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特許7505690気体のにおい成分捕集用注射針及びそれを用いた気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】気体のにおい成分捕集用注射針及びそれを用いた気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/12 20060101AFI20240618BHJP
   G01N 30/00 20060101ALI20240618BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20240618BHJP
   B01J 20/285 20060101ALI20240618BHJP
   G01N 30/16 20060101ALI20240618BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20240618BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20240618BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G01N30/12 B
G01N30/00 E
G01N30/06 Z
B01J20/285 S
B01J20/285 Z
G01N30/12 A
G01N30/16 K
G01N30/88 G
G01N30/26 M
G01N1/22 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020051172
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021139867
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2020035892
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309027296
【氏名又は名称】株式会社アイスティサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】佐々野 僚一
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-137341(JP,A)
【文献】特開2006-250886(JP,A)
【文献】特開2003-254954(JP,A)
【文献】特表2010-513915(JP,A)
【文献】特開平08-094597(JP,A)
【文献】特開2012-042293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/00 -20/292
B01D 15/00 -15/42
G01N 1/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体のにおい成分を吸着させ得る吸着層が内壁面に形成された中空細管を有する気体のにおい成分捕集用注射針と、
前記注射針と気密状態で連結可能な接続部を有するノズルと、
前記ノズル及び当該ノズルと連結した前記注射針を介して、気体のにおい成分を含む気体が封入された密閉容器から前記気体を吸引して当該気体中の気体のにおい成分を前記吸着層に吸着させ、かつ、吸着した前記気体のにおい成分を前記注射針の先端から吐出させるガスを送気することが可能なポンプと、
前記注射針をその先端から受け入れて加熱可能な注入口部と、
前記注入口部と連通し、前記の注射針の先端から吐出させた気体中の気体のにおい成分を成分毎に分離する分析カラムと、
前記分析カラムで分離された成分を検出する検出部と、
前記ノズルを駆動させる駆動機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記駆動機構を駆動させて、前記注射針と前記ノズルを気密状態で連結させた後、前記注射針をその先端から前記密閉容器の内部に差し入れる注射針挿入ステップ、
注射針挿入ステップの後、前記ポンプを所定時間作動させ、密閉容器内の気体のにおい成分を含む気体を吸引し、前記吸着層に気体のにおい成分を吸着させる捕集ステップ、
捕集ステップの後、前記駆動機構を駆動させて、前記密閉容器から前記注射針を引き抜いた後、前記注入口部に前記注射針を差し入れ、当該注射針が加熱されることで、前記吸着層から気体のにおい成分を脱着させる気体のにおい成分脱離ステップ、
脱離ステップの後、前記ポンプを所定時間作動させ、前記吸着層が形成されている中空細管内にガスを送気して、前記脱離ステップで脱着させた気体のにおい成分を前記注射針の先端から吐出させ、キャリアガスにより前記分析カラムに導入する導入ステップ、を実行するように構成されており、
前記注射針が、前記気体を通過させる内管部と、当該内管部を内側に設置可能な外管部とを有し、
前記外管部は、中空で細管のニードル部と、当該ニードル部の一方端部に連設され、前記ノズルの前記接続部と着脱可能に連結する嵌合部とを有し、
前記内管部は、前記ニードル部の中空部分に設置され得る、気体のにおい成分を吸着させ得る吸着層が内壁面に形成された中空で細管の所定長さを有する捕集用キャピラリカラムと、当該捕集用キャピラリカラムの外周面と気密可能に係合し、かつ、前記外管部の内側又は前記ノズルの前記接続部と気密に係合可能な係合封止部とを有し、
前記注射針の前記中空細管が、前記外管部の前記ニードル部と、当該ニードル部の内側に設置されている前記捕集用キャピラリカラムとで形成され、
前記注射針の前記外管部の長さ方向の移動を規制可能で、かつ、当該外管部を着脱可能に支持する外管支持台と、
前記注射針の前記内管部を、前記係合封止部と係合して着脱可能に支持する内管支持台と、を有し、
前記制御部は、前記駆動機構を駆動させて、
前記内管支持台に予め支持されている前記内管部と、前記ノズルとを前記係合封止部を介して連結させる内管準備ステップ、及び、
内管準備ステップの後、前記外管支持台に予め支持されている前記外管部の内側に前記内管部を挿入し、前記外管部の長さ方向に前記ノズルを移動させて、前記ノズルの前記接続部と前記外管部の前記嵌合部と連結させ、当該内管部の前記捕集用キャピラリカラムの外周面、及び、前記外管部の内側又は前記ノズルの前記接続部と、前記係合封止部と、を気密に係合させる注射針準備ステップ、を実行するように構成されている、
気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【請求項2】
前記吸着層が、ポリジメチルシロキサン系、ポリアクリレート系又はポリエチレングリコール系の化合物を主成分とする液相である請求項1に記載の気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【請求項3】
前記注射針は、前記内管部が前記外管部に対して着脱可能に構成されている請求項1又は2に記載の気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【請求項4】
前記捕集用キャピラリカラムが、前記注射針の前記ニードル部と前記嵌合部の内側に収容可能な長さを有し、
前記係合封止部が、前記捕集用キャピラリカラムのうち前記嵌合部に収容可能な部分の外周面と気密可能に係合し、かつ、前記ノズルの前記接続部と係合して着脱可能に連結可能な構造を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動機構を駆動させて、
前記導入ステップで、前記中空細管内にガスを送気した後、前記注入口部から前記注射針を引き抜いて、前記ノズルと接続した前記外管部と前記内管部とを前記外管支持部に支持させた後、前記ノズルを前記外管部の長さ方向に移動させて、前記外管部から、前記ノズルと連結した状態で前記内管部を取り外す内管脱離ステップ、を実行するように構成されている、
請求項の何れか一項に記載の気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【請求項6】
前記係合封止部を把持可能な把持機構を有する内管回収容器を有し、
前記制御部は、
前記内管脱離ステップの後、前記把持機構により前記係合封止部を把持させ、次いで、前記駆動機構により前記ノズルを駆動させて、前記内管部から前記ノズルを脱離させ、前記内管部を前記内管回収容器に収容する内管回収ステップ、を実行するように構成されている、
請求項記載の気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【請求項7】
前記嵌合部と係合可能な係合部を有する注射針回収容器を有し、
前記制御部は、前記駆動機構を駆動させて、
前記導入ステップで、前記中空細管内にガスを送気した後、前記注入口部から前記注射針を引き抜いて、前記ノズルと接続した前記注射針の前記嵌合部を前記係合部に係止させた後、前記ノズルを前記注射針の長さ方向に移動させて、前記嵌合部から、前記ノズルを取り外し、前記注射針を前記注射針回収容器に収容する注射針回収ステップ、を実行するように構成されている、請求項又はに記載の気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【請求項8】
前記気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフが、気体の誘導体化試薬を含む気体が
封入された試薬密閉容器を有し、
前記制御部は、
