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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20240618BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20240618BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240618BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240618BHJP
   G10L 15/28 20130101ALI20240618BHJP
【FI】
F04D27/00 R
F04D27/00 S
F04D27/00 U
F04D27/00 101U
F04D25/08 307A
G10L15/00 200N
G10L15/10 200W
G10L15/28 230K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019238984
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107699
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(72)【発明者】
【氏名】江崎 淳史
(72)【発明者】
【氏名】鴫原 秀郎
(72)【発明者】
【氏名】大畦 真吾
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108806672(CN,A)
【文献】国際公開第2017/134935(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/029362(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109114032(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109767769(CN,A)
【文献】国際公開第2019/013316(WO,A1)
【文献】特開2015-108464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F04D 25/08
G10L 15/00
G10L 15/10
G10L 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機であって、
送風用のファンと、
前記ファンを駆動するモータと、
入力音を取得する音入力部と、
前記入力音に応じて所定の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記該送風機の動作状態に前記音入力部の音声取得を妨害する要因である前記送風機の風向が存在すると判定された場合に、該送風機の動作状態を変更し、
送風方向を変更する風向変更部をさらに備え、
前記動作状態の変更が、前記送風機の使用者と前記音入力部との間に風が通らない状態とするための前記風向変更部による送風方向の変更である、
送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、扇風機、サーキュレーター、加湿装置、除湿装置、空気清浄機、空気調和機(エアーコンディショナー)等の送風手段を有する機器のうち、音声認識により操作可能な機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扇風機またはサーキュレーターのような送風手段を有する送風機があった。一方で、近年、音声認識により操作される機器が増加しつつある。特許文献1には、音声操作手段を有する扇風機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-349477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の音声操作手段を有する扇風機は、単に扇風機に音声操作手段を組み合わせたものであって、扇風機が動作する際にファン及びモータ等から発生する騒音が考慮された構成になっているとはいえなかった。扇風機などの送風機において、機器が発する騒音を考慮し、音声の認識率を向上させる構成のものが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも上記課題のいずれかを解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記する場合があるが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
送風機(10)であって、
送風用のファン(56)と、
前記ファンを駆動するモータ(54)と、
入力音を取得する音入力部(66)と、
前記入力音に応じて所定の制御を行う制御部(100)と、を備え、
前記制御部は、前記該送風機の動作状態に音入力部の音声取得を妨害する要因が存在すると判定された場合に、該送風機の動作状態を変更する、
送風機である。
【0007】
上記構成の送風機によれば、例えば、送風機から発せられる騒音の音量が大きい、または音声入力を行う使用者と音入力部との間に風が通る状態であるなどの、音声取得を妨害する要因が存在する場合に、騒音が小さくなるよう動作状態を変更するよう動作可能となる。これによって、音入力部が明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。さらに、音声の認識率を高めた構成にすることができる。
【0008】
上記構成の送風機(10)において、好ましくは、
前記動作状態の変更が、前記モータ(54)の回転数の変更である。
【0009】
上記構成の送風機によれば、モータ及びファンの回転により発生する騒音を抑制することができ、明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。
【0010】
上記構成の送風機において、好ましくは、
送風方向を変更する風向変更部(121)をさらに備え、
前記動作状態の変更が、前記風向変更部による送風方向の変更である。
【0011】
上記構成の送風機によれば、上下方向または左右方向に送風方向を変更して使用者と音入力部との間に風が通らないようにすることで、音入力部に使用者の声が明瞭に届きやすい構成にすることができる。
【0012】
上記構成の送風機において、好ましくは、
送風方向を変更する風向変更部(121)と、
前記風向変更部を駆動する駆動部(120)と、を備え、
前記動作状態の変更が、前記駆動部の動作の抑制または禁止である。
【0013】
