(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】バランスボール用カバー
(51)【国際特許分類】
A63B 47/00 20060101AFI20240618BHJP
A63B 23/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A63B47/00 A
A63B23/00 L
A63B23/00 F
A63B23/00 Z
(21)【出願番号】P 2020130174
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】516020097
【氏名又は名称】株式会社ビー・エム・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】金沢 光男
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-127610(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200405(JP,U)
【文献】中国実用新案第206979973(CN,U)
【文献】中国実用新案第209422876(CN,U)
【文献】中国実用新案第206597271(CN,U)
【文献】国際公開第2015/099185(WO,A1)
【文献】特開2018-198639(JP,A)
【文献】特開2016-214841(JP,A)
【文献】特開2019-108075(JP,A)
【文献】特開2017-000741(JP,A)
【文献】登録実用新案第3167269(JP,U)
【文献】特開2003-159172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00-47/04
A63B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランスボールに被せられる球殻状のカバー本体と、
カバー本体の表面に設けられたラバープリント部と、を有し、
前記ラバープリント部は、格子状のパターンで前記カバー本体のほぼ全周にプリントされている、バランスボール用ボールカバー。
【請求項2】
前記ラバープリント部は、無色透明である請求項1に記載のパランスボール用カバー。
【請求項3】
前記ラバープリント部は、ウレタンゴムからなる請求項1または2に記載のバランスボール用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスボール用のカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
バランスボールと称されるエクササイズ等をおこなうための弾性を有する球形の器具が知られている。使用の際には、床面に載置したバランスボールに座ったり、仰向けや腹ばいの状態で乗ったりして、そのバランスボールから落ちないようにバランスを取る。これにより平衡感覚が養われ、姿勢の矯正や筋力の増強にも資せられる。
【0003】
バランスボールは、そのままでも使用可能ではあるが、汚れや損傷を防ぐため、特許文献1および2のように、カバーを被せることもよく行われている。
【0004】
しかしながら、一般的なバランスボール用のカバーは、布等のシート素材でできているため滑りやすい。したがって、このカバーを装着したバランスボールに座ったり乗ったりした状態で姿勢を維持しがたく、ボールから落下等しやすい問題がある。
ここで、バランスボールは様々な寸法のものが存在するが、一般的には直径が50~80cm程度と比較的大きいため、ここから滑り落ちた際の落下距離は相当に大きく危険である。また、短時間で繰り返し落下するとなると、継続的にエクササイズをおこなうことも困難とある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-127610号公報
【文献】実用新案登録第3200405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の解決すべき課題は、バランスボール用カバーについて、このカバーを装着したバランスボールを用いたエクササイズ時における滑りを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、発明にかかるバランスボール用カバーを、バランスボールに被せられる球殻状のカバー本体と、カバー本体の表面に設けられたラバープリント部と、を有し、前記ラバープリント部は、格子状のパターンで前記カバー本体のほぼ全周にプリントされている構成としたのである。
【0008】
バランスボール用カバーのカバー本体の表面に摩擦力の大きなゴム質材からなるラバープリント部を設けたので、これが滑り止めとして機能し、バランスボールに乗った人間が落下することが防止される。したがって、安全面が改善され、また継続してエクササイズをおこなうことが可能となる。
【0009】
また、カバー本体の全表面をラバープリント部で隈なく覆ってしまうと、そのカバー本体が収縮力の大きなラバープリント部に過剰に拘束されて生地が伸張しがたくなる。このため、バランスボールへの装着作業に支障が生じたり、カバー内に入れたしぼんだバランスボールに空気を入れ膨らませる際に、バランスボールの表面にカバー本体が密着しその膨張作業に支障が生じたりするおそれがある。
ラバープリント部を格子状に設けることにより、カバー本体の伸縮性が大きく阻害されることがなく、カバーのバランスボールへの装着作業やカバー内のバランスボールの膨張作業を円滑に行うことができる。
ラバープリント部は、カバー本体のほぼ全周に設けられているため、カバーのいずれの箇所でも良好なすべり止め効果が発揮される。
【0010】
また、発明にかかるバランスボール用カバーにおいて、前記ラバープリント部は無色透明である構成を採用することが好ましい。
このように構成すると、カバー本体の模様がラバープリント部により隠れることがないため、その模様の意匠的効果が妨げられることがない。
【0011】
発明にかかるバランスボール用カバーにおいて、前記ラバープリント部はウレタンゴムからなる構成を採用することが好ましい。
このように構成すると、ラバープリント部を比較的安価に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
