(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】トランシーバアレイを含むライダーシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
(21)【出願番号】P 2021543382
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 US2020015572
(87)【国際公開番号】W WO2020160084
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518379544
【氏名又は名称】セプトン テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】キュランバー,ロジャー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ペイ,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】マッコード,マーク エー.
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0180720(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0043379(US,A1)
【文献】特開2014-102074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光軸を有する第1のレンズと、
前記第1のレンズの焦点面に実質的に配置された第1の光源のセットおよび第1の検出器のセットと、
前記第1の光軸に実質的に平行な第2の光軸を有する第2のレンズと、
前記第2のレンズの焦点面に実質的に配置された第2の光源のセットおよび第2の検出器のセットと
、
前記第1の光源のセットと、前記第1の検出器のセットと、前記第2の光源のセットと、前記第2の検出器のセットが取り付けられる、プラットフォームと、
前記プラットフォームに取り付けられ、第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する第1のボードであって、前記第1のボードの前記第1の表面および前記第2の表面は、前記第1のレンズの前記第1の光軸に対して実質的に平行であり、前記第1の光源のセットは、前記第1のボードの前記第1の表面に取り付けられ、前記第1の検出器のセットは前記第1のボードの前記第2の表面に取り付けられる、第1のボードと、
前記プラットフォームに取り付けられ、第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する第2のボードであって、前記第2のボードの前記第1の表面および前記第2の表面は、前記第2のレンズの前記第2の光軸に対して実質的に平行であり、前記第2のボードの前記第1の表面は前記第1のボードの前記第2の表面に面し、前記第2の光源のセットは前記第2のボードの前記第2の表面に取り付けられ、前記第2の検出器のセットは前記第2のボードの前記第1の表面に取り付けられる、第2のボードと
を備え、
前記第2の検出器のセットのそれぞれの検出器が、前記第1のレンズの前記焦点面上の前記第1の光源のセットの対応する光源のそれぞれの位置と光学的に共役である、前記第2のレンズの前記焦点面上のそれぞれの検出器位置に配置されるため、前記第2の検出器のセットの前記それぞれの検出器は、前記第1の光源のセットの前記対応する光源により放射され、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズの前に置かれた1つまたは複数の物体により反射された光線を検出し、
前記第1の検出器のセットのそれぞれの検出器が、前記第2のレンズの前記焦点面上の前記第2の光源のセットの対応する光源のそれぞれの位置と光学的に共役である、前記第1のレンズの前記焦点面上のそれぞれの検出器位置に配置されるため、前記第1の検出器のセットの前記それぞれの検出器は、前記第2の光源のセットの前記対応する光源により放射され、前記1つまたは複数の物体により反射される光線を検出する、
ライダーシステム。
【請求項2】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズが、レンズマウント上に取り付けられる、レンズマウントをさらに備え、
前記レンズマウントは第1の次元で走査され、前記プラットフォームは前記第1の次元に直交する第2の次元で走査される、請求項
1に記載のライダーシステム。
【請求項3】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズが、レンズマウント上に取り付けられる、レンズマウントをさらに備え、
前記レンズマウントおよび前記プラットフォームがいつでも互いに反対方向に移動するように、前記駆動機構に、前記レンズマウントおよび前記プラットフォームを走査させるよう構成されたコントローラをさらに備える、請求項
1に記載のライダーシステム。
【請求項4】
前記第1の光源のセットは複数の光源を含み、
前記第2の光源のセットは複数の光源を含み
前記第1の検出器のセットは複数の検出器を含み、
前記第2の検出器のセットは複数の検出器を含み、
前記第1の光源のセットおよび前記第1の検出器のセットは、一次元アレイまたは二次元アレイとして前記第1のレンズの前記焦点面上に配置され、
前記第2の光源のセットおよび前記第2の検出器のセットは、一次元アレイまたは二次元アレイとして前記第2のレンズの前記焦点面上に配置される、
請求項
1に記載のライダーシステム。
【請求項5】
前記第1の光源のセットの前記複数の光源は、前記第1の検出器のセットの前記複数の検出器の間に散在し、
前記第2の光源のセットの前記複数の光源は、前記第2の検出器のセットの前記複数の検出器の間に散在する、
請求項
4に記載のライダーシステム。
【請求項6】
前記第1の光源のセットの前記複数の光源は、前記プラットフォーム上の第1の領域に第1のグループとして配置され、
前記第1の検出器のセットの前記複数の検出器は、前記プラットフォーム上の第2の領域に第2のグループとして配置され、
前記第2の光源のセットの前記複数の光源は、前記プラットフォーム上の第3の領域に第3のグループとして配置され、
前記第2の検出器のセットの前記複数の検出器は、前記プラットフォーム上の第4の領域に第4のグループとして配置される、
請求項
4に記載のライダーシステム。
【請求項7】
前記第1の光源のセットと、前記第2の光源のセットと、前記第1の検出器のセットと、前記第2
の検出器のセットに結合されたコントローラであって、
第1の瞬間に、前記第1の光源
のセットの1つまたは複数の光源に、第1の光パルスのセットを放射させ、前記第1の光パルスのセットは、前記第1のレンズによって前記1つまたは複数の物体に向けて投影され、かつ、前記1つまたは複数の物体によって反射され、
前記第2の検出器のセットの1つまたは複数の検出器に、前記1つまたは複数の物体によって反射され、かつ、前記第2のレンズによって集束された前記第1の光パルスのセットを検出させ、
前記第1の瞬間に後続する第2の瞬間に、前記第2の光源
のセットの1つまたは複数の光源に、第2の光パルスのセットを放射させ、前記第2の光パルスのセットは、前記第2のレンズによって前記1つまたは複数の物体に向けて投影され、かつ、前記1つまたは複数の物体によって反射され、
前記第1の検出器のセットの1つまたは複数の検出器に、前記1つまたは複数の物体によって反射され、かつ、前記第1のレンズによって集束された前記第2の光パルスのセットを検出させるように構成された、コントローラ、