前記気体のにおい成分脱離ステップにおいて、前記捕集ステップの後、前記駆動機構を駆動させて、前記の気体のにおい成分を含む気体が封入された密閉容器から前記注射針を引き抜いた後、前記注射針をその先端から前記試薬密閉容器の内部に差し入れ、次いで、前記ポンプを所定時間作動させ、前記試薬密閉容器内の気体の誘導体化試薬を含む気体を吸引し、次いで、吸引を停止して、前記駆動機構を駆動させて、前記試薬密閉容器から前記注射針を引き抜いた後、前記注入口部に前記注射針を差し入れ、
前記導入ステップにおいて、前記ポンプを所定時間作動させ、前記吸着層が形成されている中空細管内に、気体の誘導体化試薬を含む気体で構成されるガスを送気して、前記脱離ステップで脱離させた気体のにおい成分と誘導体化試薬との反応生成物である気体の誘導体化されたにおい成分を前記注射針の先端から吐出させるように構成されている、
請求項1~の何れか一項に記載の気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体のにおい成分捕集用注射針及びそれを用いた気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、におい成分を測定する場合、例えば、におい成分を発生する物質を密閉容器内に封入し、その物質から揮発したにおい成分を、固相マイクロ抽出(Solid phase microextraction:SPME)法により、抽出、濃縮する方法が広く採用されている。このSPME方法では、吸着層が形成された抽出用ファイバーを備えたSPMEユニットが広く用いられる。このファイバー型のSPMEユニットは、その先端に設けられた注射針の内部に、抽出ファイバーが注射針の先端から出し入れ可能に設けられる構造を有している。吸着層は、カラムクロマトグラフィ分野において一般的な液相、吸着剤等が用いられている。このSPMEユニットを用いたにおい成分の分析は例えば以下のようにして行われる。
【0003】
先ず、このSPMEユニットの注射針を密閉容器内に差し入れ、注射針の先端から抽出ファイバーを突出させ、におい成分を含む気体と接触させる。所定時間接触させた後、密閉容器からSPMEユニットの注射針を取り出して、例えばガスクロマトグラフの注入口部にSPMEユニットの注射針を挿入する。そして、注射針の先端から抽出用ファイバーを突出させ、加熱することで、吸着層からにおい成分を脱着するとともにガスクロマトグラフの分析カラムに導入してにおい成分の検出、濃度測定を行う。
【0004】
このようなファイバー型のSPMEユニットを用いる場合、抽出ファイバーに形成された吸着層と気体との接触を図り、吸着量を確保するため、30分から1時間密閉容器の撹拌処理等を行う必要がある。また、例えば測定対象のにおい成分を含むサンプルが大量の場合、サンプルの容積に対する抽出ファイバーの表面積が小さく、大量の気体中の微量の測定対象となるにおい成分を捕集するのは困難である。さらに、液体又は固体の試料を密閉容器に封入し、その揮発するにおい成分を分析する場合、試料とにおい成分は蒸気圧平衡状態にある密閉容器内で、抽出ファイバーによるにおい成分の吸着を生じさせると、におい成分の気化が進行する。その結果、吸着剤と各におい成分との分配係数の違いから、気体中のにおい成分の濃度の定量性が担保できないことが懸念される。
【0005】
この改善策として、特許文献1には、前述のSPMEユニットにおいて、抽出用ファイバーを注射針に出し入れ可能に設けるのではなく、注射針の内部に所定のコポリマーを含む吸着剤又は濃縮媒体を充填したものが開示されている。
【0006】
ところで、特許文献2には、液体試料中の微量成分を分析する際に用いられるガス又は液体クロマトグラフにおいて、液体試料をガス又は液体クロマトグラフの注入口から注入する際に用いる試料注入システムが開示されている。この試料注入システムには、液体試料中を濃縮することを目的に、選択的吸着能を有する特定の長繊維の集束体を固定相として充填した中空細管が組み込まれることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-137341号公報
【文献】特許第4520621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のように、SPMEユニットの注射針の内部に吸着剤又は濃縮媒体を充填し、密閉容器内のサンプルである気体を必要量吸引することで、注射針内に充填された吸着剤又は濃縮媒体と気体とを強制的に短時間に接着させることは可能ではあるため、抽出ファイバーを用いる場合に比べると接触時間を短縮させることができるようにも考えられる。また、その結果として、大量のサンプルから微量のにおい成分を濃縮することが可能となり得、接触時間を確保することにより生じる定量性の問題を解消できるようにも考えられる。
【0009】
しかし、特許文献1に記載のSPME用注射針では、ニードル内に多孔質の粒子状の充填剤を充填するために、熱を加えて脱離する際に、外側の充填剤の温度に対して内心部の温度が低くなるような温度分布むらができてしまう。その温度分布むらを防ぐために過度な熱を加える必要ができたり、多孔質があるがために脱離して、分析カラムへ導入するためのガス量が多くなってしまう。分析カラムへの導入するためのガス量が多くなってしまうと、ピーク形状が崩れてしまう。また、粒子状の充填剤を固定するためにニードル内にフィルタが必要となり、そのフィルタが抵抗になったり、ニードルを加熱した際にフィルタ材からの気化物質(ブランク)が分析に影響を与えてしまう。このようにサンプルを吸引する際に、充填されている充填層やフィルタが抵抗となり、吸引に時間を要するうえに、分析精度にも改善の余地があるのが実情である。さらに、注射針内に一定量の固体である吸着剤又は濃縮媒体を均質に充填することは容易ではなく、製造コストが高くなる。以上のような理由から、特許文献1に記載のSPME用注射針は普及していないのが実情である。
【0010】
また、特許文献2に記載の特定の選択的吸着能を有する長繊維の集束体が固定相として充填されている中空細管も、特許文献1と同様に固定相が充填されているため、同様の問題がある。また、液体試料及び液体クロマトグラフに適用する場合しか開示されておらず、気体のにおい成分及びガスクロマトグラフへの適用は実質的に全く考慮されていない。特に、特許文献2に記載の発明では、一旦シリンジポンプに試料を充填した後、所定の固定相が充填された中空細管に液体試料を送液するため、固定相に吸着させるまでに、目的の成分が配管等に吸着する可能性がある。また、固定相に吸着した成分の溶出には溶媒を使用するため、沸点の低いにおい成分の分析には不向きである。
【0011】
そこで、本発明の目的は、におい成分を含む試料気体を密閉容器から吸引する際の吸引抵抗を低減して、試料気体中の気体のにおい成分を注射針に捕集するとともに、捕集した気体のにおい成分をガスクロマトグラフにより容易に分析可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前述の課題解決のために鋭意検討を行った。その結果、試料気体中のにおい成分の捕集を行うための注射針において、注射針の中空細管に固定相の充填層を設けるのではなく、中空細管の中空を形成する内壁面に、気体のにおい成分を吸着させ得る吸着層を設けることで、試料気体中の気体のにおい成分を吸着層に効率的に吸着させることが可能であることを見出した。また、気体のにおい成分を捕集した注射針の中空細管をガスクロマトグラフの注入口に差し入れて、当該注入口において加熱することで吸着層から気体のにおい成分が脱着し、脱着した気体のにおい成分をガスで吐出させることで気体のにおい成分をガスクロマトグラフィ法により分析可能であることを見出した。
【0013】
本発明の第一は、気体のにおい成分を吸着させ得る吸着層が内壁面に形成された中空細管を有する気体のにおい成分捕集用注射針と、前記注射針と気密状態で連結可能な接続部を有するノズルと、前記ノズル及び当該ノズルと連結した前記注射針を介して、気体のにおい成分を含む気体が封入された密閉容器から前記気体を吸引して当該気体中の気体のにおい成分を前記吸着層に吸着させ、かつ、吸着した前記気体のにおい成分を前記注射針の先端から吐出させるガスを送気することが可能なポンプと、前記注射針をその先端から受け入れて加熱可能な注入口部と、前記注入口部と連通し、前記の注射針の先端から吐出させた気体中の気体のにおい成分を成分毎に分離する分析カラムと、前記分析カラムで分離された成分を検出する検出部と、前記ノズルを駆動させる駆動機構と、制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記駆動機構を駆動させて、前記注射針と前記ノズルを気密状態で連結させた後、前記注射針をその先端から前記密閉容器の内部に差し入れる注射針挿入ステップ、注射針挿入ステップの後、前記ポンプを所定時間作動させ、密閉容器内の気体のにおい成分を含む気体を吸引し、前記吸着層に気体のにおい成分を吸着させる捕集ステップ、捕集ステップの後、前記駆動機構を駆動させて、前記密閉容器から前記注射針を引き抜いた後、前記注入口部に前記注射針を差し入れ、当該注射針が加熱されることで、前記吸着層から気体のにおい成分を脱着させる気体のにおい成分脱離ステップ、脱離ステップの後、前記ポンプを所定時間作動させ、前記吸着層が形成されている中空細管内にガスを送気して、前記脱離ステップで脱着させた気体のにおい成分を前記注射針の先端から吐出させ、キャリアガスにより前記分析カラムに導入する導入ステップ、を実行するように構成されている、
気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフに関する。
【0014】