発明にかかるバランスボール用カバーを以上のように構成したので、カバーの滑りを防止できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ボールカバーを装着したバランスボールを上方より見た斜視図
【
図2】ボールカバーを装着したバランスボールを下方より見た斜視図
【
図3】ボールカバーを装着したバランスボールの断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1から
図4に示す実施形態のバランスボール用カバー10は、バランスボールBに装着して使用される。
図1から
図4に示すように、カバー10は、カバー本体11と、ラバープリント部12とを備える。
【0015】
図1および
図2のように、カバー本体11は、球殻状の形状をしており、複数の布等からなるシート片を、縫合等の適宜手段を用いて連結一体化することにより作製されている。シート片は、上下に対向する極片11aと、周方向に沿って左右に並列する複数の側片11bとからなり、弓形に湾曲する側片11bの上下端は、それぞれ円形の極片11aの外周に連結され、側片11bの左右端は隣接する側片11bの左右端にそれぞれ連結されている。
ここで一対の極片11aのうち少なくとも一方の極片11aは重なり合う表片と裏片の二重構造となっており、表片と裏片との間を押し広げることで開口が形成されるようになっている。
この開口から、空気を抜いてしぼんだバランスボールBをカバー10の内部に挿入できるようになっており、挿入後のバランスボールは
図2に示された空気穴hを通じて空気を供給することで、
図3のように球形へと膨張される。これにより、バランスボールBへのカバー10の装着が完了する。
【0016】
図1から
図4のように、ラバープリント部12は、カバー本体11の表面に設けられている。ラバープリント部12は、摩擦力の大きなゴム質材を含むラバーインクをプリントすることで形成されている。このラバープリント部12は、無色透明となっている。無色透明であるから、ラバーインクといっても、顔料は含まれていない。
なお図では、説明の便宜上ラバープリント部12が容易に視認できるかのように描かれているが、実際には無色透明であることから視認が困難なものとなっている。
このようにラバープリント部12が無色透明であることから、カバー本体11の表面に付された図示省略の模様が、色あざやかに視認できるようになっている。
【0017】
図1および
図2のように、ラバープリント部12は、カバー本体11の表面のほぼ全周に格子状のパターンで設けられている。ここでいうほぼ全周には、たとえばカバー本体11の一方の極片11aにラバープリント部12が設けられていない場合も含むものとする。
図4のように、ラバープリント部12の格子状のパターンにおいては、縦横の格子線12a同士がほぼ直交するように交わっており、その格子線12a間に形成された正方形状の開口部12bからは、カバー本体11が露出している。
ラバープリント部12の格子線の太さおよび隣接する平行な格子線間の間隔は特に限定されないが、
図4において、格子線の太さw1、w2が8~12mm、格子線間の間隔d1、d2が12~15mmであることが例示できる。
カバー本体11の表面におけるラバープリント部12が形成された箇所の面積の割合も特に限定されないが、40~60%であることが例示できる(開口部12bの面積の割合は60~40%)。
ラバープリント部12の積層厚みも特に限定されないが、1mm以下であることが例示できる。
【0018】
ラバープリント部12の形成方法は特に限定されないが、カバー本体11を構成する各極片11aや各側片11bにあらかじめプリントしておき、極片11aと側片11bを縫合等して連結一体化しカバー本体11を作製する際に、同時に形成されるようにすると、カバー本体11を作製後にその球面にラバープリント部12をプリントするよりも容易に形成することができる。
このとき、
図1および
図2のように、上下に隣接する極片11aと側片11bの格子線、左右に隣接する側片11b同士の格子線がそれぞれつながるようにしておくのが好ましい。
ここで、ラバープリント部12のプリントに際しては、シルクスクリーン印刷技術など、公知のプリント技術が適用可能である。
ラバープリント部12を形成するラバーインクの種類は、ゴム質材を含む限りにおいて特に限定されないが、ゴム質材としては、ウレタンゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、が例示でき、比較的安価で公知の印刷技術でプリントしやすいものとしてウレタンゴムが好ましい。
【0019】
実施形態のバランスボール用カバー10の構成は以上のようであり、その使用の際には、バランスボールBに装着した状態で、
図5のように、その上から使用者が座ったり、仰むけの状態で乗ったりしてバランスボールBから落ちないようにバランスを取るエクササイズなどに供される。
このとき、ラバープリント部12の滑り止め作用により、使用者がバランスボールBから滑り落ちにくくなっているため、落下して怪我する等の心配がなく、また継続的にエクササイズを遂行することができるようになっている。
【0020】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲内およびこれと均等の意味でのすべての修正と変形を含む。
【0021】
たとえば、実施形態では、ラバープリント部12を無色透明としているが、ラバープリント部12を有色不透明または有色透明として、カバー本体11の表面にラバープリント部12からなる格子状の模様を発現させることも可能である。また、カバー本体11の表面に付された模様とラバープリント部12からなる格子状の模様とが組み合わさって新たな模様を構成するようにしてもよい。
【0022】
また、実施形態では、ラバープリント部12の縦横の格子線12aがほぼ直角に交わる態様を例示しているが、縦横の格子線12aの交差角度はこれに限定されない。ラバープリント部12の形状は格子状である限りにおいて限定されず、斜め格子状でも正格子状でもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 バランスボール用カバー
11 カバー本体
11a 極片
11b 側片
12 ラバープリント部
12a 格子線
12b 開口部
B バランスボール
h 空気穴
w1、w2 格子線の太さ
d1、d2 格子線間の間隔