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特許7505702高純度酸素製造方法及び高純度酸素を製造する空気分離装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】高純度酸素製造方法及び高純度酸素を製造する空気分離装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/04 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
F25J3/04 102
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023206377
(22)【出願日】2023-12-06
【審査請求日】2023-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100229851
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 亜季
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 献児
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特許第7355980(JP,B1)
【文献】特開2021-046961(JP,A)
【文献】特開2010-025513(JP,A)
【文献】特許第7379764(JP,B1)
【文献】特開平10-132458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主熱交換器で冷却した原料空気を窒素精留塔の下方の導入部へ導入し、原料空気を少なくとも1つの窒素精留塔において窒素富化成分と酸素富化成分とに分離する窒素酸素分離工程と、
前記窒素精留塔からの蒸気流を少なくとも1つの窒素凝縮器で凝縮する窒素凝縮工程と、
前記窒素精留塔の精留部から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔へ導入し、酸素蒸発器を利用して、高純度酸素を製造する高純度酸素製造工程と、
少なくとも1つの前記窒素凝縮器から導出されるガスを、液化酸素を蒸発させる前記酸素蒸発器の熱媒に利用し、前記窒素凝縮器へ戻す熱媒利用工程と、を含む、高純度酸素製造方法。
【請求項2】
主熱交換器で冷却した原料空気を第一窒素精留塔の下方の導入部へ導入し、前記第一窒素精留塔の底部から導出される酸素富化液を第二窒素精留塔の精留部に導入することで、原料空気を第一、第二窒素精留塔において窒素富化成分と酸素富化成分とに分離する窒素酸素分離工程と、
前記第一窒素精留塔からの蒸気流を第一窒素凝縮器で凝縮する第一窒素凝縮工程と、
前記第二窒素精留塔の精留部から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔へ導入し、酸素蒸発器を利用して、高純度酸素を製造する高純度酸素製造工程と、
前記第二窒素精留塔の底部あるいは前記第一窒素凝縮器の頂部から導出されるガスを、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器の熱媒に利用し、前記第二窒素凝縮器へ戻す熱媒利用工程と、を含む、高純度酸素製造方法。
【請求項3】
圧縮機で圧縮した原料空気を、主熱交換器を通過させて、膨張タービンで膨張し、第二窒素精留塔へ導入する一部原料空気導入工程と、
主熱交換器で冷却した原料空気を第一窒素精留塔の下方の導入部へ導入し、原料空気を第一、第二窒素精留塔において窒素富化成分と酸素富化成分とに分離する窒素酸素分離工程と、
前記第一窒素精留塔からの蒸気流を第一窒素凝縮器で凝縮する第一窒素凝縮工程と、
前記第二窒素精留塔からの蒸気流を第二窒素凝縮器で凝縮する第二窒素凝縮工程と、
前記第二窒素精留塔の精留部から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔へ導入し、酸素蒸発器を利用して、高純度酸素を製造する高純度酸素製造工程と、
前記第二窒素精留塔の底部あるいは前記第一窒素凝縮器の頂部から導出されるガスを、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器の熱媒に利用し、前記第二窒素凝縮器へ戻す熱媒利用工程と、を含む、高純度酸素製造方法。
【請求項4】
原料空気が導入される主熱交換器と、
前記主熱交換器で熱交換された原料空気が導入される少なくとも1つの窒素精留塔と、
前記窒素精留塔から導出されるガスを凝縮する少なくとも1つの窒素凝縮器と、
前記窒素精留塔から導出される酸素含有流体が導入される高純度酸素精留塔と、
前記酸素精留塔の底部に配置され、前記窒素凝縮器から導出されるガスを熱媒として、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器と、を備える空気分離装置であって、
