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特許7505768クラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機
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  • 特許-クラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機 図1
  • 特許-クラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機 図2
  • 特許-クラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】クラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20240618BHJP
   F16H 9/06 20060101ALI20240618BHJP
   B60K 23/00 20060101ALI20240618BHJP
   B60K 23/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F16H63/34
F16H9/06 A
B60K23/00 C
B60K23/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021097565
(22)【出願日】2021-06-10
(65)【公開番号】P2022189156
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591228018
【氏名又は名称】株式会社カルイ
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和成
(72)【発明者】
【氏名】渋江 雄一
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-046706(JP,U)
【文献】実開昭57-024632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/34
F16H 9/06
B60K 23/00
B60K 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速部から出力される動力によって走行部を動作させる作業機に使用される変速機構であって、
動力部と変速機との間における動力伝達を断接するクラッチと、前記変速部とからなり、
当該クラッチには、クラッチの断接に連動して揺動するクラッチバーと、変速部の変速レバーの操作を規制する変速動作規制部が設けられており、
当該変速動作規制部は、前記クラッチバーに接続されたベース部材と、当該ベース部材に設けられて、前記変速レバーの動作を規制する支持部とからなり、
前記変速レバーには、前記変速動作規制部における支持部の揺動範囲内に存在するロック軸を設けていることを特徴とする、クラッチ連動式の動作規制機構を備えた変速機構。
【請求項2】
動力部と、当該動力部の動力を伝達する動力伝達機構と、請求項1に記載の変速機構とからなる作業機。
【請求項3】
前記動力伝達機構は、駆動プーリーと従動プーリーとの間にベルトを懸架して構成され、
前記クラッチは、前記ベルトにテンションプーリーを押圧あるいは離間させて動力の伝達あるいは遮断を行なうベルトテンションクラッチからなり、
前記変速部は変速動作を入力する変速レバーを備え、
前記変速動作規制部はベルトテンションクラッチの動作部に設けられて、前記クラッチの動作に連動して前記変速レバーの動作を規制し、
前記ロック軸の先端側には横方向に延出する引っ掛け部を設けると共に、前記支持部には、前記引っ掛け部を案内する凹部を形成している、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記変速動作規制部は、クラッチを入れた状態において前記変速レバーを支持する支持部を備えており、当該支持部はクラッチを切った状態において前記変速レバーの支持を解除する向きに移動する請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変速機の操作をクラッチの断接に応じて規制する、クラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機に関し、特にクラッチが入っている状態における変速を規制することのできるクラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンなどの動力源によって動作する装置においては、当該動力源から取り出す力のトルクや回転数、回転方向を変えて活軸へと伝達するために変速機が用いられている。そして当該変速機の操作に際しては、通常、クラッチによって動力源と変速機との間における動力伝達を遮断し、その上で変速機を操作するように構成されている。これは動力が伝わっている状態で変速機を操作した場合には、当該変速機を構成する歯車や軸などを損傷させてしまう為であり、また急激な出力の変化による操縦困難性を解消する為である。
【0003】
