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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ピストン機構
(51)【国際特許分類】
   F01B 9/06 20060101AFI20240618BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20240618BHJP
   F02B 75/32 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F01B9/06
F02B67/00 L
F02B75/32 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021552697
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 GB2020050433
(87)【国際公開番号】W WO2020183126
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】1903300.0
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516060314
【氏名又は名称】ニューレノアー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ボーウェン
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-104996(JP,A)
【文献】特表2017-505875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0172918(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0092846(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0068468(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0282007(US,A1)
【文献】米国特許第01374164(US,A)
【文献】米国特許第01654378(US,A)
【文献】米国特許第04638676(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102008002100(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011016177(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0116498(KR,A)
【文献】仏国特許出願公開第02655378(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01B 9/06
F02B 67/00
F02B 75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内をピストン軸に沿う往復運動で移動可能なピストンと、
前記ピストンと共に移動可能な第1の係合プロフィールと、
前記第1の係合プロフィールと係合および係合解除するように構成された第2の係合プロフィールを有し、第1の軸周りに回転可能な回転要素と、
前記ピストンに結合されたフォロアと、
トラック回転軸周りに前記シリンダに対して回転するようになされ、前記フォロアを介して前記ピストンが結合されるトラックと
を備え、
前記フォロアが前記トラックの表面に沿って走行するように構成され、
前記回転要素と前記トラックとが一緒に回転するピストン機構。
【請求項2】
前記第1の係合プロフィールが、前記ピストンに強固に結合されている請求項1に記載のピストン機構。
【請求項3】
前記トラックが、前記回転要素に強固に結合されている請求項1または2に記載のピストン機構。
【請求項4】
複数のフォロアをさらに備え、
各フォロアが、前記トラックの表面に沿って走行するように構成されている請求項1から3のいずれかに記載のピストン機構。
【請求項5】
複数の同心トラックをさらに備えている請求項1から4のいずれかに記載のピストン機構。
【請求項6】
前記ピストンが、前記回転要素の1回転毎に前記往復運動を2回行うように構成されている請求項1からのいずれか一項に記載のピストン機構。
【請求項7】
前記第2の係合プロフィールが、前記回転要素の外周の約25%を廻って延在している請求項1からのいずれかに記載のピストン機構。
【請求項8】
前記トラックが、プレートからの突起として形成され、
前記プレートが、前記トラック回転軸に垂直な面内で実質的に平坦である請求項1からのいずれかに記載のピストン機構。
【請求項9】
前記回転要素が、前記プレートに形成されたスプラインによって、前記トラックと一緒に回転する請求項に記載のピストン機構。
【請求項10】
前記ピストンが第1のピストンであり、
前記第1の係合プロフィールが1番目の第1の係合プロフィールであり、
第2のピストンと、
前記第2のピストンと共に移動可能な2番目の第1の係合プロフィールと、
をさらに備え、
前記2番目の第1の係合プロフィールが、前記第2の係合プロフィールと係合および係合解除するように構成されている請求項1からのいずれかに記載のピストン機構。
【請求項11】