請求項1から3のいずれか1項の高純度酸素製造方法に用いられることを特徴とする、空気分離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度酸素製造方法及び高純度酸素を製造する空気分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素より高沸点または低沸点成分がppmオーダー以下に制御された高純度酸素の製法として深冷空気分離によるものが知られている。その製法の一つとして、深冷空気分離装置から酸素含有液またはガスを導出して、高純度酸素を精留する方法があげられる(例えば、特許文献1参照)。
高純度酸素の精留のためには、原料となる液化酸素を加熱して窒素やアルゴン等の低沸点成分を蒸発する工程が必要であって、その熱媒として、酸素富化液(特許文献1)、原料空気(特許文献2)、リサイクル空気(特許文献3)、窒素ガス(特許文献4)を使用することが知られている。
【0003】
特許文献1のように、酸素富化液等のプロセス液を熱媒として使用する場合、プロセス液の顕熱を使用して液化酸素の蒸発潜熱を賄うので、多くのモル流量が必要となると同時に、プロセスバランスの制約によって熱供給量が制限され、結果的に回収可能な高純度酸素量が少量に留まる問題があった。
特許文献2,3,4の方法では、液化酸素蒸発に用いる原料空気、リサイクル空気、または窒素ガスの流量を増量することができるので、高純度酸素製造能力の制約になることはなかったが、ガスの圧縮工程を伴うためにエネルギー消費量が大きいといった別の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際出願公開WO2018/219685 A1
【文献】国際出願公開WO2014/173496 A2
【文献】特開2020173041号公報
【文献】米国特許第11,549,747 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、高純度酸素製造能力の制約を回避するように、プロセスガスを液化酸素の熱媒に使用しつつも、エネルギー消費を抑えた高純度酸素製方法および高純度酸素を製造する空気分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空気分離装置(A1)は、主熱交換器(1)と、一つ以上の窒素精留塔(2)と、窒素精留塔(2)の各々の頂部(23)に配置された窒素凝縮器(3)と、高純度酸素精留塔(5)と、高純度酸素精留塔(5)の底部(51)に配置される酸素蒸発器(6)を備える。
窒素精留塔(2)の中間段(22、221、222)より導出された酸素含有流体は、高純度酸素精留塔(5)で精留され、高純度酸素精留塔(5)の底部(51)で濃縮される。これにより酸素含有流体が濃縮されて高純度酸素となる。さらに、この高純度酸素は、酸素蒸発器(6)において、窒素凝縮器(3)で蒸発された酸素富化ガスと間接熱交換することによって蒸発され、蒸気流として高純度酸素精留塔(5)の精留部(52)に供給される。
【0007】
本開示において、精留塔において原料空気、リサイクル空気、または酸素富化液の導入点より上の精留段から導出され、高純度酸素精留塔(5)に導入される流体を酸素含有流体と称し、原料空気導入段より低いところ(例えば窒素精留塔の底部)から導出される液体を酸素富化液と称する。
酸素含有流体は、液、気液混合であってもよい。
【0008】
この構成において、窒素凝縮器で、蒸気流の窒素ガスと酸素富化液とを熱交換させることによって、酸素富化液を蒸発させて、酸素富化ガスを発生させる。酸素蒸発器の熱媒として利用する、この酸素富化ガスは、高純度酸素精留塔の底部にある、精留された液化酸素を潜熱で蒸発させるに足る圧力と組成を備えている。特に、酸素を多く含む酸素富化ガスは、空気や窒素と比べてより低い圧力で液化酸素を蒸発させることができるので、圧縮機を介さずに窒素蒸発器からの供給圧で液化酸素を蒸発させることができる。
【0009】
酸素蒸発器(6)において凝縮(再液化)された酸素含有ガスは、窒素凝縮器(3)に再供給されてもよい。
この構成によって、酸素蒸発器で酸素富化ガスを凝縮することによって得られた再凝縮酸素富化液(recondensed oxygen enriched liquid)は、窒素凝縮器の冷媒側に再供給され、蒸気流(窒素ガス)との熱交換によって蒸発される。再凝縮酸素富化液は、酸素蒸発器(6)と窒素凝縮器(3)との間の高低差を利用した水頭圧によって窒素凝縮器(3)に送液されてもよい。
酸素蒸発器(6)が窒素凝縮器(3)より低い位置に配置された場合はポンプを介して送液されてもよい。
【0010】
窒素精留塔(2)は、供給される原料空気中に含まれる酸素より高沸点成分(例えばメタン)を分離し、その上段から酸素含有液を導出するための精留部(22)を有していてもよい。
