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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】キャップ及びキャップ付き継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20240618BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F16L57/00 C
F16L55/00 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020165529
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057330
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221638
【氏名又は名称】東尾メック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 将弘
(72)【発明者】
【氏名】坂本 正勝
(72)【発明者】
【氏名】宮本 理沙
(72)【発明者】
【氏名】増井 克行
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167326(JP,A)
【文献】実公平03-025506(JP,Y2)
【文献】国際公開第2009/018985(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 51/00 - 58/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒部と、前記内筒部の径方向の外側に同軸に配置された外筒部と、を備える継手用のキャップであって、
支持面を有する基材と、
前記支持面に交差する軸線方向の第1側に向かって前記支持面から突出し、前記軸線回りに互いに間隔を空けて複数配置された突出部と、
を備え、
前記複数の突出部として、複数の第1突出部と、複数の第2突出部とを備え、
前記複数の第2突出部の径方向の内側の縁部は、前記複数の第1突出部の径方向の内側の縁部よりも径方向の内側にそれぞれ突出しているキャップ。
【請求項2】
前記複数の突出部を互いに連結する連結部を備える請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
周方向に隣り合う前記第2突出部は、前記第1突出部を間に挟んで配置されている請求項1又は2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記第2突出部における前記基材とは反対の端部における径方向の内側の端縁には、前記基材から離間するに従い前記軸線から離間する傾斜面が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項5】
内筒部と、前記内筒部の径方向の外側に同軸に配置された外筒部と、を備える継手用のキャップであって、
支持面を有する基材と、
前記支持面に交差する軸線方向の第1側に向かって前記支持面から突出し、前記軸線回りに互いに間隔を空けて複数配置された突出部と、
前記複数の突出部を互いに連結する連結部と、
を備え、
前記複数の突出部として、第1突出部と、第2突出部とを備え、
前記第1突出部は、前記連結部よりも径方向の内側に突出することなく、径方向の外側のみに突出し、
前記第2突出部は、前記連結部よりも径方向の外側に突出することなく、径方向の内側のみに突出しているキャップ。
【請求項6】
前記複数の突出部は、前記連結部よりも径方向の外側にそれぞれ突出している請求項2又は5に記載のキャップ。
【請求項7】
前記複数の突出部は、前記連結部よりも径方向の内側にそれぞれ突出している請求項2、5、及び6のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のキャップと、
前記継手と、
を備え、
前記複数の突出部は、内筒部と前記外筒部とに間に配置され、
前記複数の突出部の少なくとも一部は、前記内筒部の外周面に径方向の外側から接触するキャップ付き継手。
【請求項9】
前記継手は、前記内筒部と前記外筒部とに間に同軸に配置された環状部材を備え、
