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特許7505739水素微細気泡発生装置及び水素微細気泡発生ユニット
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  • 特許-水素微細気泡発生装置及び水素微細気泡発生ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】水素微細気泡発生装置及び水素微細気泡発生ユニット
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/53 20220101AFI20240618BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20240618BHJP
   A61H 33/02 20060101ALI20240618BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20240618BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20240618BHJP
   B01F 35/221 20220101ALI20240618BHJP
   F17C 13/08 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B01F25/53
B01F23/2373
A61H33/02 A
A47K3/00 F
B01F21/00
B01F35/221
F17C13/08 301A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020074720
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021171669
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】510282343
【氏名又は名称】Meet株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100199808
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 昌代
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】230116643
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】植田 博之
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-218343(JP,A)
【文献】特開2006-161956(JP,A)
【文献】特開2009-180277(JP,A)
【文献】特開2018-199121(JP,A)
【文献】特開2012-075744(JP,A)
【文献】特開2017-113086(JP,A)
【文献】特開2018-065979(JP,A)
【文献】特開2007-289903(JP,A)
【文献】特開2019-181335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/02
B01F 21/00 - 25/90
B01F 35/00 - 35/95
C01B 3/00
F17C 13/00 - 13/12
C02F 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽内の液体を取り出し、この液体に水素ガスを溶解させて上記貯留槽内に戻すことで、上記貯留槽内で水素微細気泡を発生可能な水素微細気泡発生装置であって、
上記貯留槽内の液体を取り出す液体導入管と、
上記水素ガスが導入される水素ガス導入管と、
上記液体導入管及び上記水素ガス導入管の流れ方向下流側に配置され、上記液体導入管に導入された液体に上記水素ガス導入管に導入された水素ガスを溶解させるポンプと、
上記ポンプで溶解された溶解液を攪拌し、水素微細気泡を発生させる水素微細気泡発生部と、
上記水素ガス導入管と着脱可能に接続され、上記水素ガス導入管内に水素ガスを供給可能な携帯型水素ガス供給容器と
を備え
上記水素ガス導入管に分岐して設けられ、外部から空気を導入可能な空気導入管をさらに備える水素微細気泡発生装置。
【請求項2】
