(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】シール検査装置
(51)【国際特許分類】
B65B 57/02 20060101AFI20240618BHJP
G01M 3/26 20060101ALI20240618BHJP
G01M 3/36 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B65B57/02
G01M3/26 H
G01M3/36
(21)【出願番号】P 2020018741
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】高岡 和弘
(72)【発明者】
【氏名】チャ ヒョミン
(72)【発明者】
【氏名】高山 元希
(72)【発明者】
【氏名】横田 祐嗣
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211521(JP,A)
【文献】特開2012-176758(JP,A)
【文献】特開2008-087827(JP,A)
【文献】特開2007-008487(JP,A)
【文献】特開2019-123543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
G01M 3/26
G01M 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が収容された袋が複数連なった連包袋を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記連包袋のそれぞれの前記袋のシール状態を検査するシール検査部と、
前記シール検査部の上流側に配置され、前記搬送部によって搬送される前記連包袋を検知する検知部と、
前記検知部により検知される前記連包袋の先頭の検知タイミングと、あらかじめ設定された前記袋の長さと、前記搬送部における前記連包袋の搬送速度とに基づいて、前記シール検査部におけるそれぞれの前記袋の検査タイミングを決める制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記連包袋における先頭の袋については、前記検知タイミングに基づき前記シール検査部における前記検査タイミングを決め、一方、前記連包袋における先頭の袋以外の袋については、前記袋の長さと前記搬送速度とに基づき前記シール検査部における前記検査タイミングを決める、
シール検査装置。
【請求項2】
それぞれの前記袋の長さを計測する計測部をさらに備え、
前記制御部は、あらかじめ設定された前記袋の長さを前記計測部で計測された前記袋の長さに置き換えて、前記袋の検査タイミングを決める、
請求項
1に記載のシール検査装置。
【請求項3】
前記シール検査部では、それぞれの前記袋の厚みを測定し、
それぞれの前記袋の厚みの合計値が所定値以上である場合、その旨を報知する報知部をさらに備える、
請求項1
または2に記載のシール検査装置。
【請求項4】
前記シール検査部で少なくとも1つの前記袋のシール不良が検出されると、その旨を報知する報知部をさらに備える、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のシール検査装置。
【請求項5】
前記シール検査部では、前記袋の数を測定し、
前記袋の数があらかじめ設定された数と一致しない場合には、その旨を報知する報知部をさらに備える、
請求項1~
4のいずれか1項に記載のシール検査装置。
【請求項6】
前記連包袋は、10を超える袋を有する、
請求項1~
5のいずれか1項に記載のシール検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2013-35590号公報)に開示されているように、物品が収容された包装袋のシール状態を検査するシール検査装置が知られている。特許文献1のシール検査装置は、包装袋の上側に位置する上コンベアと、包装袋の下側に位置する下コンベアとで包装袋を挟み、包装袋の容積変化から包装袋の密閉状態の良否を判定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1のシール検査装置は、1つの包装袋の密閉状態の良否を判定するものである。上記特許文献1のシール検査装置で、物品が収容された袋が複数連なった連続包装袋(連包袋)を検査すると、先頭の袋のシール不良を検査することはできる。しかしながら、上記特許文献1のシール検査装置では、先頭の袋以外の袋のシール状態を検査することはできない。