前記基材の前記支持面が、前記内筒部及び前記外筒部の少なくとも一方に、前記内筒部及び前記外筒部に対する前記軸線方向の第2側から接触したときに、前記複数の突出部は、前記環状部材に対向する請求項8に記載のキャップ付き継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ及びキャップ付き継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管の挿入不足による漏水を防止するための継手が検討されている。例えば、特許文献1に開示された継手は、色つきのガイドリング(環状部材)を内蔵している。継手に管を挿入していないときには、継手の外部からガイドリングを視認できない。継手への管の挿入を完了したときに、継手の外部からガイドリングを視認できるようになる。このため、管の挿入完了が分かる。
【0003】
一方で、特許文献2のように、ガイドリングを備えない継手であるが、キャップを取付けて用いられる継手が知られている。継手は、円筒コア部(内筒部)と、円筒コア部の径方向の外側に同軸に配置された蓋部材(外筒部)と、を備えている。キャップの環状突起部は、円筒コア部と蓋部材との間に形成されるパイプ挿入口に嵌着される。
キャップは、パイプ挿入口の防塵用として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-119619号公報
【文献】特開2012-117555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、衝撃力等の外力が継手に作用すると、継手の蓋部材等が変形して、キャップが円筒コア部及び蓋部材から外れる虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、継手に与えられた外力により継手から外れることを防止したキャップ、及びこのキャップを備えるキャップ付き継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のキャップは、内筒部と、前記内筒部の径方向の外側に同軸に配置された外筒部と、を備える継手用のキャップであって、支持面を有する基材と、前記支持面に交差する軸線方向の第1側に向かって前記支持面から突出し、前記軸線回りに互いに間隔を空けて複数配置された突出部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、例えば、継手の内筒部と外筒部との間に複数の突出部を挿入し、内筒部及び外筒部の少なくとも一方に、内筒部及び外筒部の軸線方向の第2側から基材の支持面を接触させる。このとき、複数の突出部の少なくとも一部が、内筒部の外周面に径方向の外側から接触するように、内筒部及び外筒部の寸法が調整された継手に対して、キャップを取付ける。複数の突出部が、外筒部の内周面から径方向の内側に離間している場合には、外筒部と複数の突出部との間に全周にわたって隙間が形成される。一方で、複数の突出部の少なくとも一部が外筒部の内周面に径方向の内側から接触する場合には、外筒部と複数の突出部との間であって周方向の一部に隙間が形成される。
ここで、キャップが取付けられた状態の継手に外力が作用すると、外筒部が変形する。しかし、この隙間に変形した外筒部が位置することにより、変形した外筒部が複数の突出部に接触するのが抑えられる。この際に、複数の突出部の少なくとも一部は、内筒部を保持した状態を維持しやすい。従って、継手に与えられた外力により、継手からキャップが外れることを防止することができる。
【0009】
また、前記キャップにおいて、前記複数の突出部を互いに連結する連結部を備えてもよい。
この発明によれば、複数の突出部を連結部により互いに連結することにより、複数の突出部の剛性を高めることができる。このため、仮に変形した外筒部が複数の突出部に接触した場合でも、複数の突出部が変形し難くなり、複数の突出部の少なくとも一部が、内筒部を保持した状態を維持しやすい。従って、継手に与えられた外力により、継手からキャップが外れることを、より確実に防止することができる。
【0010】
また、前記キャップにおいて、前記複数の突出部は、前記連結部よりも径方向の外側にそれぞれ突出していてもよい。
この発明によれば、周方向に隣り合う突出部と外筒部との間に、前記隙間を形成しやすい。このため、連結部により複数の突出部の剛性を高めた状態で、継手に与えられた外力により、継手からキャップが外れることを防止することができる。
【0011】
また、前記キャップにおいて、前記複数の突出部は、前記連結部よりも径方向の内側にそれぞれ突出していてもよい。
この発明によれば、連結部が内筒部の外周面に径方向の外側から接触するのが抑えられる。従って、継手にキャップを取付ける際に、連結部と内筒部との間に生じる摩擦を抑えた状態で、継手に与えられた外力により、継手からキャップが外れることを防止することができる。