上記水素ガス導入管が、水素ガス導入口に第1カプラを有し、
上記携帯型水素ガス供給容器が、上記第1カプラと着脱可能に接続される第2カプラを有し、
上記第1カプラが、第1連結部を有するケーシングと、基端側がこのケーシング内に配設されると共に先端が露出する水素ガス吸引ノズルとを有し、
上記第2カプラが、上記第1連結部と嵌合される第2連結部を有するケーシングと、基端側がこのケーシング内に配設されると共に先端が露出する水素ガス放出ノズルと、上記水素ガス放出ノズルの基端側に当接するバルブと、上記水素ガス放出ノズル及び上記バルブを先端側に付勢するばね部材とを有し、
上記第1連結部及び第2連結部の嵌合状態で上記水素ガス放出ノズル及び水素ガス吸引ノズルの先端同士が突き合わされ、水素ガス放出ノズルが基端側に押圧されることで上記携帯型水素ガス供給容器及び上記水素ガス導入管が連通し、上記水素ガスが上記水素ガス導入管内に導入される請求項1に記載の水素微細気泡発生装置。
【請求項3】
上記空気導入管内の流路が両端に亘って外気に連通している請求項1又は請求項2に記載の水素微細気泡発生装置。
【請求項4】
上記水素ガス導入管に流量制御弁が設けられている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水素微細気泡発生装置。
【請求項5】
上記水素ガス導入管の上記空気導入管との合流位置よりも流れ方向の上流側に上記流量制御弁が設けられている請求項に記載の水素微細気泡発生装置。
【請求項6】
上記携帯型水素ガス供給容器に水素吸蔵合金が内蔵されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水素微細気泡発生装置。
【請求項7】
貯留槽内の液体を取り出し、この液体に水素ガスを溶解させて上記貯留槽内に戻すことで、上記貯留槽内で水素微細気泡を発生可能な水素微細気泡発生ユニットであって、
上記貯留槽内の液体を取り出す液体導入管と、
携帯型水素ガス供給容器と着脱可能に接続され、上記携帯型水素ガス供給容器から上記水素ガスが導入される水素ガス導入管と、
上記液体導入管及び上記水素ガス導入管の流れ方向下流側に配置され、上記液体導入管に導入された液体に上記水素ガス導入管に導入された水素ガスを溶解させるポンプと、
上記ポンプで溶解された溶解液を攪拌し、水素微細気泡を発生させる水素微細気泡発生部と
を備え
上記水素ガス導入管に分岐して設けられ、外部から空気を導入可能な空気導入管をさらに備える水素微細気泡発生ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素微細気泡発生装置及び水素微細気泡発生ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブル等の微細気泡を浴槽内で発生させる微細気泡発生装置が知られている。また、近年では、水素ガスの微細気泡を浴槽内で発生可能な水素水生成システムも提案されている(特開2017-113086号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-113086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、純水タンクに貯留された水を電気分解することで発生した水素ガスを貯留タンクに貯留しておき、この貯留タンクに貯留されている水素ガスの微細気泡を加圧しつつ水に溶解させることで加圧水素水を生成し、この加圧水素水を浴槽に供給して減圧することでマイクロバブル水素水を浴槽に生成することが記載されている。
【0005】
しかしながら、この構成によると、水素ガスを供給するための供給ラインが大きくなると共に、設置コストが高くなり、システムを手軽に導入し難い。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、装置の省スペース化を図ると共に、設置コストの増加を抑えることができる水素微細気泡発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る水素微細気泡発生装置は、貯留槽内の液体を取り出し、この液体に水素ガスを溶解させて上記貯留槽内に戻すことで、上記貯留槽内で水素微細気泡を発生可能な水素微細気泡発生装置であって、上記貯留槽内の液体を取り出す液体導入管と、上記水素ガスが導入される水素ガス導入管と、上記液体導入管及び上記水素ガス導入管の流れ方向下流側に配置され、上記液体導入管に導入された液体に上記水素ガス導入管に導入された水素ガスを溶解させるポンプと、上記ポンプで溶解された溶解液を攪拌し、水素微細気泡を発生させる水素微細気泡発生部と、上記水素ガス導入管と着脱可能に接続され、上記水素ガス導入管内に水素ガスを供給可能な携帯型水素ガス供給容器とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る水素微細気泡発生装置は、装置の省スペース化を図ると共に、設置コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る水素微細気泡発生装置を示す模式図である。