この構成によって、原料空気に含まれる高沸点成分は液化酸素中に濃縮する。高純度酸素の原料となる酸素含有液は、窒素精留塔(2)の原料空気の導入部より上方から、高沸点成分が十分除去されつつも高純度酸素の原料として十分に酸素を含有した還流液の一部を酸素含有液として導出することで得られる。原料空気の導入部と酸素含有液の導出部の中間には精留部(221)が配置され、気液接触によって原料空気由来の高沸点成分が液化酸素中に移動して精留塔の下部に濃縮するように構成される。
精留部(22、221、222)は、精留板、規則充填物、不規則充填物によって構成されてもよい。
【0011】
第一の高純度酸素製造方法は、
主熱交換器(1)で冷却した原料空気を窒素精留塔(2)の下方の導入部へ導入し、原料空気を窒素精留塔(2)において窒素富化成分(窒素富化流体)と酸素富化成分(酸素富化流体)とに分離する窒素酸素分離工程と、
前記窒素精留塔(2)からの蒸気流(窒素富化ガス)を窒素凝縮器(3)で凝縮する窒素凝縮工程と、
前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記窒素凝縮器(3)の冷媒側(31)へ送る酸素富化液循環工程と、
前記窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガスを主熱交換器(1)の一部を通過させた後で膨張タービン(92)で膨張し冷却した後で、再び主熱交換器(1)を通過させて廃ガスとして取り出す廃ガス取出工程と、
前記窒素精留塔(2)の頂部(23)から導出されたガスを主熱交換器(1)を通過させて製品窒素ガスとして取り出す製品窒素ガス取出工程と、
前記窒素精留塔(2)の精留部(22)の中間段(221)から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔(5)の頂部(53)へ導入し、底部(51)に設けられた酸素蒸発器(6)を利用して、高純度酸素を製造する高純度酸素製造工程と、
前記窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガス(酸素富化ガス)を、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器(6)の熱媒に利用し、前記窒素凝縮器(3)の冷媒側あるいは頂部(31)へ戻す熱媒利用工程と、
を含む。
窒素富化成分は、例えば、流体であり、ガス、液、ガス液二層流を含む。
酸素富化成分は、例えば、流体であり、ガス、液、ガス液二層流を含む。
【0012】
第二の高純度酸素製造方法は、
主熱交換器(1)で冷却(中間から出して部分冷却)した原料空気を窒素精留塔(2)の下方の導入部へ導入し、原料空気を窒素精留塔(2)において窒素富化成分(窒素富化流体)と酸素富化成分(酸素富化流体)とに分離する窒素酸素分離工程と、
前記窒素精留塔(2)からの蒸気流(窒素富化ガス)を第一、第二窒素凝縮器(3、4)で凝縮する窒素凝縮工程と、
前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記主熱交換器(1)を通過した後で、第二窒素凝縮器(4)の冷媒側(41)へ送る酸素富化液循環工程と、
前記第一窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガスを主熱交換器(1)の一部を通過させた後で膨張タービン(92)で膨張し冷却した後で、再び主熱交換器(1)を通過させて廃ガスとして取り出す廃ガス取出工程と、
前記窒素精留塔(2)の頂部(23)から導出されたガスを主熱交換器(1)を通過させて製品窒素ガスとして取り出す製品窒素ガス取出工程と、
前記窒素精留塔(2)の精留部(22)の中間段(221)から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔(5)の頂部(53)へ導入し、底部(51)に設けられた酸素蒸発器(6)を利用して、高純度酸素を製造する高純度酸素製造工程と、
前記窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガス(酸素富化ガス)を、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器(6)の熱媒に利用し、前記窒素凝縮器(3)の頂部(31)へ戻す熱媒利用工程と、
前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)から導出されるガスを圧縮機(91)で圧縮し、前記主熱交換器(1)で通過させた後で、前記窒素精留塔(2)の下方へリサイクルガスとして導入するリサイクルガス導入工程と、
を含む。
【0013】
第三の高純度酸素製造方法は、
主熱交換器(1)で冷却(中間から出して部分冷却)した原料空気を第一窒素精留塔(2)の下方の導入部へ導入し、原料空気を第一、第二窒素精留塔(2、7)において窒素富化成分(窒素富化流体)と酸素富化成分(酸素富化流体)とに分離する窒素酸素分離工程と、