【0012】
また、前記キャップにおいて、前記複数の突出部として、複数の第1突出部と、複数の第2突出部とを備え、前記複数の第2突出部の径方向の内側の縁部は、前記複数の第1突出部の径方向の内側の縁部よりも径方向の内側にそれぞれ突出していてもよい。
この発明によれば、複数の突出部を構成する複数の第1突出部及び複数の第2突出部のうち複数の第2突出部だけを、内筒部の外周面に径方向の外側から接触させることができる。これにより、継手にキャップを取付ける際に生じる、複数の突出部と内筒部との間に生じる摩擦を低減させることができる。
【0013】
また、前記キャップにおいて、周方向に隣り合う前記第2突出部は、前記第1突出部を間に挟んで配置されていてもよい。
この発明によれば、複数の第2突出部により、周方向により均等に、内筒部を安定して保持することができる。
【0014】
また、前記キャップにおいて、前記複数の突出部として、第1突出部と、第2突出部とを備え、前記第1突出部及び前記第2突出部は、周方向に交互に配置され、前記第1突出部は、前記連結部よりも径方向の内側に突出することなく、径方向の外側のみに突出し、前記第2突出部は、前記連結部よりも径方向の外側に突出することなく、径方向の内側のみに突出していてもよい。
この発明によれば、複数の突出部を構成する第2突出部だけを、継手における内筒部の外周面に径方向の外側から接触させることができる。一方で、変形した外筒部は第1突出部に接触するが、第1突出部が径方向の内側に変形しても、第1突出部は連結部よりも径方向の内側に突出していないため第1突出部が内筒部に接触し難いことと、変形した外筒部が第1突出部よりも第2突出部に接触し難いことにより、第2突出部が内筒部を保持した状態を維持しやすい。
このため、継手に与えられた外力により、継手からキャップが外れることを、より確実に防止することができる。
【0015】
また、前記キャップにおいて、前記2突出部における前記基材とは反対の端部における径方向の内側の端縁には、前記基材から離間するに従い前記軸線から離間する傾斜面が形成されていてもよい。
この発明によれば、継手にキャップを取付ける際に、内筒部の外周面に第2突出部の傾斜面を接触させる。これにより、複数の第2突出部が内筒部と外筒部との間に案内され、内筒部と外筒部との間に複数の第2突出部を挿入しやすくすることができる。
【0016】
また、本発明のキャップ付き継手は、前記のいずれかに記載のキャップと、前記継手と、を備え、前記複数の突出部は、内筒部と前記外筒部とに間に配置され、前記複数の突出部の少なくとも一部は、前記内筒部の外周面に径方向の外側から接触することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、複数の突出部が内筒部と外筒部とに間に配置されたときに、複数の突出部が、外筒部の内周面から径方向の内側に離間している場合には、外筒部と複数の突出部との間に全周にわたって隙間が形成される。一方で、複数の突出部の少なくとも一部が外筒部の内周面に径方向の内側から接触する場合には、外筒部と複数の突出部との間であって周方向の一部に隙間が形成される。
ここで、継手に外力が作用すると、外筒部が変形する。しかし、この隙間に変形した外筒部が位置することにより、変形した外筒部が複数の突出部に接触するのが抑えられる。この際に、複数の突出部の少なくとも一部は、内筒部を保持した状態を維持しやすい。従って、継手に与えられた外力により、継手からキャップが外れることを防止することができる。
【0018】
また、前記キャップ付き継手において、前記継手は、前記内筒部と前記外筒部とに間に同軸に配置された環状部材を備え、前記基材の前記支持面が、前記内筒部及び前記外筒部の少なくとも一方に、前記内筒部及び前記外筒部に対する前記軸線方向の第2側から接触したときに、前記複数の突出部は、前記環状部材に対向する前記軸線方向の前記第2側の近傍まで延びていてもよい。
この発明によれば、複数の突出部により、環状部材が軸線方向の第2側に移動し難い。従って、複数の突出部により、内筒部と外筒部との間から環状部材が軸線方向の第2側に飛び出るのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のキャップ及びキャップ付き継手によれば、継手に与えられた外力により継手から外れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態のキャップ付き継手の断面図である。
