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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】駆動回路及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20240618BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240618BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240618BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240618BHJP
【FI】
G09G3/20 612F
G09G3/20 623F
G09G3/36
G09G3/20 611J
G02F1/133 575
G02F1/133 505
H10K59/131
G09G3/20 641P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020010897
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117360
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】520333321
【氏名又は名称】深▲セン▼通鋭微電子技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 和広
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-197584(JP,A)
【文献】特開2005-234495(JP,A)
【文献】特開2009-288526(JP,A)
【文献】特開2011-070184(JP,A)
【文献】特開2008-067145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0385502(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0385505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
G02F 1/133
H10K 59/00-59/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のソースアンプと、
M個(Mは2以上の自然数)の異なる階調基準電圧を生成する階調基準電圧生成回路と、
入力された階調値の各々に基づいて、前記階調基準電圧生成回路からM個のバスラインの各々を介して供給された前記M個の階調基準電圧から一つを選択し、前記複数のソースアンプの各々に供給するデジタルアナログ変換回路と、
第1画像データを構成する第1階調値群中のある1つの画素のサブ画素の第1階調値と、前記第1画像データの直前の期間、前記第1画像データと同一期間、または前記第1画像データの直後の期間の第2画像データを構成する第2階調値群中の前記ある1つの画素のサブ画素と同一色の光を発する他のある1つの画素のサブ画素の第2階調値との差を検出する階調値変動量検出部と、
前記階調値変動量検出部が検出した前記第1階調値と前記第2階調値との差の絶対値が、オフセットを付与するか、しないかを決める閾値であるオフセット基準値以上である場合に、前記第1階調値と前記第2階調値との差の絶対値が前記オフセット基準値より小さくなるように、全ての階調値が所定の階調値以上である前記第1画像データが入力された場合の前記第1画像データを構成する前記第1階調値群の各々の階調値を負の値を有する第1のオフセット値でオフセットし、かつ、全ての階調値が前記所定の階調値未満である前記第2画像データが入力された場合の前記第2画像データを構成する前記第2階調値群の各々の階調値を正の値を有する第2のオフセット値でオフセットして、前記デジタルアナログ変換回路に供給するオフセット付与部と、を含む駆動回路。
【請求項2】
前記第1階調値群及び前記第2階調値群の一方は、第1の期間に入力され、
前記第1階調値群及び前記第2階調値群の他方は、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間に入力され、
前記第1階調値群の各々の階調値を前記第1のオフセット値でオフセットして得られる第1オフセット階調値群の各々の階調値と、前記第2階調値群の各々の階調値を前記第2のオフセット値でオフセットして得られる第2オフセット階調値群の各々の階調値とは、前記複数のソースアンプの前記階調基準電圧を、異なるタイミングでそれぞれ決定する請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第1階調値群と前記第2階調値群とは、同一期間に入力され、
前記第1階調値群の各々の階調値を前記第1のオフセット値でオフセットして得られる第1オフセット階調値群の各々の階調値と、前記第2階調値群の各々の階調値を前記第2のオフセット値でオフセットして得られる第2オフセット階調値群の各々の階調値とは、前記複数のソースアンプの一部の前記階調基準電圧を、同じタイミングでそれぞれ決定する請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、前記複数のソースアンプのうち同一のソースアンプの前記階調基準電圧を異なるタイミングで決定する2つのオフセット階調値の平均値は、
前記2つのオフセット階調値が、オフセットされる前の2つの階調値の平均値と同じである請求項2に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、所定間隔で配置された2つのソースアンプからなる一組のソースアンプ毎の各ソースアンプの前記階調基準電圧を決定する2つのオフセット階調値の平均値は、
前記2つのオフセット階調値が、オフセットされる前の2つの階調値の平均値と同じである請求項3に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、前記複数のソースアンプのうち同一のソースアンプの前記階調基準電圧を異なるタイミングで決定する2つのオフセット階調値のそれぞれは
前記2つのオフセット階調値が、オフセットされる前の2つの階調値の平均値と同じである請求項2に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、所定間隔で配置された2つのソースアンプからなる一組のソースアンプ毎の各ソースアンプの前記階調基準電圧を決定する2つのオフセット階調値のそれぞれは、
前記2つのオフセット階調値が、オフセットされる前の2つの階調値の平均値と同じである請求項3に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記オフセット基準値は、前記第1階調値と前記第2階調値との差の絶対値の大値に0.9倍をした値以上である請求項1から7の何れか1項に記載の駆動回路。
【請求項9】
表示パネルと、
前記請求項1から8の何れか1項に記載の駆動回路と、を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示パネルを駆動する駆動回路と、前記駆動回路を備えた表示装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルや、OLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)、無機発光ダイオードまたはQLED(Quantum dot Light Emitting Diode:量子ドット発光ダイオード)を備えた表示パネル等の表示用ドライバIC(駆動回路)は、近年の表示パネルの高精細化や倍速駆動対応等により、出力遅延の益々の高速化が必要となっている。
【0003】
図15及び図16は、複数本のソース線を時分割で駆動するマルチプレクス駆動を行う従来のソース駆動回路を示す図である。
【0004】
図15に図示しているように、従来のソース駆動回路は、複数のソースアンプAM1~AM171と、階調基準電圧V0~V255を出力するガンマ回路24と、入力された画像データD1~D171の階調値の各々に基づいて、ガンマ回路24から256個の基準電源バスラインの各々を介して供給された256個の階調基準電圧V0~V255から一つを選択し、複数のソースアンプAM1~AM171の各々に供給するDAC回路23と、複数のソースアンプAM1~AM171の各々の出力ノードQ1~Q171から出力された電圧をセレクト信号SEL1~SEL18に基づいて時分割で、ソース線S1~S3078に分配するデマルチプレクサー25と、を含む。
【0005】
図16は、DAC回路23とガンマ回路24の構成例を示す。DAC回路23の左右両側に配置されたガンマ回路24は、高電位側電圧VHと低電位側電圧VLの間を分割する抵抗素子RA1~RA257及び抵抗素子RB1~RB257を含む。抵抗素子RA1~RA257の間のノードと抵抗素子RB1~RB257の間のノードは、共通の基準電源バスラインBL1~BL256に接続される。そして、基準電源バスラインBL1~BL256の各々には、階調基準電圧V0~V255が出力される。図15及び図16に図示しているように、DAC回路23は、複数のソースアンプAM1~AM171の各々の入力ノードU1~U171と、基準電源バスラインBL1~BL256の各々との間に接続されるスイッチ素子S1-1~S171-256を有する。スイッチ素子S1-1~S171-256の各々は、画像データD1~D171の階調値の各々に基づいてオン・オフ制御される。例えば、画像データD171が階調基準電圧V127に該当する階調値である場合には、スイッチ素子S171-1~S171-256中、スイッチ素子S171-128のみがオンになり、他のスイッチ素子S171-1~S171-127・S171-129~S171-256はオフになり、階調基準電圧V127がソースアンプAM171の入力ノードU171に供給される。
【0006】
