(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】光信号多重化システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04J 14/02 20060101AFI20240618BHJP
H04B 10/073 20130101ALI20240618BHJP
【FI】
H04J14/02
H04B10/073
(21)【出願番号】P 2021081692
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大宮 達則
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-147968(JP,A)
【文献】特開2000-236301(JP,A)
【文献】特開2000-174701(JP,A)
【文献】特開2017-069639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 14/02
H04B 10/07 - 10/079
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力する光信号多重化システムであって、
入力された前記複数の光信号の前記光パワーを検出する複数の検出手段と、
前記多重化手段に対する前記複数の光信号の入力を遮断する複数の遮断手段と、
前記検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように前記遮断手段を制御し、前記所定の条件を充足しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、接続されるべき前記送信器に設定された前記光信号の前記光パワーに対応する基準値と一致する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように前記遮断手段を制御し、前記基準値と一致しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御し、
前記制御手段は、前記送信器から送信される前記光信号の前記光パワーが、当該送信器に設定された前記光信号の前記光パワーに対応する基準値と一致しない場合に、当該送信器において異常が発生したと判定する、
光信号多重化システム。
【請求項2】
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力する光信号多重化システムであって、
入力された前記複数の光信号の前記光パワーを検出する複数の検出手段と、
前記多重化手段に対する前記複数の光信号の入力を遮断する複数の遮断手段と、
前記検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように前記遮断手段を制御し、前記所定の条件を充足しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御する制御手段と、を備え、
前記送信器は、当該送信器に設けられた出力ポートを介して前記入力ポートに接続され、
前記出力ポート及び前記入力ポートにはそれぞれ、発光素子が設けられ、
前記制御手段は、接続される前記出力ポートに設けられた前記発光素子及び前記出力ポートに対応して接続される前記入力ポートに設けられた前記発光素子の発光状態を制御する、
光信号多重化システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定の条件が充足されるか否かに応じて、前記出力ポート及び前記入力ポートに設けられた前記発光素子の発光状態を制御する、
請求項2に記載の光信号多重化システム。
【請求項4】
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力する光信号多重化システムの制御方法であって、
前記光信号多重化システムは、
入力された前記複数の光信号の前記光パワーを検出する複数の検出手段と、
前記多重化手段に対する前記複数の光信号の入力を遮断する複数の遮断手段と、
前記検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように前記遮断手段を制御し、前記所定の条件を充足しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、接続されるべき前記送信器に設定された前記光信号の前記光パワーに対応する基準値と一致する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように前記遮断手段を制御し、前記基準値と一致しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御し、
前記制御手段は、前記送信器から送信される前記光信号の前記光パワーが、当該送信器に設定された前記光信号の前記光パワーに対応する基準値と一致しない場合に、当該送信器において異常が発生したと判定する、
制御方法。
【請求項5】
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力する光信号多重化システムの制御方法であって、
前記光信号多重化システムは、
入力された前記複数の光信号の前記光パワーを検出する複数の検出手段と、
