水皿支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機の水皿支持構造に関し、特に、水皿を傾動させる回転軸を保持するブラケットを備えた製氷機の水皿支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
製氷機には、水皿が備えられており、同水皿は製氷時には水平に保たれ、製氷後にはできあがった氷を下方に脱落させるために傾動する。傾動するために回転軸が備えられており、同回転軸はモーターによって回転駆動される。
特許文献1は、この回転軸(出力軸48)を軸受け(40)で支持し、両端の駆動アーム36を回転軸に固定した製氷機が開示されている。
【0003】
また、駆動アームで抜け止めするのではなく、中央部分に天吊りのブラケットに対して回転軸を設けて貫通させるとともに、同回転軸に細径部分を形成しつつ、当該細径部分にEリングを装着することでブラケットに当接させ、軸方向への抜け止めをはかるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のもののうち、回転軸の両端に備えられる駆動アームで抜け止めをはかるものは、駆動アームを固定するまで抜け止めが十分ではないので、途中の作業で十分な抜け止めを期待できない。
天吊りのブラケットを使用して回転軸を支持しつつ、Eリングを装着して抜け止めをはかることもできるが、Eリングでの抜け止めは一方向へは有効であっても他方向への抜け止めは別途必要となる。また、天吊りのブラケットを固定するためにネジ止めが必要となると、同ブラケットを装着したり、取り外したりするときに、天板を外す作業も必要となるなど、作業性が良くなかった。
【0006】
本発明は、組み立て作業性の良好な製氷機の水皿支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、天板側フレームと、平面視が概略矩形形状に形成され、矩形形状とした一辺の側を前記天板側フレームに枢動可能に連結され、矩形形状とした他方の辺の側が上下動可能に支持される水皿と、この水皿の前記他方の辺の側で前記天板側フレームに支持されたギアモーターと、このギアモーターにて回動されて前記水皿の他方の辺と平行に配置される回転軸と、前記水皿の他方の辺の幅方向で前記水皿を挟むように配置され、前記回転軸にて回動されて前記水皿の他方の辺を上下方向に駆動する一対の駆動アームと、前記天板に固定可能で前記回転軸を回転可能に支持するブラケットとを備えた製氷機の水皿支持構造であって、前記ブラケットは、上方に向けて突き出る第一の係止部と、第二の係止部とを備え、前記第一の係止部は移動不能であり、前記第二の係止部は弾性片に支持されて所定の押圧力を所定方向に付勢可能であり、前記天板側フレームには、前記第一の係止部に対応した第一の貫通穴と、前記第二の係止部に対応した第二の貫通穴が形成されており、前記第一の係止部は前記第一の貫通穴に対して脱落不能に係止可能であり、前記第二の係止部は、前記弾性片を撓ませて変位した状態で前記第二の貫通穴に挿入可能であるとともに、同弾性片による前記押圧力にて前記第二の貫通穴の縁部に押圧されると当該第二の貫通穴に対して脱落不能に係止可能とした構成としてある。
【0008】
前記のように構成した本発明においては、前記天板側フレームに形成した第一の貫通穴に対して、前記ブラケットの前記第一の係止部を挿入して係止させた後、前記ブラケットにおける前記弾性片を撓ませて変位した状態で前記第二の係止部を前記第二の貫通穴に挿入させた後、同弾性片による前記押圧力にて前記第二の係止部を前記第二の貫通穴の縁部に押圧せしめて当該第二の貫通穴に対して係止させる。すると、前記ブラケットは前記天板側フレームに対して脱落不能に係止する。
【0009】
前記回転軸は、前記ブラケットと、前記天板側フレームに支持されたギアモーターとによって支持されることで、前記水皿の他方の辺と平行に配置され、このギアモーターにて回動される。水皿は、矩形形状とした一辺の側を前記天板側フレームに枢動可能に連結され、矩形形状とした他方の辺の側が上下動可能に支持されており、前記一対のアームは前記回転軸にて回動されると、同水皿における他方の辺の側を上下動させる。これにより、同水皿は前記一辺の側を始点として、他方の辺の側が枢動する。
【0010】
また、前記第二の係止部には、前記回転軸を前記天板側フレームと平行となる組み付け状態で係止する第二の係止突起とともに、前記第二の貫通穴に挿入される過程で仮に同第二の貫通穴の縁部に対して係止可能な第三の係止突起を有し、前記ブラケットは、前記第三の係止突起によって係止したときに傾斜状態で仮固定可能とした構成とすることもできる。