本発明の実施形態では、前記吸着層が、ポリジメチルシロキサン系、ポリアクリレート系又はポリエチレングリコール系の化合物を主成分とする液相であってもよい。
【0015】
本発明の実施形態では、前記注射針が、前記中空細管により形成されたニードル部と、当該ニードル部の一方端部に連設され、前記ノズルの前記接続部と着脱可能に連結する嵌合部とを有し、前記中空細管が、単一の金属製の単管であってもよい。
【0016】
本発明の実施形態では、前記注射針が、前記気体を通過させる内管部と、当該内管部を内側に設置可能な外管部とを有し、前記外管部は、中空で細管のニードル部と、当該ニードル部の一方端部に連設され、前記ノズルの前記接続部と着脱可能に連結する嵌合部とを有し、前記内管部は、前記ニードル部の中空部分に設置され得る、気体のにおい成分を吸着させ得る吸着層が内壁面に形成された中空で細管の所定長さを有する捕集用キャピラリカラムと、当該捕集用キャピラリカラムの外周面と気密可能に係合し、かつ、前記外管部の内側又は前記ノズルの前記接続部と気密に係合可能な係合封止部とを有し、前記注射針の前記中空細管が、前記外管部の前記ニードル部と、当該ニードル部の内側に設置されている前記捕集用キャピラリカラムとで形成されていてもよい。
【0017】
本発明の実施形態では、前記注射針は、前記内管部が前記外管部に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0018】
本発明の実施形態では、前記捕集用キャピラリカラムが、前記注射針の前記ニードル部と前記嵌合部の内側に収容可能な長さを有し、前記係合封止部が、前記捕集用キャピラリカラムのうち前記嵌合部に収容可能な部分の外周面と気密可能に係合し、かつ、前記ノズルの前記接続部と係合して着脱可能に連結可能な構造を有してもよい。
【0019】
本発明の実施形態では、前記注射針の前記外管部の長さ方向の移動を規制可能で、かつ、当該外管部を着脱可能に支持する外管支持台と、前記注射針の前記内管部を、前記係合封止部と係合して着脱可能に支持する内管支持台と、を有し、前記制御部は、前記駆動機構を駆動させて、前記内管支持台に予め支持されている前記内管部と、前記ノズルとを前記係合封止部を介して連結させる内管準備ステップ、及び、内管準備ステップの後、前記外管支持台に予め支持されている前記外管部の内側に前記内管部を挿入し、前記外管部の長さ方向に前記ノズルを移動させて、前記ノズルの前記接続部と前記外管部の前記嵌合部と連結させ、当該内管部の前記捕集用キャピラリカラムの外周面、及び、前記外管部の内側又は前記ノズルの前記接続部と、前記係合封止部と、を気密に係合させる注射針準備ステップ、を実行するように構成されていてもよい。
【0020】
本発明の実施形態では、前記制御部は、前記駆動機構を駆動させて、前記導入ステップで、前記中空細管内にガスを送気した後、前記注入口部から前記注射針を引き抜いて、前記ノズルと接続した前記外管部と前記内管部とを前記外管支持部に支持させた後、前記ノズルを前記外管部の長さ方向に移動させて、前記外管部から、前記ノズルと連結した状態で前記内管部を取り外す内管脱離ステップ、を実行するように構成されていてもよい。
【0021】
本発明の実施形態では、前記係合封止部を把持可能な把持機構を有する内管回収容器を有し、前記制御部は、前記内管脱離ステップの後、前記把持機構により前記係合封止部を把持させ、次いで、前記駆動機構により前記ノズルを駆動させて、前記内管部から前記ノズルを脱離させ、前記内管部を前記内管回収容器に収容する内管回収ステップ、を実行するように構成されていてもよい。
【0022】
本発明の実施形態では、前記嵌合部と係合可能な係合部を有する注射針回収容器を有し、前記制御部は、前記駆動機構を駆動させて、前記導入ステップで、前記中空細管内にガスを送気した後、前記注入口部から前記注射針を引き抜いて、前記ノズルと接続した前記注射針の前記嵌合部を前記係合部に係止させた後、前記ノズルを前記注射針の長さ方向に移動させて、前記嵌合部から、前記ノズルを取り外し、前記注射針を前記注射針回収容器に収容する注射針回収ステップ、を実行するように構成されていてもよい。
【0023】
本発明の実施形態では、前記気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフが、気体の誘導体化試薬を含む気体が封入された試薬密閉容器を有し、前記制御部は、前記気体のにおい成分脱離ステップにおいて、前記捕集ステップの後、前記駆動機構を駆動させて、前記の気体のにおい成分を含む気体が封入された密閉容器から前記注射針を引き抜いた後、前記注射針をその先端から前記試薬密閉容器の内部に差し入れ、次いで、前記ポンプを所定時間作動させ、前記試薬密閉容器内の気体の誘導体化試薬を含む気体を吸引し、次いで、吸引を停止して、前記駆動機構を駆動させて、前記試薬密閉容器から前記注射針を引き抜いた後、前記注入口部に前記注射針を差し入れ、前記導入ステップにおいて、前記ポンプを所定時間作動させ、前記吸着層が形成されている中空細管内に、気体の誘導体化試薬を含む気体で構成されるガスを送気して、前記脱離ステップで脱離させた気体のにおい成分と誘導体化試薬との反応生成物である気体の誘導体化されたにおい成分を前記注射針の先端から吐出させるように構成されていてもよい。
【0024】
本発明の第二は、気体のにおい成分を含む気体を通過させる中空細管により形成されたニードル部と、前記気体を前記中空細管に通過させるための吸引又は吐出手段と着脱可能に連結する嵌合部とを備え、前記中空細管は、単一の金属製の単管であり、当該単管の中空を形成する内壁面に、気体のにおい成分を吸着し得る吸着層が形成されており、前記嵌合部は、前記中空細管の一方端部に連設されている、気体のにおい成分捕集用注射針に関する。
【0025】
本発明の第三は、気体のにおい成分を含む気体を通過させる内管部と、当該内管部を内側に設置可能な外管部とを有し、前記外管部は、中空で細管のニードル部と、当該ニードル部の一方端部に連設され、前記気体を前記内管部に通過させるための吸引又は吐出手段と着脱可能に連結する嵌合部とを有し、前記内管部は、前記ニードル部の中空部分に設置され得る、気体のにおい成分を吸着させ得る吸着層が内壁面に形成された中空の細管で所定長さを有する捕集用キャピラリカラムと、当該捕集用キャピラリカラムの外周面と気密可能に係合し、かつ、前記外管部の内側又は前記吸引若しくは吐出手段の接続部と気密に係合可能な係合封止部とを有し、前記外管部の前記ニードル部と、当該ニードル部の内側に設置されている前記捕集用キャピラリカラムとで中空細管が形成される、気体のにおい成分捕集用注射針に関する。
【0026】
本発明の第三は、前記の本発明の第二又は第三に係る気体のにおい成分捕集用注射針の前記嵌合部に吸引又は吐出手段を気密に連結する工程、気体のにおい成分が含まれる気体が封入されている密閉容器に、前記気体のにおい成分捕集用注射針を前記中空細管の先端から差し入れる工程、前記嵌合部に連結された吸引又は吐出手段により、前記におい成分を吸引し、前記吸着層に気体のにおい成分を吸着させる工程を含む、気体のにおい成分の捕集方法に関する。
【0027】
本発明の第四は、気体のにおい成分を含む気体が含まれる密閉容器に、前記の本発明の第二又は第三に係る気体のにおい成分捕集用注射針を前記中空細管の先端から差し入れる工程、前記嵌合部に連結された吸引又は吐出手段により、前記気体のにおい成分を含む前記気体を吸引し、前記吸着層に気体のにおい成分を吸着させた後、前記中空細管を前記密閉容器から引き抜く工程、前記気体のにおい成分を前記吸着層に吸着させた前記注射針の前記中空細管を、前記気体のにおい成分を分析するガスクロマトグラフの注入口部に差し入れ、当該注射針が加熱されることで、前記吸着層から気体のにおい成分を脱着させる工程、前記吸引又は吐出手段により、前記吸着層が形成されている前記中空細管内にガスを送気して、脱着させた気体のにおい成分を前記中空細管の先端から吐出させ、キャリアガスにより前記ガスクロマトグラフの分析カラムに導入する工程、を含む、気体のにおい成分の分析方法に関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、におい成分を含む試料気体を密閉容器から吸引する際の吸引抵抗を低減して、試料気体中の気体のにおい成分を捕集するとともに、捕集した気体のにおい成分をガスクロマトグラフにより容易に分析可能とする技術を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】(a)第一実施形態に係る注射針の断面構造を模式的に示した図である。(b)第二実施形態に係る注射針の断面構造を模式的に示した図である。
図2】第一実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、ノズルを第一実施形態に係る注射針に連結するために移動させている状態を説明するための説明図である。
図3】第一実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、第一実施形態に係る注射針により試料気体を吸引し、気体のにおい成分を捕集している状態を説明するための説明図である。
図4】第一実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、捕集した気体のにおい成分を分析カラムに導入している状態、及び、第一実施形態に係る注射針を回収する動作を説明するための説明図である。
図5】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、ノズルを第二実施形態に係る注射針に連結するために移動させている状態を説明するための説明図である。