図17は、従来のソース駆動回路100に入力される画像データD1~Dnの各々の階調値が全て255階調(階調基準電圧V0に該当)であって、ソース駆動回路100のn個のソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Un全てが、階調基準電圧V0が出力される基準電源バスラインBL1に電気的に接続されている場合を示す図である。
【0007】
図18は、従来のソース駆動回路100に入力される画像データD1’~Dn’の各々の階調値が全て0階調(階調基準電圧V255に該当)であって、ソース駆動回路100のn個のソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Un全てが、階調基準電圧V255が出力される基準電源バスラインBL256に電気的に接続されている場合を示す図である。
【0008】
図19図20及び図21は、図17及び図18に図示した従来のソース駆動回路100の問題点を説明するための図である。
【0009】
図19は、ソースアンプAMnの概略構成を示す図であり、ソースアンプAMnの入力ノードUnと出力ノードQnは、ソースアンプAMn内のトランジスタである入力トランジスタMp及び出力トランジスタMmのゲートと接続されており、入力トランジスタMpのゲート容量(図中点線で図示)と出力トランジスタMmのゲート容量(図中点線で図示)とが形成される。図17及び図18に図示するように、n個のソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Un全てが、階調基準電圧V0~V255の何れか一つを出力する基準電源バスラインBL1~BL256の何れか一つ(図17の場合には基準電源バスラインBL1、図18の場合には基準電源バスラインBL256)に電気的に接続される場合には、前記ゲート容量の影響により、特定の基準電源バスライン(図17の場合には基準電源バスラインBL1、図18の場合には基準電源バスラインBL256)の負荷が大きくなる。すなわち、ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256に電気的に接続されるソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Unの数が増加すればする程、ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256の負荷が大きくなる。また、画像データの各々が、例えば、図18に図示する0階調(階調基準電圧V255に該当)から、図17に図示する255階調(階調基準電圧V0に該当)に変わる場合のように、前回入力された画像データの階調値と、今回入力された画像データの階調値との差が大きくなれば大きくなる程、ある一つの基準電源バスラインBL256の負荷が大きくなる。
【0010】
図20は、図17に図示するように、ソース駆動回路100に入力される画像データD1~Dnの各々の階調値が全て255階調(階調基準電圧V0に該当)から、図18に図示するように、ソース駆動回路100に入力される画像データD1’~Dn’の各々の階調値が全て0階調(階調基準電圧V255に該当)になる場合、すなわち、ある一つの基準電源バスラインBL256の負荷が最も大きい場合における前記ゲート容量の影響による基準電源バスラインBL256の出力の変動を示す図である。図20に図示するように、画像データの各々が255階調から0階調に変わる際には、ゲート容量に蓄えられた電荷の移動により、基準電源バスラインBL256の出力は、図中の矢印方向であるV0方向へ持ちあがる(図16に図示するようにV0>V255の場合)。すなわち、画像データの各々が255階調から0階調に変わる際には、基準電源バスラインBL256の出力は、V255の期待値より電圧が高くなる。なお、この持ちあがり量は、ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256に電気的に接続されるソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Unの数が増加すればする程、大きくなる。
【0011】
図21は、図20に図示するように、基準電源バスラインBL256の出力において、持ちあがりが生じた場合に、基準電源バスラインBL256に電気的に接続された複数のソースアンプAMnの各々の出力ノードQnにおけるソース出力を示す図である。図21に図示するように、上述した持ちあがりが残っている状態において、画像データの各々が255階調(階調基準電圧V0に該当)から0階調(階調基準電圧V255に該当)に変わる際には、上述した持ちあがりの影響により、ソース出力が255階調に相当するV0期待値から0階調に相当するV255期待値の近くで安定化するまでにかかる時間(セトリング時間)が大きくなってしまう。このようにセトリング時間が大きいソース駆動回路を備えた表示装置においては、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラなどが視認されてしまう場合があるので、問題である。
【0012】
そこで、特許文献1には、階調基準電圧V0~V255を出力するガンマ回路24a・24b・24cの数を増やすとともに、これに伴い、基準電源バスラインの数も増やした構成について開示されている。
【0013】
図22は、特許文献1に開示されているソース駆動回路の概略構成を示す図であり、このソース駆動回路は、階調基準電圧V0~V255を出力する3つのガンマ回路、すなわち、第1ガンマ回路24a、第2ガンマ回路24b及び第3ガンマ回路24cと、このガンマ回路の増加に伴い、基準電源バスラインの数を増やした構成のDAC回路23aと、複数のソースアンプAM1~AM171と、複数のソースアンプAM1~AM171の各々の出力ノードQ1~Q171から出力された電圧をセレクト信号SEL1~SEL18に基づいて時分割で、ソース線S1~S3078に分配するデマルチプレクサー25aと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2015-114399(2015年6月22日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図22に図示した特許文献1に開示されているソース駆動回路の場合、ガンマ回路として、並列化した第1ガンマ回路24a、第2ガンマ回路24b及び第3ガンマ回路24cを用いている。したがって、使用するガンマ回路の数が大きく増加するとともに、使用するガンマ回路の数が増加した分、基準電源バスラインの数も大きく増加する構成であるため、製造コストの大幅上昇と、チップ面積及び消費電力の大幅増大とを避けられないという問題がある。
【0016】
本開示の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの大幅上昇と、チップ面積及び消費電力の大幅増大とを抑制できるとともに、セトリング時間(安定化時間)を短くした駆動回路と、製造コストの大幅上昇及び消費電力の大幅増大を抑制できるとともに、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラを改善した表示装置とを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る駆動回路は、
複数のソースアンプと、
M個(Mは2以上の自然数)の異なる階調基準電圧を生成する階調基準電圧生成回路と、
入力された階調値の各々に基づいて、前記階調基準電圧生成回路からM個のバスラインの各々を介して供給された前記M個の階調基準電圧から一つを選択し、前記複数のソースアンプの各々に供給するデジタルアナログ変換回路と、
第1階調値群中の第1階調値と第2階調値群中の第2階調値との差を検出する階調値変動量検出部と、
前記階調値変動量検出部が検出した前記第1階調値と前記第2階調値との差の絶対値が、オフセット基準値以上である場合に、全ての階調値が所定の階調値以上である前記第1階調値群の各々の階調値を負の値を有する第1のオフセット値でオフセットし、かつ、全ての階調値が前記所定の階調値未満である前記第2階調値群の各々の階調値を正の値を有する第2のオフセット値でオフセットして、前記デジタルアナログ変換回路に供給するオフセット付与部と、を含む。
【0018】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示装置は、
表示パネルと、
前記駆動回路と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
製造コストの大幅上昇と、チップ面積及び消費電力の大幅増大とを抑制できるとともに、セトリング時間(安定化時間)を短くした駆動回路と、製造コストの大幅上昇及び消費電力の大幅増大を抑制できるとともに、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラを改善した表示装置とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る表示装置に備えられたソース駆動回路において、画像データとして入力された255階調(V0)のデータがオフセットされ、155階調(V100)のデータとして、DAC回路に入力された場合を示す図である。
図2】実施形態1に係る表示装置に備えられたソース駆動回路において、画像データとして入力された0階調(V255)のデータがオフセットされ、100階調(V155)のデータとして、DAC回路に入力された場合を示す図である。
図3図1及び図2に図示したソース駆動回路を備えた実施形態1に係る表示装置の全体構成を示す図である。
図4図3に図示した表示装置の表示領域を一定距離離れたところから見た場合と、表示領域のY部分の部分拡大図とを示す図である。
図5図3に図示した表示装置の表示領域に備えられた複数の画素のうち、ゲート線の延在方向である図中の左右方向において隣接する2つの画素と、この2つの画素を一定距離離れたところから見た場合とを示す図である。
図6図3に図示した表示装置の表示領域に備えられた複数の画素のうち、ソース線の延在方向である図中の上下方向において隣接する2つの画素と、この2つの画素を一定距離離れたところから見た場合とを示す図である。