【0011】
さらに、前記ブラケットは、前記第一の係止部と、前記第二の係止部との間に、上方に突出する突起を突設してあり、前記天板側フレームには、同突起が嵌合する第三の貫通穴を形成した構成とすることもできる。
また、前記回転軸には、所定位置に径の異なる凹凸形状が周方向に連続して形成されており、前記ブラケットは、上部から下方に向けて立設されて下方に向けて開口する複数の樹脂アームを有し、同樹脂アームは、前記回転軸の凹凸形状部位を挟持し、軸方向の長さ方向と、鉛直方向において回転可能に係合する構成とすることもできる。
【0012】
さらに、前記樹脂アームは、前記回転軸の長さ方向に所定間隔を設けて形成され、前記回転軸を貫通して支持可能な軸穴を有する一対の第一の支持アームと、この一対の第一の支持アームの間にて先端を下方に開口する二股形状とし、同二股形状で前記回転軸を挟持しつつ、同回転軸に形成された前記凹凸形状に対して軸方向に移動不能となるように係止可能な第二の支持アームとを有する構成とすることもできる。
【0013】
そして、前記回転軸には、前記凹凸形状として円環状の溝が形成され、前記第二の支持アームには、同溝に入り込んで軸方向に係止する畝部が形成された構成とすることもできる。
また、前記天板側フレームは、矩形形状の板材の四辺の所定長さを上方側に略90度屈曲した屈曲部位が形成されており、後方側における屈曲部位には前記第一の係止部の第一の係止突起に対応した第一の貫通穴が形成され、前記第一の係止部の上端の前面側には、上端に向かうほど後退するように、テーパー面が形成されている構成とすることもできる。
さらに、前記天板側フレームにおける水平面には、前記第二の係止部の先端部分である前記第二の係止突起が挿入可能な第二の貫通穴が形成され、前記第二の係止突起は、断面がくさび形形状となっており、当該第二の係止突起の下端は、くさび状に突出する前方が上方に向かう傾斜面となっている構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製氷機の水皿支持構造によれば、弾性片を撓ませることで係止させたり、係止を解除することができるようにしたため、ブラケットを天板側フレームに対する脱着が可能となり、組み立て作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の製氷機の水皿支持構造の斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】天板側フレームを斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】同ブラケットと周辺パーツの組み付け状態を示す正面図である。
【
図9】
図7における同ブラケットのix-ix線矢視断面図である。
【
図10】
図9における同ブラケットのx-x線矢視断面図である。
【
図12】第一の係止部を係止させる過程の側面図である。
【
図13】テーパー面を有しない第一の係止部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の製氷機の水皿支持構造の斜め下方から見た斜視図であり、
図2は、その一部である水皿の斜め上方から見た斜視図であり、
図3は、同じくその一部である天板側フレームを斜め下方から見た斜視図である。
同図において、天板側フレーム10と、水皿20とは、水皿20と一体的に形成されているヒンジ30,30において連結されている。天板側フレーム10は、図示しない筺体に固定され、水皿20と、図示しない製氷皿を支持している。水皿20は平面視が概略矩形形状とされており、ヒンジ30,30を介してこの矩形形状とした一辺21の側を前記天板側フレーム10に枢動可能に連結されている。
【0017】
水皿20における矩形形状とした他方の辺22の側は、ヒンジ30,30を支点として上下動可能となっている。
この水皿20の他方の辺22の側であって、筺体における前方側にはギアモーター40が図示しないブラケットを介して天板側フレーム10に固定されている。ギアモーター40の回転軸41は前記水皿20の他方の辺22と平行方向に配向されており、このギアモーター40の回転軸41に対して同軸上に回転軸50が配置される。回転軸50のほぼ両端には一対の駆動アーム61,61が連結されており、この一対の駆動アーム61,61は前記回転軸50にて回動される。一対の駆動アーム61,61は前記水皿20の他方の辺22の幅方向で前記水皿20を挟むように配置されており、駆動アーム61,61における前記回転軸50と連結されるのと反対側の端部62,62が図示しないスプリングを介して前記水皿20における前記他方の辺22の近傍に連結されている。駆動アーム61,61は回転軸50によって約160度の範囲で回転されると、前記端部62,62も上下方向に移動し、これに伴って水皿20は上述したように回動する。