図6】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、ノズルに連結させた第二実施形態に係る注射針を、気体のにおい成分を捕集するために、密封容器に向かって移動させている状態を説明するための説明図である。
図7】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、ノズルと、第二実施形態に係る注射針を構成する内管部とを連結する際の動作を説明するための説明図である。
図8】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、第二実施形態に係る注射針を構成する外管部の内側に、ノズルと連結した内管部を挿入し、ノズル、内管部及び外管部を気密に連結して第二実施形態に係る注射針を組み立てて準備する際の動作を説明するための説明図である。
図9】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、第二実施形態に係る注射針の外管部から、ノズルと連結した内管部を取り外す際の動作を説明するための説明図である。
図10】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、ノズルと連結した内管部からノズルを脱離させ、内管部を回収する際の動作を説明するための説明図である。
図11】第一実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフの電気的構成の一例を示すブロック図である。
図12】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフの電気的構成の一例を示すブロック図である。
図13】第一実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフの動作の一例を示したフローチャートである。
図14】第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフの動作の一例を示したフローチャートである。
図15】第一実施形態の変形例に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいて、気体の誘導体化試薬を吸引している状態を説明するための説明図である。
図16】実施例1の試料気体に含まれるジェオスミンのGC-MSによるクロマトグラムを示したものである。
図17】実施例2の誘導体化されたエナント酸のGC-MSによるクロマトグラムを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(気体のにおい成分捕集用注射針)
図面に基づき実施形態に係る気体のにおい成分捕集用注射針(以下、単に「注射針」と称する場合がある。)を説明する。
【0031】
図1(a)は、第一実施形態に係る注射針1の断面構造を模式的に示した説明図である。図1(b)は、第二実施形態に係る注射針2の断面構造を模式的に示した説明図である。
【0032】
図1(a)に示すように、注射針1は、嵌合部1aとニードル部1bとを備える。図1(a)に示す例では、ニードル部1bは、先端14及び基端15で開口し中空で細径の筒状体11を有する。即ち、この筒状体11は、先端14と基端15とで連通し、内壁面12により中空部分12aが形成されている単一の中空細管を構成する。筒状体11の先端14から基端15に向かって所定範囲の内壁面12には、気体のにおい成分を吸着し得る薄膜状の吸着層13が形成されている。このように、ニードル部1bは、中空で細径の筒状体11と、その内壁面12の所定範囲に形成された吸着層13とを備える中空細管で形成されている。そして、吸着層13は薄膜状で形成されており、固定相の充填層と異なり、試料気体が容易に通過可能な中空部分12b(吸着層13が形成されている部分の中空部分)が確保されている。また、中空細管12aの内壁面12に吸着層13が形成されているため、吸着層13の表面と接することで、中空部分12bを通過する試料気体は乱流状態となり、中空部分12bを通過する試料気体全体が吸着層13と接することができる可能性が高まるため、試料気体中の気体のにおい成分を効率的に吸着し、捕集することができる。筒状体11は円管が好ましく、先端14は、密封容器やガスクロマトグラフの注入口を穿通させる必要がある場合は、先端が尖った形状であるのが好ましい。筒状体11の材質は、耐熱性が必要な場合は、金属であるのが好ましい。
【0033】
吸着層13は、測定対象となる気体のにおい成分を吸着することが可能なものを適宜選択して用いることができる。このような吸着層13としては、一般的なガスクロマトグラフ用のキャピラリカラムに用いられているものを適用することができる。例えば、液相、担体に液相を含浸させたもの、アルミナや多孔質高分子化合物等の多孔質体等が挙げられる。また、これらは、筒状体11の内壁面12に塗布したり、化学結合させたりすることで吸着層13を形成することができる。このうち、液相が好ましい。液相としては、気体のにおい成分の特性に応じて適宜選択することができるが、効率的な気体のにおい成分の捕集の観点からは、ポリジメチルシロキサン系、ポリアクリレート系又はポリエチレングリコール系の化合物を主成分とするものが好ましい。吸着層13の厚みは、例えば、ガスクロマトグラフで用いられる一般的なキャピラリカラムに形成される吸着層と同様の膜厚を選択することができる。
【0034】
図1(a)に示す例では、嵌合部1aは、基端18と先端20で開口し、中空部分17aを形成する内壁面17を有するコネクタ16で構成される。また、嵌合部1aを構成するコネクタ16は、先端部で、ニードル部1bの基端部と連設されている。本実施形態では、両者は別部材として形成され、連結されているが、一体的に形成されていてもよい。また、両者は連設されて、ニードル部1b(筒状体11)の先端14から嵌合部1aの基端18に亘り連通している。
【0035】
嵌合部1aを構成するコネクタ16は、後述するように、密封容器から試料気体を吸引する際に、シリンジやポンプ等の吸引又は吐出手段と、それらの接続部を介して着脱可能に連結するため、基端側では、その接続部を中空部分17aに受け入れ可能な大きさが必要である一方、先端側では筒状体11で形成されるニードル部1bに連設される。そのため、嵌合部1aの中空部分17aは、基端側から先端側に向かって大きさが小さくなるように形成される。本例では、中空部分17aのうち、基端18から前述の吸引又は吐出手段の接続部を受け入れる部分は、その接続部の形状に対応した中空の形状を有する。具体的には、接続部が円筒形状である場合はそれに対応する内壁面17を有し、着脱可能で気密性を考慮すると、基端側から先端側に向かって漸次縮径するテーパ構造を有するのが好ましい。テーパ角は、例えば、一般的なシリンジと一般的な医療用等の注射針との着脱可能な接続部分の構造を採用することができる。また、筒状体11との連接部分の近傍部分は、筒状体11の内壁面12で形成される中空部分12aと同じ内径で連続する大きさになっている。そして、基端18と先端20との間に、基端側から先端側に向かって縮径する傾斜面19を設け、接続部を受け入れる中空部分と筒状体11との連接部分との間を連続させている。
【0036】
嵌合部1aを形成するコネクタ16の基端部の外周面には、外周面から外側に向かって放射方向に突出する突出部21が形成されている。突出部21は、本例では、全周に亘って形成されているが、全周に亘って形成されていなくてもよい。突出部21の形状、構造は、例えば、後述するように、気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフにおいては、突出部21を利用して接続部から注射針1を自動的に取り外すことできるように構成してもよいし、或いは、ルアーロック式シリンジの先端と着脱可能に接続することができるように構成してもよい。
【0037】
注射針1は、以上のような構造を有することで、後述する気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフに適用することができる。また、密封容器に封入されている試料気体から測定対象のにおい成分を濃縮する際に利用することもできる。特に試料気体が大容積の場合に好適である。そして、このようにして濃縮して捕集した状態で、所定期間保存することも可能である。そのため、試料をコンパクトにして持ち運びを容易にすることも可能である。
【0038】
図1(b)に示すように、第二実施形態に係る注射針2は、第一実施形態に係る注射針1において、吸着層13を、注射針1の単管である筒状体11の内壁面12に直接形成するのではなく、注射針1のコネクタ16と筒状体11とで形成される注射針を外管部とし、その内側に、内管部を設け、その内管部の内壁面に吸着層を設けたものである。つまり、注射針2は、筒状体11とコネクタ16とで形成される外管部3、及び、その内側に設けられる内管部4との二重管構造を有する。そこで、同じ構成については同じ符号を付し、異なる部分について以下説明する。
【0039】
