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  • 特許-結晶欠陥評価方法及び結晶欠陥評価装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】結晶欠陥評価方法及び結晶欠陥評価装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240618BHJP
   G01N 21/00 20060101ALI20240618BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/00 B
G01N21/21 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020053096
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021153128
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(73)【特許権者】
【識別番号】390037165
【氏名又は名称】Mipox株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 俊太
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太
(72)【発明者】
【氏名】上田 将之
(72)【発明者】
【氏名】河田 旺
(72)【発明者】
【氏名】炭谷 翔悟
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/078127(WO,A1)
【文献】特開昭61-187637(JP,A)
【文献】特開平08-189902(JP,A)
【文献】特開2004-193529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/00
G01N 21/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素(SiC)の結晶を偏光顕微鏡により撮像した画像を取得するステップと、
前記画像に対してコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行するステップと、
コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理が実行された前記画像に含まれる各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す指標値を算出するステップと、
前記指標値に基づいて欠陥を検出するステップと、
前記コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理のためのパラメータの指定を受け付けるためのユーザインタフェースを提示するステップと、
前記ユーザインタフェースを介して前記パラメータを変更する指示を受け付けると、前記パラメータを指示された値に変更してから、前記コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行するステップ、前記指標値を算出するステップ、及び前記欠陥を検出するステップを実行し、検出された欠陥の情報を出力するステップと、
を備える結晶欠陥評価方法。
【請求項2】
前記欠陥を検出するステップは、前記指標値が所定値以上である画素を所定数以上含む領域を欠陥として検出するステップを含む請求項1に記載の結晶欠陥評価方法。
【請求項3】
前記所定範囲、前記所定値、前記所定数、又は前記コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理のためのパラメータを自動的に調整するステップを更に備える請求項に記載の結晶欠陥評価方法。
【請求項4】
前記所定範囲、前記所定値、又は前記所定数の指定を受け付けるステップを更に備える請求項2又は3に記載の結晶欠陥評価方法。
【請求項5】
炭化ケイ素(SiC)の結晶を偏光顕微鏡により撮像した画像を取得する画像取得部と、
前記画像に対してコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行するコントラスト調整部と、
前記コントラスト調整部によりコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理が実行された前記画像に含まれる各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す指標値を算出する指標値算出部と、
前記指標値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出部と、
前記欠陥検出部により検出された欠陥の情報を出力する検出結果出力部と、
前記コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理のためのパラメータの指定を受け付けるためのユーザインタフェースを提示するパラメータ受付部と、
を備え
前記パラメータ受付部により前記ユーザインタフェースを介して前記パラメータを変更する指示が受け付けられたときに、前記コントラスト調整部は、前記パラメータを指示された値に変更してから前記コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行し、前記指標値算出部は、前記コントラスト調整部によりコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理が実行された前記画像に含まれる各画素について前記指標値を算出し、前記欠陥検出部は、前記指標値に基づいて欠陥を検出し、前記検出結果出力部は、前記欠陥検出部により検出された欠陥の情報を出力する