図2】同キャップ付き継手の継手が用いられる管装置の断面図である。
図3】同キャップ付き継手のキャップの断面図である。
図4】同キャップの正面図である。
図5】本発明の一実施形態の第1変形例におけるキャップの正面図である。
図6】本発明の一実施形態の第2変形例におけるキャップの正面図である。
図7】本発明の一実施形態の第3変形例におけるキャップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るキャップ付き継手の一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のキャップ付き継手1は、継手10と、本実施形態のキャップ50と、を備えている。図2に示すように、継手10は、第1管100A及び第2管100Bと接続される。継手10及び管100A,100Bで、管装置2を構成する。管装置2は、図示しない、上水道管、排水管(下水管)、ガス管、空調管等の各種配管設備を構成する。管装置2の主な配管場所は、例えば建物の床下等の暗所、狭所である。
【0022】
図1は、継手10に第2管100Bが接続されていない接続未完了状態を示している。図1に示すように、継手10は、継手本体11と、ボディ(外筒部)21と、抜け止め部材31と、ガイドリング(環状部材)41と、を備えている。
ここで、継手本体11及びボディ21は筒状に形成され、抜け止め部材31及びガイドリング41は環状に形成されている。継手本体11、ボディ21、抜け止め部材31、及びガイドリング41それぞれの中心軸は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線Oと言う。軸線Oに沿う方向を軸線O方向と言う。軸線Oに直交する方向を径方向と言い、軸線O回りに周回する方向を周方向と言う。
【0023】
継手本体11は、第1接続部12と、第2接続部(内筒部)13と、を備えている。これら接続部12,13は、それぞれ筒状に形成されている。接続部12,13は、軸線Oと同軸に配置され、軸線O方向に沿って一列に連なっている。以下では、軸線O方向のうち、第2接続部13に対する第1接続部12側を先端側と言い、第1接続部12に対する第2接続部13側を基端側と言う。基端側は、軸線O方向における先端側とは反対側である。
例えば、接続部12,13は、砲金等の金属で形成されている。第1接続部12の外周面には、雄ネジ12aが形成されている。
第2接続部13は、第1接続部12よりも長く、第1接続部12よりも外径が小さい。第2接続部13の外周面には、複数の溝13aが形成されている。複数の溝13aは、軸線O方向に互いに間隔を空けて形成されている。各溝13aには、Oリング等のシール部材14が配置されている。シール部材14は、溝13aから径方向の外側に向かって突出している。
ここで、第2接続部13の基端部の外径を、L1と規定する。
【0024】
ボディ21は、第2接続部13の径方向の外側に第2接続部13と同軸に配置されている。ボディ21と第2接続部13との間には、隙間が形成されている。この隙間により、筒状の受け入れ部S1が形成される。
ボディ21は、アウターボディ部材22と、インナーボディ部材23と、ロックリング24と、を備えている。アウターボディ部材22は、透明ナイロン等の透明な樹脂で形成されている。アウターボディ部材22の先端部は、第2接続部13の先端部における外周面に固定されている。
【0025】
インナーボディ部材23は、有色の樹脂で形成されている。インナーボディ部材23は、アウターボディ部材22の内部における基端側の部分に収容されている。インナーボディ部材23は、円環状のインナーボディ本体23aと、複数の叩き部23bと、を備えている。各叩き部23bは、片持ちレバー状に形成され、インナーボディ本体23aから先端側に向かって延びている。複数の叩き部23bは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。各叩き部23bの先端部には、叩き凸部23cが径方向の内側へ突出するように設けられている。
軸線O方向において、インナーボディ部材23が配置された範囲は、継手10の外部からインナーボディ部材23内が視認できない透視不能領域R1である。一方で、軸線O方向において、インナーボディ部材23よりも先端側の所定の範囲は、継手10の外部からアウターボディ部材22を通してアウターボディ部材22内が視認できる透視可能領域R2である。
アウターボディ部材22の基端部には、円筒状のロックリング24が嵌め合わされている。ここで、ロックリング24の内径を、L2と規定する。