【0018】
ブラケット70は、後述するようにして前記天板側フレーム10に固定可能であり、前記回転軸50を回転可能に支持する。
図4~
図6は、ブラケットの斜視図である。
ブラケット70は、上方部位にて前記天板側フレーム10に対して係合固定され、下方部位にて前記回転軸50を回転可能に支持する。
ブラケット70における上方部位では、第一の係止部71と、第二の係止部72とが上方に向けて突き出るように形成されている。図示しない筺体の前後方向を基準とすると、このブラケット70自体が奥側に配置されており、前記第一の係止部71はブラケット70における最も奥側に形成され、前記第二の係止部72はブラケット70における手前側に形成されることになる。
【0019】
前記第一の係止部71は移動不能に形成されており、上方に突き出る垂直壁部71aと、同垂直壁部71aにおける上端部分で前方側に突き出る第一の係止突起71bとを備えている。この第一の係止突起71bにおける上端側は天面から前方側側方にかけて湾曲面を形成しているが、下端側は側面に対してほぼ垂直となるように形成されている。ただし、完全に垂直となっているわけではない。すなわち、
図11に示すように、後方から前方に向けてわずかに上方に向かうように傾斜した平面形状となっている。言い換えると、
図11に示すように、第一の係止突起71bにはテーパー面Fが形成されている。
前記第二の係止部72は、ブラケット70の前方側で一旦は下方に延設された後、下方から前面に突き出て、さらに上方に向けて延設される弾性片72aを備えている。弾性片72aは概ね断面視U字形状となっているので、前方側部分は前後方向に対する可撓性を有しており、後方側に撓ませたときには前方側に復帰しようとする力が所定の押圧力となる。弾性片72aの上端には断面視がくさび形となる第二の係止突起72bが形成されている。第二の係止突起72bは上方から下方に向けて前方へと突き出るくさび形形状となっており、最も前方に突き出た後、後方側に後退する形状となっている。従って、前記弾性片72aによる押圧力により、第二の係止突起72bは前方方向(所定方向に相当する)に付勢可能となっている。
【0020】
図3に示すように天板側フレーム10には複数の穴が形成されている。天板側フレーム10は矩形形状の板材の四辺の所定長さを上方側に90度屈曲した屈曲部位11が形成されており、図示しない筺体の前後方向を基準として、後方側における屈曲部位11には前記第一の係止部71の第一の係止突起71bに対応した第一の貫通穴11aが形成されている。
【0021】
第一の係止突起71bは上方に突き出る垂直壁部71aの上端付近から前方に突き出るように形成されているので、屈曲部位11に形成された第一の貫通穴11aに対して、後方側から前方側へと向かう方向で挿入されることで、両者が係止する。
図11に示すように、第一の係止部71の上端の前面側には、上端に向かうほど後方に下がるように、テーパー面Fが設計されている。この効果としては、組み立て時にブラケット70を傾斜させたとき、テーパー面がない場合は回転支点が上の角の点P1(
図13)となり、後述する突起73(位置決めボス)の水平移動量が大きくなって嵌まりづらくなる。これに対して、
図12に示すように、テーパー面Fを追加すると回転支点P2,P3が下がるため、突起73の水平移動量が小さくなり、組み立て時に問題が発生しない。
また、天板側フレーム10における水平面となる天板12には、前記第二の係止部72の先端部分である前記第二の係止突起72bが挿入可能な第二の貫通穴12aが形成されている。
【0022】
上述したように、前記第一の係止部71の第一の係止突起71bは前記第一の貫通穴11aに対して水平方向に挿入されるので、結果として脱落不能に係止可能である。このとき垂直壁部71aは前記屈曲部位11に対して後方側から前方側に向かう方向に当接している。
また、前記第二の係止部72における第二の係止突起72bは、前記弾性片72aを撓ませて変位した状態で前記第二の貫通穴12aに挿入可能である。そして、同弾性片72aが復帰しようとするときの押圧力によって前記第二の貫通穴12aの縁部に押圧されると、第二の係止突起72bは断面がくさび形形状となっているので、当該第二の貫通穴12aに対して脱落不能に係止可能である。
この第二の係止突起72bの下端も、
