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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】冷却ファンを内蔵したコネクター
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H01R13/66
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023501612
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 KR2021010897
(87)【国際公開番号】W WO2022085912
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0136066
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン-ギュ
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106099548(CN,A)
【文献】特開平10-118169(JP,A)
【文献】特開2009-266418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66
H01R 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大電流通電が可能なターミナル部材及び前記ターミナル部材を収容するコネクターハウジングを含む大電流用コネクターであって、
前記ターミナル部材に取り付けられる温度センサーと、
前記コネクターハウジングの内部に備えられ、前記ターミナル部材の温度が予め設定した臨界温度よりも高いときに作動するように設けられたファンユニットと、
前記コネクターハウジングの一側に備えられ、前記ファンユニットの作動時、風圧によって開閉される排気カバーと、を含む、大電流用コネクター。
【請求項2】
前記温度センサー及び前記ファンユニットと接続され、前記温度センサーがセンシングした温度データに基づいて前記ファンユニットをオンオフする制御部が前記コネクターハウジングに内蔵された、請求項1に記載の大電流用コネクター。
【請求項3】
前記制御部は、前記ターミナル部材の温度が危険水準として決めた危険温度に到達すると、警告音を出すか、または危険信号を外部装置へ伝送する、請求項2に記載の大電流用コネクター。
【請求項4】
前記制御部は、印刷回路基板として設けられた、請求項2または3に記載の大電流用コネクター。
【請求項5】
前記コネクターハウジングは、
前記ターミナル部材と、前記ターミナル部材の下部に前記ファンユニットが設けられる空間を備えられた下部カバーと、
前記下部カバーの上部に結合し、内側面に前記印刷回路基板が取り付けられている上部カバーと、を含む、請求項4に記載の大電流用コネクター。
【請求項6】
前記印刷回路基板に電気的に接続され、前記上部カバーに形成されるホールの中に挿入されて前記ターミナル部材の温度状態を示す表示灯を含む、請求項5に記載の大電流用コネクター。
【請求項7】
前記下部カバーは、前記ファンユニットの下部に対応する領域に通風口を備え、
前記排気カバーは、前記通風口をカバーするように設けられた、請求項5または6に記載の大電流用コネクター。
【請求項8】
前記排気カバーは、前記下部カバーにダンパーヒンジによって結合した請求項7に記載の大電流用コネクター。
【請求項9】
前記ダンパーヒンジは、トルクが前記排気カバーが閉められる方向へ作用し、前記ファンユニットの最低速度での風圧よりも小さい値を有する、請求項8に記載の大電流用コネクター。
【請求項10】
前記排気カバーが閉められる方向へトルクが作用するように、前記排気カバーに取り付けられたダンパーヒンジを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の大電流用コネクター。
【請求項11】
前記下部カバーで前記排気カバーの縁端と当接する前記通風口の外郭領域に吸着部材がさらに備えられている、請求項7から9のいずれか一項に記載の大電流用コネクター。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の大電流用コネクターを含む、自動車用バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクターに関し、より詳しくは、冷却ファンを内蔵し、前記冷却ファンを自動に制御することでコネクターターミナルの温度が上昇したときにそれを冷却可能なコネクターに関する。
【0002】
本出願は、2020年10月20日出願の韓国特許出願第10-2020-0136066号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近は、携帯型電子機器のような小型装置のみならず、電気自動車のような中・大型装置にも駆動用やエネルギー貯蔵用として二次電池が広く用いられている。二次電池はバッテリーパックに備えられて中・大型装置などに装着され、この際、バッテリーパックの容量及び出力を高めるためにバッテリーパックには複数の二次電池が電気的に接続される。ここで、複数の二次電池は、一つのモジュールケースの内部に収納されて一つのバッテリーモジュールを構成し、一つ以上のバッテリーモジュールが一つのパックケースの内部に収納されることで一つのバッテリーパックを構成することも可能である。