をさらに備える、請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項8】
ライダーシステムの操作方法であって、前記ライダーシステムは、
第1の光軸を有する第1のレンズと、
前記第1の光軸に実質的に平行な第2の光軸を有する第2のレンズと、第1の光源のセットと、第2の光源のセットと、第1の検出器のセットと、第2の検出器のセットと、
前記第1の光源のセットと、前記第1の検出器のセットと、前記第2の光源のセットと、前記第2の検出器のセットが取り付けられる、プラットフォームと、
前記プラットフォームに取り付けられ、第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する第1のボードであって、前記第1のボードの前記第1の表面および前記第2の表面は、前記第1のレンズの前記第1の光軸に対して実質的に平行であり、前記第1の光源のセットは、前記第1のボードの前記第1の表面に取り付けられ、前記第1の検出器のセットは前記第1のボードの前記第2の表面に取り付けられる、第1のボードと、
前記プラットフォームに取り付けられ、第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する第2のボードであって、前記第2のボードの前記第1の表面および前記第2の表面は、前記第2のレンズの前記第2の光軸に対して実質的に平行であり、前記第2のボードの前記第1の表面は前記第1のボードの前記第2の表面に面し、前記第2の光源のセットは前記第2のボードの前記第2の表面に取り付けられ、前記第2の検出器のセットは前記第2のボードの前記第1の表面に取り付けられる、第2のボードと
を備え、
第1の瞬間に、前記第1の光源のセットを使用して、第1の光パルスのセットを放射することと、
前記第1のレンズを使用して、前記第1の光パルスのセットを1つまたは複数の物体に向けて投影し、前記第1の光パルスのセットを前記1つまたは複数の物体によって反射させることと、
前記第2のレンズを使用して、前記1つまたは複数の物体によって反射された前記第1の光パルスのセットを、前記第2の検出器のセットに集束させることと、
前記第2の検出器のセットを使用して、前記第2のレンズによって集束された前記第1の光パルスのセットを検出することと、
前記第1の瞬間に後続する第2の瞬間に、前記第2の光源のセットを使用して、第2の光パルスのセットを放射することと、
前記第2のレンズを使用して、前記第2の光パルスのセットを前記1つまたは複数の物体に向けて投影し、前記第2の光パルスのセットを前記1つまたは複数の物体によって反射させることと、
前記第1のレンズを使用して、前記1つまたは複数の物体によって反射された前記第2の光パルスのセットを、前記第1の検出器のセットに集束させることと、
前記第1の検出器のセットを使用して、前記第1のレンズによって集束された前記第2の光パルスのセットを検出すること、
を含む、ライダーシステムの操作方法。
【請求項9】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズは、レンズマウント上に取り付けられ、前記第1の光源のセットおよび前記第1の検出器のセットは、前記第1のレンズの焦点面上に配置される第1のトランシーバアレイとして配置され、前記第2の光源のセットおよび前記第2の検出器のセットは、前記第2のレンズの焦点面上に配置される第2のトランシーバアレイとして配置され、前記第1のトランシーバアレイおよび前記第2のトランシーバアレイは
前記プラットフォームに取り付けられ、
前記ライダーシステムの光軸に実質的に垂直な平面において、前記レンズマウントに対して前記プラットフォームを走査し、それにより、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズに対して前記第1のトランシーバアレイおよび前記第2のトランシーバアレイを走査することをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記プラットフォームを走査することは、前記プラットフォームを二次元で走査することを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズがレンズマウント上に取り付けられ、前記第1の光源のセットおよび前記第1の検出器のセットは、前記第1のレンズの焦点面上に配置される第1のトランシーバアレイとして配置され、前記第2の光源のセットおよび前記第2の検出器のセットは、前記第2のレンズの焦点面上に配置される第2のトランシーバアレイとして配置され、前記第1のトランシーバアレイおよび前記第2のトランシーバアレイは
前記プラットフォームに取り付けられ、
前記ライダーシステムの光軸に実質的に垂直な平面において、前記プラットフォームに対して前記レンズマウントを走査し、それにより、前記第1のトランシーバアレイおよび前記第2のトランシーバアレイに対して前記第1のレンズおよび前記第2のレンズを走査すること、
をさらに備える、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
ライダーシステムを調整する方法であって、前記ライダーシステムは、
第1の光軸を有する第1のレンズと、
前記第1の光軸に実質的に平行な第2の光軸を有する第2のレンズと、第1の光源のセットと、第2の光源のセットと、第1の検出器のセットと、第2の検出器のセットと、
前記第1の光源のセットと、前記第1の検出器のセットと、前記第2の光源のセットと、前記第2の検出器のセットが取り付けられる、プラットフォームと、
前記プラットフォームに取り付けられ、第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する第1のボードであって、前記第1のボードの前記第1の表面および前記第2の表面は、前記第1のレンズの前記第1の光軸に対して実質的に平行であり、前記第1の光源のセットは、前記第1のボードの前記第1の表面に取り付けられ、前記第1の検出器のセットは前記第1のボードの前記第2の表面に取り付けられる、第1のボードと、
前記プラットフォームに取り付けられ、第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する第2のボードであって、前記第2のボードの前記第1の表面および前記第2の表面は、前記第2のレンズの前記第2の光軸に対して実質的に平行であり、前記第2のボードの前記第1の表面は前記第1のボードの前記第2の表面に面し、前記第2の光源のセットは前記第2のボードの前記第2の表面に取り付けられ、前記第2の検出器のセットは前記第2のボードの前記第1の表面に取り付けられる、第2のボードと
を備え、
前記第1の光源のセットおよび前記第1の検出器のセットを、実質的に前記第1のレンズの焦点面に配置された第1のトランシーバアレイとして配置することと、
前記第2の光源のセットおよび前記第2の検出器のセットを、実質的に前記第2のレンズの焦点面に配置された第2のトランシーバアレイとして配置することと、
前記第1の光源のセットを使用して、第1の光線のセットを放射することと、
前記第1のレンズを使用して、前記第1の光線のセットをスクリーンに向けて投射し、それにより、前記スクリーン上に第1の光点のセットを形成することと、
前記第2の光源のセットを使用して、第2の光線のセットを放射することと、
前記第2のレンズを使用して、前記第2の光線のセットを前記スクリーンに向けて投射し、それにより、前記スクリーン上に第2の光点のセットを形成することと、