【0004】
本発明の課題は、連包袋を構成するそれぞれの袋のシール状態を検査するシール検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係るシール検査装置は、搬送部と、シール検査部と、検知部と、制御部と、を備える。搬送部は、物品が収容された袋が複数連なった連包袋を搬送する。シール検査部は、搬送部によって搬送される連包袋のそれぞれの袋のシール状態を検査する。検知部は、搬送部によって搬送される連包袋を検知する。制御部は、検知部により検知される連包袋の先頭の検知タイミングと、あらかじめ設定された袋の長さと、搬送部における連包袋の搬送速度とに基づいて、シール検査部におけるそれぞれの袋の検査タイミングを決める。
【0006】
従来の包装袋のシール状態を検査するシール検査装置で連包袋を検査すると、先頭の袋以外の袋のシール状態を検査することはできないという問題は、複数の袋が連なっているので、先頭の袋以外を検査するタイミングが不明であることに起因していることを本発明者が突き止めて、本発明を完成させた。
【0007】
第1観点のシール検査装置によれば、検知部によって、連包袋の先頭の検知タイミングを検知できる。また制御部によって、当該検知タイミングと、搬送速度と、1袋の長さとに基づいて、シール検査部におけるそれぞれの袋のための検査タイミングを決めることができる。したがって、制御部で決める検査タイミングに応じて、それぞれの袋をシール検査部で検査することによって、連包袋を構成するそれぞれの袋のシール状態を検査することができる。
【0008】
第2観点に係るシール検査装置は、第1観点に係るシール検査装置であって、制御部は、連包袋における先頭の袋については、検知タイミングに基づきシール検査部における検査タイミングを決める。一方、制御部は、連包袋における先頭の袋以外の袋については、袋の長さと搬送速度とに基づきシール検査部における検査タイミングを決める。
【0009】
第2観点のシール検査装置では、制御部は、先頭の袋の検査タイミング及び先頭以外の袋の検査タイミングを具体的に決めている。したがって、連包袋を構成するそれぞれの袋のシール状態を容易に検査できる。
【0010】
第3観点に係るシール検査装置は、第1観点または第2観点に係るシール検査装置であって、それぞれの袋の長さを計測する計測部をさらに備える。
【0011】
本発明者は、温度、袋内のガス量、物品の大きさ等により、袋の長さは一定ではないことに着目した。ここでは、計測部によりそれぞれの袋の長さを計測するので、シール検査部で検査するそれぞれの袋の検査タイミングを高い精度で決めることができる。
【0012】
第4観点に係るシール検査装置は、第1観点から第3観点に係るシール検査装置であって、シール検査部では、それぞれの袋の厚みを測定する。シール検査装置は、それぞれの袋の厚みの合計値が所定値以上である場合、その旨を報知する報知部をさらに備える。
【0013】
本発明者は、シール検査装置でシール状態が良好である連包袋を、後段の箱詰め装置で箱詰めすることをさらに検討した。この場合、連包袋を箱詰めできるか否かは、袋の1つの厚みではなく、それぞれの袋の厚みの合計値に起因することに本発明者は着目した。ここでは、それぞれの袋の厚みの合計値が箱詰めできない所定値以上の連包袋は不良品と判断して、報知部がその旨を報知する。したがって、箱詰めできない連包袋が後段の箱詰め装置に搬送されることを防止できる。
【0014】
第5観点に係るシール検査装置は、第1観点から第4観点に係るシール検査装置であって、シール検査部で少なくとも1つの袋のシール不良が検出されると、その旨を報知する報知部をさらに備える。
【0015】
第5観点のシール検査装置では、袋のシール不良が検出された旨を報知部が報知する。したがって、シール不良の袋を有する連包袋が後段の箱詰め装置に搬送されることを防止できる。
【0016】
第6観点に係るシール検査装置は、第1観点から第5観点に係るシール検査装置であって、シール検査部では、袋の数を測定する。シール検査装置は、袋の数があらかじめ設定された数と一致しない場合には、その旨を報知する報知部をさらに備える。
【0017】
第6観点のシール検査装置では、連包袋を構成する袋の数があらかじめ設定された数と一致しない旨を報知部が報知できる。したがって、袋数が不良の連包袋が後段の箱詰め装置に搬送されることを防止できる。
【0018】
第7観点に係るシール検査装置は、第1観点から第6観点に係るシール検査装置であって、連包袋は、10を超える袋を有する。
【0019】