前記第一窒素精留塔(2)からの蒸気流(窒素富化ガス)を第一窒素凝縮器(3)で凝縮する第一窒素凝縮工程と、
前記前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記主熱交換器(1)を通過した後で、第二窒素精留塔(7)の精留部(721、722)へ送る酸素富化液循環工程と、
前記第二窒素精留塔(7)からの蒸気流(窒素富化ガス)を第二窒素凝縮器(4)で凝縮する第二窒素凝縮工程と、
前記第一窒素精留塔(2)の頂部(23)から導出されたガス(窒素ガス)を主熱交換器(1)を通過させて製品窒素ガスとして取り出す製品窒素ガス取出工程と、
前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)から導出されるガス(窒素ガス)を主熱交換器(1)の一部を通過させた後で膨張タービン(92)で膨張し冷却した後で、再び主熱交換器(1)を通過させて廃ガスとして取り出す廃ガス取出工程と、
前記第二窒素精留塔(7)の精留部(722)から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔(5)の頂部(53)へ導入し、底部(51)に設けられた酸素蒸発器(6)を利用して、高純度酸素を製造する高純度酸素製造工程と、
前記第二窒素精留塔(7)の底部(71)あるいは第一窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガス(酸素富化ガス)を、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器(6)の熱媒に利用し、前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)へ戻す熱媒利用工程と、
前記第二窒素精留塔(7)の精留部(722)から導出されるガスを圧縮機(91)で圧縮し、主熱交換器(1)で通過させた後で、第一窒素精留塔(2)の下方へリサイクルガスとして導入するリサイクルガス導入工程と、
を含む。
【0014】
第四の高純度酸素製造方法は、
圧縮機(911)で圧縮した原料空気を、主熱交換器(1)を通過させて(中間から導出して部分冷却)、膨張タービン(912)で膨張し、第二窒素精留塔(7)へ導入する一部原料空気導入工程と、
主熱交換器(1)で冷却(中間から出して部分冷却)した原料空気を第一窒素精留塔(2)の下方の導入部へ導入し、原料空気を第一、第二窒素精留塔(2、7)において窒素富化成分(窒素富化流体)と酸素富化成分(酸素富化流体)とに分離する窒素酸素分離工程と、
前記第一窒素精留塔(2)からの蒸気流(窒素富化ガス)を第一窒素凝縮器(3)で凝縮する第一窒素凝縮工程と、
前記第一窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記主熱交換器(1)を通過した後で、第二窒素精留塔(7)の精留部(721、722)へ送る酸素富化液循環工程と、
前記第二窒素精留塔(7)からの蒸気流(窒素富化ガス)を第二窒素凝縮器(4)で凝縮する第二窒素凝縮工程と、
前記第一窒素精留塔(2)の頂部(23)から導出されたガス(窒素ガス)を主熱交換器(1)を通過させて製品窒素ガスとして取り出す製品窒素ガス取出工程と、
前記第二窒素精留塔(7)の頂部(73)から導出されるガス(窒素ガス)を、主熱交換器(1)で通過させて低圧窒素ガスとして取り出す低圧窒素ガス取出工程と、
前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)から導出されるガス(窒素ガス)を主熱交換器(1)を通過させて廃ガスとして取り出す廃ガス取出工程と、
前記第二窒素精留塔(7)の精留部(722)から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔(5)の頂部(53)へ導入し、底部(51)に設けられた酸素蒸発器(6)を利用して、高純度酸素を製造する高純度酸素製造工程と、
前記第二窒素精留塔(7)の底部(71)あるいは第一窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガス(酸素富化ガス)を、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器(6)の熱媒に利用し、前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)へ戻す熱媒利用工程と、
を含む。
【0015】
第一、二、三、四の高純度酸素製造方法は、
前記高純度酸素精留塔(5)の頂部(53)から導出されるガスを主熱交換器(1)を通過させて廃ガスとして取り出す廃ガス取出工程を含んでいてもよい。
【0016】
「高純度酸素」は、酸素の濃度が99.99%以上である。
【0017】
