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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H05K1/02 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018084149
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019192786
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】木谷 聡志
(72)【発明者】
【氏名】森實 勝也
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-9573(JP,A)
【文献】特開昭64-25440(JP,A)
【文献】特開平5-343820(JP,A)
【文献】特開2007-49060(JP,A)
【文献】特開2010-212439(JP,A)
【文献】特開2005-244029(JP,A)
【文献】特開2015-65252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00-1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並走する2本の信号線を有する信号配線層と、この信号配線層の両面に絶縁体層を介して積層されるグランド層とを備えるストリップ構造のフレキシブルプリント配線板であって、
上記両面のグランド層がともにメッシュ部と、上記信号配線層の信号線領域の両側に上記メッシュ部と連続して配設される平板部とを有し、
上記メッシュ部が、平面視で、上記信号線領域の中心軸を基準に対称に構成され、上記メッシュ部と上記平板部との境界が上記信号線領域の外側に位置しており、
上記境界と上記信号線領域との離間距離が5mm以下であり、
平面視で、上記信号配線層の信号線領域において上記メッシュ部の網目の交点が上記信号線上に位置し、
上記絶縁体層の主成分がフッ素樹脂であり、
上記信号線の平均厚さが、5μm以上75μm以下であり、
上記信号線の平均幅が、20μm以上400μm以下であり、
上記信号線の平均間隔が、20μm以上1mm以下であるフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
上記メッシュ部が、平面視で、菱格子状に形成されている請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
上記メッシュ部が、平面視で、円形状に形成されている請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波で動作する部品を実装するフレキシブルプリント配線板として、信号線を有する信号配線層と、この信号配線層に絶縁体層を介して積層されるグランド層とを備えるストリップ構造のものが知られている。
【0003】
近年、フレキシブルプリント配線板は、多層化により、層間の距離が小さくなっている。このため、ストリップ構造において、グランドと信号線との間の容量が増加し、信号遅延が生じ易くなっている。
【0004】
この信号遅延を抑止するため、信号線に対向するグランド部分をメッシュ状に形成し、グランドと信号線との間の容量を低減する方法が提案されている(特開2000-244134号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-244134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、信号線に対向するグランド部分をメッシュ状に形成すると、メッシュ部の網目を構成する配線と信号線とが、対向する部分と対向しない部分とで容量が異なってくる。上記従来のプリント配線板では、信号線が通る経路によって、この対向する部分と対向しない部分との割合が異なるため、例えば同長の信号線であっても特性インピーダンスが異なる。このため、上記従来のプリント配線板では、信号線の特性インピーダンスのばらつきを抑止することが難しい。
【0007】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、信号遅延が生じ難く、かつ信号線の特性インピーダンスのばらつきが比較的低いフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、1本又は2本の信号線を有する信号配線層と、この信号配線層に絶縁体層を介して積層されるグランド層とを備えるストリップ構造のフレキシブルプリント配線板であって、上記グランド層がメッシュ部を有し、上記メッシュ部が、平面視で、上記信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に対称に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、信号遅延が生じ難く、かつ信号線の特性インピーダンスのばらつきが比較的低い。従って、本発明のフレキシブルプリント配線板は、高周波特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板の模式的上面図である。