図14に示すように、くさび状に突出する前方が上方に向かう傾斜面となっている。この傾斜は同図に示すように角度αとしてある。第二の係止部72はいわゆる弾性フックであり、このように角度αのテーパー面が設定されていると、過大な保持力Fが生じた際に、テーパー面には天板側フレーム10から反力が発生する。この反力がテーパー面に垂直に発生するため、分力として水平成分FRHが発生する。この結果、弾性フックのU字形のバネ部が破断する前にフックが外れるようにすることができる。
【0023】
また、ブラケット70の上面であって、前記第一の係止部71と、前記第二の係止部72との間には、上方に突出する突起(ボス)73を突設してあり、前記天板側フレーム10の天板12であって、同突起73に対面する位置には、当該突起73が挿入されると嵌合可能な第三の貫通穴12bを形成してある。第三の貫通穴12bは上下方向に貫通しており、突起73は上方に突き出ているので、突起73が第三の貫通穴12bに入り込んで嵌合すると、同突起73は水平方向における移動を規制される。
【0024】
上述したように第一の係止部71における垂直壁部71aが前記屈曲部位11に当接しつつ、同垂直壁部71aに形成した第一の係止突起71bが前記第一の貫通穴11aに対して水平方向に挿入された状態で、突起73と第三の貫通穴12bとによって水平方向への移動を規制される結果、ブラケット70は概ね天板側フレーム10に対して固定される。
【0025】
さらに、第二の係止部72は、弾性片72aによって前方側に向けて第二の係止突起72bを付勢しているが、この付勢力を支持することができるのは、突起73と第三の貫通穴12bとによる水平方向への移動が規制されるからである。
前記第二の係止部72には、第三の係止突起72cが形成されている。この第三の係止突起72cは、前記第二の係止突起72bの上端からさらに上方に突き出るように形成されつつ、前方に向けて断面が山形となるように突き出ている。断面が山形であるので、係合可能ではあるが上下方向へ逃げることができる形状でもある。
【0026】
前記回転軸50を前記天板側フレーム10と平行となるように組み付け過程では、まず、第二の係止突起72bによって前記天板側フレーム10に係止する必要があるが、このとき、同第二の係止突起72bが前記第二の貫通穴12aに挿入される過程で、まず、この第三の係止突起72cが同第二の貫通穴12aに挿入されてその縁部に対して係止することができる。ただし、第三の係止突起72cは、第二の係止突起72bよりも上方に突き出た位置にあるので、後方側の第一の係止突起72bが所定の高さで第一の貫通穴11aに形成していることを前提とすると、ブラケット70は全体的に前下がりに傾斜していることになる。しかし、組み付け作業過程では水平の上方に移動させることができず、傾斜させて作業する必要が生じるし、その過程で、傾斜状態で仮係止できる。言い換えると、前記ブラケット70は、前記第三の係止突起72cによって係止したときに傾斜状態で仮固定可能となる。すなわち、作業者の両手が空く状態を作ることができ、作業者が常に支持していなくても保持され、組付作業性が向上する。
【0027】
図7は、同ブラケットと周辺パーツの組み付け状態を示す正面図である。また、
図8は、同ブラケット単体の側面図であり、
図9は、
図7における同ブラケットのix-ix線矢視断面図、
図10は、
図9における同ブラケットのx-x線矢視断面図である。
ブラケット70の下方部位には機能の異なる複数の樹脂アーム74,75,76,77が形成されている。樹脂アーム74はブラケット70における前方側に形成されており、樹脂アーム75はブラケット70における後方側に形成されている。樹脂アーム74,75の間に樹脂アーム76,77が形成されている。樹脂アーム74,75は、回転軸50の長さ方向に所定距離を隔てて形成されており、かつ、同回転軸50を挿通可能な同軸状の軸穴74a,75aが形成されている。従って、回転軸50を樹脂アーム74,75の軸穴74a,75aに挿通可能であり、かつ、挿通させることで回転軸50は回転可能に支持されることになる。すなわち、この樹脂アーム74,75は、前記回転軸50の長さ方向に所定間隔を設けて形成され、前記回転軸50を貫通して支持可能な軸穴74a,75aを有する一対の第一の支持アームである。
【0028】
この一対の第一の支持アームである樹脂アーム74,75の間には、一対の樹脂アーム76,77が配置される。樹脂アーム76,77は対をなすことにより、先端を下方に開口する二股形状となり、同二股形状で前記回転軸50を挟持する。
回転軸50におけるこの二股形状で挟持される部位には、周方向に沿って一周する細径とした円環状の溝51が形成されており、かつ、前記樹脂アーム76,77における前記二股形状には同溝51に入り込むことが可能な突出した畝部76a,77aが形成されている。畝部76a,77aが回転軸50の溝51に入り込むので、回転軸50は軸方向に移動不能となるように係止することになる。溝51は、同回転軸50に形成された凹凸形状の一例であり、この凹凸形状に係止する畝部76a,77aを設けることで軸方向に移動不能となる。従って、樹脂アーム76,77は第二の支持アームの一実施例である。