前記第2のピストンと前記第1のピストンとが、反対方向に動くように配置されている請求項10に記載のピストン機構。
【請求項12】
前記トラックが、前記トラックに結合された前記ピストンの運動が実質的に非単調和になるような形状を有する請求項1から11のいずれかに記載のピストン機構。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のピストン機構を備えている内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストン機構に関し、かつ当該ピストン機構を備える内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の膨張を利用してピストンを駆動するエンジンの殆どが、コネクティングロッドを介してピストンに結合されたクランクシャフトを用いてピストンの往復運動を回転運動に変換する。ピストンから回転シャフトへ動力を伝達する別の機構が、開示されており、その開示では、ピストンが、フォロアによってトラック(track)に連結される(特許文献1参照)。フォロアは、軸の周りに回転するトラックに形成されたカム面上を走行する。しかしながら、ピストンから動力を伝達するのに伴う力によって、カム面およびフォロアは、強い荷重を受け得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/107330号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、シリンダ内をピストン軸に沿う往復運動で移動可能なピストンと、ピストンと共に移動可能な第1の係合プロフィールと、第1の係合プロフィールと係合および係合解除するように構成された第2の係合プロフィールを有し、第1の軸周りに回転可能な回転要素と、トラック回転軸周りに、シリンダに対して回転するようになされ、ピストンが結合されるトラックとを備え、回転要素とトラックとが一緒に回転する、ピストン機構が提供される。
【0005】
そのような機構によって、動力を、ピストンと回転要素との間で、係合プロフィールを介して伝達することができ、その結果、ピストンをトラックに結合することによるトラックの摩耗が減少する。
【0006】
第1の係合プロフィールは、ピストンに強固に結合され得る。任意選択で、第1の係合プロフィールは、ピストンに強固に結合されるピストンロッドの一部分を形成してもよい。そのような機構によって、ピストンと第1の係合プロフィールとの間の効率的な動力伝達を確実に行うことができる。
【0007】
トラックは、回転要素に強固に結合され得る。任意選択で、トラックと回転要素との両方を、単一の構成要素、たとえばカムの一部とすることができる。そのような機構では、トラック軸と第1の軸とは、同一の軸になり得る。
【0008】
ピストン機構は、ピストンに結合されるフォロアをさらに備え得、フォロアは、トラックの表面に沿って走行するように構成される。フォロアは、トラックと摺動接触をしてもよく、もしくはトラックと転動接触をしてもよく、またはフォロアは、トラックと摺動接触および転動接触の両方を行うように構成してもよい。
【0009】
ピストン機構は、複数のフォロアをさらに備え得、各フォロアが、トラックの表面に沿って走行するように構成される。そのような機構によって、トラックとフォロアとの間の力をより良く分散させることができ、その結果、摩耗が減少する。
【0010】
ピストン機構は、複数の同心トラックを備え得、各トラックに少なくとも1つのフォロアが接触する。そのような機構によって、各トラックの摩耗を減少させることができる。各トラックの中心は、トラック軸と一致するトラックの回転中心であり得、そのトラック軸周りにトラックが回転するようになされる。
【0011】
トラックは、トラックに結合されたピストンの運動が実質的に非単調和になるような形状を有し得る。たとえば、シリンダ内のピストンの変位プロフィールは、たとえば、様々な高さでの複数の異なる局所的上死点位置および/または様々な高さでの複数の異なる下死点位置を有し得る。同様に、ピストンは、回転要素が一定の回転速度を保つのに対して、様々な速度で伸縮することができる。
【0012】
トラックは、ピストンが、回転要素の1回転毎に往復運動を2回行うことになるように、形状設定することができる。
【0013】
回転要素は、トラックが複数回回転する間に1回回転するように構成することができる。
【0014】
第1の係合プロフィールは、直線軸に沿って往復運動をするように構成することができる。第1の係合プロフィールの直線軸は、第1の軸から一定の距離にあり得る。
【0015】
本ピストン機構は、4行程エンジンに使用することができる。
【0016】
回転要素は、扇形歯車であり得、当該扇形歯車は、外周の約25%を廻って歯が切られ得る。そのような機構によって、扇形歯車とラックとは、4行程サイクルの膨張行程のみで係合し得る。
【0017】
1つまたは複数のトラックは、プレートからの細長い突起として形成することができ、プレートは、トラック軸に垂直な面内で実質的に平坦である。そのような機構によって、弾力性のあるトラックが形成される。
【0018】
回転要素は、プレートに形成されたスプラインによって、トラックと一緒に回転することができる。
【0019】
ピストン機構は、第1の係合プロフィールが第2の係合プロフィールと係合したときに第1の係合プロフィールに隣接して配置される支持部分をさらに備え得る。そのような機構によって、係合中の第1の係合プロフィールの側方への動きを抑制することができる。
【0020】