前記第1の検出器のセットのそれぞれの検出器が、前記第2の光源のセットの対応する光源と光学的に共役であり、前記第2の検出器のセットのそれぞれの検出器が、前記第1の光源のセットの対応する光源と光学的に共役であるように、前記第1の光点のセットと前記第2の光点のセットが、所定のパターンを前記スクリーン上に形成するまで、前記第1のトランシーバアレイに対する前記第1のレンズの位置、および前記第2のトランシーバアレイに対する前記第2のレンズの位置を調整することと、
を含む、ライダーシステムを調整する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本PCT出願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2019年1月29日に出願された「LIDAR SYSTEM INCLUDING A TRANSCEIVER ARRAY」と題する米国仮特許出願第62/798,407号、ならびに2020年1月28日に出願された「LIDAR SYSTEM INCLUDING A TRANSCEIVER ARRAY」と題する米国特許出願第16/775,166号の利益と優先権を主張するものであり、これらの内容の全体が本明細書において参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]三次元センサは、自律車両、ドローン、ロボット工学、セキュリティアプリケーションなどに適用され得る。ライダーセンサは、このようなアプリケーションに適した高度な角度分解能を実現し得る。ライダーセンサはレーザビームを放射するためのレーザ源と、反射したレーザビームを検出する検出器とを備え得る。比較的高いレーザ出力での操作が可能でありながら、目の安全要件を満たすライダーセンサの改善が必要である。また、より容易な光学的配列と、他の利点を提供することが可能なライダー構成部分の配置を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
[0003]いくつかの実施形態によれば、ライダーシステムは第1の光軸を有する第1のレンズと、実質的に第1のレンズの焦点面に配置された、第1の光源のセットと、第1の検出器のセットと、実質的に第1の光軸に対し平行に配置された第2の光軸を有する第2のレンズと、実質的に第2のレンズの焦点面に配置された、第2の光源のセットと、第2の検出器のセットと、を備える。第2の検出器のセットのそれぞれの検出器が、第1のレンズの焦点面上の第1の光源のセットの対応する光源のそれぞれの位置と光学的に共役である、第2のレンズの焦点面上のそれぞれの検出器位置に配置されるため、第2の検出器のセットのそれぞれの検出器は、第1の光源のセットの対応する光源により放射され、第1のレンズおよび第2のレンズの前に置かれた、1つまたは複数の物体により反射された光線を検出し、第1の検出器のセットのそれぞれの検出器が、第2のレンズの焦点面上の第2の光源のセットの対応する光源のそれぞれの位置と光学的に共役である、第1のレンズの焦点面上のそれぞれの検出器位置に配置されるため、第1の検出器のセットのそれぞれの検出器は、第2の光源のセットの対応する光源により放射され、1つまたは複数の物体により反射される光線を検出する。
【0004】
[0004]いくつかの実施形態によれば、ライダーシステムの操作方法が提供される。ライダーシステムは、第1のレンズと、第2のレンズと、第1の光源のセットと、第2の光源のセットと、第1の検出器のセットと、第2の検出器のセットと、を備える。本方法は、第1の瞬間に、第1の光源のセットを使用して、第1の光パルスのセットを放射することと、第1のレンズを使用して、1つまたは複数の物体へ第1の光パルスのセットを投影することと、を備える。第1の光パルスのセットは1つまたは複数の物体により反射される。本方法は、第2のレンズを使用して、1つまたは複数の物体によって反射された第1の光パルスのセットを、第2の検出器のセットに集束させることと、第2の検出器のセットを使用して、第2のレンズによって集束させられた第1の光パルスのセットを検出することと、をさらに備える。本方法は、第1の瞬間に後続する第2の瞬間に、第2の光源のセットを使用して、第2の光パルスのセットを放射することと、第2のレンズを使用して、1つまたは複数の物体へ第2の光パルスのセットを投影することと、をさらに備える。第2の光パルスのセットは1つまたは複数の物体により反射される。本方法は、第1のレンズを使用し、1つまたは複数の物体によって反射された第2の光パルスのセットを第1の検出器のセットへ集束させることと、第1の検出器のセットを使用して、第1のレンズによって集束された第2の光パルスのセットを検出することと、をさらに備える。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態によれば、ライダーシステムを調整する方法が提供される。ライダーシステムは、第1のレンズと、第2のレンズと、第1の光源のセットと、第2の光源のセットと、第1の検出器のセットと、第2の検出器のセットと、を備える。本方法は、実質的に第1のレンズの焦点面に配置された第1のトランシーバアレイとして、第1の光源のセットおよび第1の検出器のセットを配置することと、実質的に第2のレンズの焦点面に配置された第2のトランシーバアレイとして、第2の光源のセットおよび第2の検出器のセットを配置することと、第1の光源のセットを使用して、第1の光線のセットを放射することと、第1のレンズを使用して、スクリーンの方向へ第1の光線のセットを投影し、これより、スクリーン上に第1の光点のセットを形成することと、第2の光源のセットを使用し、第2の光線のセットを放射することと、第2のレンズを使用して、スクリーンの方向へ第2の光線のセットを投影し、これより、スクリーン上に第2の光点のセットを形成することと、第1の検出器のセットのそれぞれの検出器が、第2の光源のセットの対応する光源と光学的に共役であり、第2の検出器のセットのそれぞれの検出器が、第1の光源のセットの対応する光源と光学的に共役であるように、第1の光点のセットと第2の光点のセットがスクリーン上に所定のパターンを形成するまで、第1のトランシーバアレイに対する第1のレンズの位置、および第2のトランシーバアレイに対する第2のレンズの位置を調整することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】いくつかの実施形態による、三次元イメージングのためのライダーセンサを概略的に示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、例示的なライダーシステムを概略的に示す。
【
図3】いくつかの実施形態による、スキャニングライダーシステムを概略的に示す。
【
図4】
図3に示されるライダーシステムにおける光線の例示的な光路を概略的に示す。
【
図5】いくつかの実施形態による、スキャニングライダーシステムを概略的に示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、光源と検出器の構成を概略的に示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、ライダーシステムにおける2つのトランシーバアレイの例示的な配置を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、スキャニングライダーシステムにおける断面図を概略的に示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、ライダーシステムの操作方法を簡略化したフローチャートを示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、ライダーシステムの調整方法を簡略化したフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0016]ライダーシステム(LiDAR systems)には、レーザ源から放射された出射レーザビームをコリメートまたは投影するための第1レンズと、戻りレーザビームを光検出器に集束させるための第2のレンズを備えるものがある。ライダーシステムは、第1のレンズの後ろに配置されたレーザ源のアレイ、および第2のレンズの後ろに配置された対応する光検出器のアレイを備え得る。このような構成では、レーザ源が単一のレンズの後ろに集中しているため、レーザ源の動作電力は、目の安全要件によって制限される場合があり得る。さらに、レーザ源と検出器の充填密度は、レーザ源と検出器の間のより大きなデバイス(関連する回路を含む)の寸法によって制限され得る。