図7図3に図示した表示装置の表示領域を一定距離離れたところから見た場合と、表示領域のX部分の部分拡大図とを示す図である。
図8図3に図示した表示装置の表示領域に、緑色と黒色の交互パターン(千鳥模様)を表示した際の各画素における緑色サブ画素の階調値の一例を示す図である。
図9図8に図示した緑色サブ画素の階調値の一部を用いて、実施形態1に係るソース駆動回路に備えられた階調値変動量検出部が行った演算結果の一例を示す図である。
図10図9に図示した演算結果から算出されるデータであって、実施形態1に係る表示装置のソース駆動回路に備えられたオフセット付与部がオフセット付与の基準として用いるデータの一例を示す図である。
図11図1及び図2に図示したソース駆動回路に備えられたデジタル階調入力オフセット部の一例を示す図である。
図12】変形例である表示装置の表示領域に、緑色と黒色の交互パターン(千鳥模様)を表示した際の各画素における緑色サブ画素の階調値の他の一例を示す図である。
図13図12に図示した緑色サブ画素の階調値を用いて、変形例である表示装置のソース駆動回路に備えられた階調値変動量検出部が行った演算結果の一例を示す図である。
図14】実施形態2に係る表示装置のソース駆動回路に備えられたデジタル階調入力オフセット部の一例を示す図である。
図15】従来のソース駆動回路の概略構成を示す図である。
図16図15に図示した従来のソース駆動回路に備えられたDAC回路とガンマ回路24の構成例を示す図である。
図17】従来のソース駆動回路に、255階調(階調基準電圧V0に該当)の画像データが入力された場合を示す図である。
図18】従来のソース駆動回路に、0階調(階調基準電圧V255に該当)の画像データが入力された場合を示す図である。
図19】ソースアンプの概略構成を示す図であり、ソースアンプにゲート容量が形成される理由を説明するための図である。
図20】ある一つの基準電源バスラインの負荷が最も大きい場合であって、ゲート容量の影響による該当基準電源バスラインの出力の変動を示す図である。
図21図20に図示したように、ゲート容量の影響による基準電源バスラインの出力に変動が生じた場合の問題点を説明するための図である。
図22】特許文献1に開示されている従来のソース駆動回路の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施の形態について図1から図14に基づいて説明すれば、次の通りである。以下、説明の便宜上、特定の実施形態にて説明した構成と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付記し、その説明を省略する場合がある。
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について、図1から図13に基づいて説明する。
【0023】
(表示装置10)
図3は、ソース駆動回路(駆動回路)1と、ゲート駆動回路3と、表示パネル4とを備えた、実施形態1に係る表示装置10の全体構成を示す図である。
【0024】
図3に図示しているように、表示装置10は、ソース駆動回路1と、ゲート駆動回路3と、表示パネル4とを備えている。ソース駆動回路1からの出力信号はソース線S1~Srを介して表示パネル4に供給され、ゲート駆動回路3からの出力信号はゲート線G1~Gmを介して表示パネル4に供給され、表示パネル4の表示領域DAの複数の画素PIXの各々において表示が行われる。
【0025】
なお、本実施形態においては、複数の画素PIXの各々が、第1サブ画素と、第2サブ画素と、第3サブ画素とで構成され、第1サブ画素が緑色サブ画素GSPであり、第2サブ画素が赤色サブ画素RSPであり、第3サブ画素が青色サブ画素BSPである場合を、一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。第1サブ画素は、緑色サブ画素GSPでなくでもよく、例えば、赤色サブ画素RSPや青色サブ画素BSPであってもよい。また、第1サブ画素は、画素PIXの真ん中に配置したサブ画素でなくてもよく、例えば、画素PIXの最も左側のサブ画素や画素PIXの最も右側のサブ画素であってもよい。また、例えば、複数の画素PIXの各々は、4つ以上のサブ画素で構成されていてもよい。複数の画素PIXの各々が、例えば、4つのサブ画素で構成される場合には、第4サブ画素は、白色のサブ画素であってもよく、赤色、緑色及び青色以外の色のサブ画素であってもよい。
【0026】
表示パネル4は、例えば、液晶表示パネルや、OLED(有機発光ダイオード)、無機発光ダイオードまたはQLED(量子ドット発光ダイオード)を備えた表示パネル等であってもよい。
【0027】
また、本実施形態においては、ソース駆動回路1と、ゲート駆動回路3とが、表示パネル4に対して、外付けされている場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、ソース駆動回路1及びゲート駆動回路3の少なくとも一方が、表示パネル4上にモノリシックに形成されていてもよい。
【0028】
(ソース駆動回路1)
図1及び図2は、実施形態1に係る表示装置10に備えられたソース駆動回路1の全体構成を示す図である。
【0029】
図1及び図2に図示しているように、ソース駆動回路1は、階調値変動量検出部7(図11参照)とオフセット付与部8(図11参照)とを含むデジタル階調入力オフセット部2と、複数のソースアンプAM1~AMnと、階調基準電圧V0~V255を出力するガンマ回路(階調基準電圧生成回路)24と、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enの階調値の各々に基づいて、ガンマ回路24から256個の基準電源バスラインBL1~BL256の各々を介して供給された256個の階調基準電圧V0~V255から一つを選択し、複数のソースアンプAM1~AMnの各々に供給するDAC回路(デジタルアナログ変換回路)23と、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnから出力された電圧を、例えば、セレクト信号SEL1~SEL6に基づいて時分割で、ソース線S1~Srに分配するデマルチプレクサー25と、を含む。
【0030】
本実施形態においては、図中のn及びrは自然数であり、n<rの関係を満たす場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、n=rであってもよい。
【0031】
本実施形態においては、例えば、rは、nの6倍であり、ソース線S1~Srの各々は、第1グループ~第6グループの何れか1つに属するように、グループ分けされており、一つのグループには、r/6個のソース線が属する。
【0032】
デマルチプレクサー25は、例えば、セレクト信号SEL1に基づいて、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、第1グループにのみ属するソース線と電気的に接続する。すなわち、デマルチプレクサー25は、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、セレクト信号SEL1~SEL6に基づいて選択される第1グループ~第6グループの何れか1つにのみ属するソース線と電気的に接続する。
【0033】
なお、本実施形態においては、デジタル階調入力オフセット部2に入力される画像データは、各色、例えば、赤色、緑色及び青色毎に分離された画像データであり、画像データD1~Dn(第1階調値群)は、第1の期間にデジタル階調入力オフセット部2に入力され、画像データD1’~Dn’(第2階調値群)は、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間にデジタル階調入力オフセット部2に入力される場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、実施形態1の変形例として後述するように、画像データD1~Dn(第1階調値群)と画像データD1’~Dn’(第2階調値群)とは、同一期間にデジタル階調入力オフセット部2に入力されてもよい。
【0034】
具体的に、本実施形態においては、例えば、デマルチプレクサー25は、セレクト信号SEL1に基づいて、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、赤色の表示に関するソース線S1・S7・S13・S19・・・の各々と電気的に接続し、セレクト信号SEL2に基づいて、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、赤色の表示に関するソース線S4・S10・S16・S22・・・の各々と電気的に接続する。また、デマルチプレクサー25は、セレクト信号SEL3に基づいて(後述する第1の期間)、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、緑色の表示に関するソース線S2・S8・S14・S20・・・の各々と電気的に接続し、セレクト信号SEL4に基づいて(後述する第2の期間)、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、緑色の表示に関するソース線S5・S11・S17・S23・・・の各々と電気的に接続する。さらに、デマルチプレクサー25は、セレクト信号SEL5に基づいて、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、青色の表示に関するソース線S3・S9・S15・S21・・・の各々と電気的に接続し、セレクト信号SEL6に基づいて、複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnを、青色の表示に関するソース線S6・S12・S18・S24・・・の各々と電気的に接続する。
【0035】
なお、ソース駆動回路1が備えている、複数のソースアンプAM1~AMnと、DAC回路23と、ガンマ回路24と、デマルチプレクサー25とは、図15図16図17及び図18に図示した従来のソース駆動回路に備えられた構成と同様の構成であり、ソース駆動回路1は、階調値変動量検出部7(図11参照)とオフセット付与部8(図11参照)とを含むデジタル階調入力オフセット部2を備えている点において、上述した従来のソース駆動回路とは異なる。
