(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】漏電および地絡時の感電および火災を防止する装置、方法および配電システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/16 20060101AFI20240618BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20240618BHJP
【FI】
H02H3/16 B
H02S50/00
(21)【出願番号】P 2022565695
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 KR2021005377
(87)【国際公開番号】W WO2021221461
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0051805
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0044409
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0044909
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520436493
【氏名又は名称】アイティーイー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】520434592
【氏名又は名称】キム,ナウン
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,インテ
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034731(JP,A)
【文献】米国特許第04580186(US,A)
【文献】国際公開第2019/216626(WO,A1)
【文献】特開2014-158365(JP,A)
【文献】実開昭58-118838(JP,U)
【文献】特開平07-227036(JP,A)
【文献】特開2018-017690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/16
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線、および前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する第1中性点のうち少なくとも一つ以上に電気的に連結される一端と、前記大地に電気的に連結される他端を備える一つ以上の故障検出器
と、
電源側と負荷側に備えられて、電力線を所定の区間に区画する第1および第2開閉スイッチと、
前記電力線の負荷側に負荷と並列に連結され、前記電力線の電気故障を探知するか、前記電気故障を探知して電源を復旧する探知/復旧器とを含み、
前記故障検出器は、前記二つ以上の電力線または第1中性点から前記大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成して前記リーク電流を検出
して検出信号を出力し、
前記検出信号に応じて前記リーク電流が発生した電力線を識別し、当該電力線の前記所定区間を遮断するように前記第1および第2開閉スイッチを制御し、前記リーク電流が発生した電力線を除く残りの正常電力線と前記第1中性点の電位を用いて定常電圧を回復して負荷に供給することを特徴とする、感電および火災防止装置。
【請求項2】
前記故障検出器のそれぞれは、
前記リーク電流を所定の危険電流以下に制限し、前記リーク電流を検出して
前記検出信号を出力する電流検出部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の感電および火災防止装置。
【請求項3】
前記故障検出器のそれぞれは、
前記リーク電流が前記電流検出部を介して単方向に流れるようにリーク電流の経路を制限する単方向電流部をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の感電および火災防止装置。
【請求項4】
前記探知/復旧器は、
前記第1中性点に連結される第2中性点と、
前記二つ以上の電力線のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される二つ以上の巻線とを含み、
前記二つ以上の巻線のそれぞれは、他の巻線のいずれか一つと磁気的にカップリングされるカップリング巻線部分を一つ以上含み、
前記二つ以上の巻線のうち少なくとも一つの巻線は、前記第2中性点を基準に残りの巻線のそれぞれに印加される電圧に対して逆相の電圧がそれぞれ誘起される前記カップリング巻線部分を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の感電および火災防止装置。
【請求項5】
前記電力線は、単相の電力を供給し、
前記探知/復旧器は、前記電力線のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される第1および第2巻線を含み、
前記第1および第2巻線は、第2中性点を基準に互いに逆相の電圧がそれぞれ誘起されるように互いに磁気的にカップリングされることを特徴とする、請求項
4に記載の感電および火災防止装置。
【請求項6】
前記電力線は、R、SおよびT相を有する三相の電力を供給し、
前記探知/復旧器は、前記R、SおよびT相のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される第1~第3巻線を含み、
前記第1~第3巻線のそれぞれは、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して前記第2中性点を基準に逆相の電圧がそれぞれ誘起される前記カップリング巻線部分を含むことを特徴とする、請求項
4に記載の感電および火災防止装置。
【請求項7】
前記電力線は、R、SおよびT相を有する三相の電力を供給し、
前記探知/復旧器は、前記R、SおよびT相のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される第1~第3巻線を含み、
前記第1~第3巻線のうち一つの巻線は、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して前記第2中性点を基準に逆相の電圧がそれぞれ誘起される前記カップリング巻線部分を含むことを特徴とする、請求項
4に記載の感電および火災防止装置。
【請求項8】
電源部から交流または直流電気を負荷設備に伝送するように前記電源部に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線、および前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する中性点のうち少なくとも一つと大地との間のリーク電流の発生可否を検出するように構成された故障検出器
と、
前記故障検出器の検出結果に応じて、前記二つ以上の電力線および中性点のうち前記リーク電流が発生した電力線または中性点を大地を介して短絡させて接地するように制御される接地スイッチング部とを含み、
前記故障検出器は、前記リーク電流が発生した場合に、前記二つ以上の電力線および中性点のうち前記リーク電流が発生した電力線または中性点を前記大地に接地させるように動作
し、
前記故障検出器は、前記二つ以上の電力線と大地との間にそれぞれ電気的に連結される二つ以上の故障検出器を含み、
前記接地スイッチング部は、二つ以上の故障検出器のそれぞれに対応してターンオンまたはターンオフが制御される二つ以上の接地スイッチを含むすることを特徴とする、感電および火災防止装置。
【請求項9】
前記二つ以上の接地スイッチのうち少なくとも一つのスイッチは、対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオンするノーマルオープンNOタイプスイッチであり、前記二つ以上の電力線および中性点のうち前記対応する故障検出器が連結された電力線ではない電力線および中性点のうち少なくとも一つに電気的に連結されることを特徴とする、請求項
8に記載の感電および火災防止装置。
【請求項10】
前記二つ以上の接地スイッチのうち少なくとも一つのスイッチは、対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオフするノーマルクローズNCタイプスイッチであり、前記対応する故障検出器に電気的に並列連結されることを特徴とする、請求項
8に記載の感電および火災防止装置。
【請求項11】
前記電源部は、R相、S相およびT相を含む三相交流電源であり、
前記故障検出器は、前記R相、S相およびT相と大地との間にそれぞれ連結される第1~第3故障検出器を含み、
前記接地スイッチング部は、前記第1~第3故障検出器のそれぞれに対応し、前記対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオンする第1~第3接地スイッチを含み、
前記第1~第3接地スイッチは、前記R相、S相およびT相に連結された複数の電力線のいずれか一つの電力線に漏電または地絡が発生した時に、当該電力線が大地に接地されるように前記複数の電力線と大地との間に設置されることを特徴とする、請求項
9に記載の感電および火災防止装置。
【請求項12】
前記電源部は、R相、S相およびT相を含む三相交流電源であり、
前記故障検出器は、前記R相、S相およびT相と大地との間にそれぞれ連結される第1~第3故障検出器を含み、
前記接地スイッチング部は、前記第1~第3故障検出器のそれぞれに対応し、前記対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオフする第1~第3接地スイッチを含み、
前記第1~第3接地スイッチは、前記R相、S相およびT相に連結された複数の電力線のうち一つ以上の電力線に漏電または地絡が発生した時に、当該電力線が大地に接地されるように前記複数の電力線と大地との間に設置されることを特徴とする、請求項
10に記載の感電および火災防止装置。
【請求項13】
交流または直流電気を負荷設備に提供するように構成される電源部と、
前記電源部に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線と、
請求項
8に記載の感電および火災防止装置とを含むことを特徴とする、感電および火災防止配電システム。
【請求項14】
一つ以上の太陽電池モジュールが配列されたソーラーパネルで発電した電気を負荷設備に伝送するように前記ソーラーパネルに電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線と大地との間のリーク電流の発生可否を検出するように、前記二つ以上の電力線、および前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する中性点のうち少なくとも一つと前記大地との間に電気的に連結される一つ以上の故障検出器と、
前記故障検出器の検出結果に応じて、前記二つ以上の電力線のうち前記リーク電流が発生した電力線を大地を介して短絡させて接地するように制御される接地スイッチング
部とを含むことを特徴とする、太陽光発電システムの感電および火災防止装置。
【請求項15】
前記二つ以上の電力線は、前記ソーラーパネルで発電した直流電気を伝送する第1および第2直流電力線を含み、前記故障検出器は、一端が前記第1および第2直流電力線に電気的にそれぞれ連結される第1および第2故障検出器を含み、前記大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成して、前記電流経路から前記リーク電流を検出することを特徴とする、請求項
14に記載の太陽光発電システムの感電および火災防止装置。
【請求項16】
前記接地スイッチング部は、
前記故障検出器の検出結果に応じて、前記第2直流電力線にリーク電流が流れる場合に、前記第2直流電力線を大地に接地させるように制御される第1接地スイッチと、
前記故障検出器の検出結果に応じて、前記第1直流電力線にリーク電流が流れる場合に、前記第1直流電力線を大地に接地させるように制御される第2接地スイッチとを含むことを特徴とする、請求項
15に記載の太陽光発電システムの感電および火災防止装置。
【請求項17】
前記二つ以上の電力線は、前記ソーラーパネルで発電した直流電気を伝送する第1および第2直流電力線を含み、
前記故障検出器は、それぞれが、前記第1および第2直流電力線と大地との間に電気的に連結される第1および第2故障検出器を含み、
前記第1および第2故障検出器は、正常状態で所定の基準値以上に動作電流が流れ、リーク電流が発生する時には、リーク電流が流れる直流電力線に連結された故障検出器には前記動作電流が前記所定の基準値以下に流れることを特徴とする、請求項
14に記載の太陽光発電システムの感電および火災防止装置。
【請求項18】
前記二つ以上の電力線は、前記ソーラーパネルで発電した直流電気を伝送する第1および第2直流電力線を含み、
前記故障検出器は、前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する中性点と前記大地との間に電気的に連結され、前記大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成して、前記電流経路から前記リーク電流を検出し、
前記故障検出器を流れるリーク電流の方向に応じて前記二つ以上の電力線のうちリーク電流が発生した電力線を識別することを特徴とする、請求項
14に記載の太陽光発電システムの感電および火災防止装置。
【請求項19】
一つ以上の太陽電池モジュールが配列されたソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルで発電した電気を負荷設備に伝送するように前記ソーラーパネルに電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線と、
請求項
14に記載の感電および火災防止装置とを含むことを特徴とする、太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏電および地絡時の感電および火災防止装置、方法および配電システムに関し、より詳細には、大地と絶縁されて電力を供給する電力線と大地との間のリーク電流を検出し、これを危険電流以下に制限するか、リーク電流が人体または周辺設備に流れることを遮断することで、リーク電流による感電および火災の発生を防止する、漏電および地絡時の感電および火災防止装置、方法および配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、「電気設備」とは、受電設備である配電盤から電気使用機器に至る変圧器・電線路・開閉器・遮断器・分電箱・コンセント・制御盤・スイッチおよびその他の付属設備を意味し、電気事業用電気設備、一般用電気設備、自家用電気設備と電気使用のために設置する機械、機器(負荷)などがこれに該当する。
【0003】
このような電気設備の間を連結するために、一例として、三相4線式電気設備は、Y結線、Δ結線、Y-Δ結線などの方法で中性線NLと複数の導体(R相、S相、T相)である電力線を結合して電力を供給する。ここで、負荷に連結時に、一つの導体(電力線)と他の導体(電力線)を連結すると380Vになり、一つの導体(電力線)(例えば、R相)と中性線NLを連結すると220Vになり、単相負荷に電力を供給する。
【0004】
中性線NLは、原則的に、大地電位であるゼロ電位を有する必要があるが、実際、現場で各相の位相が正確に120゜が出ない時には、若干の電圧を有することもある。この際、中性線電位の上昇を防ぐために、大地電位線である接地線に中性線を共通連結すると、各相の位相が若干差があっても大地と接していることからゼロ電位を維持する。
【0005】
単相配電線路は、二つの線を連結して使用し、その二つの線のうち一つの線は、大地と等電位である中性線で連結して使用し、残り一つの線は、大地との電位差が220Vである複数の導体(電力線)に連結して使用することで、複数の導体(電力線)から漏電(地絡)が発生すると、感電で死亡するか、火災発生の恐れが高いが、中性線を接地しなければ一つの導体が漏電、地絡などが発生しても検出することができず、健全相の電位が上昇して、機器などの絶縁破壊でより大きな事故が発生し得、充電電圧、落雷などサージ電圧が流入された時に電気事故が発生し得る。
【0006】
また、単相負荷が共通連結された電源側の中性線が断線すると、他の三相位相に連結された不平衡単相負荷に共通連結された中性線を介して互いに異なる不平衡負荷によって異常電圧が軽負荷に流入されるようになり、電気機器の過熱焼損およびそれによる火災が頻繁に発生している状況であり、中性線に流入される零相高調波も中性線に異常過電流が流れるようにして電気事故を引き起こし、これを防ぐために、配線用遮断器と漏電遮断器が施設される。
【0007】
しかし、電気火災は毎年減少することなく発生しており、高圧需要家よりは低圧需要家の劣悪な電気施設のため、火災発生のほとんどが低圧需要家で発生し、電気火災の発生は、配電線路で中性線が断線した電気を供給するか、欠相した電気を供給するか、誤結線した電気を供給するか、サージなど異常電圧が供給されるか、需要家内の電気設備で抵抗増加、接続不良(アーク)などの電気故障が発生すると、低圧需要家は、前記電気故障に対する何らの対策も立てることができず、負荷に異常電圧が流入されるか、電気設備が過熱、焼損し、結局、感電、電気火災が発生する。
【0008】
また、低圧需要家建物の電気を収容する引込口からメイン遮断器が施設された分・配電盤までは漏電など電気故障監視の死角地帯であり、こちらで漏電、地絡事故が発生すると、何らの対策なく、感電、火災による人命および財産的被害が発生している。