前記多重化手段に対する前記複数の光信号の入力を遮断する複数の遮断手段と、
前記検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように前記遮断手段を制御し、前記所定の条件を充足しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御する制御手段と、を備え、
前記送信器は、当該送信器に設けられた出力ポートを介して前記入力ポートに接続され、
前記出力ポート及び前記入力ポートにはそれぞれ、発光素子が設けられ、
前記制御手段は、接続される前記出力ポートに設けられた前記発光素子及び前記出力ポートに対応して接続される前記入力ポートに設けられた前記発光素子の発光状態を制御する、
制御方法。
【請求項6】
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力する光信号多重化システムの制御プログラムであって、
検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、接続されるべき前記送信器に設定された前記光信号の前記光パワーに対応する基準値と一致する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように
遮断手段を制御し、前記基準値と一致しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御し、
前記
送信器から送信される前記光信号の前記光パワーが、当該送信器に設定された前記光信号の前記光パワーに対応する基準値と一致しない場合に、当該送信器において異常が発生したと判定する、ことをコンピュータに実行させる、
制御プログラム。
【請求項7】
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力する光信号多重化システム
であって、前記送信器は、当該送信器に設けられた出力ポートを介して前記入力ポートに接続され、前記出力ポート及び前記入力ポートにはそれぞれ、発光素子が設けられた光信号多重化システムの制御プログラムであって、
検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように遮断手段を制御し、前記所定の条件を充足しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように遮断手段を制御し、
接続される前記出力ポートに設けられた前記発光素子及び前記出力ポートに対応して接続される前記入力ポートに設けられた前記発光素子の発光状態を制御する、ことをコンピュータに実行させる、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光信号多重化システム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドサービスなどのデータセンタ間やモバイルネットワークにおける急激なトラフィックの増加により、大容量かつ柔軟な構成変更が可能な光通信回線の需要が高まっている。そのため、異なるユーザの通信信号をそれぞれ波長ごとに分けて光信号に変調し、ユーザの要求に応じてその接続先を変更するとともに、経路ごとに1本の光ケーブルにまとめることが求められている。
【0003】
このような経路の変更に伴い、光信号を送信する送信器及び送信された光信号を多重化する光信号波長多重装置の間、また、光信号の波長を分離する光信号波長分離装置及び分離された光信号を受信する受信器の間で、光ケーブルの挿抜が頻繁に行われるようになっている。その際、誤った光ケーブルを一瞬でも抜いたり、または挿し込んだりした場合には、光回線全体のパワー変動が生じたり、波長間の干渉が生じることで、光回線全体の運用に影響が出ることが懸念される。
【0004】
先に述べたように、異なるユーザの通信信号が1本の光ケーブルに相乗りしているため、誤接続による影響の波及範囲が広くなっており、誤接続防止の重要性がますます高まっている。さらに、正しい接続であっても、入力される光信号の光パワーが異常な値である場合には、光信号の品質劣化を引き起こす恐れがある。このように、光通信システムにおいて、光信号の品質確保の要求が高まっている。
【0005】
誤接続防止に関する技術として、LED(Light Emitting Diode)を用いて、操作者や作業者に視覚的に光ケーブルの接続先を報知する技術が知られている。例えば、LEDと可視光レーザーによる視覚情報とスピーカーによる聴覚情報により作業者に注意喚起し、配線盤に挿抜する光ケーブルの間違いを防ぐ誤作業防止システムに関する技術が知られている(特許文献1)。
【0006】
また、電極とLEDを配した光ケーブルを用いて、誤接続、誤抜去を防止する波長分割多重光伝送システムに関する技術(特許文献2)や発光ダイオードを用いた配線接続装置に関する技術が知られている(特許文献3)。
【0007】
また、誤接続を防止する方法として、光信号を遮断可能なシャッタ部を設けて接続ミスを防止する方法(特許文献4)や波長変換後と多重後の光パワーレベルとを比較することで誤接続を検出する方法(特許文献5)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5696600号公報
【文献】特許第5251325号公報
【文献】特開平06-260235号公報
【文献】特開2015-162881号公報