前述のように、注射針2の外管部3は、前述のコネクタ16と筒状体11とを備える。そして、外管部3は、コネクタ16により構成される嵌合部3a、筒状体11により構成されるニードル部3bを備える。外管部3の内側には、内管部4が設置されている。内管部4は、捕集用キャピラリカラム22と係合封止部29とを有する。捕集用キャピラリカラム22は、中空で細管のカラムチューブ22aと、その内壁面27の表面に形成される吸着層28とを有し、吸着層28に囲まれる中空部分23が形成されている。捕集用キャピラリカラム22は、先端24と基端25で開口し、この両端が連通する。カラムチューブ22aは、外管部3の筒状体11の中空部分12aを摺動可能な外部形状を有し、中空部分23を気体が通過し易く一様に吸着し易い形状とするのが好ましく、例えば、円管が好ましい。カラムチューブ22aの長さは、外管部3の筒状体11の先端14からコネクタ16の基端18の間に設置可能な長さがあるのが好ましい。図1(b)に示す例では、後述するように、内管部4を外管部4と着脱可能にするとともに、吸引又は吐出手段の接続部へ連結する観点から、カラムチューブ22aの基端25は、コネクタ16の基端18よりも先端側に位置し、カラムチューブ22aの先端24は、筒状体11の先端14と同じ又はそれよりも僅かに基端側に位置するような長さとしている。もっとも、このような構成に限らず、外管部3の筒状体11の長さと同程度の長さであってもよい。カラムチューブ22aの材質は、特に限定はなく、例えば、金属、ガラス、樹脂、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。このうち、金属製の単管、ガラス製円管の外側を例えばポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂で被覆した積層管が好ましい。吸着層28は、注射針1の吸着層13と同様の構成を採用することができる。捕集用キャピラリカラム22は、例えば、ガスクロマトグラフに適用可能な市販のキャピラリカラムを用いることができる。
【0040】
係合封止部29は、捕集用キャピラリカラム22の基端25の近傍部分に設けられている。図1(b)に示す係合係止部29は、カラムチューブ22aの外周面26と気密に係合する内壁面30を有する円筒状の形状を有する。また、円筒状の形状は、内壁面30と、これと同心円状に形成される外周面31、カラムチューブ22aの長さ方向の先端側と基端側とにそれぞれ面する先端面32と基端面33とで規定される。そして、図1(b)に示す例では、先端面32と外周面26との連続部分となる周縁部で、外管部3のコネクタ16の中空部分17aの傾斜面19と接して、着脱可能に係合し、係止されている。また、後述するように、基端面33で、吸引又は吐出手段の接続部と気密に係合可能になっている。係合係止部29の材質は、カラムチューブ22aとの密着性、吸引又は吐出手段の接続部との接合性の観点から、弾性体が好ましく、耐熱性、耐薬品性等の観点からシリコーン系ゴムが好ましい。係合封止部29の大きさは特に限定はなく、係合封止部29の材質、前記接続部との接合性、気密性、カラムチューブ22aとの密着性、気密性等を考慮して適宜決定することができる。
【0041】
図1(b)に示す例では、係合係止部29は、コネクタ16の中空部分17aに設置されているが、これに限らず、例えば、捕集用キャピラリカラム22が筒状体11と同じ程度の場合は、両者の間隙に気密性を保持するように設置されてもよい。このような形態の場合は、係合係止部29は接着剤層として構成される。
【0042】
このように、図1(b)に示す注射針2では、外管部3の嵌合部3aを構成するコネクタ16の中空部分17aには、内管部4の捕集用キャピラリカラム22の基端25の近傍部及び係合封止部29配置されており、外管部3のニードル部3aを構成する筒状体11及び筒状体11の内側の中空部分12aに設置されている内管部4の捕集用キャピラリカラム22により、中空細管が形成されている。本例では、外管部3と内管部4とは着脱可能に構成されている。このように、着脱可能に構成することで、外管部3を再利用することが可能である。もっとも、両者を接着剤等により固定してもよい。
(気体のにおい成分測定用ガスクロマトフラフ)
図面に基づき実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトフラフ(以下、単に「ガスクロ」と称する場合がある。)を説明する。以下では、前述の注射針1及び注射針2を用いた実施形態について説明する。尚、気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフには質量分析計等を備えるものが含まれることは勿論のことである。
<第一実施形態>
図2は、第一実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトフラフ(ガスクロ)5の構成示したものである。ガスクロ5は、前述の注射針1を用いて、測定対象のにおい成分を含む気体が封入されている密封容器から、気体のにおい成分を捕集し、ガスクロ5で気体のにおい成分を測定する場合の実施形態である。図2に示す第一実施形態は、その一例を示したものである。また、図11は、図2に示すガスクロ5の電気的構成の一例を示すブロック図である。尚、注射針1に替えて注射針2を用いても、同様に構成可能である。
【0043】
図2、11に示すように、ガスクロ5は、注射針1、ノズル51、ポンプ53、切替バルブ54、注入口部55、分析カラム56、検出部57、キャリアガスボンベ58、注射針回収容器59、駆動機構61(図11参照)、制御部60(図11参照)、密閉容器62を予め設置可能なサンプル設置台63を有する。
【0044】
注射針1は、嵌合部1aを構成するコネクタ16にノズル1を連結する際に、ニードル部1bの長さ方向の基端側からコネクタ16を支持する注射針支持台84に設置されている。注射針支持台84は、複数の注射針1を支持可能としてもよいし、1つの注射針1を支持可能としてもよい。また、複数の注射針1を設置する場合は、注射針支持台84には必要に応じて、注射針1を所望の位置に順送り可能な機構を設けてもよい。
【0045】
ノズル51は、先端部に、注射針1のコネクタ16と気密状態で着脱可能に連結可能な接続部52を有する。ノズル51には、接続部52の先端部で開口する流路が形成され、当該流路は、切替バルブ54を介してポンプ53と連通する。
【0046】
ポンプ53、切替バルブ54及びノズル51は、流路64を介して連通可能になっている。ポンプ53は、図2に示す例ではシリンジポンプであるが、吸引および吐出が可能なものであれば、特に限定はない。
【0047】
バルブ54は、ポート(1)~(4)を備え、ポート(1)はポンプ53と、ポート(2)はノズル51と連通する。ポート(3)は、排気用流路65、ポート(4)は、フィルタ66を有する外気吸入用流路67と連通する。そして、必要に応じて、電気的に、ポート(1)とポート(2)~(4)の何れかを選択して連通可能になっている。
【0048】
注入口部55は、スプリット注入法を行う場合の構成を例として示している。もっとも、スプリットレス法を行う場合の構成を採用可能であることは勿論のことである。注入口部55は、気密状態を維持して注射針1を着脱可能に受け入れる挿入口69、インサート70に注入された気体のにおい成分79を含む気体を加熱する加熱装置71を有している。また、注入口部55には、キャリアガスボンベ58からキャリアガスをインサート70に送気する流路72、セプタムパージライン73、スプリットライン74がそれぞれ従来公知の構成で接続されている。また、これらの流路72、ライン73、74には、それぞれ流量制御可能な電磁弁68が設けられている。また、インサート70の下流側に分析カラムへの導入管部75が設けられている。
【0049】
注射針回収容器59は、使用後の注射針1を回収するための容器である。注射針回収容器59は、ノズル51の接続部52から脱離させた注射針1を一時的に貯留する容器本体76と、容器本体76の鉛直方向上側に設けられ、注射針1をノズル51から脱離させるための脱離部78とを有する。本例では、脱離部78は容器本体76から連続し、その鉛直方向上側に形成されている。また、脱離部78は、ノズル15が連結した状態の注射針1のコネクタ16を、筒状体11の長さ方向に対して直交する平面方向から受入れて、かつ、ノズル15とは係合せずコネクタ16の突出部21と係合し、注射針1の鉛直方向上側の移動を規制可能な規制係合部77を有する。
【0050】
サンプル設置台63は、測定対象となる気体のにおい成分79を含む試料気体80が密封された密封容器62を予め設置可能な構造を有していればよい。密封容器62を予め加熱する必要がある場合は加熱装置が設けられていてもよい。また、複数の密封容器62の測定を行う場合は、順番に密封容器を所望の位置に設置可能な機構を有していてもよい。密封容器62には、気体のにおい成分を含む液体又は固体のにおい発生源81が封入されており、発生源81から気体のにおい成分79等が揮発して、試料気体80として密閉容器62内に封入されている。密閉容器62には、開閉可能な蓋82が形成され、蓋82には、注射針1のニードル部1bを差し入れて挿通可能な挿入口83が形成されている。尚、蓋82には、注射器1に試料気体80を吸引する時に外気を密封容器62内に吸引可能な逆止弁を備えていてもよい。
【0051】
におい発生源81は、特に限定はなく、各分野においてにおい分析の対象となるものを分析対象とすることが可能である。例えば、食品分野、農産物、畜産物、化粧料、環境分野、医療防疫分野等における各種のにおい分析に適用可能である。
【0052】
駆動機構61は、ノズル51を駆動させ、(a)ノズル51と注射針1との着脱、(b)ノズル51のニードル部1bの密封容器への差し入れ、引き抜き、(c)ノズル51のニードル部1bの注入口部への差し入れ、引き抜きを行うことが可能なものであれば特に限定はない。例えば、ノズル51を水平方向、鉛直方向等に移動させることが可能なものが挙げられる。
【0053】