【0004】
バッテリーパックは、コネクターによって負荷や充電器に接続される。ここで、負荷とは、電気自動車のモーターやインバーターのようにバッテリーパックからの電力を受ける装置を指す。前記電気自動車の場合、300V以上の高い電圧と数十~数百A(アンペア)の大電流を必要とする。これによって、バッテリーパックと負荷の接続には、高い熱に耐えられる電源供給用コネクターが使用される。
【0005】
しかし、大電流を持続的に供給するにつれ、電源供給用コネクターの接点部分に発熱がひどくなり、これによって電力効率の低下と発火の危険性がある。そこで、電源供給用コネクターの温度を適切に管理可能な方案が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、大電流の伝送のためのコネクターの温度が上昇する場合、これを冷却させることができる冷却装置を備えるコネクターを提供することを目的とする。
【0007】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明の一実施例による大電流用コネクターは、大電流通電が可能なターミナル部材及び前記ターミナル部材を収容するコネクターハウジングを含む大電流用コネクターであって、前記ターミナル部材に取り付けられる温度センサーと、前記コネクターハウジングの内部に備えられ、前記ターミナル部材の温度が予め設定した臨界温度よりも高いときに作動するように設けられたファンユニットと、前記コネクターハウジングの一側に備えられ、前記ファンユニットの作動時、風圧によって開閉される排気カバーを含み得る。
【0009】
また、前記温度センサー及び前記ファンユニットと接続され、前記温度センサーがセンシングした温度データに基づいて前記ファンユニットをオンオフする制御部が前記コネクターハウジングに内蔵されるように構成され得る。
【0010】
前記制御部は、前記ターミナル部材の温度が危険水準として決めた危険温度に到達すると、警告音を出すか、または危険信号を外部装置へ伝送するように構成され得る。
【0011】
前記制御部は、印刷回路基板として設けられ得る。
【0012】
前記コネクターハウジングは、前記ターミナル部材と、前記ターミナル部材の下部に前記ファンユニットが設けられる空間を備えられた下部カバーと、前記下部カバーの上部に結合し、内側面に前記印刷回路基板が取り付けられている上部カバーと、を含み得る。
【0013】
前記印刷回路基板に電気的に接続され、前記上部カバーに形成されるホールの中に挿入されて前記ターミナル部材の温度状態を示す表示灯を含み得る。
【0014】
前記下部カバーは、前記ファンユニットの下部に対応する領域に通風口を備え、前記排気カバーは、前記通風口をカバーするように設けられ得る。
【0015】
前記排気カバーは、前記下部カバーにダンパーヒンジによって結合し得る。
【0016】
前記ダンパーヒンジは、トルクが前記排気カバーが閉められる方向へ作用し、前記ファンユニットの最低速度での風圧よりも小さい値を有するように構成され得る。
【0017】
前記下部カバーで前記排気カバーの縁端と当接する前記通風口の外郭領域に吸着部材がさらに備えられ得る。
【0018】
なお、本発明の他の様態によれば、上述した大電流用コネクターを含む自動車用バッテリーパックが提供され得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一面によれば、大電流の伝送のためのコネクターの温度が上昇する場合、これを冷却できる冷却装置を備える大電流用コネクターを提供することができる。
【0020】
本発明による大電流用コネクターは、温度センサー、冷却ファン及びそれを制御できる印刷回路基板(制御部)を備え、ターミナルが一定の温度に至ると、自動に冷却ファンが駆動されてターミナルを冷却する。また、ターミナルの温度が危険温度以上に至る場合、前記印刷回路基板が外部装置(例えば、BMS)に信号を伝送して電源供給が遮断されるようにすることで安全性を確保することができる。
【0021】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は本明細書及び図面から本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者にとって明らかに理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例による大電流用コネクターを概略的に示した斜視図である。
図2図1のI-I'による大電流用コネクターを概略的に示した横断面図である。
図3図1のII-II'による大電流用コネクターを概略的に示した縦断面図である。
図4】本発明の一実施例による大電流用コネクターの冷却構造を示した図である。
