(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】調理用換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240618BHJP
F24F 7/00 20210101ALI20240618BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
F24F7/00 Z
(21)【出願番号】P 2020120670
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丸川 雄一
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-115790(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222079(JP,U)
【文献】特開2015-114045(JP,A)
【文献】特開平10-197023(JP,A)
【文献】特開2019-086258(JP,A)
【文献】特開2005-305268(JP,A)
【文献】特開2011-247503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理部の上方に設けられ、排空気が通過するフード開口部を備えるフード部と、
前記フード開口部から下流の排気口へ前記排空気が流れるよう気流を生じさせる送風機と、
前記送風機を収容する送風機ユニットと、
前記送風機ユニットに気密に接続されるとともに、内部にフィルタを備える循環ユニットと、
前記フード部の天板の上方に設けられ、前記送風機ユニットおよび前記送風機ユニットの手前側に位置する前記循環ユニットがそれぞれ取り外し可能に載置されるベース部と、
前記ベース部を壁に固定する第1固定部と、
前記送風機ユニットを壁に固定する第2固定部と、を有する、調理用換気装置。
【請求項2】
前記フィルタは、上流側から順に、
脱臭フィルタと、
前記脱臭フィルタから発生する異物をフィルタするエアフィルタと、を有する、請求項1に記載の調理用換気装置。
【請求項3】
前記ベース部は、正面から視たときに前記送風機ユニットが載置される載置面の両端に、前記
第1固定部から前記載置面の手前下方側に向けて傾斜する端部桟を有する、請求項1または2に記載の調理用換気装置。
【請求項4】
前記フード部の下方に設けられ、前記加熱調理部の外周を覆うように配置される連結架台をさらに有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の調理用換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア、スーパー、デパートでは、店舗内のフロアに調理装置を設置し、料理を客に提供することがある。
【0003】
一般的に調理装置の上方には、フード部が設けられており、調理によって生じた油煙等は、フード部からダクトを通じて外部に排出される。
【0004】
上述したように、一般的に油煙等は、換気扇や換気フードを介して外部に排出されるが、店舗環境(例えば外部排気用のダクトが設置されていない)や室内環境(油煙の発生量が少ないため外部排気を必要としない)という環境では、ダクトレスや、一部をダクト排気して一部を室内に循環排気する換気装置が用いられることがある(例えば下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の先行技術文献に開示された換気装置では、フード部の上方に、下流の排気口へ排空気が流れるよう気流を生じさせる送風機が備えられるとともに、汚染空気をフィルタするためのフィルタセット(例えば空気清浄機)が設けられる。
【0007】
このようにフード部の上方に送風機やフィルタセットといった重量物が配置される場合、重量物の下方に配置されるフード部や支持機構に対する負荷が大きくなる。
【0008】