上記構成の送風機によれば、駆動部が風向変更部を駆動する際に、駆動部または風向変更部から発せられる騒音を抑制することが可能となる。これにより、明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。
【0014】
上記構成の送風機において、好ましくは、
出力音声を出力する報知音出力部(67)をさらに備え、
前記動作状態の変更が、前記出力音声の抑制または禁止である。
【0015】
上記構成の送風機によれば、送風機から出力される騒音が入力音に混入することを防止することができ、明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。
【0016】
上記構成の送風機において、好ましくは、
前記制御部(100)は、
前記入力音がウェイクアップワードであることを認識可能であり、
前記制御部が前記ウェイクアップワードを認識した時に、該送風機から発生する音の音量が前記閾値を超えることの判定を行う。
【0017】
上記構成の送風機によれば、特に音声の認識率を高めたいウェイクアップワードの認識後に使用者により入力される制御ワードを明瞭に取得しやすい構成にすることができる。
【0018】
上記構成の送風機において、好ましくは、
周囲の音の音量を測定する音量測定部(66a)をさらに備え、
前記制御部は、前記音量測定部の測定結果に応じて、該送風機から発生する音の音量が前記閾値を超えることの判定を行う。
【0019】
上記構成の送風機によれば、送風機の周囲の騒音及び送風機から発せられる騒音を動的に確認しながら、明瞭な入力音声を取得しづらい環境でのみ、騒音を抑制するための送風機の動作状態の変更を行うことが可能となる。
【0020】
上記構成の送風機において、好ましくは、
前記音量測定部は、前記入力音に基づいて周囲の音の音量を測定する。
【0021】
上記構成の送風機によれば、音量測定のための特別な構成を追加することなく、送風機の周囲の騒音及び送風機から発せられる音の音量を測定することが可能となる。
【0022】
上記構成の送風機において、好ましくは、
前記閾値は設定により変更可能である。
【0023】
上記構成の送風機において、好ましくは、
前記制御部(100)は、
前記ウェイクアップワード認識後の所定の制御ワード認識期間(例えば6秒間)に、前記入力音が制御ワードであることの認識を行い、
前記ウェイクアップワードを認識した後、前記制御ワード認識期間経過後に、該送風機の動作状態を元の状態に戻す。
【0024】
上記構成の送風機によれば、制御ワード認識期間において騒音を抑制する動作状態とし、制御ワード認識期間が終了したら元の動作状態に戻す動作を行う構成にすることができる。
【0025】
上記構成の送風機において、好ましくは、
前記制御部(100)は、前記制御ワードが前記モータの回転数を変更する命令であり、かつ変更後の前記モータの回転数が所定値以上であった場合、前記制御ワード認識期間経過後に前記モータの回転数を変更する。
【0026】
上記構成の送風機によれば、特に騒音を発生しやすいモータの回転数を所定値以上に上げようとする場合に、直ちにモータの回転数を上げないよう動作させることで、直ちにモータの回転数を上げることにより騒音が大きくなってしまうことを抑制することができる。これにより、使用者によって制御ワードによる制御が続けられる場合に、明瞭な入力音が取得できなくなることを防止することができる。
【0027】
上記構成の送風機において、好ましくは、
風量を表示する風量表示部(65)をさらに備え、
前記風量表示部は、前記制御ワードが前記モータの回転数を変更する命令であった場合、前記制御ワード認識期間の経過前に前記風量の表示を変更する。
【0028】
上記構成の送風機によれば、モータの回転数を上げる命令に対してモータの回転数を維持する期間においても、送風機が命令を認識していないと使用者が誤認することを防止可能な構成にすることができる。
【0029】
上記構成の送風機において好ましくは、
前記ウェイクアップワード認識後の所定の制御ワード認識期間に、前記入力音が制御ワードであることの認識を行い、
前記ウェイクアップワードを認識した後、前記制御ワード認識期間経過後に、該送風機の動作状態を、元の状態に前記制御ワードに応じた状態変化を反映した状態に変更する。
【0030】
上記構成の送風機によれば、制御ワード認識期間中に送風機の動作状態を変更することで送風機から発生する騒音が増大してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、送風機の外観斜視図である。
図2図2は、送風機断面図である。
図3図3は、送風機の機能的構成を示すブロック図である。
図4図4は、送風機で行われる音声操作処理を示すフローチャートである。
図5図5は、実施例1において操作者により操作される送風機のシーケンス図である。
図6図6は、実施例2において操作者により操作される送風機のシーケンス図である。
図7図7は、実施例3において操作者により操作される送風機のシーケンス図である。
図8図8は、実施例4において操作者により操作される送風機のシーケンス図である。
図9図9は、実施例5において操作者により操作される送風機のシーケンス図である。
図10図10は、実施例6において操作者により操作される送風機のシーケンス図である。
図11図11は、実施例7において操作者により操作される送風機のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の送風機は、使用者の音声を認識して命令を受け付けることで操作される送風機であって、取得する音声を明瞭にして音声認識率を向上させるために、騒音低減のための動作状態の変更を行う構成としている点を特徴のひとつとする。
【0033】
本発明の送風機の一実施形態及び実施例について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態及び実施例はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。本明細書において「音」とは、人の声である音声、及び騒音などの機械音を含む。
【0034】
<1.実施形態>
<送風機10>
図1は、本実施形態の送風機10の構成を示す外観斜視図である。図2は、送風機10の断面図である。図3は、送風機10の機能的構成を示すブロック図である。図1及び図2に示されるように、送風機10は、台座部20、支柱30、及び送風部50を含んで構成される。具体的には、台座部20に支柱30が立設され、その上端側に送風部50を設けた構成となっている。送風機10は、外観からは確認できないが、図3のブロック図に示される制御部100及び記憶部110を有する。風向変更部121は、後述の左右首振り機構部24及び上下首振り機構部42を含む。駆動部120は後述の左右首振り用モータ22及び上下首振り用モータ40を含む。
【0035】