【0009】
電力線に漏電または地絡が発生して電力線から大地に流れるリーク電流が人体を経由する場合には、感電事故が発生し、周辺設備や可燃体に流れる時には、火災が発生して、深刻な電気事故を引き起こし得る。
【0010】
特に、電気事故のうち、人体に直接的な被害を与える感電事故は、電源の一相で人体を介して流れた電流が他の相または大地に流れる時に発生する。人体に流れた感電電流が所定の危険電流以上である時に、傷害または死亡事故が発生し得る。
【0011】
感電事故の場合に、一般的に、人体に流れる電流値が15mA以上であると、痙攣(苦痛)を引き起こし、50mA以上であると、死亡に至ることが知られているため、感電事故の予防のために、感電電流は、危険電流以下である15mA以下、好ましくは、例えば、8mA以下になるように、電気設備および配電線路を構成する必要がある。
【0012】
漏電または地絡時のリーク電流による感電および火災事故は、人体または可燃性物体の一部が被覆が剥かれた電力線またはコンセントの一相または二相以上を接触するか、電力線、端子台または電気設備の浸水によって発生したリーク電流が、人体または可燃性物体を介して大地に流れる時に発生し得る。
【0013】
しかし、地絡または漏電によるリーク電流を遮断するための既存の遮断器は、地絡や漏電が発生した場合にも、リーク電流が所定値以上になったときにリーク電流が検出されて遮断器が動作するか、リーク電流を危険電流以下に制限しても、少量のリーク電流による感電または火災を誘発し得るため、リーク電流による電気事故を最初から防止するには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、従来技術の問題点を解決するために導き出されたものであり、大地と絶縁されて電力を供給する電力線と大地との間のリーク電流を検出し、これを危険電流以下に制限するか、リーク電流が人体または周辺設備に流れることを遮断することで、リーク電流による感電および火災の発生を防止する、漏電および地絡時の感電および火災防止装置、方法および配電システムを提供することを目的とする。
【0015】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明による感電および火災防止装置は、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線、および前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する第1中性点のうち少なくとも一つ以上に電気的に連結される一端と、前記大地に電気的に連結される他端を備える一つ以上の故障検出器を含み、前記故障検出器は、前記二つ以上の電力線または第1中性点から前記大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成して前記リーク電流を検出することを特徴とする。
【0017】
本発明による感電および火災防止装置は、前記故障検出器のそれぞれは、前記リーク電流を所定の危険電流以下に制限し、前記リーク電流を検出して検出信号を出力する電流検出部を含むことができる。
【0018】
本発明による感電および火災防止装置は、前記故障検出器のそれぞれは、前記リーク電流が前記電流検出部を介して単方向に流れるようにリーク電流の経路を制限する単方向電流部をさらに含むことができる。
【0019】
本発明による感電および火災防止装置は、前記電力線の負荷側に負荷と並列に連結され、前記電力線の電気故障を探知するか、前記電気故障を探知して電源を復旧する探知/復旧器をさらに含むことができる。
【0020】
本発明による感電および火災防止装置は、前記探知/復旧器は、前記第1中性点に連結される第2中性点と、前記二つ以上の電力線のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される二つ以上の巻線とを含み、前記二つ以上の巻線のそれぞれは、他の巻線のいずれか一つと磁気的にカップリングされるカップリング巻線部分を一つ以上含み、前記二つ以上の巻線のうち少なくとも一つの巻線は、前記第2中性点を基準に残りの巻線のそれぞれに印加される電圧に対して逆相の電圧がそれぞれ誘起される前記カップリング巻線部分を含むことができる。
【0021】
本発明による感電および火災防止装置は、前記電力線は、単相の電力を供給し、前記探知/復旧器は、前記電力線のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される第1および第2巻線を含み、前記第1および第2巻線は、第2中性点を基準に互いに逆相の電圧がそれぞれ誘起されるように互いに磁気的にカップリングされることができる。
【0022】
本発明による感電および火災防止装置は、前記電力線は、R、SおよびT相を有する三相の電力を供給し、前記探知/復旧器は、前記R、SおよびT相のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される第1~第3巻線を含み、前記第1~第3巻線のそれぞれは、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して前記第2中性点を基準に逆相の電圧がそれぞれ誘起される前記カップリング巻線部分を含むことができる。
【0023】
本発明による感電および火災防止装置は、前記電力線は、R、SおよびT相を有する三相の電力を供給し、前記探知/復旧器は、前記R、SおよびT相のそれぞれに一端が連結され、他端が前記第2中性点に共通連結される第1~第3巻線を含み、前記第1~第3巻線のうち一つの巻線は、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して前記第2中性点を基準に逆相の電圧がそれぞれ誘起される前記カップリング巻線部分を含むことができる。
【0024】
上記のような目的を達成するために、本発明による感電および火災防止方法は、二つ以上の電力線を大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁する絶縁ステップと、前記二つ以上の電力線、および前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する第1中性点のうち少なくとも一つと前記大地との間のリーク電流を検出するリーク電流検出ステップと、前記リーク電流検出ステップによって検出信号を出力する検出信号出力ステップとを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明による感電および火災防止方法は、前記検出信号に連動して前記リーク電流が流れる電力線への電源供給を遮断する電力線遮断ステップと、前記遮断された電源を復旧して負荷に供給する電源復旧ステップとをさらに含むことができる。
【0026】
上記のような目的を達成するために、本発明による感電および火災防止装置は、電源部から交流または直流電気を負荷設備に伝送するように前記電源部に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線、および前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する中性点のうち少なくとも一つと大地との間のリーク電流の発生可否を検出するように構成された故障検出器を含み、前記故障検出器は、前記リーク電流が発生した場合に、前記二つ以上の電力線および中性点のうち前記リーク電流が発生した電力線または中性点を前記大地に接地させるように動作することを特徴とする。
【0027】
本発明による感電および火災防止装置は、前記故障検出器の検出結果に応じて、前記二つ以上の電力線および中性点のうち前記リーク電流が発生した電力線または中性点を大地を介して短絡させて接地するように制御される接地スイッチング部をさらに含むことができる。
【0028】
本発明による感電および火災防止装置は、前記故障検出器は、前記二つ以上の電力線と大地との間にそれぞれ電気的に連結される二つ以上の故障検出器を含み、前記接地スイッチング部は、二つ以上の故障検出器のそれぞれに対応してターンオンまたはターンオフが制御される二つ以上の接地スイッチを含むことができる。
【0029】
本発明による感電および火災防止装置は、前記二つ以上の接地スイッチのうち少なくとも一つのスイッチは、対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオンするノーマルオープンNOタイプスイッチであり、前記二つ以上の電力線および中性点のうち前記対応する故障検出器が連結された電力線ではない電力線および中性点のうち少なくとも一つに電気的に連結されることができる。
【0030】
本発明による感電および火災防止装置は、前記二つ以上の接地スイッチのうち少なくとも一つのスイッチは、対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオフするノーマルクローズNCタイプスイッチであり、前記対応する故障検出器に電気的に並列連結されることができる。
【0031】
本発明による感電および火災防止装置は、前記電源部は、R相、S相およびT相を含む三相交流電源であり、前記故障検出器は、前記R相、S相およびT相と大地との間にそれぞれ連結される第1~第3故障検出器を含み、前記接地スイッチング部は、前記第1~第3故障検出器のそれぞれに対応し、前記対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオンする第1~第3接地スイッチを含み、前記第1~第3接地スイッチは、前記R相、S相およびT相に連結された複数の電力線のいずれか一つの電力線に漏電または地絡が発生した時に、当該電力線が大地に接地されるように前記複数の電力線と大地との間に設置されることができる。
【0032】
本発明による感電および火災防止装置は、前記電源部は、R相、S相およびT相を含む三相交流電源であり、前記故障検出器は、前記R相、S相およびT相と大地との間にそれぞれ連結される第1~第3故障検出器を含み、前記接地スイッチング部は、前記第1~第3故障検出器のそれぞれに対応し、前記対応する故障検出器に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオフする第1~第3接地スイッチを含み、前記第1~第3接地スイッチは、前記R相、S相およびT相に連結された複数の電力線のうち一つ以上の電力線に漏電または地絡が発生した時に、当該電力線が大地に接地されるように前記複数の電力線と大地との間に設置されることができる。
【0033】
上記のような目的を達成するために、本発明による感電および火災防止配電システムは、交流または直流電気を負荷設備に提供するように構成される電源部と、前記電源部に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線と、上述の感電および火災防止装置とを含むことを特徴とする。
【0034】
上記のような目的を達成するために、本発明による感電および火災防止装置は、一つ以上の太陽電池モジュールが配列されたソーラーパネルで発電した電気を負荷設備に伝送するように前記ソーラーパネルに電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線と大地との間のリーク電流の発生可否を検出するように、前記二つ以上の電力線、および前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する中性点のうち少なくとも一つと前記大地との間に電気的に連結される一つ以上の故障検出器と、前記故障検出器の検出結果に応じて、前記二つ以上の電力線のうち前記リーク電流が発生した電力線を大地を介して短絡させて接地するように制御される接地スイッチングと部を含むことを特徴とする。
【0035】
本発明による感電および火災防止装置は、前記二つ以上の電力線は、前記ソーラーパネルで発電した直流電気を伝送する第1および第2直流電力線を含み、前記故障検出器は、一端が前記第1および第2直流電力線に電気的にそれぞれ連結される第1および第2故障検出器を含み、前記大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成して、前記電流経路から前記リーク電流を検出することができる。
【0036】
本発明による感電および火災防止装置は、前記接地スイッチング部は、前記故障検出器の検出結果に応じて、前記第2直流電力線にリーク電流が流れる場合に、前記第2直流電力線を大地に接地させるように制御される第1接地スイッチと、前記故障検出器の検出結果に応じて、前記第1直流電力線にリーク電流が流れる場合に、前記第1直流電力線を大地に接地させるように制御される第2接地スイッチとを含むことができる。
【0037】
本発明による感電および火災防止装置は、前記二つ以上の電力線は、前記ソーラーパネルで発電した直流電気を伝送する第1および第2直流電力線を含み、前記故障検出器は、それぞれが、前記第1および第2直流電力線と大地との間に電気的に連結される第1および第2故障検出器を含み、前記第1および第2故障検出器は、正常状態で所定の基準値以上に動作電流が流れ、リーク電流が発生する時には、リーク電流が流れる直流電力線に連結された故障検出器には前記動作電流が前記所定の基準値以下に流れることができる。
【0038】
本発明による感電および火災防止装置は、前記二つ以上の電力線は、前記ソーラーパネルで発電した直流電気を伝送する第1および第2直流電力線を含み、前記故障検出器は、前記二つ以上の電力線の電圧の間の電位を有する中性点と前記大地との間に電気的に連結され、前記大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成して、前記電流経路から前記リーク電流を検出し、前記故障検出器を流れるリーク電流の方向に応じて前記二つ以上の電力線のうちリーク電流が発生した電力線を識別することができる。
【0039】
上記のような目的を達成するために、本発明による感電および火災防止装置を備えた太陽光発電システムは、一つ以上の太陽電池モジュールが配列されたソーラーパネルと、前記ソーラーパネルで発電した電気を負荷設備に伝送するように前記ソーラーパネルに電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線と、上述の感電および火災防止装置とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明による、漏電および地絡時の感電および火災防止装置、方法および配電システムは、大地と絶縁されて電力を供給する電力線と大地との間のリーク電流を検出し、これを危険電流以下に制限するか、リーク電流が人体または周辺設備に流れることを遮断することで、リーク電流による感電および火災の発生を防止する効果がある。
【0041】
また、本発明は、交流または直流電気を伝送する電力線と大地との間のリーク電流を検出し、リーク電流が発生した時に、リーク電流が流れる電力線を大地に接地させることで、リーク電流が人体に流れて感電することを最初から防止する効果がある。
【0042】
また、本発明は、一線またはそれ以上の線路に発生する地絡または漏電によるリーク電流を検出し、リーク電流が外部に流れることを最初からに防止することで、地絡または漏電による火災の発生を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明による、漏電および地絡時の感電および火災防止装置の全体構成を図示したブロック図である。
【
図2】本発明による故障検出器の内部ブロックを図示したブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による感電および火災防止装置がリーク電流を検出する原理を図示した概念図である。
【
図4】本発明の第2実施形態による感電および火災防止装置がリーク電流を検出する原理を図示した概念図である。
【
図5】単相電源に適用可能な本発明の探知/復旧器の構成およびベクトル図を図示した図である。
【
図6】三相電源に適用可能な探知/復旧器の例示的な構成およびベクトル図を図示した図である。
【
図7】三相電源に適用可能な探知/復旧器の他の例示的な構成およびベクトル図を図示した図である。
【
図8】故障検出器と探知/復旧器が同時に適用された、本発明による感電および火災防止装置の回路図である。
【
図9】本発明による感電および火災防止装置が単相電源に適用された結線図である。
【
図10】探知/復旧器を備えた本発明による感電および火災防止装置が単相電源に適用された結線図である。
【
図11】探知/復旧器を備えた本発明による感電および火災防止装置が単相電源に適用された他の結線図である。
【
図12】本発明による感電および火災防止装置が三相電源に適用された結線図である。
【
図13】探知/復旧器を備えた本発明による感電および火災防止装置が三相電源に適用された結線図である。
【
図14】本発明による感電および火災防止装置が単相電源の分岐線路に適用された結線図である。
【
図15】本発明による感電および火災防止装置が三相電源の分岐線路に適用された結線図である。
【
図16】探知/復旧器を備えた本発明による感電および火災防止装置が三相電源の分岐線路に適用された結線図である。
【
図17】本発明の第3実施形態による漏電および地絡時の感電および火災防止装置およびこれを備えた配電システムの構成を図示した結線図である。
【
図18】
図17に図示されている本発明の第3実施形態で正常状態である時の動作を説明するための概念図である。
【
図19】本発明の第3実施形態で一相に漏電または地絡が発生した時の動作を説明するための概念図である。
【
図20】本発明の第3実施形態で一相に漏電または地絡が発生した時の動作を説明するための概念図である。
【
図21】本発明の第3実施形態で二相に漏電または地絡が発生した時の動作を説明するための概念図である。
【