【0026】
抜け止め部材31は、環状のフランジ部32と、抜け止め部33と、を備えている。フランジ部32は、ボディ部材22,23とロックリング24との間に挟まれることで固定されている。
抜け止め部33は、フランジ部32の内周縁に一体に形成されている。抜け止め部33は、フランジ部32から先端側に向かうに従い縮径するテーパ状に形成されている。
【0027】
ガイドリング41は、継手10の第2接続部13とボディ21とに間に、第2接続部13及びボディ21と同軸に配置されている。ガイドリング41は、可動本体部42と、ガイド部43と、を備えている。可動本体部42は、環状に形成されている。可動本体部42の先端面に、環状のガイド部43が設けられている。ガイド部43は、ガイド面43aと、段差43bと、を備えている。ガイド部43の軸線Oを含む平面による断面は、クサビ形である。ガイド部43の外周面が、ガイド面43aを構成している。ガイド面43aは、基端側に向かうに従い拡径するテーパ状に形成されている。ガイド面43aにおける基端部の外径は、可動本体部42の外径より大きい。ガイド面43aと可動本体部42の外周面との間には、段差43bが形成されている。
ガイドリング41は、受け入れ部S1内において軸線O方向にスライド可能である。
なお、継手10が接続未完了状態のときには、ガイドリング41は透視不能領域R1に配置されている。
【0028】
以上のように継手10に管100A,100Bを接続する手順について説明する。
まず、図2に示すように、継手10の第1接続部12の雄ネジ12aに、第1管100Aをねじ込んで接続する。
次に、継手10の受け入れ部S1に第2管100Bを挿し込む。すると、抜け止め部材31内に第2管100Bが挿し込まれる。抜け止め部33が第2管100Bの外周面に係止するため、第2管100Bが引き抜けなくなる。第2管100Bの端部がガイドリング41に突き当たる。第2管100Bの挿し込みに伴って、ガイドリング41が先端側へ押し動かされる。
【0029】
やがて、ガイドリング41のガイド面43aが叩き凸部23cに当たり、叩き部23bが径方向の外側に向かって反るように弾性変形する。
図2に示すように、第2管100Bが正規の接続位置まで挿し込まれたとき、叩き凸部23cが、ガイド部43を乗り越えて径方向の内側へ勢いよく弾性復帰する。このとき、叩き凸部23cが可動本体部42を叩きつけることにより、クリック音が発生する。これを聞き取ることによって、第2管100Bが正規接続位置(正規接続状態)に達したことを確認できる。
【0030】
しかも、正規接続状態においては、ガイドリング41が透視可能領域R2に配置されることで、ガイドリング41が視認可能となる。
従って、ガイドリング41が見えるか否かによって、第2管100Bが正規接続状態であるか接続未完了状態であるかを確実に判定できる。
次に、キャップ50について説明する。
【0031】
図3及び図4に示すキャップ50は、継手10の基端部の防塵用のキャップである。例えば、キャップ50は射出成形により形成される。この例では、キャップ50が射出成形用の抜き勾配を有する場合を示している。
キャップ50は、基板(基材)51と、複数の突出部61と、連結部66と、を備えている。
本実施形態では、基板51は円板状に形成されている。基板51は、第1面(支持面)51aを有する。本実施形態では、第1面51aは、基板51の厚さ方向における一方側の外面である。基板51は、第1面51aに直交する軸線が、軸線Oに一致するように配置されている(図1参照)。なお、基板51の軸線は、第1面51aに交差していてもよい。第1面51aは、基板51における先端側(軸線方向の第1側)の外面である。
基板51の基端側(軸線方向の第2側)の外面である第2面51bには、第1凹部52が形成されている。第1凹部52は、第2面51bにおける外縁部以外の領域にわたって形成されている。第1凹部52の底面における中心部には、第2凹部53が形成されている。第2凹部53は、軸線O上に形成されている。
基板51の第1面51aには、先端側に向かって突出した突起54が形成されている。突起54は、第2凹部53に対応した位置に形成されている。
【0032】
複数の突出部61は、基板51から先端側に向かってそれぞれ突出している。各突出部61は、円柱状に形成されている。複数の突出部61は、軸線O回りに互いに間隔を空けて配置されている。複数の突出部61の数は、3以上20以下であることが好ましい。
本実施形態では、複数の突出部61として、複数の第1突出部62と、複数の第2突出部63と、を備えている。第1突出部62の形状、及び第2突出部63の形状は、後述する傾斜面63c以外、互いに同一である。