支持部分は、回転要素に結合され得、回転要素と共に回転するように構成される。そのような機構によって、単一の支持部分が、複数の第1の係合プロフィールを支持するために使用され得る。
【0021】
一例では、ピストンが第1のピストンであり、第1の係合プロフィールが1番目の第1の係合プロフィールであり、ピストン機構が、第2のピストンと、第2のピストンと共に移動可能な2番目の第1の係合プロフィールとをさらに備え、2番目の第1の係合プロフィールが、第2の係合プロフィールと係合および係合解除するように構成される。そのような機構によって、複数のピストン用に同一のトラックおよび回転要素を使用することができ、それによって、より良い動力重量比を有するエンジンが得られる。
【0022】
一例では、第2のピストンと第1のピストンとが、反対方向に動くように配置される。そのような配置によって、よりバランスの取れたピストン機構が得られる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様によるピストン機構を備える内燃機関が提供される。代替機構では、本ピストン機構が、流体ポンプなど、たとえばピストンの往復運動を駆動する入力シャフトを有するポンプの一部を形成することができる。
【0024】
次いで、本発明の実施形態が、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】エンジンの図である。
図2】様々な構成要素を省略したエンジンの図である。
図3】ピストン機構が見えるようにさらに構成要素を省略したエンジンの図である。
図4】ピストン機構の図である。
図5】ピストンロッドの図である。
図6】カムの図である。
図7】第2のピストン機構の図である。
図8】第3のピストン機構の図である。
図9】第4のピストン機構の図である。
図10】第5のピストン機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、シリンダブロックアセンブリ12および2つのヘッドアセンブリ14を備える内燃機関10を示す。ブロックアセンブリ12は、複数のケーシング部材またはプレートを備え、それらケーシング部材またはプレートは、組み合わされるとシリンダブロック12を形成するように、様々な形状を有する。
【0027】
図2は、ヘッドアセンブリ14が取り除かれたエンジン10を示す。ヘッドアセンブリはシリンダボアを有し、各シリンダボアは、それぞれのシリンダライナを受け入れ、各シリンダライナは、それぞれのピストンを受け入れる。この図では、ピストン18が、シリンダブロック12から突出しているところを見ることができる。エンジン10は、2つのトラックに対向関係で連結された(図2には示されず)合計4つのピストンを有する。したがって、エンジン10は、4つのピストンアセンブリを備え、第1のピストンアセンブリの構造および機能が詳細に説明されるが、第2、第3、および第4のピストンアセンブリが、構造上も機能上も第1のピストンアセンブリと同様であることを理解されたい。4つのピストン18が図2に示されているが、他の任意の数のピストン、たとえば2つのピストンや8つのピストンを使用してもよいことを理解されたい。
【0028】
各ピストンアセンブリは、シリンダライナ内で移動可能なピストンヘッドを有するピストン18を備える。ピストンヘッドは、カムホイール25上のトラックを介して、回転軸を有する出力シャフトに結合される。
【0029】
図3では、ブロック12のいくつかのプレートが取り除かれ、その結果、第1および第2のピストンアセンブリのそれぞれのピストンロッド20に結合されたカム25の1つが見られる。ピストンロッド20は、ブロック12のプレートに対して摺動するように構成され、プレートの縁から突出する。図で分かるように、ピストンロッド20は、全体的に矩形の細長部材21から主として形成される細長い形状を有する。細長部材21は、ラック22と連結端部29との間に延在し、連結端部29は、それぞれのピストン18のピストンヘッドに連結するように構成される。
【0030】
各ピストンアセンブリでは、ピストン18が、トラックに係合するフォロアによってトラックに結合される。図示されている例では、複数のフォロア28が、細長部材21に配設され、カム25が、複数のフォロア28と係合する複数のトラック26を有する。カム25は、軸Aの周りに回転するように装着される。1つまたは複数のトラック26を担持するカム25が軸A周りに回転すると、1つまたは複数のフォロア28が1つまたは複数のトラック26に係合し、ピストンロッド20を往復運動させ、それによってピストン18を往復運動させる。
【0031】
図4に最も良く示されるように、扇形歯車23が、ラック22と係合および係合解除するように設けられる。扇形歯車23は、当該扇形歯車の円周の約25%を廻って延在する歯型部分24を有する。扇形歯車23は、やはり、軸Aの周りに回転可能である。扇形歯車23は、スプラインまたは他の方法によってカム25およびエンジンの出力シャフトに結合され、それによって、出力シャフトとカム25と扇形歯車23との回転速度が一致する。
【0032】
扇形歯車23は、また、歯車の歯の無い部分に切欠き30を有し、当該切欠きは、扇形歯車がピストンロッド20の細長部材21に干渉するのを避けるように構成される。
【0033】
図4から、複数のトラック26のいくつかは完全なリングであり得、その結果、フォロア28の1つは、1サイクルの間(カム25の一回転)全体に亘ってトラック26と係合され、他方、他のトラック26は、カムの一部分のみを廻って延在し得、その結果、フォロア28の1つは、サイクルの様々な部分でトラック26と係合および係合解除し得ることが分かる。