図22】本発明の第4実施形態による漏電および地絡時の感電および火災防止装置およびこれを備えた配電システムの構成を図示した結線図である。
【
図23】
図22に図示されている本発明の第4実施形態で一相に漏電または地絡が発生した時の動作を説明するための概念図である。
【
図24】本発明の第3実施形態による構成を三相電源に適用した時の結線図である。
【
図25】本発明の第4実施形態による構成を三相電源に適用した時の結線図である。
【
図26】本発明による漏電および地絡時の感電および火災防止装置を備えた太陽光発電システムの全体構成を図示したブロック図である。
【
図27】本発明の第5実施形態によって故障検出器が電力線に結線される例示を図示した結線図である。
【
図28】本発明の第6実施形態によって故障検出器が中性点に結線される一例示を図示した結線図である。
【
図29】本発明の第6実施形態によって故障検出器が中性点に結線される他の例示を図示した結線図である。
【
図30】
図29に図示されている実施形態で故障検出器がリーク電流を検出して電力線を大地に接地させる原理を図示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明すると、以下のとおりである。以下の詳細な説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の好ましい実施形態を図示したものに過ぎない。
【0045】
本発明による、漏電および地絡時の感電および火災防止装置は、リーク電流による感電または火災などの電気事故を防止するために、構内または屋外に設置された電気設備およびその負荷に適用されることができる。ここで、電気設備は、受配電盤をはじめ、受配電設備、変圧器、電動機制御盤を含む各種の制御盤、仮設分電盤、街灯分電盤、ケーブルリール、および太陽光、ESSをはじめ、直流設備など、電気が使用されるすべての設備を含み、負荷とは、電気を用いる電気機器、家電機器、防災設備および環境設備を含む。
【0046】
本発明の感電および火災防止装置は、交流だけでなく、直流電気を扱う電気設備に適用されることができ、交流の場合、単相だけでなく、三相をはじめ多相電源に適用されることができる。本発明の感電および火災防止装置は、上述の電気設備および負荷が自然災害または老朽化、損傷などで、浸水、漏電、地絡によるリーク電流の発生時に、大地に流れるリーク電流を危険電流以下に制限して検出することで、リーク電流による感電および火災を防止することができる。
【0047】
図1は、本発明による、漏電および地絡時の感電および火災防止装置の全体構成を図示したブロック図である。
【0048】
図1を参照すると、本発明による、漏電および地絡時の感電および火災防止装置は、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線PL2、および二つ以上の電力線PL2の電圧の間の電位を有する第1中性点N1のうち少なくとも一つ以上と大地との間に電気的に連結される一つ以上の故障検出器210を含むことを特徴とする。ここで、故障検出器210は、二つ以上の電力線のうち少なくとも一つ以上が浸水されるか漏電、地絡または人体接触などによって、二つ以上の電力線PL2または第1中性点N1から大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成するように構成される。また、故障検出器210は、電力線PL2または第1中性点N1と大地との間に流れるリーク電流を検出して検出信号を出力するか、検出信号に連動してリーク電流が流れる電力線PL2に電源が供給されることを遮断するように制御することができる。
【0049】
電力線PL2は、負荷290側または周辺の受配電設備を含む電気受容設備に電力を供給する導線であり、遮断器270またはスイッチで区画された別個の導線だけでなく、遮断器270、スイッチまたは開閉器などに連結されるか主線路から分岐される分岐線路を含んで電気的に互いに連結されて、同一相の電力が伝送されるすべての導線を称する。ここで、電力線PL2は、大地から所定の接地抵抗以上の抵抗値を有するように絶縁されることが好ましい。ここで、絶縁とは、完全な絶縁の場合に限定されるものではなく、接地工事により電力線PL2または中性点が大地と有する通常の接地抵抗よりも大きい抵抗値を有する程度の場合を含む。
【0050】
電力線PL2に連結される電源は、直流または交流であることができる。電源が直流である場合には、太陽光、ESS(Energy Storage System)であることができ、交流である場合には、単相または三相であるか、その他、各相の電圧が所定の位相差を有する多相方式をすべて含むことができる。以下では、説明の便宜上、単相交流方式に基づいて説明し、必要に応じて、三相交流および直流電源の場合についてさらに説明する。
【0051】
第1中性点N1は、二つ以上の電力線PL2が有する電位の間の電位を有する通電点を意味し、変圧器の中間タップから引き出されるか、電力線PL2の電圧を所定の割合で合算して形成することもできる。第1中性点N1を基準に電力線PL2の電圧の和は0であればよく、第1中性点N1を基準とした電力線PL2の電圧の大きさが互いに同一であることに限定されないが、以下では、電力線PL2の相電圧が互いに異なる位相を有するだけであって、大きさは同一である場合を仮定して説明する。
【0052】
故障検出器210は、二つ以上の電力線PL2または第1中性点N1から大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成するように、二つ以上の電力線PL2および第1中性点N1のうち少なくとも一つ以上と大地との間に電気的に連結されることを特徴とする。ここで、故障検出器210は、リーク電流を検出して検出信号を出力するか、検出信号に連動してリーク電流が流れる電力線PL2または中性点に電源が供給されることを遮断するように制御することができる。ここで、「電気的に連結」されるとは、直接的な接続だけでなく、他の電気素子を介して間接的に連結される場合を含む。
【0053】
本発明の故障検出器210は、電力線PL2に設置されるか、第1中性点N1にのみ設置されることができ、電力線PL2と第1中性点N1の両方に設置することも可能である。また、故障検出器210を電力線PL2にのみ設置する場合にも、すべての電力線PL2だけでなく、電力線PL2の一部にのみ設置する構成も可能であるが、好ましくは、すべての電力線PL2に設置することで、電力線PL2から大地へのリーク電流をすべて探知し、さらには、リーク電流が発生した電力線PL2を特定することもできる。
【0054】
本発明による感電および火災防止装置は、大地から所定の抵抗値以上で絶縁された電力線PL2を対象としているが、
図1の受配電線路PL1が大地に絶縁されていない状態であるか、絶縁されていても、必要に応じて、受配電線路PL1との絶縁のために、本発明の感電および火災防止装置は、故障検出器210が設置される電力線PL2と受配電線路PL1との間に絶縁変圧器240をさらに含むことができる。
【0055】
絶縁変圧器240は、受配電線路PL1が連結される一次側とこれに絶縁される二次側を含み、二次側が二つ以上の電力線PL2に電気的に連結されることができる。したがって、電力線PL2および第1中性点N1は、故障検出器210が設置されることができるように、大地から絶縁される。ここで、第1中性点N1は、絶縁変圧器240の二次側巻線の中間タップから引き出されることができるが、故障検出器210を電力線PL2にのみ設置しようとする場合には、省略することも可能である。また、絶縁変圧器240は、単相用であるか三相用であってもよいが、これに限定されるものではなく、多相を出力するように巻き取られた多相用変圧器であってもよい。
【0056】
また、本発明による感電および火災防止装置は、電力線PL2に直列で設置され、故障検出器210の検出信号に連動して、電力線PL2を開閉して電源を遮断するように制御される開閉スイッチ213と遮断器270を少なくとも一つ以上含んで構成されることができる。ここで、検出信号に連動して電力線PL2を開閉することは、開閉スイッチ213と遮断器270が故障検出器210の検出信号によって直接制御される場合と、検出信号を受信した外部の制御手段によって開閉が制御される場合を含む。
【0057】
開閉スイッチ213と遮断器270は、電源を遮断する面において同じ機能を果たす構成であるが、遮断器270は、受配電設備で標準的に使用される構成として、漏電遮断器、配線用遮断器、MG/SW、電子式開閉器、ACB、VCB、AISS、LBSなどを含み、開閉スイッチ213は、これとは異なり、非標準スイッチ手段であることができる。特に、遮断器270は、線路を同時に開閉し、開閉スイッチ213は、電気故障が発生した線路のみ個別に開閉するように構成されることができる。したがって、本発明による感電および火災防止装置は、地絡、漏電または感電などの電気故障によってリーク電流が流れる電力線PL2を特定するように故障検出器210が設置され、電気故障が発生した電力線PL2を選別的に遮断するように開閉スイッチ213が構成されることができる。
【0058】
また、開閉スイッチ213は、
図1に図示されているように、電力線PL2の入力側と負荷290側にそれぞれ設置されて、電力線PL2を所定の区間に区画することができる。これにより、リーク電流が所定の区間に発生すると、当該区画でリーク電流が発生した電力線PL2のみを遮断して原因を除去することができる。後述するが、この場合には、遮断されていない電力線PL2と中性線NLを用いて復旧した電力を停電なしに負荷290に供給することができる。
【0059】
また、本発明による感電および火災防止装置は、電力線PL2の負荷290側に負荷290と並列に連結される探知/復旧器230をさらに含んで構成されることができる。探知/復旧器230は、電力線PL2の電気故障(リーク電流、抵抗増加、アーク、断線、欠相、不平衡電力、接続不良、誤結線、漏電、合線、異常電圧の発生)を探知するか、電力線PL2の断線、欠相またはリーク電流によって一つの電力線PL2が遮断される時に、当該電力線PL2の電源を復旧して負荷290に供給するように構成されることができる。探知/復旧器230の構造と機能については、以下で詳細に後述する。
【0060】
図2は、本発明による故障検出器210の内部ブロックを図示したブロック図である。
【0061】
図2を参照すると、本発明による故障検出器210のそれぞれは、リーク電流を所定の危険電流以下に制限し、リーク電流を検出して検出信号を出力する電流検出部211を含むことを特徴とする。また、故障検出器210のそれぞれは、リーク電流が電流検出部211を介して単方向に流れるように、リーク電流の経路を所定の方向に制限する単方向電流部212をさらに含むことができる。
【0062】
電流検出部211は、電力線PL2または第1中性点N1から大地に流れるリーク電流を検出する構成要素として、リーク電流を検出し、これに対応する検出信号を出力することができる。検出信号は、リーク電流の大きさと方向情報を含む信号であることができ、リーク電流が予め設定した臨界値を超えたか否かを出力する信号であることができる。検出信号は、電力線PL2に設置された開閉スイッチ213または遮断器270に直接提供されるか、別に設置された制御器220が開閉スイッチ213または遮断器270の開閉を制御するか、警報、故障位置表示または故障復旧のための制御信号を出力するように制御器220に提供されることもできる。ここで、制御器220は、警報発生器250を介して警報信号を発令するか、管理者によって警報解除入力器260に警報解除命令が入力されると、警報を解除するように制御することもできる。
【0063】
また、電流検出部211は、リーク電流が所定の危険電流以下になるようにリーク電流が流れる電流経路上に直列に配置される電流制限手段(図面図示せず)をさらに備えることができる。ここで、電流制限手段は、リーク電流の発生時に、故障検出部にかかる電圧に対して電流値を危険電流以下に制限するように抵抗素子をはじめ電圧降下素子を含んで構成されることができる。ここで、危険電流は、人体に感電を引き起こすか、火災を発生させ得る電流であり、電気設備100の使用目的に合わせて適切に設定されることができる。参考までに、人体に流れるリーク電流値が15mA以上であると、痙攣(苦痛)を引き起こし、50mA以上であると、死亡に至ることが知られているため、感電事故の予防のために、危険電流は15mA以下、例えば、8mAに設定して、リーク電流がそれ以下に制限されるように設計することができる。
【0064】
また、電流検出部211は、リーク電流が流れる電流経路上の任意の地点からリーク電流を検出するように構成されることができる。例えば、電流制限手段にかかる電圧を用いるか、電流経路の任意の地点に設置された電流センサを用いてリーク電流を検出することも可能である。ここで、電流センサは、ホールセンサまたはCT(current transformer)を含んで構成されることができる。
【0065】
本発明による故障検出器210は、検出信号に連動して開閉が制御されるスイッチをさらに含む構成であることができる。ここで、スイッチは、前述の開閉スイッチ213として動作することができ、電流検出部211とともに故障検出器210に一体型に備えられることができる。この場合に、一体型のスイッチと電流検出部211は、ソリッドステートリレー(SSR、solid-state relay)として実現されることができる。
【0066】
単方向電流部212は、リーク電流が電流検出部211を介して単方向に流れるように、リーク電流の経路を所定の方向に制限する構成要素であり、予め設定された方向の電流に対してのみ導通されるように制御されるスイッチ素子、またはダイオードを含んで構成されることができる。特に、単方向電流部212がダイオードで構成される場合に、一つ以上のダイオードで構成された整流回路形態であることができ(
図2の(a))、ブリッジダイオード回路(
図2の(b))で構成されることもできる。
【0067】
単方向電流部212を含んで構成された故障検出器210は、交流の電源の場合には電力線PL2に設置されるか、直流電源の場合には第1中性点N1に設置されて、リーク電流が流れる電力線PL2を識別するように動作することができる。
【0068】
すなわち、単方向電流部212を含んで構成された故障検出器210は、電力線PL2に設置されるか、中性点Nに設置されて、リーク電流の方向に応じてリーク電流が流れる電力線PL2を識別するように動作することができる。この場合にそれぞれ異なる方向にリーク電流が流れるように構成された単方向電流部212を介して故障検出器210は、二つ以上の電力線PL2のうちどちらの電力線でリーク電流が発生したかを検出することができる。
【0069】
また、本発明による故障検出器210は、単方向電流部212を使用することなく、リーク電流が発生した電力線PL2を検出するように構成することも可能である。
【0070】
図2の(c)を参照すると、故障検出器210を流れるリーク電流の方向を識別するように電流検出部211を構成することができる。例えば、
図2の(c)に図示されているように、電流検出部211は、リーク電流の方向に応じて異なる形態の検出信号、すなわち、異なる極性の検出信号を出力するようにし、これに基づいてリーク電流が流れる電力線PL2が如何なる電力線であるかを識別することができる。
【0071】
図3は、本発明の第1実施形態による感電および火災防止装置がリーク電流を検出する原理を図示した概念図である。
【0072】
図3によると、本発明による感電および火災防止装置は、電力線PL2の電圧の間の電位を有する第1中性点N1と大地との間に設置される故障検出器210を含んで構成されることができる。電力線PL2を大地と絶縁させるために、受配電線路PL1と電力線PL2との間に絶縁変圧器240が設置され、電力線PL2および第1中性点N1は、絶縁変圧器240の二次側から引き出されることができる。
【0073】
二つ以上の電力線PL2のいずれか一つの電力線PL2に地絡または人体接触が発生してリーク電流が流れると、リーク電流は、
図3に図示されているように、故障検出器210を経て第1中性点N1に流れる。ここで、故障検出器210は、リーク電流を人体に無害な電流以下に制限しながらリーク電流を検出する。
図3には、単相の電力線PL2のうち一つの電力線PL2にリーク電流が発生する場合を図示しているが、残りの電力線PL2または三相の場合にも、これと同様の原理で、故障検出器210がリーク電流を検出することができる。
【0074】
図3のように、交流電源に対して第1中性点N1に接続された故障検出器210は、単方向電流部212を含む構成である必要がなく、リーク電流が発生した電力線PL2に関係なくリーク電流の有無を検出する構成であるが、直流電源の場合には、単方向電流部212を備えた故障検出器210を第1中性点N1に設置することで、リーク電流の発生有無だけでなく、リーク電流が発生した電力線PL2も識別して検出することができる。この際、故障検出器210を並列に連結し、且つ、故障検出器210それぞれの単方向電流部212の電流方向を逆方向に設定するか、
図2の(b)に図示されているブリッジダイオード形態の単方向電流部212を備えた故障検出器210を用いて、リーク電流が発生した電力線PL2を識別することができる。
【0075】
図4は、本発明の第2実施形態による感電および火災防止装置がリーク電流が流れる電力線を識別してリーク電流を検出する原理を図示した概念図である。
【0076】
図4を参照すると、本発明の第2実施形態による感電および火災防止装置は、単相電圧R1、R2を有する電力線と大地との間にそれぞれ連結された第1および第2故障検出器210-1、210-2を含んで構成される。ここで、第1および第2故障検出器210-1、210-2は、単方向電流部212を含み、単相電圧R1、R2の両端の間に電流が流れないように、単方向電流部212が許容する電流方向は、単相電圧R1、R2の間で逆方向に設定される。
【0077】