【0033】
複数の第2突出部63は、複数の第1突出部62よりも径方向の内側にそれぞれ配置されている。図4に示すように、複数の第2突出部63の径方向の内側の縁部63aは、複数の第1突出部62の径方向の内側の縁部62aよりも径方向の内側にそれぞれ突出している。すなわち、複数の第1突出部62及び複数の第2突出部63を周方向の同じ位置に配置したときに、複数の第2突出部63の縁部63aは複数の第1突出部62の縁部62aよりも径方向の内側にそれぞれ突出している。
複数の第1突出部62の径方向の外側の縁部62bは、複数の第2突出部63の径方向の外側の縁部63bよりも径方向の外側にそれぞれ突出している。すなわち、複数の第1突出部62及び複数の第2突出部63を周方向の同じ位置に配置したときに、複数の第1突出部62の縁部62bは複数の第2突出部63の縁部63bよりも径方向の外側にそれぞれ突出している。
図4に、複数の第1突出部62の外接円C1、及び複数の第2突出部63の内接円C2をそれぞれ示す。外接円C1の径を、L4と規定する。内接円C2の径を、L5と規定する。
【0034】
図3及び図4に示すように、複数の第2突出部63の基板51とは反対の端部(先端部)における径方向の内側の端縁には、傾斜面63cが形成されている。傾斜面63cは、基板51から離間するに従い軸線Oから離間するように形成されている。
図4に示すように、周方向に隣り合う第2突出部63は、第1突出部62を間に挟んで配置されている。この例では、周方向に隣り合う第2突出部63の間に、2つの第1突出部62が挟まれている。なお、周方向に隣り合う第2突出部63の間に挟まれる第1突出部62の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。周方向に隣り合う第2突出部63の間に挟まれる第1突出部62の数が1つである場合には、第1突出部62及び第2突出部63は、周方向に交互に配置される。
【0035】
連結部66は、複数の突出部61を互いに連結している。連結部66は、複数の連結片67を備えている。各連結片67は、周方向に隣り合う突出部61の間に配置されている。各連結片67は、径方向の外側に向かって凸となるように湾曲している。各連結片67は、周方向に隣り合う突出部61同士を連結している。
複数の突出部61は、複数の連結片67(連結部66)よりも径方向の外側にそれぞれ突出している。複数の突出部61は、複数の連結片67よりも径方向の内側にそれぞれ突出している。
連結部66の厚さ(径方向の長さ)は、1mm以上であることが好ましい。連結部66の厚さが1mm以上であると、キャップ50を射出成形により製造することが容易になり、複数の突出部61の剛性が向上しやすくなる。連結部66の厚さの最大値は、((L4-L5)/2)の式により得られる値である。なお、連結部66の厚さをある程度薄くした方が、キャップ50を射出成形により製造した際に、連結部66にヒケが生じ難くなる。
なお、図4では、抜き勾配による連結片67の基端側の線67aが見えている。
基板51、複数の突出部61、及び連結部66は、合成樹脂を用いた射出成形により一体に形成されている。
【0036】
以上のように構成されたキャップ50は、以下のように継手10に取り付けられている。キャップ50は、継手10を保管する場合等に用いられる。
図1に示すように、複数の突出部61は、第2接続部13とボディ21とに間に配置される。基板51の第1面51aは、ボディ21(ロックリング24)に、ボディ21の基端側から接触している。
複数の第2突出部63(複数の突出部61の少なくとも一部)は、第2接続部13の外周面に径方向の外側から接触している。このように接触させるためには、複数の第2突出部63の内接円C2の径L5を、第2接続部13の基端部の外径L1に等しくする。
複数の突出部61は、ボディ21の内周面から径方向の内側に離間している。この場合、ボディ21と複数の突出部61との間に全周にわたって隙間S2が形成される。この隙間S2を形成するためには、複数の第1突出部62の外接円C1の径L4を、ロックリング24の内径L2よりも小さくする。
基板51がボディ21に接触するとき、複数の突出部61は、ガイドリング41に対向する。なお、複数の突出部61は、ガイドリング41に対する基端側の近傍まで延びていることが好ましい。
【0037】