特に、送風機を大型化して重量が増えた場合、フィルタセットが複雑化して重量が増えた場合、または飲食店舗のように清掃のためフィルタセットへのアクセスが頻繁に生じる場合、フード部や支持機構の負荷が大きくなって、装置全体が不安定となり好ましくない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、フード部の上方に重量物を設置した場合でも、フード部や支持機構への荷重負荷を抑制するとともに、フード部装置全体が不安定になることを抑制することのできる調理用換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る調理用換気装置は、加熱調理部の上方に設けられ、排空気が通過するフード開口部を備えるフード部と、前記フード開口部から下流の排気口へ前記排空気が流れるよう気流を生じさせる送風機と、前記送風機を収容する送風機ユニットと、前記送風機ユニットに気密に接続されるとともに、内部にフィルタを備える循環ユニットと、前記フード部の天板の上方に設けられ、前記送風機ユニットおよび前記送風機ユニットの手前側に位置する前記循環ユニットがそれぞれ取り外し可能に載置されるベース部と、前記ベース部を壁に固定する第1固定部と、前記送風機ユニットを壁に固定する第2固定部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された調理用換気装置によれば、重量物である送風機ユニットが載置されるベース部が、固定部によって壁に固定されるため、フード部の上方に重量物を設置した場合でも、装置全体が不安定になることを抑制することができる。以上から、フード部の上方に重量物を設置した場合でも、フード部や支持機構への荷重負荷を抑制するとともに、装置全体が不安定になることを抑制することのできる調理用換気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る調理用換気装置を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る調理用換気装置を示す正面図である。
【
図5】本実施形態に係る調理用換気装置の一部を示す分解斜視図である。
【
図8】循環ユニットから循環ユニット前蓋を外したときの調理用換気装置の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1~
図10を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る調理用換気装置1を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る調理用換気装置1を示す正面図である。
図3は、
図2の3-3線に沿う断面図である。
図4は、
図2の4-4線に沿う断面図である。
図5は、本実施形態に係る調理用換気装置1の一部を示す分解斜視図である。
図6は、ダンパー部30を示す斜視図である。
図7は、ダンパー部30を示す分解斜視図である。
図8は、循環ユニット50から循環ユニット前蓋54を外したときの調理用換気装置1の一部を示す斜視図である。
図9は、
図8の状態の後方からの斜視図である。
図10は、ベース部60を示す斜視図である。
【0015】
以下の説明において、調理者側から視て左右方向をX方向と称し、調理用換気装置1の奥行方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する場合がある(
図1参照)。また、本明細書において、「手前側」とは、Y方向のマイナス側を意味するものとする。
【0016】
本実施形態に係る調理用換気装置1は、
図1~
図10に示すように、加熱調理部90を形成する筐体10と、筐体10の上方に設けられるフード部20と、フード部20の上面に取り付けられるダンパー部30と、ダンパー部30を覆うように配置される送風機ユニット40と、送風機ユニット40の手前側に配置される循環ユニット50と、送風機ユニット40および循環ユニット50が取り外し可能に載置されるベース部60と、送風機ユニット40および循環ユニット50の上方に配置される幕板70と、を有する。
【0017】
<筐体10>
筐体10は、
図1、
図2に示すように、加熱調理部90を支える支持台11と、加熱調理部90の外周を覆うように配置される連結架台12と、を有する。加熱調理部90には調理器具(不図示)が収納され、調理者は調理器具を用いて調理を行う。
【0018】
支持台11は、加熱調理部90の下方に設けられ、例えばコンビニエンスストアの床面に載置される。
【0019】
連結架台12は、
図1、
図2に示すように、調理者側から視て左側に設けられる左側面パネル12Aと、調理者側から視て右側に設けられる右側面パネル12Bと、左側面パネル12Aおよび右側面パネル12Bを連結するように配置された背面パネル12Cと、を有する。連結架台12には、調理者側(
図1の左手前側)に開口部12Dが形成される。連結架台12は、左側面パネル12A、右側面パネル12B、および背面パネル12Cを、互いにねじ(不図示)によって固定することによって連結される。
【0020】
<フード部20>