【0036】
図1は、ソース駆動回路1のデジタル階調入力オフセット部2に、画像データD1~Dnとして、255階調(V0)のデータが入力され、デジタル階調入力オフセット部2において、255階調(V0)のデータがオフセットされ、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enの階調値として、155階調(V100)のデータがDAC回路23に出力される場合を示す図である。
【0037】
一方、図2は、ソース駆動回路1のデジタル階調入力オフセット部2に、画像データD1’~Dn’として、0階調(V255)のデータが入力され、デジタル階調入力オフセット部2において、0階調(V255)のデータがオフセットされ、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’~En’の階調値として、100階調(V155)のデータがDAC回路23に出力される場合を示す図である。
【0038】
なお、図1及び図2において、DAC回路23に入力される階調値の各々、すなわち、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~En・E1’~En’の階調値の各々は、全ての階調値が所定の階調値(例えば、127階調)以上である画像データD1~Dn(全ての階調値が所定の階調値以上である第1階調値群ともいう)と、全ての階調値が前記所定の階調値(例えば、127階調)未満である画像データD1’~Dn’(全ての階調値が前記所定の階調値未満である第2階調値群ともいう)とをそれぞれオフセットした階調値である。
【0039】
なお、本実施形態においては、255階調(V0)の画像データD1~Dn(第1階調値群)が、第1の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力され、0階調(V255)の画像データD1’~Dn’(第2階調値群)が、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力され、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enの階調値がDAC回路23に先に出力され、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’~En’の階調値がDAC回路23に後に出力される場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、0階調(V255)の画像データD1’~Dn’(第2階調値群)が、第1の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力され、255階調(V0)の画像データD1~Dn(第1階調値群)が、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力され、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’~En’の階調値がDAC回路23に先に出力され、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enの階調値がDAC回路23に後に出力されてもよい。
【0040】
また、本実施形態においては、画像データD1~Dn(第1階調値群)が255階調(V0)であり、画像データD1’~Dn’(第2階調値群)が0階調(V255)であり、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enの階調値が155階調(V100)であり、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’~En’の階調値が100階調(V155)である場合を一例に挙げて説明するが、これらの値は一例であるので、これに限定されることはない。
【0041】
なお、本実施形態においては、デマルチプレクサー25を備えたソース駆動回路1を一例に挙げて説明するが、本開示は、デマルチプレクサー25を備えていないソース駆動回路にも適用可能であるのは言うまでもない。
【0042】
(階調値変動量検出部7とオフセット付与部8)
図11は、図1及び図2に図示したソース駆動回路1に備えられたデジタル階調入力オフセット部2の一例を示す図である。
【0043】
図11に図示するように、デジタル階調入力オフセット部2は、階調値変動量検出部7とオフセット付与部8とを含む。なお、本実施形態においては、デジタル階調入力オフセット部2が、階調値変動量検出部7とオフセット付与部8との両方を含む場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、例えば、デジタル階調入力オフセット部2は、オフセット付与部8のみを備えており、階調値変動量検出部7は、デジタル階調入力オフセット部2の外部から、オフセット付与部8に階調値変動量検出データを供給するようにしてもよい。
【0044】
図8は、図3に図示した表示装置10の表示領域DAに、緑色と黒色の交互パターン(千鳥模様)を表示した際の各画素PIXにおける緑色サブ画素GSPの階調値の一例を示す図である。
【0045】
図8に図示する、255階調の画像データD1~Dn(第1階調値群)は、第1の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力され、0階調の画像データD1’~Dn’(第2階調値群)は、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力され、0階調の画像データD1’’~Dn’’(第3階調値群)は、前記第2の期間の後の期間である第3の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力され、255階調の画像データD1’’’~Dn’’’(第4階調値群)は、前記第3の期間の直後の期間である第4の期間に、デジタル階調入力オフセット部2に入力される。そして、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enの階調値(図11参照)と、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’~En’の階調値(図11参照)と、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’’~En’’の階調値と、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’’’~En’’’の階調値とが、この順に、DAC回路23に出力される。
【0046】
図9は、図8に図示した緑色サブ画素GSPの階調値の一部を用いて、ソース駆動回路1に備えられた階調値変動量検出部7が行った演算結果の一例を示す図である。
【0047】
図9に図示するように、階調値変動量検出部7は、255階調の画像データD1~Dn(第1階調値群)中のある一つの階調値である第1階調値と、0階調の画像データD1’~Dn’(第2階調値群)中のある一つの階調値である第2階調値との差の絶対値、すなわち、階調値変動量を検出できる。
【0048】
例えば、階調値変動量検出部7が行った演算結果の1行1列目の階調値変動量255は、第1階調値である255階調の画像データD1と第2階調値である0階調の画像データD1’との差の絶対値を求めた結果である。また、1行2列目の階調値変動量255は、第2階調値である0階調の画像データD1’と第1階調値である255階調の画像データD2との差の絶対値を求めた結果である。また、1行3列目の階調値変動量255は、第1階調値である255階調の画像データD2と第2階調値である0階調の画像データD2’との差の絶対値を求めた結果である。すなわち、本実施形態においては、階調値変動量検出部7が、階調値変動量を検出するために用いる前記第1階調値と前記第2階調値とが、複数のゲート線G1~Gmの各々の延在方向(図3及び図8の図中の左右方向)において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値である場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、本実施形態のように、全ての階調値が255階調である画像データD1~Dn(第1階調値群)と、全ての階調値が0階調である画像データD1’~Dn’(第2階調値群)とが入力される場合には、階調値変動量検出部7が、階調値変動量を検出するために用いる前記第1階調値と前記第2階調値とは、複数のゲート線G1~Gmの各々の延在方向において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値でなくでもよく、第1階調値は、255階調の画像データD1~Dn(第1階調値群)中のある一つの階調値であり、第2階調値は、0階調の画像データD1’~Dn’(第2階調値群)中のある一つの階調値であってもよい。
【0049】
図9に図示するように、同様に、階調値変動量検出部7は、0階調の画像データD1’’~Dn’’(第3階調値群)中のある一つの階調値である第3階調値と、255階調の画像データD1’’’~Dn’’’(第4階調値群)中のある一つの階調値である第4階調値との差の絶対値、すなわち、階調値変動量を検出できる。
【0050】