図4によると、電力線のうちR1相にリーク電流1が発生すると、リーク電流1は、図面に図示されている実線に沿って第1故障検出器210-1に流れる電流経路を形成し、電力線のうちR2相にリーク電流2が発生すると、リーク電流2は、破線に沿って第2故障検出器210-2に流れる電流経路を形成する。したがって、リーク電流1が発生した電力線に対しては第1故障検出器210-1が検出信号を出力し、リーク電流2が発生した電力線に対しては第2故障検出器210-2が検出信号を出力するようにすることで、本発明の感電および火災防止装置は、リーク電流が発生した電力線を識別して検出することができる。
【0078】
以上、単相交流の場合を例にあげて説明しているが、この検出原理は、これに限定されるものではなく、三相またはそれ以上の多相電源にも適用されることができる。換言すれば、本発明の故障検出器は、二つ以上の電力線のそれぞれと大地との間に電気的に連結され、二つ以上の電力線のいずれか一つの電力線に流れるリーク電流は、故障検出器のうち残りの電力線に連結された故障検出器で検出されるように構成されることができる。
【0079】
以上で説明した構成により、本発明の感電および火災防止装置は、リーク電流が流れる電力線を識別し、遮断することで、人体の被害および火災を予防することができる。また、本発明の感電および火災防止装置は、リーク電流が発生した電力線のみを選別的に遮断することで、遮断されていない電力線および第1中性点N1を用いて、本発明の探知/復旧器230が遮断された電力を復旧して負荷290に供給するようにすることが可能である。
【0080】
一般的に、本発明の探知/復旧器230は、第1中性点N1に連結される第2中性点N2と、二つ以上の電力線のそれぞれに一端が連結され、他端が第2中性点N2に共通連結される二つ以上の巻線を含んで構成されることができる。ここで、二つ以上の巻線のそれぞれは、他の巻線のいずれか一つと磁気的にカップリングされるカップリング巻線部分を一つ以上含み、この際、二つ以上の巻線のうち少なくとも一つの巻線は、第2中性点N2を基準に残りの巻線のそれぞれに印加される電圧に対して逆相の電圧がそれぞれ誘起されるカップリング巻線部分を含むように構成される。
【0081】
図5は、単相電源に適用可能な本発明の探知/復旧器230の構成およびベクトル図を図示した図である。
【0082】
図5の(a)を参照すると、単相電圧に適用される探知/復旧器230は、単相電圧のそれぞれに一端が連結され、他端が第2中性点N2に共通連結される第1および第2巻線R1-N2、R2-N2を含んで構成されることができる。ここで、第1および第2巻線R1-N2、R2-N2は、
図5の(b)に図示されているように、第2中性点N2を基準に互いに逆相の電圧が誘起されるように互いに磁気的にカップリングされる。したがって、単相電圧のうちR1またはR2側にリーク電流が発生して、当該線路(例えば、R2)を強制遮断した時に、残りの正常線路(例えば、R1)と第2中性点N2を用いて、遮断された部分を復旧し、正常電圧を負荷290に供給することができる。
【0083】
本発明の単相用の探知/復旧器230は、一種の単巻変圧器の構造を有しているが、第1巻線R1-N2:第2巻線R2-N2の巻線比は1:1である場合に限定されるものではなく、必要に応じて、多様に設定して作製することができる。ただし、電力線を介して探知/復旧器230と絶縁変圧器240が電気的に連結される場合には、対応する絶縁変圧器240の巻線比に合わせて探知/復旧器230の巻線比を設定することが好ましい。
【0084】
本発明の探知/復旧器230は、三相電源に適用することも可能である。
【0085】
図6は、三相電源に適用可能な探知/復旧器230の例示的なの構成およびベクトル図を図示した図である。
【0086】
図6の(a)を参照すると、三相電源に適用可能な本発明の探知/復旧器230は、R、SおよびT相を有する三相の電力に対して、R、SおよびT相のそれぞれに一端が連結され、他端が第2中性点N2に共通連結される第1~第3巻線231、232、233を含み、この際、第1~第3巻線231、232、233のそれぞれは、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して第2中性点N2を基準に逆相の電圧がそれぞれ誘起されるカップリング巻線部分を含んで構成されることができる。
【0087】
図6の(a)の構成によると、R相に連結された第1巻線231には、3個のカップリング巻線部分が備えられ、それぞれのカップリング巻線部分には、Rr、RsおよびRtベクトルを有する電圧が誘起される。また、S相に連結された第2巻線232には、3個のカップリング巻線部分が備えられ、それぞれのカップリング巻線部分には、Ss、StおよびSrベクトルを有する電圧が誘起される。また、T相に連結された第3巻線233には、3個のカップリング巻線部分が備えられ、それぞれのカップリング巻線部分には、Tt、TrおよびTsベクトルを有する電圧が誘起される。
【0088】
三相電源でR、S、T各ベクトルの和は0であるため、R、S、T相電圧間の関係を数式で表すと、数学式1(数1)のとおりである。
【0089】
【0090】
三相電圧が第1~第3巻線231、232、233にそれぞれ印加される時に、第2中性点N2を基準に第1~第3巻線231、232、233で誘起される電圧は、各巻線に備えられたカップリング巻線部分で誘起される電圧の和と同一であるため、これをベクトル式で表すと、以下の数学式2~数学式4のとおりである。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
上記の数学式1~4の理解を容易にするために、
図6の(b)には、誘起される電圧のベクトル図が図示されている。
【0095】
図6の(b)を参照すると、各巻線は、第2中性点N2を基準に残りの巻線のそれぞれに印加される電圧に対して逆相の電圧がそれぞれ誘起されるカップリング巻線部分を含むように構成される。換言すれば、第1巻線231の場合には、Rs、Rtベクトルの電圧を誘起するカップリング巻線部分は、それぞれS相およびT相の位相と逆相である電圧を誘起する。第2巻線232の場合には、Sr、Stベクトルの電圧がそれぞれR相およびT相電圧の位相と逆相である。また、第3巻線233の場合には、Tr、Tsベクトルの電圧がそれぞれR相およびS相電圧の位相と逆相である。
【0096】
さらには、第1巻線231のカップリング巻線部分のうちRrベクトルの電圧を誘起するカップリング巻線部分は、Trのカップリング巻線部分およびSrのカップリング巻線部分と逆相の電圧を誘起させる。これと同様に、第2巻線232でSsベクトルはRsおよびTsと逆相であり、第3巻線233でTtベクトルはStおよびRtベクトルと逆相である。カップリング巻線部分で誘起する電圧の関係をベクトル式で整理すると、以下の数学式5~7のとおりである。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
上記のような条件を満たすように構成される本発明の探知/復旧器230は、第1~第3巻線231、232、233に印加されるR、S、Tのうちいずれか一つの相が断線またはその他の電気故障によって欠相されても、残りの相によって欠相された相電圧を復旧し、負荷290に供給することができる。
【0101】
三相電圧R、S、Tの電力線が探知/復旧器230の第1~第3巻線231、232、233に接続されて動作する間に、いずれか一つの相(例えば、R相)が電気故障によって断線/欠相されたと仮定する。ここで、断線されていない第2巻線232および第3巻線233には、SおよびT相が正常に印加されているため、数学式3~数学式7の関係式が成立する。ただし、第1巻線231にはR相が印加されないため、数学式2は有効ではなく、第1巻線231には、数学式8で定義される未知の電圧Xが誘起されると考えられる。
【0102】
【0103】
以下では、欠相された第1巻線231で誘起される未知の電圧Xが欠相されたR相を復旧するか否かについて数学的に説明する。
【0104】
数学式3と数学式4で表したS、Tを、数学式5~7を用いて、Rr、Rs、Rtに関して整理すると、下記の数学式9を得ることができる。
【0105】
【0106】
また、探知/復旧器230のすべてのカップリング巻線部分が同じ巻線比を有するようにすると、各カップリング巻線部分で誘起される電圧の大きさは、以下の数学式10のように互いに同一である。
【0107】
【0108】
上記の数学式10と数学式3~7を用いてRs+Rtを求めると、数学式11を得ることができる。
【0109】
【0110】
数学式8に数学式9および11を代入し、数学式1を用いて整理すると、R相が欠相された第1巻線231に誘起される未知の電圧Xは、数学式12のように求められる。
【0111】
【0112】
数学式12から、本発明の探知/復旧器230は、第1巻線231に印加されなければならないR相が欠相されても、第2および第3巻線232、233に印加されるSおよびT相を用いて、第1巻線231にはR相の電圧が復旧されることを知ることができる。
【0113】
以上では、探知/復旧器230の第1巻線231にR相が欠相された時を例にあげているが、第2および第3巻線232、233に印加されるS相またはT相に欠相が発生する時にも同一の原理で電源が復旧されることができる。
【0114】
図6では、探知/復旧器230の第1~第3巻線231、232、233がそれぞれ3個のカップリング巻線部分で構成された構造が図示されているが、本発明の探知/復旧器230は、これに限定されるものではなく、第1~第3巻線231、232、233のうち少なくとも一つが、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して逆相の電圧がそれぞれ誘起されるカップリング巻線部分を含む構造であれば、様々な形態に変更されることができる。
【0115】
例えば、図面に図示してはいないが、本発明の探知/復旧器230は、
図6の構成において第1~第3巻線231、232、233に備えられたRr、SsおよびTtに対応するカップリング巻線部分を省略した構造に構成されることもできる。数学式1~12と類似の証明過程を用いると、この構造でも欠相された巻線に電圧が正常に復旧されることを確認することができる。
【0116】
また、本発明の探知/復旧器230は、三相電源に対してより簡単な構造に構成されることもできる。
【0117】
図7は、三相電源に適用可能な探知/復旧器230の他の例示的な構成およびベクトル図を図示した図である。
【0118】
図7を参照すると、本発明の探知/復旧器230は、R、SおよびT相のそれぞれに一端が連結され、他端が第2中性点N2に共通連結される第1~第3巻線231、232、233を含み、この際、第1~第3巻線231、232、233のうち一つの巻線は、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して第2中性点N2を基準に逆相の電圧がそれぞれ誘起されるカップリング巻線部分を含んで構成されることができる。
図7の(a)の探知/復旧器230には、R相が印加される第1巻線231にRs、Rtベクトルの電圧を誘起するカップリング巻線が備えられ、RsおよびRtは第2および第3巻線232、233のSおよびT相に対してそれぞれ逆相の電圧を有する。
図7の(b)には、このような関係を図示したベクトル図が図示されている。
【0119】
上記で
図6の(a)の構造を有する探知/復旧器230が欠相された相を復旧する原理を数学的に証明したように、
図7の(a)の構造に対しても類似の過程により欠相された相の復旧原理について説明する。
【0120】
三相電源でR、S、T各ベクトルの和は0であるため、R、S、T相電圧間の関係を数式で表すと、数学式1と同じ数学式13を得ることができる。
【0121】
【0122】
第2中性点N2を基準に第1~第3巻線231、232、233にかかるか誘起される電圧をベクトル式で表すと、以下の数学式14~数学式16のとおりである。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
上記の数学式14~16の理解を容易にするために、
図7の(b)には誘起される電圧のベクトル図が図示されている。
図7の(b)を参照すると、第1巻線231でRs、Rtベクトルの電圧を誘起するカップリング巻線部分は、それぞれ、S相およびT相の位相と逆相である電圧を誘起することを知ることができる。
【0127】
さらには、第1巻線231のカップリング巻線部分のうちRsベクトルの電圧を誘起するカップリング巻線部分は、Ssのカップリング巻線部分と逆相の電圧を誘起させ、Rtベクトルの電圧を誘起するカップリング巻線部分は、Ttのカップリング巻線部分と逆相の電圧を誘起させる。このように、カップリング巻線部分で誘起する電圧の関係をベクトル式で整理すると、以下の数学式17および数学式18のとおりである。
【0128】
【0129】
【0130】
上記のような条件を満たすように構成される本発明の探知/復旧器230は、第1~第3巻線231、232、233に印加されるR、S、Tのいずれか一つの相が断線またはその他の電気故障によって欠相されても、残りの相によって欠相された相電圧を復旧して負荷290に供給することができる。
【0131】
三相電圧R、S、Tの電力線が探知/復旧器230の第1~第3巻線231、232、233に接続されて動作する間に、いずれか一つの相(例えば、R相)が電気故障によって断線/欠相されたと仮定する。ここで、断線されていない第2巻線232および第3巻線233には、SおよびT相が正常に印加されているため、数学式15~数学式18の関係式が成立する。ただし、第1巻線231にはR相が欠相されたため、数学式14は有効ではなく、第1巻線231には、数学式19で定義される未知の電圧Xrが誘起されると考えられる。
【0132】
【0133】
数学式19に数学式17および18を代入し、数学式13を用いて整理すると、R相が欠相された第1巻線231に誘起される未知の電圧Xrは、数学式20のように求められる。
【0134】
【0135】
これと同様に、第2巻線232または第3巻線233に第S相またはT相が欠相された場合も以下の数学式21および22のように求められる。
【0136】
【0137】
【0138】
数学式20~22から、
図7の(a)に図示されている構造の探知/復旧器230は、第1~第3巻線231、232、233のいずれか一つの巻線に欠相または断線が発生しても、
図7の(b)のベクトル図のように残りの巻線に印加される電圧を用いて欠相された電圧を復旧することを知ることができる。特に、
図7に図示されている構造の探知/復旧器230は、磁気カップリングのための磁気コアが3個ではなく2個のみに構成されることができ、巻線構造が簡単であり、生産時に、工程および費用を低減することができる利点がある。
【0139】
本発明の探知/復旧器230は、以上で説明した構造に限定されるものではなく、第1~第3巻線231、232、233のうち少なくとも一つが、残りの巻線に印加される電圧のそれぞれに対して逆相の電圧がそれぞれ誘起されるカップリング巻線部分を含む構造であれば、様々な形態に変更されることができる。
【0140】
図8は、故障検出器210と探知/復旧器230が同時に適用された、本発明による感電および火災防止装置の結線図である。
【0141】
図8を参照すると、本発明による感電および火災防止装置は、単相電圧R1、R2および第1中性点N1の負荷290側に電気的に接続された探知/復旧器230と、単相電圧R1、R2のR2相およびR1相と大地との間にそれぞれ連結された第1および第2故障検出器210-1、210-2と、単相電圧R1、R2の電源側と負荷290側に備えられて、電力線を所定の区間に区画する第1および第2開閉スイッチ213-1、213-2を含んで構成されることができる。したがって、リーク電流などの電気故障が発生しない正常動作状態では、単相電圧R1、R2による電圧Vacが負荷290および探知/復旧器230に印加されて負荷290が正常動作を行うことができる。
【0142】
しかし、
図8に図示されているように、第2開閉スイッチ213-2によって区画されたR2相の線路にリーク電流が発生すると、R1相に接続された第2故障検出器210-2によってリーク電流が検出され、検出信号が出力される。また、出力された第2故障検出器210-2の検出信号に連動して、第2開閉スイッチ213-2は、R2相線路の区画された所定の区間を遮断する。
【0143】
リーク電流のため、R2相が遮断されても、遮断されていないR1相および第1中性点N1によって探知/復旧器230のR1端子および第2中性点N2には、1/2Vacが印加され、上記で説明した復旧原理によって、探知/復旧器230のR2端子と第2中性点N2との間には1/2Vacが復旧される。したがって、リーク電流によってR2相が遮断されても、探知/復旧器230によって、負荷290は、Vacの供給を受けて正常な動作を行うことができる。
【0144】
図8では、R2相の線路にリーク電流が発生した場合が図示されているが、R1相にリーク電流が発生した場合にも、本発明の感電および火災防止装置は、類似の検出、遮断および復旧動作を行うことができる。
【0145】
以下では、本発明の感電および火災防止装置が電気設備100に適用される実施形態が例示的な結線図として提示されている。以下の詳細な説明および結線図は、例示的なものに過ぎず、より様々な形態に変形して適用することは、本技術分野において通常の技術者の創作能力の範疇内に属するものに過ぎない。
【0146】
図9は、本発明による感電および火災防止装置が単相電源に適用された結線図である。
【0147】
図9を参照すると、本発明による感電および火災防止装置は、接地されたメイン変圧器300から引き出された受配電線路PL1から電力線PL2および第1中性点N1を接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁させるために、絶縁変圧器240を備えることができ、第1中性点N1と大地との間に第1故障検出器210-1を含んで構成することができる。また、これに代案的にまたは付加的に、電力線PL2と大地との間に第2故障検出器210-2を設置することも可能である。
