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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】融雪装置の制御システム
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/00 20060101AFI20240618BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240618BHJP
   E01C 11/26 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
E01H5/00 Z
G01W1/00 J
E01C11/26 A
E01C11/26 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024031912
(22)【出願日】2024-03-04
【審査請求日】2024-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521494212
【氏名又は名称】株式会社グリーンワークス
(73)【特許権者】
【識別番号】524082292
【氏名又は名称】合同会社エクサ・ストーン
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田畑 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】大石 悠一郎
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066136(JP,A)
【文献】実開平04-055557(JP,U)
【文献】特開平08-129074(JP,A)
【文献】特開平06-248271(JP,A)
【文献】特開2003-114283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074955(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/00 - 5/12
G01W 1/00 - 1/18
G01B 11/00 - 11/30
G01N 21/84 - 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に設置された融雪装置を制御する制御システムであって、
前記路面に描かれた一定の情報を含む記号部を撮影可能に配置された撮像装置と、
前記撮像装置で撮影した画像を取得し、該画像から前記記号部に含まれる前記情報を認識する制御部と、を備え、
前記記号部に含まれる前記情報には、誤り訂正情報が含まれ、
前記制御部は、前記画像における前記記号部に含まれる前記情報の認識可否に基づき、前記融雪装置に制御信号を出力する融雪装置の制御システム。
【請求項2】
前記記号部は、前記情報を含むバーコードまたは二次元コードである請求項1に記載の融雪装置の制御システム。
【請求項3】
前記融雪装置と前記制御システムは、それぞれ通信網に接続され、
前記制御部は、前記通信網を介して前記融雪装置に前記制御信号を出力する請求項1または2に記載の融雪装置の制御システム。
【請求項4】
前記路面の表面温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサで検出した前記路面の表面温度に応じて、前記制御信号を修正する請求項1または2に記載の融雪装置の制御システム。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記路面の複数箇所に描かれた複数の前記記号部をそれぞれ撮影可能に配置され、
前記制御部は、前記画像における複数の前記記号部に含まれる前記情報のそれぞれの認識可否に基づき、前記融雪装置に制御信号を出力する請求項1または2に記載の融雪装置の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に積雪した雪を溶かす融雪装置を制御するための制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
雪国では、冬期の積雪に対する歩行者や自動車の通路確保のために継続的な除雪を行うため、融雪装置が導入されている。路面に融雪装置を導入することで、必要な箇所の除雪を自動化することができる。一方で、融雪装置は、電気代あるいは燃料費といったランニングコストを要する。このため、融雪装置の電源管理などの制御を自動化することで、ランニングコストの低減が図られている。
【0003】