制御部60は、例えば、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、所定の制御プログラム等を記憶する不揮発性のROM(Read Only Memory)、フラッシュROM、あるいはHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部、タイマ回路、及びこれらの周辺回路等を備えて構成されている。そして、制御部60は、例えば上述の制御プログラムを実行することにより、駆動機構61、ポンプ53、バルブ54、注入口部55、分析カラム56の動作を制御する。また、検出部57からの検出信号に基づき演算処理を行う。
【0054】
制御部60は、例えば上述の制御プログラムを実行することにより、注射針挿入部85、捕集部86、気体のにおい成分脱離部87、導入部88a、分析部88b、注射針回収部89として機能する。
【0055】
ガスクロ5の動作を図2~4、11、12を参照しつつ説明する。図12は、図2に示す流路構成を有するガスクロ5の動作の一例を示したフローチャートである。
【0056】
図2は、分析部88bにより注入口部55及び分析カラム56の条件を所定の条件に調整させ、注射針1を注射針支持台84に設置し、密封容器62をサンプル設置台63に設置した状態のガスクロ5を示したものである。また、ポンプ53はバルブ54を介してノズル51と連通した状態で、吸引可能な状態にしている。そして、この状態から動作を開始させることができる。動作を開始させると、図2の二重鎖線及び矢印で示すように、注射針挿入部85により、駆動機構61を駆動させ、ノズル51の接続部52を注射針1のコネクタ16に気密状態で連結させる。次いで、ノズル51と注射針1とが連結した状態で、ノズル51を注射針1の長さ方向に沿って駆動させて、注射針支持台84から注射針1を取り出して、図3に示すように、注射針1のニードル部1bの先端14を密閉容器62の挿入口83からその内部に差し入れる(ステップS1)。次いで、捕集部86により、ポンプ53を所定時間動作させて、密閉容器62内の気体のにおい成分79を含む試料気体80を吸引し、ニードル部1bの吸着層13に気体のにおい成分79を吸着させる(ステップS2)(図3の矢印参照)。この時、試料気体80の容積がポンプ53の1回の吸引動作により吸引可能な容積よりも大きい場合は、ポンプ53内に吸引した試料気体80を外部に排気するため、バルブ54のポート(1)とポート(3)とを連通させ、ポート(3)に接続する排気用流路65から排気する。その後、再度バルブ54のポート(1)とポート(2)とを連通させ、ポンプ53を作動させ、吸引動作を行うことができる。必要に応じて、この動作を繰り返すことができる。
【0057】
注射針1の吸着層13に気体のにおい成分79を吸着させ、捕集した後、気体のにおい成分脱離部87により、駆動機構61を駆動させ、密閉容器62から注射針1を引き抜いた後、注入口部55の挿入口69に注射針1を差し入れ、インサート70内に注射針1の先端14が位置するように設置する。そして、予め加熱装置71により加熱されているインサート70ないで、ニードル部1bが加熱されることで、吸着層13から気体のにおい成分を脱着させる(ステップS3)。
【0058】
次いで、導入部88aにより、ポンプ53を所定時間作動させ、ニードル部1bを構成する中空細管内にガスを所定量送気して(図4中、矢印参照)、ステップS3で脱着させた気体のにおい成分79を注射針1の先端14から吐出させる。この際に使用する送気用のガスは、ポンプ53に吸引した試料気体80をそのまま用いてもよいし、一旦排気して、吸引した外気等を用いてもよい。そして、キャリアガスタンク58から送気されるキャリアガスにより、脱着させた気体のにおい成分79を、導入管部75から分析カラム56に導入する(ステップS4a)。図4は、この時の状態を示した図である。導入された気体のにおい成分79は、分析部88bにより、分析カラム56で成分毎に分離され、検出部57で検出される(ステップS4b)。
【0059】
ステップS4aにおいて、ニードル部1bを構成する中空細管内にガスを所定量送気した後、注射針回収部89により、駆動機構61を駆動させて、以下の動作をさせる。注入口部55の挿入口69から注射針1のニードル部1bを引き抜く。次いで、ノズル51とともに注射針1を注射針回収容器59の鉛直方向上側へ移動させ、ノズル51と接続した注射針1の嵌合部1aの突出部21を、注射針回収部89の規制係合部77に係合させる。ついで、ノズル51を鉛直方向上側に移動させて、突出部21を規制嵌合部77に係止させ(図4の二点鎖線で示した部分を参照)、嵌合部1aから、ノズル51を取り外し、注射針1を注射針回収容器59の容器本体76に収容する(ステップ5)。そして、並行して行われる分析部88bによる測定が終了することにより、一連の処理が終了する。尚、ステップS5は必要に応じて行うことも可能である。
<第一実施形態の変形例>
第一実施形態の変形例では、第一実施形態のステップS3において、気体のにおい成分を誘導体化する処理を行う。誘導体化することにより、ガスクロマトグラフで測定しやすい物性に変化させ、ピークのテーリングを抑えたり、感度を向上させたりすることができる。これ以外は、第一実施形態と同様である。そこで、気体のにおい成分を誘導体化する処理について説明する。使用可能な誘導体化試薬としては、常温以上の温度で気体になり得るものであればよく、従来公知のものを用いることができる。このような誘導体化試薬としては、例えば、シリル化剤、アシル化剤、アルデヒド類やケトン類の誘導体化試薬等が挙げられる。シリル化剤としては、例えば、BSA(N,O-Bis(trimethylsilyl)acetamide)、BSTFA(N,O-Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetamide)、MSTFA(N-Methyl-N-trimethylsilyltrifluoroacetamide)、TMS-Imidazole(N-Trimethylsilylimidazole)、MTBSTFA(N-(tert-Butyldimethylsilyl)-N-methyltrifluoroacetamide)等が挙げられる。アシル化剤としては、例えば、MBTFA(N,N-Bis(trifluoroacetyl)methylamine)等が挙げられる。アルデヒド類やケトン類の誘導体化試薬としては、例えば、DNPH(2,4-Dinitrophenylhydrazine)等が挙げられる。
【0060】
前述の第一実施形態と同様にしてステップS1~2を行って、注射針1の吸着層13に気体のにおい成分79を吸着させ、捕集しする(図3参照)。そして、捕集した後、気体のにおい成分脱離部87により、駆動機構61を駆動させ、密閉容器62から注射針1を引き抜いた後、以下のようにして、気体の誘導体化試薬を吸引する処理を行う。図15に示すように、脱離部87により駆動機構61を駆動させ、気体の誘導体化試薬105を含む気体106が密封されている密閉容器62の挿入口83に注射針1を差し入れ、次いで、ポンプ53を所定時間動作させて、密閉容器62内の気体の誘導体化試薬105を含む気体106を吸引する(図15の矢印参照)。そして、この状態を保持した状態で、駆動機構61を駆動させ、密閉容器62から注射針1を引き抜いた後、注入口部55の挿入口69に注射針1を差し入れ、インサート70内に注射針1の先端14が位置するように設置する。そして、予め加熱装置71により加熱されているインサート70内で、ニードル部1bが加熱されることで、吸着層13から気体のにおい成分を脱着させる(ステップS3)。
【0061】
次いで、導入部88aにより、ポンプ53を所定時間作動させ、ニードル部1bを構成する中空細管内に、気体の誘導体化試薬105を含む気体106で構成されるガスを所定量送気する(図4中、矢印参照)。この際、吸着層13から脱離した気体のにおい成分と誘導体化試薬とが速やかに反応して、気体の誘導体化されたにおい成分が生成する。また、ポンプ53を作動させる前であっても、脱離した気体のにおい成分は中空細管内に存在する気体の誘導体化試薬と反応し得る。このようにして、前記ガスを送気することで、ステップS3で脱着させた気体のにおい成分105を、誘導体化し、気体の誘導体化されたにおい成分として、注射針1の先端14から吐出させる。この際に使用する送気用のガスは、ポンプ53に吸引した気体の誘導体化試薬105を含む気体106をそのまま用いる。そして、キャリアガスタンク58から送気されるキャリアガスにより、誘導体化された気体のにおい成分を、導入管部75から分析カラム56に導入する(ステップS4a)。
【0062】
これ以降は、第一実施形態の場合と同様の処理を行う。必要に応じ、注射針回収部89により、ポンプ53及び切替バルブ54を作動させ、シリンジに外気等をポート4から吸引した後、この外気等をポート65又はポート2から排気させ、流路64内の気体を入れ替える処理を行っても負い。
<第二実施形態>
図5は、第二実施形態に係る気体のにおい成分測定用ガスクロマトフラフ(ガスクロ)6の流路構成を説明するための説明図である。ガスクロ6は、前述の注射針2を用いて、測定対象のにおい成分を含む気体が封入されている密封容器から、気体のにおい成分を捕集し、ガスクロ6で気体のにおい成分を測定する場合の実施形態である。図5に示す第二実施形態は、その一例を示したものである。また、図13は、図5に示すガスクロ6の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【0063】
図5、13に示すように、ガスクロ6は、第一実施形態に係るガスクロ5とは、使用する注射針が異なることで、注射針を脱着する構成及び動作が異なるだけで、多くの構成は共通する。そこで、以下では、同じ構成については同じ符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0064】