【0008】
[0017]本発明のいくつかの実施形態によると、ライダーシステムは、2つのレンズ、および2つのトランシーバアレイを備え得、それぞれのトランシーバアレイは、各レンズの後ろに配置される。それぞれのトランシーバアレイは、1つまたは複数のレーザ源と1つまたは複数の光検出器を備える。したがって、各レンズは、1つまたは複数のレーザ源によって放射された光線を投影するための送信レンズとして、および1つまたは複数の光検出器に戻り光線を集束させるための受信レンズとしての両方として機能する。
【0009】
[0018]
図1は、いくつかの実施形態による、三次元イメージングのためのライダーセンサ100を概略的に示す。ライダーセンサ100は、放射レンズ130及び受信レンズ140を含む。ライダーセンサ100は、実質的に放射レンズ130の後焦点面に配置された、レーザ源110aを含む。レーザ源110aは、放射レンズ130の後焦点面のそれぞれの放射位置から、レーザパルス120を放射するように動作する。放射レンズ130は、ライダーセンサ100の前方に配置された物体150に向けて、レーザパルス120をコリメートして導くように構成されている。レーザ源110aの所与の放射位置について、コリメートされたレーザパルス120’は、対応する角度で物体150に向けて導かれる。
【0010】
[0019]コリメートされたレーザパルス120’の一部122は、物体150から受信レンズ140に向かって反射される。受信レンズ140は、物体150で反射されたレーザパルスの一部122’を、受信レンズ140の焦点面の対応する検出位置に集束させるように構成されている。ライダーセンサ100は、実質的に受信レンズ140の焦点面に配置された、検出器160aをさらに含む。検出器160aは、物体から反射されたレーザパルス120の一部122’を、対応する検出位置で受信及び検出するように構成されている。検出器160aの対応する検出位置は、レーザ源110aのそれぞれの放射位置と光学的に共役である。
【0011】
[0020]レーザパルス120は、短い持続時間、例えば10nsパルス幅であってもよい。ライダーセンサ100は、レーザ源110a及び検出器160aに結合された、プロセッサ190をさらに含む。プロセッサ190は、放射から検出までのレーザパルス120の飛行時間(time of flight:TOF)を求めるように構成されている。レーザパルス120は光速で伝わるため、ライダーセンサ100と物体150との間の距離が、求められた飛行時間に基づいて求められてもよい。
【0012】
[0021]FOV全体にわたってレーザビーム120’をスキャンする1つの方法は、レーザ源110aを、放射レンズ130の後焦点面内で放射レンズ130に対して横方向に移動させることである。例えば、レーザ源110aは、
図1に示されるように、放射レンズ130の後焦点面における複数の放射位置へとラスタスキャンされてもよい。レーザ源110aは、複数の放射位置で複数のレーザパルスを放射してもよい。それぞれの放射位置で放射された各レーザパルスは、放射レンズ130によってコリメートされ、それぞれの角度で物体150に向けて導かれて、物体150の表面上の対応する点に当たる。したがって、レーザ源110aが、放射レンズ130の後焦平面のある一定の領域内でラスタスキャンされるにつれて、物体150上の対応する物体領域が、スキャンされる。検出器160aは、
図1に示されるように、受信レンズ140の焦点面における、複数の対応する検出位置に位置付けられるように、ラスタスキャンされてもよい。検出器160aをスキャンすることは、典型的にはレーザ源110aをスキャンすることと同期して実行され、そのため、検出器160aとレーザ源110aは、任意の所与の時間において、常に互いと光学的に共役である。
【0013】
[0022]それぞれの放射位置で放射される各レーザパルスについて飛行時間を求めることによって、ライダーセンサ100から物体150の表面上の対応する各点までの距離が求められてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ190は、各放射位置におけるレーザ源110aの位置を検出する、位置エンコーダと結合されている。放射位置に基づいて、コリメートされたレーザパルス120’の角度が、求められてもよい。物体150の表面上の対応する点のX-Y座標は、ライダーセンサ100に対する角度、およびライダーセンサ100までの距離に基づいて求められてもよい。したがって、物体150の三次元イメージは、ライダーセンサ100から物体150の表面上の様々な点までの測定された距離に基づいて構築されてもよい。いくつかの実施形態では、三次元イメージは、点群、すなわち物体150の表面上の点のX、Y及びZ座標の集合として、表現されてもよい。
【0014】
[0023]いくつかの実施形態では、戻りレーザパルス122’の強度が、測定されて、同じ放射点からの後続のレーザパルスの出力を調整するために使用される。検出器の飽和を防止し、眼の安全を改善し、又は総消費電力を低減するためである。レーザパルスの出力は、レーザパルスの持続時間、レーザに印加される電圧若しくは電流、又はレーザに電力供給するために使用されるコンデンサに蓄積される電荷を多様にすることによって、多様にされてもよい。後者の場合では、コンデンサに蓄積される電荷は、コンデンサへの充電時間、充電電圧、又は充電電流を多様にすることによって、多様にされてもよい。いくつかの実施形態では、イメージにもう1つの次元を加えるために、強度も使用されてもよい。例えば、イメージには、X、Y及びZ座標、さらには反射率(又は明るさ)が含まれていてもよい。
【0015】
[0024]ライダーセンサ100の画角(angular field of view:AFOV)は、レーザ源110aのスキャン範囲、及び放射レンズ130の焦点距離に基づいて、次のように推定されてもよい。
【数1】
式中、hは、レーザ源110aのある一定の方向に沿ったスキャン範囲であり、fは、放射レンズ130の焦点距離である。所与のスキャン範囲hに対して、より短い焦点距離は、より広いAFOVをもたらすであろう。所与の焦点距離fに対して、より大きいスキャン範囲は、より広いAFOVをもたらすであろう。いくつかの実施形態では、ライダーセンサ100は、放射レンズ130の後焦平面にアレイとして配置された複数のレーザ源を含んでいてもよく、そのため、それぞれの個々のレーザ源のスキャン範囲を比較的小さく保ちながら、全部合わせたより大きなAFOVが実現され得る。したがって、ライダーセンサ100は、受信レンズ140の焦点面にアレイとして配置された複数の検出器を含んでいてもよく、各検出器は、それぞれのレーザ源と共役であり得る。例えば、ライダーセンサ100は、