本開示の第一空気分離装置(A1)は、
原料空気が導入される主熱交換器(1)と、
前記主熱交換器(1)で熱交換された原料空気が導入される精留部(22)あるいは底部(21)を有する窒素精留塔(2)と、
前記窒素精留塔(2)の塔頂(23)から導出された窒素富化ガスを凝縮する少なくとも一つの窒素凝縮器(3)と、
前記窒素凝縮器(3)の頂部あるいは冷媒相(31)から導出されるガスを前記主熱交換器(1)に部分的に通過させた後で導入される膨張タービン(92)と、
前記窒素精留塔(2)の精留部(22)から導出(原料空気の導入位置よりも高い位置)された酸素含有流体(ガス、液、それら混合状態でもよい。)が導入される頂部(53)あるいは精製部(52)を有する高純度酸素精留塔(5)と、
前記酸素精留塔(5)の底部(51)に配置され、前記窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガスを熱媒として、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器(6)と、
を備えていてもよい。
【0018】
前記熱媒として利用した窒素ガスを、前記窒素凝縮器(3)の頂部へ戻す構成であってもよい。
前記高純度酸素製造装置(A1)は、
前記主熱交換器(1)を介して原料空気を前記窒素精留塔(2)の下方へ導入する原料空気配管ライン(L1)と、
前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を前記窒素凝縮器(3)へ導入する酸素富化液配管ライン(L21)と、
前記窒素精留塔(2)の精留部(22)から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔(5)へ導入する酸素含有流体配管ライン(L221)と、
前記窒素凝縮器(3)の頂部から導出されるガスを、前記主熱交換器(1)に部分的に通過させた後で膨張タービン(92)へ送り、再び前記主熱交換器(1)を通過させて、廃ガスとして取り出す廃ガス取出配管ライン(L31)と、
前記窒素精留塔(2)の頂部(23)から導出されるガスを、前記主熱交換器(1)を通過させて、製品窒素ガスとして取り出す製品窒素ガス取出配管ライン(L23)と、
前記窒素凝縮器(3)の頂部(31)から導出されるガスを、前記酸素蒸発器(6)の熱媒として送り、再び、前記窒素凝縮器(3)の頂部(31)へ戻す熱媒配管ライン(L311)と、
前記高純度酸素精留塔(5)の頂部(53)から導出されるガスを、前記主熱交換器(1)を通過させて、廃ガスとして取り出す廃ガス取出配管ライン(L53)と、
を備えていてもよい。
廃ガス取出配管ライン(L31)と、廃ガス取出配管ライン(L53)とはいすれか一方に合流してもよい。
熱媒配管ライン(L311)は、製品窒素ガス取出配管ライン(L31)から分岐していてもよい。
【0019】
また、第二空気分離装置(A2)は、
前記窒素凝縮器(3)を第一窒素窒素凝縮器(3)として、さらに、第二窒素凝縮器(4)を備える。
前記第二空気分離装置(A2)は、
前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記主熱交換器(1)に部分的に通過させた後で、前記第二窒素凝縮器(4)へ導入する酸素富化液配管ライン(L211)と、
前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)から導出されるガスを圧縮する圧縮機(91)と、
前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)から導出され、前記圧縮機(91)で圧縮し、前記主熱交換器(1)を通過させた後で、前記窒素精留塔(2)の精留部(22)へリサイクルガスとして導入するリサイクルガス配管ライン(L41)と、
を備えていてもよい。
【0020】
また、第三空気分離装置(A3)は、
第二窒素精留塔(7)を備え、第一窒素精留塔(2)よりも低圧で運転される。
前記第二窒素精留塔(7)は、前記第一窒素凝縮器(3)で発生した酸素富化ガス(蒸気)および/または前記第一窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液が導入されてもよい。
前記第三空気分離装置(A3)は、
前記第一窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記主熱交換器(1)に部分的に通過させた後で、前記第二窒素精留塔(7)の精留部へ導入する酸素富化液配管ライン(L212)と、
前記第二窒素精留塔(7)の中段の精留部から導出される酸素含有流体を前記高純度酸素精留塔(5)の頂部(53)へ導入する酸素含有流体配管ライン(L723)と、
前記第二窒素精留塔(7)の下段の精留部から導出されるガス(酸素富化ガス)を前記酸素蒸発器(6)の熱媒として送り、前記第二窒素凝縮器(4)へ導入する熱媒配管ライン(L711)と、