【0148】
また、サージ電圧から電気設備100を保護するために、サージ保護器280が、電力線PL2および第1中性点N1のうち少なくとも一つと大地との間に設置されることができる。本発明による感電および火災防止装置が適用される電力線PL2および第1中性点N1は、大地と接地抵抗以上の抵抗値を有するように構成されて、落雷などのサージ電圧に脆い可能性があるため、サージ保護器280を用いてこれを補完することができる。
【0149】
また、本発明による感電および火災防止装置は、
図9に図示されていないが、故障検出器210-1、210-2から検出信号を受信して故障可否を判断し、これに対応して制御信号を出力する制御器220をさらに含んで構成されることができる。ここで、制御信号は、リーク電流から電源を遮断するための遮断信号、電気故障が発生したことを警報発令するための警報信号、故障区間または位置をディスプレイするための位置信号、および故障を復旧するための復旧信号のうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0150】
したがって、電力線PL2に設置される遮断器270および開閉スイッチ213などは、リーク電流の発生時に、故障検出器210-1、210-2の検出信号、または検出信号を受信した制御器220の制御信号によって電源供給を遮断するように制御されることができる。
【0151】
図10は、探知/復旧器230を備えた本発明による感電および火災防止装置が単相電源に適用された結線図である。
【0152】
図10に図示されている本発明の感電および火災防止装置は、
図9の構成に探知/復旧器230をさらに含んでいる。電力線PL2の負荷290側に並列に接続された探知/復旧器230は、電気故障(リーク電流、抵抗増加、アーク、断線、欠相、不平衡電力、接続不良、誤結線、漏電、合線、異常電圧の発生)を探知するか、電力線PL2の断線、欠相またはリーク電流によって一つの電力線PL2が遮断される時に、当該電力線PL2の電源を復旧して負荷290に供給するように動作することができる。
【0153】
図11は、探知/復旧器230を備えた本発明による感電および火災防止装置が単相電源に適用された他の結線図である。
【0154】
図11を参照すると、本発明の感電および火災防止装置は、受配電線路PL1と電力線PL2を電気的に絶縁させるための絶縁変圧器240を含むことができる。ここで、受配電線路PL1は、大地に接地された線路であることができるが、絶縁変圧器240によってすでに大地と絶縁された線路である場合も含む。
【0155】
また、本発明の感電および火災防止装置は、電力線PL2を線路別に開閉することができる開閉スイッチ213-1、213-2を含んで構成されることができる。開閉スイッチ213-1、213-2と故障検出器210-1~210-4の連動関係は、前述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。また、故障検出器210-1~210-4は、電力線PL2と第1中性点N1、および第1中性点N1と中性線NLによって連結された第2中性点N2のうち少なくとも一つに電気的に連結されることができ、必要に応じて、同じ線路に複数個を並列に設置することも可能である。
【0156】
本発明による感電および火災防止装置は、単相電源だけでなく、三相電源にも適用されることができる。
図12は、本発明による感電および火災防止装置が三相電源に適用された結線図である。
【0157】
図12を参照すると、特高圧線路から受電するメイン変圧器300は、二次側が大地と絶縁された絶縁変圧器240として動作するように、第1中性点N1を大地と直接接地させず、第1中性点N1と大地との間に第1故障検出器210-1を接続することができる。また、これに、代案的にまたは付加的に、メイン変圧器300の二次側の三相電力線PL2のうち少なくとも一つ以上に第2故障検出器210-2を設置することも可能である。また、サージ電圧から電気設備100を保護するために、サージ保護器280が、電力線PL2および第1中性点N1のうち少なくとも一つと大地との間に設置されることができる。
【0158】
図13は、探知/復旧器230を備えた本発明による感電および火災防止装置が三相電源に適用された結線図である。
【0159】
図13に図示されている本発明の感電および火災防止装置は、
図12の三相結線図に負荷290側に並列に接続された探知/復旧器230をさらに含んでいる。ここで、三相電源に適用するために、探知/復旧器230は、三相用に構成され、電気故障(リーク電流、抵抗増加、アーク、断線、欠相、不平衡電力、接続不良、誤結線、漏電、合線、異常電圧の発生)を探知するか、電力線PL2の断線、欠相またはリーク電流によって一つの電力線PL2が遮断される時に、残りの電力線PL2を用いて、遮断された電力線PL2の電源を復旧し、負荷290に供給するように動作することができる。
【0160】
本発明による感電および火災防止装置は、手配電線路の主線路だけでなく、主線路から分岐された分岐線路にも適用されることができる。
図14は、本発明による感電および火災防止装置が単相電源の分岐線路に適用された結線図である。
【0161】
図14を参照すると、本発明による感電および火災防止装置は、主線路から分岐された分岐線路に、分岐線路を大地から絶縁するための絶縁変圧器240を含んで構成されることができる。絶縁変圧器240は、すべての分岐線路にそれぞれ設置することができるが、リーク電流による電気事故の恐れが大きい分岐線路にのみ選択的に設置することも可能である。
【0162】
図14に図示されているように、分岐線路のそれぞれに絶縁変圧器240を含み、故障検出器210を絶縁変圧器240の二次側にそれぞれ設置する場合には、リーク電流が発生した分岐線路に設置された故障検出器210が、リーク電流を検出して、検出信号を制御器220に伝送するか、直接遮断器270または開閉スイッチ213を制御して、当該分岐線路を遮断することができる。ここで、検出信号を受信した制御器220は、リーク電流が発生した分岐線路を識別して、当該分岐線路を選択的に遮断する遮断信号(トリップ信号)を出力するか、当該分岐線路の位置を表示する位置信号を出力することができる。したがって、分岐線路のそれぞれに絶縁変圧器240および故障検出器210を設置する場合には、リーク電流による電気故障が発生した分岐線路の位置を識別し、当該分岐線路のみ選択的に遮断することができる利点がある。
【0163】
これに対し、主線路に絶縁変圧器240および故障検出器210を設置する場合には、分岐線路別に絶縁変圧器240および故障検出器210を設置する必要がなく、結線が単純になる利点があるが、リーク電流が発生した分岐線路を識別して選択的に遮断するためには、さらなる考えが必要であり得る。例えば、主線路から分岐された多数の分岐線路のいずれか一つの線路でリーク電流が発生した時に、故障検出器210は、検出信号を制御器220に伝送し、制御器220は、分岐回路の遮断器270を順に開放するように、遮断器270の開閉を制御しながら、リーク電流が発生した分岐線路を識別することができる。
【0164】
また、
図14には図示されていないが、各分岐線路別に電力線PL2の負荷290側に探知/復旧器230および開閉スイッチ213を備えて、リーク電流または電気故障による断線時に欠相された電源を復旧して安定的に負荷290に電源を供給するように構成することもできる。
【0165】
図15は、本発明による感電および火災防止装置が三相電源の分岐線路に適用された結線図である。
【0166】
図15に図示されている三相電源の分岐線路に適用された本発明の感電および火災防止装置は、分岐線路のそれぞれに絶縁変圧器240が備えられるものではなく、主線路に備えられたメイン変圧器300が絶縁変圧器240である点以外は、その作動原理と結線方法が
図14の単相電源と同一であるため、これに関する詳細な説明は省略する。また、
図15には、分岐線路のそれぞれに故障検出器210が設置されることが図示されているが、主線路にのみ故障検出器210を設置する構成も可能である。
【0167】
図16は、探知/復旧器230を備えた本発明による感電および火災防止装置が三相電源の分岐線路に適用された結線図である。
【0168】
図16を参照すると、本発明による感電および火災防止装置は、接地されたメイン変圧器300から引き出された主線路から分岐された分岐線路のそれぞれに分岐線路を大地から絶縁するための絶縁変圧器240を含んで構成されることができる。ここで、絶縁変圧器240は、三相用変圧器であり、Y-Y結線、またはΔ-Y結線構造であることができる。また、分岐線路のうち少なくとも一つ以上の線路の負荷290側には、
図16の負荷ブロックに図示されているように、三相用探知/復旧器230が負荷290と並列に接続されることができる。
【0169】
また、分岐線路の電力線PL2、第1中性点N1またはこれと連結される探知/復旧器230の第2中性点N2のうち少なくとも一つと大地との間には、リーク電流を所定の危険電流以下に制限しながらリーク電流を検出することができる故障検出器210が設置されることができる。
【0170】
また、サージ電圧から絶縁変圧器240の後端の電気設備100を保護するために、サージ保護器280が、電力線PL2、第1中性点N1および第2中性点N2のうち少なくとも一つと大地との間に設置されることができる。
【0171】
以上では、本発明による感電および火災防止装置の構成と動作について説明した。
【0172】
これに基づく、本発明による、漏電および地絡時の感電および火災防止方法は、二つ以上の電力線PL2を大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁する絶縁ステップと、二つ以上の電力線PL2、および二つ以上の電力線PL2の電圧の間の電位を有する第1中性点N1のうち少なくとも一つと大地との間のリーク電流を検出するリーク電流検出ステップと、リーク電流検出ステップによって検出信号を出力する検出信号出力ステップとを含んで構成されることができる。
【0173】
また、本発明による感電および火災防止方法は、故障検出器210の検出信号に連動してリーク電流が流れる電力線PL2での電源供給を遮断する電力線遮断ステップと、遮断された電源を復旧して負荷290に供給する電源復旧ステップとをさらに含むことができる。
【0174】
ここで、電源復旧ステップは、電力線遮断ステップで遮断された電力線PL2以外の電力線PL2および第1中性点N1から電源の供給を受ける電源入力ステップと、電源入力ステップで供給を受けた電源を用いて、遮断された電源を復旧して負荷290に供給する復旧電源供給ステップとを含んで構成されることができる。
【0175】
以上では、本発明の感電および火災防止装置が、漏電、地絡によるリーク電流の発生時に、人体または電気設備を経由して大地に流れるリーク電流を危険電流以下に制限して検出する実施形態を説明した。
【0176】
以下では、本発明の感電および火災防止装置の他の実施形態として、リーク電流の発生時にリーク電流が人体または電気設備を経由することを最初から遮断して、漏電および地絡時の感電および火災が発生することを防止することができる実施形態を説明する。
【0177】
図17は、本発明の第3実施形態による漏電および地絡時の感電および火災防止装置およびこれを備えた配電システムの構成を図示した結線図である。
【0178】
図17を参照すると、本発明による漏電および地絡時の感電および火災防止装置は、電源部1100から交流または直流電気を負荷設備に伝送するように電源部1100に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線1410、1420、および前記二つ以上の電力線1410、1420の電圧の間の電位を有する中性点Nのうち少なくとも一つと大地との間のリーク電流の発生可否を検出するように構成された故障検出器210を含んで構成されることができる。ここで、故障検出器210は、リーク電流が発生した場合に、二つ以上の電力線1410、1420および中性点Nのうちリーク電流が発生した電力線1410、1420または中性点Nを大地に接地させるように動作することを特徴とする。
【0179】
図17によると、本発明による配電システムは、上述の感電および火災防止装置と、交流または直流電気を負荷設備に提供するように構成される電源部1100と、電源部1100に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線1410、1420を含んで構成されることを特徴とする。
【0180】
電力線1410、1420は、電源部1100から負荷側または周辺の電力設備(以下、負荷設備とする)に電力を供給する導線として、遮断器やスイッチに区画された別個の導線だけでなく、遮断器、スイッチまたは開閉器などで連結されるか、主線路から分岐される分岐線路を含んで電気的に互いに連結されて電力が伝送されるすべての導線を称する。ここで、電力線1410、1420は、大地から所定の接地抵抗以上の抵抗値を有するように絶縁されることが好ましい。ここで、絶縁とは、完全な絶縁の場合に限定されるものではなく、接地工事により、電力線1410、1420または中性点Nが大地と有する通常の接地抵抗よりも大きい抵抗値を有する程度の場合を含む。
【0181】
電源部1100は、電力線1410、1420に電気を供給する構成要素であり、直流または交流電源であることができる。電源が直流である場合には太陽光、ESS(Energy Storage System)であることができ、交流である場合には、単相または三相であるか、その他、各相の電圧が所定の位相差を有する多相方式をすべて含むことができる。以下では、電源部1100が交流である場合は、第3および第4実施形態として説明し、電源部1100が太陽光のように直流である場合は、第5および第6実施形態として説明する。
【0182】
本発明による配電システムは、故障検出器210の検出結果に連動して電力線1410、1420に電源の供給または遮断が制御される遮断器1500を含むことができる。
【0183】
遮断器1500は、故障検出器210が電力線1410、1420で地絡または漏電が発生したことで検出する場合に、電源部1100を電力線1410、1420から分離するように制御されることができる。特に、電力線1410、1420のうち複数の電力線1410、1420でリーク電流が発生した場合に、電源部1100を電力線1410、1420から分離するように制御されることができる。
【0184】
本発明の故障検出器210は、リーク電流の発生可否を検出するが、リーク電流が発生した電力線1410、1420または中性点Nを識別することができるように、二つ以上の電力線1410、1420のうち少なくとも一つと大地との間に電気的に連結されることができる。
【0185】
本発明による感電および火災防止装置は、故障検出器210の検出結果に応じて、二つ以上の電力線1410、1420のうちリーク電流が発生した電力線1410、1420を大地を介して短絡させて接地するように制御される接地スイッチング部1300を含んで構成されることができる。さらに、接地スイッチング部1300は、電源部1100が三相交流である場合に、リーク電流が流れる中性点Nまたは中性線NLを大地を介して短絡させて接地するように構成されることができる。
【0186】
接地スイッチング部1300は、二つ以上の電力線1410、1420または中性点Nのうち少なくとも一つ以上と大地との間に電気的に連結されて故障検出器210の検出結果に応じて、リーク電流が発生した電力線1410、1420または中性点Nを大地に接地させて、リーク電流が人体、周辺設備または負荷設備に流れる代わりに、接地スイッチング部1300に迂回して流れるようにすることで、リーク電流による感電や火災を最初から防止することができる。
【0187】
図17には、電源部1100が単相交流である場合において、本発明の第3実施形態による漏電および地絡時の感電および火災防止装置およびこれを備えた配電システムの構成を図示している。
【0188】
図17によると、本発明の第3実施形態による感電および火災防止装置および配電システムは、二つの電力線1410、1420と大地との間にそれぞれ電気的に連結される第1および第2故障検出器210-1、210-2を含み、接地スイッチング部1300は、故障検出器210のそれぞれに対応してターンオンまたはターンオフが制御される第1および第2接地スイッチ1310、1320を含むことができる。
【0189】
特に、本発明の第3実施形態の構成では、接地スイッチが対応する故障検出器210に電気的に並列連結される構成であることができる。ここで、接地スイッチは、対応する故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオフするノーマルクローズNC(normal close)タイプのスイッチであることが好ましい。
【0190】
仮に、二つの電力線1410、1420のうち第1電力線1410に漏電および地絡が発生すると、第1電力線1410と大地との間に連結された第1故障検出器210-1の両端電圧が降下して故障検出器に流れる電流が所定の基準値以下になるため、第1接地スイッチ1310が短絡される。これに対し、第2電力線1420に漏電および地絡が発生すると、第2電力線1420と大地との間に連結された第2故障検出器210-2の両端電圧が降下し、故障検出器に流れる電流が所定の基準値以下になるため、第2接地スイッチ1320が短絡される。
【0191】
本発明の第3実施形態のように、接地スイッチをノーマルクローズNCタイプに構成する場合には、一つの電力線だけでなく、複数の電力線で漏電または地絡が発生しても検出が可能である。
【0192】
本発明による感電および火災防止装置および配電システムに適用される故障検出器210は、二つ以上の電力線のうち少なくとも一つと大地との間に電気的に連結されて、電力線から大地にリーク電流が発生するか否かを検出するように構成される。