ガスクロ6は、注射針2を用い、外管部3に対して、内管部3を挿入し、注射針2を組み立てる動作を行った後に、ガスクロ5と同様のステップS1~S4を行い、次いで、注射針2を分解して、内管部3のみを回収するように構成されている。また、必要に応じて、第一実施形態の変形例と同様にして、ステップS3において、気体のにおい成分を誘導体化するように構成することも可能である。
【0065】
ガスクロ6は、図5、13に示すように、注射針2となる外管部3及び内管部4、外管支持台98、内管支持台101、ノズル51、ポンプ53、切替バルブ54、注入口部55、分析カラム56、検出部57、キャリアガスボンベ58、把持機構91を有する内管回収容器90、駆動機構61(図13参照)、制御部94(図13参照)、密閉容器62を予め設置可能なサンプル設置台63を有する。
【0066】
注射針2を構成する外管部3は、外管支持台98に支持されている。外管支持台98は、図5、9に示すように、外管部3のコネクタ16及びノズル51を受け入れ可能な第1凹部99と、第1凹部99を形成する凹面に形成され、コネクタ16の突出部21を受け入れ可能な第2凹部100とを有する。第2凹部100は、突出部21と係合し、外管部3の長さ方向の移動を規制可能になっている。
【0067】
注射針2を構成する内管部4は、内管支持台101に予め支持されている。内管支持台101は、図5、7に示すように、平板に貫通孔102を設けた構造を有し、貫通孔102は捕集用キャピラリカラム22を挿通可能な大きさを有し、係合封止部29の先端面32と貫通孔102の周縁部で係合する。
【0068】
内管回収容器90は、図5、10に示すように、第一実施形態の注射針回収容器59の脱離部78の鉛直方向上側に、内管部3の係合封止部29の外周面31を把持する把持機構91が設けられた構造を有する。把持機構91は、対向する一組の把持体92を有し、把持体92の間隔を調整することで、内管部3の把持とその解除を行う。
【0069】
図7に示すように、ノズル51の接続部52と反対側には、流路64を形成する配管が連結され、接続部52には、(a)内管部4の係合封止部29の基端面33側を受け入れ可能な中空部を形成する、外周面31と係合する内壁面103及び基端面33と当接する当接面104、並びに、(b)当接面104から流路64側に向かって形成され、係合封止部29の基端面33から突出する捕集用キャピラリカラム22を受け入れ可能な中空部105が形成されている。
【0070】
制御部94は、ガスクロ5の制御部60の同様の構成を有するが、注射針2を組み立てと内管部4のみを回収する点において異なる制御プログラムを有する。この制御プログラムを実行することにより、駆動機構61、把持機構91、ポンプ53、バルブ54、注入口部55、分析カラム56の動作を制御する。
【0071】
制御部94は、例えば上述の制御プログラムを実行することにより、注射針挿入部85、捕集部86、気体のにおい成分脱離部87、導入部88a、分析部88b、内管準備部95a、注射針準備部95b、内管脱離部96、内管回収部97として機能する。
【0072】
ガスクロ6の動作を図5~10、13、14を参照しつつ説明する。図14は、図5に示す流路構成を有するガスクロ6の動作の一例を示したフローチャートである。
【0073】
図5は、分析部88bにより注入口部55及び分析カラム56の条件を所定の条件に調整させ、注射針2を形成する外管部3を外管支持台98に、注射針2を形成する内管部3を内管支持部101に、密封容器62をサンプル設置台63に設置した状態のガスクロ6を示したものである。また、ポンプ53はバルブ54を介してノズル51と連通した状態で、吸引可能な状態にしている。そして、この状態から動作を開始させることができる。
【0074】
動作を開始させると、内管準備部95aにより、駆動機構61を駆動させ、図5の二点鎖線及び矢印並びに図7(a)、(b)に示すようにして、ノズル51を移動させ、ノズル51の接続部52を内管部4の係合封止部29と係合させ、連結させる(ステップS01)。次いで、注射針準備部95bにより、駆動機構61を駆動させ、ノズル51と連結した状態で内管部3を内管支持台101から取り出し、図8に示すように、予め外管支持台98に支持されている外管部3の内側に内管部4を挿入する。そして、外管部3の長さ方向に沿って、その先端側に向かってノズル51を移動させ、接続部51とコネクタ16とを係合させ、ノズル51と内管部4及び外管部3とを気密に連結させ、ノズル51と気密に連結した注射針2を形成する(ステップS02)。接続部51の外周面とコネクタ16の内壁面17とは気密に密着した状態であるのが好ましい。また、係合封止部29が弾性体である場合は、接続部51とコネクタ16の傾斜面19との間で挟まれ、圧縮されることで、(a)捕集用キャピラリカラム22の外周面26と係合封止部29の内周面30との接触面、及び、(b)係合封止部29の基端面33とノズル51の当接面104、係合封止部29の外周面31とノズル51の内壁面103、係合封止部29の先端面32の周縁部とコネクタ16の傾斜面19のうちの少なくとも1つの接触部分とは、より高い気密性を保持して密着させることが容易である。
【0075】
このようにして、ノズル51が連結した状態の注射針2が準備される。ステップS02の後、第一実施形態と同様にして、スッテプS1~S4が行われる。また、必要に応じて、第一実施形態の変形例と同様にして、ステップS3において気体のにおい成分の誘導体化を行って、誘導体化された気体のにおい成分を分離カラムに導入するように構成してもよい。但し、ステップS1においては、駆動機構61を駆動させ、外管支持台98からノズル51と連結した注射針2を取り出す際に、先ず、注射針2の長さ方向に直交する方向に移動させる必要がある点でのみ第一実施形態と異なる(参考として図9)。図6は、ステップS02の後、ステップ1を開始して、注射針挿入部85により、駆動機構61を駆動させて、ノズル51を注射針2の長さ方向に直交する方向に移動させて、外管支持台98から、ノズル51と気密に連結した注射針2から取り出して、注射針2の先端14を、気体のにおい成分79を含む試料気体80が封入されている密閉容器62の挿入口83に向かって移動させている状態を示した図である。
【0076】
ステップS1からスッテプS3が終了し、ステップS4aにおいて、捕集用キャピラリカラム22内にガスを所定量送気した後、内管脱離部96により、駆動機構61を駆動させて、以下の動作をさせる(ステップS6)。注入口部55の挿入口69から注射針2の筒状体11と捕集用キャピラリカラム22とで構成される中空細管を引き抜く。次いで、ノズル51とともに注射針2を外管支持台98に対して、注射針2の長さ方向に直交する方向に移動させ(図9(a))、ノズル51と接続した注射針2のコネクタ16の突出部21を、外管支持台98の第二凹部100と係合させる(図9(b))。ついで、ノズル51を注射針2の長さ方向に沿って移動させて、外管部4から、ノズル51と連結した状態で内管部3を取り外す(図9(c))。この操作により、外管部3は、外管支持台98に再度保持され、次の気体試料の測定に用いる準備ができたことになる。尚、分析カラム56に導入された気体のにおい成分79は、分析部88bにより、分析カラム56で成分毎に分離され、検出部57で検出される(ステップS4b)。
【0077】
ステップS6の後、内管回収部97により、以下の動作をさせる(ステップS7)。駆動機構61を駆動させ、内管回収容器90の容器本体76の鉛直方向上側で、把持機構91の一対の把持体92の間に係合封止部29が位置するように、ノズル51とともに内管部4を移動させ(図10(a))、次いで、把持機構91を駆動させ、把持体92により係合封止部29の外周部31を挟持させる(図10(b))。次いで、ノズル51を鉛直方向上側に移動させることで、内管部4からノズル51を脱離させる(図10(c))。ついで、把持体92による把持状態を解除して、脱落させた内管部4を内管回収部97の容器本体76に回収する。そして、並行して行われる分析部88bによる測定が終了することにより、一連の処理が終了する。尚、ステップS6、S7は必要に応じて行うことも可能である。
【0078】
以上のように、特定の注射針1、2を用いることで、試料気体80に含まれる気体のにおい成分79を自動制御により迅速かつ簡便に測定することが可能な気体のにおい成分測定用のガスクロ5、6を提供可能である。
(気体のにおい成分の捕集方法及び分析方法)
前述のガスクロ5、6は、一連の処理を行うことで、気体のにおい成分を捕集する捕集方法を提供していることになり、かつ、ガスクロによる気体のにおい成分を分析する分析方法を提供していることになる。もっとも、これらの捕集方法及び分析方法は、前述の実施形態に示すような駆動機構61や把持機構91の動作を制御部60、94により制御することで自動的に行わせるガスクロ5、6により行うことが可能であるが、手動により行うことも可能である。
【0079】
例えば、前述の注射針1、2に、シリンジや吸引ポンプ等の吸引手段を気密に連結し(工程1)、試料気体を収容した密封容器又はにおい発生源を収容し、揮発した試料気体を収容した密封容器に、注射針1、2を差し入れて(工程2)、手動で吸引手段により吸引して注射針1、2の吸着層13、28に、気体のにおい成分を吸着させる(工程3)ことで、気体のにおい成分を捕集することが可能である。即ち、気体のにおい成分を捕集する方法を実行することができる。
【0080】