図2図2は、図1のフレキシブルプリント配線板のA-A線での模式的断面図である。
図3図3は、図1とは異なるフレキシブルプリント配線板の模式的上面図である。
図4図4は、図3のフレキシブルプリント配線板のB-B線での模式的断面図である。
図5図5は、図1及び図3とは異なるフレキシブルプリント配線板の模式的上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、1本又は2本の信号線を有する信号配線層と、この信号配線層に絶縁体層を介して積層されるグランド層とを備えるストリップ構造のフレキシブルプリント配線板であって、上記グランド層がメッシュ部を有し、上記メッシュ部が、平面視で、上記信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に対称に構成されている。
【0012】
当該フレキシブルプリント配線板は、メッシュ部が、平面視で、信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に対称に構成されている。このため、当該フレキシブルプリント配線板は、メッシュ部の網目を構成する配線と信号線とが対向する部分と対向しない部分が、メッシュ部が信号線領域の中心軸を基準に対称に構成されていない場合に比べて比較的規則的に繰り返される。従って、当該フレキシブルプリント配線板は、信号線の特性インピーダンスのばらつきが比較的低い。また、当該フレキシブルプリント配線板は、グランド層がメッシュ部を有することで、グランド層と信号線との間の容量が低減され、信号遅延が生じ難い。
【0013】
平面視で、上記信号配線層の信号線領域において上記メッシュ部の網目の交点が上記信号線領域の中心軸上又は上記信号線上に位置するとよい。このように平面視で、信号配線層の信号線領域においてメッシュ部の網目の交点を中心軸上又は信号線上に位置させることで、信号線の長さ方向においてメッシュ部の網目を構成する配線が比較的規則的に信号線と交差する。このため、信号線の特性インピーダンスのばらつきをさらに低減できる。
【0014】
上記メッシュ部が、平面視で、菱格子状に形成されているとよい。このようにメッシュ部を平面視で、菱格子状に形成することで、メッシュ部の網目を構成する配線と信号線とが対向する部分と対向しない部分との規則性がさらに高まる。このため、信号線の特性インピーダンスのばらつきをさらに低減できる。
【0015】
平面視での上記メッシュ部の菱格子状の配線の中心軸と上記信号線の中心軸との公角としては、30度以上90度以下が好ましい。上記公角を上記範囲内とすることで、メッシュ部の抵抗の増加を抑止しつつ、信号線の特性インピーダンスのばらつきをさらに低減できる。
【0016】
上記メッシュ部が、平面視で、円形状に形成されているとよい。このようにメッシュ部を平面視で円形状に形成することで、グランド層の抵抗の上昇を抑止しつつ、グランド層と信号線との間の容量をさらに低減することができる。
【0017】
ここで、「信号線領域」とは、信号線及び信号線が2本である場合の信号線で挟まれた部分が占める領域を意味する。また、「信号線領域の中心軸」とは、信号線の直線部分(信号線が2本の場合は2本の信号線が対向する直線部分)における中心軸を指し、従って中心軸は直線である。なお、信号線が屈曲している場合等、中心軸が複数存在する場合もある。また、「グランド層のメッシュ部」とは、グランド層を構成する配線のうち規則的に配列された貫通孔を有する網目構造部分を指すが、その網目の形状(貫通孔の平面形状)は問わないものとする。
【0018】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係るフレキシブルプリント配線板の一実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
【0019】
[第一実施形態]
図1及び図2に示すフレキシブルプリント配線板1は、信号配線層11と、この信号配線層11と、第1絶縁体層12aを介して積層されるグランド層13と、上記第1絶縁体層12aの信号配線層11側に接着剤層14を介して積層される第2絶縁体層12bと、上記第2絶縁体層12bの信号配線層11とは反対側に積層されるグランド層13とを備えるストリップ構造のフレキシブルプリント配線板である。また、当該フレキシブルプリント配線板1は、両外面に接着剤層14を介してカバー層15を備える。具体的には、当該フレキシブルプリント配線板1は、第1絶縁体層12a及び第2絶縁体層12bのグランド層13側の面と、グランド層13とを接着剤層14を介して覆うカバー層15を備える。
【0020】
(信号配線層)
信号配線層11は、2本の並走する直線状の信号線11aを有する。この信号線11aの材質としては、導電性を有する限り特に限定されないが、例えば銅、銀、金、ステンレス、鉄、アルミニウム、ニッケル又はこれらの合金等が挙げられる。中でも、製造コストを抑えつつ、導通性を向上可能な銅又は銅合金が好ましい。
【0021】