結晶欠陥評価装置。
【請求項6】
前記欠陥検出部は、前記指標値が所定値以上である画素を所定数以上含む領域を欠陥として検出する請求項5に記載の結晶欠陥評価装置。
【請求項7】
前記所定範囲、前記所定値、前記所定数、又は前記コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理のためのパラメータを自動的に調整するパラメータ調整部を更に備える請求項に記載の結晶欠陥評価装置。
【請求項8】
前記パラメータ受付部は、前記所定範囲、前記所定値、又は前記所定数の指定を受け付ける請求項6又は7に記載の結晶欠陥評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は結晶の欠陥を評価する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の変換や制御を行う半導体デバイスであるパワーデバイスが、家庭電化器具、産業用機器、自動車、鉄道、高電圧直流送電、風力発電、太陽光発電などの分野において幅広く用いられている。現状、パワーデバイス用の半導体には主にケイ素(Si)が用いられているが、さらなる高性能化を目指し、炭化ケイ素(SiC)が次世代パワーデバイス用半導体材料として注目されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「SiC結晶成長における多形制御~速度論的多形制御法の提案(3C-SiC溶液成長を例に)~」、日本結晶成長学会誌、第40巻、第4号、第253-260頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SiCの結晶成長技術の向上により、マクロな欠陥は大幅に抑えられているが、刃状転位、らせん転位、基底面転位などのミクロな欠陥は依然多数残っており、デバイスの長期信頼性や特性に悪影響を与えている。半導体結晶の欠陥を的確に評価する技術が求められる。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、結晶の欠陥を評価するための技術を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の結晶欠陥評価方法は、炭化ケイ素(SiC)の結晶を偏光顕微鏡により撮像した画像を取得するステップと、画像に含まれる各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す指標値を算出するステップと、指標値に基づいて欠陥を検出するステップと、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、結晶欠陥評価装置である。この装置は、炭化ケイ素(SiC)の結晶を偏光顕微鏡により撮像した画像を取得する画像取得部と、画像に含まれる各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す指標値を算出する指標値算出部と、指標値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、結晶の欠陥を評価するための技術を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】SiC基板の偏光顕微鏡画像を示す図である。
図2図1に示した偏光顕微鏡画像にコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行した画像を示す図である。
図3図2に示した偏光顕微鏡画像の各画素の分散をマッピングした画像を示す図である。
図4図3に示した分散マッピング画像に基づいて検出された欠陥を示す図である。
図5】欠陥を検出するために使用されるパラメータを調整するためのユーザインタフェースの例を示す図である。
図6】実施の形態に係る結晶欠陥評価システムの構成を示す図である。
図7】実施の形態に係る結晶欠陥評価方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示において、SiC結晶の欠陥を評価する技術について説明する。図1は、SiC基板の偏光顕微鏡画像を示す。偏光顕微鏡として、Mipox株式会社製のSiC結晶転位高感度可視化装置XS-1を使用した。XS-1は、複屈折による位相差を高感度で可視化することが可能な偏光顕微鏡である。図1に示した偏光顕微鏡画像では、シンクロトロン放射光によるX線トポグラフィーに勝るとも劣らない感度で、多数の欠陥が可視化されている。
【0012】
本発明者らは、この偏光顕微鏡画像から欠陥を自動的に検出する技術を検討した。偏光顕微鏡画像のバックグラウンドは、撮像環境や基板の種類などによって異なりうる。また、偏光顕微鏡は、基板の背面から入射して基板の表面から透過した偏光を観察するので、偏光顕微鏡画像のバックグラウンドは、基板の背面側の研磨状態などによっても影響を受ける。とくに、基板の背面が機械研磨仕上げである場合は、散乱により画像のコントラストが低下する。したがって、偏光顕微鏡画像を単純に二値化処理して欠陥を検出する方法では、精度が十分ではない場合があることを本発明者らは課題として認識した。
【0013】
本発明者らは、偏光顕微鏡画像において、欠陥はバックグラウンドよりも黒い(画素値が高い)部分(以下、「高画素値部分」ともいう)とバックグラウンドよりも白い(画素値が低い)部分(低画素値部分」ともいう)の双方を有するという特徴に着目し、偏光顕微鏡画像から欠陥を自動的に検出する技術に想到した。
【0014】
すなわち、本開示の実施の形態に係る結晶欠陥評価方法は、炭化ケイ素(SiC)の結晶を偏光顕微鏡により撮像した画像を取得するステップと、画像に含まれる各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す指標値を算出するステップと、指標値に基づいて欠陥を検出するステップとを備える。