なお、基板51の第1面51aは、第2接続部13に第2接続部13の基端側から接触してもよいし、ボディ21及び第2接続部13のそれぞれにボディ21及び第2接続部13それぞれの基端側から接触してもよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態のキャップ50によれば、継手10の第2接続部13とボディ21との間に複数の突出部61を挿入し、ボディ21に、ボディ21の基端側から基板51の第1面51aを接触させる。このとき、複数の第2突出部63が、第2接続部13の外周面に径方向の外側から接触するように、ボディ21及び第2接続部13の寸法が調整された継手10に対して、キャップ50を取付ける。
ここで、キャップ50が取付けられた状態の継手10に外力が作用すると、ボディ21が変形する。しかし、隙間S2に変形したボディ21が位置することにより、変形したボディ21が複数の突出部61に接触するのが抑えられる。この際に、複数の第2突出部63は、第2接続部13を保持した状態を維持しやすい。従って、継手10に与えられた外力により、継手10からキャップ50が外れることを防止することができる。
【0039】
キャップ50が、連結部66を備えている。複数の突出部61を連結部66により互いに連結することにより、複数の突出部61の剛性を高めることができる。このため、仮に変形したボディ21が複数の突出部61に接触した場合でも、複数の突出部61が変形し難くなり、複数の第2突出部63が第2接続部13を保持した状態を維持しやすい。従って、継手10に与えられた外力により、継手10からキャップ50が外れることを、より確実に防止することができる。
複数の突出部61は、連結部66よりも径方向の外側にそれぞれ突出している。従って、周方向に隣り合う突出部61とボディ21との間に、隙間S2を形成しやすい。このため、連結部66により複数の突出部61の剛性を高めた状態で、継手10に与えられた外力により、継手10からキャップ50が外れることを防止することができる。
【0040】
複数の突出部61は、連結部66よりも径方向の内側にそれぞれ突出している。このため、連結部66が第2接続部13の外周面に径方向の外側から接触するのが抑えられる。従って、継手10にキャップ50を取付ける際に、連結部66と第2接続部13との間に生じる摩擦を抑えた状態で、継手10に与えられた外力により、継手10からキャップ50が外れることを防止することができる。
複数の突出部61として、複数の第1突出部62及び複数の第2突出部63を備える。そして、複数の第2突出部63の径方向の内側の縁部63aは、複数の第1突出部62の径方向の内側の縁部62aよりも径方向の内側にそれぞれ突出している。これにより、複数の突出部61を構成する複数の第1突出部62及び複数の第2突出部63のうち複数の第2突出部63だけを、第2接続部13の外周面に径方向の外側から接触させることができる。これにより、継手10にキャップ50を取付ける際に生じる、複数の突出部61と第2接続部13との間に生じる摩擦を低減させることができる。
【0041】
周方向に隣り合う第2突出部63は、第1突出部62を間に挟んで配置されている。従って、複数の第2突出部63により、周方向により均等に、第2接続部13を安定して保持することができる。
第2突出部63には、傾斜面63cが形成されている。継手10にキャップ50を取付ける際に、第2接続部13の外周面に第2突出部63の傾斜面63cを接触させる。これにより、複数の第2突出部63が第2接続部13とボディ21との間に案内され、第2接続部13とボディ21との間に複数の第2突出部63を挿入しやすくすることができる。
【0042】
また、本実施形態のキャップ付き継手1によれば、継手10に外力が作用すると、ボディ21が変形する。しかし、隙間S2に変形したボディ21が位置することにより、変形したボディ21が複数の突出部61に接触するのが抑えられる。この際に、複数の第2突出部63は、第2接続部13を保持した状態を維持しやすい。従って、継手10に与えられた外力により、継手10からキャップ50が外れることを防止することができる。
継手10はガイドリング41を備え、複数の突出部61は、ガイドリング41に対する基端側の近傍まで延びている。このため、複数の突出部61により、ガイドリング41が基端側に移動し難い。従って、複数の突出部61により、第2接続部13とボディ21との間からガイドリング41が基端側に飛び出るのを抑制することができる。
【0043】
ここで、図1に示すように、抜け止め部材31の段差43bと抜け止め部材31との軸線O方向の距離を、L7と規定する。ガイドリング41と複数の突出部61との距離を、L8と規定する。