【0029】
この例では、回転軸50に対して径の異なる凹凸形状の一例として溝51を形成しているが、凸形状とすることも不可能ではない。この場合、例えば、周方向に連続する形状とせず、また、上述した軸穴74a,75aには凸形状を通過させる溝を形成しておけばよい。
このように、前記回転軸50には、所定位置に径の異なる凹凸形状部位(51)が周方向に連続して形成されており、前記ブラケット70は、上部から下方に向けて立設されて下方に向けて開口する複数の樹脂アーム76,77を有し、同樹脂アーム76,77は、前記回転軸50の凹凸形状部位(51)部位を挟持し、軸方向の長さ方向と、鉛直方向において回転可能に係合している。
上述した実施例においては、樹脂アーム76,77が回転軸50の凹凸形状部位(51)部位を挟持し、軸方向の長さ方向において回転可能に係合しているが、複数の樹脂アームが挟持する必要はない。
図15と
図16は、変形例を示している。
図15に示すものは、回転軸50にて貫通される樹脂アーム77a1を有し、さらにブラケット70の上方から下方に延設されて上下方向に湾曲可能な係合アーム77b1を形成してある。係合アーム77b1は回転軸50に形成された凹凸形状に対して軸方向に移動不能となるように係止することになる。
同様に、
図16に示すものは、回転軸50にて貫通される樹脂アーム77a2を有し、この樹脂アーム77a2の下端から前方に延設されて上下方向に湾曲可能な係合アーム77b2を形成してある。係合アーム77b2は回転軸50に形成された凹凸形状に対して軸方向に移動不能となるように係止することになる。
【0030】
ブラケット70における上面には前記第三の係止突起72cの近傍に上下方向に貫通する貫通穴78を形成してある。上述したように、本ブラケット70は弾性片72aを撓ませる操作を併用することで天板側フレーム10に対して容易に脱着可能である。しかし、製氷機が大型化したときにより強固にブラケット70を固定する必要が生じる可能性もある。このような場合に、天板側フレーム10の側における同貫通穴78に対面する部位にも貫通穴を形成しておき、天板側フレーム10の上方からまたは下方からネジを挿入して螺合させることが可能になる。このようにすると、ブラケット70に対して下方に大きな荷重がかかった場合にもブラケット70が脱落するという恐れがなくなる。
【0031】
図17は、樹脂アームの変形例を示す側面図である。
前記第一の係止部71は移動不能に形成されているとともに、断面クランク形状に形成されている。クランク形状部分は、上方に突き出る垂直壁部71cと、同垂直壁部71cにおける上端部分で後方側に屈曲される水平壁部71dとを備えている。
上方に突き出る垂直壁部71cと水平壁部71dは、屈曲部位11に形成された第四の貫通穴11bに対して、下方から上方へと進入し、水平壁部71dは第四の貫通穴11bの縁部上面に載置される。これにより、第一の係止部71は第四の貫通穴11bに対して脱落不能に係止する。
【0032】
図18は、樹脂アームの変形例を示す側面図である。
この変形例では、前記第一の係止部71に代えて、前記第二の係止部72を前後に二つ備えている。また、同様に第3の貫通穴12cが形成されている。これにより、二つの第二の係止部72が二つの第3の貫通穴12a,12cに脱落不能に係止することで保持される。
【0033】
なお、本発明は前記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・前記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0034】
10…天板側フレーム、
11…屈曲部位、
11a…貫通穴、
11b…貫通穴、
12…天板、
12a…貫通穴、
12b…貫通穴、
12c…貫通穴、
20…水皿、
21…辺、
22…辺、
30…ヒンジ、
40…ギアモーター、
41…回転軸、
50…回転軸、
51…溝(凹凸形状部位)、
61…駆動アーム、
62…端部、
70…ブラケット、
71…第一の係止部、
71a…垂直壁部、
71b…第一の係止突起、
71c…垂直壁部、
71d…水平壁部、
72…第二の係止部、
72a…弾性片、
72b…第二の係止突起、
72c…第三の係止突起、
73…突起(ボス)、
74,75,76,77…樹脂アーム、
74a,75a…軸穴、
76a,77a…畝部、
78…貫通穴。