第7観点のシール検査装置では、連包袋が10を超える袋を有していても、それぞれの袋のシール状態を検査することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、連包袋を構成するそれぞれの袋のシール状態を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態のシール検査装置を採用した搬送装置の斜視図である。
【
図3】実施形態のシール検査装置を示す側面図である。
【
図4】実施形態のシール検査装置のブロック図である。
【
図5】実施形態のシール検査方法を示すフローチャートである。
【
図6】変形例のシール検査装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係るシール検査装置100について、以下に説明する。
【0023】
(1)全体概要
図1は、本実施形態のシール検査装置100を採用した搬送装置の斜視図である。
図1において、搬送装置は、シール検査装置100と、水平コンベア101とを備えている。
【0024】
水平コンベア101の水平搬送面には、板状の第1ガイド部材102及び第2ガイド部材103が、連包袋Cが移動する軌道を両側から挟むように配置されている。シール検査装置100を通過した連包袋Cの袋Bは、水平コンベア101に搬入され、第1ガイド部材102及び第2ガイド部材103によって直線状に整列させられながら次工程に搬送される。
【0025】
シール検査装置100は、
図2に示す物品Aが収容された袋Bが複数連なった連包袋Cのシール状態を検査する。
図2に示すように、連包袋Cは、2以上の袋Bを有していればよいが、シール検査装置100は、10を超える袋を有する連包袋Cの各袋のシール状態の検査に好適に用いられる。ここでは、袋数が11、すなわち11の袋Bを有する連包袋Cのシール状態を検査している。そして、
図2では、連包袋Cを構成する袋Bにおいて、先頭から順に、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10及びB11としている。
【0026】
連包袋Cを構成する各袋Bは、縦シール部(図示せず)と、横シール部XTと、を有している。横シール部XTは、各袋B間に形成されている。横シール部XTには、ミシン目Pが形成されている。本実施形態の連包袋Cは、袋Bが複数連なってなり、吊り下げ部であるヘッダを有していない。なお、連包袋Cは、最上部の袋Bの上に、ヘッダを有していてもよい。
【0027】
図3は、シール検査装置100の側面図である。
図4は、シール検査装置100のブロック図である。
図3及び
図4に示すように、シール検査装置100は、搬送部110と、シール検査部120と、検知部130と、記憶部150と、制御部160と、報知部170と、を備えている。
【0028】
記憶部150及び制御部160は、シール検査装置100に利用される制御装置を構成する。記憶部150及び制御部160は、制御装置に含まれる。制御装置は、コンピュータにより実現されるものである。制御装置は、制御演算装置と記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)といったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0029】
(2)詳細構成
(2-1)搬送部
搬送部110は、連包袋Cを搬送する。搬送部110の搬送速度は、一定であり、適宜設定できる。ここでは、
図3に示すように、搬送部110は、連包袋Cを下から支持して、水平コンベア101に向けて搬送するコンベアである。搬送部110には、シール検査部120が配置されている。
【0030】
搬送部110は、一対のローラ111と、ベルト112と、駆動部(図示せず)と、を有している。一対のローラ111は、回転自在に支持されている。ベルト112は、ローラ111間に巻き掛けられている。ベルト112は、駆動部によって、搬送方向Hに走行する。
【0031】
(2-2)シール検査部
シール検査部120は、搬送部110によって搬送される連包袋Cのそれぞれの袋Bのシール状態を検査する。本実施形態のシール検査部120は、シール検査機能と、厚み測定機能と、数測定機能と、を有している。シール検査部120は、上コンベア121と、昇降機構122と、を含んでいる。
【0032】
上コンベア121は、搬送部110上に配置されている。上コンベア121は、検査する袋Bの上側に位置する。上コンベア121は、検査する袋Bの下側に位置する下コンベアとしての搬送部110とで、袋Bを挟む。
【0033】