【文献】特開2008-147968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献にはいずれも問題があった。特許文献1の誤作業防止システムでは、注意喚起情報にも関わらず光ケーブルが誤接続されてしまった場合には、光回線への影響が出てしまう恐れがある。また、特許文献2及び特許文献3では、汎用な光ケーブルを使用することができないという問題がある。
【0010】
また、特許文献4における光伝送装置では、ポート間の接続作業における開始作業の検出を起点に、接続対象のポートのペアを選択し、ポートに光信号を伝送するシャッタ部の状態を開状態に設定している。この場合、正しい接続であっても、入力される光信号の光パワーが装置の故障等により異常な値だった場合には、その検出を行うことができず、さらに、シャッタ部が開状態であるため、異常な光パワーの光信号がシャッタ部を通過し、光回線へ影響が出てしまう恐れがある。
【0011】
さらに、特許文献5の光波長多重システムでは、波長変換後と多重後の光パワーレベルとを比較していることから、誤接続をした場合には、この時点で、すでに誤接続による光信号が多重化され出力されてしまうため、回線事故が発生する恐れがある。また、仮に光パワーが低い場合であっても、高密度に多重された光信号は、光回線における光通信の品質劣化の原因となり得る。
【0012】
上記課題に鑑み本開示は、誤接続または異常発生による、光通信回線における品質劣化を抑制することができる光信号多重化システム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様に係る光信号多重化システムは、
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力する光信号多重化システムであって、
入力された前記複数の光信号の前記光パワーを検出する複数の検出手段と、
前記多重化手段に対する前記複数の光信号の入力を遮断する複数の遮断手段と、
前記検出手段によって検出された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足する場合に、前記多重化手段への入力の遮断を解除するように前記遮断手段を制御し、前記所定の条件を充足しない場合に、前記多重化手段への入力の遮断を継続するように前記遮断手段を制御する制御手段と、を備える。
【0014】
本開示の一態様に係る制御方法は、
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を波長多重する多重化処理を制御する方法であって、
入力された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足するか否かを判定するステップと、
前記所定の条件が充足される光信号は前記多重化処理に含め、前記所定の条件が充足されない光信号は前記多重化処理に含めずに、前記多重化処理を実行するよう制御するステップと、を備える方法である。
【0015】
本開示の一態様に係る制御プログラムは、
複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を波長多重する多重化処理をコンピュータに実行させるための制御プログラムであって、
入力された前記光信号の前記光パワーが、所定の条件を充足するか否かを判定するステップと、
前記所定の条件が充足される光信号は前記多重化処理に含め、前記所定の条件が充足されない光信号は前記多重化処理に含めずに、前記多重化処理を実行するよう制御するステップと、備える制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、誤接続または異常発生による、光通信回線における品質劣化を抑制することができる光信号多重化システム、制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る光通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る光信号多重化システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る送信器の構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態に係る光信号多重化システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図5】第1の実施形態に係る光信号多重化システムの制御方法を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る制御手段のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0019】
<第1の実施形態>
図1を参照して光通信システム100の全体構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る光通信システム100の全体構成を示すブロック図である。
図1より、光通信システム100は、光信号多重化システム10、中継システム20、光信号分離システム30を備える。光信号多重化システム10、中継システム20、光信号分離システム30は、それぞれ光ケーブルを介して接続される。なお、光ケーブルは汎用の光ケーブルを使用することができる。
【0020】
