(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】電極組立体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0583 20100101AFI20240618BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240618BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20240618BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240618BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240618BHJP
【FI】
H01M10/0583
H01M4/13
H01M4/02 Z
H01M10/04 Z
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2022522599
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 KR2021002512
(87)【国際公開番号】W WO2021177681
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027431
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハン ヨン
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-207119(JP,A)
【文献】国際公開第2020/139802(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0202401(US,A1)
【文献】特開2016-154138(JP,A)
【文献】特開2019-079711(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-719713(KR,B1)
【文献】米国特許第5147737(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01M10/00-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのシート形状であって、所定の間隔で繰り返されるインフォールディングとアウトフォールディングとを含む第1電極と、
複数の切れ形状であって、フォールディングされた前記第1電極に囲まれるようにそれぞれ介在された第2電極と、
一つのシート形状であって、前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、前記第1電極とともに所定の間隔で繰り返されるインフォールディングとアウトフォールディングとを含むセパレータとを含み、
前記第1電極は、
第1電極活物質が第1電極集電体の一面のみに塗布された片面電極であり、
前記第2電極は、
第2電極活物質が第2電極集電体の両面にすべて塗布された両面電極であり、
前記セパレータは、
前記第1電極の前記第1電極活物質が塗布された一面と、前記第2電極との間に介在され、
前記第1電極は、
前記セパレータが介在されていない他面に、一つのフィルム形状である絶縁部が介在されており、
前記絶縁部は、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチルレン(PTFE)の少なくとも一つを含
み、
前記第1電極がアウトフォールディングされた部分において、前記絶縁部同士が積層される、電極組立体。
【請求項2】
前記第2電極は、
インフォールディングされた前記第1電極にのみ囲まれるようにそれぞれ介在されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
一つのシート形状に形成された第1電極の一面に、一つのシート形状に形成されたセパレータを互いに同じ方向に積層するステップと、
複数の切れで形成された第2電極を、前記セパレータ上に所定の間隔で離隔して載置し、電極積層体を形成するステップと、
前記第1電極および前記セパレータをインフォールディングおよびアウトフォールディングすることで、前記電極積層体をフォールディングするステップとを含み、
前記第1電極は、
第1電極活物質が第1電極集電体の一面のみに塗布された片面電極であり、
前記第2電極は、
第2電極活物質が第2電極集電体の両面にすべて塗布された両面電極であ
り、
前記電極積層体をフォールディングするステップの前に、
前記第1電極において、前記第1電極活物質が塗布されていない他面に、絶縁物質を塗布した後、乾燥して絶縁部を形成するステップをさらに含む、電極組立体の製造方法。
【請求項4】
前記セパレータを積層するステップにおいて、
前記セパレータは、
前記第1電極の前記第1電極活物質が塗布された一面に積層される、請求項3に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項5】
前記所定の間隔は、
前記第2電極の長さよりも長く形成される、請求項3または請求項4に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項6】
前記絶縁部を形成するステップは、
前記第2電極を載置するステップの前に行われる、請求項
3から5のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項7】
前記電極積層体をフォールディングするステップは、
前記第1電極および前記セパレータにおいて、前記第2電極の一端が位置した領域はそれぞれインフォールディングし、前記第2電極の他端が位置した領域はそれぞれアウトフォールディングする、請求項3から請求項
6のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月4日付けの韓国特許出願第10-2020-0027431号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体およびその製造方法に関し、より詳細には、テーピング工程によって、電極にシワまたはウネリが発生するか、電極の活物質が脱離するなど、電極が破損することを防止する電極組立体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池およびリチウムイオンポリマー電池などがある。このような二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、Portable Game Device、Power ToolおよびE-bikeなどの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力を要する大型製品と余剰発電電力や新・再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用の電力貯蔵装置にも適用され使用されている。
【0004】
二次電池を製造するために、電池ケースに電極組立体(Electrode Assembly)を収納し電解液を注入した後、シールする。そして、電極組立体を製造するために、先ず、正極活物質スラリーを正極集電体に塗布し、負極活物質スラリーを負極集電体に塗布して正極と負極を製造する。正極と負極との間にセパレータを介在して電極組立体が製造され、このような電極組立体は、様々な種類に分類される。例えば、単位セルを製造することなく、単純に、正極、セパレータ、負極を交差して積層し続ける単純スタック型(Simple Stack Type)、正極、セパレータ、負極を用いて単位セルを先に製造した後、このような単位セルを積層するラミネーションアンドスタック型(L&S、Lamination & Stack Type)、長さの長いセパレータフィルムの一面に複数の単位セルを所定の間隔で付着し、セパレータフィルムの一端から同じ方向に繰り返してフォールディングするスタックアンドフォールディング型(S&F、Stack & Folding Type)などがある。
【0005】
図1は従来の電極組立体30の斜視図であり、
図2は従来の電極組立体30の正面図である。
【0006】
従来の単純スタック型またはラミネーションアンドスタック型電極組立体30は、構造が単純であり、電解液の含浸度が高い一方、生産速度が遅く、整列度が低下する問題がある。このような電極組立体30の積層された複数の電極およびセパレータの整列度を維持するために、テーピング工程が行われる。これにより、
図1に図示されているように、電極組立体30の両側面および上下面の一部にテープ31が貼り付けられる。
【0007】
しかし、単純スタック型またはラミネーションアンドスタック型電極組立体30は、負極およびセパレータが正極より相対的に広い広さを有する。したがって、周辺部が外側に突出するため、このようなテープ31が貼り付けられると、電極にシワまたはウネリが発生するか、電極の活物質が脱離するなど、電極が破損する問題がある。
【0008】
また、以降、電解液注入工程またはガス抜き工程で、前記テープ31が取り外されることもある。特に、ガス抜き工程は、ケース内部のガスを外部に排出しなければならないため、ガスの流動によってテープ31がより取り外されやすいという問題がある。
【0009】
一方、スタックアンドフォールディング型電極組立体は、生産速度が速く、構造安定性が高いが、工程が複雑であり、整列度および電解液の含浸度が低下する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、テーピング工程によって、電極にシワまたはウネリが発生するか、電極の活物質が脱離するなど、電極が破損することを防止する電極組立体およびその製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していない他の課題は、以下の記載から当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明の実施形態による電極組立体は、一つのシート形状であって、所定の間隔で繰り返されるインフォールディングとアウトフォールディングとを含む第1電極と、複数の切れ形状であって、フォールディングされた前記第1電極に囲まれるようにそれぞれ介在された第2電極と、一つのシート形状であって、前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、前記第1電極とともに所定の間隔で繰り返されるインフォールディングとアウトフォールディングとを含むセパレータとを含み、前記第1電極は、第1電極活物質が第1電極集電体の一面のみに塗布された片面電極であり、前記第2電極は、第2電極活物質が第2電極集電体の両面にすべて塗布された両面電極である。
【0013】
また、前記第2電極は、インフォールディングされた前記第1電極にのみ囲まれるようにそれぞれ介在されることができる。
【0014】
また、前記セパレータは、前記第1電極の前記第1電極活物質が塗布された一面と、前記第2電極との間に介在されることができる。
【0015】
また、前記第1電極は、前記セパレータが介在されていない他面に、一つのフィルム形状である絶縁部が介在されることができる。
【0016】