フード部20は、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気を回収可能に構成されている。フード部20は、
図1、
図2に示すように、筐体10の上方に設けられる。
【0021】
フード部20は、
図1、
図2、
図5に示すように、上部に設けられる天板21と、天板21の外縁から下向きに延在する側板22と、天板21の下方であって調理者側に配置されるスイッチパネル23と、スイッチパネル23の下方に設けられるスモークガード24と、を有する。フード部20は、上記の構成部材が互いにねじ(不図示)によって固定されることで構成されている。
【0022】
天板21は、
図5に示すように、Z方向から視て略矩形状に構成されている。
図5に示すように、天板21には、内部に天板開口部21Aが形成されており、天板開口部21Aにダンパー部30が挿通されて、ダンパー部30がフード部20に対して、ねじ(不図示)によって固定される。
【0023】
側板22は、
図1、
図2に示すように、矩形状に構成された天板21のうち、調理者側を除く3辺から下方に延在して構成されている。
【0024】
スイッチパネル23は、調理用換気装置1の動作を指示するためのパネルであって、例えば、運転スイッチ、風量スイッチ、タイマースイッチ、照明スイッチなどが設けられている。
【0025】
スモークガード24は、
図1、
図2に示すように、ねじ(不図示)によってフード部20の側板22に対して着脱可能に取り付けられる。なお、スモークガード24は、フード部20の側板22に対して開閉自在に取り付けられる構成であってもよい。
【0026】
このように調理者側にスモークガード24が設けられることによって、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気が調理者の顔にかかることがなくなるため、調理者の安全性を確保でき、快適な調理作業ができる。さらに、加熱調理部90内において生じた油煙を含む排空気が効率的にフード部20に導かれるため、油煙の捕集率が向上する。
【0027】
また、スモークガード24がフード部20の側板22に対して着脱可能に取り付けられているため、スモークガード24の内面や後述する整流板29の外面の清掃が容易になるとともに、フード部20の内方の視認性が向上する。
【0028】
フード部20の内方には、
図3に示すように、フード開口部20Aが設けられる。フード開口部20Aは、加熱調理部90において生じた排空気が通過する。
【0029】
フード開口部20Aには、
図3に示すように、モーター25、オイルパネル26、油捕集フィルタ27、オイルガード(不図示)、および整流板29が設けられる。モーター25はフード開口部20Aに架設された図示しないモーター桟に設けられ、モーター桟にはサーモスタットが設けられる。サーモスタットはフード開口部周辺の温度を検知可能であり、特定の温度を検知するとモーター25および送風機42の回転を停止する制御を行うように構成されている。
【0030】
モーター25は、油捕集フィルタ27を高速回転させる。モーター25が、油捕集フィルタ27を高速回転させる速度は、例えば230rpm(Rotation Per Minute)以上であることが好ましい。
【0031】
オイルパネル26は、送風機42によってフード部20に吸い込まれた排空気がフード開口部20Aへスムーズに流れるように、空気の流れを形成する。オイルパネル26は、
図3に示すように、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して配置されている。
【0032】
油捕集フィルタ27は、モーター25の軸に着脱可能に取り付けられる。油捕集フィルタ27は、孔を備える円盤が高速回転することにより、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気から油を捕集する。油捕集フィルタ27に設けられる孔の直径は、例えば0.75~5mmである。孔の形状は円形状に限定されず、三角形、正方形、正多角形などの形状であってもよい。油捕集フィルタ27は、
図3に示すように、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して配置されている。
【0033】
オイルガードは、油捕集フィルタ27の外周に設けられる。オイルガードは、油捕集フィルタ27によって捕集した油が遠心力によって、径方向の外方に飛散された油を受ける油受けである。
【0034】