【0193】
図2で詳述したように、故障検出器210のそれぞれは、リーク電流を検出して検出信号を出力する電流検出部211を含むことを特徴とする。ここで、故障検出器210は、リーク電流を所定の危険電流以下に制限するように、両端抵抗値が所定の抵抗値以上に設定された電流制限素子を備えることができる。また、故障検出器210は、リーク電流が電流検出部211を介して単方向に流れるように、リーク電流の経路を所定の方向に制限する単方向電流部212をさらに含んで構成されることができる。
【0194】
図17のような本発明の第3実施形態には、
図2の(c)に図示されている構造の故障検出器210が使用されることができ、
図22および
図23のような本発明の第4実施形態には、
図2の(a)または
図2の(b)に図示されているように、単方向電流部212がさらに含まれた構造の故障検出器210が使用されることができる。
【0195】
以下では、
図2の(a)または
図2の(b)の故障検出器210が適用された本発明の第4実施形態、および
図2の(c)の故障検出器210が適用された第3実施形態の構成および作動原理について説明する。
【0196】
図18は、
図17に図示されている本発明の第3実施形態で正常状態である時、
図19および
図20は、一つの電力線1410、1420または一相に漏電または地絡が発生した時、
図21は、複数の電力線1410、1420または二相に漏電または地絡が発生した時の動作を説明するための概念図である。
【0197】
本発明の第3実施形態による感電および火災防止装置および配電システムでの接地スイッチは、対応する故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れる時に、ターンオフするノーマルクローズNCタイプスイッチであり、対応する故障検出器210と同じ電力線1410、1420に電気的に並列連結される構成であることができる。ここで、故障検出器210は、所定の基準値以下の電流が流れる時を検出し、接地スイッチが短絡されるように制御することができる。
【0198】
図18によると、正常状態で、第1および第2故障検出器210-1、210-2には、所定の基準値以上の動作電流が流れるようになり、第1および第2故障検出器210-1、210-2のそれぞれは、対応する第1および第2接地スイッチ1310、1320を開放されるように制御するため、電力線1410、1420を介して負荷側に正常な電力が供給される。
【0199】
仮に、
図19の(a)に図示されているように、二つの電力線1410、1420のうち第1電力線1410に漏電および地絡が発生すると、第1電力線1410と大地との間に連結された第1故障検出器210-1の両端電圧が降下し、第1故障検出器210-1に流れる電流が所定の基準値以下になるため、第1故障検出器210-1によって制御される第1接地スイッチ1310が短絡される。
【0200】
このように漏電または地絡が発生した第1電力線1410が第1接地スイッチ1310によって大地に接地されると、第1電力線1410から大地に流れていたリーク電流1が、人体、周辺設備または可燃性物体の代わりに、
図19の(b)に図示されているように、第1接地スイッチ1310を介して大地に流れるようになり、感電または火災などの電気事故が最初から防止される。
【0201】
これに対し、
図20の(a)に図示されているように、二つの電力線1410、1420のうち第2電力線1420に漏電および地絡が発生すると、第2電力線1420と大地との間に連結された第2故障検出器210-2の両端電圧が降下し、第2故障検出器210-2に流れる電流が所定の基準値以下になるため、第2故障検出器210-2によって制御される第2接地スイッチ1320が短絡される。
【0202】
このように漏電または地絡が発生した第2電力線1420が第2接地スイッチ1320によって大地に接地されると、第2電力線1420から大地に流れていたリーク電流2が、人体、周辺設備または可燃性物体の代わりに、第2接地スイッチ1320を介して大地に流れるようになり、感電または火災などの電気事故が最初から防止される。
【0203】
また、
図21の(a)に図示されているように、第1および第2電力線1410、1420で漏電または地絡が同時に発生すると、第1および第2故障検出器210-1、210-2に流れる電流が、いずれも所定の基準値以下になるため、第1および第2故障検出器210-1、210-2によって制御される第1および第2接地スイッチ1310、1320が短絡されるように制御されることができる。これとともに、第1および第2故障検出器210-1、210-2によって複数の電力線1410、1420で漏電または地絡が発生したものと検出される場合には、
図21の(b)に図示されているように、遮断器1500を開放して、電源部1100から電力線1410、1420に電力が供給されることを遮断するように制御することができる。
【0204】
このように、複数の電力線1410、1420に漏電または地絡が発生する時に、遮断器1500が電源供給を遮断する前に、複数の接地スイッチによって電力線1410、1420同士が短絡されることを防止するために、接地スイッチに直列に短絡防止素子を設置することができる。ここで、短絡防止素子は、瞬間的な短絡電流を制限するためのインダクタ素子であることができる。
【0205】
このように、本発明の第3実施形態のような構造では、接地スイッチをノーマルクローズNCタイプに構成して、電力線1410、1420の一線だけでなく、複数の電力線1410、1420が地絡または漏電によってリーク電流が発生した状況でも検出が可能であり、このように、複数の電力線1410、1420で地絡または漏電が検出された状況では、遮断器1500を開閉して、電力線1410、1420から電源部1100を電気的に分離するように制御することができる。
【0206】
図22は、本発明の第4実施形態による漏電および地絡時の感電および火災防止装置およびこれを備えた配電システムの構成を図示した結線図である。
【0207】
本発明の第4実施形態による感電および火災防止装置は、第3実施形態とは異なり、電力線1410、1420に漏電または地絡が発生する時に、リーク電流による動作電流が所定の基準値以上故障検出器210に流れるようになり、対応する接地スイッチが故障検出器210により制御される。
【0208】
このために、本発明の第4実施形態による感電および火災防止装置において、故障検出器210は、特定の電力線1410、1420に流れるリーク電流に対してのみ導通が許容される単方向電流部212を含んで構成されることができ、接地スイッチは、対応する故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオンするノーマルオープン(NO、normal open)タイプのスイッチであることができる。ここで、接地スイッチは、二つ以上の電力線1410、1420および中性点Nのうち対応する故障検出器210が連結された電力線1410、1420ではなく、電力線1410、1420および中性点Nのうち少なくとも一つに電気的に連結されることを特徴とする。
【0209】
図22を参照すると、本発明の第4実施形態による感電および火災防止装置および配電システムは、二つの電力線1410、1420と大地との間にそれぞれ電気的に連結される第1および第2故障検出器210-1、210-2を含み、故障検出器のそれぞれに対応して、ターンオンまたはターンオフが制御される第1および第2接地スイッチ1310、1320を含んで構成されることができる。
【0210】
第1および第2故障検出器210-1、210-2のそれぞれは、
図2の(a)または
図2の(b)に図示されているように、リーク電流を検出する電流検出部211と、リーク電流が電流検出部211を介して単方向に流れるようにリーク電流の経路を制限する単方向電流部212とを含む構成であることができる。
【0211】
特に、
図22に図示されているように、第1および第2故障検出器210-1、210-2それぞれの単方向電流部212の電流導通方向を、いずれも大地から流出される方向または流入される方向に構成すると、漏電または地絡が発生しない正常状態では、故障検出器210にリーク電流が流れず、第1および第2電力線1410、1420のいずれか一つの電力線にリーク電流が発生する時にのみ故障検出器210がリーク電流を検出して対応する接地スイッチを動作させる。
【0212】
接地スイッチは、対応する故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れる時に出力される検出信号によって接点が短絡されるノーマルオープンNOタイプスイッチであり、対応する故障検出器210が連結された電力線1410、1420ではなく、電力線1410、1420に電気的に連結される。
【0213】
換言すれば、第1電力線1410と大地との間に第1故障検出器210-1が連結され、第2電力線1420と大地との間に第2故障検出器210-2が連結される時に、第1故障検出器210-1に対応する第1接地スイッチ1310は、第2電力線1420と大地との間に設置され、第2故障検出器210-2に対応する第2接地スイッチ1320は、第1電力線1410と大地との間に設置されることができる。
【0214】
図23は、
図22に図示されている本発明の第4実施形態において一つの相に漏電または地絡が発生した時の動作を説明するための概念図である。
【0215】
図23によると、二つの電力線1410、1420のうち第1電力線1410に漏電および地絡が発生してリーク電流1が流れると、リーク電流1は、第2電力線1420と大地との間に連結された第2故障検出器210-2を所定の基準値以上に流れるため、リーク電流1を検出した第2故障検出器210-2によって第2接地スイッチ1320が第1電力線1410を大地に接地させるように制御される。
【0216】
このように漏電または地絡が発生した第1電力線1410が第2接地スイッチ1320によって大地に接地されると、第1電力線1410から大地に流れていたリーク電流1が、人体、周辺設備または可燃性物体の代わりに、第2接地スイッチ1320を介して大地に流れるようになり、感電または火災などの電気事故が最初から防止される。
【0217】
これに対し、二つの電力線1410、1420のうち第2電力線1420に漏電および地絡が発生してリーク電流2が流れると、リーク電流2は、第1電力線1410と大地との間に連結された第1故障検出器210-1を所定の基準値以上に流れるため、リーク電流2を検出した第1故障検出器210-1によって第1接地スイッチ1310が第2電力線1420を大地に接地させるように制御される。
【0218】
このように、漏電または地絡が発生した第2電力線1420が第1接地スイッチ1310によって大地に接地されると、第2電力線1420から大地に流れたリーク電流2が、人体、周辺設備または可燃性物体の代わりに、第1接地スイッチ1310を介して大地に流れるようになり、感電または火災などの電気事故が最初から防止される。
【0219】
以上では、電源部1100が単相交流電源である場合を例に挙げて本発明の第3および第4実施形態を説明しているが、本発明の技術的思想は、これに限定されず、三相をはじめ多相交流回路だけでなく、直流回路にも適用されることができる。
【0220】
その一例として、本発明の第3および第4実施形態が三相交流回路に適用される時の構成について説明する。
【0221】
図24は、本発明の第3実施形態による構成を三相交流電源に適用した時の結線図である。
【0222】
図24を参照すると、本発明の第3実施形態による感電および火災防止装置および配電システムは、電源部1100が、R相、S相およびT相を含む三相交流電源であり、故障検出器210は、R相、S相およびT相と大地との間にそれぞれ連結される第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3を含み、接地スイッチング部1300は、第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3それぞれに対応する第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330を含み、この際、第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330は、対応する故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れる時に動作して接点が開放されるノーマルクローズNCタイプのスイッチであることを特徴とする。
【0223】
ここで、第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330は、R相、S相およびT相に連結された第1~第3電力線1410、1420、1430のうち一つ以上の電力線に漏電または地絡が発生した時に、当該電力線が大地に接地されるように、前記複数の電力線1410、1420、1430と大地との間に設置されることができ、より詳細には、第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330は、対応する故障検出器210のそれぞれに並列に接続される構成であることができる。
【0224】
このように、本発明の第3実施形態による構成が適用された三相交流回路では、第1~第3電力線1410、1420、1430のいずれか一つの電力線に漏電および地絡が発生すると、当該電力線と大地との間に連結された故障検出器210の両端電圧が降下し、故障検出器210に流れる電流が所定の基準値以下になるため、当該故障検出器210によって制御される接地スイッチが短絡される。
【0225】
このように、漏電または地絡が発生した電力線1410、1420、1430が接地スイッチによって大地に接地されると、電力線1410、1420、1430から大地に流れたリーク電流が、人体、周辺設備または可燃性物体の代わりに、短絡された接地スイッチを介して大地に流れるようになり、感電または火災などの電気事故が最初から防止される。
【0226】
また、第1~第3電力線1410、1420、1430のうち複数の電力線で漏電または地絡が同時に発生すると、漏電または地絡が発生した電力線1410、1420、1430に接続された故障検出器210に流れる電流がいずれも所定の基準値以下になるため、当該故障検出器210によって制御される接地スイッチが短絡されて漏電および地絡された電力線1410、1420、1430が大地に接地されるように制御されることができる。これとともに、故障検出器210によって複数の電力線1410、1420、1430で漏電または地絡が発生したものと検出される場合には、電源部1100と第1~第3電力線1410、1420、1430との間に設置された遮断器1500を開放して、電源部1100から電力線1410、1420、1430に電力が供給されることを遮断するように制御することができる。
【0227】
このように、複数の電力線1410、1420、1430に漏電または地絡が発生する時に、遮断器1500が電源供給を遮断する前に、複数の接地スイッチの動作によって電力線1410、1420、1430同士が瞬間的に短絡されることを防止するために、接地スイッチに直列に短絡防止素子を設置することができ、短絡防止素子は、瞬間的な短絡電流を制限するためのインダクタ素子であることができる。
【0228】
上述のように、本発明の第3実施形態のような構造では、接地スイッチをノーマルクローズNCタイプに構成して、電力線1410、1420、1430の一つの線だけでなく、複数の電力線1410、1420、1430に地絡または漏電が発生した状況でも検出が可能であり、このように、複数の電力線1410、1420、1430で地絡または漏電が検出された状況では、遮断器1500を開閉して、電力線1410、1420、1430から電源部1100を電気的に分離するように制御することができる。
【0229】
図25は、本発明の第4実施形態による構成を三相電源に適用した時の結線図である。
【0230】
図25を参照すると、本発明の第4実施形態による感電および火災防止装置および配電システムは、電源部1100がR相、S相およびT相を含む三相交流電源であり、故障検出器210は、R相、S相およびT相と大地との間にそれぞれ連結される第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3を含み、接地スイッチング部1300は、第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3それぞれに対応する第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330を含み、この際、第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330は、対応する故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れる時にターンオンし、接点が短絡されるノーマルオープンNOタイプのスイッチであることを特徴とする。
【0231】
ここで、第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330は、R相、S相およびT相に連結された第1~第3電力線1410、1420、1430のうち一つ以上の電力線1410、1420、1430に漏電または地絡が発生した時に、当該電力線1410、1420、1430が大地に接地されるように、前記複数の電力線1410、1420、1430と大地との間に設置されることができ、また、R相、S相およびT相の中性点Nに連結された中性線NLに漏電または地絡が発生した時に、中性線NLが大地に接地されるように中性線NLと大地との間に設置されることも可能である。
【0232】