図2図2は、図1の水素微細気泡発生装置の水素ガス導入管に設けられる第1カプラの模式的断面図である。
図3図3は、図1の水素微細気泡発生装置の携帯型水素ガス供給容器を示す模式的斜視図である。
図4図4は、図3の携帯型水素ガス供給容器に設けられる第2カプラの模式的断面図である。
図5図5は、第1カプラ及び第2カプラの接続状態を示す模式的断面図である。
図6図6は、図2の第1カプラとは異なる形態に係る第1カプラの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る水素微細気泡発生装置は、貯留槽内の液体を取り出し、この液体に水素ガスを溶解させて上記貯留槽内に戻すことで、上記貯留槽内で水素微細気泡を発生可能な水素微細気泡発生装置であって、上記貯留槽内の液体を取り出す液体導入管と、上記水素ガスが導入される水素ガス導入管と、上記液体導入管及び上記水素ガス導入管の流れ方向下流側に配置され、上記液体導入管に導入された液体に上記水素ガス導入管に導入された水素ガスを溶解させるポンプと、上記ポンプで溶解された溶解液を攪拌し、水素微細気泡を発生させる水素微細気泡発生部と、上記水素ガス導入管と着脱可能に接続され、上記水素ガス導入管内に水素ガスを供給可能な携帯型水素ガス供給容器とを備える。
【0012】
当該水素微細気泡発生装置は、水素ガスが導入される水素ガス導入管と、この水素ガス導入管と着脱可能に接続され、上記水素ガス導入管内に水素ガスを供給可能な携帯型水素ガス供給容器とを備えるので、上記携帯型水素ガス供給容器を上記水素ガス導入管に接続することで、上記貯留槽内に容易に水素微細気泡を発生することができる。従って、当該水素微細気泡発生装置は、装置の省スペース化を図ると共に、設置コストの増加を抑えることができる。
【0013】
上記水素ガス導入管が、水素ガス導入口に第1カプラを有し、上記携帯型水素ガス供給容器が、上記第1カプラと着脱可能に接続される第2カプラを有し、上記第1カプラが、第1連結部を有するケーシングと、基端側がこのケーシング内に配設されると共に先端が露出する水素ガス吸引ノズルとを有し、上記第2カプラが、上記第1連結部と嵌合される第2連結部を有するケーシングと、基端側がこのケーシング内に配設されると共に先端が露出する水素ガス放出ノズルと、上記水素ガス放出ノズルの基端側に当接するバルブと、上記水素ガス放出ノズル及び上記バルブを先端側に付勢するばね部材とを有し、上記第1連結部及び第2連結部の嵌合状態で上記水素ガス放出ノズル及び水素ガス吸引ノズルの先端同士が突き合わされ、水素ガス放出ノズルが基端側に押圧されることで上記携帯型水素ガス供給容器及び上記水素ガス導入管が連通し、上記水素ガスが上記水素ガス導入管内に導入されるとよい。この構成によると、上記携帯型水素ガス供給容器を上記水素ガス導入管に容易に接続できると共に、上記携帯型水素ガス供給容器を上記水素ガス導入管に接続することで、上記貯留槽内に容易に水素微細気泡を発生することができる。
【0014】
当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管に分岐して設けられ、外部から空気を導入可能な空気導入管をさらに備えるとよい。当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管に分岐して設けられ、外部から空気を導入可能な空気導入管をさらに備えることによって、例えば上記携帯型水素ガス供給容器が上記水素ガス導入管に接続されていない場合であっても、上記空気導入管から空気を導入することで、上記貯留槽内に微細気泡を発生することができる。
【0015】
上記空気導入管内の流路が両端に亘って外気に連通しているとよい。このように、上記空気導入管内の流路が両端に亘って外気に連通していることによって、例えば上記携帯型水素ガス供給容器からの水素ガスの供給量が不十分となった場合等に、上記水素ガスの不足分を空気によって容易に代替することができる。