整流板29は、油捕集フィルタ27の下方に設けられる。整流板29は、オイルパネル26の一端を支点として回動自在に取り付けられ、閉じられている状態で、オイルパネル26の外周部分に油煙を含む排空気の排気流路を形成する。整流板29は、オイルパネル26と整流板29との間に隙間が形成されるように、配置される。整流板29を閉じることによって、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気の流速が上がり、淀みなく流れるような流路が形成される。整流板29は、
図3に示すように、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して配置されている。
【0035】
<ダンパー部30>
ダンパー部30は、
図3、
図5~
図7に示すように、フード部20の天板21に設けられる天板開口部21Aに挿通されて、天板21に対してねじによって固定される。ダンパー部30は、
図3に示すように、送風機ユニット40の内方に設けられる。ダンパー部30は、
図6、
図7に示すように、ダンパーカバー31と、防火ダンパー32と、ダンパーステー33と、配線ガード34と、を有する。ダンパー部30は、上記の構成要素が互いにねじ(不図示)によって固定されて構成される。
【0036】
ダンパーカバー31は、
図6、
図7に示すように、XY平面上に構成される平面部31Aと、平面部31AのY方向の両端から下向きに延在する一対の縦壁部31Bと、を有する。平面部31Aには、
図6、
図7に示すように、内部にダンパー開口部31Cが設けられる。ダンパー開口部31Cは、防火ダンパー32を通過した排空気が送風機ユニット40に移動する際に通過する孔である。ダンパーカバー31は、後述するベース部60の支持部64によって支持されている(
図10参照)。
【0037】
防火ダンパー32は、
図7に示すように、例えばねじによってダンパーステー33に固定される。
【0038】
本実施形態において、防火ダンパー32はいわゆるバタフライ式である。防火ダンパー32は、
図6、
図7に示すように、Z方向に延在し筒状に構成されたダンパー筒32Aと、ダンパー筒32Aの内部に設けられる2枚の半円形のダンパー翼32Bと、2枚のダンパー翼32Bを重ね合わせるように挟持して、所定の温度以上で溶断する温度ヒューズ(不図示)と、を有する。
【0039】
このように構成された防火ダンパー32において、通常時は温度ヒューズによって、2枚のダンパー翼32Bが重ね合わされるように構成されている。そして、火炎が侵入して所定の温度(例えば120℃)以上になると、温度ヒューズが溶断して、ダンパー翼32Bに対する挟持状態が解除されて、2枚のダンパー翼32Bによって、ダンパー筒32Aが閉鎖される。
【0040】
ダンパーステー33は、
図7に示すように、ダンパーカバー31の下方に設けられる。ダンパーステー33は、
図7に示すように、平面状に構成される平面部33Aと、平面部33AのX方向の両端から上向きに立ち上がる一対の縦壁部33Bと、を有する。平面部33Aには、
図7に示すように、開口部33Cが設けられる。開口部33Cの周囲に防火ダンパー32が取り付けられる。
【0041】
配線ガード34は、配線(不図示)を油から保護するために設けられる。配線ガード34は、
図6、
図7に示すように、ダンパーステー33の下方に設けられる。配線ガード34は、
図7に示すように、X方向に沿って一対設けられる。配線ガード34は上下方向(Z方向)に沿って延在するように設けられる。
【0042】
<送風機ユニット40>
送風機ユニット40は、
図1、
図3、
図5、
図8、
図9に示すように、フード部20、ダンパー部30、およびベース部60の上方に配置される。送風機ユニット40は、
図5、
図8~
図10に示すように、ベース部60に対して、例えばねじによって取り外し可能に載置される。送風機ユニット40は、
図5、
図8、
図9に示すように、送風機ユニットカバー41と、送風機42と、送風機ユニット前蓋44と、送風機ユニット後蓋45と、基板ボックス(不図示)と、送風機ユニット40を壁に固定するための送風機ユニット固定部(第2固定部に相当)46と、を有する。
【0043】
送風機ユニットカバー41は、
図5、
図8、
図9に示すように、XY平面上に構成される平面部41Aと、平面部41AのX方向の両端から下向きに延在する一対の縦壁部41Bと、を有する。
【0044】
送風機42は、フード開口部20Aから下流の、循環ユニット50の排気口54Aへ排空気が流れるように気流を生じさせる。換言すれば、送風機42は、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気を吸引し、循環ユニット50の排気口54Aに排出させる。送風機42は、送風機ケーシング43(