【0015】
欠陥の近傍には高画素値部分と低画素値部分が近接して存在するので、欠陥の近傍における画素値のばらつきはバックグラウンドにおける画素値のばらつきよりも大きくなる。したがって、画素値のばらつきを表す指標値が大きい領域を欠陥として検出することができる。
【0016】
欠陥の近傍の高画素値部分と低画素値部分における画素値の絶対値は、バックグラウンドのレベルなどに応じて異なりうる。バックグラウンドのレベルが高過ぎたり低過ぎたりすると、高画素値部分と低画素値部分の間の画素値の差が小さくなり、欠陥の検出精度が低下しうる。したがって、本実施の形態の結晶欠陥評価方法は、指標値を算出する前に、偏光顕微鏡画像のコントラストを調整するステップを備える。
【0017】
実施の形態に係る結晶欠陥評価装置は、偏光顕微鏡画像における画素値の頻度分布を平坦化する処理を実行して、偏光顕微鏡画像のコントラストを調整する。これにより、偏光顕微鏡画像のバックグラウンドのレベルによらず、高画素値部分と低画素値部分の間の画素値の差を十分に大きくすることができるので、欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0018】
結晶欠陥評価装置は、偏光顕微鏡画像の局所的なコントラストを強調する処理を実行してもよい。例えば、結晶欠陥評価装置は、コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化(Contrast Limited Adaptive Histogram Equalization:CLAHE)処理を実行してもよい。コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理は、画像を「タイル」と呼ばれる小領域に分割し、領域毎にヒストグラム平坦化を適用する。これにより、局所的なコントラストを強調し、細部の可視性を高めることができる。小領域中にノイズがある場合、ヒストグラム平坦化によりノイズが強調されてしまうので、これを防ぐためにコントラスト伸張の制限を定める。ビンの出現頻度が上限値を超えた場合、上限値を超える画素をその他のビンに均等に分配し、その後にヒストグラム平坦化を適用する。ヒストグラム平坦化を適用した後、タイルの境界に生じる疑似輪郭を消去するために、バイリニア補間やリニア補間により補間処理を行う。
【0019】
図2は、図1に示した偏光顕微鏡画像にコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行した画像を示す。欠陥の高画素値部分と低画素値部分がより強調され、鮮明に可視化されている。
【0020】
図3は、図2に示した偏光顕微鏡画像の各画素の分散をマッピングした画像を示す。結晶欠陥評価装置は、偏光顕微鏡画像に含まれる各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す指標値を算出する。ばらつきを表す指標値は、例えば、分散や標準偏差などの統計値であってもよいし、所定範囲における画素値の平均値と各画素の画素値との差の総和であってもよいし、画素値の平均値と各画素の画素値との差のべき乗又はべき根であってもよい。図3に示した画像は、各画素について算出された分散を画素値とする画像である。欠陥の位置のみが大きな分散を有していることが分かる。
【0021】
図4は、図3に示した分散マッピング画像に基づいて検出された欠陥を示す。結晶欠陥評価装置は、分散が所定値以上である画素を所定数以上含む領域を欠陥として検出する。この所定値及び所定数や、分散を算出する際の所定範囲や、コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行する際の各種のパラメータなどを適切に調整することにより、図4に示すように、ほぼ全ての欠陥を自動的に検出することができる。また、欠陥ではない位置を欠陥として誤検出することもほぼ抑えることができる。
【0022】
結晶欠陥評価装置が自動的に上記のパラメータを調整してもよい。この場合、結晶欠陥評価装置は、偏光顕微鏡画像の解像度、検出すべき欠陥の大きさの最小値、最大値、平均値、又は頻度分布、結晶又は基板の種類、基板の研磨状態、偏光顕微鏡の種類又は性能、偏光顕微鏡画像の撮像環境、検査の目的などの情報を取得し、取得した情報に応じてパラメータを決定してもよい。例えば、コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理において、欠陥の画質を維持しつつ欠陥を強調するためには、典型的な欠陥の大きさよりも大きいタイルに分割するのが望ましい。また、分散を算出する際の周囲の画素の範囲が大き過ぎると分散マッピング画像がぼやけてしまうし、小さ過ぎるとノイズの影響が大きくなってしまうので、検出精度が低下しうる。また、欠陥として検出すべき所定範囲を小さくし過ぎると、画素抜けなどのノイズを欠陥として検出してしまう可能性が生じるので、検出精度が低下しうる。結晶欠陥評価装置は、パラメータの調整と欠陥の検出を複数回繰り返すことにより、パラメータを最適な値に調整してもよい。パラメータを調整して欠陥を検出した結果をユーザに提示し、ユーザからパラメータの再調整を指示された場合は、パラメータを再調整して欠陥を検出し直してもよい。ユーザインタフェースを介してユーザからパラメータの値の指定を受け付けてもよい。同種の結晶を同様の環境で撮像した複数の偏光顕微鏡画像から欠陥を検出する場合は、事前に調整されたパラメータを使用して欠陥を検出し、パラメータの調整を省略してもよい。
【0023】