図1に示されるように、第2のレーザ源110b及び第2の検出器160bを含んでいてもよい。他の実施形態では、ライダーセンサ100は、4つのレーザ源及び4つの検出器、又は8つのレーザ源及び8つの検出器を含んでいてもよい。一実施形態では、ライダーセンサ100は、4×2アレイとして配置された8つのレーザ源、及び4×2アレイとして配置された8つの検出器を含んでいてもよく、そのため、ライダーセンサ100は、垂直方向におけるそのAFOVよりも、水平方向においてより広いAFOVを有し得る。様々な実施形態によれば、ライダーセンサ100の全部合わせたAFOVは、放射レンズの焦点距離、各レーザ源のスキャン範囲、及びレーザ源の数に応じて、約5度~約15度、又は約15度~約45度、又は約45度~約120度の範囲であってもよい。
【0016】
[0025]レーザ源110aは、紫外、可視、又は近赤外の波長範囲のレーザパルスを放射するように構成されていてもよい。各レーザパルスのエネルギーは、マイクロジュール程度であってもよく、これは、通常、KHz範囲の繰返し率において眼に安全であると考えられる。約1500nmを超える波長で動作するレーザ源については、眼は、それらの波長では焦点が合わないため、エネルギーレベルは、より高いものであることができる。検出器160aは、シリコン・アバランシェ・フォトダイオード、光電子増倍管、PINダイオード、又は他の半導体センサを含んでいてもよい。
【0017】
[0026]ライダーセンサ100の角度分解能は、実質的に回折限界であることができ、これは、次のように推定されてもよい。
θ=1.22λ/D,
式中、λは、レーザパルスの波長、Dは、レンズ開口の直径である。角度分解能はまた、レーザ源110aの放射領域のサイズ、並びにレンズ130及び140の収差に依存してもよい。様々な実施形態によれば、ライダーセンサ100の角度分解能は、レンズのタイプに応じて、約1mrad~約20mrad(約0.05~1.0度)の範囲であってもよい。
【0018】
[0027]
図2は例示的なライダーシステム200を概略的に示す。ライダーシステム200は放射レンズ230と受信レンズ240の2つのレンズを含んでもよい。放射レンズ230および受信レンズ240のそれぞれは、複数のレンズ素子を含む、複合レンズであってもよい。放射レンズ230および受信レンズ240は、レンズマウント220にマウントされてもよい。放射レンズ230および受信レンズ240が取り付けられたレンズマウント220は、本明細書ではレンズアセンブリと呼ばれ得る。
【0019】
[0028]ライダーシステム200はまた、1つまたは複数の光源210(例えば、レーザ源)および1つまたは複数の検出器260(例えば、
図2に示されるような4つの光源210および4つの検出器260)を含んでいてもよい。光源210は、オプトエレクトロニクスボード250にマウントされてもよく、放射レンズ230の後ろに配置されてよい(例えば、放射レンズ230の焦点面)。検出器260はオプトエレクトロニクスボード250にマウントされてもよく、受信レンズ240の後ろに配置されてもよい(例えば、受信レンズ240の焦点面)。オプトエレクトロニクスボード250であって、その上にマウントされたレーザ源210および検出器260を有するものは、本明細書ではオプトエレクトロニクスアセンブリと呼ばれる場合がある。
【0020】
[0029]
図1を参照して上記で論じたように、それぞれの光源210aおよび対応する検出器260aは、それぞれの光源210aの位置が対応する検出器260aの位置と光学的に共役になるように、オプトエレクトロニクスボード250上に配置される。したがって、それぞれの光源210aによって放射された光線は、放射レンズ230によって投射またはコリメートされ、ライダーシステム200の前に置かれた物体により反射され得る。そして、反射光線は、受信レンズ240によって対応する検出器260aに集束され得る。
【0021】
[0030]いくつかの実施形態では、レンズアセンブリは、
図2に示されるように、一対のフレクシャ270aおよび270bを介してベース202に柔軟に取り付けられ得る。一対のフレクシャ270aおよび270bのそれぞれについての、1つの端部は、ベース202に取り付けられており、一方、他の端部は、レンズアセンブリ220に取り付けられている。一対のフレクシャ270a及び270bは、ボイス・コイル・モータなどの、アクチュエータ204(本明細書では駆動機構とも呼ばれる)に結合されてもよい。アクチュエータ204は、コントローラ206によって制御されて一対のフレクシャ270a及び270bが平行四辺形のように左又は右にそらされることを引き起こしてもよく、そのようにして、
図2における両側矢印によって示されるように、レンズアセンブリ220を左又は右に移動させてもよい。放射レンズ230の横方向の移動は、レーザ源210によって放射されたレーザビームが、ライダーシステム200の前方のFOV全体にわたってスキャンされることを引き起こしてもよい。放射レンズ230および受信レンズ240を含むレンズアセンブリ220全体が、単一のユニットとして移動されるため、レンズアセンブリ220が、スキャンされるとき、レーザ源210と検出器260との間の光学的共役関係が、維持される。
【0022】
[0031]
図2は、レンズアセンブリ220を移動させるための2つのロッド形状のフレクシャ270a及び270bを示しているが、他のフレクシャ機構又はステージが、使用されてもよい。例えば、スプリング及び空気軸受などが、使用されてもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構204は、ボイス・コイル・モータ(voice coil motor:VCM)及び圧電アクチュエータなどを含んでいてもよい。高いスキャン周波数では、一対のフレクシャ270a及び270b、並びに駆動機構204は、電力要件を最小化するために、その共鳴周波数で、又はその共鳴周波数の近くで動作させられてもよい。
【0023】
[0032]他の実施形態では、スキャンは他の方法で達成され得る。例えば、スキャニングは、放射レンズ230、受信レンズ240、光源210および検出器260を包含する回転プラットフォームを使用して実施され得る。あるいは、回転する多角形ミラー、または1つまたは複数の振動ミラーを使用してもよい。
【0024】
[0033]ライダーシステム200は、複数の光源210と複数の検出器260を備えていてもよい。複数の光源210は、一次元または二次元アレイのいずれかとして配置し得る(例えば、二次元のアレイの場合、用紙に対し垂直方向に互いにオフセットされた1つまたは複数の行が存在し得る)。同様に、複数の検出器260は一次元または二次元のアレイいずれかに配置されてもよい。
【0025】
[0034]
図2に示されている、オプトエレクトロニクスボード250上の光源210および検出器260の配置には特定の欠点があり得る。例えば、すべての光源210によって放射された光線は、放射レンズ230によって投射された後に空間的に集中され得るため、それぞれの光源210の許容電力は、眼の安全を確保するために制限され得る。
【0026】
[0035]さらに、オプトエレクトロニクスボード250上の光源210または検出器260の最大充填密度は、光源210と検出器260との間のより大きなデバイスの寸法によって制限され得る。例えば、それぞれの検出器260(関連する回路を含む)は、それぞれの光源210の寸法よりも大きい寸法を有し、複数の検出器260は、隣接する検出器260との間の空間が最小になるように可能な限り密に詰め込まれていると仮定する。複数の光源210は、たとえ光源210が可能な限り密に詰められていなくても、対応する検出器260との共役関係を維持するために、同じ密度で詰められる必要があるだろう。
【0027】
[0036]
図3は、いくつかの実施形態による走査型ライダーシステム300を概略的に示している。