【0016】
当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管に流量制御弁が設けられているとよい。当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管に流量制御弁が設けられていることによって、上記ポンプに導入される水素ガスの流量を容易に制御することができる。
【0017】
当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管の上記空気導入管との合流位置よりも流れ方向の上流側に流量制御弁が設けられているとよい。当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管の上記空気導入管との合流位置よりも流れ方向の上流側に流量制御弁が設けられていることによって、上記ポンプに導入される水素ガスの流量をより容易に制御することができる。
【0018】
上記携帯型水素ガス供給容器に水素吸蔵合金が内蔵されているとよい。このように、上記携帯型水素ガス供給容器に水素吸蔵合金が内蔵されていることによって、上記ポンプへの水素ガスの供給量を制御しやすい。
【0019】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様に係る水素微細気泡発生ユニットは、貯留槽内の液体を取り出し、この液体に水素ガスを溶解させて上記貯留槽内に戻すことで、上記貯留槽内で水素微細気泡を発生可能な水素微細気泡発生ユニットであって、上記貯留槽内の液体を取り出す液体導入管と、携帯型水素ガス供給容器と着脱可能に接続され、上記携帯型水素ガス供給容器から上記水素ガスが導入される水素ガス導入管と、上記液体導入管及び上記水素ガス導入管の流れ方向下流側に配置され、上記液体導入管に導入された液体に上記水素ガス導入管に導入された水素ガスを溶解させるポンプと、上記ポンプで溶解された溶解液を攪拌し、水素微細気泡を発生させる水素微細気泡発生部とを備える。
【0020】
当該水素微細気泡発生ユニットは、上記携帯型水素ガス供給容器を上記水素ガス導入管に接続することで、上記貯留槽内に容易に水素微細気泡を発生することができる。従って、当該水素微細気泡発生ユニットは、装置の省スペース化を図ると共に、設置コストの増加を抑えることができる。
【0021】
以下、図1図5を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0022】
[水素微細気泡発生装置]
図1の水素微細気泡発生装置10は、貯留槽S内の液体Lを取り出し、この液体Lに水素ガスを溶解させて貯留槽S内に戻すことで、貯留槽S内で水素微細気泡Mを発生可能である。当該水素微細気泡発生装置10は、貯留槽S内の液体Lを取り出す液体導入管1と、水素ガスが導入される水素ガス導入管2と、液体導入管1及び水素ガス導入管2の流れ方向下流側に配置され、液体導入管1に導入された液体Lに水素ガス導入管2に導入された水素ガスを溶解させるポンプ3と、ポンプ3で溶解された溶解液を攪拌し、水素微細気泡Mを発生させる水素微細気泡発生部4と、水素ガス導入管2と着脱可能に接続され、水素ガス導入管2内に水素ガスを供給可能な携帯型水素ガス供給容器5とを備える。また、当該水素微細気泡発生装置10は、ポンプ3に接続され、ポンプ3で溶解された溶解液を貯留槽S側に還流する還流管6と、水素ガス導入管2に分岐して設けられ、外部からの空気を導入可能な空気導入管7と、水素ガス導入管2に配置される流量制御弁8と、ポンプ3を駆動する駆動部9とを備える。当該水素微細気泡発生装置10は、ポンプ3、水素微細気泡発生部4(後述の気液混合分離器4a)、駆動部9等を収容する筐体(不図示)を備えていてもよい。当該水素微細気泡発生装置10が上記筐体を備える場合、後述の水素ガス導入口2b及び空気導入口7aは、上記筐体の外側に配置される。上記筐体は、例えば浴室内に配置される。水素ガス導入管2と携帯型水素ガス供給容器5とは、使用者によって浴室内で着脱可能に構成されている。当該水素微細気泡発生装置10は、ポンプ3で溶解され、還流管6を通って貯留槽Sに還流される溶解液に水素微細気泡発生部4によって水素微細気泡を発生させる。当該水素微細気泡発生装置10は、水素微細気泡を貯留槽S内に吐出可能に構成されている。なお、当該水素微細気泡発生装置10のうち、携帯型水素ガス供給容器5を除く構成は、それ自体本発明の一態様である水素微細気泡発生ユニットを構成する。