この点、特許文献1(実開昭51-26281号公報)では、従来の変速装置では作業員が誤ってクラッチを切らずに変速操作を行った為に変速ギヤを破損させてしまうとの課題に鑑みて、複数個の溝を軸方向に間隔をおいて設けており、かつ該複数個の溝のうちの1つがスプーリーングによって押圧されるシフタボールと嵌合しているシフタシャフトを複数本平行に設け、これら複数本のシフタシャフトに対し前記シフタボールと対応した反対側の側部に直交しかつクラッチと連動して軸方向に往復動する1本のロックシャフトを設け、該ロックシャフトは大径部と小径部とを軸方向に交互に有しており、該ロックシャフトの軸方向の移動により大径部が前記溝に対応する時は前記ロックシャフトの軸方向の移動をロックし、小径部が前記溝に対応する時は前記ロックシャフトの軸方向の移動を許容するようにした変速機における変速ロック機構が提案されている。
【0004】
また農業機械などの作業機においては、動力伝達機構としてベルトとプーリーが使用されており、プーリー間の動力伝達の断接を制御するクラッチとしてクラッチプーリーが使用されている。例えば特許文献2(実開昭57-42245号公報)では、エンジン側より駆動される伝動軸とミッションケ─ス側の入力軸との間にそれぞれクラッチプーリーにより断接する前進用高速および低速のベルトを掛廻し、前記伝動軸より両ギヤを介して逆転駆動する中間軸と前記入力軸との間にクラッチプーリーにより断接する後進用ベルトを掛廻し、3個のクラッチプーリーを1本の操作レバーにより選択的に操作してクラッチ入り切りの切換え操作を行なえるよう装設して構成したコンバインにおける走行変速操作装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭51-26281号公報
【文献】実開昭57-42245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1では、クラッチを切らずに変速操作を行うことによる変速ギヤの破損の問題を解決する為に、クラッチと連動して軸方向に往復動する1本のロックシャフトなどを設け、当該ロックシャフトの動作によって変速動作を規制していることから、その機構が複雑になっている。
【0007】
また特許文献2ではベルトとプーリーからなる動力伝達機構において、クラッチプーリーによって動力伝達を断接して変速を行う事が開示されているが、クラッチが接続している状態での変速を規制することは提案されていない。特にクラッチが接続された状態における変速動作は、走行部であれば急発進等の問題が生じ、また作業部であれば急な速度変化や急反転などの問題が生じる。その結果、作業上の安全も危惧される。
【0008】
そこで本発明は、簡易な構成によって変速動作を制御可能とした、クラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機を提供することを課題の1つとし、望ましくはベルトとプーリーからなる動力伝達機構において有効なクラッチ連動式の動作規制機構を備える変速機構、およびこれを用いた作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明ではクラッチの動作に連動して変速機の変速レバーの動作を制御する変速動作規制部を設けた変速機構と、これを用いた作業機を提供する。
【0010】
即ち本発明に係る、クラッチ連動式の動作規制機構を備えた変速機構は、変速部から出力される動力によって走行部及び/又は作業部を動作させる作業機に使用される変速機構であって、前記変速部から出力される動力を走行部及び/又は作業部に伝達する動力伝達機構に設けられるクラッチと、前記変速部とからなり、当該クラッチには、クラッチの断接に連動して変速部の変速レバーの操作を規制する変速動作規制部を設けて形成する。
【0011】
前記変速動作規制部は、前記クラッチの断接動作に際して動く部分に直接設ける他、当該動く部分の動作をワイヤー、リンク、又は歯車などの伝達機構を介して動作するように設けることができる。そして当該クラッチの動作は作業者が行う事から、当該変速動作制御部は作業者の操作によって動作することができる。また当該変速動作規制部は、クラッチの断接動作に連動した動作によって、前記変速機の変速レバーを支持するか、その移動を規制する規制部を備えて形成することができる。変速レバーの動作を直接規制することにより、簡易な構成によって、クラッチを切らずに変速操作を行うことを阻止し、変速ギヤの破損の問題や、作業者の誤作動による急発進の問題を解決することができる。
【0012】
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、前記変速機構を用いた作業機を提供する。即ち、動力部と、当該動力部の動力を伝達する動力伝達機構と、前記本発明に係る変速機構とからなる作業機を提供する。
【0013】
かかる作業機は、動力を用いた作業機であって、動力伝達機構と、クラッチと変速部からなる変速機構を備えるものであれば、その種類を問うことなく実施することができる。従って例えば農業用機械である他、林業用機械、漁業用機械など様々な分野の作業機であって良く、更に樹木粉砕機、木材粉砕機、運搬車、田植え機など、自走機構を備えるか否かを問わず各種の具体的な作業機であって良い。
【0014】
前記作業機において、動力伝達機構は、駆動プーリーと従動プーリーとの間にベルトを懸架して構成することができ、前記クラッチは、前記ベルトにテンションプーリーを押圧あるいは離間させて動力の伝達あるいは遮断を行なうベルトテンションクラッチで構成することができる。但し、前記動力伝達機構は、回転シャフトを用いて構成することもでき、その際には、前記クラッチは円板クラッチなどの摩擦クラッチとすることもできる。
【0015】
そして前記変速部は変速動作を入力する変速レバーを備えるものとし、前記変速動作規制部は前記クラッチの動作に直接的または間接的に連動して前記変速レバーの動作を規制するように構成することができる。かかる変速動作規制部はベルトテンションクラッチの動作部に設けることにより、その構造を簡素化することができる。