図2に示されているライダーシステム200と同様に、ライダーシステム300もまた、2つのレンズ(第1のレンズ330および第2のレンズ340)を含む。第1のレンズ330および第2のレンズ340は、レンズマウント320にマウントされ得る。第1のレンズ330は、第1の光軸332を有し、第2のレンズ340は、第1の光軸332に実質的に平行な第2の光軸342を有する。ライダーシステム300は、複数の光源310および複数の検出器360をさらに備える。光源310および検出器360は、オプトエレクトロニクスボード350にマウントされ得る。
【0028】
[0037]ここでは、
図2に示すライダーシステム200のように、すべての光源310を一方のレンズの後ろに置き、すべての検出器360をもう一方のレンズの後ろに置く代わりに、第1の光源のセット310aおよび第1の検出器のセット360aは、第1のレンズ330の焦点面に配置され、第2の光源のセット310bおよび第2の検出器のセット360bは、第2のレンズ340の焦点面に配置される。第1のレンズ330の後ろの第1の光源のセット310aおよび第1の検出器のセット360aは、第1のトランシーバアレイと呼ばれ得る。同様に、第2のレンズ340の後ろの第2の光源のセット310bおよび第2の検出器のセット360bは、第2のトランシーバアレイと呼ばれ得る。したがって、第1のレンズ330および第2のレンズ340のそれぞれは、放射レンズおよび受信レンズの両方として機能する。ゆえに、第1のレンズ330および第2のレンズ340は、トランシーバレンズと呼ばれ得る。
【0029】
[0038]第2の検出器のセット360bのそれぞれの検出器360bが、第1の光源のセット310aの対応する光源310aにより放射され、第1のレンズ330および第2のレンズ340の前に置かれた、1つまたは複数の物体(
図3に示されていない)により反射される光線を検出可能にするため、第2の検出器のセット360bのそれぞれの検出器360bは、第1のレンズ330の焦点面上の第1の光源のセット310aの対応する光源310aのそれぞれの位置と光学的に共役である、第2のレンズ340の焦点面上のそれぞれの検出器位置に配置される。
【0030】
[0039]同様に、第1の検出器のセット360aのそれぞれの検出器360aが、第2の光源のセット310bの対応する光源310bにより放射され、1つまたは複数の物体により反射される光源を検出可能にするため、第1の検出器のセット360aのそれぞれの検出器360aは、第2のレンズ340の焦点面上の第2の光源のセット310bの対応する光源310bのそれぞれの位置と光学的に共役である、第1のレンズ330の焦点面上のそれぞれの検出器位置に配置される。
【0031】
[0040]光源310と検出器360の各対の間における共役関係を説明するために、
図4は、
図3に示されるライダーシステム300における光線の例示的な光路を概略的に示す。簡潔にするため、第1のレンズ330の後ろに配置された、第1の光源のセット310aのうち1つの光源310a、および第1の検出器のセット360aのうち1つの検出器360aのみが示されている。同様に、第2のレンズ340の後ろに配置された、第2の光源のセット310bのうち1つの光源310b、および第2の検出器のセット360bのうち1つの検出器360bのみが示されている。光源310aによって放射された光線は、第1のレンズ330によって物体410(例えば、家)に向かって投射され、物体410によって反射される。反射光線は、第2のレンズ340によって受信され、検出器360bに集束される。
光源310bによって放射された光線は、第2のレンズ340によって物体410に向かって投射され、物体410によって反射される。反射光線は、第1のレンズ330によって受信され、検出器360aに集束される。
【0032】
[0041]したがって、
図3に示されるライダーシステム300において、第1のレンズ330および第2のレンズ340のそれぞれは、放射レンズおよび受信レンズの両方として機能する。第1のレンズ330は、第1の光源のセット360aの放射レンズとして、および第1の検出器のセット360aの受信レンズとして機能する。第2のレンズ340は、第2の光源のセット360bの放射レンズとして、および第2の検出器のセット360bの受信レンズとして機能する。
【0033】
[0042]ライダーシステム300にはいくつかの利点を提供し得る。例えば、2つのレンズ330および340によって投射された光線が人間の目の開口よりも離れて配置されている場合、光源310は、すべてが1つのレンズの後ろにあるのではなく、2つのレンズ330と340の間で分割されるため(例えば、
図2に示されるライダーシステム200のように)、より高い電力レベルで動作することができ、また、目の安全を確保するための要件を満たすことができる。
【0034】
[0043]さらに、光源310および検出器360は、オプトエレクトロニクスボード350上により密に詰められ得る。
図2を参照して上記で説明したように、ライダーシステム200における光源210および検出器260の配置に関して、最大充填密度は、光源210と検出器260との間のより大きなデバイスの寸法によって制限される。対照的に、
図3に示されるライダーシステム300では、光源310および検出器360を散在させることによって、より高い充填密度を達成することができ得る。したがって、ライダーシステム300は、光源310および検出器360のより高い充填密度で、より高い横方向の空間分解能を提供し得る。例として、各像面のサイズが12mm×6mmであり、それぞれの光源310の横方向の寸法が1mm×1mmであり、それぞれの検出器360の横方向の寸法が2mm×2mmであると仮定する。
図2に示されているライダーシステム200において、最大で6×3=18の検出器260を像面にアレイとして詰めることができる。したがって、最大で6×3=18の光源210を像面にアレイとして詰めることができる。対照的に、
図3に示されているライダーシステム300において、それぞれの像面に8×4のデバイスを詰めることができ得る(光源310および検出器360を含む)。
【0035】
[0044]さらに、
図3に示されているライダーシステム300は、
図2に示されているライダーシステム200と比較して、光学システムのより容易な位置合わせを提供し得る。ライダーシステム200では、放射レンズ230は、光源210に対して正確に位置合わせされる必要があり、受信レンズ240は、検出器260に対して正確に位置合わせされる必要がある。放射レンズ230の位置合わせは、光源210をオンにし、投射された光線の位置を較正することで容易にチェックすることができる。一方で、受信レンズ240の位置合わせは、より問題となる可能性がある。例えば、検出器260がフィルタまたは他の二次光学系の後ろに配置される場合、画像化されたスポットは容易に見られない可能性がある。対照的に、ライダーシステム300では、光源310を両方のレンズ330および340の後ろに配置することによって、両方のレンズ330および340は、光源310をオンにすることで、光源310および検出器360のアレイに対して容易に位置合わせされ得る。
【0036】
[0045]いくつかの実施形態によれば、動作中、第1のレンズ330の後ろの1つまたは複数の光源310aを発射してもよい。放射された光線は、第2のレンズ340の後ろの対応する検出器360bによって反射および受信され得る。次に、第2のレンズ340の後ろにある1つまたは複数のレーザ310bを発射してもよい。放射された光線は、第1のレンズ330の後ろの対応する検出器360aによって反射および受信され得る。光源310は、連続して発射してもよく、または2つ以上の光源310を並行して(例えば、同時に)発射してもよい。光源310(例えば、レーザ源)の発射は、大きな電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)パルスおよびいくつかの迷光を伴う可能性があり、これらは、同じレンズの背後にある近くの検出器の動作を一時的に妨害する可能性がある。いくつかの実施形態によると、そのような干渉を最小限にするために、EMIシールドおよび光シールドは、第1のレンズ330の後ろの第1のトランシーバアレイおよび、第2のレンズ340の後ろの第2のトランシーバアレイとの間に配置され得る。いくつかの他の実施形態では、第1のレンズ330および第2のレンズ340の両方の背後にある光源310は、同時に発射されてもよい。干渉を最小限に抑えるために、EMIシールドおよび光シールドを、トランシーバアレイ内の隣接する光源310と検出器360の間に配置して、電磁的および光学的絶縁を提供し得る。