上記信号線11aの平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、3μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。一方、上記信号線11aの平均厚みの上限としては、2000μmが好ましく、100μmがより好ましく、75μmがさらに好ましい。上記信号線11aの平均厚みが上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記信号線11aの平均厚みが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1が不要に厚くなるため、製造コストが増加するおそれや可撓性が低下するおそれがある。
【0022】
上記信号線11aの平均幅は、要求されるインピーダンスに応じて決まり、特に限定されないが、上記信号線11aの平均幅の下限としては、20μmが好ましく、30μmがより好ましく、35μmがさらに好ましい。一方、上記信号線11aの平均幅の上限としては、750μmが好ましく、500μmがより好ましく、400μmがさらに好ましい。上記信号線11aの平均幅が上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記信号線11aの平均幅が上記上限を超えると、信号線11aとグランド層13との容量が増加するため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが十分に低減できないおそれがある。
【0023】
上記2本の信号線11aの平均間隔の下限としては、20μmが好ましく、40μmがより好ましい。一方、上記2本の信号線11aの平均間隔の上限としては、3mmが好ましく、1mmがより好ましい。上記2本の信号線11aの平均間隔が上記下限未満であると、信号線11aを伝送される信号波形への信号線11a間のクロストークノイズの影響が顕著となるおそれがある。逆に、上記2本の信号線11aの平均間隔が上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1が不要に大きくなるため、製造コストが増加するおそれがある。
【0024】
(第1絶縁体層及び第2絶縁体層)
第1絶縁体層12a及び第2絶縁体層12b(以下、単に「絶縁体層」ともいう)の主成分としては、絶縁性を有する限り特に限定されないが、例えば樹脂を挙げることができる。上記樹脂としては、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂などを挙げることができる。中でも伝送損失の小さいフッ素樹脂が好ましい。上記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビリニデン(PVdF)等が挙げられる。上記樹脂は、単独で又は2種以上混合して用いてもよい。なお、「主成分」とは、例えば50質量%以上含まれる成分をいう。
【0025】
上記絶縁体層の平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、7μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。一方、上記絶縁体層の平均厚みの上限としては、1000μmが好ましく、500μmがより好ましく、300μmがさらに好ましい。上記絶縁体層の平均厚みが上記下限未満であると、信号線11aとグランド層13との容量が増加するため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが十分に低減できないおそれがある。逆に、上記絶縁体層の平均厚みが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1が不要に厚くなるため、製造コストが増加するおそれや可撓性が低下するおそれがある。
【0026】
上記絶縁体層の比誘電率の下限としては、1.2が好ましく、1.4がより好ましく、1.6がさらに好ましい。一方、上記絶縁体層の比誘電率の上限としては、10が好ましく、7がより好ましく、5がさらに好ましい。上記絶縁体層の比誘電率が上記下限未満であると、絶縁体層内に空孔を設けて比誘電率を下げる必要が生じるため、絶縁体層の寸法安定度の確保が難しくなるおそれがある。逆に、上記絶縁体層の比誘電率が上記上限を超えると、信号線11aとグランド層13との容量が増加するため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが十分に低減できないおそれがある。
【0027】
(グランド層)
グランド層13は、メッシュ部13aと平板部13bとを有する。上記メッシュ部13aは、信号配線層11の信号線領域X1を覆うように配設され、上記平板部13bは、上記信号線領域X1の両側にメッシュ部13aと連続して配設されている。このように平板部13bを信号線領域X1の両側にメッシュ部13aと連続して配設することで、信号線11aとグランド層13との容量増加を抑止しつつ、グランド層13の抵抗が上昇することを防止できる。
【0028】