また、前記絶縁部は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチルレン(PTFE)の少なくとも一つを含むことができる。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の実施形態による電極組立体の製造方法は、一つのシート形状に形成された第1電極の一面に、一つのシート形状に形成されたセパレータを互いに同じ方向に積層するステップと、複数の切れで形成された第2電極を、前記セパレータ上に所定の間隔で離隔して載置し、電極積層体を形成するステップと、前記第1電極および前記セパレータをインフォールディングおよびアウトフォールディングすることで、前記電極積層体をフォールディングするステップとを含み、前記第1電極は、第1電極活物質が第1電極集電体の一面のみに塗布された片面電極であり、前記第2電極は、第2電極活物質が第2電極集電体の両面にすべて塗布された両面電極である。
【0018】
また、前記セパレータを積層するステップにおいて、前記セパレータは、前記第1電極の前記第1電極活物質が塗布された一面に積層されることができる。
【0019】
また、前記所定の間隔は、前記第2電極の長さよりも長く形成されることができる。
【0020】
また、前記電極積層体をフォールディングするステップの前に、前記第1電極において、前記第1電極活物質が塗布されていない他面に、絶縁物質を塗布した後、乾燥して絶縁部を形成するステップをさらに含むことができる。
【0021】
また、前記絶縁部を形成するステップは、前記第2電極を載置するステップの前に行われることができる。
【0022】
また、前記電極積層体をフォールディングするステップは、前記第1電極および前記セパレータにおいて、前記第2電極の一端が位置した領域はそれぞれインフォールディングし、前記第2電極の他端が位置した領域はそれぞれアウトフォールディングすることができる。
【0023】
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態によると、少なくとも以下のような効果がある。
【0025】
第1電極が一つのシート形状に形成されることから、電極組立体にテープで固定する必要がなく、電極にシワまたはウネリが発生するか、電極の活物質が脱離するなど、電極が破損することを防止することができる。
【0026】
また、第1電極が片面電極であることから、電極組立体の最外側に無駄な電極活物質が形成されず、体積に対するエネルギー密度が向上することができる。
【0027】
また、単位セルを先に製造する必要がないことから、連続工程が容易であり、工程時間を節約することができる。
【0028】
本発明による効果は、以上で例示されている内容によって制限されず、より様々な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】本発明の一実施形態による電極積層体の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電極積層体をフォールディングする様子を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電極組立体の概略図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による電極積層体の概略図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による電極積層体をフォールディングする様子を示す概略図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による電極組立体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に実現されることができ、ただし、本実施形態は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書の全体にわたり同一の参照符号は、同一構成要素を指す。
【0031】
他の定義がなければ、本明細書で使用されているすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が共通して理解することができる意味で使用されることができる。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明らかに特別に定義されていない限り、理想的にまたは過剰に解釈されない。
【0032】
本明細書で使用されている用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限するためのものではない。本明細書において、単数型は、文言で特別に言及していない限り複数型も含む。明細書で使用されている「含む(comprises)」および/または「含み(comprising)」は、言及された構成要素の他に、一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0034】
図3は本発明の一実施形態による電極積層体11の概略図である。
【0035】
本発明の一実施形態によると、第1電極101が一つのシート形状に形成されることから、電極組立体10にテープで固定する必要がなく、電極にシワまたはウネリが発生するか、電極の活物質が脱離するなど、電極が破損することを防止することができる。また、第1電極101が片面電極であることから、電極組立体10の最外側に無駄な電極活物質が形成されず、体積に対するエネルギー密度が向上することができる。また、単位セルを先に製造する必要がないことから、連続工程が容易であり、工程時間を節約することができる。
【0036】