前記第二窒素精留塔(7)の中段の精留部から導出され、前記圧縮機(91)で圧縮し、前記主熱交換器(1)を通過させた後で、前記第一窒素精留塔(2)の精留部(22)へリサイクルガスとして導入するリサイクルガス配管ライン(L722)と、
前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)から導出されるガスを、前記主熱交換器(1)に部分的に通過させた後で膨張タービン(92)へ送り、再び前記主熱交換器(1)を通過させて、廃ガスとして取り出す廃ガス取出配管ライン(L411)と、
を備えていてもよい。
【0021】
また、第四空気分離装置(A4)は、
原料空気の一部を圧縮する圧縮機(911)と、
前記圧縮機(911)で圧縮され、前記主熱交換器(1)に導入され、その中間から導出された圧縮空気を膨張する膨張タービン(921)と、
を備えていてもよい。
前記第四空気分離装置(A4)は、
原料空気の一部を圧縮する圧縮機(911)と、前記圧縮機(911)で圧縮された圧縮空気を、前記主熱交換器(1)に送り、その中間から導出し膨張する膨張タービン(921)と、を介して、前記第二窒素精留塔(7)の精留部へ送る、原料空気分岐配管ライン(L11)と、
前記第二窒素精留塔(7)の頂部(73)から導出されるガスを、低圧窒素ガスとして取り出す低圧窒素ガス取出配管ライン(L732)と、
前記第二窒素凝縮器(4)の頂部(41)から導出されるガスを、廃ガスとして取り出す廃ガス取出配管ライン(L412)と、
を備えていてもよい。
【0022】
前記空気分離装置(A1、A2、A3、A4)は、
流量測量器、圧力測定器、温度測定器、液レベル測定器などの各種計測器と、
制御弁、仕切弁などの各種弁と、
各要素間を連結する配管と、
を有していてもよい。
【0023】
(作用効果)
(1)高純度酸素製造能力の制約を回避するように、プロセスガスを液化酸素の熱媒に使用しつつも、エネルギー消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態1の空気分離装置を示す図である。
図2】実施形態2の空気分離装置を示す図である。
図3】実施形態3の空気分離装置を示す図である。
図4】実施形態4の空気分離装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本開示のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本開示の一例を説明するものである。本開示は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本開示の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本開示の必須の構成であるとは限らない。上流や下流はガス流の流れ方向を基準にしている。
【0026】
(実施形態1)
実施形態1の第一空気分離装置A1を図1を用いて説明する。
第一空気分離装置A1は、主熱交換器1、窒素精留塔2、窒素凝縮器3、膨張タービン92、高純度酸素精留塔5、酸素蒸発器6を備える。
主熱交換器1は、温端から導入された原料空気を冷却し、冷端から導出する。冷却された原料空気は、原料空気配管ラインL1を介して窒素精留塔2へ導入される。
窒素精留塔2は、底部21と、精留部22と、頂部23を備える。原料空気配管ラインL1は、底部21に接続される。
底部21に貯留された酸素富化液は、酸素富化液配管ラインL21を介して、窒素凝縮器3の冷媒相31へ送られる。
【0027】
窒素凝縮器3は、頂部23の上方に設けられる。窒素凝縮器3は、窒素精留塔2の塔頂23から導出された窒素ガス(蒸気流)の一部が還流配管ラインL231を介して導入され、酸素富化液との熱交換によって冷却(凝縮)し液化窒素にする。液化窒素は還流液として窒素精留塔2の頂部23へ戻す。
【0028】
窒素精留塔2の精留部22の中間部221、222の間から、酸素含有流体配管ラインL221を介して、酸素含有流体が導出され、高純度酸素精留塔5の頂部53へ導入される。
窒素精留塔2の頂部23から導出される窒素ガスは、製品窒素ガス取出配管ラインL23を介して主熱交換器1へ送られ、製品窒素ガスとして取り出される。
【0029】
窒素凝縮器3の頂部31から導出された酸素富化ガス(酸素富化液の蒸気)は、廃ガス取出配管ラインL31を介して、主熱交換器1の冷端から導入され、中間段から導出された後で、膨張タービン92で膨張、冷却されて、再び主熱交換器1に送られて、廃ガスとして取り出される。
窒素凝縮器3の頂部(冷媒相)31から導出された酸素富化ガス(酸素富化液の蒸気)の一部は、熱媒配管ラインL311を介して、熱媒として酸素蒸発器6へ送られ、再液化されて、再び、窒素凝縮器3の頂部(冷媒相)31へ戻る。再液化された酸素富化ガスは、リサイクル酸素富化液として窒素凝縮3に冷媒として供給される。
【0030】