光信号多重化システム10は、複数の送信器が接続されて、当該複数の送信器のそれぞれから所定の波長及び所定の光パワーの複数の光信号を異なる複数の入力ポートに入力し、入力された複数の光信号を多重化手段により波長多重し出力するシステムである。光信号多重化システム10は、波長多重した光信号を中継システム20に出力する。
【0021】
光信号多重化システム10は、送信器1-1、送信器1-2、送信器1-3、光信号波長多重装置2、制御手段9を有する。なお、送信器1-1、送信器1-2、送信器1-3をまとめて、送信器1とも呼ぶ。また、
図1においては、説明を簡単にするため、送信器1の数を3つとしているが、送信器1の数はこれに限られない。送信器1及び光信号波長多重装置2は、光ケーブルを介して接続される。なお、光ケーブルは汎用な光ケーブルを使用することができる。
【0022】
送信器1-1、送信器1-2、送信器1-3は、それぞれ異なる波長の光信号を光信号波長多重装置2に送信する。光信号波長多重装置2は、送信器1から送信された光信号を波長多重し、光信号を1本の光ケーブルにまとめて中継システム20へ出力する。制御手段9は、これらの送信器1及び光信号波長多重装置2を制御する。制御手段9は、送信器1及び光信号波長多重装置2とネットワークを介して通信可能に接続される。なお、ネットワークは、有線か無線であるかを問わないし、通信プロトコルの種別を問わない。制御手段9は、例えば、コンピュータ装置である。
光信号多重化システム10のより詳細な構成については後述する。
【0023】
中継システム20は、光信号多重化システム10から入力される光信号を、中継し、または、経路を切り替えて、光信号分離システム30に出力するシステムである。中継システム20は、中継切替装置21を有する。中継システム20には、中継の必要性及び経路の数等に応じて、中継切替装置21が複数設けられてもよい。また、中継切替装置21は、光信号を増幅させる増幅器の機能を有していてもよい。中継切替装置21は、光信号多重化システム10から入力された光信号を増幅させることで、光ケーブル中の伝送や装置間の入力及び出力における光パワーの光損失を補償することができる。中継切替装置21としては、公知のデバイスを使用することができる。
【0024】
光信号分離システム30は、入力された多重化光信号を分離し、光信号から必要な情報を取得する。光信号分離システム30は、光信号波長分離装置31、受信器32-1、受信器32-2、受信器32-3、制御手段33を有する。なお、受信器32-1、受信器32-2、受信器32-3をまとめて、受信器32とも呼ぶ。また、
図1においては、説明を簡単にするため、受信器32の数を3つとしているが、受信器32の数はこれに限られない。光信号波長分離装置31及び受信器32は、光ケーブルを介して接続される。なお、光ケーブルは汎用な光ケーブルを使用することができる。
【0025】
光信号波長分離装置31は、中継システム20から入力された多重化光信号を波長ごとに分離し、受信器32-1、受信器32-2、受信器32-3に出力する。受信器32は、波長毎に分離された光信号をそれぞれ受信する。制御手段33は、光信号波長分離装置31及び受信器32を制御する。制御手段33は、光信号波長分離装置31及び受信器32とネットワークを介して通信可能に接続される。なお、ネットワークは、有線か無線であるかを問わないし、通信プロトコルの種別を問わない。制御手段33は、例えば、コンピュータ装置である。
【0026】
以上のように、第1の実施形態に係る光通信システム100は、光信号多重化システム10から送信された多重化光信号が中継システム20を介して、光信号分離システム30で受信される。これにより、光信号の送受信を行うことができる。
【0027】
次に、
図2を用いて、光信号多重化システム10の構成を詳細に説明する。なお、上述の説明と重複する部分は、適宜省略する。
【0028】
図2より、光信号多重化システム10は、送信器1、光信号波長多重装置2、制御手段9を備える。光信号波長多重装置2は、入力ポート3-1、入力ポート3-2、入力ポート3-3、検出手段4-1、検出手段4-2、検出手段4-3、遮断手段5-1、遮断手段5-2、遮断手段5-3、多重化手段6、出力ポート7、発光素子8-1、発光素子8-2、発光素子8-3を備える。ここで、入力ポート3-1、入力ポート3-2、入力ポート3-3をまとめて、入力ポート3とも呼び、検出手段4-1、検出手段4-2、検出手段4-3をまとめて、検出手段4とも呼ぶ。また、遮断手段5-1、遮断手段5-2、遮断手段5-3をまとめて、遮断手段5とも呼び、発光素子8-1、発光素子8-2、発光素子8-3をまとめて、発光素子8とも呼ぶ。入力ポート3、検出手段4、遮断手段5、多重化手段6は、光ケーブルを介して接続される。なお、光ケーブルは汎用な光ケーブルを使用することができる。
【0029】
送信器1-1は、制御手段9の制御に基づき、所定の波長及び所定の光パワーで、光信号を送信する。送信器1-2、送信器1-3も同様に制御手段9の制御に基づき、所定の波長及び所定の光パワーで、光信号を送信する。光信号波長多重装置2によって光信号の波長多重を行うため、送信器1-1、送信器1-2、送信器1-3は、それぞれ異なる波長の光信号を送信する。
【0030】
光信号波長多重装置2は、光信号の波長多重を行うため、所定の波長を入力するための入力ポート3を備える。入力ポート3-1、入力ポート3-2、入力ポート3-3には、それぞれ異なる波長が入力される。入力ポート3には、それぞれ予め入力される光信号の波長(波長CH、波長チャンネルともいう)が設定され、送信器1と入力ポート3は対応関係を有する。
