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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】包装袋用ガス濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/39 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G01N21/39
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019226983
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021096133
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】長田 直樹
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0113465(US,A1)
【文献】特開2018-119894(JP,A)
【文献】特開平10-129736(JP,A)
【文献】特開2013-096919(JP,A)
【文献】特開2012-189386(JP,A)
【文献】特開昭50-011280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01M 3/38
B07C 5/342
B65D 81/20
B65G 43/00 - B65G 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ヘッドから特定波長のレーザー光を、包装袋を透過するように射出し、当該レーザー光を副ヘッドで受光して前記包装袋の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装袋の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定するようにした包装袋用ガス濃度測定装置であって、
前記包装袋を、光が透過可能なフィルムを丸めて互いに重なり合った両側端を背面側でシールして筒体を形成し、当該筒体内に充填物を配置してから、前記筒体内をガス置換すると共に前記筒体の前後両端をシールして密封したピロー包装袋とし、
当該ピロー包装袋の背面側を下にして一つずつ並べて載置し、間欠移送するコンベアを挟んで、コンベアの幅方向の両側に一対のガイドを対向するように配置し、
前記コンベアに載置された前記ピロー包装袋が前記主ヘッドと前記副ヘッドの間に移送されたとき、
前記両ガイドの上端縁部が、互いに前記コンベア側に向かって傾き、当該コンベアを幅方向に沿って断面視したときに前記ガイドがハの字状に前記ピロー包装袋を挟み込んで、当該ピロー包装袋の上部が膨らむことにより、
前記両ガイドの上端縁部から押し出されて露出した前記ピロー包装袋の内部に被測定空間を形成し、
当該被測定空間を前記レーザー光が透過するようにしたことを特徴とする包装袋用ガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記ガイドが、互いに接離自在に形成されたガイドプレートからなり、
当該ガイドプレートが接近して、両ガイドプレートの上端縁部が、互いに前記コンベア側に向かって傾き、当該コンベアを幅方向に沿って断面視したときに前記ガイドプレートがハの字状に前記ピロー包装袋を挟み込むように押さえたとき、
前記ガイドプレートの上端縁部から押し出されて露出した前記ピロー包装袋に前記被測定空間が形成されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装袋用ガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記ガイドが、前記コンベアの長手方向に沿って、上流側が前記ピロー包装袋よりも大きく拡開し、下流方向に向かって前記ガイド間の上端縁部の幅が狭まって、前記コンベアの幅方向に沿って断面視したときに前記ガイドが次第にハの字状に前記ピロー包装袋を挟み込んで押さえるように設置されたガイドプレートからなり、
前記コンベア上を移動する前記ピロー包装袋が、前記ガイドプレートに挟み込まれ、押さえられたとき、
前記ガイドプレートの上端縁部から押し出されて露出した前記ピロー包装袋に前記被測定空間が形成されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装袋用ガス濃度測定装置。
【請求項4】
前記ガイドプレートのそれぞれに、前記レーザー光が透過可能な窓部を所定位置に設け、
前記ガイドプレートが前記ピロー包装袋を挟み込んで押さえ、前記被測定空間を形成したとき、
前記窓部に、前記ピロー包装袋の前記フィルムが密着し、
前記主ヘッドから射出されたレーザー光が、前記窓部と前記被測定空間を通過して、前記副ヘッドに入射するようにしたことを特徴とする請求項2若しくは請求項3に記載の包装袋用ガス濃度測定装置。
【請求項5】
主ヘッドから特定波長のレーザー光を、包装袋を透過するように射出し、当該レーザー光を副ヘッドで受光して前記包装袋の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装袋の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定するようにした包装袋用ガス濃度測定装置であって、
前記包装袋を、光が透過可能なフィルムを丸めて互いに重なり合った両側端を背面側でシールして筒体を形成し、当該筒体内に充填物を配置してから、前記筒体内をガス置換すると共に前記筒体の前後両端をシールして密封したピロー包装袋とし、
当該ピロー包装袋の背面側を下にして一つずつ並べて載置し、間欠移送するコンベアを挟んで、コンベアの幅方向の両側に、互いに接離自在に形成され、前記ピロー包装袋を挟み込んで吸着固定する吸盤装置からなる一対のガイドを対向配置して、
前記コンベアに載置された前記ピロー包装袋が前記主ヘッドと前記副ヘッドの間に移送されたとき、