また、メッシュ部13aと平板部13bとの境界Yは信号線領域X1の外側に位置する。上記境界Yと信号線領域X1との離間距離の下限としては、0.1mmが好ましく、1mmがより好ましい。一方、上記境界Yと信号線領域X1との離間距離の上限としては、10mmが好ましく、5mmがより好ましい。上記境界Yと信号線領域X1との離間距離が上記下限未満であると、信号線11aとグランド層13との容量が増加するため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが十分に低減できないおそれがある。
【0029】
上記メッシュ部13aは、平面視で、菱格子状に形成されている。このようにメッシュ部13aを平面視で、菱格子状に形成することで、メッシュ部13aの網目を構成する配線と信号線11aとが対向する部分と対向しない部分との規則性がさらに高まる。このため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきをさらに低減できる。
【0030】
また、平面視で、上記信号配線層11の信号線領域X1において上記メッシュ部13aの網目の交点が上記中心軸M1上又は信号線11a上に位置するとよい。このように平面視で、信号配線層11の信号線領域X1においてメッシュ部13aの網目の交点を中心軸M1上又は信号線11a上に位置させることで、信号線11aの長さ方向においてメッシュ部13aの網目を構成する配線が比較的規則的に信号線11aと交差する。このため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきをさらに低減できる。
【0031】
上記グランド層13の材質としては、導電性を有する限り特に限定されず、信号線11aと同様のものを用いることができる。なお、上記グランド層13の材質は、信号線11aと同じ材質とすることが好ましい。
【0032】
上記グランド層13の平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、3μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。一方、上記グランド層13の平均厚みの上限としては、2000μmが好ましく、100μmがより好ましく、75μmがさらに好ましい。上記グランド層13の平均厚みが上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記グランド層13の平均厚みが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1が不要に厚くなるため、製造コストが増加するおそれや可撓性が低下するおそれがある。
【0033】
上記メッシュ部13aの網目を構成する配線の平均幅の下限としては、25μmが好ましく、30μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。一方、上記メッシュ部13aの網目を構成する配線の平均幅の上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましく、5mmがさらに好ましい。上記メッシュ部13aの網目を構成する配線の平均幅が上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記メッシュ部13aの網目を構成する配線の平均幅が上記上限を超えると、信号線11aとグランド層13との容量が増加するため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが十分に低減できないおそれがある。
【0034】
上記メッシュ部13aの平均メッシュ間隔Lの下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、上記平均メッシュ間隔Lの上限としては、3.0mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。上記平均メッシュ間隔Lが上記下限未満であると、信号線11aとグランド層13との容量が増加するため、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが十分に低減できないおそれがある。逆に、上記平均メッシュ間隔Lが上記上限を超えると、十分な導電性が得られないおそれがある。
【0035】
平面視での上記メッシュ部13aの菱格子状の配線の中心軸と上記信号線11aの中心軸M1との公角Zの下限としては、10度が好ましく、30度がより好ましい。一方、上記公角Zの上限としては、90度が好ましく、60度がより好ましい。上記公角Zが上記下限未満であると、メッシュ部13aの網目の交点間を結ぶ配線が長くなるため、メッシュ部13aの抵抗が上昇するおそれがある。逆に、上記公角Zが上記上限を超えると、信号線11aと交差する単位長当たりのメッシュ部13aの配線が増加するため、信号線11aとグランド層13との容量が増加し、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが十分に低減できないおそれがある。
【0036】