本実施形態の送風機10は、図1及び図2のような扇風機型の送風装置であるが、支柱30を有さないサーキュレーター、加湿機能を有する加湿装置、除湿機能を有する除湿装置、空気清浄機能を有する空気清浄機、並びに加熱及び/または冷却機能を有する空気調和機(エアーコンディショナー、またはエアコン)にも転用可能である。
【0036】
<台座部20>
台座部20は、送風機10の台座となる部分である。台座部20は、円状で平面状の底面を有する円板状に構成される。台座部20の中央よりやや後ろ側には、支柱30が立設される。支柱30は台座部20に対して着脱自在に構成されてもよい。台座部20の上面には、操作部60、風量表示部65、音入力部66、音量測定部66a、及び報知音出力部67が設けられる。また、台座部20において、支柱30が立設された位置の背面側には、リモコン62が保持される。台座部20には、左右首振り用モータ22、左右首振り機構部24、制御基板26、及び電源基板28等が収容される。制御基板26には、後述の制御部100に対応するマイコン(半導体集積回路)及び電子部品等が搭載される。電源基板28には、送風機10の各部位に対して電力を供給するためのスイッチング電源回路などが搭載される。なお、送風機10はリモコン62を有さない構成としてもよい。
【0037】
<左右首振り用モータ22、左右首振り機構部24>
左右首振り用モータ22は、支柱30を介して送風部50の向きを左右方向に変更するよう左右首振り機構部24を駆動する。左右首振り用モータ22は、例えば、ステッピングモータである。左右首振り用モータ22は、左右首振り機構部24に動力を伝達することで、左右首振り機構部24が回転する。左右首振り機構部24が回転すると、支柱30はその軸を中心に回転する。支柱30は送風部50に連結されているため、左右首振り機構部24が回動すると送風部50が左右方向に回動して向きが変更される。左右首振り機構部24は、本発明の「風向変更部121」の一具体例である。左右首振り用モータ22は、本発明の「駆動部120」の一具体例である。
【0038】
<操作部60>
操作部60は、使用者によって押し込み操作が可能な複数の操作キー(ボタン)を含んで構成される。この操作キーの側には、当該操作キーの機能を示す文字が配置される。操作部60は、使用者により操作キーが操作されたことを検知すると、検出結果を制御部100に出力する。
【0039】
<リモコン62>
リモコン62は、送風機10に対して赤外線等を用いて無線で命令を送信可能に構成される。送風機10は、リモコン62から受信した命令に応じて所定の動作を行う。リモコン62による送風機10の一般的な操作については周知の技術であるため説明を省略する。
【0040】
<風量表示部65>
風量表示部65は、操作部60が配置された領域内に配置され、複数の(例えば10個の)発光部を含んで構成される。この発光部は、例えばLEDなどの発光素子である。風量表示部65は、これらの複数の発光部が点灯している数によって、送風機10の風量を示す。なお、風量表示部65は、複数の発光部の点灯数により風量を示す構成に代えて、数字を表示可能な表示装置などで構成されてもよい。風量表示部65によって示される風量は、制御部100によってその表示が制御される。
【0041】
<音入力部66>
音入力部66は、所謂マイクなどであって、使用者の声を含む周囲の音を電気信号に変換して制御部100に出力する。音入力部66が、使用者の声を取得して認識することに特化する場合、人の声の周波数帯の音だけを取得するバンドパスフィルタを有する構成としてもよい。また、音入力部66は、特定の周波数帯の音を低減させる各種フィルタ、及びノイズ除去のための機構を備えていてもよい。
【0042】
<音量測定部66a>
音量測定部66aは、音入力部66で取得した音に基づき、送風機10から発せられる音(騒音)の音量を測定する。音量測定部66aは、測定結果を制御部100に出力する。
【0043】
<報知音出力部67>
報知音出力部67は、所謂スピーカーなどであって、与えられた電気信号に応じて報知音を出力する。報知音出力部67は、制御部100の制御によって音声を発する。報知音出力部67は、所定の操作または状態などを、機械音または音声で報知するものである。
【0044】
<支柱30>
支柱30は、台座部20から上方に向かって柱状に伸びており、送風部50を支持する。支柱30の上端部近傍には、収容部38が設けられる。
【0045】
<収容部38>
収容部38は、上下首振り用モータ40、及び上下首振り機構部42を収容する。
【0046】
<上下首振り用モータ40、上下首振り機構部42>
上下首振り用モータ40は、送風部50の向きを上下方向に変更するよう上下首振り機構部42を駆動する。上下首振り用モータ40は、例えば、ステッピングモータである。上下首振り用モータ40は、上下首振り機構部42に動力を伝達することで、上下首振り機構部42が上下方向に回転する。上下首振り機構部42は送風部50に連結されているため、上下首振り機構部42が上下方向に回動すると送風部50も同様に上下方向に回動して向きが変更される。なお、上下首振り機構部42は、使用者が手動で上下方向に向きを変更可能なラチェット機構などを有してもよい。上下首振り機構部42は、本発明の「風向変更部121」の一具体例である。上下首振り用モータ40は、本発明の「駆動部120」の一具体例である。
【0047】
<送風部50>
送風部50は、ファンガード52、送風用モータ54、及びファン56を含んで構成される。
【0048】
<ファンガード52>
ファンガード52は、ファン56を回転自在に収容する。ファンガード52は、送風機10の正面側に位置する前ファンガード52a、及び送風機10の背面側に位置する後ファンガード52bにより構成される。前ファンガード52a及び後ファンガード52bは、それぞれ送風機10に対して着脱可能に連結される。
【0049】
<送風用モータ54>
送風用モータ54は、回転することでファン56を回転駆動可能に構成される。送風用モータ54は、例えば、DCモータである。送風用モータ54は、例えば10段階などの複数の段階に、回転数を変更可能である。送風用モータ54の回転数は、制御部100により制御される。送風用モータ54の回転数が変更されることで、送風機10の風量が変更される。
【0050】
<ファン56>
ファン56は、送風用モータ54により駆動されることで回転し、送風機10の正面側に向かって送風可能な送風機構である。ファン56は、送風機の正面に対して傾斜を有して構成される。
【0051】
<制御部100>
制御部100は、送風機10の動作を制御する。制御部100は、例えば、制御基板26に搭載されたマイコン(半導体集積回路)などである。制御部100は、ハードウェアでもソフトウェアでも実現可能である。制御部100は、従来の送風機が有する送風機の動作制御、及び本発明の特徴である音声操作処理などを実行する。制御部100による具体的な制御については後述する。
【0052】
<記憶部110>