前記吸盤装置が前記ピロー包装袋を挟み込んで吸着固定し、互いに接近して当該ピロー包装袋を前記コンベアの幅方向両端から互いに中央へ向かって押し合い、前記ピロー包装袋の上部を膨らませて、当該ピロー包装袋の内部に被測定空間を形成するようにしたことを特徴とする包装袋用ガス濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス置換されて密封された包装袋内に残存する特定ガスのガス濃度を測定する包装袋用ガス濃度測定装置に関し、特に包装袋がピロー包装によるものである包装袋用ガス濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、包装工程において、被包装物の保存期間又は賞味期間を縮めるおそれのある特定の酸化原因ガスを含んだ包装袋内の空気を除去して、不活性ガス、たとえば窒素、二酸化炭素等にガス置換してから密封するガス置換包装が行われている。これによって、包装袋内部の酸化原因ガスは除去され、被包装物、特に食品は、長期の保存期間、賞味期間を確保することができる。
そして、ガス置換包装後の検査工程において、酸化原因ガス、特に酸素の濃度が既定値以下であるかどうか検査が行われている。
しかしながら、現在主流である酸素濃度の測定方法は、サンプルとして任意に選択した包装袋に注射針を刺し、包装袋内から吸引した少量のガスの組成を検査する抜き取り検査である。当該抜き取り検査では、注射痕が形成された包装袋は廃棄しなければならない。また、検査精度を上げるためにサンプル数を増やすと検査時間が長くなり、増加する廃棄量によって経済的、時間的損失が増大する不都合があった。
【0003】
これに対し、本願出願人は、包装袋を損傷することなく内部の特定ガスの濃度を測定可能なガス濃度測定装置を開発した。
特開2010-107197に開示されている包装袋のガス濃度測定装置1は、図9に示すように、発信器を有するレーザー発生部2と、当該レーザー発生部2に連接し、レーザー光が射出される主ヘッド3、並びに受信器を有するレーザー受光部4と、当該レーザー受光部4に連接し、レーザー光が入射される副ヘッド5とからなる。相対的に接近及び離隔自在に設けられた主ヘッド3と副ヘッド5は、、一対のグリップ6,6に把持された検査対象の包装袋Bを挟んで、主ヘッド3に対して副ヘッド5が正対するように配置されている。これによって、主ヘッド3から副ヘッド5へ最短距離でレーザー光が包装袋を透過することができ、包装袋内に残留している酸素等の特定ガスの濃度を測定する際に、包装袋の全数について当該包装袋を一切損傷することなく迅速に測定することができるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-107197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のガス濃度測定装置1は、予め成形した包装袋Bが包装機に供給され、当該包装袋Bの袋口近傍の両端をグリップ対6,6で把持し、充填物を充填する包装機に対応したものである。当該包装機の場合、包装袋一つ一つがグリップ対で把持されているため、レーザー式ガス濃度計の主ヘッドと副ヘッドの間に移送したとき、容易に固定することができ、精度の高い測定を行うことができる。
一方、包装機には、包装袋をグリップ対ではなくコンベアで移送するものがある。コンベア上を包装後の包装袋が移送される包装機の一類型として、ピロー包装機が知られている。
当該ピロー包装機は、帯状のフィルムを丸めて、重なり合った両側端を背面側でシールして筒体を形成し、当該筒体内に充填物を配置してから、当該筒体内をガス置換すると共に筒体の前後両端をシールして密封し、前後両端にシール部分を切り離したピロー包装袋を、コンベアで個別に順次移送する包装機である。
当該ピロー包装機の場合、グリップ対で包装袋を個別に把持しておらず、充填物の包装後には、包装袋が個別にコンベア上を移送されるので、ピロー包装袋を上記のガス濃度測定装置1の主ヘッドと副ヘッドの間に位置決めすることが困難である。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、コンベア上を個別に移送される包装袋をレーザー式ガス濃度計で測定することができ、特にピロー包装袋内のガス濃度を測定することができる包装袋用ガス濃度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の包装袋用ガス濃度測定装置は、主ヘッドから特定波長のレーザー光を、包装袋を透過するように射出し、当該レーザー光を副ヘッドで受光して前記包装袋の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装袋の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定するようにした包装袋用ガス濃度測定装置であって、
前記包装袋を、光が透過可能なフィルムを丸めて互いに重なり合った両側端を背面側でシールして筒体を形成し、当該筒体内に充填物を配置してから、前記筒体内をガス置換すると共に前記筒体の前後両端をシールして密封したピロー包装袋とし、
当該ピロー包装袋の背面側を下にして一つずつ並べて載置し、間欠移送するコンベアを挟んで、コンベアの幅方向の両側に一対のガイドを対向するように配置し、
前記コンベアに載置された前記ピロー包装袋が前記主ヘッドと前記副ヘッドの間に移送されたとき、
前記両ガイドの上端縁部が、互いに前記コンベア側に向かって傾き、当該コンベアを幅方向に沿って断面視したときに前記ガイドがハの字状に前記ピロー包装袋を挟み込んで、当該ピロー包装袋の上部が膨らむことにより、
前記両ガイドの上端縁部から押し出されて露出した前記ピロー包装袋の内部に被測定空間を形成し、
当該被測定空間を前記レーザー光が透過するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の包装袋用ガス濃度測定装置は、請求項1に記載の発明において、前記ガイドが、互いに接離自在に形成されたガイドプレートからなり、
当該ガイドプレートが接近して、両ガイドプレートの上端縁部が、互いに前記コンベア側に向かって傾き、当該コンベアを幅方向に沿って断面視したときに前記ガイドプレートがハの字状に前記ピロー包装袋を挟み込むように押さえたとき、