図4参照)の内部に配置される。
【0045】
送風機ケーシング43は、
図4に示すように、後述する送風機ユニット前蓋44に形成された開口部44Aに排空気が排出するように湾曲した形状を備えている。
【0046】
送風機ユニット前蓋44は、
図5に示すように、送風機ユニット40のうちY方向の手前に設けられ、送風機ユニットカバー41に対して、例えばねじによって固定される。送風機ユニット前蓋44には、
図5に示すように、開口部44Aが形成されている。加熱調理部90において生じた排空気は、送風機42によって吸引された後、送風機ケーシング43の形状に沿って、送風機ユニット40内を開口部44Aまで移動する。
【0047】
送風機ユニット後蓋45は、
図9に示すように、送風機ユニット40のうちY方向の奥側に設けられ、送風機ユニットカバー41に対して、例えばねじによって固定される。
【0048】
基板ボックスは、制御のための基板が収納される。基板ボックスは、送風機ユニットカバー41の内方に配置される。
【0049】
送風機ユニット固定部46は、
図8に示すように、X方向から視て、L字状に構成されており、第1の面46Aおよび第2の面46Bを有する。第1の面46Aは、送風機ユニットカバー41の平面部41Aに対して、例えばねじによって固定されている。第2の面46Bは、調理用換気装置1の後方(Y方向のプラス側)に位置する壁(不図示)に対して、貫通孔46Hを介して、例えばねじによって固定される。
【0050】
<循環ユニット50>
循環ユニット50は、
図1、
図8、
図9に示すように、送風機ユニット40の手前側に載置される。ここで、例えば循環ユニット50が送風機ユニット40の上方に載置される構成の場合、調理用換気装置の高さが高くなってしまい、高さ制限のある店舗では用いることができない虞がある。これに対して、本実施形態に係る調理用換気装置1によれば、循環ユニット50が送風機ユニット40の手前側に載置されるため、調理用換気装置1の高さを抑制することができ、高さ制限のある店舗でも好適に用いることができる。
【0051】
循環ユニット50は、
図8に示すように、ベース部60に対して、取付金具56によって固定される。循環ユニット50の底面に設けられた取付金具56がベース部60の前端部にねじ止めされることにより、循環ユニット50は調理用換気装置1に載置される。循環ユニット50は、送風機ユニット40に対して気密に接続される。
【0052】
循環ユニット50は、
図4、
図5、
図8に示すように、循環ユニットカバー51と、3つの脱臭フィルタ52と、1つのエアフィルタ53と、循環ユニット前蓋54と、循環ユニット後蓋55と、を有する。
【0053】
循環ユニットカバー51は、
図5に示すように、XY平面上に構成される平面部51Aと、平面部51AのX方向の両端から下向きに延在する一対の縦壁部51Bと、を有する。
【0054】
脱臭フィルタ52は、
図4に示すように、X方向に沿って3つ設けられる。脱臭フィルタ52は、活性炭等を内蔵し、排空気が通り抜ける際、排空気中に含まれる臭いを吸着して、排空気から臭いを分離除去する。脱臭フィルタ52は、消臭剤がコーティングされ、付着した臭気成分を消臭してもよい。脱臭フィルタ52は、
図4に示すように、YZ平面上において面状に構成される。
【0055】
エアフィルタ53は、
図4に示すように、3つの脱臭フィルタ52に対して、X方向のプラス側に設けられる。エアフィルタ53は、細かい塵やごみを取り除くために設けられている。また、エアフィルタ53は、脱臭フィルタ52から発生する異物をフィルタすることもできる。エアフィルタ53は、
図4に示すように、YZ平面上において面状に構成される。なお、脱臭フィルタ52およびエアフィルタ53以外に、煙を取り除くための脱煙フィルタや、油を取り除くための油吸着フィルタ等が取り付けられていてもよい。また、脱臭フィルタ52の数は3つに限定されず、脱臭フィルタ52およびエアフィルタ53のどちらか一方が取り付けられた構成であってもよい。
【0056】
循環ユニット前蓋54は、
図1に示すように、循環ユニット50のうちY方向の手前に設けられ、循環ユニット50に対して回動自在に取り付けられている。循環ユニット前蓋54には、送風機ユニット40の送風機ユニット前蓋44の開口部44Aを介して流入した排空気が排出する排気口54Aが形成されている。
【0057】
循環ユニット後蓋55は、
図4に示すように、送風機ユニット40の送風機ユニット前蓋44に設けられる開口部44Aに対応する位置に、開口部55Aを有する。
【0058】