図2においては、送信器1-1及び入力ポート3-1、送信器1-2及び入力ポート3-2、送信器1-3及び入力ポート3-3が、それぞれ対応する。
【0031】
この場合、例えば、送信器1-1と、入力ポート3-1とが接続された場合、正しい接続となる。一方で送信器1-1と、入力ポート3-2または入力ポート3-3とが接続された場合、誤接続となる。同様に送信器1-2と、入力ポート3-2とが接続された場合、正しい接続となる。一方で送信器1-2と、入力ポート3-1または入力ポート3-3とが接続された場合、誤接続となる。また、送信器1-3と、入力ポート3-3とが接続された場合、正しい接続となる。一方で送信器1-3と、入力ポート3-1または入力ポート3-2とが接続された場合、誤接続となる。
【0032】
検出手段4は、入力された複数の光信号の光パワーを検出する。つまり、検出手段4-1は、入力ポート3-1から出力された光信号の光パワーを検出し、検出手段4-2は、入力ポート3-2から出力された光信号の光パワーを検出し、検出手段4-3は、入力ポート3-3から出力された光信号の光パワーを検出する。検出手段4としては、例えば、タップ付光検出器(TAP-PD:TAP-Photo Detector)を用いることができる。
【0033】
遮断手段5は、多重化手段6に対する複数の光信号の入力を遮断する。つまり、遮断手段5-1は、検出手段4-1によって検出された光信号の多重化手段6への入力を遮断する。同様に、遮断手段5-2は、検出手段4-2によって検出された光信号の多重化手段6への入力を遮断し、遮断手段5-3は、検出手段4-3によって検出された光信号の多重化手段6への入力を遮断する。遮断手段5は、制御手段9からの指示がない限り、光信号の入力を遮断するように設定される。
遮断手段5としては、例えば、可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuators)を用いることができる。可変光減衰器の減衰量を最大にすることで、光信号の入力を遮断することができる。また、可変光減衰器の減衰量を最小にすることで、光信号を通過させることができる。
【0034】
多重化手段6は、入力された複数の光信号を波長多重する。例えば、多重化手段6には、複数の波長の光を合波するアレイ導波路グレーティング(AWG:Array Waveguide Gratings)を用いることができる。また、その他の公知のデバイスを用いてもよい。波長多重された光信号は、出力ポート7を介して、中継システム20に出力される。
【0035】
制御手段9は、検出手段4によって検出された光信号の光パワーが、所定の条件を充足する場合に、多重化手段6への入力の遮断を解除するように遮断手段5を制御し、所定の条件を充足しない場合に、多重化手段6への入力の遮断を継続するように遮断手段5を制御する。
【0036】
具体的には、制御手段9は、検出手段4-1によって検出された光信号の光パワーが、所定の条件を充足する場合に、多重化手段6への入力の遮断を解除するように遮断手段5-1を制御し、所定の条件を充足しない場合に、多重化手段6への入力の遮断を継続するように遮断手段5-1を制御する。同様に、制御手段9は、検出手段4-2によって検出された光信号の光パワーが、所定の条件を充足する場合に、多重化手段6への入力の遮断を解除するように遮断手段5-2を制御し、所定の条件を充足しない場合に、多重化手段6への入力の遮断を継続するように遮断手段5-2を制御する。制御手段9は、検出手段4-3によって検出された光信号の光パワーが、所定の条件を充足する場合に、多重化手段6への入力の遮断を解除するように遮断手段5-3を制御し、所定の条件を充足しない場合に、多重化手段6への入力の遮断を継続するように遮断手段5-3を制御する。
【0037】
制御手段9は、所定の条件を充足しない光信号については、遮断手段5を制御して、多重化手段6への入力の遮断を継続する。これにより、制御手段9は、誤接続が発生している場合及び正しい接続であっても光信号の光パワーが異常な値である場合に、多重化手段6への光信号の入力の遮断を継続することができる。つまり、誤接続の光信号及び異常な値を有する光信号が多重化手段6に入力されることを防ぎ、当該光信号が光信号波長多重装置2から出力されることを防ぐことで、光通信システム100全体への影響を抑制することができる。すなわち、本実施形態における光信号多重化システム10によれば、誤接続または異常発生による、光通信回線における光通信の品質劣化を抑制することができる。
【0038】
例えば、制御手段9は、検出手段4によって検出された光信号の光パワーが、接続されるべき送信器1に設定された光信号の光パワーに対応する基準値と一致する場合に、多重化手段6への入力の遮断を解除するように遮断手段5を制御し、基準値と一致しない場合に、多重化手段6への入力の遮断を継続するように遮断手段5を制御してもよい。
【0039】
具体的には、誤接続時や異常発生時には、検出手段4によって検出された光信号の光パワーが、接続されるべき送信器1に設定された光信号の光パワーに対応する基準値と一致しない。つまり、この場合、誤接続時や異常発生時の光信号が多重化手段6に入力されることを防ぐことができる。一方で、正しい接続であり、検出手段4によって検出された光信号の光パワーが、接続されるべき送信器1に設定された光信号の光パワーに対応する基準値と一致する場合には、当該光信号の多重化処理を実行することができる。以上のように、制御手段9による光信号多重化システム10の制御を行うことで、光回線における光信号の品質劣化を抑制することができる。