図5は、欠陥を検出するために使用されるパラメータを調整するためのユーザインタフェースの例を示す。ユーザインタフェースの上段には、分散を算出する際の周囲の画素の画素数(所定範囲)、欠陥として検出する分散の下限値(所定値)、欠陥として検出する分散が下限値を超える連続した画素の数(所定数)を調整するためのスライダーが表示されている。ユーザインタフェースの下段には、コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理において、強度伝達関数によるコントラスト伸張の制限を定めるクリップやタイルの大きさなどを調整するためのスライダーが表示されている。結晶欠陥評価装置は、スライダーを介してパラメータを変更する指示をユーザから受け付けると、パラメータを指示された値に変更してから上述した処理を実行し、欠陥を検出して図4に示すような画面に提示する。結晶欠陥評価装置は、図4に示した画面において、欠陥がない位置の指定をユーザから受け付け、受け付けた範囲において欠陥を検知しないように、所定範囲、所定値、又は所定数を調整してもよい。
【0024】
図6は、実施の形態に係る結晶欠陥評価システム10の構成を示す。結晶欠陥評価システム10は、偏光顕微鏡11及び結晶欠陥評価装置20を備える。結晶欠陥評価装置20は、通信装置21、表示装置22、入力装置23、記憶装置24、及び処理装置30を備える。結晶欠陥評価装置20は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピューターなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0025】
通信装置21は、他の装置との通信を制御する。通信装置21は、有線又は無線の任意の通信方式により通信を行ってもよい。表示装置22は、処理装置30により生成される画面を表示する。表示装置22は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置23は、結晶欠陥評価装置20の使用者による指示入力を処理装置30に伝達する。入力装置23は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置22及び入力装置23は、タッチパネルとして実装されてもよい。記憶装置24は、処理装置30により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置24は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。
【0026】
処理装置30は、画像取得部31、コントラスト調整部32、分散算出部33、欠陥検出部34、パラメータ調整部35、及び検出結果出力部36を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
画像取得部31は、偏光顕微鏡11から結晶の偏光顕微鏡画像を取得して記憶装置24に格納する。コントラスト調整部32は、記憶装置24に格納された偏光顕微鏡画像に対してコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行する。分散算出部33は、コントラストを調整された偏光顕微鏡画像の各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す分散を算出し、算出された分散を画素値とする分散マッピング画像を生成する。欠陥検出部34は、分散マッピング画像を参照して、分散が所定値以上である画素を所定数以上含む領域を欠陥として検出する。
【0028】
パラメータ調整部35は、コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理において使用されるパラメータや、欠陥を検出する際に使用されるパラメータを調整する。パラメータ調整部35は、図5に示したユーザインタフェースを表示装置22に表示し、入力装置23を介してユーザからパラメータの指定を受け付けてもよい。この場合、パラメータ調整部35は、パラメータ受付部として機能する。検出結果出力部36は、欠陥検出部34により検出された欠陥の数、大きさ、位置、分布、密度、種類などの情報を表示装置22などに出力する。
【0029】
図7は、実施の形態に係る結晶欠陥評価方法の手順を示すフローチャートである。結晶欠陥評価装置20の画像取得部31は、結晶の偏光顕微鏡画像を偏光顕微鏡11から取得する(S10)。コントラスト調整部32は、取得された偏光顕微鏡画像に対してコントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理を実行する(S12)。分散算出部33は、コントラストを調整された偏光顕微鏡画像の各画素について、その画素の周囲の所定範囲における画素値のばらつきを表す分散を算出し、算出された分散を画素値とする分散マッピング画像を生成する(S14)。
【0030】
パラメータ調整部35は、コントラスト制限付適応ヒストグラム平坦化処理において使用されるパラメータや、欠陥を検出する際に使用されるパラメータを調整する(S16)。欠陥検出部34は、分散マッピング画像を参照して、分散が所定値以上である画素を所定数以上含む領域を欠陥として検出する(S18)。検出結果出力部36は、欠陥検出部34により検出された欠陥の数、大きさ、位置、分布、密度、種類などの情報を表示装置22などに出力する(S20)。
【0031】
以上、本開示を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0032】
本実施の形態の技術は、炭化ケイ素以外の半導体材料の結晶の欠陥を評価する場合にも利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 結晶欠陥評価システム、11 偏光顕微鏡、20 結晶欠陥評価装置、21 通信装置、22 表示装置、23 入力装置、24 記憶装置、30 処理装置、31 画像取得部、32 コントラスト調整部、33 分散算出部、34 欠陥検出部、35 パラメータ調整部、36 検出結果出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7