図5図4のC領域の拡大図である。
図6】本発明の一実施例による大電流用コネクターの主要構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0024】
本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、図面における構成要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または省略されるか、概略的に示されることがある。したがって、各構成要素の大きさや割合は、実際の大きさや割合を完全に反映することではない。
【0025】
本発明による大電流用コネクターは、バッテリーパックに適用される部品の一つであって、バッテリーパックの電源を電気自動車のインバーターやモーターに供給するのに使用され得る。以下の説明は、本発明の大電流用コネクターがバッテリーパックの高電圧、大電流を電気自動車の負荷に供給するのに用いられることを前提としている。
【0026】
しかし、本発明による大電流用コネクターがバッテリーパックの部品の一つとして使用されることで権利範囲が制限されることではない。即ち、本発明による大電流用コネクターは、バッテリーパックの他にも、電源と器機、器機と器機、または器機の内部単位同士を電気的に接続するのに使用され得る。
【0027】
図1は、本発明の一実施例による大電流用コネクターを概略的に示した斜視図であり、図2は、図1のA-A'による大電流用コネクターを概略的に示した横断面図であり、図3は、図1のB-B'による大電流用コネクターを概略的に示した縦断面図である。
【0028】
図1図3を参照すると、本発明の一実施例による大電流用コネクターは、ターミナル部材10、コネクターハウジング20、温度センサー30、ファンユニット40、制御部50及び排気カバー23を含む。
【0029】
ターミナル部材10は、正極ターミナル11及び負極ターミナル12を含み、バッテリーパックの他のコネクターのターミナルに電気的に接続され、大電流が流れる通路として機能する。本実施例のターミナル部材10は、バッテリーパックのターミナルとプラグイン方式で接続及び接続解除可能に一直線のピン型からなっているが、これは例示的であり、前記ターミナル部材10は、一対をなす雌雄コネクターの接続方式によって多様な形状に変更可能である。
【0030】
コネクターハウジング20は、大電流用コネクターの外観を形成する構成要素であって、ターミナル部材10を内側に収容し、前記ターミナル部材10に接続された高電圧ケーブルCは後方へ取り出されるように設けられ得る。
【0031】
本実施例のコネクターハウジング20は、下部カバー21、上部カバー27及びフランジ28を含む。
【0032】
前記下部カバー21は、前記ターミナル部材10を載置及び固定できるように設けられ、下部カバー21の上部に上部カバー27が結合し得る。下部カバー21と上部カバー27はスナップ式で締結され、これらの接触界面には接着剤が介在され得る。
【0033】
前記ターミナル部材10と下部カバー21の底面との間の空間にファンユニット40が設けられ、前記下部カバー21の底面に通風口22が形成され得る。前記通風口22は、平常時には排気カバー23によって閉められた状態で構成される。
【0034】
前記上部カバー27は、前記ターミナル部材10の内側面において前記ターミナル部材10の鉛直上部になる箇所に制御部50が取り付けられるように設けられ得る。例えば、前記制御部50は、印刷回路基板として具現され、前記ターミナル部材10の鉛直上部になる上部カバー27の一領域27aは、前記印刷回路基板と形合わせになる形状で構成され得る。
【0035】
フランジ28は、前記下部カバー21と上部カバー27の前方に結合し得る。前記フランジ28は、正極ターミナル11と負極ターミナル12が挟まれて固定されるブロック部と、下部カバー21と上部カバー27の前方部を囲む形態のブラケット部と、を備え得る。前記ブラケット部のコーナー領域には、ボルトを挿入し得るホールHが備えられ得る。例えば、大電流用コネクターをバッテリーパックの他のコネクターに接続した後、前記フランジ28のホールHに適用可能なボルトで大電流用コネクターを前記他のコネクターのハウジング(図示せず)に固定し得る。
【0036】
温度センサー30は、ターミナル部材10の温度変化をモニターするためのものであって、温度が高くなると、抵抗が増加するPTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)または温度が高くなると、抵抗が減少するNTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)が採用され得る。
【0037】
前記サーミスタは、熱的信号を電気的信号に切り替えるセンサーの役割を果たすものであって、当業界における公知であるので、詳しい説明は省略する。
【0038】
前記温度センサー30は、ターミナル部材10に取り付けられる。本実施例の場合、前記温度センサー30は二つが備えられ、各々正極ターミナル11と負極ターミナル12の少なくとも一領域を囲む形態で取り付けられ、制御部50にワイヤで接続されるように構成され得る。このような温度センサー30は、大電流の通電時、前記正極ターミナル11及び前記負極ターミナル12の温度をセンシングして制御部50へ伝送する。