【0016】
前記変速動作規制部が前記変速レバーの動作を規制する場合、例えば、前記変速動作規制部は、クラッチを入れた状態において前記変速レバーを支持する支持部を備えており、当該支持部はクラッチを切った状態において前記変速レバーの支持を解除する向きに移動させる駆動部を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明の変速機構は、クラッチの断接に連動して変速部の変速レバーの操作を規制する変速動作規制部が設けていることから、クラッチを切らずに変速操作を行うことによる変速ギヤの破損の問題や、作業者の誤操作による急発進の問題を解決することができる。特に、当該変速動作規制部は変速部の変速レバーの操作を規制していることから、変速機構の内部構造を変更することなく、簡易な構成によってクラッチ接続状態における変速動作を無くすことができる。
【0018】
そして当該変速機構を用いた作業機にあっては、動力伝達機構を駆動プーリーと従動プーリーとの間にベルトを懸架して構成し、前記クラッチとしてテンションプーリーを用いた場合であっても、変速動作規制部により変速部の変速レバーの操作を規制することにより、簡易な構成でありながらも、確実にクラッチ接続状態における変速動作を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係る作業機の(A)クラッチを切断した状態、(B)クラッチを接続した状態を示す側面図
図2】第1の実施の形態に係る作業機の(A)変速機の要部正面図、(B)クラッチを切断した状態を示す要部側面図、(C)クラッチを接続した状態を示す要部側面図
図3】第2の実施の形態に係る作業機の(A)変速機の要部正面図、(B)クラッチを切断した状態を示す要部側面図、(C)クラッチを接続した状態を示す要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかるクラッチ連動式の動作規制機構10を備えた変速機構を具体的に説明する。特に本実施の形態は作業機50(特に樹木粉砕機)の走行部52に適用した例を示しているが、これに限ることなく作業部58や各種の作業機50に使用することができる。
【0021】
図1は、第1の実施の形態に係る(A)クラッチを切断した状態、(B)クラッチを接続した状態を示す側面図であり、図2は第1の実施の形態に係る(A)要部正面図、(B)クラッチを切断した状態を示す要部側面図、(C)クラッチを接続した状態を示す要部側面図である。
【0022】
この図1及び図2に示す作業機50は、エンジンやモーターなどからなる動力部54と、当該動力部54の動力を伝達する動力伝達機構56と、本実施の形態に係る変速機構を用いて構成されている。また当該動力部54の動力によって動作する走行部52と作業部58とを備えている。
【0023】
走行部52は、動力部54の動力によって前進又は後退するものであれば良く、図1に示すようなクローラや車輪、及びこれらを駆動させる駆動機構を用いて構成することができる。また作業部58は図1に示すような作業機50(特に樹木粉砕機)の他、除雪機や農業機械であって良く、特に制限されるものではない。特に作業機50(特に樹木粉砕機)は、図面中に鎖線で示すように、樹木等の被粉砕物を投入する投入口、送りローラーを有する送り部、打撃や切削などにより被粉砕物を粉砕する粉砕部(粉砕室)、チップ排出口、原動機、などで構成することができる。樹木などの被粉砕物は、投入口から送り部により粉砕部に送られ、粉砕部により粉砕されてチップとなり、排出口からチップが排出されることになる。
【0024】
前記動力伝達機構56は、動力部54の動力を走行部52に伝達する為に機能する。但し、作業機50の作業部58に出力する動力を変速する場合には、当該動力伝達機構56は、動力部54の動力を作業部58に伝達する為に機能しても良い。本実施の形態における当該動力伝達機構56は、エンジンやモーターなどの動力源の力を、変速機12を介して取得する駆動側プーリーと、アイドラープーリーと、従動側プーリーと、これらプーリーを懸架して設けたベルト14とで構成している。また駆動側プーリーから従動側プーリーへの動力の伝達を断接するクラッチを設けており、本実施の形態では、前記ベルト14にテンションプーリー16を押圧あるいは離間させて動力の伝達あるいは遮断を行なうベルトテンションクラッチで構成している。
【0025】
ベルトテンションクラッチは、作業者が操作するクラッチレバー18と、当該クラッチレバー18の操作によって軸周りに回転するシャフト19と、当該シャフト19から延伸して、先端側にテンションプーリー16を設けたクラッチバー20とで構成されている。当該クラッチバー20はクラッチレバー18の操作によりシャフト19が回動することによって揺動し、前記ベルト14にテンションプーリー16を押圧あるいは離間させて動力の伝達あるいは遮断を行なう。
【0026】
本実施の形態において、変速機12は左右方向に揺動可能な変速レバー22を備えており、当該変速レバー22には、後述する変速動作規制部30における支持部34の揺動範囲内に存在するロック軸24を設けている。特に本実施の形態に係る変速機12は、変速レバー22を左右方向に移動させることによって、変速ギヤの組み合わせが変わり、出力軸のトルクや回転数、又は回転方向を変化させることができる。従って、当該変速レバー22の左右方向への移動を規制することにより、変速動作を規制することができる。
【0027】