記憶部110は、制御部100の制御により種々の情報を記憶可能なメモリである。記憶部110は、ROMまたはRAMである。記憶部110は、制御部100に内蔵されてもよいし、制御部100とは別に制御基板26に搭載されてもよい。記憶部110は、例えば、その記憶領域の一部に、送風機10の動作状態を情報として記憶可能な動作状態メモリを含む。また、記憶部110は、ウェイクアップワード、制御ワード、及び入力された制御ワードに対応する動作などを記憶する。なお、ウェイクアップワード及び制御ワードは、予め決められたものであってもよいし、使用者により変更可能なものであってもよい。また、ウェイクアップワード及び制御ワードは、使用者の声に合わせて認識しやすいよう最適化されたものであってもよい。
【0053】
<送風機10の動作>
次に、図4のフローチャートを参照しながら、本実施形態の送風機10で行われる音声操作処理について説明する。送風機10は、使用者が操作部60の操作キーを押すことで操作することも可能であるし、使用者が音声で操作することも可能である。送風機10が音声で操作される場合には、使用者が、音声操作処理を開始するためのウェイクアップワードに続いて制御ワードを発することで行われ、制御ワードに対応した種々の動作が行われる。
【0054】
<S100~S110>
送風機10は、電源がオンされた状態において、音入力部66が取得した音を制御部100に出力し、入力音として、使用者の声でウェイクアップワードが入力されるのを待つ(S100~S110)。ウェイクアップワードは、例えば「アイリス」などの音声である。
【0055】
<S112>
制御部100は、音入力部66がウェイクアップワードを取得したことを確認すると(S110でY)、現時点での動作状態を記憶部110の動作状態メモリに記憶させる(S112)。動作状態メモリに記憶される動作状態は、風量、風向、及び首振りの態様などである。さらに制御部100は、送風機10の動作状態に、音入力部66の音声取得を妨害する要因がある場合には、その動作状態を変更する(S112)。
【0056】
ここで、音声取得を妨害する要因とは、例えば、(1)ファン56の回転音、(2)送風用モータ54の動作音、(3)左右首振り用モータ22の動作音、(4)上下首振り用モータ40の動作音、(5)左右首振り機構部24の動作音、(6)上下首振り機構部42の動作音、もしくは(7)報知音出力部67から発せられる操作音等の出力音などの騒音、または(8)送風機10の風向、などである。
【0057】
ファン56の回転音などの騒音((1)~(7))がある場合には、音入力部66が取得する音声にこの騒音が混入し、使用者の制御ワードを認識しづらくなるため、これらの騒音の発生を抑制するよう動作状態を変更する。具体的には、(1)ファン56の回転音を低減させるために送風用モータ54の回転数を下げ、(2)送風用モータ54の回転音を低減させるために送風用モータ54の回転数を下げ、(3)左右首振り用モータ22の動作音を低減させるため左右首振り用モータ22の回転数を下げるか、または動作を停止し、(4)上下首振り用モータ40の動作音を低減させるため上下首振り用モータ40の回転数を下げるか、または動作を停止し、(5)左右首振り機構部24の動作音を低減させるため左右首振り機構部24の動作を抑制するかまたは停止し、(6)上下首振り機構部42の動作音を低減させるため上下首振り機構部42の動作を抑制するかまたは停止し、または、(7)報知音出力部67から発せられる操作音等の報知音を抑制するため、報知音の音量を下げるかまたは報知音の出力を停止することで、送風機10の動作状態を変更する。言い換えれば、風量を下げ((1)及び(2))、首振りの動作を抑制または停止し((3)~(6))、操作音等の報知音を下げるかまたは停止するよう((7))、動作状態を変更する。
【0058】
(8)送風機10の風向によって、使用者と音入力部66との間に風が通る状態になっている場合には、音入力部66に使用者の声が十分に届かない場合があるため、風向を変更することで音声取得の妨害を抑制する。より具体的には、制御部100は、左右首振り用モータ22または上下首振り用モータ40を動作させて左右首振り機構部24または上下首振り機構部42を駆動して風向を変更し、これによって使用者と音入力部66との間に風が通らない状態とする。
【0059】
<S114>
次に制御部100は、ウェイクアップワードに続く制御ワードの入力を待つための時間を計測するため、タイマーをリセットする(S114)。なお、S132またはS134から戻ってきた場合には、次の制御ワードの入力を待つための時間を計測するためにタイマーをリセットする。
【0060】
<S120>
次に制御部100は、使用者による制御ワードの入力を待つ。具体的には、音入力部66が取得した音を制御部100に出力し、制御部100は、この音に含まれる音声が予め登録された制御ワードに該当するかどうかを確認する(S120)。制御ワードは、制御ワードに対応する命令とともに記憶部110に記憶される。制御部100は、記憶部110に記憶された情報と、音入力部66が取得した音とを比較することで、取得音声が制御ワードであるかどうかを確認する。制御ワードの確認は、所定時間(例えば6秒)継続される(S140)。この制御ワードの入力を待機する期間を、制御ワード認識期間と呼ぶ。
【0061】
<S120~S134>
タイマーリセットから所定時間以内(例えば6秒以内)の制御ワード認識期間に制御ワードが音声入力された場合には(S120でY)、この制御ワードが特定動作に関する制御ワードであるかどうかを確認する(S130)。特定動作に関する制御ワードとは、音声取得を妨害する要因となる動作に対応する制御ワードである。具体的には、(1)風量を強くする動作、(2)首振りの態様を変更する動作、または(3)風向を変更する動作、などである。入力された制御ワードが特定動作に関するものであった場合(S130でY)、その制御ワードに対応する動作を行うことなく、記憶部110に記憶された動作状態メモリを更新して(S134)、S114の処理に戻る。一方で、入力された制御ワードが特定動作に関するものではなかった場合には(S130でN)、その制御ワードに対応して動作状態を変更して(S132)、S114の処理に戻る。このとき、制御部100は記憶部110の動作状態メモリを変更する。なお、S132及びS134のどちらの場合であっても、制御部100は風量表示部65における風量の表示を変更する。
【0062】
<S140~S150>
制御ワード認識期間に制御ワードが音声入力されなかった場合には(S140でY)、制御部100は、記憶部110に記憶された動作状態メモリを確認し、動作状態メモリの内容に応じた動作状態の変更を行う(S142)。上記のとおり、動作状態メモリには風量、風向、及び首振り動作の態様などが記憶されているため、この内容に基づいて風量、風向、及び首振り動作の態様などを変更する。動作状態を変更したら、制御部100は音声操作処理を終了する。
【0063】