【0039】
制御部50は、前記温度センサー30がセンシングした温度データに基づいてファンユニット40をオンオフする制御機能を果たすように構成され得る。
【0040】
例えば、制御部50は、有線(図示せず)で電源及び信号をファンユニット40へ伝送可能に接続され、温度センサー30がセンシングした温度データと予め設定した臨界温度を比較して前記温度データが前記臨界温度よりも高くなる場合、ファンユニット40を稼働させるための駆動電源と信号をファンユニット40に供給するように構成され得る。
【0041】
ここで、前記予め設定した臨界温度とは、ターミナル温度上昇で電力効率が低くなる恐れが高くなる温度であって、ターミナル部材10の材質、寸法、大電流の大きさなどによって実験的に決定され得る。
【0042】
また、制御部50は、前記ターミナル部材10の温度が危険水準として決めた危険温度に到達すると、警告音を出すか、または危険信号を外部装置へ伝送するように構成され得る。
【0043】
ここで危険水準として決めた危険温度とは、ターミナル部材10の発熱によってコネクターハウジング20が発火する可能性の高い温度であって、ターミナル部材10とコネクターハウジング20の材質などによって実験的に決定され得る。
【0044】
例えば、正極ターミナル11と負極ターミナル12の温度が上昇し続けて危険温度(例えば、100℃)まで到達すると、制御部50がBMS(Battery Management System)に危険信号を伝送して前記BMSが危険信号に基づいてメインリレー装置の接点をオープンして大電流の流れを遮断するようにし得る。
【0045】
このような制御部50は、印刷回路基板の形態で具現され、前記印刷回路基板には、当業界に知られたプロセッサ、 ASIC(application specific integrated circuit,特定用途向け集積回路)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などが選択的に備えられ得る。
【0046】
前記上部カバー27には、表示灯51a、51bが備えられ得る。前記表示灯51a、51bは、ターミナル部材10の温度状態を示すためのものであって、前記印刷回路基板に電気的に接続され、前記上部カバー27に形成されるホールの中に挿入され得る。
【0047】
例えば、前記表示灯51a、51bは、赤色灯51aと緑色灯51bを含み、緑色灯51bは、ターミナル部材10の温度が前記予め設定した臨界温度より低い場合に発光し、赤色灯51aは、ターミナル部材10の温度が前記予め設定した臨界温度以上である場合に発光するように制御され得る。使用者は、前記表示灯51a、51bの発光有無から現在のターミナル部材10の温度が正常範囲にあるか、または異常範囲になるかを目視で分かる。もし赤色灯51aが発光していることにも拘わらず、ファンユニット40が作動していない場合、制御部50またはファンユニット40に問題があるといえるので、必要な措置を迅速に取り得る。
【0048】
本発明による大電流用コネクターは、高電圧/大電流が流れるとき、ターミナル部材10をファンユニット40によってより効果的かつ迅速に冷却するために、前記ファンユニット40をコネクターハウジング20の中に内蔵している。
【0049】
このようにファンユニット40がコネクターハウジング20に内蔵されることで、ファンユニット40の作動に際し、熱い空気を外部へ排出する通風口22が必要となり、本実施例の場合、前記通風口22が下部カバー21において前記ファンユニット40の下部に対応する領域に備えられている。
【0050】
しかし、前記通風口22は、流体やほこりがコネクターハウジング20の中へ流入する通路として作用し得る。そこで、本発明の大電流用コネクターは、平常時は前記通風口22を閉め、ファンユニット40の作動時のみに選択的に開放されるように構成された排気カバー23を含む。
【0051】
例えば、前記排気カバー23は、下部カバー21にダンパーヒンジ24によって結合し、平常時は閉めた状態を維持し、ファンユニット40の作動時、図4のように風圧によって開放されるように構成され得る。
【0052】
前記ダンパーヒンジ24は、ダンパーと二つの金属片を含み得る。前記ダンパーは、外観を形成する本体と、前記本体の内部に備えられる羽根と、シリコーン油と、羽根と連結されて本体の内外へ延びる回転軸とを含み、前記回転軸に一定の大きさのトルクが作用するように構成され得る。そして、前記二つの金属片は、前記ダンパーの回転軸に連結されてトルクが作用する方向へ回転するように構成され得る。
【0053】
ダンパーヒンジ24の二つの金属片のうちで一つは、下部カバー21の外側面に固定結合し、他の一つは、排気カバー23に固定結合する。この際、ダンパーヒンジ24のトルク方向を排気カバー23が閉められる方向へ設定しておくと、平常時は前記ダンパーヒンジ24のトルクによって通風口22が排気カバー23によって閉められた状態が維持され得る。
【0054】