融雪装置の制御システムとしては、例えば、路面温度や気温の検出、あるいは、大気中の降雪を感知するといった手法で積雪の有無を間接的に判断するものが知られている。これらの手法で、路面に積雪があるものと判断したら、制御システムは融雪装置をオンにし、路面に積雪がないものと判断したら、制御システムは融雪装置をオフにする。しかし、前述の手法を用いて積雪の有無を判断する制御システムにおいては、誤検知を生じる可能性があった。
【0004】
このため、積雪有無判断の精度向上のため、路面を撮影するカメラを設置し、カメラで取得した画像を基に積雪の有無を直接的に判断するシステムも知られている。例えば、カメラで撮影した画像を有人で監視し、積雪の有無に応じて融雪装置を遠隔操作で電源操作するシステムが考えられるが、有人での監視が必要であるため、コストが高く、特に小規模施設での導入が困難である。
【0005】
カメラで撮影した画像を、機械学習や深層学習などによって生成された学習済みモデルで解析し、積雪の有無を判断するシステムも知られている。このような制御システムは、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第7246056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
学習済みモデルを作成するには、路面の特性や状態、積雪の有無などが異なる多数の画像を用意する必要がある。路面の特性としては、路面の色や素材、凹凸、傾斜の有無など多数の要素が関係する。また、路面の状態は、積雪の有無だけでなく、日照の有無や降雨の有無など、多くのパターンが存在する。このため、精度よく積雪の有無を判断できる学習済みモデルを作成することが容易とは言えない。
【0008】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、路面を撮影するカメラなどの撮像装置を用いて簡易な仕組みで積雪の有無を判断できる融雪装置の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る融雪装置の制御システムは、路面に設置された融雪装置を制御する制御システムであって、前記路面に描かれた一定の情報を含む記号部を撮影可能に配置された撮像装置と、前記撮像装置で撮影した画像を取得し、該画像から前記記号部に含まれる前記情報を認識する制御部と、を備え、前記記号部に含まれる前記情報には、誤り訂正情報が含まれ、前記制御部は、前記画像における前記記号部に含まれる前記情報の認識可否に基づき、前記融雪装置に制御信号を出力する。
【0010】
また、本発明に係る融雪装置の制御システムは、前記記号部は、前記情報を含むバーコードまたは二次元コードであってもよい。
【0012】
また、本発明に係る融雪装置の制御システムは、前記融雪装置と前記制御システムは、それぞれ通信網に接続され、前記制御部は、前記通信網を介して前記融雪装置に前記制御信号を出力してもよい。
【0013】
また、本発明に係る融雪装置の制御システムは、前記路面の表面温度を検出する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサで検出した前記路面の表面温度に応じて、前記制御信号を修正するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る融雪装置の制御システムは、前記撮像装置は、前記路面の複数箇所に描かれた複数の前記記号部をそれぞれ撮影可能に配置され、前記制御部は、前記画像における複数の前記記号部に含まれる前記情報のそれぞれの認識可否に基づき、前記融雪装置に制御信号を出力してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る融雪装置の制御システムによれば、路面を撮影する撮像装置を用いて簡易な仕組みで積雪の有無を判断し、融雪装置を制御することができる。このため、融雪装置を積雪時に必要な分だけ動作させることができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の制御システムを構成するカメラと、記号部を有する路面と、融雪装置との配置を示す斜視図である。
図2】本実施形態の制御システムと融雪装置の構成を示すブロック図である。
図3】カメラで撮影した記号部と記号部の位置における路面の断面を示す図であって、(a)は路面に積雪がない状態を、(b)は路面に記号部を薄く覆う程度に積雪した状態を、(c)は路面に厚く積雪した状態を、それぞれ示す図である。
図4】(a)~(d)はそれぞれ変形例に係る記号部の平面図である。
図5】変形例に係る制御システムと融雪装置の構成を示すブロック図である。
図6】第2変形例に係る制御システムを構成するカメラと、記号部を有する路面と、融雪装置との配置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。本実施形態の制御システム10は、路面90の雪を溶かすことのできる融雪装置50に制御信号を送信して、融雪装置50のオン・オフを始めとした動作制御を行うものである。