前記ガイドプレートの上端縁部から押し出されて露出した前記ピロー包装袋に前記被測定空間が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の包装袋用ガス濃度測定装置は、請求項1に記載の発明において、前記ガイドが、前記コンベアの長手方向に沿って、上流側が前記ピロー包装袋よりも大きく拡開し、下流方向に向かって前記ガイド間の上端縁部の幅が狭まって、前記コンベアの幅方向に沿って断面視したときに前記ガイドが次第にハの字状に前記ピロー包装袋を挟み込んで押さえるように設置されたガイドプレートからなり、
前記コンベア上を移動する前記ピロー包装袋が、前記ガイドプレートに挟み込まれ、押さえられたとき、
前記ガイドプレートの上端縁部から押し出されて露出した前記ピロー包装袋に前記被測定空間が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の包装袋用ガス濃度測定装置は、請求項2若しくは請求項3に記載の発明において、前記ガイドプレートのそれぞれに、前記レーザー光が透過可能な窓部を所定位置に設け、
前記ガイドプレートが前記ピロー包装袋を挟み込んで押さえ、前記被測定空間を形成したとき、
前記窓部に、前記ピロー包装袋の前記フィルムが密着し、
前記主ヘッドから射出されたレーザー光が、前記窓部と前記被測定空間を通過して、前記副ヘッドに入射するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の包装袋用ガス濃度測定装置は、主ヘッドから特定波長のレーザー光を、包装袋を透過するように射出し、当該レーザー光を副ヘッドで受光して前記包装袋の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装袋の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定するようにした包装袋用ガス濃度測定装置であって、
前記包装袋を、光が透過可能なフィルムを丸めて互いに重なり合った両側端を背面側でシールして筒体を形成し、当該筒体内に充填物を配置してから、前記筒体内をガス置換すると共に前記筒体の前後両端をシールして密封したピロー包装袋とし、
当該ピロー包装袋の背面側を下にして一つずつ並べて載置し、間欠移送するコンベアを挟んで、コンベアの幅方向の両側に、互いに接離自在に形成され、前記ピロー包装袋を挟み込んで吸着固定する吸盤装置からなる一対のガイドを対向配置して、
前記コンベアに載置された前記ピロー包装袋が前記主ヘッドと前記副ヘッドの間に移送されたとき、
前記吸盤装置が前記ピロー包装袋を挟み込んで吸着固定し、互いに接近して当該ピロー包装袋を前記コンベアの幅方向両端から互いに中央へ向かって押し合い、前記ピロー包装袋の上部を膨らませて、当該ピロー包装袋の内部に被測定空間を形成するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る包装袋用ガス濃度測定装置によれば、コンベアに載置された包装袋が主ヘッドと副ヘッドの間に移送されたとき、両ガイドが、フィルムを丸めて重なり合った両側端を背面側でシールして、充填物を充填してから前後両端をシールして切り離したピロー包装袋を、コンベアを幅方向に沿って断面視したときにガイドの上端縁部が互いにコンベア側に倒れ込むように構成した当該ガイドがハの字状に挟み込んで、コンベア上に背面側を下にして載置した当該ピロー包装袋の上部が膨らむことにより、ピロー包装袋の内部に形成された被測定空間をレーザー光が透過するようにした。
これによって、充填物に遮られることなく、レーザー光を主ヘッドから副ヘッドへ透過させることができ、レーザー式ガス濃度計でコンベア上を移送される包装袋内のガス濃度を測定することができる。
これによって、充填物を個別包装し、コンベア上を個別に移送されるピロー包装袋の袋内をレーザー式ガス濃度計で測定することができる。
そして、ピロー包装袋を挟み込こむ両ガイドを互いに接離自在なガイドプレートから構成することが好ましい。当該ガイドプレートの上端縁部が互いにコンベア側へ傾いて、当該コンベアの幅方向に沿って断面視したときにガイドプレートがハの字状にピロー包装袋を挟み込んで押さえることによって、ピロー包装袋の上部を膨らませることができ、ピロー包装袋内部に被測定空間を形成することができる。
また、ピロー包装袋を挟み込こむ両ガイドを、コンベアの長手方向に沿って上流側が大きく拡開し、下流方向に向かってガイド間の上端の幅が狭まって、コンベアの幅方向に沿って断面視したときにガイド上端縁部が次第にハの字状にピロー包装袋を挟み込んで押さえるガイドプレートから構成することが好ましい。当該ガイドプレートがピロー包装袋を挟み込むように押さえることによって、ピロー包装袋の上部を膨らませることができ、ピロー包装袋内部に被測定空間を形成することができる。
さらに、接近して押さえ込むガイドプレート、または固定され上端の幅が狭まるガイドプレートのいずれにも、レーザー光が透過可能な窓部を所定位置に設けるようにすることが好ましい。そして、ガイドプレートがピロー包装袋を挟み込んで押さえたとき、ピロー包装袋のフィルムが窓部に密着するようにした。これによって、ピロー包装袋内のガス濃度を測定するとき、大気雰囲気下の影響を極力排除することができ、より一層正確にガス濃度を測定することができる。
【0013】
また、本発明に係る包装袋用ガス濃度測定装置によれば、コンベアに載置された包装袋が主ヘッドと副ヘッドの間に移送されたとき、両ガイドが、フィルムを丸めて重なり合った両側端を背面側でシールして、充填物を充填してから前後両端をシールして切り離したピロー包装袋を挟み込んで、コンベア上に背面側を下にして載置した当該ピロー包装袋の上部が膨らむことにより、ピロー包装袋の内部に形成された被測定空間をレーザー光が透過するようにした。
これによって、充填物に遮られることなく、レーザー光を主ヘッドから副ヘッドへ透過させることができ、レーザー式ガス濃度計でコンベア上を移送される包装袋内のガス濃度を測定することができる。
これによって、充填物を個別包装し、コンベア上を個別に移送されるピロー包装袋の袋内をレーザー式ガス濃度計で測定することができる。
そして、ピロー包装袋を挟み込む両ガイドを互いに接離自在で、当該ピロー包装袋を吸着固定する吸盤装置から構成するようにした。当該吸盤装置がピロー包装袋を挟み込んで吸着固定し、互いに接近してピロー包装袋を両側から押したとき、ピロー包装袋の上部を膨らませることができ、ピロー包装袋の内部に被測定空間を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図である。