送風機ユニット40の開口部44Aから排気された排空気は、循環ユニット後蓋55の開口部55Aを介して、循環ユニット50に入り、脱臭フィルタ52およびエアフィルタ53を通過して、浄化された後に循環ユニット前蓋54の排気口54Aから排出される。
【0059】
<ベース部60>
ベース部60は、
図8、
図9に示すように、フード部20の天板21の上方に設けられる。ベース部60には、送風機ユニット40および循環ユニット50が取り外し可能に載置される。
【0060】
ベース部60は、
図8~
図10に示すように、XY平面上に構成される平面部(載置面に相当)61と、平面部61のX方向の両端から上向きに延在する一対の端部桟62と、平面部61のY方向のプラス側の端部から上向きに延在するベース固定部(第1固定部に相当)63と、ダンパーカバー31を支持する支持部64と、を有する。
【0061】
平面部61は、
図8~
図10に示すように、Z方向から視て略矩形状に構成されている。
図10に示すように、平面部61には、内部にベース開口部61Aが形成されており、ベース開口部61Aにダンパー部30が挿通された状態で、Z方向の上方から送風機ユニット40がベース開口部61Aを覆うように配置されて、送風機ユニット40がベース部60に対して、例えばねじによって固定される。
【0062】
一対の端部桟62は、ベース部60の強度を高めるために設けられる。また、一対の端部桟62は、
図10に示すように、Y方向の手前側に向けてZ方向の高さが低くなるように傾斜する。この構成によれば、強度を保ちつつ軽量化をはかることができる。また、メンテナンス時に、送風機ユニット40および循環ユニット50を着脱する際の作業スペースを確保することができ作業性が向上する。
【0063】
ベース固定部63は、調理用換気装置1の後方(Y方向のプラス側)に位置する壁(不図示)に対して、貫通孔63Hを介して、例えばねじによって固定される。
【0064】
支持部64は、
図10に示すように、ベース開口部61Aのうち、Y方向のプラス側に設けられる。支持部64は、
図10に示すように、X方向に沿って視て、L字状に形成される。支持部64は、ダンパーカバー31を支持する。
【0065】
<幕板70>
幕板70は、
図1、
図5に示すように、送風機ユニット40および循環ユニット50を覆うように配置される。幕板70は、
図1、
図5に示すようにXY平面状に設けられる平面部71と、平面部71のX方向の両端からZ方向の下方に延在する一対の縦壁部72と、を有する。
【0066】
以上のように構成された調理用換気装置1では、送風機ユニット40および循環ユニット50が、ベース部60に対して、取り外し可能に載置されている。このため、調理用換気装置1のメンテナンスを容易に行うことができる。以下、調理用換気装置1のメンテナンスの方法について概説する。
【0067】
まず、
図1に示す状態の調理用換気装置1から、幕板70を取り外す。
【0068】
次に、
図8に示すように、調理用換気装置1から、循環ユニット50の循環ユニット前蓋54を取り外す。そして、脱臭フィルタ52やエアフィルタ53を適宜交換する。
【0069】
次に、ベース部60から循環ユニット50を取り外す。循環ユニット50の取り外しはベース部60との接合部である取付金具56のねじ止めを外すことにより行う。作業者は手前側に降ろすだけで循環ユニット50の交換が可能となるように構成されている。そして、ベース部60から送風機ユニット40を取り外して、送風機ユニット40に対して各種メンテナンスを行う。送風機ユニット40はベース部60にねじ止めされている。ねじ止めを外すことにより、送付機ユニット40単体で取り外し可能に構成されている。このとき、送風機ユニット40に収容されるモーターの電源線もフード部20から取り外せるように着脱容易に構成されている。
【0070】
なお、循環ユニット50、送風機ユニット40は上述した順序で取り外すことも可能であるし、一方のユニットが固定されたまま他方のユニットを取り外すことも可能である。これにより、故障しているユニットだけ個別にメンテナンスすることが可能となるように構成されている。
【0071】