【0034】
図4に示されるカム25のトラック26は、トラック26に結合されたピストン18の運動が実質的に非単調和になるような形状を有することに留意されたい。たとえば、シリンダ内のピストンの変位プロフィールは、たとえば様々な高さでの複数の異なる局部的上死点位置および/または様々な高さでの複数の異なる下死点位置を有し得る。カム25のトラック26は、2つの極小半径および2つの極大半径を有し、その結果、ピストン18は、カム25の1回転毎に往復運動を2回行うことが分かる。
【0035】
1つまたは複数のトラックおよび1つまたは複数のフォロアは、様々に異なる形状を取ることができ、その結果、トラックのプロフィール、したがってトラックに結合されたピストンの運動が、サイクル中に最適な性能を達成するように設定することができることを理解されたい。ピストン運動を実質的に非正弦的にするこの個別調整は、正弦的または実質的に正弦的ピストン運動を必然的に達成する従来のクランク/コンロッド型のピストン機構とは明確に異なる。当然、1つまたは複数のトラック26および1つまたは複数のフォロア28は、所望なら、正弦的または実質的に正弦的ピストン運動を行うように構成することもできる。
【0036】
扇形歯車23と結合されたトラック26のこの機構は、ピストンをトラック26によって動かすことができる一方で、ラック22が、サイクルの一部分の間のみ扇形歯車23と係合することを意味する。具体的には、内燃機関10に関し、ラック22が、サイクルの膨張行程の間のみ扇形歯車23と係合し、その結果、フォロア28によってトラック26に掛けられる力の最大値が低減される。
【0037】
図5は、ピストンロッド20の斜視図である。図示例のピストンロッド20は、立方形の部材21を有するが、円柱または3角柱など、他のいかなる形状の細長部材を使用してもよいことを理解されたい。
【0038】
フォロア28は、いかなる転動要素も必要とせずに、トラック26上を滑らかに摺動するように形状設定されていることも分かる。転動要素の必要性を回避したことは、扇形歯車23を使用することによって達成された重要な点であり得、扇形歯車23が、駆動行程中のピストンからの荷重のかなりの部分を担持する。ただし、ピストンロッドに設けられる1つまたは複数のフォロアは、転動要素でもよく、または、トラックとの接触によって摺動および転動の両方を行うように設計されたフォロアでもよいことを理解されたい。
【0039】
図6は、プレートの形態を有し、トラック26および扇形歯車23がプレート面からの突出部として形成されたカム25の図を示す。この例では、カムは、平衡質量を片方の縁に有する(符号を付けず)。
【0040】
ただし、プレート機構は、必須ではなく、たとえば、トラック26は、スポーク式機構を介して扇形歯車23に連結してもよいことを理解されたい。扇形歯車23とカム25とは、共に回転するようにスプラインまたは他の方法で結合される別々の構成部品として形成されるのではなく、一体に形成することができることも理解されたい。
【0041】
別の方法として、扇形歯車23は、トラック26に強固に固定しなくてもよく、たとえば、扇形歯車23とトラック26との回転速度を異ならせることを可能にするギアボックスまたはダンピング部材を介して連結することができる。たとえば、2:1の比率を有する衛星ギアボックスを使用してトラック26を扇形歯車23に連結することができ、その結果、トラック26が、扇形歯車23の2倍の速さで回転する。これは、たとえば、より簡単なトラック形状によって、ピストンが、ただ1つの行程においてのみ扇形歯車と係合する4行程サイクルを取ることを可能にすることができる。
【0042】
そのようなギアボックスが使用されると、単一の最大半径および単一の最小半径のみを有するトラックを使用することができる。
【0043】
さらに別の代替形態として、扇形歯車23とトラック26とが、歯車式またはベルト式連結によって連結されて、異なる軸の周りで回転してもよい。
【0044】
ピストン18は、ラック22が扇形歯車23の歯型部分24と係合および係合解除するときに加わる力の最大値を低減するために、たとえばピストンロッド20に備わるダッシュポットなど、ダンピング部材を介してラック22に連結することができる。
【0045】
図7は、本発明による代替ピストン機構を示す。図7には、シリンダ内で往復するピストン118が示される。ピストン118は、枢動ピン119を介して第1の連結部材120に結合される。第1の連結部材120の反対側の端部で、細長連結部材120は、第2の摺動ピン121によって第2の連結部材130に結合される。第2の連結部材130は、点132において枢動的に固定され、それによって、第1の連結部材120およびピストン118と共に一機構を形成する。
【0046】
点132は、ピストン118がその中で往復運動をするシリンダに対して固定される。エンジンは、車両内などで動くことができるが、点132とシリンダとは相対運動をしないことを理解されたい。
【0047】
第1の連結部材120は、第2の係合プロフィール124と係合する係合プロフィール122をさらに備え、第2の係合プロフィール124は、軸A1周りに回転可能な回転要素123に結合される。
【0048】
点132と軸A1とは相対的に動かない。
【0049】