【0018】
図1に示すように、路面90には、融雪装置50が設置されている。融雪装置50は、加熱によって路面90の雪を溶かし、雪に覆われた路面90を露出させることができる。融雪装置50の加熱方式は限定されないが、例えば電熱線を路面90の下に埋設するもの、あるいは、ボイラ等で加熱された温水を流通させる配管を路面の下に埋設するものとすることができる。融雪装置50は、路面90の一定範囲につき、融雪することができる。
【0019】
路面90には、記号部80が描かれている。記号部80は、道路標示用塗料によって路面90に描くことができる。ただし、記号部80は、路面90において一定の耐久性が確保できれば、その他の手段で描かれていてもよい。記号部80は、一定の情報を含む図形や文字等で構成される。図1における記号部80は、二次元コードであり、文字列の情報を含んでいる。
【0020】
路面90の近傍には、支柱32が立設されており、その上端部には撮像装置としてカメラ30が固定されている。カメラ30は、路面90のうち記号部80を含む領域を上方から撮影できるように配置されている。記号部80は、カメラ30で撮影できる路面90の任意の位置に配置することができる。路面90に積雪があった場合に、記号部80における積雪状況で制御システム10における制御内容が異なることから、記号部80は車両や歩行者が進入しない位置に配置されることが好ましい。
【0021】
図2に示すように、制御システム10は、制御部20とカメラ30および送信部22を有している。カメラ30は、前述のように記号部80を含む路面90を撮影する。制御部20は、カメラ30で撮影した画像を取得し、取得した画像から記号部80に含まれる情報の認識を行う。送信部22は、制御部20から融雪装置50に対する制御信号を送信する。
【0022】
融雪装置50と制御システム10は、それぞれ通信網60に接続されている。送信部22は、通信網60を介して融雪装置50に制御信号を送信することができる。制御システム10は、無線で通信網60に接続されている。これにより、制御システム10を設置する際の配線を少なくすることができる。融雪装置50も、無線で通信網60に接続されていてもよい。なお、制御システム10と融雪装置50は、それぞれ有線で通信網60に接続されていてもよい。
【0023】
制御部20は、一定間隔おきにカメラ30から画像を取得し、この画像内の記号部80に含まれる情報を認識できるか否か、判別する。情報の認識可否は、二次元コードである記号部80に含まれている文字列を復号できるか否かで判別することができる。制御部20は、CPU、メモリ、記憶装置等を含むコンピュータなどで構成することができる。
【0024】
図3(a)に示すように、路面90に描かれている記号部80は、積雪がない状態では上方に露出しているため、カメラ30で撮影した画像には、記号部80が鮮明に撮影されている。このため、制御部20は、記号部80から文字列を復号し、含まれる情報を認識することができる。図3(b)に示すように、路面90に雪100が積もり始めると、記号部80が雪100で覆われ始める。これに伴い、カメラ30で撮影した記号部80は、次第に不鮮明になっていく。記号部80となる二次元コードは、誤り訂正情報を含んでいるため、画像が不鮮明となっても、ある程度までは制御部20において文字列を復号し、情報を認識することができる。図3(c)に示すように、路面90に雪100がさらに積もると、記号部80は雪100で完全に覆われる。この場合、カメラ30で撮影した記号部80は、判別不能となり、文字列を復号できなくなるため、制御部20で情報を認識することはできない。実際には、図3(b)の状態と図3(c)の状態の間で、制御部20は記号部80の情報を認識可能から認識不能となる。記号部80は、誤り訂正情報の強度を設定することができる。誤り訂正情報の強度が高いと、より不鮮明になっても記号部80から文字列を復号できる。記号部80の誤り訂正情報の強度を調整することにより、積雪量に対する記号部80の情報認識可否の感度を調整することができる。
【0025】
制御部20は、カメラ30で撮影した画像において、記号部80に含まれる情報を認識できるか否かに基づき、融雪装置50に対して制御信号を出力する。制御部20は、一定間隔おきにカメラ30から画像を取得する度に、制御信号を出力することができる。この場合、制御部20は、記号部80に含まれる情報を認識できた場合、融雪装置50をオフとする制御信号を出力する。制御部20は、記号部80に含まれる情報を認識できなかった場合、融雪装置50をオンとする制御信号を出力する。
【0026】