図2】第1実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示すコンベアの長手方向に沿った側面図である。
図3】第1実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示すコンベアの幅方向に沿った側面図である。
図4】第1実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置のレーザー式ガス濃度計の構成の概略を説明する説明図である。
図5】第1実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置について、他のガイドの構成の概略を示すコンベアの幅方向に沿った側面図である。
図6】第1実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置に用いられるピロー包装袋の構成の概略を示す説明図である。
図7】第2実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図である。
図8】第3実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図である。
図9】従来の包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示す側面図である。
【実施例1】
【0015】
本発明に係る包装袋用ガス濃度測定装置の実施例を、添付した図面にしたがって説明する。図1は本実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は本実施例に係る包装袋用ガス濃度測定装置の構成の概略を示す側面図である。
【0016】
包装袋用ガス濃度測定装置10は、コンベア11と、2台のレーザー式ガス濃度計12A,12Bと、一対のガイド13を有している。
コンベア11は、レーザー式ガス濃度計12A,12B、及びガイド対13,13に挟まれ、レーザー式ガス濃度計12A,12Bに包装袋Bを移送する測定コンベア11aと、当該測定コンベア11aに包装袋Bを一つずつ供給する供給コンベア11bからなる。
測定コンベア11aは、始端側に従ロータ14a、終端側に主ロータ14bを有し、当該主従ロータ14a,14b間に所定の張力で張設された測定送りベルト15を有している。
当該測定送りベルト15上には、複数個のストッパー16が所定の間隔で複数個立設配置されている。当該ストッパー16は、包装袋Bを移送し終わった後、測定送りベルト15に対して倒伏するようにしても良い。本実施例に係るストッパー16は、測定送りベルト15上に100mm間隔で配置されている。
主ロータ14bは、間欠動作するステッピングモータ14cにより順方向へ間欠回転するように形成されている。これによって、測定送りベルト15は、測定コンベア11aの始端から終端に向って包装袋Bを順方向に間欠送りすることができる。本実施例に係るステッピングモータ14cは、回動時間0.8秒、停止時間0.7秒の周期で間欠動作し、40rpmの回転数で順方向に回転するように形成されている。
【0017】
供給コンベア11bは、始端側に主ロータ(図示略)、終端側に従ロータ20を有し、当該主従ロータ間に所定の張力で張設された供給送りベルト21を有している。供給コンベア11bの終端側は、測定コンベア11aの始端に連接している。これによって、供給コンベア11bから測定コンベア11aへ包装袋Bを送ることができる。
供給コンベア11bの主ロータは、連続動作するモータ(図示略)により順方向へ連続回転するように形成されている。これによって、供給送りベルト21は、供給コンベア11bの始端から終端に向って包装袋Bを順方向に連続送りすることができる。本実施例に係るモータは、80rpmの回転数で順方向に回転するように形成されている。
本実施例に係るコンベア11は、供給コンベア11bが、供給送りベルト21上に包装袋Bを100mmピッチで配置し、80rpmのモータ回転数にしたがって包装袋Bを測定コンベア11aへ供給するように構成されている。対して、本実施例に係る測定コンベア11aは、ストッパー16が100mm間隔で立設され、40rpmのステッピングモータ回転数にしたがって、間欠動作するように構成されているので、供給コンベア11bから100mmピッチで送られる包装袋Bが2つずつ、すなわち、100mm×2の200mmピッチで供給され、当該200mmピッチで測定送りベルト15は、測定コンベア11aの始端側から終端に向って包装袋Bを2つずつ間欠送りするように形成されている。
なお、本実施例に係る包装袋Bの送りピッチは、上記の例に限定されることなく、包装袋Bの大きさ等に合わせて任意に設定することができる。
【0018】
上記のように、本実施に係る測定コンベア11aは、包装袋Bを2つずつのピッチで間欠送りするように形成されている。そのため、本実施例に係るレーザー式ガス濃度計12A,12Bは、包装袋Bを2つずつ測定するため、測定コンベア11aに沿って2台並設されている。これによって、包装袋Bを間欠ピッチ一回ごとに2つ測定することができるので、測定効率を上げることができる。すなわち、本実施例に係るガス濃度測定装置10によれば、一回に2つずつ包装袋を測定するように構成したが、これに限定されることなく、測定効率を上げるために、間欠ピッチ1回につき、3つずつ又はそれ以上測定するように構成することも可能である。
【0019】
上記のように、2台のレーザー式ガス濃度計12A,12Bは、同じものであるから、以下レーザー式ガス濃度計12として説明する。
レーザー式ガス濃度計12は、図3に示すように、測定コンベア11aを挟んで対向配置された主ヘッド25と副ヘッド26を有している。主ヘッド25は、特定波長のレーザー光を射出可能に形成されている。副ヘッド26は、主ヘッド25から射出されたレーザー光が、測定コンベア11a上の包装袋Bを通過してから、受光するように構成されている。
特定波長のレーザー光が、包装袋B内に残留している測定対象の特定ガスによって吸収されたとき、副ヘッド26で受光したレーザー光の吸光度に基づいて、包装体B内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することができる。