そして、ダンパーヒンジ24の最大トルクを下部ユニット40の最低速度での風圧よりも小さく設定しておくと、ファンユニット40が作動するとき、風圧によって排気カバー23が開けられるようになり、コネクターハウジング20の中の熱い空気が通風口22から外部へ逃がされ得る。その後、ターミナル部材10の温度が正常温度に戻ると、ファンユニット40の作動が止まり、この際、ダンパーヒンジ24のトルクによって排気カバー23が元の位置に戻り、通風口22が閉められ得る。
【0055】
図4及び図5に示したように、下部カバー21において前記排気カバー23の縁端と当接する前記通風口22の外郭領域に、吸着部材60がさらに備えられ得る。前記吸着部材60は、例えば、衝撃や振動時、排気カバー23の開閉が反復されないように前記排気カバー23を固定する役割を果たす。
【0056】
前記吸着部材60は、シリコーン材質として真空吸着が可能な吸着カップの形状で設けられ得る。前記吸着部材60の取付空間の確保と当該部分におけるシーリング性の向上のために、前記通風口22の外郭領域は段差面T1、T2を有するように構成され、前記排気カバー23の縁端は、前記段差面T1、T2に対応するように構成され得る。
【0057】
このように、本実施例は、ダンパーヒンジ24を適用してファンユニット40の作動時、風圧によって排気カバー23が開閉されるように構成したが、前記ダンパーヒンジ24の代わりにコイルばねを適用することも考慮し得る。
【0058】
続いて、図6を参照して本発明の一実施例による大電流用コネクターの作動メカニズムを簡単に説明すると、以下のようである。
【0059】
大電流用コネクターは、バッテリーパックの一側に備えられている他の電源コネクター100に接続され得る。ここで、前記他の電源コネクター100は、本実施例の大電流用コネクターと雌雄一対をなすコネクターであって、正極ターミナル11及び負極ターミナル12に各々電気的に接続可能な形態の正極プラグ101及び負極プラグ102を含み得る。
【0060】
前記正極/負極プラグと前記正極/負極ターミナル12が接続され、高電圧/大電流が前記正極/負極ターミナル12に流れるようになり、これらの接点部位の温度が上昇し始める。
【0061】
温度センサー30によって前記正極/負極ターミナル11、12の温度変化がセンシングされて制御部50へ伝送される。制御部50は、前記正極/負極ターミナル11、12の温度変化をリアルタイムでモニターして外部装置またはBMS(Battery Management System)へ伝送し得る。この際、前記制御部50と外部装置またはBMSは、有・無線で信号を交わすように構成され得る。
【0062】
前記正極/負極ターミナル11、12の温度が一定の温度以上、即ち、前述した予め設定した臨界温度以上であるとき、制御部50によってファンユニット40が稼働される。この際、ファンユニット40の回転速度は、温度データに基づいて制御部50によって増加または減少するように設定され得る。
【0063】
これによって、正極/負極ターミナル12の温度が臨界温度の以下に低くなり、抵抗損失を減らして電気自動車などの負荷に供給される電力効率を高めることができる。
【0064】
また、正極/負極ターミナル11、12の温度が急上昇するか、またはファンユニット40の稼動にも拘わらず温度が上昇し続けて危険温度に到達する場合、制御部50は、安全のためにBMSに電流遮断信号を伝送する。この際、前記BMSは、リレー装置などを制御して大電流用コネクターへ流れる電流を遮断する。
【0065】
以上、前述した本発明の一実施例による大電流用コネクターの構成と作用によれば、大電流の伝送時、ターミナル部材10を適正な温度に冷却可能であるため、抵抗損失を減らすことで電力効率を向上させることができる。また、非常時、大電流用コネクターから危険信号を外部装置(例えば、BMS)へ伝送して電流を遮断するなどの必要な措置を取ることができる。
【0066】
一方、本発明によるバッテリーパックは、前述した大電流用コネクターを一つ以上含んで構成され得る。前記バッテリーパックは、前記大電流用コネクターの他にも、互いに電気的に接続された複数のバッテリーセルから構成されたバッテリーモジュールと、一つ以上のバッテリーモジュールを内部に収納可能なパックケース、そしてバッテリーモジュールの充放電を制御するための各種装置、例えば、BMS、リレー、電流センサー、ヒューズなどを含み得る。
【0067】
前記バッテリーパックは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用可能である。勿論、前記バッテリーパックは、電力貯蔵装置またはその他のIT製品群などにも適用可能である。
【0068】
以上、本発明の望ましい実施例について図示及び説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、だれでも多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は請求範囲内に含まれる。
【0069】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6