【0040】
さらに、制御手段9は、送信器1から送信される光信号の光パワーが、当該送信器1に設定された光信号の光パワーに対応する基準値と一致しない場合に、当該送信器1において異常が発生したと判定してもよい。この場合、制御手段9が想定していた光パワーとは異なる光パワーの光信号が出力されていることになり、送信器1の異常発生の可能性が考えられるためである。制御手段9は、送信器1の異常発生の有無を判定することにより、異常が発生している送信器1を特定するとともに、異常が発生していること及び特定した送信器1を光ケーブルの作業者に報知するようにしてもよい。これにより、本実施形態に係る光信号多重化システム10では、回線事故防止と同時に、装置の故障検知を行うこともできる。
【0041】
なお、入力ポート3及び出力ポート7は、光アダプタで構成することができる。光アダプタを使用することで、汎用の光ケーブルを光信号波長多重装置2に接続することができる。
【0042】
また、
図2に示すように、光信号波長多重装置2は、入力ポート3に発光素子8を設けてもよい。
図2では、入力ポート3-1に発光素子8-1を設け、入力ポート3-2に発光素子8-2を設け、入力ポート3-3に発光素子8-3を設けている。例えば、発光素子8は、入力ポート3に設けられるLEDである。具体的には、発光素子8は、入力ポート3を構成する光アダプタの周囲に設置することができる。
制御手段9は、発光素子8-1、発光素子8-2、発光素子8-3の発光状態をそれぞれ制御することができる。すなわち、発光素子8-1、発光素子8-2、発光素子8-3は、制御手段9によって、その発光状態、つまり、点灯・消灯状態および点灯色がそれぞれ制御される。これにより、光ケーブルの作業者は、接続先となる入力ポート3の位置を視覚的に確認することが可能となり、誤接続の可能性を低減させることができる。具体的な動作については後述する。
【0043】
次に、
図3を用いて、光信号多重化システム10における送信器1の具体的な構成について説明する。送信器1は、光源11、光変調器12、可変光減衰器13、検出器14、出力ポート15、発光素子16を備える。送信器1の各装置は、制御手段9によって制御される。
【0044】
送信器1は、制御手段9からの指示により、光信号の出力及び発光素子16の点灯・消灯を行う。
光源11は、送信器1毎に予め設定された波長の無変調連続波(CW:Continuous Wave)光を出力パワー一定で、光変調器12に出力する。光変調器12は、光源11から伝送された電気信号を光信号に変換し、可変光減衰器13に出力する。
【0045】
可変光減衰器13は、光変調器12から入力された光信号の光パワーを可変的に減衰させる装置である。可変光減衰器13は、減衰処理後の光信号を検出器14に出力する。可変光減衰器13は、制御手段9の制御に基づき、設定された光パワーに、入力された光信号の光パワーを減衰させることができる。これにより、設定した値の光パワーを有する光信号を検出器14に出力することができる。
【0046】
検出器14は、可変光減衰器13から入力された光信号の光パワーを検出する。検出器14には、例えば、タップ付光検出器を用いることができる。検出器14は、光信号波長多重装置2に出力する光信号の光パワーをモニタしている。制御手段9は、検出器14を介して、可変光減衰器13で減衰処理を実行した光信号の光パワーの値を取得することができる。検出後の光信号は、出力ポート15を介して、外部、つまり、光信号波長多重装置2に出力される。
なお、出力ポート15は、光アダプタで構成される。光アダプタを使用することで、汎用の光ケーブルを送信器1に接続することができる。
【0047】
発光素子16は、出力ポート15に設けられるLEDである。具体的には、発光素子16は、出力ポート15を構成する光アダプタの周囲に設置されてもよい。発光素子16は、制御手段9によって、その発光状態、つまり、点灯・消灯状態および点灯色が制御される。
【0048】
送信器1は、当該送信器1に設けられた出力ポート15を介して光信号波長多重装置2の入力ポート3に接続される。上述したように、入力ポート3及び出力ポート15にはそれぞれ、発光素子8、発光素子16を設けてもよい。この場合、制御手段9は、接続される出力ポート15に設けられた発光素子16及び出力ポート15に対応して接続される入力ポート3に設けられた発光素子8の発光状態を制御することができる。
【0049】
例えば、制御手段9は、光ケーブルの接続先となる光信号波長多重装置2の入力ポート3に設けられている発光素子8を黄色で点灯させることで、光ケーブルの抜き挿しを行う作業者に、接続先となる入力ポート3の位置を視覚的に表示することができる。同様に、制御手段9は、光ケーブルの接続先となる送信器1の出力ポート15に設けられている発光素子16を黄色で点灯させることで、光ケーブルの抜き挿しを行う作業者に、接続先の出力ポート15の位置を視覚的に表示することができる。これにより、作業者の誤接続の発生を低減させることができる。
【0050】
さらに、制御手段9は、所定の条件が充足されるか否かに応じて、出力ポート15及び入力ポート3に設けられた発光素子16及び発光素子8の発光状態を制御することもできる。
【0051】