上コンベア121は、3つのローラ121aと、ベルト121bと、を有している。3つのローラ121aは、回転自在に支持されている。ベルト121bは、ローラ121a巻き掛けられている。ベルト121bにおいて袋Bを挟み込む部分の搬送方向における長さは、1つの袋Bの搬送方向における長さよりも短い。なお、検査する袋B以外の袋Bを挟むことをより防止する観点から、上コンベア121の搬送方向における長さは、1つの袋Bの搬送方向における長さよりも短いことが好ましい。
【0034】
昇降機構122は、上コンベア121を昇降させる。昇降機構122は、昇降フレーム123、サーボモータ124、レバー125、中継リンク126、第1リンク127、及び第2リンク128を有している。
【0035】
サーボモータ124の出力軸には、レバー125の一端部が取り付けられている。レバー125の他端部には、直線状の中継リンク126の一端部が連結されている。
【0036】
さらに、中継リンク126の他端部には、ブーメラン形状の第1リンク127の一端部が連結されている。第1リンク127の他端部は昇降フレーム123の右側端部に連結されている。なお、右側端部とは、搬送方向の上流側端部を意味する。また、第1リンク127は、支軸127aを中心に矢印e方向に揺動可能である。
【0037】
第2リンク128の一端部は支軸128aを中心に回転自在に取り付けられ、他端部は昇降フレーム123の左側端部に連結されている。このため、サーボモータ124がレバー125を回転させることによって、第1リンク127と第2リンク128とが揺動し、昇降フレーム123が上コンベア121と搬送部(下コンベア)110との平行関係を維持しながら、矢印V方向に移動可能となる。なお、左側端部とは、搬送方向の下流側端部を意味する。
【0038】
昇降フレーム123は、搬送部110と上コンベア121との間隔が袋Bの厚みより少し小さい値になるように、上コンベア121を上昇させている。
【0039】
袋Bが搬送部110を流れるとき、初期状態の搬送部110と上コンベア121との間隔は袋Bの厚みより小さいため、連包袋Cの先頭の袋Bの搬送方向Hへの進入によって、上コンベア121は持ち上げられる。
【0040】
搬送部110の搬送面、及び上コンベア121の搬送面で挟まれた袋Bは搬送されながら、サーボモータ124から伝達される所定の力で押される。これにより、袋Bには厚み方向に圧力が加えられる。このときの搬送部110と上コンベア121との間隔がサーボモータ124によって検出され、制御系がその検出信号に基づいて袋Bのシール状態を検査する。搬送部110と上コンベア121との間隔が所定値よりも減少しない場合には、袋Bは正常にシールされていると判定される。一方、搬送部110と上コンベア121との間隔が所定値よりも減少すると、袋Bのシール不良と判定される。シール検査部120は、袋Bのシール不良を検知した場合には、報知部170にその旨を送信する。
【0041】
また、所定の力で押されたときの搬送部110と上コンベア121との間隔が袋Bの厚みとして検出される。このように、シール検査部120では、連包袋Cを構成するそれぞれの袋Bの厚みを測定する。このようにして検出された厚みは、
図4に示す厚み記憶部152に記憶される。
【0042】
本実施形態では、シール検査部120は、連包袋Cの先頭の袋B1から袋B11まで順番にシール状態及び厚みを検査する。上コンベア121は待機位置(袋Bの厚みより低い位置)で待ち受け状態で待機しているところへ先頭の袋B1が流れてくると、上コンベア121は先頭の袋B1によって持ち上げられる。先頭の袋B1の検査が終了すると、上コンベア121は待機位置に戻ろうとする。しかし、連包袋Cの袋B2~B11が連続して流れてくるので、上コンベア121は戻りきらないうちに次の袋Bによって持ち上げられる。袋B2~B11によって上コンベア121の動きが繰り返される。
【0043】
具体的には、先頭の袋B1の検査が終了すると、制御部160が決める検査タイミングに応じて、サーボモータ124により上コンベア121から袋B2に所定の力が加えられることで、シール状態の検査及び厚みの測定が行われる。袋B2の検査が終了すると、同様に、制御部160が決める検査タイミングに応じて、袋B3の検査が行われる。このように、連包袋Cを構成する袋B1~B11について、順次検査が行われる。
【0044】
またシール検査部120は、シール状態を検査した袋Bの数をカウントする。このように、シール検査部120では、連包袋Cを構成する袋Bの数を測定する。このようにして検出された連包袋Cの数は、
図4に示す厚み記憶部152に記憶される。
【0045】