上記のS120以降の処理について、より具体的に説明する。制御ワードが(1)風量を強くする動作に対応するものであった場合、風量を強くすることで送風用モータ54の回転数及びファン56の回転数が上がり、ファン56の回転音及び送風用モータ54の回転音が大きくなることがある。そうすると、ファン56及び送風用モータ54の回転音によって音入力部66で取得される音声に騒音が混入し、使用者の制御ワードを認識しづらくなってしまう。そのため、風量を強くする制御ワードが入力されたとしても、直ちに風量を強くするのではなく、制御ワード認識期間(タイマーリセットから6秒間)が経過した後に風量を強くするよう処理するものである(後述のS142参照)。
【0064】
また、制御ワードが(2)首振りの態様を変更する動作であった場合、首振りの態様を変化させることで、左右首振り用モータ22、左右首振り機構部24、上下首振り用モータ40、及び上下首振り機構部42から発せられる動作音が大きくなることがある。そうすると、これらの動作音によって音入力部66で取得される音声に騒音が混入し、使用者の制御ワードを認識しづらくなってしまう。そのため、首振りの態様を変更する制御ワードが入力されたとしても、直ちに首振りの態様を変更するのではなく、制御ワード認識期間が経過した後に首振りの態様を変更するよう処理する。
【0065】
また、制御ワードが(3)風向を変更する動作であった場合、風向を変化させることで、使用者と音入力部66との間に風が通る状態になることがある。そうすると、音入力部66に使用者の声が十分に届かなくなる場合がある。そのため、風向を変更する制御ワードが入力されたとしても、直ちに首振りの態様を変更するのではなく、制御ワード認識期間が経過した後に風向を変更するよう処理する。
【0066】
なお、風量が所定の風量以上(例えば10段階の風量6以上)の場合にのみ、S112における動作状態の変更を行うようにしてもよい。同様に、変更後の風量が所定の風量以上(例えば10段階の風量6以上)の場合にのみ、S130~S134及びS142の動作状態の即時変更の禁止を行うようにしてもよい。
【0067】
また、首振りの態様が一定以上の速度であって、一定以上の騒音が発せられる場合にのみ、S112における動作状態の変更を行うようにしてもよい。同様に、変更後の首振りの態様が一定以上の速度である場合にのみ、S130~S134及びS142の動作状態の即時変更の禁止を行うようにしてもよい。
【0068】
<2.実施例>
次に、上記の実施形態で説明した送風機10の挙動について、さらに具体的な実施例を挙げて説明する。
【0069】
<(1)実施例1>
実施例1では、使用者がウェイクアップワードに続いて、送風機10の風量を強くする制御ワードの音声入力を行った場合の動作例について説明する。
【0070】
まず、使用者が、ウェイクアップワードとして「アイリス」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、この音声がウェイクアップワードであることを確認し(S110)、記憶部110の動作状態メモリに動作状態を記憶させる(S112)。制御部100はさらに、送風用モータ54の回転数を下げることで風量を弱め(例えば風量7から風量5に弱め)、送風用モータ54及びファン56から発せられる音を抑制する(S112)。そして制御部100は、タイマーをリセットして(S114)制御ワードが入力されるのを待つ。
【0071】
次に、使用者が、「風量を強くして」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が送風用モータ54の回転数を上げるものであることを確認する(S120)。ここで、制御部100は、送風用モータ54の回転数を上げる動作が特定動作であると判断し(S130)、直ちに送風用モータ54の回転数を上げずに、記憶部110の動作状態メモリの更新を行う(S134)。また、制御部100は、風量表示部65における風量の表示を、変更後の風量となるよう変更する。そして、制御部100は再度タイマーをリセットして(S114)、次の制御ワードが入力されるのを待つ。
【0072】
制御部100は、先の制御ワードの入力から制御ワード認識期間に(6秒間の間に)次の制御ワードの入力がなかったため(S140でY)、記憶部110の動作状態メモリに応じた動作状態の変更を行う(S142)。ここで、動作状態メモリには、風量を弱める前の風量(例えば風量7)に対して、風量を強くする制御ワードに対応して強められた風量(例えば風量8)が記憶されている。そこで、制御部100は、当該風量(例えば風量8)に変更するよう、送風用モータ54の回転数を上げる。
【0073】
<(2)実施例2>
実施例2では、実施例1と同様に、使用者がウェイクアップワードに続いて、送風機10の風量を強くする制御ワードの音声入力を行った場合の動作例について説明する。ただし、ウェイクアップワードを確認した後の風量の変更が行われない点で、実施例1と相違している。
【0074】
まず、使用者が、ウェイクアップワードとして「アイリス」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、この音声がウェイクアップワードであることを確認し(S110)、記憶部110の動作状態メモリに動作状態を記憶させる(S112)。制御部100は、記憶部110を参照して、ウェイクアップワード確認時の動作状態の変更基準が風量6以上であると設定されていることを確認する。このとき、送風機10の風量は5であったため、制御部100は風量を変更することなく維持し、すなわち、送風用モータ54の回転数を変更することなく、タイマーをリセットして(S114)制御ワードが入力されるのを待つ。
【0075】
次に、使用者が、「風量を強くして」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が送風用モータ54の回転数を上げるものであることを確認する(S120)。次に、制御部100は、記憶部110を参照して、特定動作が風量を6以上にする動作であると設定されていることを確認する。ここで、変更前の風量5から風量を上げると風量6になるため、制御部100は記憶部110の動作状態メモリの更新を行うのみで、風量の変更を行わない(S130でY、S134)。すなわち、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリにおける風量の値を風量6に更新する。また、制御部100は、風量表示部65における風量の表示を風量6となるよう変更する。
【0076】
制御部100は、先の制御ワードの入力から制御ワード認識期間に(6秒間の間に)次の制御ワードの入力がなかったため(S140でY)、記憶部110の動作状態メモリに応じた動作状態の変更を行う(S142)。ここで、動作状態メモリには、風量の値として風量6が記憶されているものの、送風機10は風量5で動作している。そこで、制御部100は、動作状態メモリに記憶されている風量6に動作状態を変更するよう、送風用モータ54の回転数を上げる。