高純度酸素精留塔5は、底部51、精製部52、頂部53を有する。
酸素含有液は、高純度酸素精留塔5の頂部53に導入され、精留部52において精留され、底部51に液化酸素が貯留する。
【0031】
高純度酸素精留塔5の底部51に、酸素蒸発器6が設けられている。酸素蒸発器6の熱媒の窒素ガスにより、液体酸素が蒸気流(酸素ガス)となり、精留部52で、熱および物質交換をし、高純度酸素が、底部51へ溜まる。高純度酸素精留塔5の頂部53から導出されたガスは、配管ラインL53を介して、廃ガス取出配管ラインL31へ合流し、主熱交換器1へ送られ、廃ガスとして取り出される。
【0032】
実施形態1の空気分離装置A1によれば、空気分離装置の熱バランスの維持に必要な寒冷を供給することができる。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2の第二空気分離装置A2を図2を用いて説明する。実施形態1と同じ符号は、同じ機能を有するので、説明を省略する場合がある。
第二空気分離装置A2は、主熱交換器1、窒素精留塔2、第一窒素凝縮器3、第二窒素凝縮器4、圧縮機91、膨張タービン92、高純度酸素精留塔5、酸素蒸発器6を備える。実施形態1と異なる構成を主に説明する。
【0034】
第一窒素凝縮部3は、窒素精留塔2の上方に配置され、第二窒素凝縮部4は、第一窒素凝縮部3の上方に配置される。第一窒素凝縮器3は、窒素精留塔2の塔頂23から導出された窒素ガス(蒸気流)の一部が第一還流配管ラインL231を介して導入され、酸素富化液との熱交換によって冷却(凝縮)し液化窒素にする。液化窒素は還流液として窒素精留塔2の頂部23へ戻す。第二窒素凝縮器4は、窒素精留塔2の塔頂23から導出された窒素ガス(蒸気流)の一部が第二還流配管ラインL232を介して導入され、酸素富化液との熱交換によって冷却(凝縮)し液化窒素にする。液化窒素は還流液として窒素精留塔2の頂部23へ戻す。
【0035】
酸素富化液配管ラインL211は、窒素精留塔2の底部21から導出された酸素富化液を主熱交換器1に部分的に通過させた後で、第二窒素凝縮器4へ導入する配管ラインである。第二窒素凝縮器4の酸素富化液は、冷媒として、第一窒素凝縮器3へ送られる。
【0036】
圧縮機91は、第二窒素凝縮器4の頂部41から導出されたガスを圧縮する。リサイクルガス配管ラインL41は、第二窒素凝縮器4の頂部41から導出され、圧縮機91で圧縮し、主熱交換器1を通過させた後で、窒素精留塔2の精留部22へリサイクルガスとして導入する配管ラインである。
【0037】
(実施形態3)
実施形態3の第三空気分離装置A3を図3を用いて説明する。実施形態1、2と同じ符号は、同じ機能を有するので、説明を省略する場合がある。
第三空気分離装置A3は、主熱交換器1、第一窒素精留塔2、第二窒素精留塔7、第一窒素凝縮器3、第二窒素凝縮器4、圧縮機91、膨張タービン92、高純度酸素精留塔5、酸素蒸発器6を備える。実施形態2と異なる構成を主に説明する。
【0038】
第二窒素精留塔7は、第一窒素凝縮器3で発生した酸素富化ガス(蒸気)および/または第一窒素精留塔2の底部21から導出された酸素富化液が導入される。
酸素富化液配管ラインL212は、第一窒素精留塔2の底部21から導出された酸素富化液を、主熱交換器1に導入し、中間段から導出された後で、第二窒素精留塔7の精留部の中間段221、222の間へ導入する配管ラインである。
【0039】
酸素含有液配管ラインL723は、第二窒素精留塔7の精留部の中間段722、723の間から導出される酸素含有流体を高純度酸素精留塔5の頂部53へ導入する配管ラインである。
酸素含有流体配管ラインL723の酸素含有流体の導出位置は、酸素富化液配管ラインL212の酸素富化液の導入位置よりも上方の位置である。
【0040】
熱媒配管ラインL711は、第二窒素精留塔7の下段の精留部721の下方から導出されるガス(酸素富化ガス)を酸素蒸発器6の熱媒として送り、再液化されて、第二窒素凝縮器4の冷媒相41へ送る配管ラインである。
リサイクルガス配管ラインL722は、第二窒素精留塔7の精留部の中間段721、722の間から導出され、圧縮機91で圧縮し、主熱交換器1の一部を通過させた後で、第一窒素精留塔2の精留部22へリサイクルガスとして導入する配管ラインである。
廃ガス取出配管ラインL411は、第二窒素凝縮器4の頂部41から導出されたガスを、主熱交換器1に部分的に通過させた後で膨張タービン92へ送り、膨張、冷却して再び主熱交換器1を通過させて、廃ガスとして取り出す配管ラインである。
【0041】
蒸気流配管ラインL731は、第二窒素精留塔7の頂部73から導出され、第二窒素凝縮器4へ送られる蒸気流を、第二窒素精留塔7の頂部73へ戻す配管ラインである。
配管ラインL732は、第二窒素凝縮器4より下流の蒸気流配管ラインL731から分岐し、第一窒素精留塔2の頂部23へ送る配管ラインである。この配管ラインL732に液送ポンプP1が設けられている。
【0042】
(実施形態4)