【0037】
[0046]
図5は、いくつかの実施形態による走査型ライダーシステム500を概略的に示す。ライダーシステム500は、第1の光源のセット310aが第1のレンズ330の焦点面の一方の側に一緒に配置され、第1の検出器のセット360aが第1のレンズ330の焦点面の反対側に一緒に配置されることを除いて、
図3に示されるライダーシステム300と同様である。同様に、第2の光源のセット310bは、第2のレンズ340の焦点面の一方の側に一緒に配置され、第2の検出器のセット360bは、第2のレンズ340の焦点面の反対側に一緒に配置される。
【0038】
[0047]光源310および検出器360をマウントするために、様々な取り付け技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、光源310および検出器360は、本明細書ではオプトエレクトロニクスボード350と呼ばれ得る平面プリント回路基板(printed circuit board:PCB)にマウントされ得る。いくつかの実施形態では、2つの別個のPCBボードを使用してもよい。1つは、第1のレンズ330の後ろに配置された光源310aおよび検出器360a用であり、もう1つは、第2のレンズ340の後ろに配置された光源310bおよび検出器360b用である。
【0039】
[0048]
図6は、いくつかの実施形態による光源610および検出器660の構成を概略的に示す。ここで、1つまたは複数の光源610は、トランシーバブレード602の一方の側にマウントされ、1つまたは複数の検出器660は、トランシーバブレード602の反対側にマウントされる。トランシーバモジュール600を形成するため、1つまたは複数のトランシーバブレード602をPCB650にマウントしてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかのトランシーバブレード602は、光源610のみを有してもよく、他のいくつかのトランシーバブレード602は、検出器660のみを有してもよい。いくつかのさらなる実施形態では、光源610は、表面実装パッケージに配置されてもよく、この次は、オプトエレクトロニクスボード650にマウントされてもよい。検出器660は、同じ表面実装パッケージに配置されても、別個の表面実装パッケージに配置されてもよい。いくつかの実施形態によれば、アレイ内の光源610は、任意のレンズ像面湾曲を考慮に入れるために、異なる高さにマウントされてもよい。さらに、アレイ内の光源610は、それらが実質的にレンズの中心に向けられるように、異なる角度でマウントされてもよい。同様に、アレイ内の検出器660もまた、異なる高さや異なる角度でマウントされてもよい。
【0040】
[0049] アレイ内の光源と検出器の配置も、異なる構成にすることができる。例えば、
図3に示されているように、光源310は、検出器360の交互の列によって分離されて、交互の列に配置されてもよい。あるいは、光源310および検出器360は、チェッカーボード方式で配置されてもよい。別の例として、
図5に示されるように、光源310は一方の側にグループ化されてよく、検出器360は他方の側にグループ化されてよい。六角形のパターンを使用してもよい。
【0041】
[0050]それぞれの検出器360が対応する光源310と一致するために、第1のレンズ330に対する光源および検出器の配置は、第2のレンズ340の配置の反転または回転されたバージョンであってよい。
図7は、いくつかの実施形態による例示的な構成を示している。ライダーシステム700は、第1のレンズ330および第2のレンズ340の後ろにそれぞれ配置された、第1のトランシーバモジュール600aおよび第2のトランシーバモジュール600bを含む。第2のトランシーバモジュール600bは、第1のトランシーバモジュール600aに対して180度回転される。
【0042】
[0051]いくつかの実施形態によれば、走査型ライダーシステムは、トランシーバアレイに対してレンズアセンブリを走査するか、またはレンズアセンブリとトランシーバアレイの両方を走査してもよい。
図8は、いくつかの実施形態による走査型ライダーシステム800の概略断面図を示している。ライダーシステム800は、固定ベース810a、固定ベース810に柔軟に取り付けられた第1のプラットフォーム820、および固定ベース810に柔軟に取り付けられた第2のプラットフォーム850を含んでもよい。ライダーシステム800は、第1のプラットフォーム820に取り付けられたレンズアセンブリをさらに含んでもよい。レンズアセンブリは、レンズマウント830にマウントされた第1のレンズ844、および第2のレンズ842を含んでもよい。第1のレンズ844および第2のレンズ842のそれぞれは、
図8に示されるように、単一のレンズ要素、または複数のレンズ要素を含んでもよい。第1のレンズ844は、第1の方向(例えば、Z軸の方向)および第1の焦点面(例えば、X-Y面)における第1の光軸を規定してもよい。第2のレンズ842は、第1の光軸に実質的に平行な第2の光軸および第2の焦点面(例えば、X-Y平面)を規定してもよい。いくつかの実施形態では、第1のレンズ844および第2のレンズ842は、第1の焦点面および第2の焦点面が実質的に同一平面上であり得るため、実質的に同じ焦点距離を有してもよい。
【0043】
[0052]ライダーシステム800は、第2のプラットフォーム850に取り付けられたトランシーバアレイをさらに含み得る。トランシーバアレイは、第2のプラットフォーム850にマウントされた複数の光源860、および複数の検出器870を含み得る。第2のプラットフォーム850は、例えば、1つまたは複数の光源860および1つまたは複数の検出器870を駆動するための電子回路を含むプリント回路基板(PCB)であり得る。
図3に示されるライダーシステム300と同様に、第1の光源のセット860aおよび第1の検出器のセット870aは、第1のレンズ844の後ろに配置されてもよい。そして、第2の光源のセット860bおよび第2の検出器のセット870bは、第2のレンズ842の後ろに配置されてもよい。光源860および検出器870は、実質的に、第1のレンズ844の第1の焦点面または第2のレンズ842の第2の焦点面にあるように、第2のプラットフォーム850は、固定ベース810に柔軟に取り付けられ、第1の光軸の方向または第2の光軸の方向(例えば、Z方向)に第1のプラットフォーム820から離れて配置されてもよい。
【0044】