【0077】
<(3)実施例3>
実施例3では、使用者がウェイクアップワードに続いて、送風機10の風量を弱くする制御ワードの音声入力を行った場合の動作例について説明する。なお、制御ワードによる制御が行われる前までの処理は、実施例2と同様であるが、風量を弱くする処理を行う点で、実施例2と異なる。
【0078】
まず、使用者が、ウェイクアップワードとして「アイリス」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、この音声がウェイクアップワードであることを確認し(S110)、記憶部110の動作状態メモリに動作状態を記憶させる(S112)。制御部100は、記憶部110を参照して、ウェイクアップワード確認時の動作状態の変更基準が風量6以上であると設定されていることを確認する。このとき、送風機10の風量は5であったため、制御部100は風量を変更することなく維持し、すなわち、送風用モータ54の回転数を変更することなく、タイマーをリセットして(S114)制御ワードが入力されるのを待つ。
【0079】
次に、使用者が、「風量を弱くして」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が送風用モータ54の回転数を下げるものであることを確認する(S120)。ここで、制御部100は、記憶部110を参照して、特定動作が風量を6以上にする動作であると設定されていることを確認する。ここで、変更前の風量5から風量を下げると風量4になるため、制御部100は送風用モータ54の回転数を下げて風量の変更を行う(S130でN、S132)。また、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリにおける風量の値を風量4に更新する。また、制御部100は、風量表示部65における風量の表示を風量4となるよう変更する。
【0080】
制御部100は、先の制御ワードの入力から制御ワード認識期間に(6秒間の間に)次の制御ワードの入力がなかったため(S140でY)、記憶部110の動作状態メモリに応じた動作状態の変更を行おうとする(S142)。ここで、動作状態メモリには、風量の値として風量4が記憶されており、送風機10は風量4で動作している。そこで、制御部100は、送風用モータ54の回転数を変更することなく、処理を終了する(S150)。
【0081】
<(4)実施例4>
実施例4では、使用者がウェイクアップワードに続いて、送風機10の風量を風量1に変更する制御ワードの音声入力を行った場合の動作例について説明する。
【0082】
まず、使用者が、ウェイクアップワードとして「アイリス」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、この音声がウェイクアップワードであることを確認し(S110)、記憶部110の動作状態メモリに動作状態を記憶させる(S112)。制御部100は、記憶部110を参照して、ウェイクアップワード確認時の動作状態の変更基準が風量6以上であると設定されていることを確認する。このとき、送風機10の風量は7であったため、制御部100は風量を5に変更するために送風用モータ54の回転数を下げる。そして制御部100は、タイマーをリセットして(S114)制御ワードが入力されるのを待つ。
【0083】
次に、使用者が、「風量を1にして」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が送風用モータ54の回転数を所定の値に変更するものであることを確認する(S120)。ここで、制御部100は、記憶部110を参照して、特定動作が風量を6以上にする動作であると設定されていることを確認する。ここで、風量を1に変更したとしても風量は6未満であるため、制御部100は送風用モータ54の回転数を風量1の回転数まで下げて風量を変更する(S130でN、S132)。また、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリにおける風量の値を風量1に更新する。また、制御部100は、風量表示部65における風量の表示を風量1となるよう変更する。
【0084】
制御部100は、先の制御ワードの入力から制御ワード認識期間に(6秒間の間に)次の制御ワードの入力がなかったため(S140でY)、記憶部110の動作状態メモリに応じた動作状態の変更を行おうとする(S142)。ここで、動作状態メモリには、風量の値として風量1が記憶されており、送風機10は風量1で動作している。そこで、制御部100は、送風用モータ54の回転数を変更することなく、処理を終了する(S150)。
【0085】
<(5)実施例5>
実施例5では、使用者がウェイクアップワードに続いて、送風機10の風量を4から2段階強めるよう変更する制御ワードの音声入力を行った場合の動作例について説明する。
【0086】
まず、使用者が、ウェイクアップワードとして「アイリス」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、この音声がウェイクアップワードであることを確認し(S110)、記憶部110の動作状態メモリに動作状態を記憶させる(S112)。制御部100は、記憶部110を参照して、ウェイクアップワード確認時の動作状態の変更基準が風量6以上であると設定されていることを確認する。このとき、送風機10の風量は4であったため、制御部100は風量を変更することなく維持し、すなわち、送風用モータ54の回転数を変更することなく、タイマーをリセットして(S114)制御ワードが入力されるのを待つ。
【0087】
次に、使用者が、「風量を強くして」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が送風用モータ54の回転数を上げるものであることを確認する(S120)。ここで、制御部100は、記憶部110を参照して、特定動作が風量を6以上にする動作であると設定されていることを確認する。ここで、変更前の風量4から風量を1段階上げても風量5であるため、制御部100は送風用モータ54の回転数を上げて風量の変更を行う(S130でN、S132)。また、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリにおける風量の値を風量5に更新する。また、制御部100は、風量表示部65における風量の表示を風量5となるよう変更する。
【0088】
さらに、使用者が、「風量を強くして」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が送風用モータ54の回転数を上げるものであることを確認する(S120)。ここで、制御部100は、記憶部110を参照して、特定動作が風量を6以上にする動作であると設定されていることを確認する。ここで、変更前の風量5から風量を上げると風量6になるため、制御部100は記憶部110の動作状態メモリの更新を行うのみで、風量の変更を行わない(S130でY、S134)。すなわち、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリにおける風量の値を風量6に更新する。また、制御部100は、風量表示部65における風量の表示を風量6となるよう変更する。