制御部20は、前回画像を取得した際と今回画像を取得した際とで情報の認識可否が変化した場合にのみ、制御信号を出力してもよい。下記表1のように、制御部20は、前回画像を取得した際には記号部80から情報を認識でき、今回画像を取得した際には記号部80から情報を認識できなかった場合に、融雪装置50をオンとする制御信号を出力し、前回画像を取得した際には記号部80から情報を認識できず、今回画像を取得した際には記号部80から情報を認識できた場合に、融雪装置50をオフとする制御信号を出力することができる。制御部20は、前回画像を取得した際と今回画像を取得した際のいずれも記号部80から情報を認識できなかった場合、および、前回画像を取得した際と今回画像を取得した際のいずれも記号部80から情報を認識できた場合は、制御信号を出力しない。
【0027】
【表1】
【0028】
制御部20は、過去2回の画像を取得した際における情報の認識可否を参照し、情報の認識可否が変化した場合であって、2回続けて情報の認識可否が連続した場合にのみ、制御信号を出力してもよい。下記表2のように、制御部20は、前々回画像を取得した際には記号部80から情報を認識でき、前回画像を取得した際には記号部80から情報を認識できなかった場合において、今回画像を取得した際に記号部80から情報を認識できなかった場合、前々回から前回の画像取得時に情報の認識可否が変化し、かつ、2回続けて情報の認識可否が連続しているため、融雪装置50をオンとする制御信号を出力する。制御部20は、前々回画像を取得した際には記号部80から情報を認識できず、前回画像を取得した際には記号部80から情報を認識できた場合において、今回画像を取得した際に記号部80から情報を認識できた場合、融雪装置50をオフとする制御信号を出力する。前々回と前回とで情報の認識可否が変化していない場合や、前々回と前回とで情報の認識可否が変化したが前回と今回とで情報の認識可否が再び変化した場合、制御部20は制御信号を出力しない。このように過去2回の情報の認識可否を参照することで、積雪の初期や融雪の完了直前などに、融雪装置50のオン・オフが繰り返されることを抑制できる。また、積雪以外の要因で一時的に情報の認識可否が変化した場合の誤検知を防止できる。
【0029】
【表2】
【0030】
融雪装置50は、オフの状態で制御部20からオンとする制御信号を受けた場合、オンの状態に切り替わる。融雪装置50は、オンの状態で制御部20からオンとする制御信号を受けた場合、または、オフの状態で制御部20からオフとする制御信号を受けた場合、そのままの状態を維持する。融雪装置50は、オンの状態で制御部20からオフとする制御信号を受けた場合、オフの状態に切り替わる。
【0031】
このように、カメラ30で撮影された記号部80に含まれる情報を制御部20が認識できるか否かに基づいて、制御部20が融雪装置50の制御信号を出力するため、本実施形態の制御システム10は、路面90を撮影するカメラ30を用いて簡易な仕組みで積雪の有無を判断し、融雪装置50を制御することができる。これによって、融雪装置50を積雪時に必要な分だけ動作させることができ、ランニングコストの低減を図ることができる。また、記号部80が誤り訂正情報を含む二次元コードであることから、ある程度の積雪があってから融雪装置50をオンにすることができる。このため、自然に溶ける程度の僅かな積雪では融雪装置50を動作させないようにすることができ、融雪装置50のランニングコストのさらなる低減を図ることができる。
【0032】
記号部は、二次元コードには限定されず、何らかの情報を含む任意の図形や文字とすることができる。図4(a)に示すように、記号部83はバーコードであってもよい。バーコードは、二次元コードと同様、一定の情報を含んでいることから、制御部20は、カメラ30で撮影した画像における記号部83に含まれる情報の認識可否に基づき、融雪装置50に制御信号を出力することができる。
【0033】
図4(b)に示すように、記号部84は文字であってもよい。文字は、一定の情報を含んでいることから、制御部20は、文字認識によって、記号部84に含まれる情報の認識可否を判断することができる。文字は、数字であってもよいし、平仮名や片仮名、漢字、アルファベットなど他の種類であってもよい。また、文字数も任意に設定できる。
【0034】
図4(c)に示すように、記号部85は幾何的な図形であってもよい。図4(c)の図形の場合、三重の同心円という情報を含んでいることから、制御部20は、画像のパターン認識によって、記号部85に含まれる情報の認識可否を判断することができる。記号部85の図形は任意に設定することができ、また、複数の図形の組み合わせであってもよい。
【0035】
図4(d)に示すように、記号部86は絵であってもよい。図4(d)の絵の場合、車の絵という情報を含んでいることから、制御部20は、画像のパターン認識によって、記号部86に含まれる情報の認識可否を判断することができる。記号部86の絵は任意に設定することができ、また、複数の絵、図形、あるいは文字との組み合わせ、ARマーカーなどであってもよい。
【0036】