(2-3)検知部
図4に示す検知部130は、搬送部110によって搬送される連包袋Cを検知する。検知部130は、連包袋Cの先頭の検知タイミングを検知する。先頭の検知タイミングは、連包袋Cの先端の検知タイミングである。また検知部130は、連包袋Cの先端及び末端を検知する。
【0046】
検知部130は、シール検査部120の上流側に配置される。検知部130として、例えば光電センサなどを用いることができる。
【0047】
(2-4)記憶部
記憶部150は、長さ記憶部151と、厚み記憶部152と、数記憶部153と、を含む。
【0048】
(2-4-1)長さ記憶部
長さ記憶部151は、連包袋Cを構成する袋Bの長さを記憶する。記憶する袋Bの長さは、あらかじめ設定されている。ここでは、長さ記憶部151は、作業者があらかじめ設定された袋Bの長さを入力した値を記憶する。
【0049】
(2-4-2)厚み記憶部
厚み記憶部152は、検知部130で測定された連包袋Cを構成するそれぞれの袋Bの厚みを記憶する。記憶する各袋Bの厚みは、測定した袋Bの順番と紐付けていなくてもよい。
【0050】
(2-4-3)数記憶部
数記憶部153は、連包袋Cを構成する袋Bの数を記憶する。記憶する袋Bの数は、あらかじめ設定されている。ここでは、数記憶部153は、作業者があらかじめ入力した袋数と、シール検査部120で測定された袋数とを記憶する。
【0051】
(2-5)制御部
制御部160は、算出部161と、厚み判定部162と、数判定部163と、を含む。算出部161は、それぞれの袋Bの検査タイミングを決める。厚み判定部162は、袋Bの厚みが不良であるか否かを判定する。数判定部163は、連包袋Cを構成する袋Bの数が不良であるか否かを判定する。
【0052】
(2-5-1)算出部
制御部160の算出部161は、検知部130により検知される連包袋Cの先頭の検知タイミングと、あらかじめ設定された袋Bの長さと、搬送部110における連包袋Cの搬送速度とに基づいて、シール検査部120におけるそれぞれの袋Bの検査タイミングを決める。算出部161で決めた検査タイミングをシール検査部120に送信する。
【0053】
詳細には、算出部161は、長さ記憶部151から袋Bの長さを読み出して、あらかじめ設定された袋Bの長さを取得する。また算出部161は、搬送部110から、連包袋Cの搬送速度を取得する。また算出部161は、検知部130から、先頭の袋B1がシール検査部120に搬送されるタイミングである検知タイミングを取得する。また算出部161は、数記憶部153から、連包袋Cを構成する袋数を取得する。
【0054】
連包袋Cにおける先頭の袋B1については、算出部161は、取得した検知タイミングに基づきシール検査部120における検査タイミングを決める。
【0055】
連包袋Cにおける先頭の袋B1以外の袋B2~B11については、算出部161は、袋Bの長さと搬送速度とに基づきシール検査部120における検査タイミングを決める。具体的には、各袋B2~B12の検査タイミングを、先頭の袋B1の検知タイミングから、1袋の長さ/搬送速度で求められる時間経過毎と算出する。例えば、袋数が11で、1袋の長さが20cmで、搬送速度が40cm/秒の場合、先頭の袋B1の検知タイミングから0.5秒毎に10回(すなわち、袋B1の検知タイミングから0.5秒後、1.0秒後、1.5秒後、2.0秒後、2.5秒後、3.0秒後、3.5秒後、4.0秒後、4.5秒後、5.0秒後)を袋B2~B11の検査タイミングと決定する。
【0056】
(2-5-2)厚み判定部
厚み判定部162は、厚み記憶部152から、シール検査部120で測定したそれぞれの袋Bの厚みを読み出して、取得する。そして、厚み判定部162は、それぞれの袋Bの厚みの合計値が所定値以上であるか否かを判定する。所定値は、連包袋Cを箱詰めする箱の大きさから設定される値である。それぞれの袋Bの厚みの合計値が所定値未満である場合には、厚みが正常であると判定する。一方、それぞれの袋Bの厚みの合計値が所定値以上である場合には、厚みが正常でないと判定する。厚み判定部162は、厚みが正常でないと判定した場合には、報知部170にその旨を送信する。
【0057】
(2-5-3)数判定部
数判定部163は、数記憶部153から、シール検査部120で測定した袋Bの数と、あらかじめ設定された数とを読み出して、取得する。そして、数判定部163は、シール検査部120で測定された袋Bの数があらかじめ設定された数と一致するか否かを判定する。一致する場合には、連包袋Cの数が正常であると判定する。一方、一致しない場合には、連包袋Cの数が正常でないと判定する。数判定部163は、袋数が正常でないと判定した場合には、報知部170にその旨を送信する。