このために、本発明の一実施形態による電極組立体10の製造方法は、一つのシート形状に形成された第1電極101の一面に、一つのシート形状に形成されたセパレータ103を互いに同じ方向に積層するステップと、複数の切れで形成された第2電極102を、前記セパレータ103上に所定の間隔で離隔して載置し、電極積層体11を形成するステップと、前記第1電極101および前記セパレータ103をインフォールディングおよびアウトフォールディングすることで、前記電極積層体11をフォールディングするステップとを含み、前記第1電極101は、第1電極集電体1011において、第1電極活物質1012が一面のみに塗布された片面電極であり、前記第2電極102は、第2電極集電体1021において、第2電極活物質1022が両面にすべて塗布された両面電極である。
【0037】
このような方法で製造された本発明の一実施形態による電極組立体10は、一つのシート形状に形成され、所定の間隔でインフォールディングとアウトフォールディングが繰り返して行われた第1電極101と、複数の切れで形成され、前記第1電極101がフォールディングされて形成される空間にそれぞれ介在された第2電極102と、一つのシート形状に形成され、前記第1電極101と前記第2電極102との間に介在され、前記第1電極101とともに所定の間隔でインフォールディングとアウトフォールディングが繰り返して行われたセパレータ103とを含み、前記第1電極101は、第1電極集電体1011において、第1電極活物質1012が一面のみに塗布された片面電極であり、前記第2電極102は、第2電極集電体1021において、第2電極活物質1022が両面にすべて塗布された両面電極である。
【0038】
上述のように、電極組立体10を製造するために、先ず、正極活物質スラリーを正極集電体に塗布し、負極活物質スラリーを負極集電体に塗布して正極と負極を製造する。正極と負極との間にセパレータ103が介在されて積層されることで、電極組立体10が形成される。
【0039】
本発明において使用される正極および負極の両電極としては、特に制限されず、当業界において周知の通常の方法によって電極活物質を電極集電体に結着した形態に製造することができる。ここで、正極は、例えば、正極集電体上に、正極活物質、導電剤およびバインダーのスラリーを塗布した後、これを乾燥し、プレスして製造されることができる。この際、必要に応じて、スラリーは、充填剤をさらに含むこともできる。正極は、シート形状に製造され、ロールに装着されることもできる。
【0040】
正極集電体は、一般的に、3~500μmの厚さに製造される。正極集電体は、通常、化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有する材料で製造される。このような材料として、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などを表面処理したものであることができるが、ただし、これに制限されない。また、正極集電体は、正極活物質の接着力を高めるために、表面に微細な凹凸を形成することもできる。また、正極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など、様々な形態に製造されることができる。
【0041】
正極活物質は、リチウム二次電池の場合、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(xは、0~0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiFe3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3)で表されるニッケル(Ni)サイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1)またはLi2Mn3MO8(M=Fe、Co、Ni、CuまたはZn)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などであることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0042】
導電剤は、通常、正極活物質を含む混合物の全重量に対して1~50重量%添加される。導電剤は、通常、化学的変化を引き起こさず、導電性を有する材料で製造される。このような材料として、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されることができる。
【0043】
バインダーは、活物質と導電剤などの結合と集電体に対する結合などに役立つ成分であり、通常、正極活物質を含む混合物の全重量に対して1~50重量%添加される。このようなバインダーは、代表的に、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチルレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などであることができる。
【0044】
充填剤は、正極の膨張を抑制する成分であり、選択的に使用される。また、化学的変化を引き起こさず、繊維状材料であれば、一般的に充填剤として使用されることができる。充填剤は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質であることができる。
【0045】
負極は、例えば、負極集電体上に負極活物質を塗布した後、これを乾燥し、プレスして製造されることができる。必要に応じて、負極活物質に、選択的に、導電剤、バインダー、充填剤などを含ませることができる。負極は、シート形状に製造され、ロールに装着されることもできる。
【0046】
負極集電体は、一般的に、3~500μmの厚さに製造される。負極集電体は、通常、化学的変化を引き起こさず、導電性を有する材料で製造される。このような材料として最も代表的なものである銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素や、銅またはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などを表面処理したもの、またはアルミニウム-カドミウム合金などである。また、負極集電体は、負極活物質の結合力を高めるために、表面に微細な凹凸を形成することもある。また、負極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態に製造されることができる。