第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3のそれぞれは、
図2の(a)または
図2の(b)に図示されているように、リーク電流を検出する電流検出部211と、リーク電流が電流検出部211を介して単方向に流れるように、リーク電流の経路を制限する単方向電流部212を含む構成であることができる。
【0233】
特に、
図25に図示されているように、第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3それぞれの単方向電流部212の電流導通方向をいずれも大地から流出される方向または流入される方向に構成すると、漏電または地絡が発生しない正常状態では、故障検出器210にリーク電流が流れず、第1~第3電力線1410、1420、1430のいずれか一つの電力線1410、1420、1430にリーク電流が発生する時のみに故障検出器210がリーク電流を検出して対応する接地スイッチを動作させる。
【0234】
接地スイッチは、対応する故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れる時に出力される検出信号によって接点が短絡されるノーマルオープンNOタイプスイッチであり、対応する故障検出器210が連結された電力線1410、1420、1430ではなく、電力線1410、1420、1430に電気的に連結される。
【0235】
換言すれば、第1~第3電力線1410、1420、1430のいずれか一つの電力線に漏電または地絡が発生してリーク電流が流れると、第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3のうち漏電または地絡が発生した電力線1410、1420、1430に連結された故障検出器210以外の残りの故障検出器210に所定の基準値以上の動作電流が流れるため、残りの故障検出器210の検出信号に連動する接地スイッチを用いて、漏電または地絡された電力線1410、1420、1430を大地に接地させることができるように接地スイッチを配置することができる。
【0236】
例えば、
図25を参照すると、第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3が第1~第3電力線1410、1420、1430と大地との間にそれぞれ連結されると仮定する時に、第1電力線1410と大地との間には、第2および第3故障検出器210-2、210-3に対応する第2および第3接地スイッチ1320、1330が直列に連結され、第2電力線1420と大地との間には、第1および第3故障検出器210-1、210-3に対応する第1および第3接地スイッチ1310、1330が直列に連結され、第3電力線1430と大地との間には、第1および第2故障検出器210-1、210-2に対応する第1および第2接地スイッチ1310、1320が直列に連結される構成であることができる。
【0237】
また、中性点Nまたは中性線NLが漏電または地絡されると、第1~第3故障検出器210-1、210-2、210-3にいずれもリーク電流が流れるため、中性線NLと大地との間には第1~第3接地スイッチ1310、1320、1330が直列に連結されることができる。
【0238】
ただし、
図25の結線構成は、本発明の第4実施形態による例示的なものに過ぎず、漏電または地絡が発生した電力線1410、1420、1430または中性線NLを大地に接地させるように構成するために、故障検出器210の検出結果を論理的に演算するなど、様々な方法と構成を講ずることができる。
【0239】
本発明の第4実施形態によると、三相交流回路において電力線1410、1420、1430または中性線NLに漏電または地絡が発生する時に、当該電力線1410、1420、1430または中性線NLを大地に接地させることができるため、電力線1410、1420、1430または中性線NLから大地に流れたリーク電流が、人体、周辺設備または可燃性物体の代わりに、接地スイッチを介して大地に流れるようになり、感電または火災などの電気事故が発生することが最初から防止される。
【0240】
また、本発明による配電システムは、二つ以上の電力線1410、1420、1430、および二つ以上の電力線1410、1420、1430の電圧の間の電位を有する中性点Nのうち少なくとも一つと大地との間に電気的に連結されるサージ保護器(図面図示せず)をさらに含むことができる。サージ保護器は、故障検出器210と並列に電力線1410、1420、1430のそれぞれと大地との間に設置されることができ、また、中性点Nまたは中性線NLと大地との間に設置されて電力線1410、1420、1430または中性線NLに流入されたサージ電圧を抑制する機能を果たすことができる。
【0241】
ここで、本発明による感電および火災防止装置は、サージ保護器の不良、劣化または故障によるリーク電流を検出するように構成することで、サージ保護器の不良、劣化または故障を認知することができる。
【0242】
サージ保護器は、落雷などによって電力線1410、1420、1430および中性線NLに流入された以上、サージ電圧を抑制して周辺設備を保護する構成要素としてバリスタを含んで構成されることができる。
【0243】
サージ保護器の劣化または不良および定格容量を超える過電圧の流入によってサージ保護器のインピーダンスが低くなり、正常状態でも漏電または地絡が発生したように、リーク電流が流れることができる。ここで、本発明による感電および火災防止装置は、サージ保護器の不良、劣化または故障によるリーク電流を検出することで、サージ保護器に不良、劣化または故障が発生したことを認知し、管理者に知らせて、管理者が適期にサージ保護器を入れ替えるようにする。
【0244】
また、本発明による漏電および地絡時の感電および火災防止装置は、交流回路だけでなく、太陽光のような直流回路に適用することも可能である。以下では、本発明による感電および火災防止装置が太陽光発電システムに適用された実施形態について説明する。
【0245】
図26は、本発明による漏電および地絡時の感電および火災防止装置を備えた太陽光発電システムの全体構成を図示したブロック図である。
【0246】
図26を参照すると、太陽光発電システムの感電および火災防止装置は、一つ以上の太陽電池モジュール2110が配列されたソーラーパネル2100で発電した電気を負荷設備2500に伝送するようにソーラーパネル2100に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線2410で大地間のリーク電流の発生可否を検出するように構成された一つ以上の故障検出器210を含み、故障検出器210は、リーク電流が発生した場合に、二つ以上の電力線2410のうち前記リーク電流が発生した電力線2410を大地に接地させるように動作することを特徴とする。
【0247】
ここで、本発明による太陽光発電システムは、一つ以上の太陽電池モジュール2110が配列されたソーラーパネル2100と、ソーラーパネル2100で発電した電気を負荷設備2500に伝送するようにソーラーパネル2100に電気的に連結され、大地から所定の接地抵抗値以上の抵抗値で絶縁された二つ以上の電力線2410と、上述の感電および火災防止装置を含んで構成されることができる。
【0248】
電力線2410は、ソーラーパネル2100から負荷側または周辺の電力設備(以下、負荷設備とする)に電力を供給する導線であり、遮断器やスイッチで区画された別個の導線だけでなく、遮断器、スイッチまたは開閉器などで連結されるか主線路から分岐される分岐線路を含んで電気的に互いに連結されて電力が伝送されるすべての導線を称する。ここで、電力線2410は、大地から所定の接地抵抗以上の抵抗値を有するように絶縁されることが好ましい。ここで、絶縁とは、完全な絶縁の場合に限定されるものではなく、接地工事により、電力線2410または中性点Nが大地と有する通常の接地抵抗よりも大きい抵抗値を有する程度の場合を含む。
【0249】
電力線2410に連結される負荷設備2500の回路は直流または交流回路であることができる。直流回路の場合に電力線2410は、ソーラーパネル2100およびESS(Energy Storage System)に連結される直流電力線を含むことができ、交流回路の場合には直流を交流に変換するインバーターの出力に連結される交流電力線を含むことができる。
【0250】
図26を参照すると、太陽光発電システムは、ソーラーパネル2100に二つ以上の太陽電池モジュール2110が配列される時に、太陽電池モジュール2110それぞれで発電した電流を集束する集束部2430を含むことができる。集束部2430で集束された直流電流は直流電力線2410を介して負荷設備2500に伝送される。
【0251】
また、太陽光発電システムは、太陽電池モジュール2110と集束部2430との間にそれぞれ配置されて、故障検出器210の検出信号に連動して開閉が制御される直流遮断器2420を含むことができる。
【0252】
直流遮断器2420は、太陽電池モジュール2110にそれぞれ対応する一つ以上の遮断器であることができる。複数の遮断器である場合には、故障検出器210の検出信号に連動して複数の直流遮断器2420全体を同時に遮断するかまたは順に遮断しながら検出信号を確認して、リーク電流が発生した太陽電池モジュール2110のみを遮断することも可能である。
【0253】
直流遮断器2420は、故障検出器210が二つ以上の電力線2410で地絡または漏電が発生したものと検出する場合に、太陽電池モジュール2110を電力線2410から分離するように制御されることができる。
【0254】
以上で説明した集束部2430および直流遮断器2420は、接続盤2400に設置されることができる。接続盤2400は、その他、故障検出器210および後述する接地スイッチング部1300をさらに含んで構成されることもできる。
【0255】
本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置は、故障検出器210の検出結果に応じて、二つ以上の電力線2410のうちリーク電流が発生した電力線2410を大地を介して短絡させて接地するように制御される接地スイッチング部1300をさらに含んで構成されることができる。
【0256】
接地スイッチング部1300は、二つ以上の電力線2410のうち少なくとも一つ以上と大地との間に電気的に連結されて故障検出器210の検出結果に応じて、リーク電流が発生した電力線2410を大地に接地させてリーク電流が人体、周辺設備または負荷設備2500に流れる代わりに、接地スイッチング部1300に迂回して流れるようにすることで、リーク電流による感電や火災を最初から防止することができる。
【0257】
このために、本発明の故障検出器210は、リーク電流の発生可否を検出し、この際、リーク電流が発生した電力線2410を識別することができるように構成されることができる。
【0258】
本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置に適用される故障検出器210は、二つ以上の電力線2410、および二つ以上の電力線2410の電圧の間の電位を有する中性点Nのうち少なくとも一つと大地との間に電気的に連結されて、電力線2410から大地にリーク電流が発生するか否かを検出するように構成される。
【0259】
図2で詳述したように、故障検出器210のそれぞれは、リーク電流を検出し、検出信号を出力する電流検出部211を含むことを特徴とする。ここで、故障検出器210は、リーク電流を所定の危険電流以下に制限するように両端抵抗値が所定の抵抗値以上に設定された電流制限素子を備えることができる。また、故障検出器210は、
図2の(a)および
図2の(b)に図示されているように、リーク電流が電流検出部211を介して単方向に流れるように、リーク電流の経路を所定の方向に制限する単方向電流部212をさらに含んで構成されることができる。
【0260】
単方向電流部212を含んで構成された故障検出器210は、電力線2410に設置されるか中性点Nに設置されて、リーク電流の方向に応じてリーク電流が流れる電力線2410を識別するように動作することができる。この場合にそれぞれ異なる方向にリーク電流が流れるように構成された単方向電流部212を介して、故障検出器210は、二つ以上の電力線2410のいずれかの電力線2410でリーク電流が発生したかを検出することができる。
【0261】
また、本発明による故障検出器210は、単方向電流部212を使用せず、リーク電流が発生した電力線2410を検出するように構成することも可能である。
【0262】
図2の(c)を参照すると、故障検出器210を流れるリーク電流の方向を識別するように、電流検出部211を構成することができる。例えば
図2の(c)に図示されているように、電流検出部211は、リーク電流の方向に応じて異なる形態の検出信号、すなわち、異なる極性の検出信号を出力するようにし、これに基づいて、リーク電流が流れる電力線2410を識別して当該電力線2410を大地に短絡させるように、接地スイッチング部1300を制御することができる。
【0263】
以下では、太陽光発電システムにおいてリーク電流が流れる電力線2410を識別する故障検出器210の設置例を説明する。
【0264】
図27は、本発明の第5実施形態によって故障検出器210が電力線2410で結線される例示を図示した結線図である。
【0265】
図27を参照すると、本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置において、二つ以上の電力線2410は、ソーラーパネル2100で発電した直流電気を伝送する第1および第2直流電力線2411、2412を含み、故障検出器210は、大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成し、電流経路からリーク電流を検出するように、一端が第1および第2直流電力線2411、2412に電気的に連結される第1および第2故障検出器210-1、210-2を含むことができ、故障検出器210-1、210-2の検出結果に応じて、二つ以上の電力線2410のうちリーク電流が発生した電力線2410を大地を介して短絡させて接地するように制御される接地スイッチング部1300を含んで構成されることができる。
【0266】
ここで、接地スイッチング部1300は、故障検出器210-1、210-2の検出結果に応じて、第2直流電力線2412にリーク電流が流れる場合に、第2直流電力線2412を大地に接地させるように制御される第1接地スイッチ1310と、故障検出器210-1、210-2の検出結果に応じて、第1直流電力線2411にリーク電流が流れる場合に、第1直流電力線2411を大地に接地させるように制御される第2接地スイッチ1320を含む構成であることができる。
【0267】
さらには、第1故障検出器210-1と直列連結されて第1直流電力線2411と大地との間に電気的に接続される第1電圧降下部2220-1と、第2故障検出器210-2と直列連結されて第2直流電力線2412と大地との間に電気的に接続される第2電圧降下部2220-2をさらに含むことができる。
【0268】
第1および第2直流電力線2411、2412は、直流電流が流れる電力線として、第1直流電力線2411には、第1極性の電圧が印加され、第2直流電力線2412には、第2極性の電圧が印加されることができる。詳細には、第1極性は直流電圧の正極であり、第2極性は直流電圧の負極であることができるが、その逆であってもよい。
【0269】
第1および第2電圧降下部2220-1、2220-2は、所定の電圧以上がかかった時に導通されるか正常状態で故障検出器210-1、210-2に流れる電流が所定の基準値以下になるように所定の電圧降下が生じる構成であり、抵抗またはツェナーダイオードであることができるが、これに限定されるものではない。
【0270】
仮に、
図27のような構成において、第1および第2電圧降下部2220-1、2220-2がツェナーダイオードのように所定の電圧以上がかかった時に導通される構成の場合に、第1電圧降下部2220-1と第2電圧降下部2220-2の導通電圧のそれぞれは、第1および第2直列電力線の両端電圧より小さく、第1電圧降下部2220-1と第2電圧降下部2220-2の導通電圧の和は、第1および第2直列電力線の両端電圧より大きいことが好ましい。
【0271】
第1電圧降下部2220-1と第2電圧降下部2220-2の導通電圧が上記のような設定がされると、リーク電流が発生しない正常状態では、第1電圧降下部2220-1と第2電圧降下部2220-2が導通されず、故障検出器210-1、210-2に電流が流れず、リーク電流が発生しないものと判断し、リーク電流が発生する状況では、第1電圧降下部2220-1と第2電圧降下部2220-2のうち一つが導通して故障検出器210-1、210-2にリーク電流が流れるため、これによりリーク電流が発生したことを検出する。
【0272】
より詳細には、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第2電圧降下部2220-2が導通されて第2故障検出器210-2からリーク電流を検出し、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第1電圧降下部2220-1が導通されて第1故障検出器210-1でリーク電流を検出することで、地絡または漏電が発生した電力線を識別することができる。これにより、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第2故障検出器210-2によって第2接地スイッチ1320が第1直流電力線2411を大地に接地させるように制御され、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第1故障検出器210-1によって第1接地スイッチ1310が第2直流電力線2412を大地に接地させるように制御されることができる。
【0273】