また、例えば、このようにして、注射針1、2に吸着層13、28に気体のにおい成分を吸着させた後、密封容器から注射針1、2の中空細管を引き抜いて(工程4)、一般的なガスクロマトグラフを用いて、その注入口部に注射針1、2の中空細管を差し入れて加熱されると、吸着層13、28から気体のにおい成分が脱着し(工程5)、手動でシリンジやポンプ等の吐出手段によりガスを送気して、脱着した気体のにおい成分を注射針1、2の先端から吐出させて、キャリアガスにより分析カラムに導入する(工程6)ことで、気体のにおい成分を分析することができる。以上のように、気体のにおい成分を捕集して、一般的なガスクロマトグラフを用いて分析を行うことで、気体のにおい成分を分析する分析方法を実行することができる。
【0081】
また、必要に応じて、気体のにおい成分の誘導体化を行って、誘導体化された気体のにおい成分をキャリアガスにより分析カラムに導入してもよい。このような処理は例えば次のようにして行うことができる。前述の工程4の後、気体の誘導体化試薬を含む気体が密封された密封容器に注射針1、2を差し入れて、手動で吸引手段により吸引し、この状態を保持した状態で、密封容器から注射針1、2の中空細管を引き抜く(工程4-1)。そして、一般的なガスクロマトグラフの注入口部に注射針1、2の中空細管を差し入れて中空細菅が加熱されると、吸着層13、28から気体のにおい成分が脱着し(工程5)、手動でシリンジやポンプ等の吐出手段により、気体の誘導体化試薬を含む気体で構成されるガスを送気して、脱離した気体のにおい成分と誘導体化試薬との気体の反応生成物を注射針1、2の先端から吐出させて、キャリアガスにより分析カラムに導入する(工程6)ことで、気体のにおい成分を分析することができる。
【実施例
【0082】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(実施例1)
密封可能な容器(容量15mL)に、水中のカビ臭原因物質として知られるジェオスミン(標準品)と蒸留水を、ジェオスミンの濃度が1ng/Lの混合液10mLとなるように添加し、注射針を穿通可能な挿入口を有する蓋で密封した後、撹拌し、室温で静置して、ジェオスミンを揮発させた。次いで、図1(b)に示す構造の気体のにおい成分捕集用注射針(以下「注射針」と称する。)2の外管部4のコネクタ16に5mLシリンジを気密状態で連結した後(工程1)、注射針2の中空細管の先端14を密封容器の挿入口から容器内に差し入れて(工程2)、シリンジにより密封容器内の気体のジェオスミンを含む試料気体を20mL吸引した。この吸引は、シリンジによる吸引時に密封容器内に外気が流入可能となるようにしながら、1回の吸引容量を5mLとして、吸引操作を4回繰り返して行った。これにより、注射針2の吸着層28に、気体のジェオスミンを吸着させた(以上、工程3)。このようにして、気体のジェオスミンを注射針2の吸着層28に捕集した。その後、注射針2の中空細管を密封容器から引き抜いた(工程4)。尚、注射針2の捕集用キャピラリカラム22は、所定の長さに切断したガスクロ用キャピラリカラム(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名Vf-5ms)を用いた。また、係合封止部29はシリコーンゴム、外管部3としては、一般的なシリンジに連結可能な一般的な注射針を用いた。
【0083】
吸着層28に気体のジェオスミンを捕集した注射針2の中空細管の先端14を、ガスクロマトグラフ質量分析計の注入口部に差し入れて、中空細管の部分を加熱し、ジェオスミンを脱着させた(工程5)。そして、シリンジからガス0.5mLを注射針2の捕集用キャピラリカラム22内に送気し、脱着したジェオスミンをガスクロマトグラフ質量分析計の分析カラムに導入した(工程6)。そして、分析カラムにより導入した気体から気体のにおい成分を分離し、検出部で検出した。尚、ガスクロマトグラフ質量分析計(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名7890B/5977B)のガスクロマトグラフ(GC)及び質量分析計(MS)の条件は、表1のとおりである。
【0084】
【表1】
(実施例2)
密封可能な容器(容量15mL)に、腐敗臭を有する物質として知られるエナント酸(標準品)と蒸留水を、エナント酸の濃度が20ng/Lの混合液10mLとなるように添加し、注射針を穿通可能な挿入口を有する蓋で密封した後、撹拌し、室温で静置して、エナント酸を揮発させた。次いで、シリンジにより密封容器内の気体のエナント酸を含む試料気体を5mLずつ2回吸引して合計10mL吸引した以外は、実施例1と同様にして、気体のエナント酸を注射針2の吸着層28に捕集した。
【0085】
密封可能な容器(容量4mL)に、誘導体化試薬であるMTBSTFAを1mL添加し、注射針を穿通可能な挿入口を有する蓋で密封した後、撹拌し、室温で静置して、MTBSTFAを揮発させた。
【0086】
前述の気体のエナント酸を吸着層28に吸着させた注射針2の中空細管の先端14を気体のMTBSTFAを含む気体が密封された容器の挿入口から容器内に差し入れて、シリンジにより密封容器内の気体のMTBSTFAを含む気体を0.5mL吸引した。この吸引は、シリンジによる吸引時に密封容器内に外気が流入可能となるようにしながら行った。その後、注射針2の中空細管を密封容器から引き抜いた(工程4-1)。
【0087】
吸着層28に気体のエナント酸を捕集し、気体のMTBSTFAを吸引し、その状態を保持した状態の注射針2の中空細管の先端14を、ガスクロマトグラフ質量分析計の注入口部に差し入れて、中空細管の部分を加熱し、エナント酸を脱着させた(工程5)。そして、シリンジにより、気体のMTBSTFAを含むガス0.5mLを注射針2の捕集用キャピラリカラム22内に送気した。吸着層28から脱離した気体のエナント酸は、気体のMTBSTFAと直ちに反応して誘導体化されたエナント酸(エナント酸-tBDMS)となる。そのため、シリンジにより前記ガスを所定量送気することで、前述のようにして生成した気体のエナント酸-tBDMSをガスクロマトグラフ質量分析計の分析カラムに導入することになる(工程6)。そして、導入した気体から誘導体化された気体のにおい成分を分析カラムにより分離し、検出部で検出した。尚、ガスクロマトグラフ質量分析計(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名7890B/5977B)のガスクロマトグラフ(GC)及び質量分析計(MS)の条件は、「Oven Temp.」を「50℃(2min)-10℃/min-130℃-30℃/min-280℃」とし、「MS Method」を「SCAN」とした以外は、表1と同じ条件とした。
【0088】
実施例1、2の測定結果をそれぞれ図16、17に示す。図16、17のクロマトグラムに示すように、ピーク形状は良好で、十分な感度も得られていることが分かる。また、夾雑物の影響もなくきれいなクロマトグラムが得られていることが分かる。図17に示す本法により得られたピークのマススペクトルはNISTライブラリのエナント酸-tBDMSのマススペクトルと完全に一致し、エナント酸が誘導体化されていることが分かった。さらに、実施例1では前述の工程1~4までに要した時間は僅か10分で、実施例2では前述の工程1~4-1までに要した時間も僅か11分で、吸引、吐出時の抵抗はなく容易に吸引、吐出が可能であった。このように、所定の気体のにおい成分捕集用注射針を用いることで、容易に気体のにおい成分を捕集し、分析することができる。また、必要に応じて気体のにおい成分の誘導体化も容易に行うことができる。また、誘導体化試薬の使用量を少量化でき、装置への負担を軽減することもできる。そのため、このような気体のにおい成分捕集用注射針を用いてガスクロマトグラフを構成することにより、試料気体の捕集処理からガスクロマトグラフの注入口でのガスの吐出処理までの動作の自動化が可能である。したがって、試料気体の捕集処理から分析処理に至る処理を自動化した気体のにおい成分捕集用注射針を用いてガスクロマトグラフの提供が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1、2 注射針;1a 嵌合部;1b ニードル部;3 外管部;4 内管部;5、6 気体のにおい成分測定用ガスクロマトグラフ;11 筒状体;12、17、27、30、103 内壁面;12a、17a、23 中空部分;13、28 吸着層;14、20、24 先端;15、18、25 基端;16 コネクタ;19 傾斜面;21 突出部;22 捕集用キャピラリカラム;22a カラムチューブ;26、31 外周面;29 係合封止部;32 先端面;33 基端面;51 ノズル;52 接続部;53 ポンプ;54 切替バルブ;55 注入口部;56 分析カラム;57 検出部;58 キャリアガスボンベ;59 注射針回収容器;60、94 制御部;61 駆動機構;62 密閉容器;63 サンプル設置台;64、72 流路;65 排気用流路;66 フィルタ;67 外気吸入用流路;68 電磁弁;69、83 挿入口;70 インサート;71 加熱装置;73 セプタムパージライン;74 スプリットライン;75 導入管部;76 容器本体;77 規制係合部;78 脱離部;79 気体のにおい成分;80 試料気体;81 におい発生源;82 蓋;84 注射針支持台;85 注射針挿入部;86 捕集部;87 気体のにおい成分脱離部;88 導入部;89 注射針回収部;90 内管回収容器;91 把持機構;92 把持体;95a 内管準備部;95b 注射針準備部;96 内管脱離部;97 内管回収部;98 外管支持台;99 第1凹部;100 第2凹部;101 内管支持台;102 貫通孔;104 当接面;105 気体の誘導体化試薬;106 気体;




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17