第1の係合プロフィール122は、複数の係合面122Aおよび1次係合面122Bを備える。見て分かるように、係合面122Aは、様々なピッチによって分離され、様々な大きさ、および第1の連結要素120に対して様々な傾斜を有する。係合プロフィールの両端間でのこの特性の変化は、ピストン118、第1の連結部材120、および第2の連結部材130によって形成される機構が、ピストン駆動ストアによって動くとき、第1の係合プロフィール122と第2の係合プロフィール124とが係合状態を保つことを可能にする。第1の1次係合面122Bが、第1の連結部材120の最も端の箇所にあり、その結果、第2の1次係合プロフィール124Aとの係合および動力伝達が、ピストンの駆動または膨張ストローク内の早い段階で生じ得ることも分かる。
【0050】
回転要素123は、第1の係合プロフィールのそれぞれの係合面122Aと係合する複数の第2の係合面124Aを備える第2の係合プロフィール124を具備する。係合プロフィール124は、また、第1の係合プロフィールの1次係合面122Bと係合する第2の1次係合面124Bを備える。第2の係合プロフィール122は、回転要素123の外周の約25%を廻って延在することが分かる。
【0051】
図示の係合プロフィールはそれぞれ複数の係合面を有するが、単一の歯/単一のスロット機構など、第1の連結部材120上の単一の係合面および回転要素123上の単一の係合面でも動力伝達を行うのに十分であり得る。
【0052】
ピストン機構は、また、トラック126と、トラック126に沿って転動するように構成されたフォロア128とを備える。トラック126に沿って摺動する摺動フォロアを使用することもできる。フォロア128は、第1の連結部材120に結合され、トラック体126とフォロア128との作用によって、戻り行程においてピストン118を動かすことができ、トラック体126は、サイクルの様々な行程に対して様々な速度を持たせるようにどのようにでも形状設定することができる。たとえば、ピストンの実質的な非単調和運動が、当該トラック/フォロア機構によって可能になる。
【0053】
図8は、図7に示されたピストン機構のさらに別の発展形態を示す。この機構では、同様な部品は対応する参照番号を付し、簡潔にするために、変わっていない部品の説明はここでは繰り返さない。
【0054】
軸A2の周りに回転する回転要素223は、係合プロフィール224と一体に作られている。ただし、図7の回転要素123を、この場合に同様に使用してもよい。
【0055】
第2の連結要素230は、第3の係合プロフィール225を有するように変更されている。第3の係合プロフィール225および第1の係合プロフィール222が第1の係合プロフィール224と係合する時点で、第3の係合プロフィール225が、第1の係合プロフィール222と実質的に整合する。それによって、回転要素223に加わる力を、第2および第3の係合プロフィール222、225の両方に分散することができる。
【0056】
連結部219は、ピン結合部として示されているが、当該結合部を、回転式ではなく、ピストンの運動方向に垂直な方向での並進運動式にすることも、同様に可能である。
【0057】
図9に移ると、図8に示された機構が、第3の係合プロフィール325のみが、軸A3周りに回転可能な回転要素323と係合するように改造されている。第2の連結部材330は、別々の3つの部材から形成される。第1の部材330aは、枢動点332から、第1の連結部材320に連結するピン結合部まで延在し、第2の部材330bは、枢動点332と第3の係合プロフィール325との間に延在し、第3の部材330cは、係合プロフィール325と、第1の連結部材320と第2の連結部材330との間の結合点321との間に延在する。重量を軽減するために、第1、第2、および第3の部材330a、330b、330cの間には中空の空間がある。第2の連結部材330の枢動点332は、軸A3において測った角度で、ピストンから約45°離れている。枢動点332をピストン318に近づけると、ピストン318の駆動行程が始まる時点でのレバーアームが長くなる。
【0058】
図9から分かるように、回転要素323の第1の係合部分324は、第3の係合部325と係合するように変更されている。
【0059】
図10に示される機構では、第2の連結部材430が、第3の係合部分425を持つ中央ブロックを有するように形状を変えられ、第1の部材430aが中央部分から枢動点432まで延在し、第2の部材430bが中央部分からピン結合部421まで延在する。また、フォロア428が、第1の連結部材420ではなく、第2の部材430に配置されることにも留意されたい。
【0060】
第1の係合部分425は、第2の係合部分424に適合することができるように形状を変えられ、第2の係合部分424は、実質的に円筒ベアリングとして形成され、回転可能なベアリングであり得る。
【0061】
図7から10の実施形態のいずれにおいても、フォロアは、第1の連結部材と第2の連結部材との間の枢動ピンに配置された1つまたは複数のローラの形態にすることができる。フォロアは、2つのトラックの間に配置される単一のローラにすることができ、または、1つが半径方向内側トラックに係合し、1つが半径方向外側トラックに係合する2つのローラにすることができる。
【0062】
本発明が、上記で、1つまたは複数の好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、添付特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更または改変を加えることができることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10