上記メッシュ部13aは、平面視で、信号配線層11の信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成されている。また、上記メッシュ部13aは、信号線領域X1と平板部13bとに挟まれる領域を含めて信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成されていることが好ましい。このようにメッシュ部13aを信号線領域X1と平板部13bとに挟まれる領域を含めて信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成することで、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきをさらに低減できる。
【0037】
(接着剤層)
接着剤層14は、表面側及び裏面側のカバー層15をそれぞれグランド層13及び絶縁体層と接着するための層である。
【0038】
上記接着剤層14を構成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、柔軟性や耐熱性に優れたものが好ましく、例えばナイロン樹脂系、エポキシ樹脂系、ブチラール樹脂系、アクリル樹脂系などの各種樹脂系の接着剤が挙げられる。
【0039】
上記接着剤層14の平均厚さは特に限定されるものではないが、上記接着剤層14の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。一方、上記接着剤層14の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましい。上記接着剤層14の平均厚さが上記下限未満であると、接着性が不十分となるおそれがある。逆に、上記接着剤層14の平均厚さが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1の可撓性が損なわれるおそれがある。
【0040】
(カバー層)
カバー層15は、当該フレキシブルプリント配線板1の外面に位置し、当該フレキシブルプリント配線板1を外部から絶縁し、また保護するための層である。
【0041】
上記カバー層15の主成分としては、例えばポリイミド、液晶ポリエステルに代表される液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンエーテル、フッ素樹脂等の軟質材、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスコンポジット、ガラスエポキシ、ガラス基材等の硬質材、軟質材と硬質材とを複合した材料などを用いることができる。これらの中でも耐熱性に優れるポリイミドが好ましい。
【0042】
上記カバー層15の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、上記カバー層15の平均厚さの上限としては、40μmが好ましく、30μmがより好ましい。上記カバー層15の平均厚さが上記下限未満であると、絶縁性が不十分となるおそれがある。逆に、上記カバー層15の平均厚さが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1の可撓性が損なわれるおそれがある。
【0043】
<フレキシブルプリント配線板の製造方法>
当該フレキシブルプリント配線板1は、第1絶縁体層積層工程と、信号線形成工程と、第2絶縁体層積層工程と、第2ベース層積層工程と、メッシュ部形成工程と、カバー層積層工程とを備える製造方法により製造することができる。
【0044】
(第1絶縁体層積層工程)
絶縁体層積層工程では、金属の第1ベース層に第1絶縁体層12aを積層する。第1絶縁体層12aを積層する方法としては、絶縁体形成組成物をスピンコート法やキャスティング法等を用いて第1ベース層の表面に均一に塗布し、乾燥及び焼成する方法や、第1ベース層と、絶縁体形成組成物からなるフィルムとを積層する方法などを挙げることができる。
【0045】
(信号線形成工程)
信号線形成工程では、第1絶縁体層12aのベース層とは反対側の面に信号線11aを形成する。信号線11aの形成方法としては、特に限定されず、例えば金属箔を積層後にエッチングする方法、打ち抜いた金属箔を積層する方法、金属線を配列する方法等を用いることができる。
【0046】
(第2絶縁体層積層工程)
第2絶縁体層積層工程では、信号線11a側の第1絶縁体層12a及び信号線11aの表面に接着剤層14を介して第2絶縁体層12bを積層する。具体的には、信号線11a側の第1絶縁体層12a及び信号線11aの表面に接着剤層14を積層し、絶縁体形成組成物からなるフィルムを積層する。または、予め絶縁体形成組成物からなるフィルムに接着剤層14を積層しておき、その接着剤層14が積層されている側の面を第1絶縁体層12a及び信号線11aの表面に対面させて接着してもよい。
【0047】
(第2ベース層積層工程)
第2ベース層積層工程では、上記第2絶縁体層12bの接着剤層14とは反対側の面に金属の第2ベース層を積層する。第2ベース層を積層する方法としては、例えば金属箔を積層する方法を用いることができる。
【0048】
(メッシュ部形成工程)
メッシュ部形成工程では、上記第1絶縁体層12a及び第2絶縁体層12bの表面に積層されているベース層にメッシュ部13aを形成する。これによりメッシュ部13aを有するグランド層13が得られる。メッシュ部13aの形成方法としては、特に限定されず、ベース層をエッチングする方法等を用いることができる。
【0049】
(カバー層積層工程)