例えば、制御手段9は、光信号の光パワーを検出器14で検出して、設定した光パワーで光信号が出力できたことが確認できたときに、発光素子16を緑色に点灯させてもよい。具体的には、制御手段9は、予め設定した光パワーと、検出器14で検出した光パワーとを比較し、差異が一定の範囲内である場合、設定した光パワーで光信号を出力できたと判定することができる。また、制御手段9は、設定した光パワーで光信号を出力できなかったとき、発光素子16を赤色に点灯させてもよい。これにより、作業者は、送信器1から設定した値の光パワーを有する光信号が送信されているか否かを確認できるとともに、誤接続であるか否か、また、送信器1が不具合及び異常を生じているか否かを容易に確認することができる。
【0052】
同様に、制御手段9は、光信号波長多重装置2の入力ポート3への光信号の光パワーを検出手段4で検出し、検出した光パワーの値が基準値と一致しないとき、当該入力ポート3に設けられた発光素子8を赤色に点灯させてもよい。一方で、制御手段9は、光信号波長多重装置2の入力ポート3への光信号の光パワーを検出手段4で検出し、検出した光パワーの値が基準値と一致するとき、当該入力ポート3に設けられた発光素子8を緑色に点灯させてもよい。これにより、作業者は、送信器1から送信された光信号が、正しく光信号波長多重装置2に入力されていることを確認できるとともに、誤接続であるか否か、また、送信器1から送信された光信号の出力に異常を生じているか否かを容易に確認することができる。
【0053】
なお、発光素子8及び発光素子16の発光状態は、上述した点灯色及び点灯・消灯状態に限らず、任意に設定することができる。
【0054】
次に、
図4を用いて、光信号多重化システム10の動作について説明する。
図4は、光信号多重化システム10のシーケンス図である。説明を簡単にするため、1つの送信器1を例に説明する。
【0055】
はじめに、作業者が制御手段9及び光信号波長多重装置2に対して、事前設定を行う。作業者は、制御手段9に、接続対象となる送信器1と送信器1から送信する光信号の光パワーを登録する。同時に、作業者は、制御手段9に、当該送信器1の接続先となる光信号波長多重装置2の入力ポート3及び入力される光信号の波長CHを登録する(ステップS1)。
【0056】
次に、登録された入力ポート3とは異なる入力ポート3に光ケーブルが誤接続され、誤った光信号が多重化手段6に入力されないように、未使用の入力ポート3に接続されている可変光減衰器の減衰量を最大に設定する(ステップS2)。これにより、未使用の入力ポート3に光信号が入力されたとしても、可変光減衰器によって、光信号が遮断される。
なお、ステップS1とステップS2は、事前設定であり、どちらを先に実行してもよく、順序は問わない。
【0057】
制御手段9は、接続対象となる入力ポート3、波長CH及び入力される光パワーを光信号波長多重装置2に送信する(ステップS3)。制御手段9からの指令を受けた光信号波長多重装置2は、該当する入力ポート3に設けられたLEDを黄色で点灯させ、減衰器の減衰量を最大とする(ステップS4)。
【0058】
制御手段9は、事前に登録されている、使用予定の送信器1に対して、光信号の光パワーの設定値を送信する(ステップS5)。制御手段9からの指令を受けた送信器1は、出力ポート15に設けられたLEDを黄色で点灯させる(ステップS6)。なお、送信器1及び光信号波長多重装置2におけるLEDの点灯色及び点灯方法は、特に限定されず、任意の点灯色及び点灯方法を用いてよい。
【0059】
作業者は、光信号波長多重装置2の入力ポート3に設けられたLEDの点灯を確認し、光ケーブルを入力ポート3に接続する。さらに、送信器1の出力ポート15に設けられたLEDの点灯を確認し、光ケーブルを出力ポート15に接続する。なお、光信号波長多重装置2への接続及び送信器1への接続は、どちらが先であってもよく、順序は問わない。
作業を完了した作業者は、制御手段9に光ケーブルの接続完了情報を入力する(ステップS7)。
【0060】
制御手段9は、作業者による接続完了情報の入力を受け付けたことを起点として、送信器1に光信号の出力指示を送信する(ステップS8)。
【0061】
送信器1は、制御手段9からの指示に基づき、設定された光パワーで光信号を光信号波長多重装置2に送信し、出力ポート15に設けられたLEDを緑色に変更する(ステップS9)。このとき、上述したように、制御手段9は、光パワーの設定値と検出器14で検出した光パワーとを比較することで、設定した光パワーで光信号が出力されているかを確認し、送信器1に異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0062】
光信号波長多重装置2は、制御手段9の制御の下、検出手段4によって検出された光信号の光パワーが、接続されるべき送信器1に設定された光信号の光パワーに対応する基準値より低い、または高い光パワーのとき、入力ポート3に設けられたLEDを赤色に変更する(ステップS10)。このとき、光信号波長多重装置2は、遮断手段5による光信号の多重化手段6への入力の遮断を継続する。
【0063】
一方で、光信号波長多重装置2は、制御手段9の制御の下、検出手段4によって検出された光信号の光パワーが、接続されるべき送信器1に設定された光信号の光パワーに対応する基準値と一致する場合に、入力ポート3に設けられたLEDを緑色に変更し、遮断手段5による多重化手段6への入力の遮断を解除する(ステップS11)。具体的には、遮断手段5として設けられる可変光減衰器の減衰量を最小にすることで、光信号を通過させ、多重化手段6に光信号を入力させる。