【0020】
主ヘッド25は、図1及び図3に示すように、レーザー光源27と、当該光源から射出するレーザー光の波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部28とを有している。
レーザー光源27は、波長が可変可能なダイオードからなる半導体レーザー素子(図示略)を備え、近赤外領域のレーザー光を出力可能に形成されている。
制御部28は、半導体レーザー素子から出力されるレーザー光の波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光が所定の入射光強度で射出されるように増幅する制御を行うように形成されている。
ここで、本実施例に係るレーザー式ガス濃度計12が測定する特定ガスは、酸素ガス(O)である。当該酸素ガス固有の吸収波長帯は760nm帯であり、当該吸収波長帯に含まれる複数の吸収線のうち、一の吸収線に係る特定波長がレーザー光の出力波長として選択される。
【0021】
主ヘッド25は、レーザー光源27に連接する鏡胴29を有し、当該鏡胴29の包装袋Bと対向するレーザー出射口29aには、近赤外領域の光を通しやすいサファイヤガラスが嵌め込まれている。
鏡胴29には、ガスバルブ(図示略)が設けられている。これによって、鏡胴29内の大気を真空化又は所定のガスへガスパージすることができ、鏡胴内を真空で維持したり、或いは窒素ガス、又は二酸化炭素或いはこれらに類する不活性ガス類で満たすことができる。そのため、レーザー光は、レーザー光源27からレーザー出射口29aを通じて射出されるまでの間に、鏡胴29内で特定ガス、本実施例においては酸素ガスに吸収されることを防止することができるので、ガス濃度測定の精度を向上させることができる。
【0022】
副ヘッド26は、図1及び図3に示すように、包装袋Bを透過したレーザー光を受光する受光センサ30と、当該受光センサからの受光信号に基づいて、ガス濃度を測定する測定部31とを有している。
受光センサ30は、包装袋Bを透過したレーザー光の透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、たとえば、フォトダイオード(図示略)を有している。これによって、包装袋Bを透過したレーザー光の透過光強度を電気的に処理することができる。
測定部31は、透過光強度に係る透過光信号と、主ヘッド25から出力されたレーザー光の入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて包装袋B内の特定ガスの濃度を測定するように形成されている。
【0023】
フォトダイオードを内蔵した受光センサ30は、包装袋Bと対向するレーザー受光口30aに、鏡胴29と同様に、近赤外領域の光を通しやすいサファイヤガラスが嵌め込まれている。
受光センサ30のケーシングにもまた、鏡胴29と同様に、ガスバルブ(図示略)が設けられている。これによって、受光センサ30内の大気を真空化又は所定のガスへガスパージすることができ、受光センサ30内を真空で維持したり、或いは窒素ガス、又は二酸化炭素或いはこれらに類する不活性ガス類で満たすことができる。そのため、レーザー光は、レーザー受光口30aからフォトダイオードで受光されるまでの間に、受光センサ30内で特定ガス、本実施例においては酸素ガスに吸収されることを防止することができるので、ガス濃度測定の精度を向上させることができる。
【0024】
このように、レーザー式ガス濃度計12は、図1又は図3に示すように、主ヘッド25からレーザー光を射出し、当該レーザー光を測定対象の包装袋Bに透過させて、副ヘッド26で包装袋Bを透過したレーザー光を受光するように構成されている。
【0025】
ここで、レーザー式ガス濃度計12は、波長可変半導体レーザー吸収分光法によって、所定のセル内に封じられた特定ガスのガス濃度を分析する計器である。
波長可変半導体レーザー吸収分光法(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:TDLAS)とは、図4に示すように、レーザー光源の半導体レーザー素子から出力されたレーザー光に係る所定の入射光強度と、測定対象となる特定ガスを含んだ気体を封じたセルを透過して、当該特定ガスに吸収された透過後のレーザー光に係る透過光強度とから透過率を求めて、透過率に基づくレーザー光の吸光度からガス濃度を測定する方法である。
本実施例に沿っていえば、主ヘッド25から出力したレーザー光を、酸素ガスが混入したおそれのある窒素ガスで満たされた包装袋Bを透過させて、酸素ガスに吸収された透過後のレーザー光を副ヘッド26で受光し、透過光強度から透過率を求めて、当該透過率に基づくレーザー光の吸光度からガス濃度を測定する方法である。
【0026】
酸素ガス、窒素ガス等の気体は、それぞれ固有の吸収波長帯を有し、当該吸収波長帯にはより強く光を吸収する波長に係る吸収線が複数本含まれていることが知られている。TDLASは、出力するレーザー光の近赤外領域の波長を、測定対象となる特定ガスの複数本の吸収線のうち、一本の吸収線に係る特定波長に合致するように変調し、増幅するように構成されている。そして、セルの透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいてレーザー光の吸光度を求めてガス濃度を測定している。なお、本実施例において測定対象ガスは酸素ガスであって、当該測定対象ガスを封じるセルは包装袋である。また、酸素ガス固有の吸収波長帯は760nm帯であり、当該吸収波長帯に含まれる複数の吸収線のうち、一の吸収線に係る特定波長がレーザー光の出力波長として選択される。
【0027】
波長可変半導体レーザー吸収分光法(TDLAS)は、ランバート・ベールの法則に基づいてガス濃度を測定するものである。ランバート・ベールの法則とは、図4に示すように、入射光強度をI0、包装袋Bを透過した透過光強度をIt、入射光に対する透過光の透過率をTとして、光路長をL、ガス濃度をCとすると,特定波長の吸収スペクトルで射出されたレーザー光の吸光度Aとの間に、数式1が成立する関係である。ここでεは測定対象となる所定のガスがレーザー光を吸収する固有の吸収係数である。
【0028】
【数1】
【0029】