カバー層積層工程では、グランド層13側の第1絶縁体層12aの表面及びグランド層13側の第2絶縁体層12bの表面に接着剤層14を介してカバー層15を積層する。具体的には、上記表面に接着剤層14をそれぞれ積層し、カバー層形成組成物からなるフィルムを積層する。または、予めカバー層形成組成物からなるフィルムに接着剤層14を積層したものを2つ準備し、その接着剤層14が積層されている側の面をそれぞれ上記表面に対面させて接着してもよい。
【0050】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板1は、メッシュ部13aが、平面視で、信号配線層11の信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成されている。このため、当該フレキシブルプリント配線板1は、メッシュ部13aの網目を構成する配線と信号線11aとが対向する部分と対向しない部分が、メッシュ部13aが信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成されていない場合に比べて比較的規則的に繰り返される。従って、当該フレキシブルプリント配線板1は、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきが比較的低い。また、当該フレキシブルプリント配線板1は、グランド層13がメッシュ部13aを有することで、グランド層13と信号線11aとの間の容量が低減され、信号遅延が生じ難い。
【0051】
[第二実施形態]
図3及び図4に示すフレキシブルプリント配線板2は、信号配線層11と、この信号配線層11と、第1絶縁体層12aを介して積層されるグランド層13と、上記第1絶縁体層12aの信号配線層11側に接着剤層14を介して積層される第2絶縁体層12bと、上記第2絶縁体層12bの信号配線層11とは反対側に積層されるグランド層13とを備えるストリップ構造のフレキシブルプリント配線板である。また、当該フレキシブルプリント配線板2は、両外面に接着剤層14を介してカバー層15を備える。また、当該フレキシブルプリント配線板1は、両外面に接着剤層14を介してカバー層15を備える。具体的には、当該フレキシブルプリント配線板2は、第1絶縁体層12a及び第2絶縁体層12bのグランド層13側の面とグランド層13とを接着剤層14を介して覆うカバー層15を備える。
【0052】
当該フレキシブルプリント配線板2では、信号配線層11は、1本の信号線11bを有する。従って、信号線領域X2の中心軸M2は、信号線11bの中心軸と一致する。メッシュ部13cは、この信号線領域X2の中心軸M2を基準に対称に構成される。
【0053】
当該フレキシブルプリント配線板2は、信号線11bが1本である点以外は、図1及び図2のフレキシブルプリント配線板1と同様に構成することができる。このため、他の構成については説明を省略する。
【0054】
<利点>
図3及び図4に示すフレキシブルプリント配線板2のように信号配線層11が1本の信号線11bを有する場合においても、メッシュ部13cを平面視で、信号配線層11の信号線領域X2の中心軸M2を基準に対称に構成することで、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきを比較的低くすることができる。
【0055】
[第三実施形態]
図5に示すフレキシブルプリント配線板3は、信号配線層11と、この信号配線層11と、第1絶縁体層12aを介して積層されるグランド層13と、上記第1絶縁体層12aの信号配線層11側に接着剤層14を介して積層される第2絶縁体層12bと、上記第2絶縁体層12bの信号配線層11とは反対側に積層されるグランド層13とを備えるストリップ構造のフレキシブルプリント配線板である。また、当該フレキシブルプリント配線板3は、両外面に接着剤層14を介してカバー層15を備える。具体的には、当該フレキシブルプリント配線板3は、第1絶縁体層12a及び第2絶縁体層12bのグランド層13側の面と、グランド層13とを接着剤層14を介して覆うカバー層15を備える。
【0056】
当該フレキシブルプリント配線板3では、2本の並走する直線状の信号線11aを有する。当該フレキシブルプリント配線板3は、信号線領域X1を有し、メッシュ部13dは、この信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成される。当該フレキシブルプリント配線板3は、メッシュ部13d以外の構成は、図1及び図2に示す第一実施形態のフレキシブルプリント配線板1と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
メッシュ部13dは、平面視で、円形状に形成されている。つまり、メッシュ部13dは、複数の円形の貫通孔(以下、単に「丸孔」ともいう)が配列されている。この丸孔は中心軸M1に平行に複数列にわたって配置されている(図5では3列である)。
【0058】
1つの列を構成する複数の丸孔は、同直径で、等間隔に並んでいる。また、隣接する列を構成する丸孔の位置は、図5に示すように列の丸孔間隔の半分だけ中心軸M1方向へシフトした配列、いわゆる千鳥状である。このように千鳥状に配列することで、丸孔の数を増すことができ、グランド層13と信号線11aとの間の容量を低減し易い。