【0023】
貯留槽Sとしては、特に限定されないが、例えば浴槽、プール等が挙げられる。液体Lとしては、特に限定されないが、例えば浴湯、水等が挙げられる。水素微細気泡Mは、水素ガスを含む微細気泡であり、例えば直径が100μm以下のマイクロバブルである。この微細気泡の直径の上限としては、60μmがより好ましい。液体導入管1は、貯留槽Sとポンプ3とを接続している。
【0024】
(水素ガス導入管)
水素ガス導入管2は、携帯型水素ガス供給容器5と着脱可能に接続されており、携帯型水素ガス供給容器5から水素ガスを導入可能に構成されている。図2に示すように、水素ガス導入管2は、長手方向の一端に水素ガス導入口2bを有するチューブ状の本体2aと、水素ガス導入口2bに配置される第1カプラ11とを有する。
【0025】
〔第1カプラ〕
第1カプラ11は、第1連結部13を有するケーシング12と、基端側がケーシング12内に配置されると共に先端が露出する水素ガス吸引ノズル14とを有する。また、第1カプラ11は、水素ガス吸引ノズル14の基端側に当接する第1バルブ15と、水素ガス吸引ノズル14及び第1バルブ15を先端側(水素ガス吸引ノズル14の先端側)に付勢する第1ばね部材16とを有する。
【0026】
ケーシング12は、軸方向に貫通孔を有する筒状であり、この貫通孔に水素ガス吸引ノズル14、第1バルブ15及び第1ばね部材16が配設されている。ケーシング12及び水素ガス吸引ノズル14は、いずれも金属等の剛性部材によって形成されている。水素ガス吸引ノズル14は直管状である。ケーシング12の基端側には、水素ガス導入口2bと篏合される筒状の嵌合部17が形成されている。水素ガス吸引ノズル14の中心軸と嵌合部17の中心軸とは一致している。
【0027】
第1カプラ11は、水素ガス吸引ノズル14及び第1バルブ15が第1ばね部材16によって付勢された状態では第1バルブ15によって水素ガス吸引ノズル14内の空間と嵌合部17の内部空間とが遮断されている。一方、第1カプラ11は、水素ガス吸引ノズル14が基端側に押圧されると、水素ガス吸引ノズル14と共に第1バルブ15が基端側に移動することで、水素ガス吸引ノズル14内の空間と嵌合部17の内部空間とが連通するよう構成されている。水素ガス吸引ノズル14の押込み可能距離は、構造上予め規定されていてもよい。
【0028】
第1連結部13は第1カプラ11の最先端に設けられている。第1連結部13は後述する第2連結部32に外嵌可能な筒状である。第1連結部13は、第2連結部32と螺合可能なねじ山13aを有する。第1連結部13の中心軸は、水素ガス吸引ノズル14及び嵌合部17の中心軸と一致している。
【0029】
水素ガス吸引ノズル14の先端は第1連結部13内、より詳しくは第1連結部13の内部空間、に突出している。つまり、水素ガス吸引ノズル14の先端は、第1連結部13内に位置している。
【0030】
〔流量制御弁〕
上述のように、水素ガス導入管2には、流量制御弁8が設けられている。水素ガス導入管2に流量制御弁8が設けられていることで、ポンプ3に導入される水素ガスの流量を容易に制御することができる。
【0031】
流量制御弁8の配置としては、特に限定されるものではなく、空気導入管7との合流位置Pよりも流れ方向の上流側に設けられていてもよく、空気導入管7との合流位置Pよりも流れ方向の下流側に設けられていてもよい。なかでも、流量制御弁8は、空気導入管7との合流位置Pよりも流れ方向の上流側に設けられていることが好ましい。後述のように、当該水素微細気泡発生装置10は、携帯型水素ガス供給容器5と水素ガス導入管2とを接続するのみで、携帯型水素ガス供給容器5から所定量の水素ガスが水素ガス導入管2内に放出される。一方、当該水素微細気泡発生装置10は、後述のように、空気導入管7内の流路が外気に連通しており、この流路からは常時空気を導入可能に構成されている。そのため、当該水素微細気泡発生装置10は、流量制御弁8が空気導入管7との合流位置Pよりも流れ方向の上流側に設けられている場合、携帯型水素ガス供給容器5から供給される水素ガスの流量を選択的に制御することができる。
【0032】
なお、水素ガス導入管2は、空気導入管7との合流位置Pよりも流れ方向の上流側と下流側との両側にそれぞれ流量制御弁8が配置されていてもよい。また、水素ガス導入管2には、逆止弁が設けられていてもよい。
【0033】
(空気導入管)