【0047】
負極活物質は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe'yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me':Al、B、P、Si、周期表の第1族、第2族、第3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、およびBi2O5などの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などであることができる。
【0048】
前記正極と負極との間で前記電極を絶縁させるセパレータ103としては、通常知られているポリオレフィン系セパレータ103や、前記オレフィン系基材に有・無機複合層が形成された複合セパレータ103などをいずれも使用することができ、特に限定されない。
【0049】
前記のような構造からなる電極組立体10を電池ケースに収納した後、電解液を注入し、シールして、二次電池を製造する。
【0050】
本発明の一実施形態によると、第1電極101は負極、第2電極102は正極であることができるが、これに制限されず、第1電極101は正極、第2電極102は負極であってもよい。
【0051】
先ず、
図3に図示されているように、一つのシート形状に形成された第1電極101の一面に、一つのシート形状に形成されたセパレータ103を互いに同じ方向に積層する。この際、第1電極101は、第1電極集電体1011において、第1電極活物質1012が一面のみに塗布された片面電極である。したがって、第1電極101の一面には第1電極活物質1012が形成され、第1電極101の他面には第1電極活物質1012が形成されず、第1電極集電体1011が外部に露出する。前記一つのシート形状に形成されたセパレータ103は、第1電極101において、第1電極活物質1012が塗布された一面に積層されることが好ましい。
【0052】
そして、複数の切れで形成された第2電極102を、セパレータ103上に所定の間隔で離隔して載置し、電極積層体11を形成する。この際、第2電極102は、第2電極集電体1021において、第2電極活物質1022が両面にすべて塗布された両面電極である。したがって、第2電極102は、一面および他面の両方に第2電極活物質1022が形成される。
【0053】
前記所定の間隔は、第2電極102の長さよりも長く形成されることが好ましい。仮に、所定の間隔が第2電極102の長さより短い場合には、以降、前記電極積層体11をフォールディングする時に、第2電極102が均一に整列されず、外側に突出する問題が発生する。しかし、所定の間隔が第2電極102の長さより長い場合には、第2電極102が均一に整列されて体積が減少し、第2電極102と第1電極101が互いに重複する領域が増加して、エネルギー密度も増加することができる。
【0054】
図4は本発明の一実施形態による電極積層体11をフォールディングする様子を示す概略図である。
【0055】
図4に図示されているように、第1電極101およびセパレータ103をインフォールディングおよびアウトフォールディングすることで、電極積層体11をフォールディングする。すなわち、電極積層体11において、第1電極101およびセパレータ103が積層されたシートを、一側でインフォールディングした後、逆方向にアウトフォールディングする方式を交互に繰り返す。そして、前記シートの一側から他側方向にフォールディングし続ける。この際、前記第1電極101および前記セパレータ103において、前記第2電極102の一端1023が位置した領域I.Aはそれぞれインフォールディングし、前記第2電極102の他端1024が位置した領域O.Aはそれぞれアウトフォールディングすることができる。すなわち、第2電極102の位置に応じて、前記第1電極101および前記セパレータ103において、インフォールディングとアウトフォールディングする領域が決定される。
【0056】
ここで、インフォールディングとは、第1電極101が第2電極102を囲む方向にフォールディングすることを意味し、このようなインフォールディングを行うと、第2電極102の両面にいずれもセパレータ103と第1電極101が順に積層される。また、アウトフォールディングとは、インフォールディングとは逆に、第1電極101が第2電極102を排除する方向にフォールディングすることを意味し、このようなアウトフォールディングを行うと、第1電極101の他面に露出した第1電極集電体1011同士が積層される。
【0057】
図5は本発明の一実施形態による電極組立体10の概略図である。
【0058】
前記のような方法で、
図5に図示されているように、本発明の一実施形態による電極組立体10が製造されることができる。このような電極組立体10は、第1電極101、第2電極102およびセパレータ103を含み、第1電極101は、第1電極集電体1011において、第1電極活物質1012が一面のみに塗布された片面電極であり、第2電極102は、第2電極集電体1021において、第2電極活物質1022が両面にすべて塗布された両面電極である。
【0059】
第1電極101は、一つのシート形状に形成され、所定の間隔でインフォールディングとアウトフォールディングが繰り返して行われる。第2電極102は、複数の切れで形成され、第1電極101がフォールディングされて形成される空間にそれぞれ介在される。特に、第2電極102は、第1電極101がインフォールディングされて形成される空間のみにそれぞれ介在されることが好ましい。セパレータ103は、一つのシート形状に形成され、第1電極101と第2電極102との間に介在され、第1電極101とともに所定の間隔でインフォールディングとアウトフォールディングが繰り返して行われる。特に、セパレータ103は、第1電極101において、第1電極活物質1012が塗布された一面と、第2電極102との間に介在される。