測定コンベア11aを挟んで対向する主ヘッド25のレーザー出射口29aと副ヘッド26のレーザー受光口30aとの間の距離から、光路長Lは容易に求めることができる。そのため、入射光に対する透過光の透過率T、または包装袋B内で酸素ガスに吸収されたレーザー光の特定波長に係る吸収スペクトルの吸光度Aを得ることが出来れば、包装袋B内に残留している酸素ガスに係るガス濃度Cを求めることができる。
ここで、酸素ガスは包装袋Bに密封されているから、ガス濃度Cを定量測定する場合、入射光に対する透過光の透過率T又は吸収スペクトルの吸光度Aが大きく変化するように、すなわち、吸光度Aに比例する光路長Lを長くするとガス濃度の検知感度を向上させることができる。
すなわち、図1に示した本実施例に係るレーザー式ガス濃度計12A,12Bは、副ヘッド26のレーザー受光口30aを主ヘッド25から射出されるレーザー光の光軸上に配置したが、これに限定されず、たとえば、反射鏡を設けて、主ヘッド25と副ヘッド26間でレーザー光を複数回反射させたり、また、レーザー光線が包装袋を斜めに横断するようにレーザー光を通過させて、光路長Lを長く確保するようにしても良い。
このように検知感度を向上させることによって、たとえば数ppmレベルのガス濃度まで検知できるように検知可能範囲を広げた場合、数%レベルのガス濃度の測定は容易に行うことができ、その測定精度を大きく向上させることができる。
【0030】
ガイド13は、測定コンベア11aの幅方向の両側に対向配置され、互いに接離自在に形成された一対のガイドプレート13a,13bからなる。一のガイドプレート13aは、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25の近傍に配置され、他のガイドプレート13bは、副ヘッド26の近傍に配置されている。両ガイドプレート13a,13bは、図3に示すように、互いに上端が測定コンベア11a側に傾くように配置されている。これによって、両ガイドプレート13a,13bが互いに接近して包装袋Bに接したとき、図3に示すように、両ガイドプレート13a,13bは、ハの字状にガイド対象の包装袋Bを挟み込むように構成されている。このとき、包装袋Bは両ガイドプレート13a,13bにより測定コンベア11aの測定送りベルト15側に向って押さえ込まれるので、ガイドプレート13a,13bは、包装袋Bの上部を膨らませることができる。
このように、包装袋Bの上部を膨らませることによって、包装袋B内で充填物が妨げにならない空間を形成することができる。当該空間にレーザー光を透過させることによって、包装袋B内の酸素ガスのガス濃度を測定することができる。したがって、包装袋Bの上部を膨らませて形成される当該空間を被測定空間と称する。当該被測定空間は、図2又は図3に示すように、ガイドプレート13a,13bの上端縁から露出するように形成されている。このようにガイドプレート13a,13bの上端縁から露出した被測定空間に対してレーザー光を投射することによって、ガス濃度を測定することができる。
【0031】
また、図5に示すように、ガイドプレート13a,13bを上方へ大きく形成し、一のガイドプレート13aの所定の位置に、主ヘッド25から射出されるレーザー光が透過可能な窓部35aを設け、他のガイドプレート13bには、一のガイドプレート13aに設けた窓部35aと対向する位置に、レーザー光が透過可能な窓部35bを設けて、当該窓部35を透過したレーザー光を副ヘッド26で受光するような構成にしても良い。
このとき、一のガイドプレート13a側の窓部35aに鏡胴29先端部のレーザー射出口29aを重ね合わせて当接させると共に、他のガイドプレート13b側の窓部35bに受光センサ30先端部のレーザー受光口30aを重ね合わせて当接させるように構成することが好ましい。
これによって、ガイドプレート13a,13bが包装袋Bを押さえ込んで上部を膨らませたとき、包装袋Bを両ガイドプレート13a,13bの窓部35a,35bに密着させることができる。さらに窓部35a,35bは、鏡胴29のレーザー射出口29aと受光センサ30のレーザー受光口30aにそれぞれ重ね合わされて当接されているので、レーザー光を透過させる被測定空間の前後で大気の影響を極力排除することができる。そのため、酸素ガスのガス濃度を測定するときの測定精度を向上させることができる。
【0032】
さらに、図3に示すように、ガイドプレート13a,13bが互いに接近するタイミングに合わせて、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25に対して副ヘッド26を接近させるように構成しても良い。このように、主ヘッド25及び副ヘッド26と包装袋Bの外装フィルムとの隙間を小さくすることによって、被測定空間の光路長に対して、被測定空間以外の光路長を短くすることができる。このように構成することで、レーザー光を透過させる被測定空間の前後で大気の影響を極力排除することができるので、酸素ガスのガス濃度を測定するときの測定精度を向上させることができる。
【0033】
ここで、本実施例に係る包装袋Bは、図6に示すように、ピロー包装袋と呼ばれるものであることが好ましい。ピロー包装袋Bは、帯状のフィルムから形成されている。当該フィルムは光、特に本実施例に係る近赤外領域のレーザー光が透過可能であることが好ましい。帯状のフィルムは図1に示す供給コンベア11bの幅方向両端側から丸められ、重なり合った両側端を背面側でシールして、背面シール部40を有する筒体が形成される。そして、当該筒体内には、充填物が所定間隔で充填され、図1に示す供給コンベア11bの長手方向に沿って配置される。その後、筒体内を窒素ガス等の不活性ガスでガス置換(ガスパージ)するとともに、筒体は、図1に示す供給コンベア11bの長手方向に沿って、充填物の前後間がシールされ密封される。充填物の前後に形成され、連接している前シール部41と後シール部42を切り離して、図6に示すような、背面側に背面シール部40を有し、充填物の前後に前シール部41と後シール部42を有するピロー包装袋Bが形成される。
充填物が充填されたピロー包装袋Bは、図1に示すように、供給コンベア11bに背面側の背面シール部40を下にして載置され、供給コンベア11bから測定コンベア11aに移動したときもまた、背面側を下にして移動し、測定コンベア11aの測定送りベルト上で背面側を下に向けて移送される。