例えば、階調値変動量検出部7が行った演算結果の2行1列目の階調値変動量255は、第3階調値である0階調の画像データD1’’と第4階調値である255階調の画像データD1’’’との差の絶対値を求めた結果である。また、2行2列目の階調値変動量255は、第4階調値である255階調の画像データD1’’’と第3階調値である0階調の画像データD2’’との差の絶対値を求めた結果である。また、2行3列目の階調値変動量255は、第3階調値である0階調の画像データD2’’と第4階調値である255階調の画像データD2’’’との差の絶対値を求めた結果である。すなわち、本実施形態においては、前記第3階調値と前記第4階調値とが、複数のゲート線G1~Gmの各々の延在方向(図3及び図8の図中の左右方向)において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値である場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、本実施形態のように、全ての階調値が0階調である画像データD1’’~Dn’’(第3階調値群)と、全ての階調値が255階調である画像データD1’’’~Dn’’’(第4階調値群)とが入力される場合には、前記第3階調値と前記第4階調値とは、複数のゲート線G1~Gmの各々の延在方向において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値でなくでもよく、第3階調値は、0階調の画像データD1’’~Dn’’(第3階調値群)中のある一つの階調値であり、第4階調値は、255階調の画像データD1’’’~Dn’’’(第4階調値群)中のある一つの階調値であってもよい。
【0051】
図9に図示するように、本実施形態においては、図8に図示した緑色サブ画素GSPの階調値の一部を用いて、階調値変動量検出部7が2行×8列の階調値変動量のデータを検出した場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、階調値変動量検出部7が検出する階調値変動量のデータの数は、適宜決定することができる。
【0052】
また、本実施形態においては、階調値変動量検出部7が、図8に図示した緑色サブ画素GSPの階調値の一部を用いて、階調値変動量を検出し、その検出結果に基づいて、緑色サブ画素GSPの階調値をオフセットする場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。階調値変動量検出部7は、図3に図示した赤色サブ画素RSPの階調値の一部を用いて、階調値変動量を検出し、その検出結果に基づいて、赤色サブ画素RSPの階調値をオフセットしてもよい。また、階調値変動量検出部7は、図3に図示した青色サブ画素BSPの階調値の一部を用いて、階調値変動量を検出し、その検出結果に基づいて、青色サブ画素BSPの階調値をオフセットしてもよい。
【0053】
図10は、図9に図示した演算結果から算出されるデータであって、表示装置10のソース駆動回路1に備えられたオフセット付与部8がオフセット付与の基準として用いるデータの一例を示す図である。
【0054】
図10に図示するように、階調値変動量検出部7は、図9に図示する2行×8列の階調値変動量のデータから、前記第1階調値と前記第2階調値との差の絶対値、すなわち、前記第1階調値と前記第2階調値との階調値変動量及び、前記第3階調値と前記第4階調値との差の絶対値、すなわち、前記第3階調値と前記第4階調値との階調値変動量が、250階調以上である場合、すなわち、検出結果が真の場合に、オフセット付与部8がオフセットを付与するように1という値を算出する。一方、階調値変動量検出部7は、前記第1階調値と前記第2階調値との差の絶対値、すなわち、前記第1階調値と前記第2階調値との階調値変動量及び、前記第3階調値と前記第4階調値との差の絶対値、すなわち、前記第3階調値と前記第4階調値との階調値変動量が、250階調未満である場合、すなわち、検出結果が偽の場合には、オフセット付与部8がオフセットを付与しないように0という値を算出する。オフセット付与部8がオフセットを付与しない場合には、デジタル階調入力オフセット部2に入力された階調値は、オフセットされることなく、そのまま出力される。
【0055】
本実施形態においては、オフセット付与部8がオフセットを付与するか、しないかを決める閾値であるオフセット基準値を、250階調に設定した場合を一例にあげて説明するが、これに限定されることはなく、前記オフセット基準値は、例えば、最大階調値(本実施形態においては255階調)に0.9倍をした値である230階調以上で設定してもよい。
【0056】
図11に図示するように、階調値変動量検出部7において、オフセット付与部8がオフセットを付与する1という値が算出された場合、すなわち、図11に図示するような2行×8列の階調値変動量のデータを得た場合には、オフセット付与部8は、全ての階調値が255階調の画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)を、負の値を有する第1のオフセット値(本実施形態においては、-100階調)でオフセットし、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enとして、オフセットされた第1オフセット階調値である155階調をDAC回路23に出力する。そして、オフセット付与部8は、全ての階調値が0階調の画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)を、正の値を有する第2のオフセット値(本実施形態においては、+100階調)でオフセットし、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’~En’として、オフセットされた第2オフセット階調値群である100階調をDAC回路23に出力する。
【0057】
図11に図示するように、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1~Enであるとともに第1オフセット階調値群である155階調と、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’~En’であるとともに第2オフセット階調値群である100階調とにおいて、前記複数のソースアンプのうちの一つの同一ソースアンプの前記階調基準電圧をそれぞれ決定する2つのオフセット階調値の組のそれぞれの平均値は、前記2つのオフセット階調値の組が、オフセットされる前の2つの階調値の組である、255階調の画像データD1~Dnと、0階調の画像データD1’~Dn’とのそれぞれの平均値と同じである。
【0058】
すなわち、ソースアンプAM1の前記階調基準電圧を異なるタイミングでそれぞれ決定する、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1であるとともに第1オフセット階調値である155階調と、デジタル階調入力オフセット部2の出力E1’であるとともに第2オフセット階調値である100階調との平均値は、前記2つのオフセット階調値の組が、オフセットされる前の2つの階調値の組である、255階調の画像データD1と、0階調の画像データD1’との平均値と同じである。
【0059】
同様に、ソースアンプAM2~AMnの前記階調基準電圧を異なるタイミングでそれぞれ決定する、デジタル階調入力オフセット部2の出力E2~Enであるとともに第1オフセット階調値である155階調と、デジタル階調入力オフセット部2の出力E2’~En’であるとともに第2オフセット階調値である100階調との2つのオフセット階調値の組それぞれの平均値は、前記2つのオフセット階調値の組が、オフセットされる前の2つの階調値の組である、255階調の画像データD2~Dnと、0階調の画像データD2’~Dn’とのそれぞれの平均値と同じである。
【0060】
以下、図4から図7に基づいて、本実施形態において、第1のオフセット値及び第2のオフセット値のそれぞれを決定した理由について説明する。
【0061】
図4は、図3に図示した表示装置10の表示領域DAを一定距離離れたところから見た場合と、表示領域DAのY部分の部分拡大図とを示す図である。
【0062】
図4に図示するように、表示装置10の表示領域DAに、緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが255階調及び青色サブ画素BSPが0階調)と黒色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが0階調及び青色サブ画素BSPが0階調)の交互パターン(千鳥模様)を表示した際、表示領域DAを一定距離離れたところから見た場合には、隣接する画素PIX同士が平均化され、表示領域DAの各画素PIXは、中間調の緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが127階調及び青色サブ画素BSPが0階調)として見える。
【0063】
図5は、図3に図示した表示装置10の表示領域DAに備えられた複数の画素PIXのうち、ゲート線G1~Gmの延在方向である図中の左右方向において隣接する2つの画素PIXと、この2つの画素PIXを一定距離離れたところから見た場合とを示す図である。
【0064】
図5に図示するように、表示装置10の表示領域DAの図中の左右方向において隣接する2つの画素PIXに、緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが255階調及び青色サブ画素BSPが0階調)と黒色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが0階調及び青色サブ画素BSPが0階調)とを表示した際、この2つの画素PIXを一定距離離れたところから見た場合には、この2つの画素PIXが平均化され、この2つの画素PIXそれぞれは、中間調の緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが127階調及び青色サブ画素BSPが0階調)として見える。
【0065】
図6は、図3に図示した表示装置10の表示領域DAに備えられた複数の画素PIXのうち、ソース線S1~Srの延在方向である図中の上下方向において隣接する2つの画素PIXと、この2つの画素PIXを一定距離離れたところから見た場合とを示す図である。
【0066】
図6に図示するように、表示装置10の表示領域DAの図中の上下方向において隣接する2つの画素PIXに、緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが255階調及び青色サブ画素BSPが0階調)と黒色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが0階調及び青色サブ画素BSPが0階調)とを表示した際、この2つの画素PIXを一定距離離れたところから見た場合には、この2つの画素PIXが平均化され、この2つの画素PIXそれぞれは、中間調の緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが127階調及び青色サブ画素BSPが0階調)として見える。