【0089】
制御部100は、先の制御ワードの入力から制御ワード認識期間に(6秒間の間に)次の制御ワードの入力がなかったため(S140でY)、記憶部110の動作状態メモリに応じた動作状態の変更を行う(S142)。ここで、動作状態メモリには、風量の値として風量6が記憶されているものの、送風機10は風量5で動作している。そこで、制御部100は、動作状態メモリに記憶されている風量6に動作状態を変更するよう、送風用モータ54の回転数を上げる。
【0090】
<(6)実施例6>
実施例6では、使用者がウェイクアップワードに続いて、送風機10の風向を上方向に変更する制御ワードの音声入力を行った場合の動作例について説明する。
【0091】
まず、使用者が、ウェイクアップワードとして「アイリス」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、この音声がウェイクアップワードであることを確認し(S110)、記憶部110の動作状態メモリに動作状態を記憶させる(S112)。制御部100は、記憶部110を参照して、ウェイクアップワード確認時の動作状態の変更基準が、風量6以上であること、及び風向を最も上向きに変更すること、と設定されていることを確認する。このとき、送風機10の風量は7であったため、制御部100は風量を5に変更するために送風用モータ54の回転数を下げる。さらに制御部100は、駆動部120を制御して風向変更部121を作動させ、風向を最も上向きになるようファン56の向きを変更する。そして制御部100は、タイマーをリセットして(S114)制御ワードが入力されるのを待つ。
【0092】
次に、使用者が、「風向を上にして」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が送風用モータ54の回転数を上げるものであることを確認する(S120)。ここで、制御部100は、記憶部110を参照して、特定動作に、風向きを変更することが含まれていることを確認する。そこで、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリの更新を行うのみで、風向の変更を行わない(S130でY、S134)。すなわち、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリにおける風向を、一段階上向きになるよう更新する。
【0093】
制御部100は、先の制御ワードの入力から制御ワード認識期間に(6秒間の間に)次の制御ワードの入力がなかったため(S140でY)、記憶部110の動作状態メモリに応じた動作状態の変更を行う(S142)。ここで、動作状態メモリには、風向を一段階上向きにする動作状態が記憶されている。そこで、制御部100は、駆動部120を制御して風向変更部121を作動させ、風向を、元の状態よりも一段階上向きになるよう、ファン56の向きを下げる。
【0094】
<(7)実施例7>
実施例6では、使用者がウェイクアップワードに続いて、送風機10の首振り動作を変更する制御ワードの音声入力を行った場合の動作例について説明する。
【0095】
まず、使用者が、ウェイクアップワードとして「アイリス」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、この音声がウェイクアップワードであることを確認し(S110)、記憶部110の動作状態メモリに動作状態を記憶させる(S112)。制御部100は、記憶部110を参照して、ウェイクアップワード確認時の動作状態の変更基準が、風量6以上であること、風向を最も上向きに変更すること、及び首振り動作(風向変更動作)を禁止すること、と設定されていることを確認する。このとき、送風機10の風量は7であったため、制御部100は風量を5に弱めるよう送風用モータ54の回転数を下げる。また、駆動部120を制御して風向変更部121を作動させ、首振り動作を停止するとともにファン56の向きが最も上向きになるよう風向を変更する。そして制御部100は、タイマーをリセットして(S114)制御ワードが入力されるのを待つ。
【0096】
次に、使用者が、「首振り動作を変更」という声を発する。音入力部66はこの音声を取得して制御部100に出力する。制御部100は、記憶部110に記憶されている制御ワード及び制御ワードに対応する動作を確認し、この音声入力が駆動部120を往復運動させる所定の首振り動作を行うものであることを確認する(S120)。ここで、制御部100は、記憶部110を参照して、特定動作に、首振りの態様を変更することが含まれていることを確認する。そこで、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリの更新を行うのみで、首振りの態様の変更を行わない(S130でY、S134)。すなわち、制御部100は、記憶部110の動作状態メモリにおける首振り動作を、所定の態様となるよう更新する。
【0097】
制御部100は、先の制御ワードの入力から制御ワード認識期間に(6秒間の間に)次の制御ワードの入力がなかったため(S140でY)、記憶部110の動作状態メモリに応じた動作状態の変更を行う(S142)。ここで、動作状態メモリには、首振り動作の態様を所定の態様とする動作状態が記憶されている。そこで、制御部100は、駆動部120を制御して風向変更部121を作動させて首振りの態様を所定の態様にする。
【0098】
<3.変形例>
次に、上記実施形態の変形例について説明する。本変形例では、構成は実施形態と同様であるが、音量測定部66aを用いて周囲の音を実際に取得し、送風機10から発せられる音の音量が所定の閾値以上である場合に発生音の抑制を行うよう動作する点で実施形態と相違する。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0099】
実施形態の構成では、制御部100は、ウェイクアップワードを確認したときに、予め与えられた条件に基づいて動作状態を変更していた。さらに、制御部100は、制御ワードを確認したときに、予め設定された特定動作に関する制御ワードであるときに、動作状態の変更を直ちに行うことを禁止していた。本変形例では、制御部100は、音量測定部66aによって測定された音量に基づいて送風機10からの発生音の音量を測定し、測定結果が一定以上である場合に、発生音を抑制するようフィードバック動作を行う。
【0100】