これによって、フィルムが重なり合っている背面シール部40でレーザー光が散乱されたり、また乱反射することを防止することができるので、測定精度を向上させることができる。また加えて、フィルムを重ね合わせた背面シール部40を下に向けたのは、これは当該背面シール部40が上を向いている場合に、ガイドプレート13a,13bでピロー包装袋Bを挟み込んだとき、背面シール部40の剛性が他のフィルム部分よりも高いために撓み難く、ピロー包装袋Bの上部を上手く膨らませることが出来なくなるおそれがあるからである。
【0034】
上記の構成を有するガス濃度測定装置10は、以下のように動作する。
充填物が充填されたピロー包装袋Bは、80rpmで回転する主ロータによって送られる供給送りベルト21上を100mmピッチで整列して供給コンベア11bの終端に向って移送される。
そして、ピロー包装袋Bは、100mm間隔で立設されたストッパー16で区画形成され、40rpmで回転する主ロータ14bによって送られる測定送りベルト15に対して、供給コンベア11bの終端から測定コンベア11aの始端へ、100mmピッチ×2のタイミングで2つずつ送られる。これによって、ストッパー16で区画形成されたエリア毎に1つずつピロー包装袋Bを配置させることができる。
【0035】
測定コンベア11aに載置されたピロー包装袋Bは、図1に示すように、測定送りベルト15を挟んで2台連なって配置されているレーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25と副ヘッド26の間に移送される。
2つずつ間欠移送されるピロー包装袋Bのうち、一のピロー包装袋Bが、レーザー式ガス濃度計12Aの主ヘッド25と副ヘッド26の間に移送され、他のピロー包装袋Bが、レーザー式ガス濃度計12Bの主ヘッド25と副ヘッド26の間に移送されたとき、両ガイドプレート13a,13bが互いに接近して、両ピロー包装袋Bを挟み込み、両ピロー包装袋Bの上部が膨らまされて、被測定空間が形成される。
【0036】
図3に示すように、ガイドプレート13a,13bが互いに接近するタイミングにあわせて、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25に対して副ヘッド26が接近するように構成されているので、図3に示すように、ガイドプレート13a,13bが互いに接近したとき、主ヘッド25と副ヘッド26が被測定空間を挟んで対向する。そして、間欠移送している測定コンベア11aが停止している間、主ヘッド25からレーザー光が射出され、被測定空間を透過して、副ヘッド26で受光される。その後、ピロー包装袋B内部の残留酸素ガスのガス濃度が計測され、当該ガス濃度が基準値を超えるようなピロー包装袋Bは、不合格として本実施例に係るガス濃度測定装置10を備えたピロー包装袋Bの検査工程から排出される。
【実施例2】
【0037】
次に、第1実施例と相違する構成を有するガス濃度測定装置の実施例を添付した図面にしたがって説明する。図7は、第2実施例に係るガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図である。
ここで、第1実施例に係るガス濃度測定装置10と第2実施例に係るガス濃度測定装置10Aの相違点は、ガイドの構成に関する点である。なお、コンベア11、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの構成については第1実施例と同様であるから、説明を省略する。
【0038】
第2実施例に係るガス濃度測定装置10Aが有するガイドは、一対のガイドプレート13c,13dからなる。ガイドプレート13c,13dは、図7に示すように、上端縁が大きく弓なりに反りつつ、捻じれるように形成されている。
そのため、一のガイドプレート13cを、主ヘッド25側の測定コンベア11a脇に固定し、他のガイドプレート13dを、副ヘッド26側の測定コンベア11a脇に固定したとき、両ガイドプレート13c,13dは、上端縁部の間隔が測定コンベア11aの長手方向に沿って、上流側がピロー包装袋Bよりも大きく拡開し、下流方向に向かって漸次狭まるように構成され、かつ、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25と副ヘッド26の間へ近づくにつれて、ピロー包装袋Bを挟み込んで押さえるように、互いに対向するガイドプレート13c,13dの上端縁が測定コンベア11a側に倒れ込むように構成されている。
したがって、両ガイドプレート13c,13dは、当該ガイドプレート13c,13d間を移送されるピロー包装袋Bが下流方向へ進むにつれて前後シール部41,42を折り畳んで挟み込み、当該ピロー包装袋Bの上部を膨らませることができるので、主ヘッド25と副ヘッド26の間にピロー包装袋Bが移送されたとき、当該ピロー包装袋Bの内部に被測定空間を形成することができる。
【0039】
本実施例に係るガイドプレート13c、13dもまた、第1実施例のガイドプレート13a,13bのバリエーションのように、一のガイドプレート13cの所定の位置に、主ヘッド25から射出されるレーザー光が透過可能な窓部を設け、他のガイドプレート13dには一のガイドプレート13cに設けた窓部と対向する位置に、レーザー光が透過可能な窓部を設けて、当該窓部を透過したレーザー光を副ヘッド26で受光する構成にしても良い。
さらに、一のガイドプレート13c側の窓部に鏡胴29のレーザー射出口29aを重ね合わせて当接させると共に、他のガイドプレート13d側の窓部に受光センサ30のレーザー受光口30aを重ね合わせて当接させるように構成することが好ましい。
これによって、両ガイドプレート13c,13dがピロー包装袋Bを押さえ込んで上部を膨らませたとき、ピロー包装袋Bのフィルムを両ガイドプレート13c,13dに設けた窓部に密着させることができる。さらに窓部は、鏡胴29のレーザー射出口29aと受光センサ30のレーザー受光口30aにそれぞれ当接していることから、レーザー光を透過させる被測定空間の前後で大気の影響を極力排除することができる。そのため、酸素ガスのガス濃度を測定するときの測定精度を向上させることができる。
【0040】