【0067】
図7は、第1のオフセット値及び第2のオフセット値のそれぞれを用いて、オフセットを行った場合の表示装置10の表示領域DAを一定距離離れたところから見た場合と、表示領域DAのX部分の部分拡大図とを示す図である。
【0068】
表示装置10においては、全ての階調値が255階調である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)を、負の値を有する第1のオフセット値(本実施形態においては、-100階調)でオフセットし、全ての階調値が0階調である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)を、正の値を有する第2のオフセット値(本実施形態においては、+100階調)でオフセットしている。
【0069】
したがって、図7に図示するように、表示装置10の表示領域DAには、中間調の緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが155階調及び青色サブ画素BSPが0階調)と中間調の緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが100階調及び青色サブ画素BSPが0階調)との交互パターン(千鳥模様)を表示することとなる。このような2種類の中間調の緑色が交互パターン(千鳥模様)で表示された表示領域DAを一定距離離れたところから見た場合には、隣接する画素PIX同士が平均化され、表示領域DAの各画素PIXは、中間調の緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが127階調及び青色サブ画素BSPが0階調)として見える。
【0070】
図4に図示した表示装置10の表示領域DAと、図7に図示した表示装置10の表示領域DAとは、一定距離離れたところから見た場合には、両方とも、中間調の緑色(赤色サブ画素RSPが0階調、緑色サブ画素GSPが127階調及び青色サブ画素BSPが0階調)として見えるが、図4に図示した表示装置10においては、赤色サブ画素RSPを0階調、緑色サブ画素GSPを255階調及び青色サブ画素BSPを0階調とし、緑色を表示しているとともに、赤色サブ画素RSPを0階調、緑色サブ画素GSPを0階調及び青色サブ画素BSPを0階調とし、黒色を表示している。すなわち、図4に図示した表示装置10においては、緑色サブ画素GSPが最大階調値である255階調から最小階調値である0階調に変動するので、階調値変動量が大きいため、以下のような問題がある。
【0071】
ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256に電気的に接続されるソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Unの数が増加すればする程、持ちあがり量が大きくなることが知られている(図20参照)。また、この持ちあがり量は、画像データの各々が0階調から255階調に変わる場合のように、階調値変動量が大きい場合に、さらに大きくなる。このように、持ちあがりが残っている状態において、画像データの各々が255階調(階調基準電圧V0に該当)から0階調(階調基準電圧V255に該当)に変わる際には、持ちあがりの影響により、ソース出力が255階調に相当するV0期待値から0階調に相当するV255期待値の近くで安定化するまでにかかる時間(セトリング時間)が大きくなってしまう(図21参照)。すなわち、出力遅延が生じてしまう。このようにセトリング時間が大きいソース駆動回路を備えた表示装置においては、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラなどが視認されてしまう場合があるので、問題である。
【0072】
そこで、本実施形態においては、階調値変動量を小さくした、2種類の中間調の緑色を用いているので、上述した持ちあがり量及びセトリング時間が大きくなるのを抑制できる。したがって、ガンマ回路の並列化などを行う必要がない。よって、製造コストの大幅上昇と、チップ面積及び消費電力の大幅増大とを抑制できるとともに、セトリング時間(安定化時間)を短くしたソース駆動回路1と、製造コストの大幅上昇及び消費電力の大幅増大を抑制できるとともに、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラを改善した表示装置10とを実現できる。
【0073】
上述したように、本実施形態においては、緑色サブ画素GSPの階調値に対してオフセットを行う場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、赤色サブ画素RSPの階調値または、青色サブ画素BSPの階調値に対しても、同様に、オフセットを行ってもよい。
【0074】
(変形例)
図示は省略するが、本実施形態の変形例である表示装置は、ソース駆動回路の複数のソースアンプAM1~AMnの各々の出力(出力ノード)Q1~Qnの数と、表示パネルのソース線S1~Srの数とが、同じである点と、デマルチプレクサー25を備えていない点とにおいて、上述した実施形態1の表示装置10とは異なる。
【0075】
また、上述した実施形態1の表示装置10においては、全ての階調値が255階調である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)は、第1の期間にデジタル階調入力オフセット部2に入力され、全ての階調値が0階調である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)は、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間にデジタル階調入力オフセット部2に入力される場合を一例に挙げて説明したが、本実施形態の変形例である表示装置においては、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)とが、第1の期間に同時にデジタル階調入力オフセット部に入力される場合を一例に挙げて説明する。
【0076】
図12は、本実施形態の変形例である表示装置の表示領域に、緑色と黒色の交互パターン(千鳥模様)を表示した際の各画素における緑色サブ画素の階調値の他の一例を示す図である。
【0077】
本実施形態の変形例である表示装置においては、図12に図示するように、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)とは、第1の期間に同時にデジタル階調入力オフセット部に入力される。そして、全ての階調値が250階調以上である画像データD1’’~Dn’’の各々の階調値(第4階調値群)と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’’’~Dn’’’の各々の階調値(第3階調値群)とは、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間に同時にデジタル階調入力オフセット部に入力される。
【0078】
そして、本実施形態の変形例である表示装置においては、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)と、全ての階調値が250階調以上である画像データD1’’~Dn’’の各々の階調値(第4階調値群)とは、負の値を有する第1のオフセット値(本実施形態においては、-100階調)でオフセットし、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’’’~Dn’’’の各々の階調値(第3階調値群)とは、正の値を有する第2のオフセット値(本実施形態においては、+100階調)でオフセットした。
【0079】
また、画像データD1~Dnの各々の階調値をオフセットしたデジタル階調入力オフセット部の出力E1~Enの階調値と、画像データD1’~Dn’の各々の階調値をオフセットしたデジタル階調入力オフセット部の出力E1’~En’の階調値とは、同一期間に、DAC回路に出力される。また、画像データD1’’~Dn’’の各々の階調値をオフセットしたデジタル階調入力オフセット部の出力E1’’~En’’の階調値と、画像データD1’’’~Dn’’’の各々の階調値をオフセットしたデジタル階調入力オフセット部の出力E1’’’~En’’’の階調値とは、デジタル階調入力オフセット部の出力E1~Enの階調値と、デジタル階調入力オフセット部の出力E1’~En’の階調値とが出力された直後の同一期間に、DAC回路に出力される。
【0080】
具体的に、本実施形態の変形例である表示装置においては、デジタル階調入力オフセット部に同一期間に入力される画像データは、各色、例えば、赤色、緑色及び青色に関する画像データを全て含むものである。
【0081】
図12に図示する緑色に関する画像データは、第1の期間に同時にデジタル階調入力オフセット部に入力される、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)とを含む。また、図12に図示する緑色に関する画像データは、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間に同時にデジタル階調入力オフセット部に入力される、全ての階調値が250階調以上である画像データD1’’~Dn’’の各々の階調値(第4階調値群)と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’’’~Dn’’’の各々の階調値(第3階調値群)とを含む。
【0082】
図13は、図12に図示した緑色サブ画素の階調値を用いて、本実施形態の変形例である表示装置のソース駆動回路に備えられた階調値変動量検出部が行った演算結果の一例を示す図である。
【0083】