空気導入管7は、長手方向の一端(水素ガス導入管2と接続される側と反対側の端部)に空気導入口7aを有する。空気導入口7aには、例えば複数の微細孔を有するフィルターが設けられている。当該水素微細気泡発生装置10は、空気導入管7を備えることで、例えば携帯型水素ガス供給容器5が水素ガス導入管2に接続されていない場合であっても、空気導入管7から空気を導入することで、貯留槽S内に微細気泡を発生することができる。
【0034】
空気導入管7内の流路は、両端に亘って外気に連通していることが好ましい。換言すると、当該水素微細気泡発生装置10の使用状態において、空気導管7内の流路は閉塞されていないことが好ましい。つまり、空気導入口7aには、流路を閉塞するバルブが設けられていないことが好ましい。当該水素微細気泡発生装置10は、装置の省スペース化等の観点から携帯型水素ガス供給容器5を用いている。そのため、当該水素微細気泡発生装置10は、使用時間が長くなると、携帯型水素ガス供給容器5から供給される水素ガスの流量が低下することが考えられる。この場合でも、空気導入管7内の流路が両端に亘って外気に連通していることで、水素ガスの不足分を空気によって容易に代替することができる。
【0035】
(携帯型水素ガス供給容器)
図3及び図4に示すように、携帯型水素ガス供給容器5は、水素ガス導入管2に設けられる第1カプラ11と着脱可能に接続される第2カプラ21を有する。より詳しくは、携帯型水素ガス供給容器5は、第2カプラ21と、第2カプラ21に連結される容器本体22と、容器本体22の外面を被覆する被覆層23とを有する。携帯型水素ガス供給容器5は、例えば衣類のポケットに収納可能な程度のサイズに形成される。
【0036】
〔容器本体〕
容器本体22は、例えばアルミ、ステンレス等の金属製である。容器本体22は、有底筒状の胴部22aと、胴部22aの開口側の端部から連続する筒状の縮径部22bと、縮径部22bから連続する筒状の口部22cとを有する。口部22cには、ネジ等によって第2カプラ21が連結固定されている。
【0037】
容器本体22の軸方向長さの下限としては、5cmが好ましく、7cmがより好ましい。一方、容器本体22の軸方向長さの上限としては、15cmが好ましく、12cmがより好ましい。上記軸方向長さが上記下限より短いと、水素ガスの収容量が不十分となるおそれがある。逆に、上記軸方向長さが上記上限を超えると、携帯型水素ガス供給容器5が大きくなり、取扱性が不十分となるおそれがある。
【0038】
容器本体22の容積の下限としては、5cmが好ましく、7cmがより好ましい。一方、容器本体22の容積の上限としては、20cmが好ましく、15cmがより好ましい。上記容積が上記下限に満たないと、水素ガスの収容量が不十分となるおそれがある。逆に、上記容積が上記上限を超えると、携帯型水素ガス供給容器5が大きくなり、取扱性が不十分となるおそれがある。
【0039】
容器本体22には水素ガスが収容されている。容器本体22には水素吸蔵合金が内蔵され、この水素吸蔵合金に吸蔵された水素ガスが収容されていることが好ましい。当該水素微細気泡発生装置10は、携帯型水素ガス供給容器5に水素吸蔵合金が内蔵されていることによって、ポンプ3への水素ガスの供給量を制御しやすい。つまり、携帯型水素ガス供給容器5に水素吸蔵合金が内蔵されている場合、水素ガスを放出する際に水素吸蔵合金が吸熱するため、水素ガスの放出量が自動的に少なくなる。これにより、不要な水素ガスの放出を抑制することができる。また、貯留槽Sが浴槽である場合、容器本体22を容易に加温できるため、必要な場合には容器本体22を加温することで、水素ガスの放出量の低下を抑えることができる。
【0040】
〔第2カプラ〕
第2カプラ21は、第1連結部13と篏合される第2連結部32を有するケーシング31と、基端側がケーシング31内に配設されると共に先端が露出する水素ガス放出ノズル33と、水素ガス放出ノズル33の基端側に当接する第2バルブ34とを有する。ケーシング31は、軸方向に貫通孔を有する筒状であり、この貫通孔に水素ガス放出ノズル33及び第2バルブ34が配設されている。ケーシング31及び水素ガス放出ノズル33は、いずれも金属等の剛性部材によって形成されている。水素ガス放出ノズル33は直管状である。水素ガス放出ノズル33の中心軸と容器本体22の中心軸とは一致する。また、第2カプラ21は、水素ガス放出ノズル33及び第2バルブ34を水素ガス放出ノズル33の先端側に付勢する第2ばね部材35と、第2ばね部材35の基端側において口部22c内に配設されるフィルター36とを有する。第2ばね部材35及びフィルター36は上記貫通孔に配設される。