【0058】
(2-6)報知部
上述したように、連包袋Cを構成する少なくとも1つの袋Bのシール不良である場合、それぞれの袋Bの厚みの合計値が所定値以上である場合、及び連包袋Cを構成する袋Bの数があらかじめ設定された数と一致しない場合には、その連包袋Cは不良品と判定される。報知部170は、検査した結果、不良の連包袋Cであると判断された場合に、作業者が認識できるように報知する。
【0059】
具体的には、報知部170は、シール検査部120で少なくとも1つの袋Bのシール不良が検出されると、その旨を報知する。ここでは、報知部170は、シール検査部120から少なくとも1つの袋Bのシール不良が検出された旨を受信すると、シール不良の連包袋Cがシール検査装置100から排出されることを報知する。
【0060】
また、報知部170は、それぞれの袋Bの厚みの合計値が所定値以上である場合、その旨を報知する。ここでは、報知部170は、厚み判定部162からそれぞれの厚みの合計値が所定値以上である旨を受信すると、厚みに不良がある連包袋Cがシール検査装置100から排出されることを報知する。
【0061】
また、報知部170は、袋Bの数があらかじめ設定された数と一致しない場合には、その旨を報知する。ここでは、報知部170は、数判定部163から袋Bの数があらかじめ設定された数と一致しない旨を受信すると、袋数に不良がある連包袋Cがシール検査装置100から排出されることを報知する。
【0062】
なお、不良の連包袋Cを外部に排出する排出部が設けられる。排出部は、水平コンベア101と、その後段の箱詰め装置と、の間に設けられる。
【0063】
(3)シール検査方法
図5は、本実施形態のシール検査方法を示すフローチャートである。
図1~
図5を参照して、本実施形態のシール検査方法を説明する。本実施形態のシール検査方法は、シール検査装置100を用いて行う。
【0064】
まず、計量機及び製袋包装機(図示せず)で物品Aが収容された袋Bが複数連なった連包袋Cを製造する。製造された連包袋Cは、シール検査装置100の搬送部110に搬送される。
図5に示すように、搬送部110は、連包袋Cを搬送する(ステップS1)。
【0065】
検知部130は、搬送部110によって搬送される連包袋Cを検知する(ステップS2)。ここでは、検知部130は、搬送部110上を搬送される連包袋Cがシール検査部120の上コンベア121と搬送部110との間に進入したことを検知したときを先頭の袋B1の検知タイミングとして検知する。
【0066】
この検知タイミングに応じて、サーボモータ124を駆動して上コンベア121で袋B1を所定の力で押さえることにより、シール検査部120は袋B1の検査を行う(ステップS3)。シール検査部120は、搬送部110と上コンベア121との間隔が所定値よりも減少しない場合には、袋B1は正常にシールされていると判定される。一方、シール検査部120は、搬送部110と上コンベア121との間隔が所定値よりも減少すると、袋B1はシール不良と判定される。例えば、上コンベア121に押された袋B1の厚みが急激に減少するようであれば、シール不良である。シール検査部120は、袋B1のシール不良を検知した場合には、報知部170にその旨を送信する。
【0067】
また、サーボモータ124が袋B1を押さえるために要した回転量から袋B1の厚みを算出し、それを厚み測定値として厚み記憶部152に記憶する。また、シール検査部120が検査した袋Bの数を、数記憶部153に記憶する。
【0068】
また、制御部160の算出部161は、長さ記憶部151からあらかじめ設定された袋Bの長さを取得するとともに、搬送部110から連包袋Cの搬送速度を取得する。そして、先頭の検知タイミングと、袋Bの長さと、搬送速度とに基づいて、シール検査部120における袋B2~B11のそれぞれの検査タイミングを決める(ステップS4)。
【0069】
制御部160の算出部161で決められた検査タイミングに応じて、2番目以降の袋B2~B11のそれぞれを、サーボモータ124を駆動して上コンベア121で所定の力で順次押さえる。これにより、シール検査部120により連包袋Cの袋B2~B11のそれぞれのシール状態、厚み及び数を順次検査する(ステップS5)。
【0070】
1つの連包袋Cについて構成するそれぞれの袋Bのシール状態を検査すると、次の新たな連包袋Cが搬送される(ステップS1)。検知部130は、新たな連包袋Cを構成する先頭の袋B1の検知タイミングを検知する(ステップS2)。このように、検知部130は、各連包袋Cの先端を捉える。上述したように、先頭の袋B1を検査する(ステップS3)。先頭の袋B1以外の袋B2~B11について、制御部160の算出部161により検査タイミングを決定し(ステップS4)、検査タイミングに応じて袋B2~B11を検査する(ステップS5)。