【0064】
制御手段9は、作業が完了した旨を作業者に通知するとともに、作業の完了処理を実行するように送信器1及び光信号波長多重装置2を制御する(ステップS12)。例えば、制御手段9に設けられた表示画面に作業が完了した旨を表示することで、作業が完了した旨を作業者に通知してもよい。
【0065】
送信器1は、制御手段9の制御を受け、出力ポート15のLEDを消灯させる(ステップS13)。また、光信号波長多重装置2は、制御手段9の制御を受け、入力ポート3のLEDを消灯させる(ステップS14)。
【0066】
以上説明したように、光信号多重化システム10では、検出手段4によって検出された光信号の光パワーが、接続されるべき送信器1に設定された光信号の光パワーに対応する基準値と一致する場合に、多重化手段6への入力の遮断を解除するように遮断手段5を制御し、基準値と一致しない場合に、多重化手段6への入力の遮断を継続するように遮断手段5を制御することができる。これにより、想定されていない光信号の多重化処理を防止し、誤接続及び異常発生による光通信回線の品質劣化を抑制することができる。さらに、光信号多重化システム10では、送信器1の出力ポート15及び光信号波長多重装置2の入力ポート3にLEDを設けることで、光ケーブルの接続先及び接続状態を作業者に視覚的に報知することができ、誤接続の発生を低減することができる。
【0067】
また、光信号多重化システム10では、遮断手段5として用いる可変光減衰器の可変減衰量を最大とし予め遮断状態に設定しているため、誤った入力ポート3に光ケーブルが接続され、光信号が入力された場合であっても、多重化手段6へ光信号が到達することを防ぐことできる。また、異常な光パワーが入力された場合であっても、多重化手段6へ光信号が到達することを防ぐことできる。これにより、混信による回線断のような事故を防ぐことができる。
【0068】
加えて、光信号多重化システム10では、入出力ポートには一般に市販されているアダプタやコネクタを使用することができ、特殊な加工や部材を用意する必要ないため、各装置間の接続に用いる光ケーブルとして汎用的な光ケーブルを使用することできる。
【0069】
図5を用いて、光信号多重化システム10の制御方法について説明する。
図5は、光信号多重化システム10の制御方法を示すフローチャートである。
【0070】
制御手段9は、光信号が入力されたとき(ステップS21)、入力された光信号の光パワーが、所定の条件を充足するか否かを判定する(ステップS22)。
次に、制御手段9は、入力された光信号の光パワーが、所定の条件を充足する場合(ステップS22YES)、所定の条件が充足される光信号を多重化処理に含める(ステップS23)。一方で、入力された光信号の光パワーが、所定の条件を充足しない場合(ステップS22NO)、所定の条件が充足されない光信号を多重化処理に含めない(ステップS24)。その後、制御手段9は、所定の条件が充足される光信号について、多重化処理を実行するよう制御する(ステップS25)。
【0071】
以上の制御を行うことで、所定の条件が充足される光信号のみを多重化処理に含めることができるため、誤接続や異常発生時における光通信システム100全体への回線の影響を抑えることができ、光通信の品質劣化を抑制することができる。
【0072】
図6を用いて、第1の実施形態に係る光信号多重化システム10の制御手段9のハードウェア構成例を説明する。なお、光信号分離システム30の制御手段33も同様のハードウェア構成を有していてもよい。
図6において制御手段9、制御手段33は、プロセッサ101と、メモリ102とを有している。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ101は、図示されていないI/Oインターフェースを介してメモリ102にアクセスしてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態における各装置及び各手段は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。上述の実施形態における各装置の機能(処理)を、コンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリ102に実施形態における動作を行うための制御プログラムを格納し、各機能を、メモリ102に格納された制御プログラムをプロセッサ101で実行することにより実現してもよい。
【0074】
制御プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0075】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
送信器 1、1-1、1-2、1-3
光信号波長多重装置 2、2-1、2-2、2-3
入力ポート 3、3-1、3-2、3-3
検出手段 4、4-1、4-2、4-3
遮断手段 5、5-1、5-2、5-3
多重化手段 6
出力ポート 7
発光素子 8
制御手段 9
光信号多重化システム 10
光源 11
光変調器 12
可変光減衰器 13
検出器 14
出力ポート 15
発光素子 16
中継システム 20
中継切替装置 21
光信号分離システム 30
光信号波長分離装置 31
受信器 32、32-1、32-2、32-3
制御手段 33
光通信システム 100
プロセッサ 101
メモリ 102