【0041】
第2カプラ21は、水素ガス放出ノズル33及び第2バルブ34が第2ばね部材35によって付勢された状態では第2バルブ34によって水素ガス放出ノズル33内の空間と容器本体22内の空間とが遮断されている。一方、第2カプラ21は、水素ガス放出ノズル33が基端側に押圧されると、水素ガス放出ノズル33と共に第2バルブ34が基端側に移動することで、水素ガス放出ノズル33内の空間と容器本体22内の空間とが連通するよう構成されている。水素ガス放出ノズル33の押込み可能距離は、構造上予め規定されていてもよい。水素ガス放出ノズル33の押込み可能距離が規定されることで、第1連結部13及び第2連結部32の嵌合状態で、水素ガス放出ノズル33及び水素ガス吸引ノズル14を互いに基端側に押し込みやすい。
【0042】
フィルター36は、複数の微細孔を有している。これらの微細孔の孔径は、水素吸蔵合金の粒径より小さく形成されている。これにより、携帯型水素ガス供給容器5は、容器本体22に水素吸蔵合金が内蔵される場合、この水素吸蔵合金の容器本体22外への流出を防止できる。
【0043】
第2連結部32は携帯型水素ガス供給容器5の軸方向の最先端に設けられている。第2連結部32は筒状であり、より詳しくは円筒状である。第2連結部32は、第1連結部13と螺合可能なねじ山32aを有する。
【0044】
水素ガス放出ノズル33の先端は第2連結部32内、より詳しくは第2連結部32の内部空間、に突出している。つまり、水素ガス放出ノズル33の先端は、第2連結部32内に位置している。
【0045】
〔接続構造〕
図5を参照して、第1カプラ11及び第2カプラ21の接続構造について説明する。当該水素微細気泡発生装置10は、第1連結部13と第2連結部32とを螺合することで接続される。
【0046】
当該水素微細気泡発生装置10は、第1連結部13及び第2連結部32の篏合状態で水素ガス放出ノズル33及び水素ガス吸引ノズル14の先端同士が突き合わされ、水素ガス放出ノズル33及び水素ガス吸引ノズル14が互いに基端側に押圧されることで携帯型水素ガス供給容器5及び水素ガス導入管2が連通し、水素ガスが水素ガス導入管2内に導入される。当該水素微細気泡発生装置10は、携帯型水素ガス供給容器5を水素ガス導入管2に容易に接続できると共に、携帯型水素ガス供給容器5を水素ガス導入管2に接続することで、貯留槽S内に容易に水素微細気泡Mを発生することができる。
【0047】
(ポンプ)
ポンプ3は、流れ方向上流側で液体導入管1及び水素ガス導入管2と接続されている。ポンプ3内には、液体導入管1に導入された液体Lと水素ガス導入管2に導入された水素ガスとが直接供給される。また、ポンプ3は、流れ方向下流側で還流管6と接続されている。ポンプ3は、例えばケーシングと、このケーシング内に配置されたインペラとを有する。ポンプ3は、上記インペラの回転に伴う負圧により水素ガス導入管2から水素ガスを吸引し、液体Lと水素ガスとの気液混合体を生成する。ポンプ3への水素ガスの導入量は、例えば流量制御弁8によって制御可能である。
【0048】
(水素微細気泡発生部)
水素微細気泡発生部4は、ポンプ3の下流側に配置される気液混合分離器4aと、気液混合分離器4aの下流側に設けられる吐出器4bとを有する。
【0049】
気液混合分離器4aは、ポンプ3から排出される溶解液に対し、水素ガスを含む気体をさらに溶解混合させると共に、溶解されない気体を分離する。気液混合分離器4aは、例えばケーシングと、このケーシング内に充填されるセラミクス粒とを有する。上記ケーシングには、気体排出部が設けられている。上記気体排出部には、上記ケーシング内における気体の量が一定以上になった場合に開口する気体排出弁が配置されている。気液混合分離器4aに導入された溶解液は、ケーシング内を通過し、吐出器4b側に排出される。この際、溶解液は、上記セラミクス粒に衝突し、混合攪拌される。さらに、この溶解液は、上記ケーシングの壁面に衝突し、ケーシング内で旋回流、乱流となって液体Lと気体との混合が促進され、飽和溶液となる。気液混合分離器4aで溶解されなかった気体は上記気体排出部から排出される。
【0050】
吐出器4bは、吐出管とこの吐出管に接続される吐出カバーとを有する。上記吐出管内には、オリフィス等の加圧手段が配置されている。吐出器4bに導入された溶解液は、上記オリフィスの通過孔を通過する際に加圧され、通過孔から放出されるときに減圧されて微細気泡を発生する。上記吐出カバーは、上記吐出管を被覆すると共に、水素微細気泡Mを貯留槽S内に噴射する噴射部を有する。上記噴射部は、複数の噴射孔を有する。上記吐出カバー内において溶解液は、壁面に衝突・旋回流・乱流により微細気泡となって上記複数の噴射孔から貯留槽S内に噴射される。