【0071】
以上の工程(ステップS1~S5)を実施することにより、連包袋Cのそれぞれの袋のシール状態、厚み及び数を検査できる。
【0072】
シール不良の袋Bを少なくとも1つ有する連包袋Cは、不良であると判定される。袋Bのそれぞれの厚みの合計値が所定値以上である連包袋Cは、不良であると判定される。連包袋Cを構成する袋Bの数があらかじめ設定された数と一致しない連包袋Cは、不良であると判定される。不良であると判定された連包袋Cは、後段の箱詰め装置までの間で、取り除かれる。ここでは、水平コンベア101と箱詰め装置との間で、不良であると判定された連包袋Cを生産ラインから取り除く。
【0073】
(4)特徴
(4-1)
本実施形態のシール検査装置100は、搬送部110と、シール検査部120と、検知部130と、制御部160と、を備えている。搬送部110は、物品Aが収容された袋Bが複数連なった連包袋Cを搬送する。シール検査部120は、搬送部110によって搬送される連包袋Cのそれぞれの袋Bのシール状態を検査する。検知部130は、搬送部110によって搬送される連包袋Cを検知する。制御部160は、検知部130により検知される連包袋Cの先頭の検知タイミングと、あらかじめ設定された袋Bの長さと、搬送部110における連包袋Cの搬送速度とに基づいて、シール検査部120におけるそれぞれの袋Bの検査タイミングを決める。
【0074】
従来の包装袋のシール状態を検査するシール検査装置で連包袋Cを検査すると、先頭の袋B1以外の袋B2~B11のシール状態を検査することはできないという問題は、複数の袋B1~B11が連なっているので、先頭の袋B1以外の袋B2~B11を検査するタイミングが不明であることに起因していることを、本発明者は突き止めた。そこで、本発明者は、先頭の袋B1以外の袋B2~B11を検査するタイミングを特定して、すべての袋B1~B11を検査することが可能なシール検査装置100の実現に至った。
【0075】
すなわち、本実施形態のシール検査装置100によれば、検知部130によって、連包袋Cの先頭の検知タイミングを検知できる。また制御部160の算出部161によって、当該検知タイミングと、搬送速度と、1袋の長さとに基づいて、シール検査部120における袋B1~B11のそれぞれのための検査タイミングを決めることができる。したがって、制御部160の算出部161で決める検査タイミングに応じて、袋B1~B11のそれぞれをシール検査部120で検査することによって、連包袋Cを構成するそれぞれの袋B1~B11のシール状態を検査することができる。
【0076】
(4-2)
具体的には、制御部160の算出部161は、連包袋Cにおける先頭の袋B1については、検知タイミングに基づきシール検査部120における検査タイミングを決める。一方、連包袋Cにおける先頭の袋B1以外の袋B2~B11については、袋B2~B11の長さと搬送速度とに基づきシール検査部120における検査タイミングを決める。
【0077】
連包袋Cにおける先頭の袋B1以外の袋B2~B11については、連包袋Cの先頭の検知タイミングから、1袋の長さ/搬送速度で求められる時間ごとにシール検査部120で検査することによって、連包袋Cを構成するそれぞれの袋Bのシール状態を検査することができる。
【0078】
(4-3)
このように、本実施形態のシール検査装置100は、連なる複数の袋B1~B11のそれぞれのシール状態を検査することができる。このため、本実施形態のシール検査装置100は、10を超える袋Bを有する連包袋Cの検査に好適に用いられ、20以上の袋Bを有する連包袋Cの検査により好適に用いられる。
【0079】
(4-4)
本実施形態のシール検査装置100は、それぞれの袋Bの厚みの合計値が所定値以上である場合、その旨を報知する報知部170をさらに備えている。
【0080】
本発明者は、袋Bの厚みを大きくすることが望まれる市場があることに着目した。後段の箱詰め装置で箱詰めする際に、連包袋Cが箱の1列分を占める場合、それぞれの袋Bの厚みの合計値で良品及び不良品を判断することは重要であると本発明者は考えた。ここでは、それぞれの袋Bの厚みの合計値が箱詰めできない所定値以上の連包袋Cは不良品と判定して、報知部170がその旨を報知する。したがって、箱詰めできない連包袋Cが後段の箱詰め装置に搬送されることを防止できる。
【0081】