図13に図示するように、本実施形態の変形例の階調値変動量検出部は、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)中のある一つの階調値である第1階調値と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)中のある一つの階調値である第2階調値との差の絶対値、すなわち、階調値変動量を検出できる。
【0084】
例えば、前記階調値変動量検出部が行った演算結果の1行1列目の階調値変動量255は、第1階調値である255階調の画像データD1と第2階調値である0階調の画像データD1’との差の絶対値を求めた結果である。また、1行2列目の階調値変動量253は、第2階調値である0階調の画像データD1’と第1階調値である253階調の画像データD2との差の絶対値を求めた結果である。また、1行3列目の階調値変動量251は、第1階調値である253階調の画像データD2と第2階調値である2階調の画像データD2’との差の絶対値を求めた結果である。すなわち、本実施形態の変形例においては、前記階調値変動量検出部が、階調値変動量を検出するために用いる前記第1階調値と前記第2階調値とが、複数のゲート線G1~Gmの各々の延在方向(図3の図中の左右方向)において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値である場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。
【0085】
また、図13に図示するように、前記階調値変動量検出部は、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’’’~Dn’’’(第3階調値群)中のある一つの階調値である第3階調値と、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)中のある一つの階調値である第1階調値との差の絶対値、すなわち、階調値変動量を検出できる。さらに、前記階調値変動量検出部は、全ての階調値が250階調以上である画像データD1’’~Dn’’(第4階調値群)中のある一つの階調値である第4階調値と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)中のある一つの階調値である第2階調値との差の絶対値、すなわち、階調値変動量を検出できる。
【0086】
例えば、前記階調値変動量検出部が行った演算結果の2行1列目の階調値変動量254は、第3階調値である1階調の画像データD1’’’と第1階調値である255階調の画像データD1との差の絶対値を求めた結果である。また、2行2列目の階調値変動量253は、第4階調値である253階調の画像データD1’’と第2階調値である0階調の画像データD1’との差の絶対値を求めた結果である。また、2行3列目の階調値変動量253は、第3階調値である0階調の画像データD2’’’と第1階調値である253階調の画像データD2との差の絶対値を求めた結果である。すなわち、本実施形態の変形例においては、第1階調値と第3階調値、及び第2階調値と第4階調値が、複数のソース線S1~Srの各々の延在方向(図3の図中の上下方向)において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値である場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、本実施形態の変形例のように、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dn、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’、全ての階調値が250階調以上である画像データD1’’~Dn’’及び全ての階調値が5階調以下である画像データD1’’’~Dn’’’が入力される場合には、第1階調値と第3階調値、及び第2階調値と第4階調値は、複数のソース線S1~Srの各々の延在方向(図3の図中の上下方向)において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値でなくでもよい。
【0087】
なお、図13に図示する、前記階調値変動量検出部が行った演算結果の1行1列目~1行7列目までは、複数のゲート線G1~Gmの各々の延在方向(図3の図中の左右方向)において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値の差の絶対値を求めた結果であり、階調値変動量の空間方向の判定となる。
【0088】
一方、図13に図示する、前記階調値変動量検出部が行った演算結果の2行1列目~2行8列目までは、複数のソース線S1~Srの各々の延在方向(図3の図中の上下方向)において、隣接する2つの画素PIXそれぞれの緑色サブ画素GSPの階調値の差の絶対値を求めた結果であり、階調値変動量の時間方向の判定となる。
【0089】
以上のように、本実施形態の変形例においては、階調値変動量の空間方向の判定と階調値変動量の時間方向の判定との両方を用いているが、これに限定されることはなく、階調値変動量の空間方向の判定と階調値変動量の時間方向の判定との何れか一方のみを用いてもよい。
【0090】
上述した本実施形態の変形例の場合、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)とは、同一期間に入力され、全ての階調値が250階調以上である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)をオフセットした第1オフセット階調値群と、全ての階調値が5階調以下である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)をオフセットした第2オフセット階調値群とは、前記複数のソースアンプAM1~AMnの一部のソースアンプAM2・AM5・AM8・AM11・・・の前記階調基準電圧を、同じタイミングでそれぞれ決定する(図1または図2参照)。
【0091】
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、所定間隔で配置された2つのソースアンプ組(例えば、ソースアンプAM2とソースアンプAM5、ソースアンプAM8とソースアンプAM11、ソースアンプAM14とソースアンプAM17)毎の各ソースアンプの前記階調基準電圧を決定する2つのオフセット階調値の組のそれぞれの平均値は、前記2つのオフセット階調値の組のそれぞれが、オフセットされる前の2つの階調値の組のそれぞれの平均値と同じである。
【0092】
すなわち、本実施形態の変形例においては、階調値変動量を小さくした、2種類の中間調の緑色を用いているので、上述した持ちあがり量及びセトリング時間が大きくなるのを抑制できる。したがって、ガンマ回路の並列化などを行う必要がない。よって、製造コストの大幅上昇と、チップ面積及び消費電力の大幅増大とを抑制できるとともに、セトリング時間(安定化時間)を短くしたソース駆動回路(駆動回路)と、製造コストの大幅上昇及び消費電力の大幅増大を抑制できるとともに、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラを改善した表示装置とを実現できる。
【0093】
本実施形態の変形例においては、緑色サブ画素の階調値に対してオフセットを行う場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、赤色サブ画素の階調値または、青色サブ画素の階調値に対しても、同様に、オフセットを行ってもよい。
【0094】
上述した実施形態1及び実施形態1の変形例においては、8ビットの階調値(256階調)を用いた場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、8ビット以外の階調値を用いてもよい。
【0095】
また、上述した実施形態1及び実施形態1の変形例においては、負の値を有する第1のオフセット値が-100階調であり、正の値を有する第2のオフセット値が+100階調である場合を、一例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、例えば、負の値を有する第1のオフセット値が-20階調であり、正の値を有する第2のオフセット値が+20階調であってもよい。さらに、負の値を有する第1のオフセット値の絶対値と正の値を有する第2のオフセット値の絶対値とは異なる値であってもよい。
【0096】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、図14に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0097】
図14は、実施形態2に係る表示装置のソース駆動回路に備えられたデジタル階調入力オフセット部2’の一例を示す図である。
【0098】
図14に図示するように、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1~Enであるとともに第1オフセット階調値群である127階調と、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1’~En’であるとともに第2オフセット階調値群である127階調とにおいて、前記複数のソースアンプのうちの一つの同一ソースアンプの前記階調基準電圧をそれぞれ決定する2つのオフセット階調値の組(例えば、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1とデジタル階調入力オフセット部2’の出力E1’の組)のそれぞれは、前記2つのオフセット階調値の組(例えば、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1とデジタル階調入力オフセット部2’の出力E1’の組)が、オフセットされる前の2つの階調値の組である、255階調の画像データD1~Dnと、0階調の画像データD1’~Dn’とのそれぞれの平均値と同じである。
【0099】