【0059】
上記メッシュ部13dは、平面視で、信号配線層11の信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成されている。この対称な構成としては、2つの列に中心軸M1が挟まれるような構成とすることもできるが、1つの列の丸孔の中心を結ぶ直線と、中心軸M1とが重なるように構成することが好ましい。このように構成することで、グランド層13と信号線11aとの間の容量を低減し易くすることができる。
【0060】
また、上記メッシュ部13dは、信号線領域X1と平板部13bとに挟まれる領域を含めて信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成されていることが好ましい。このようにメッシュ部13aを信号線領域X1と平板部13bとに挟まれる領域を含めて信号線領域X1の中心軸M1を基準に対称に構成することで、信号線11aの特性インピーダンスのばらつきをさらに低減できる。
【0061】
上記丸孔の直径の下限としては、20μmが好ましく、40μmがより好ましい。一方、上記丸孔の直径の上限としては、3mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。上記丸孔の直径が上記下限未満であると、グランド層13と信号線11aとの間の容量低減効果が不足するおそれがある。逆に、上記丸孔の直径が上記上限を超えると、十分な導電性が得られないおそれがある。なお、上記丸孔の直径は、2本の信号線11aの平均間隔と同じとするとよい。上記丸孔の直径を2本の信号線11aの平均間隔と同じとすることで、グランド層13と信号線11aとの間の容量を効果的に低減できる。
【0062】
上記丸孔の中心軸方向の平均間隔(丸孔の中心間の平均距離)は、上記丸孔の直径より大きい。上記丸孔の平均間隔の下限としては、40μmが好ましく、80μmがより好ましい。一方、上記丸孔の平均間隔の上限としては、4mmが好ましく、2mmがより好ましい。上記丸孔の平均間隔が上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記丸孔の平均間隔が上記上限を超えると、グランド層13と信号線11aとの間の容量低減効果が不足するおそれがある。
【0063】
上記丸孔の直径に対する平均間隔の比の下限としては、1.2倍が好ましく、1.4倍がより好ましい。一方、上記丸孔の直径に対する平均間隔の比の上限としては、2倍が好ましく、1.7倍がより好ましい。上記丸孔の直径に対する平均間隔が上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記丸孔の直径に対する平均間隔が上記上限を超えると、グランド層13と信号線11aとの間の容量低減効果が不足するおそれがある。
【0064】
上記丸孔の隣接する列間の平均間隔(それぞれの列の中心を結ぶ直線同士の平均間隔)の下限としては、20μmが好ましく、40μmがより好ましい。一方、上記丸孔の隣接する列間の平均間隔の上限としては、3mmが好ましく、1mmがより好ましい。上記丸孔の隣接する列間の平均間隔が上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記丸孔の隣接する列間の平均間隔が上記上限を超えると、グランド層13と信号線11aとの間の容量低減効果が不足するおそれがある。なお、上記丸孔の隣接する列間の平均間隔は、上記丸孔の直径と同じとするとよい。上記丸孔の隣接する列間の平均間隔を上記丸孔の直径と同じとすることで、グランド層13と信号線11aとの間の容量を効果的に低減できる。
【0065】
上記丸孔の隣接する列の丸孔との最短距離(2つの丸孔の中心間の距離で図5のD)は、上記丸孔の直径より大きい。上記丸孔の隣接する列の丸孔との最短距離Dの下限としては、40μmが好ましく、80μmがより好ましい。一方、上記丸孔の隣接する列の丸孔との最短距離Dの上限としては、4mmが好ましく、2mmがより好ましい。上記丸孔の隣接する列の丸孔との最短距離Dが上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記丸孔の隣接する列の丸孔との最短距離Dが上記上限を超えると、グランド層13と信号線11aとの間の容量低減効果が不足するおそれがある。
【0066】
上記丸孔の直径に対する隣接する列の丸孔との最短距離Dの比の下限としては、1.2倍が好ましく、1.4倍がより好ましい。一方、上記丸孔の直径に対する隣接する列の丸孔との最短距離Dの比の上限としては、2倍が好ましく、1.7倍がより好ましい。上記丸孔の直径に対する隣接する列の丸孔との最短距離Dが上記下限未満であると、十分な導電性が得られないおそれがある。逆に、上記丸孔の直径に対する隣接する列の丸孔との最短距離Dが上記上限を超えると、グランド層13と信号線11aとの間の容量低減効果が不足するおそれがある。
【0067】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板3は、上記メッシュ部13dが、平面視で、円形状に形成されているので、グランド層13の抵抗の上昇を抑止しつつ、グランド層13と信号線11aとの間の容量をさらに低減することができる。