これと同様に、第1および第2電圧降下部2220-1、2220-2が、正常状態で故障検出器210-1、210-2に流れる電流が所定の基準値以下になるように構成される場合には、リーク電流が発生しない正常状態では、故障検出器210-1、210-2に流れる電流が所定の基準値以下になり、リーク電流が発生しないものと判断し、リーク電流が発生する状況では、第1および第2故障検出器210-1、210-2のいずれか一つに流れる電流が所定の基準値以上になり、リーク電流が発生したことを検出することができる。
【0274】
より詳細には、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第2故障検出器210-2に流れる電流が所定の基準値以上になってリーク電流を検出し、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第1故障検出器210-1に流れる電流が所定の基準値以上になってリーク電流を検出することで、地絡または漏電が発生した電力線を識別することができる。これにより、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第2故障検出器210-2によって第2接地スイッチ1320が第1直流電力線2411を大地に接地させるように制御され、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第1故障検出器210-1によって第1接地スイッチ1310が第2直流電力線2412を大地に接地させるように制御されることができる。
【0275】
これにより、故障検出器210-1、210-2によってリーク電流が発生したと識別された電力線2410を大地に接地させることで、リーク電流が、人体、周辺設備または負荷設備2500に流れる代わりに、接地スイッチング部1300に迂回して流れるようにして、リーク電流による感電や火災を最初から防止することができる。
【0276】
電力線2410が一線または二線の両方に対してリーク電流が発生した場合にもリーク電流発生を検出するようにするために、図面に図示されていないが、本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置において第1および第2故障検出器210-1、210-2は、正常状態で所定の基準値以上に動作電流が流れ、リーク電流が発生する時には、リーク電流が流れる直流電力線に連結された故障検出器210-1、210-2には、動作電流が所定の基準値以下に流れるように構成することも可能である。ここで、接地スイッチング部1300は、第1直流電力線2411と大地との間に電気的に連結された第2接地スイッチ1320と、第2直流電力線2412と大地との間に電気的に連結された第1接地スイッチ1310とを含み、第1および第2接地スイッチ1310、1320は、非動作状態で閉じているNC(normal close)タイプの接点であることができる。
【0277】
例えば、この構造において、正常状態では故障検出器210-1、210-2に所定の基準値以上の動作電流が流れて、リーク電流が発生しないものと判断する時には、NCタイプの接地スイッチング部1300を動作させて接点を開放し、リーク電流が発生する状況では、第1および第2故障検出器210-1、210-2のいずれか一つに流れる電流が所定の基準値以下になってリーク電流が発生したことを検出する時には、接地スイッチング部1300を非動作させて当該電力線を大地に接地させることができる。
【0278】
換言すれば、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第1故障検出器210-1に流れる電流が所定の基準値以下になり、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第2故障検出器210-2に流れる電流が所定の基準値以下になり、地絡または漏電が発生した電力線を識別するように構成することができる。これにより、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第1故障検出器210-1によって第2接地スイッチ1320が非動作モードになって第1直流電力線2411を大地に接地させ、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第2故障検出器210-2によって第1接地スイッチ1310が非動作モードになって第2直流電力線2412を大地に接地させるように制御されることができる。
【0279】
このような構造では、電力線2410の一線だけではなく、二線が地絡または漏電によってリーク電流が発生した状況でも検出が可能であり、このように、二線の地絡または漏電が検出された状況では、直流遮断器2420を開閉して電力線2410からソーラーパネル2100を電気的に分離するように制御することができる。
【0280】
以上では、故障検出器210が電力線2410と大地との間に設置される実施形態を説明しているが、電力線2410のリーク電流を検出するために故障検出器210を二つ以上の電力線2410の電圧の間の電位を有する中性点Nと大地との間に設置する構造も可能である。
【0281】
図28は、本発明の第6実施形態によって故障検出器210-1、210-2が中性点Nに結線される一例示を図示した結線図である。
【0282】
中性点Nとは、二つ以上の電力線2410の電圧の間の電位を有する地点を称するものであり、電力線2410それぞれから所定の電気的素子を含む電圧降下部を介して形成されることができ、電力線2410の間に直列連結された複数の太陽電池モジュール2110の間の接続点から直接引き出されてもよい。中性点Nを基準に電力線2410の電圧の和が0であればよく、中性点Nを基準とした電力線2410の電圧の大きさが互いに同一であることに限定されるものではない。以下では、説明の便宜上、電力線2410の電圧が中性点Nを基準に互いに異なる位相を有するだけであって、大きさは同一である場合を仮定して説明する。
【0283】
図28を参照すると、本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置において、故障検出器210は、二つ以上の電力線2410の電圧の間の電位を有する中性点Nと大地との間に電気的に連結され、大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成し、電流経路からリーク電流を検出することができる。ここで、故障検出器210は、故障検出器210を流れるリーク電流の方向に応じて二つ以上の電力線2410のうちリーク電流が発生した電力線2410を識別することができる。
【0284】
図28の(a)を参照すると、本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置は、第1直流電力線2411と中性点Nとの間に電気的に連結される第1電圧降下部2220-1と、第2直流電力線2412と中性点Nとの間に電気的に連結される第2電圧降下部2220-2を含んで構成される。
【0285】
図28の(a)の構成では、中性点Nが第1および第2電圧降下部2220-1、2220-2の接続点として形成され、このように形成された中性点Nと大地との間に第1および第2故障検出器210-1、210-2が並列に連結される。ここで、中性点Nは、第1および第2直流電力線2411、2412の電圧の間の電位を有する。
【0286】
このような構造において、第1直流電力線2411と大地との間のリーク電流は、第2故障検出器210-2を経由し、第2直流電力線2412と大地との間のリーク電流は、第1故障検出器210-1を経由するように、故障検出器210-1、210-2に含まれる単方向電流部212の電流導通方向を設定することができる。
【0287】
図28の(a)の実施形態において、第1および第2電圧降下部2220-1、2220-2は、導通される時に、所定の電圧降下が生じる構成として、抵抗またはツェナーダイオードを含む構成であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0288】
図28の(a)の構成において、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、リーク電流が第2電圧降下部2220-2を経て第2故障検出器210-2で検出され、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、リーク電流が第1電圧降下部2220-1を経て第1故障検出器210-1で検出されるため、検出信号がどちらの故障検出器210-1、210-2で発生したかを確認することで、地絡または漏電が発生した電力線を識別することができる。
【0289】
これにより、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第2故障検出器210-2によって第2接地スイッチ1320が第1直流電力線2411を大地に接地させるように制御され、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第1故障検出器210-1によって第1接地スイッチ1310が第2直流電力線2412を大地に接地させるように制御されることができる。
【0290】
これにより、故障検出器210-1、210-2によってリーク電流が発生したものと識別された電力線2410を大地に接地させることで、リーク電流が、人体、周辺設備または負荷設備2500に流れる代わりに、接地スイッチング部1300に迂回して流れるようにして、リーク電流による感電や火災を最初から防止することができる。
【0291】
また、
図28の(b)の構造では、中性点Nが第1および第2直流電力線2411、2412の間に直列連結される二つ以上の太陽電池モジュール2110の間の接続点から引き出されることができる。ここで、故障検出器210は、中性点Nと大地との間に並列連結される第1および第2故障検出器210-1、210-2を含んで構成されるが、第1直流電力線2411と大地との間のリーク電流は、第2故障検出器210-2を経由し、第2直流電力線2412と大地との間のリーク電流は、第1故障検出器210-1を経由するように、故障検出器210-1、210-2に含まれる単方向電流部212の電流導通方向を設定することができる。
【0292】
図28の(a)の構造と同様、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、リーク電流が第2電圧降下部2220-2を経て第2故障検出器210-2で検出され、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、リーク電流が第1電圧降下部2220-1を経て第1故障検出器210-1で検出されるため、検出信号がどちらの故障検出器210-1、210-2で発生したかを確認することで、地絡または漏電が発生した電力線を識別することができる。
【0293】
これにより、第1直流電力線2411に地絡または漏電が発生した場合には、第2故障検出器210-2によって第2接地スイッチ1320が第1直流電力線2411を大地に接地させるように制御され、第2直流電力線2412に地絡または漏電が発生した場合には、第1故障検出器210-1によって第1接地スイッチ1310が第2直流電力線2412を大地に接地させるように制御されることができる。
【0294】
以上では、中性点Nと大地との間に複数の故障検出器210-1、210-2を設置して、それぞれの故障検出器210-1、210-2は単方向電流部212によって特定方向の電流を検出するように構成しているが、本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置は、単方向電流部212を排除した故障検出器210を用いて、リーク電流が発生した電力線2410を検出するように構成することも可能である。
【0295】
例えば、
図2の(c)に図示されている故障検出器210は、電流検出部211がリーク電流の方向に応じて異なる形態の検出信号、すなわち、異なる極性の検出信号を出力するようにし、これに基づいて、リーク電流が流れる電力線2410を識別して、当該電力線2410を大地に短絡させるように接地スイッチング部1300を制御することができる。
【0296】
図29は、本発明の第6実施形態によって故障検出器210が中性点Nに結線される他の例示を図示した結線図である。
【0297】
図29を参照すると、本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置において、故障検出器210は、二つ以上の電力線2410の電圧の間の電位を有する中性点Nと大地との間に電気的に連結され、大地に流れるリーク電流に対して電流経路を形成し、電流経路からリーク電流を検出することができる。
【0298】
ここで、故障検出器210は、故障検出器210を流れるリーク電流の方向に応じて異なる形態の検出信号、すなわち、異なる極性や異なるレベルの検出信号を出力するようにし、これに基づいて、リーク電流が流れる電力線2410を識別して、当該電力線2410を大地に短絡させるように接地スイッチング部1300を制御することができる。換言すれば、第1電力線で発生したリーク電流によって故障検出器210に第1方向の電流が流れ、第2電力線で発生したリーク電流によって故障検出器210に第2方向の電流が流れるため、、故障検出器210は、第1方向の電流に対して第2接地スイッチ1320を動作させ、第2方向の電流に対して第1接地スイッチ1310を動作させて、当該電力線を大地に接地させることができる。
【0299】
故障検出器210に流れる電流の方向に応じてリーク電流が発生したものと識別された電力線を大地に接地させることで、リーク電流が人体、周辺設備または負荷設備2500に流れる代わりに、接地スイッチング部1300に迂回して流れるようにして、リーク電流による感電や火災を最初から防止することができる。
【0300】
上述のように、故障検出器210が連結される中性点Nは、二つ以上の電力線2410の電圧の間の電位を有する地点を称するものであり、
図29の(a)に図示されているように、電力線2410のそれぞれから所定の電気的素子を含む電圧降下部を介して形成されることができ、
図29の(b)に図示されているように、電力線2410の間に直列連結された複数の太陽電池モジュール2110の間の接続点から直接引き出されてもよい。
【0301】
図30は、
図29に図示されている実施形態で故障検出器210がリーク電流を検出して電力線2410を大地に接地させる原理を図示した概念図である。
【0302】
図30では、本発明の太陽光発電システムが
図29の(a)の構成を有する場合に対して、故障検出器210がリーク電流を検出し、リーク電流を接地スイッチング部1300に迂回させる動作原理について説明しているが、
図27、
図28および
図29の(b)の構成に対しても動作原理が同様に理解されることができる。
【0303】
図30の(a)によると、直流電力線のうち第1直流電力線2411に発生したリーク電流1は、図面に図示されている実線に沿って故障検出器210を第1方向に流れる電流経路を形成し、直流電力線のうち第2直流電力線2412に発生したリーク電流2は破線に沿って故障検出器210を第2方向に流れる電流経路を形成する。ここで、リーク電流は、人体または周辺電気設備などを介して流れるため、仮に、故障検出器210によってリーク電流の大きさを所定の危険電流以下に制限しても、感電や火災などの危険が依然として残っている。
【0304】
図30の(b)を参照すると、本発明による太陽光発電システムは、リーク電流1に対しては、故障検出器210が第2接地スイッチ1320をターンオンさせるように動作し、リーク電流2に対しては、故障検出器210が第1接地スイッチ1310をターンオンさせるように動作することができる。これにより、第1直流電力線2411で発生して人体または周辺電気設備に流れたリーク電流1は第2接地スイッチ1320に迂回して大地に流れ、第2直流電力線2412で発生して人体または周辺電気設備に流れたリーク電流2は第1接地スイッチ1310に迂回して大地に流れる。
【0305】
したがって、本発明による太陽光発電システムの感電および火災防止装置およびこれを備えた太陽光発電システムは、地絡または漏電などによって発生したリーク電流が、人体または周辺電気設備に流れる代わりに、接地スイッチング部1300に迂回するようにすることで、リーク電流による感電や火災を最初から防止することができる。
【0306】
上述の構成により、本発明による、漏電および地絡時の感電および火災防止装置、方法および配電システムは、大地と絶縁されて電力を供給する電力線と大地との間のリーク電流を検出し、これを危険電流以下に制限するか、リーク電流が人体または周辺設備に流れることを遮断することで、リーク電流による感電および火災の発生を防止する効果がある。
【符号の説明】
【0307】
100 電気設備
210、210-1、210-2、210-3、210-4 故障検出器
211 電流検出部
212 単方向電流部
213、213-1、213-2 開閉スイッチ
220 制御器
230 探知/復旧器
231~233 第1~第3巻線
240 絶縁変圧器
250 警報発生器
260 警報解除入力器
270 遮断器
280 サージ保護器
290 負荷
300 メイン変圧器
1100 電源部
1300 接地スイッチング部
1310、1320、1330 第1~第3接地スイッチ
1410、1420、1430 第1~第3電力線
1500 遮断器
2100 ソーラーパネル
2110 太陽電池モジュール
2220-1、2220-2 第1および第2電圧降下部
2400 接続盤
2410、2411、2412 直流電力線
2420 直流遮断器
2430 集束部
2500 負荷設備
PL1 受配電線路
PL2 電力線
NL 中性線
N、N1、N2 中性点
R1、R2 単相電圧