すなわち、ソースアンプAM1の前記階調基準電圧を異なるタイミングでそれぞれ決定する、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1であるとともに第1オフセット階調値である127階調と、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1’であるとともに第2オフセット階調値である127階調とは、前記2つのオフセット階調値の組が、オフセットされる前の2つの階調値の組である、255階調の画像データD1と、0階調の画像データD1’との平均値と同じである。
【0100】
同様に、ソースアンプAM2~AMnの前記階調基準電圧を異なるタイミングでそれぞれ決定する、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E2~Enであるとともに第1オフセット階調値である127階調と、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E2’~En’であるとともに第2オフセット階調値である127階調との2つのオフセット階調値の組それぞれは、前記2つのオフセット階調値の組が、オフセットされる前の2つの階調値の組である、255階調の画像データD2~Dnと、0階調の画像データD2’~Dn’とのそれぞれの平均値と同じである。
【0101】
図14に図示するように、階調値変動量検出部7の検出結果が真の場合、すなわち、オフセット付与部8’がオフセットを付与するように1という値を算出した場合には、オフセット付与部8’は、全ての階調値が255階調の画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)を、負の値を有する第1のオフセット値(本実施形態においては、-128階調)でオフセットし、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1~Enとして、オフセットされた第1オフセット階調値群である127階調をDAC回路23に出力する。さらに、階調値変動量検出部7の検出結果が真の場合、オフセット付与部8’は、全ての階調値が0階調の画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)を、正の値を有する第2のオフセット値(本実施形態においては、+127階調)でオフセットし、デジタル階調入力オフセット部2’の出力E1’~En’として、オフセットされた第2オフセット階調値群である127階調をDAC回路23に出力する。
【0102】
一方、階調値変動量検出部7の検出結果が偽の場合、すなわち、オフセット付与部8’がオフセットを付与しないように0という値を算出した場合には、デジタル階調入力オフセット部2’に入力された階調値は、オフセットされることなく、そのまま出力される。
【0103】
なお、図示は省略するが、上述した実施形態1の変形例の場合のように、全ての階調値が255階調である画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)と、全ての階調値が0階調である画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)とが、第1の期間に同時にデジタル階調入力オフセット部2’に入力されてもよい。このような場合、全ての階調値が255階調の画像データD1~Dnの各々の階調値(第1階調値群)がオフセットされた第1オフセット階調値群と全ての階調値が0階調の画像データD1’~Dn’の各々の階調値(第2階調値群)がオフセットされた第2オフセット階調値群とにおいて、所定間隔で配置された2つのソースアンプ組(例えば、ソースアンプAM2とソースアンプAM5、ソースアンプAM8とソースアンプAM11、ソースアンプAM14とソースアンプAM17)毎の各ソースアンプの前記階調基準電圧を決定する2つのオフセット階調値の組のそれぞれの値は、前記2つのオフセット階調値の組のそれぞれが、オフセットされる前の2つの階調値の組のそれぞれの平均値と同じである。
【0104】
上述した本実施形態においては、オフセットされた第1オフセット階調値群とオフセットされた第2オフセット階調値群との差を無くした、中間調の緑色を用いているので、上述した持ちあがり量及びセトリング時間が大きくなるのを抑制できる。したがって、ガンマ回路の並列化などを行う必要がない。よって、製造コストの大幅上昇と、チップ面積及び消費電力の大幅増大とを抑制できるとともに、セトリング時間(安定化時間)を短くしたソース駆動回路と、製造コストの大幅上昇及び消費電力の大幅増大を抑制できるとともに、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラを改善した表示装置とを実現できる。
【0105】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る駆動回路は、
複数のソースアンプと、
M個(Mは2以上の自然数)の異なる階調基準電圧を生成する階調基準電圧生成回路と、
入力された階調値の各々に基づいて、前記階調基準電圧生成回路からM個のバスラインの各々を介して供給された前記M個の階調基準電圧から一つを選択し、前記複数のソースアンプの各々に供給するデジタルアナログ変換回路と、
第1階調値群中の第1階調値と第2階調値群中の第2階調値との差を検出する階調値変動量検出部と、
前記階調値変動量検出部が検出した前記第1階調値と前記第2階調値との差の絶対値が、オフセット基準値以上である場合に、全ての階調値が所定の階調値以上である前記第1階調値群の各々の階調値を負の値を有する第1のオフセット値でオフセットし、かつ、全ての階調値が前記所定の階調値未満である前記第2階調値群の各々の階調値を正の値を有する第2のオフセット値でオフセットして、前記デジタルアナログ変換回路に供給するオフセット付与部と、を含む。
【0106】
本開示の態様2に係る駆動回路は、上記態様1において、
前記第1階調値群及び前記第2階調値群の一方は、第1の期間に入力され、
前記第1階調値群及び前記第2階調値群の他方は、前記第1の期間の直後の期間である第2の期間に入力され、
前記第1階調値群の各々の階調値を前記第1のオフセット値でオフセットして得られる第1オフセット階調値群の各々の階調値と、前記第2階調値群の各々の階調値を前記第2のオフセット値でオフセットして得られる第2オフセット階調値群の各々の階調値とは、前記複数のソースアンプの前記階調基準電圧を、異なるタイミングでそれぞれ決定することが好ましい。
【0107】
本開示の態様3に係る駆動回路は、上記態様1において、
前記第1階調値群と前記第2階調値群とは、同一期間に入力され、
前記第1階調値群の各々の階調値を前記第1のオフセット値でオフセットして得られる第1オフセット階調値群の各々の階調値と、前記第2階調値群の各々の階調値を前記第2のオフセット値でオフセットして得られる第2オフセット階調値群の各々の階調値とは、前記複数のソースアンプの一部の前記階調基準電圧を、同じタイミングでそれぞれ決定することが好ましい。
【0108】
本開示の態様4に係る駆動回路は、上記態様2において、
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、前記複数のソースアンプのうち同一のソースアンプの前記階調基準電圧を異なるタイミングで決定する2つのオフセット階調値の組のそれぞれの平均値は、
前記2つのオフセット階調値の組のそれぞれが、オフセットされる前の2つの階調値の組のそれぞれの平均値と同じであることが好ましい。
【0109】
本開示の態様5に係る駆動回路は、上記態様3において、
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、所定間隔で配置された2つのソースアンプ組毎の各ソースアンプの前記階調基準電圧を決定する2つのオフセット階調値の組のそれぞれの平均値は、
前記2つのオフセット階調値の組のそれぞれが、オフセットされる前の2つの階調値の組のそれぞれの平均値と同じであることが好ましい。
【0110】
本開示の態様6に係る駆動回路は、上記態様2において、
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、前記複数のソースアンプのうち同一のソースアンプの前記階調基準電圧を異なるタイミングで決定する2つのオフセット階調値の組のそれぞれの値は、
前記2つのオフセット階調値の組のそれぞれが、オフセットされる前の2つの階調値の組のそれぞれの平均値と同じであることが好ましい。
【0111】
本開示の態様7に係る駆動回路は、上記態様3において、
前記第1オフセット階調値群と前記第2オフセット階調値群とにおいて、所定間隔で配置された2つのソースアンプ組毎の各ソースアンプの前記階調基準電圧を決定する2つのオフセット階調値の組のそれぞれの値は、
前記2つのオフセット階調値の組のそれぞれが、オフセットされる前の2つの階調値の組のそれぞれの平均値と同じであることが好ましい。
【0112】
本開示の態様8に係る駆動回路においては、上記態様1から7の何れかにおいて、
前記オフセット基準値は、最大階調値に0.9倍をした値以上であることが好ましい。
【0113】
本開示の態様9に係る表示装置は、表示パネルと、上記態様1から8の何れかに記載の駆動回路とを含む。
【0114】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 ソース駆動回路(駆動回路)
2、2’ デジタル階調入力オフセット部
3 ゲート駆動回路
4 表示パネル
7 階調値変動量検出部
8、8’ オフセット付与部
10 表示装置
23 DAC回路(デジタルアナログ変換回路)
24 ガンマ回路(階調基準電圧生成回路)
25 デマルチプレクサ-
AM1~AMn ソースアンプ
Q1~Qn ソースアンプの出力ノード
U1~Un ソースアンプの入力ノード
BL1~BL256 基準電源バスライン
S1~Sr ソース線
G1~Gm ゲート線
V0~V255 階調基準電圧
DA 表示領域
D1~Dn 画像データ
D1’~Dn’ 画像データ
D1’’~Dn’’ 画像データ
D1’’’~Dn’’’ 画像データ
E1~En デジタル階調入力オフセット部の出力
E1’~En’ デジタル階調入力オフセット部の出力
PIX 1画素(画素)
RSP、GSP、BSP サブ画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22