(5)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の内容の一部または全部は、互いに矛盾しない範囲で上記実施形態の内容や他の変形例の内容と組み合わされてもよい。
【0082】
(5-1)変形例A
上述した実施形態では、制御部160の算出部161は、あらかじめ設定された袋Bの長さをシール検査装置100の運転中に変更せずに、検査タイミングを決める。本変形例では、シール検査装置200の運転中に、設定された袋Bの長さを変更する。
【0083】
図6は、本変形例のシール検査装置200のブロック図である。
図6に示すように、本変形例のシール検査装置200は、計測部140をさらに備えている。計測部140は、連包袋Cを構成するそれぞれの袋Bの長さを計測する。袋Bの長さは、搬送方向Hに沿って延びる長さである。
【0084】
計測部140は、検知部130から検知タイミングを受信して、連包袋Cを構成するそれぞれの袋Bの長さを算出する。計測部140では、ヘッダを有していない連包袋Cを構成するそれぞれの袋Bの長さは、例えば、以下のように計測する。検知部130によって検知される、連包袋Cの先端の検知タイミングと末端の検知タイミングとから、計測部140は、連包袋Cの搬送時間を測定する。そして、計測部140は、搬送速度を搬送時間で乗じて連包袋C全体の長さを算出し、連包袋C全体の長さを袋数で除して、1個の袋の長さを算出する。
【0085】
計測部140が袋Bの長さを計測するタイミングは、任意に設定できる。例えば、計測部140は、所定時間毎計測してもよく、温度、湿度等の変化に応じて計測してもよい。
【0086】
このようにして測定された袋Bの長さは、長さ記憶部151に記憶される。このため、本変形例の長さ記憶部151は、作業者があらかじめ設定された袋Bの長さを入力した値と、計測部140で計測された値とを記憶する。
【0087】
また本変形例の算出部161は、長さ記憶部151から計測部140で計測された袋Bの長さをさらに取得する。そして、算出部161は、検査に用いている袋Bの長さと新たに取得した袋Bの長さとの差を補正値として、検査タイミングの決定に反映させる。具体的には、シール検査部120による1つの連包袋Cの検査中に、計測部140で計測された袋Bの長さを取得すると、その連包袋Cの次以降に検査される新たな連包袋Cの検査において、あらかじめ設定された袋Bの長さを計測部140で計測された値に置き換えて、検査タイミングを決める。
【0088】
このように、本変形例のシール検査装置200は、それぞれの袋Bの長さを計測する計測部140をさらに備えているので、連包袋Cの長さの設定値との差を補正値として、それぞれの袋Bの測定タイミングに反映させることができる。このため、温度、袋B内のガス量、物品Aの大きさ等により、袋Bの長さが変化しても、制御部160の算出部161は、シール検査部120で検査するそれぞれの袋Bの検査タイミングを高い精度で決めることができる。
【0089】
ここでは、袋Bの長さが変化することにより、シール検査部120で検査する検査タイミングのずれが蓄積されることを防止できる。このため、連包袋Cを構成する袋Bの数が多い場合、袋Bの長さが変わりやすい環境で測定する場合などに、本変形例のシール検査装置200は好適に用いられる。
【0090】
(5-2)変形例B
上記実施形態のシール検査部120は、シール検査機能と、厚み測定機能と、数測定機能と、を有しているが、厚み測定機能及び数測定機能は省略されてもよい。本変形例のシール検査部は、シール検査機能及び厚み測定機能は有しているが、数測定機能は有していない。
【0091】
(5-3)変形例C
上記実施形態では、報知部170は、シール不良、厚みの合計値の不良、及び袋数の不良を報知する。本変形例では、シール不良を報知する報知部と、厚みの合計値の不良を報知する報知部と、袋数の不良を報知する報知部とは、別に設けられている。
【0092】
(5-4)変形例D
上記実施形態では、シール検査装置100の後段に、不良の連包袋Cを外部に排出する排出部が設けられている。本変形例では、シール検査装置100に排出部が設けられる。なお、排出部は、省略されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
100,200:シール検査装置
110 :搬送部
120 :シール検査部
130 :検知部
140 :計測部
150 :記憶部
160 :制御部
170 :報知部
A :物品
B :袋
C :連包袋
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】