ガイドリング41が抜け止め部材31に接触しないように、複数の突出部61でガイドリング41を押さえることが好ましい。このため、距離L7は距離L8よりも長いことが好ましい。ただし、複数の突出部61でガイドリング41を押し込まないように、距離L8は0よりも長いことが好ましい。前記のように複数の突出部61がガイドリング41に対する基端側の近傍まで延びるために、例えば、距離L8は、0よりも長く、シール部材14の径(シール部材14の軸線O方向の長さ)以下であることが好ましい。
【0044】
なお、継手10にキャップ50を取付けたときに、複数の第1突出部62が、ボディ21の内周面に径方向の内側から接触してもよい。この場合、ボディ21と複数の突出部61との間であって周方向の一部に、隙間が形成される。
【0045】
図5に示す第1変形例のキャップ50Aのように、連結部66に抜き勾配が形成されなくてもよい。
図6に示す第2変形例のキャップ50Bのように、連結部66Aが厚く形成されてもよい。この第2変形例では、連結部66Aの外周縁が、複数の第1突出部62の外接円C1に一致している。
これらキャップ50A,50Bを用いても、本実施形態のキャップ50と同様の効果を奏することができる。
【0046】
図7に示す第3変形例のキャップ50Cは、複数の突出部71として、第1突出部72と、第2突出部73とを備えている。この第3変形例では、第1突出部72及び第2突出部73は、周方向に交互に配置されている。
第1突出部72は、連結部66(連結片67)よりも径方向の内側に突出することなく、径方向の外側のみに突出している。第2突出部73は、連結部66よりも径方向の外側に突出することなく、径方向の内側のみに突出している。
第2突出部73には、本実施形態の第2突出部63の傾斜面63cと同様の傾斜面73aが形成されている。
なお、第1突出部72及び第2突出部73は、周方向に交互に配置されていなくてもよい。第2突出部73には、傾斜面73aが形成されていなくてもよい。継手10の受口(第2接続部13及びボディ21)に当接しない形式的な突出部を、第1、第2突出部72,73のそれぞれが突出している側とは、径方向の逆側に設けてもよい。
【0047】
第3変形例のキャップ50Cによれば、複数の突出部71を構成する第2突出部73だけを、継手10における第2接続部13の外周面に径方向の外側から接触させることができる。一方で、変形したボディ21は第1突出部72に接触するが、第1突出部72が径方向の内側に変形しても、第1突出部72は連結部66よりも径方向の内側に突出していないため第1突出部72が第2接続部13に接触し難いことと、変形したボディ21が第1突出部72よりも第2突出部73に接触し難いことにより、第2突出部73が第2接続部13を保持した状態を維持しやすい。
このため、継手10に与えられた外力により、継手10からキャップ50Cが外れることを、より確実に防止することができる。
なお、複数の突出部71及び連結部66に、前記抜き勾配がそれぞれ形成されてもよい。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、複数の第2突出部63は、間に第1突出部62を挟まずに、周方向に並べて配置されてもよい。複数の第1突出部62についても同様である。
第2突出部63に、傾斜面63cが形成されていなくてもよい。
複数の第2突出部63の径方向の内側の縁部63a、及び複数の第1突出部62の径方向の内側の縁部62aは、径方向において同一の位置の配置されてもよい。複数の第1突出部62の径方向の外側の縁部62b、及び複数の第2突出部63の径方向の外側の縁部63bは、径方向において同一の位置の配置されてもよい。
【0049】
基材は、円板状に形成された基板51であるとした。しかし、基材の形状は支持面が形成されていればこれに限定されない。例えば、基材は、支持面が形成されたブロック状(直方体状)等であってもよい。
継手10は、ガイドリング41を備えなくてもよい。キャップ50は、突起54及び連結部66を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 キャップ付き継手
10 継手
13 第2接続部(内筒部)
21 ボディ(外筒部)
41 ガイドリング(環状部材)
50,50A,50B,50C キャップ
51 基板(基材)
51a 第1面(支持面)
61,71 突出部
62,72 第1突出部
62a,62b,63a,63b 縁部
63,73 第2突出部
63c,73a 傾斜面
66 連結部
O 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7