実施形態4の第四空気分離装置A4を図4を用いて説明する。実施形態2、3と同じ符号は、同じ機能を有するので、説明を省略する場合がある。
第四空気分離装置A4は、主熱交換器1、第一窒素精留塔2、第二窒素精留塔7、第一窒素凝縮器3、第二窒素凝縮器4、圧縮機911、膨張タービン921、高純度酸素精留塔5、酸素蒸発器6を備える。実施形態3と異なる構成を主に説明する。
【0043】
圧縮機911は、原料空気の一部を圧縮する。
膨張タービン921は、圧縮機911で圧縮され、主熱交換器1に導入され、その中間から導出された圧縮空気を膨張する。
原料空気分岐配管ラインL11は、主熱交換器1より上流の原料空気配管ラインL1から分岐し、原料空気の一部を圧縮する圧縮機911と、圧縮機911で圧縮された圧縮空気を、主熱交換器1に送り、その中間から導出し膨張する膨張タービン921と、を介して、第二窒素精留塔7の精留部へ送る配管ラインである。
低圧窒素ガス取出配管ラインL732は、第二窒素精留塔7の頂部73から導出されたガスを、低圧窒素ガスとして取り出す配管ラインである。
廃ガス取出配管ラインL412は、第二窒素凝縮器4の頂部41から導出されたガスを、廃ガスとして取り出す配管ラインである。配管ラインL53は、廃ガス取出配管ラインL412へ合流する。
【0044】
実施形態4によれば、熱バランスに必要な寒冷は、原料空気の一部または第一窒素精留塔2から導出される製品窒素ガスを、第二窒素精留塔7の圧力まで膨張タービン921で膨張させることによって得られる。膨張タービン921で得られる動力を、原料空気を圧縮する圧縮機911の動力へ適用してもよい。なお、実施形態2、3も同様である。
【0045】
(実施例)
実施形態2の空気分離装置の物理シミュレーションの結果を示す。
原料空気(1000Nm/h,10.3barA)が主熱交換器の温端から導入され、-163℃まで冷却された後に第一窒素精留塔に導入される。
第一窒素精留塔からは、窒素ガス(531Nm/h,10.0barA)、酸素富化液(789Nm/h,酸素40.8%)、酸素含有流体(120Nm/h,酸素20.2%)が導出される。
酸素富化液は、第二窒素凝縮器4に供給され、蒸発されたリサイクル空気(440Nm/h,5.95barA)としてリサイクル空気圧縮機91で圧縮された後、第一窒素精留塔2に供給される。
第二窒素凝縮器4で濃縮された酸素富化液(349Nm/h,酸素53.2%)は、第一窒素凝縮器3に供給され、蒸発される。蒸発された酸素富化液の一部は、主熱交換器1に供給され、加温された後に導出されて膨張タービン92で膨張、冷却された後に主熱交換器1に再導入される。
蒸発された酸素富化液の一部(78.9Nm/h,4.7barA)は、酸素蒸発器6で凝縮され、第一窒素凝縮器3に再供給される。
酸素精留塔5は、1.5barAで運転され、その底部51には、高純度酸素液(10.6Nm/h,酸素100%)が貯められる。
【0046】
特許文献2で示されているように、酸素蒸発器6に原料空気を熱媒として利用する場合と比較する。
上記実施例(実施形態2)と同じ窒素ガス及び高純度酸素液を得るためには、本実施例では必要となる原料空気が1000Nm/hであったのに対して、原料空気を酸素蒸発器6に使用する場合は、1027Nm/hの原料空気を必要とする。
これは、本実施例で酸素蒸発器6に使用する熱媒は、酸素濃度が原料空気よりも高いため、より低い圧力での凝縮を可能として結果的に熱媒に求められる圧縮エネルギーを減らすことができるためである。
また原料空気を熱媒に使わなくて良いから、第一窒素精留塔2へ供給できる原料空気量も増加することができ、窒素ガス回収の向上も可能としている。
【0047】
(別実施形態)
(1)特に明示していないが、各配管ラインに圧力調整装置、流量制御装置などが設置され、圧力調整または流量調整が行われていてもよい。
(2)特に明示していないが、各ラインに制御弁、仕切弁などが設置されていてもよい。
(3)特に明示していないが、各塔に圧力調整装置、温度測定装置などが設置され、圧力調整または温度調整が行われていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 熱交換器
2 窒素精留塔
3 窒素凝縮器
5 酸素精留塔
6 酸素蒸発器
91 圧縮機
92 膨張タービン
【要約】
【課題】高純度酸素製造能力の制約を回避するように、プロセスガスを液化酸素の熱媒に使用しつつも、エネルギー消費を抑えた、空気分離装置を提供する。
【解決手段】空気分離装置A1は、主熱交換器1と、窒素精留塔2と、窒素精留塔2の頂部に配置された窒素凝縮器3と、高純度酸素精留塔5と、高純度酸素精留塔5の底部51に配置される酸素蒸発器6を備える。窒素精留塔2の中間段より導出された酸素含有流体は、高純度酸素精留塔5で精留され、高純度酸素精留塔5の底部51で濃縮される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4