すなわち、制御部100がウェイクアップワードを確認すると、音量測定部66aは送風機10からの発生音を測定し、発生音が所定の閾値以上であった場合には、送風用モータ54の回転数の低下、駆動部120の動作の抑制または停止、及び報知音出力部67の動作の抑制または停止のうちの1以上の制御を行う。これにより、制御部100は、送風機10からの発生音を抑制し、使用者の発する音声を取得しやすくする。
【0101】
同様に、制御部100が制御ワードを確認すると、制御部100は当該制御ワードに対応する動作を行うが、その結果、音量測定部66aで測定される音の音量が一定以上になった場合には、動作状態を元の状態に戻す。このとき、制御部100は、動作状態メモリに変更後の動作状態を記憶させる。
【0102】
なお、上記動作において、送風機10からの発生音を抑制するための音量の閾値は、任意に変更可能である。
【0103】
<4.本発明の特徴>
以上、実施形態、実施例、及び変形例を例示して説明した本発明は、以下のような特徴を有する。
【0104】
上記の送風機10において、制御部100は、送風機10の動作状態に音入力部66の音声取得を妨害する要因が存在すると判定された場合に、送風機10の動作状態を変更するよう構成されている。この構成により、例えば、送風機10から発せられる騒音の音量が大きい、または音声入力を行う使用者と、音入力部66との間にファン56からの風が通る状態であるなどの、音声取得を妨害する要因が存在する場合に、騒音が小さくなるよう動作状態を変更するよう動作可能となる。これによって、音入力部66が明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。さらに、送風機10の音声認識率を高めた構成にすることができる。
【0105】
また、上記の送風機10において、動作状態の変更として、送風用モータ54の回転数を変更する構成とすることができる。この構成によれば、送風用モータ54及びファン56の回転により発生する騒音を抑制することができ、明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。
【0106】
また、上記の送風機10において、動作状態の変更として、風向の変更を行う構成とすることができる。この構成によれば、いずれかの方向に送風方向を変更して使用者と音入力部との間に風が通らないようにすることで、音入力部66に使用者の声が明瞭に届きやすい構成にすることができる。
【0107】
また、上記の送風機10において、動作状態の変更を、風向変更部121(左右首振り機構部24及び上下首振り機構部42の少なくとも一方)を駆動する駆動部120(左右首振り用モータ22及び上下首振り用モータ40の少なくとも一方)の動作を抑制または禁止(停止)する構成にすることができる。この構成によれば、駆動部120が風向変更部121を駆動する際に、駆動部または風向変更部から発せられる騒音を抑制することが可能となる。これにより、明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。
【0108】
また、上記の送風機10において、動作状態の変更を、報知音出力部67からの報知音を抑制または禁止(停止)する構成にすることができる。送風機10から出力される操作音などの音が入力音声に混入することを防止することができ、明瞭な入力音声を取得しやすい構成にすることができる。
【0109】
また、上記の送風機10において、ウェイクアップワードを認識したときに、送風機10からの発生音の判定を行って、必要に応じて動作状態を変更する構成としてもよい。特に音声の認識率を高めたいウェイクアップワードの認識後に使用者により入力される制御ワードを明瞭に取得しやすい構成にすることができる。
【0110】
また、上記の変形例で説明したように、送風機10が音量測定部66aを備える構成とし、音量測定部66aの測定結果に応じて送風機10からの発生音が所定値を超えることの判定を行う構成としてもよい。この構成によれば、送風機10の周囲の騒音及び送風機10から発せられる騒音を動的に確認しながら、明瞭な入力音声を取得しづらい環境でのみ、騒音を抑制するための送風機10の動作状態の変更を行うことが可能となる。
【0111】
また、上記変形例の送風機10において、音量測定部66aが音入力部66で取得された音に基づいて周囲の音の音量を測定する構成としてもよい。この構成によれば、音量測定のための特別な構成を追加することなく、送風機10の周囲の騒音及び送風機10から発せられる音の音量を測定することが可能となる。
【0112】
また、上記の送風機10において、動作状態を変更する基準となる音の閾値を変更可能な構成としてもよい。
【0113】
また、上記の送風機10において、動作状態の変更(例えば送風用モータ54の回転数の変更)を、制御ワード認識期間経過後に行う構成とすることができる。この構成によれば、制御ワード認識期間において騒音を抑制する動作状態とし、制御ワード認識期間が終了したら元の動作状態に戻す動作を行う構成にすることができる。
【0114】
また、上記の送風機10において、制御ワードとして送風用モータ54の回転数を変更する命令が入力され、かつ変更後の送風用モータ54の回転数が所定値以上であった場合に、制御ワード認識期間経過後に送風用モータ54の回転数を変更する構成としてもよい。すなわち、特に騒音を発生しやすい送風用モータ54の回転数を所定値以上に上げようとする場合に、すぐに送風用モータ54の回転数を上げないよう動作させることで、直ちに送風用モータ54の回転数を上げることにより騒音が大きくなってしまうことを抑制することができる。
【0115】
また、上記の送風機10において、制御ワード認識期間に風量を変更する場合であっても、制御ワード認識直後に風量表示部65の表示を変更後の値とする構成としてもよい。この構成によれば、例えば、送風用モータ54の回転数を上げる命令に対して送風用モータ54の回転数を維持する期間においても、送風機10が命令を認識していないと使用者が誤認することを防止可能な構成にすることができる。
【0116】
<5.補足事項>
以上、本発明の実施形態、実施例、及び変形例についての具体的な説明を行った。これらの実施形態等は、あくまで本発明の一構成例及び一動作例としての具体例であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【符号の説明】
【0117】
10…送風機
20…台座部
22…首振り用モータ
24…首振り機構部
26…制御基板
28…電源基板
30…支柱
38…収容部
40…首振り用モータ
42…首振り機構部
50…送風部
52…ファンガード
52a…前ファンガード
52b…後ファンガード
54…送風用モータ
56…ファン
60…操作部
62…リモコン
65…風量表示部
66…音入力部
66a…音量測定部
67…報知音出力部
100…制御部
110…記憶部
120…駆動部
121…風向変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11