【0051】
<利点>
当該水素微細気泡発生装置10は、水素ガスが導入される水素ガス導入管2と、この水素ガス導入管2と着脱可能に接続され、水素ガス導入管2内に水素ガスを供給可能な携帯型水素ガス供給容器5とを備えるので、携帯型水素ガス供給容器5を水素ガス導入管2に接続することで、貯留槽S内に容易に水素微細気泡Mを発生することができる。従って、当該水素微細気泡発生装置10は、装置の省スペース化を図ると共に、設置コストの増加を抑えることができる。
【0052】
当該水素微細気泡発生ユニットは、携帯型水素ガス供給容器5を水素ガス導入管2に接続することで、貯留槽S内に容易に水素微細気泡Mを発生することができる。従って、当該水素微細気泡発生ユニットは、装置の省スペース化を図ると共に、設置コストの増加を抑えることができる。
【0053】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0054】
上記ポンプ及び上記水素微細気泡発生部の具体的構成は、特に限定されるものではない。上記ポンプ及び上記水素微細気泡発生部の具体的構成としては、例えばマイクロバブル等の微細気泡を発生できる公知の構成を採用することが可能である。
【0055】
上記水素ガス導入管と上記携帯型水素ガス供給容器との接続構造は、特に限定されるものではない。また、上記水素ガス導入管が第1カプラを有し、上記携帯型水素ガス供給容器が第2カプラを有する場合でも、上記第1カプラは、第2カプラと接続されていない状態で、第1バルブによって気体の流路を閉塞しない構成とすることも可能である。例えば上記第1カプラは、水素ガス吸引ノズルの基端側に当接する第1バルブと、水素ガス吸引ノズル及び第1バルブを先端側に付勢する第1ばね部材とを有しなくてもよい。この場合、上記水素ガス導入管と上記携帯型水素ガス供給容器とは、第1連結部及び第2連結部の嵌合状態で水素ガス放出ノズル及び水素ガス吸引ノズルの先端同士が突き合わされ、水素ガス放出ノズルが基端側に押圧されることで携帯型水素ガス供給容器及び水素ガス導入管が連通し、水素ガスが水素ガス導入管内に導入される。さらに、上記実施形態では、第1連結部が第2連結部に外嵌される構成について説明したが、当該水素微細気泡発生装置は、第2連結部が第1連結部に外嵌されるよう構成されてもよい。第1バルブ及び第1ばね部材を有しない第1カプラの一例を図6に示す。図6の第1カプラ41は、第1連結部43を有するケーシング42と、基端側がこのケーシング42内に配設されると共に先端が露出する水素ガス吸引ノズル44とを有する。第1連結部43は、筒状であり、外周面に第2カプラの第2連結部と螺合可能なねじ山43aを有する。
【0056】
当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管に分岐して設けられる空気導入管を有しない構成とすることも可能である。また、当該水素微細気泡発生装置は、上記水素ガス導入管とは独立した空気導入管を有していてもよい。
【0057】
上記携帯型水素ガス供給容器には、圧縮水素ガスが収容されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明の一態様に係る水素微細気泡発生装置は、浴槽内に手軽に水素微細気泡を発生させることができる装置として適している。
【符号の説明】
【0059】
1 液体導入管
2 水素ガス導入管
2a 本体
2b 水素ガス導入口
3 ポンプ
4 水素微細気泡発生部
4a 気液混合分離器
4b 吐出器
5 携帯型水素ガス供給容器
6 還流管
7 空気導入管
7a 空気導入口
8 流量制御弁
9 駆動部
10 水素微細気泡発生装置
11、41 第1カプラ
12、31、42 ケーシング
13、43 第1連結部
13a、32a、43a ねじ山
14、44 水素ガス吸引ノズル
15 第1バルブ
16 第1ばね部材
17 嵌合部
21 第2カプラ
22 容器本体
22a 胴部
22b 縮径部
22c 口部
23 被覆層
32 第2連結部
33 水素ガス放出ノズル
34 第2バルブ
35 第2ばね部材
36 フィルター
L 液体
M 水素微細気泡
P 合流位置
S 貯留槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6