なお、循環ユニット50、送風機ユニット40のような重量物の取り外しを行う際、取り外しにより調理用換気装置1の荷重バランスが不安定になるおそれがある。本実施形態に係る調理用換気装置1は、循環ユニット50、送風機ユニット40のような重量物が調理用換気装置1のベース部60に載置され、ベース部60が壁に固定されているので荷重バランスが崩れるおそれがない。これにより作業者はユニットの取り外し、取り付けを安全な状態で容易に行うことが可能になる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る調理用換気装置1は、加熱調理部90の上方に設けられ、排空気が通過するフード開口部20Aを備えるフード部20と、フード開口部20Aから下流の排気口54Aへ排空気が流れるよう気流を生じさせる送風機42と、送風機42を収容する送風機ユニット40と、フード部20の天板21の上方に設けられ、送風機ユニット40が取り外し可能に載置されるベース部60と、ベース部60を壁に固定するベース固定部63と、を有する。このように構成された調理用換気装置1によれば、重量物である送風機ユニット40が載置されるベース部60が、ベース固定部63によって壁に固定されるため、フード部20の上方に重量物を設置した場合でも、装置全体が不安定になることを抑制することができる。以上から、フード部20の上方に重量物を設置した場合でも、装置全体が不安定になることを抑制することのできる調理用換気装置1を提供することができる。また、フード部や支持機構にかかる鉛直方向への荷重が壁方向に分散されることになるのでフード部や支持機構にかかる負荷を抑制することができる。
【0073】
また、固定部は、ベース部60に設けられるベース固定部63と、送風機ユニット40に設けられる送風機ユニット固定部46と、を有する。このように構成された調理用換気装置1によれば、送風機ユニット40や循環ユニット50が大型化した場合であっても、装置全体が不安定になることを抑制することができる。
【0074】
また、調理用換気装置1は、送風機ユニット40に気密に接続されるとともに、内部にフィルタ52、53を備える循環ユニット50をさらに有し、循環ユニット50は、ベース部60に取り外し可能に載置される。このように構成された調理用換気装置1によれば、循環ユニット50のメンテナンス性が向上する。
【0075】
また、循環ユニット50は、ベース部60に対して送風機ユニット40の手前側に載置される。このように構成された調理用換気装置1によれば、調理用換気装置1の高さを抑制することができ、高さ制限のある店舗でも好適に用いることができる。
【0076】
また、フィルタ52、53は、上流側から順に、脱臭フィルタ52と、脱臭フィルタ52から発生する異物をフィルタするエアフィルタ53と、を有する。このように構成された調理用換気装置1によれば、排空気を好適に浄化することができる。
【0077】
また、ベース部60は、正面から視たときに送風機ユニット40が載置される平面部61の両端に、平面部61の手前下方側に向けて傾斜する端部桟62を有する。このように構成された調理用換気装置1によれば、強度を保ちつつ軽量化をはかることができる。また、メンテナンス時に、送風機ユニット40および循環ユニット50を着脱する際の作業スペースを確保することができ作業性が向上する。
【0078】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0079】
例えば、上述した実施形態では、固定部は、ベース固定部63および送風機ユニット固定部46を有したが、ベース固定部63および送風機ユニット固定部46の一方であってもよい。
【0080】
また、ベース部60から循環ユニット50と送風機ユニット40が着脱可能な構成を説明したが、循環ユニット50と送風機ユニット40がベース部に載置された壁固定状態でベース部60の下方にあるフード部20、連結架台12を取り外し、取り付け可能に構成してもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、調理用換気装置1は、循環ユニット50を有していたが、調理用換気装置は、循環ユニットを有していなくてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、循環ユニット50は、送風機ユニット40の手前側に配置されたが、循環ユニット50および送風機ユニット40の位置関係はこれに限定されない。
【0083】
また、上述した実施形態では、端部桟62は、手前側に向けて傾斜した形状を有していたが、手前側に向けて高さが一定の形状であってもよい。また、ベース部は、端部桟を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 調理用換気装置、
20 フード部、
20A フード開口部、
21 天板、
40 送風機ユニット、
42 送風機、
46 送風機ユニット固定部(第2固定部)、
50 循環ユニット、
52 脱臭フィルタ、
53 エアフィルタ、
54A 排気口、
60 ベース部、
61 平面部(載置面)、
62 端部桟、
63 ベース固定部(第1固定部)、
90 加熱調理部。