【0068】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0069】
上記実施形態では、メッシュ部が平面視で菱格子状又は円形状に形成されている場合を説明したが、メッシュ部の平面視形状はこれに限定されず、例えば三角形や六角形等の多角形状であってもよい。
【0070】
上記実施形態では、メッシュ部と平板部との境界が信号線領域の外側に位置する場合を説明したが、メッシュ部と平板部との境界は信号線領域の内側に位置してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、グランド層がメッシュ部と平板部とを有する場合を説明したが、グランド層はメッシュ部のみで構成されてもよい。
【0072】
上記実施形態では、グランド層が信号配線層の両面に絶縁体層を介して積層され、両方のグランド層がメッシュ部を有する場合を説明したが、一方のグランド層のみがメッシュ部を有してもよい。また、グランド層が信号配線層の一方の面側にのみ積層されるフレキシブルプリント配線板も本発明の意図するところである。
【0073】
上記第三実施形態では、丸孔が千鳥状に配列されている場合を説明したが、丸孔の配列は千鳥状に限定されず、例えば格子状に並んでいてもよい。
【0074】
また、上記第三実施形態では、丸孔が中心軸方向に同直径で等間隔に配列されている場合を説明したが、丸孔が中心軸方向に異なる間隔で配列される構成や異なる直径の丸孔を有する構成も本発明の意図するところである。
【実施例
【0075】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0076】
[No.1]
図1に示す2本の信号線を有するフレキシブルプリント配線板を製造した。各層の材質及び平均厚みを積層順と共に表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
2本の信号線は、それぞれ平均幅0.25mmとし、2本の信号線間の平均間隔は0.12mmとした。また、グランド層は菱格子状のメッシュ部を有する構成とした。メッシュ部は、配線の平均幅0.1mm、メッシュ間隔0.24mmとし、配線の中心軸と信号線の中心軸との公角は45度とした。また、メッシュ部は、平面視で、信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に対称に構成した。
【0079】
No.1のメッシュ部を丸孔の千鳥状とした以外はNo.1のフレキシブルプリント配線板と同様にしてNo.2のフレキシブルプリント配線板を製造した。なお、メッシュ部は、丸穴の直径0.12mm、丸孔の中心軸方向の平均間隔0.18mm、丸孔の隣接する列間の平均間隔0.12mmとし、丸孔の配置の中心軸と信号線の中心軸との公角は0度とした。また、メッシュ部は、平面視で、信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に対称に構成した。
【0080】
[No.3~No.4]
No.1のメッシュ部を表2に示す「中心軸からのずれ量」に相当する長さだけ中心軸からその垂直方向にずらした以外は、No.1のフレキシブルプリント配線板と同様にしてNo.3及びNo.4のフレキシブルプリント配線板を製造した。従って、No.3及びNo.4のフレキシブルプリント配線板では、メッシュ部は、平面視で、信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に非対称である。
【0081】
<評価>
上記No.1~No.4のフレキシブルプリント配線板について、差動インピーダンス及び10GHzにおけるSパラメータのS21を測定した。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
表2の結果から、No.1及びNo.2の差動インピーダンスは、No.3及びNo.4の差動インピーダンスと比較してばらつきが小さいことが分かる。このことから、メッシュ部を平面視で、信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に対称に構成することで、信号遅延のばらつきが低減できるといえる。
【0084】
また、No.1及びNo.2のS21は、No.3及びNo.4のS21よりも低い。このことから、メッシュ部を平面視で、信号配線層の信号線領域の中心軸を基準に対称に構成することで、伝送損失が低減され、また伝送損失のばらつきも小さいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明のフレキシブルプリント配線板は、信号遅延が生じ難く、かつ信号線の特性インピーダンスのばらつきが比較的低い。従って、本発明のフレキシブルプリント配線板は、高周波特性に優れる。
【符号の説明】
【0086】
1、2、3 フレキシブルプリント配線板
11 信号配線層
11a、11b 信号線
12a 第1絶縁体層
12b 第2絶縁体層
13 グランド層
13a、13c、13d メッシュ部
13b 平板部
14 接着剤層
15 カバー層
L メッシュ間隔
M1、M2 中心軸
X1、X2 信号線領域
Y 境界
Z 公角
図1
図2
図3
図4
図5