上記の構成を有するガス濃度測定装置10Aの動作は、測定コンベア11a上を移送されてきたピロー包装袋Bがレーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25と副ヘッド26の間に移送されたとき、当該ピロー包装袋Bの上部に形成された被測定空間をレーザー光が透過して、ピロー包装袋B内の残留酸素ガス濃度を測定する一連の流れについては、第1実施例に係るガス濃度測定装置10と同様である。
しかし、第2実施例に係るガス濃度測定装置10Aでは、測定コンベア11a上をピロー包装袋Bが移送されるにつれて、測定コンベア11aを挟んで対向配置され、当該測定コンベア11a脇に固定されたガイドプレート13c,13dの間にピロー包装袋が次第に挟み込まれ、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25と副ヘッド26の間に移送されたときには、ピロー包装袋Bの上部に被測定空間が形成されるように構成した。
このように、第2実施例に係るガス濃度測定装置10Aは、互いに接離自在に形成された第1実施例に係るガイドプレート13a,13bと比して、装置の部品点数を少なくすることができる。すなわち、充填する製品によってピロー包装袋Bの大きさが長期間変わらないような場合は、本実施例のように固定型のガイドプレート13c,13dを用いることによって、部品点数を抑えてメンテナンスフリーとすることができるので、コストを抑えることができる。
【実施例3】
【0041】
次に、第1実施例又は第2実施例と相違する構成を有するガス濃度測定装置の実施例を添付した図面にしたがって説明する。図8は、第3実施例に係るガス濃度測定装置の構成の概略を示す側面図である。
ここで、第1実施例及び第2実施例に係るガス濃度測定装置10,10Aと、第3実施例に係るガス濃度測定装置10Bの相違点は、ガイド13の構成に関する点である。なお、コンベア11、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの構成については第1実施例と同様であるから、説明を省略する。
【0042】
第3実施例に係るガス濃度測定装置が有するガイド13は、一対の吸盤装置13e,13fからなる。一の吸盤装置13eは、図1に示すレーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25近傍に配置され、他吸盤装置12fは、レーザー式ガス濃度計12A,12Bの副ヘッド26近傍に配置される。吸盤装置13e,13fは、少なくとも一つ、好ましくは複数個の進退自在に形成された吸盤45を有している。吸盤45は、吸着対象のピロー包装袋Bを脱着自在に構成されている。これによって、吸盤装置13e,13fは、ピロー包装袋Bを所定の位置で自在に脱着することができる。すなわち、ピロー包装袋Bが主ヘッド25と副ヘッド26の間に移送されたとき、吸盤45がピロー包装袋Bの所定箇所を吸着することによって、吸盤装置13e,13fはピロー包装袋Bを主ヘッド25と副ヘッド26の間で固定することができる。
互いに対向する吸盤装置13e,13fがピロー包装袋を吸着固定し、進退自在に形成された吸盤45が測定コンベア11aの幅方向両端から中央に向って双方からピロー包装袋Bを押し合うことによって、ピロー包装袋Bの上部を膨らませることができ、ピロー包装袋B内部に被測定空間を形成することができる。
【0043】
上記の構成を有するガス濃度測定装置10Bの動作は、測定コンベア11a上を移送されてきたピロー包装袋Bがレーザー式ガス濃度計12A,12Bの主ヘッド25と副ヘッド26の間に移送されたとき、当該ピロー包装袋Bの上部に形成された被測定空間をレーザー光が透過して、ピロー包装袋B内の残留酸素ガス濃度を測定する一連の流れについては、第1実施例に係るガス濃度測定装置10と同様である。
しかし、第3実施例に係るガス濃度測定装置10Bでは、測定コンベア11aを挟んで対向配置された吸盤装置13e,13fの間にピロー包装袋Bが移送されてきたとき、当該ピロー包装袋Bを吸盤45が吸着固定して、測定コンベア11aの幅方向両端の双方から押し合うことにより、ピロー包装袋Bの上部に被測定空間が形成されるように構成した。
このように、第3実施例に係るガス濃度測定装置10Bは、第1実施例に係るガイドプレート13a,13bでピロー包装袋Bを挟み込んだり、また第2実施例に係るガイドプレート13c,13d間でピロー包装袋Bを摺動させて挟み込んだりするようにした構成と比べて、測定コンベア11a上に載置されているピロー包装袋Bの表裏や前後左右の向きに関わらず、どのような向きであっても、吸盤45にピロー包装袋Bを吸着固定することが可能であれば、図2に示すようにストッパー16でピロー包装袋Bが一つずつ移送されている場合に、当該ピロー包装袋Bをそれぞれ吸着固定して被測定空間を形成することができる。すなわち、コンベア11上を多種多様なピロー包装袋Bが移送されるような場合は、本実施例のように吸盤装置13e,13fで吸着固定することによって、容易に対応させることができる。
【0044】
なお、上記各実施例について、使用する包装袋をピロー包装袋としたが、これに限定されるものではなく、コンベア上を移送され、ガイドで挟み込める形状の包装袋であれば、上記各実施例に係るガス濃度測定装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
B…包装袋、ピロー包装袋、
10,10A,10B…ガス濃度測定装置、11…コンベア、11a…測定コンベア、11b…供給コンベア、12,12A,12B…レーザー式ガス濃度計、13…ガイド、
13a,13b…第1実施例に係るガイドプレート、13c,13d…第2実施例に係るガイドプレート、13e,13f…吸盤装置、
14a…測定コンベアの従ロータ、14b…測定コンベアの主ロータ、14c…測定コンベアのステッピングモータ、
15…測定送りベルト、16…ストッパー、
20…供給コンベアの従ロータ、21…供給送りベルト、
25…主ヘッド、26…副ヘッド、
27…レーザー光源、28…制御部、29…鏡胴、29a…レーザー射出口、
30…受光センサ、30a…レーザー受光口、31…測定部、
40…背面シール部、41…前シール部、42…後シール部、
45…吸盤。

1…従来のガス濃度測定装置、2…従来のレーザー発生部、3…従来の主ヘッド、4…従来のレーザー受光部、5…従来の副ヘッド、6…グリップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9