[0053]いくつかの実施形態では、第1のプラットフォーム820は、第1のアクチュエータ882(本明細書では駆動機構とも呼ばれる)を使用して、第1の平面(例えば、X-Y平面)で走査され得るように、第1のフレクシャのセット822を介して固定ベース810に柔軟に取り付けられ得る。第2のプラットフォーム850は、第2のアクチュエータ884を使用して、第2のプラットフォーム850が第2の平面(例えば、X-Y平面)で走査され得るように、第2のフレクシャのセット852を介して固定ベース810に柔軟に取り付けられ得る。第1のアクチュエータ882および第2のアクチュエータ884のそれぞれは、ボイスコイルおよび磁石、ピエゾモーターなどを備え得る。いくつかの実施形態では、第1のフレクシャのセット822、および第2のフレクシャのセット852は、一次元または二次元で可撓性であるロッドスプリングを含み得る。ロッドスプリングは、2つの直交する次元でわずかに異なる共振周波数を持つように作成することができ得る。他のタイプの二次元フレクシャも使用することもでき得る。いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータ882および第2のアクチュエータ884は、それぞれ、第1のフレクシャのセット822の共振周波数、および第2のフレクシャのセット852の共振周波数で駆動され得る。あるいは、第1のアクチュエータ882および第2のアクチュエータ884は、それぞれ一次元のみで、第1のフレクシャのセット822の共振周波数、および第2のフレクシャのセット852の共振周波数で駆動され得る。
【0045】
[0054]ライダーシステム800は、第1のアクチュエータ882および第2のアクチュエータ884に結合されたコントローラ890をさらに含み得る。コントローラは、第1のプラットフォーム820、および第2のプラットフォーム850をスキャンするように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のプラットフォーム820はX軸に沿ってスキャンされ得、第2のプラットフォーム850はY軸に沿ってスキャンされ得、またはその逆であり、効果的に二次元スキャンを達成する。他のいくつかの実施形態では、第1のプラットフォーム820および第2のプラットフォーム850の両方が二次元でスキャンされ得る。走査パターンは、ラスター・スキャン・パターン、リサージュ・スキャン・パターンなどであり得る。いくつかの実施形態では、第2のプラットフォーム850の動きは、
図8の矢印によって示されるように、いつでも第1のプラットフォーム820の動きと実質的に反対であり得る。このように、レンズアセンブリの動きによって引き起こされる振動は、電気光学アセンブリの動きによって引き起こされる振動をある程度キャンセルすることができる。したがって、ライダーシステム800は、外部フレームに最小限の正味振動を与え得る。
【0046】
[0055]
図9は、いくつかの実施形態によるライダーシステムを操作する方法900を示す簡略化されたフローチャートである。ライダーシステムは、第1のレンズと、第2のレンズと、第1の光源のセットと、第2の光源のセットと、第1の検出器のセットと、第2の検出器のセットと、を含む。
【0047】
[0056]方法900は、902において、第1の瞬間に、第1の光源のセットを使用して、第1の光パルスのセットを放射することと、904において、第1のレンズを使用して、第1の光パルスのセットを1つまたは複数の物体に向けて投射することと、第1の光パルスのセットは、1つまたは複数のオブジェクトによって反射されることと、を備える。
【0048】
[0057]方法900は、906において、第2のレンズを使用して、1つまたは複数の物体によって反射された第1の光パルスのセットを第2の検出器のセットに集束させることと、908において、第2の検出器のセットを使用して、第2のレンズによって集束された第1の光パルスのセットを検出することと、をさらに備える。
【0049】
[0058]方法900は、910において、第1の瞬間に後続する第2の瞬間に、第2の光源のセットを使用して、第2の光パルスのセットを放射させることと、912において、第2のレンズを使用して、第2の光パルスのセットを1つまたは複数の物体に向けて投射し、第2の光パルスのセットは1つまたは複数の物体によって反射されることと、をさらに備える。
【0050】
[0059]方法900は、914において、第1のレンズを使用して、1つまたは複数の物体によって反射された第2の光パルスのセットを第1の検出器のセットに集束させることと、916において、第1の検出器のセットを使用して、第1のレンズによって集束された第2の光パルスのセットを検出することと、をさらに備える。
【0051】
[0060]
図9に示される特定のステップは、本発明のいくつかの実施形態によるライダーシステムを操作する特定の方法を提供することを理解されたい。代替の実施形態によれば、他の一連のステップも実行され得る。例えば、本発明の代替の実施形態は、上記で概説したステップを異なる順序で実行され得る。さらに、
図9に示される個々のステップは、個々のステップに応じて様々な順番で実行され得る複数のサブステップを含み得る。さらに、特定のアプリケーションに応じて、追加のステップを追加し、いくつかのステップを削除することができる。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0052】
[0061]
図10は、いくつかの実施形態によるライダーシステムを調整する方法1000を示す、簡略化されたフローチャートである。ライダーシステムは、第1のレンズと、第2のレンズと、第1の光源のセットと、第2の光源のセットと、第1の検出器のセットと、第2の検出器のセットと、を含む。
【0053】
[0062]方法1000は、1002において、実質的に第1のレンズの焦点面に配置された第1のトランシーバアレイとして、第1の光源のセットおよび第1の検出器のセットを配置することと、1004において、実質的に第2のレンズの焦点面に配置された第2のトランシーバアレイとして第2の光源のセットおよび第2の検出器のセットを配置することと、を含む。
【0054】
[0063]方法1000は、1006において、第1の光源のセットを使用して第1の光線のセットを放射することと、1008において、第1のレンズを使用して、第1の光線のセットをスクリーンに向けて投射し、それにより、スクリーン上に第1の光点のセットを形成することと、1010において、第2の光源のセットを使用して第2の光線のセットを放射することと、1012において、第2のレンズを使用して、第2の光線のセットをスクリーンに向けて投射し、それにより、スクリーン上に第2の光点のセットを形成することと、をさらに備える。
【0055】
[0064]方法1000は、1014において、第1の検出器のセットのそれぞれの検出器が、第2の光源のセットの対応する光源と光学的に共役であり、第2の検出器のセットのそれぞれの検出器が、第1の光源のセットの対応する光源と光学的に共役であるように、第1の光点のセットおよび第2の光点のセットがスクリーン上に所定のパターンを形成するまで、第1のトランシーバアレイに対する第1のレンズの位置、および第2のトランシーバアレイに対する第2のレンズの位置を調整することをさらに備える。
【0056】
[0065]
図10に示される特定のステップは、本発明のいくつかの実施形態による、ライダーシステムを調整する特定の方法を提供することを理解されたい。代替の実施形態によれば、他の一連のステップも実行され得る。例えば、本発明の代替の実施形態は、上記で概説したステップを異なる順序で実行し得る。さらに、
図10に示される個々のステップは、個々のステップに応じて様々な順番で実行され得る複数のサブステップを含み得る。さらに、特定のアプリケーションに応じて、追加のステップを追加し、いくつかのステップを削除することができる。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0057】
[0066]本明細書に記載されている実施例および実施形態は、例示の目的だけのためであることと、そのことに照らした様々な修正または変更が当業者に示唆されるであろうし、本出願の趣旨および範囲並びに添付の特許請求の範囲に含まれることとなることも、理解される。