【0060】
一般的に、電極組立体の最外側の両面は、電気を生産するために使用されない。しかし、本発明の一実施形態による電極組立体10は、
図5に図示されているように、最外側の両面に片面電極である第1電極101の第1電極集電体1011が露出する。したがって、第1電極活物質1012が電気を生産しない最外側の両面に形成されないため、エネルギー密度が増加することができる。
【0061】
ただし、本発明の一実施形態によると、第1電極101のアウトフォールディングされた部分も電極集電体同士が積層されるため、電気を生産するために使用されない。しかし、一般的に、電極において電極集電体より電極活物質がはるかに厚い厚さを有する。したがって、第1電極101のアウトフォールディングされた部分が電気を生産しないとしても、厚さがはるかに薄くなるため、体積が減少する。すなわち、体積に対するエネルギー密度がより向上することができる。
【0062】
また、第1電極101およびセパレータ103が一つのシート形状に形成されることから、電極組立体10にテープで固定する必要がなく、電極にシワまたはウネリが発生するか、電極の活物質が脱離するなど、電極が破損することを防止することができる。また、単位セルを先に製造する必要がないことから、連続工程が容易であり、工程時間を節約することができる。
【0063】
図6は本発明の他の実施形態による電極積層体11aの概略図である。
【0064】
二次電池が実際使用される途中に、外部との衝突によって事故が発生することがある。例えば、先鋭な物体が二次電池を貫通して、正極と負極が直接接触することで短絡(Short)が発生することがある。このような短絡は、短時間で速い速度で多量のガス生成、高温上昇などを引き起こし得、さらには、大きな爆発が発生し、大型事故につながることもある。
【0065】
本発明の他の実施形態によると、
図6に図示されているように、電極積層体11aをフォールディングする前に、第1電極101において第1電極活物質1012が塗布されていない他面に、絶縁物質を塗布した後、乾燥して、絶縁部104を形成することもできる。このような絶縁物質は、電気がよく通らない非伝導性を有する不導体であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチルレン(PTFE)の少なくとも一つを含むことができる。
【0066】
このような絶縁部104は、電極積層体11aを形成した後、電極積層体11aをフォールディングする直前に形成されることもできる。しかし、第1電極101およびセパレータ103を積層し、第2電極102を載置する前に絶縁部104が形成されることが好ましい。さらに、第1電極101にセパレータ103を積層する前に絶縁部104が形成されることがより好ましい。第1電極101に絶縁物質を塗布し、乾燥させるためには、第1電極101の上下面を反転させて配置しなければならない。すなわち、第1電極101の一面が下方に向かい、第1電極101の他面が上方に向かう状態で絶縁物質を塗布しなければならない。したがって、第1電極101の一面には積層された物体が少ないほど、第1電極101を反転させる工程および絶縁物質を塗布する工程がより容易であるためである。
【0067】
図7は本発明の他の実施形態による電極積層体11aをフォールディングする様子を示す概略図であり、
図8は本発明の他の実施形態による電極組立体10aの概略図である。
【0068】
図7に図示されているように、第1電極101およびセパレータ103をインフォールディングおよびアウトフォールディングすることで、電極積層体11aをフォールディングする。前記のような方法で、
図8に図示されているように、本発明の他の実施形態による電極組立体10aが製造されることができる。このような電極組立体10aに含まれた第1電極101は、セパレータ103が介在されていない他面に、一つのフィルム形状に形成される絶縁部104が介在される。そして、このような絶縁部104は、電気がよく通らない非伝導性を有する不導体であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチルレン(PTFE)の少なくとも一つを含むことができる。すなわち、本発明の他の電極組立体10aは、最外側の両面に片面電極である第1電極101の他面に形成された絶縁部104が露出する。そして、第1電極101のアウトフォールディングされた部分も絶縁部104同士が積層される。
【0069】
本発明の他の実施形態よると、二次電池に先鋭な釘が貫通しても、正極と負極との間の短絡を防止し、発熱を減少させ、爆発の危険性を軽減させることができる。
【0070】
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更しなくても、他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであって、限定的なものではないことを理解すべきである。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲、およびその均等な概念から導き出される様々な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0071】
10、30 電極組立体
11 電極積層体
101 第1電極
1011 第1電極集電体
1012 第1電極活物質
102 第2電極
1021 第2電極集電体
1022 第2電極活物質
1023 (第2電極の)一端
1024 (第2電極の)他端
103 セパレータ
104 絶縁部
31 テープ