制御システムの変形例について説明する。図5に示すように、制御システム12は、制御部20にカメラ30の他に温度センサ24が接続されてもよい。温度センサ24は、カメラ30が撮影する路面90の領域の表面温度を測定することができる。温度センサ24としては、離れた位置から表面温度を測定できる赤外線カメラ等を用いることができる。ただし温度センサ24はこれに限られず、路面90に設置される温度計などであってもよい。
【0037】
制御部20は、任意のタイミングで温度センサ24から路面90の表面温度を取得することができる。制御部20は、カメラ30から撮影した画像を取得し、記号部80に含まれる情報の認識可否を判断した際に、温度センサ24から取得した路面90の表面温度に応じて、制御信号を修正することができる。例えば、制御部20は、記号部80に含まれる情報の認識可否から融雪装置50をオンにする制御信号を出力する場合に、路面90の表面温度が一定以上である場合は、積雪を誤検知したものとして、制御信号を出力しないようにすることができる。また、制御部20は、融雪装置50の制御信号として、オン・オフ以外に加熱強度を変化させる制御信号を出力することができる。この場合に、制御部20は、温度センサ24から取得した路面90の表面温度が低い場合には融雪装置50の加熱強度を高くする制御信号を、路面90の表面温度が高い場合には融雪装置50の加熱強度を低くする制御信号を、それぞれ出力することができる。また、制御部20は、温度センサ24から取得した路面90の表面温度に応じて、制御信号につきその他の修正を行うようにしてもよい。
【0038】
また、制御システム12では、制御部20と融雪装置50とが通信網を介さず直接接続されている。制御部20と融雪装置50との接続は、無線であってもよいし、有線であってもよい。このように、制御システム12と融雪装置50は、スタンドアローン型として構成されていてもよい。
【0039】
融雪装置50は、路面90の複数領域をそれぞれ加熱できるように構成されていてもよい。図6に示すように、融雪装置50は、路面90の第1領域55と第2領域56のいずれか一方または両方を加熱することができる。路面90には、第1領域55に記号部80が、第2領域56に第2記号部81が、それぞれ描かれている。カメラ30は、記号部80と第2記号部81の両方を撮影できるように支柱32に配置されている。
【0040】
制御部20は、カメラ30から取得した画像における記号部80と第2記号部81に含まれる情報のそれぞれの認識可否に基づき、融雪装置50に制御信号を出力する。制御部20は、路面90の第1領域55に配置された記号部80について、画像から情報を認識できた場合には融雪装置50をオフにする制御信号を、画像から情報を認識できなかった場合には融雪装置50をオンにする制御信号を、それぞれ出力する。また、制御部20は、路面90の第2領域56に配置された第2記号部81について、画像から情報を認識できた場合には融雪装置50をオフにする制御信号を、画像から情報を認識できなかった場合には融雪装置50をオンにする制御信号を、それぞれ出力する。これにより、路面90の領域ごとに積雪の判断をして融雪装置50を制御することができる。また、融雪装置50が路面90の領域ごとにオン・オフを切り替えない場合であっても、複数の記号部80、81の認識可否に基づき、加熱強度の調整を行うなどの制御を行ってもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。上述の実施形態では、制御部20は、カメラ30から取得した画像から記号部80に含まれる情報を認識できるか否かで、積雪の有無を判断しているが、画像解析に機械学習等により作成された学習済みモデルを併用し、積雪の有無をより精度よく判断できるようにしてもよい。上述の実施形態では、撮像装置はカメラ30であるが、記号部80を認識できる撮像装置であればよく、撮像装置は、二次元コードリーダー、あるいはバーコードリーダーなどであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 制御システム
12 制御システム
20 制御部
22 送信部
24 温度センサ
30 カメラ
32 支柱
50 融雪装置
60 通信網
80 記号部
81 第2記号部
90 路面

【要約】
【課題】路面を撮影するカメラなどの撮像装置を用いて簡易な仕組みで積雪の有無を判断できる融雪装置の制御システムを提供する。
【解決手段】路面90に設置された融雪装置50を制御する制御システム10であって、路面90に描かれた一定の情報を含む記号部80を撮影可能に配置されたカメラ30と、カメラ30で撮影した画像を取得し、該画像から記号部80に含まれる情報を認識する制御部20と、を備え、制御部20は、画像における記号部80に含まれる情報の認識可否に基づき、融雪装置50に制御信号を出力する融雪装置50の制御システム10である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6