そして本実施の形態に係る作業機50においては、前記ベルトテンションクラッチと、前記変速機12からなる変速機構を備えている。かかる変速機構は、クラッチの断接に連動して変速部の変速レバー22の操作を直接規制する変速動作規制部30が設けられている。即ち、前記クラッチバー20には、変速機12の変速レバー22の動作を規制する変速動作規制部30を設けている。
【0028】
変速動作規制部30は、ベルトテンションクラッチを切った状態、即ちテンションプーリー16をベルト14から離間させた状態でのみ、変速機12の変速動作を行い得るようにする為に機能する。これは作業部58や走行部52に動力が伝わっている状態で変速を行った場合には、作業部58においては意図せず動作することがあり、また走行部52においては意図せず前進や後進動作することから、作業時における安全性を確保する為である。即ち、本実施の形態におけるクラッチは、動力部54と変速部との間における動力伝達を断接するクラッチである。変速動作規制部30は、動力部54と変速機12との間における動力伝達を断接するクラッチと連動させていることから、簡易な構造でありながらも、クラッチを接続した状態での変速を阻止することができ、ギヤやシャフト19などの破損を阻止できる他、作業時における安全性を確実に確保することができる。
【0029】
変速動作規制部30は、前記クラッチバー20に接続されたベース部材32と、当該ベース部材32に設けられて、前記変速レバー22の動作を規制する支持部34とからなる。当該変速動作規制部30はクラッチバー20に固定されて、当該クラッチバー20と共にシャフト19の回動によって揺動する。
【0030】
ベース部材32はクラッチバー20の揺動方向に広がって展開する面を備える板状に形成されており、前記支持部34はクラッチバー20の揺動方向に沿って展開する面(即ち、揺動方向に交差する向きに広がって展開する面)を有する複数の板状体で形成している。但しこれらベース部材32や支持部34は棒状に形成することもでき、支持部34は前記変速レバー22又はロック軸24を支持でき、ベース部材32は当該支持部34を一体化できれば任意の形状及び構造に形成することができる。
【0031】
以上のように構成した変速動作規制部30は、クラッチレバー18の操作によって、クラッチバー20を、その先端に設けたテンションプーリー16がベルト14を押圧する向きに揺動させると、これに伴って変速動作規制部30も揺動する。これにより、当該変速動作規制部30における支持部34を構成する板状体間に変速レバー22を存在させ、当該変速レバー22の動作を規制することができる。特に本実施の形態において、当該変速レバー22には、支持部34の揺動範囲内に伸長するロック軸24を設けており、前記支持部34を構成する板状体は、当該ロック軸24を支持することができる。かかるロック軸24は、クラッチバー20の先端に設けたテンションプーリー16がベルト14から離間している状態においては、前記支持部34の板状体によって動作が規制されることなく、且つテンションプーリー16がベルト14を押圧している状態においては、前記揺動した状態の支持部34の板状体によって動作が規制される位置に存在するように形成する。
【0032】
その結果、変速部から出力される動力を、走行部52及び作業部58の少なくとも何れかに伝達する動力伝達機構56に設けられたクラッチの操作に連動して、変速部の操作を規制することができ、意図しない走行部52や作業部58の動作を阻止して作業の安全性を高めた変速機構と、これを用いた作業機50とすることができる。なお、クラッチを切断している状態において、走行部52に作用するブレーキを設けることも望ましい。かかるブレーキもクラッチレバー18の動作に連動することが望ましい。
【0033】
図3は第2の実施の形態に係るクラッチ連動式の動作規制機構10を備える変速機構を示す(A)要部正面図、(B)クラッチを切断した状態を示す要部側面図、(C)クラッチを接続した状態を示す要部側面図である。特にこの実施の形態に係る変速機構は、変速レバー22が左右方向のみならず上下方向にも移動操作させる場合でも、その移動を規制できるように構成した変速機構を示している。
【0034】
特に本実施の形態に係る変速機構は、前記支持部34の揺動側に伸長するロック軸24の先端側に、横方向に延出する棒状の引っ掛け部36を設け、逆向きT字状に形成している。そして前記支持部34を構成する板状体には、当該引っ掛け部を案内する凹部38を形成している。これにより、クラッチの操作によってクラッチバー20が揺動し、変速動作規制部30が揺動すると、前記凹部38が前記引っ掛け部36を収容し、これによって当該変速レバー22を上下左右に支持することができる。
【0035】
以上の様に構成した本実施の形態に係る変速機構によれば、エンジンなどの動力部54からの動力が変速機12に入力している状態における変速操作を規制することができ、変速機12を構成するギヤやシャフト19の破損を回避できるだけでなく、意図しない移動や動作による作業の危険を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のクラッチ連動式の動作規制機構を備えた変速機構は、エンジンなどからの動力によって動作する走行部や作業部を備える作業機において利用する事ができ、更に作業機に限定することなくその他の動力装置にも利用する事ができる。
【符号の説明】
【0037】
10 動作規制機構
12 変速機
14 ベルト
16 テンションプーリー
18 クラッチレバー
19 シャフト
20 クラッチバー
22 変速レバー
24 ロック軸
30 変速動作規制部
32 ベース部材
34 支持部
36 け部
38 凹部
50 作業機
52 走行部
54 動力部
56 動力伝達機構
58 作業部
図1
図2
図3