(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】荷電粒子波発生装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/44 20060101AFI20240618BHJP
A61N 1/10 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A61N1/44
A61N1/10
(21)【出願番号】P 2022520341
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2020136194
(87)【国際公開番号】W WO2021089058
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】201911421705.X
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522128712
【氏名又は名称】劉延兵
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉延兵
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-254549(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109771825(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101637618(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1924426(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101755519(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105098606(CN,A)
【文献】特開2005-328904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子波発生装置であって、
荷電粒子波制御ユニット及び荷電粒子波射出ユニットを含み、前記荷電粒子波射出ユニットは、高圧発生器、準連続射出電極及び静電偏向装置を含み、
前記高圧発生器は、前記荷電粒子波制御ユニットに接続されており、前記荷電粒子波制御ユニットから受信した波形電圧信号に基づいて高電圧に調節する制御を行い、且つ、前記静電偏向装置に接続されており、
前記準連続射出電極は、前記高圧発生器に接続されており、受信した波形電圧信号に基づいて相応の密度の粒子波を射出し、
前記静電偏向装置は、前記準連続射出電極に接続されており、前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の垂直及び水平の伝搬方向を交互に制御し、
前記静電偏向装置は、前記準連続射出電極の粒子波射出側に位置し、前記静電偏向装置は、垂直電圧波形高圧極板群と、水平電圧波形高圧極板群を含み、前記垂直電圧波形高圧極板群は垂直方向に設置され、前記水平電圧波形高圧極板群は水平方向に設置され、前記垂直電圧波形高圧極板群と前記水平電圧波形高圧極板群は互いに直交しており、且つ、これらはいずれも前記準連続射出電極が射出する荷電粒子の軸線と平行であり、それぞれ、荷電粒子波の垂直及び水平の伝搬方向を制御するために用いられ、前記静電偏向装置は、前記垂直電圧波形高圧極板群と前記水平電圧波形高圧極板群の間のパルス電場によって、前記準連続射出電極から射出される粒子波に対し交互に作用可能であり、前記静電偏向装置の前記垂直電圧波形高圧極板群及び前記水平電圧波形高圧極板群の交互に変化する電圧波形電場は、発生した粒子波の伝搬方向を変化させ、
前記垂直電圧波形高圧極板群は2つの第一の電圧波形高圧極板を含み、2つの前記第一の電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の軸線方向と平行に設置され、前記準連続射出電極までの距離をd1とし、前記水平電圧波形高圧極板群は2つの第二の電圧波形高圧極板を含み、2つの前記第二の電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の軸線と平行であり、前記準連続射出電極までの距離をd2とすると、d1≠d2である荷電粒子波発生装置。
【請求項2】
前記荷電粒子波制御ユニットは、波形記憶モジュール、D/A変換モジュール及びパワー増幅モジュールを含み、
前記波形記憶モジュールは、予め記憶されている波形情報に基づいて相応のデジタル波形信号を発生させ、
前記D/A変換モジュールは、前記波形記憶モジュールに接続されており、前記デジタル波形信号をアナログ波形信号に変換し、
前記パワー増幅モジュールは、前記D/A変換モジュールに接続されており、前記アナログ波形信号のパワーを増幅し、前記高圧発生器に出力する請求項1に記載の荷電粒子波発生装置。
【請求項3】
前記パワー増幅モジュールは電圧増幅器及びバイポーラトランジスタを含み、
前記電圧増幅器は前記D/A変換モジュールに接続され、前記バイポーラトランジスタのベースは前記電圧増幅器に接続され、前記バイポーラトランジスタのコレクタは電源に接続され、前記バイポーラトランジスタのエミッタは前記高圧発生器に接続される請求項2に記載の荷電粒子波発生装置。
【請求項4】
前記第一と第二の電圧波形高圧極板は四角形の極板であり、前記垂直電圧波形高圧極板群及び前記水平電圧波形高圧極板群の2つの前記第一と第二の電圧波形高圧極板は、いずれも前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の中心軸線と平行であり、且つ、前記垂直電圧波形高圧極板群及び前記水平電圧波形高圧極板群の2つの前記第一と第二の電圧波形高圧極板の中心線は、前記準連続射出電極の荷電粒子波射出方向の中心軸線と垂直に直交する請求項1に記載の荷電粒子波発生装置。
【請求項5】
前記垂直電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は5cmであり、前記水平電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は2~3cmである請求項4に記載の荷電粒子波発生装置。
【請求項6】
前記準連続射出電極は環状の準連続射出電極であり、前記静電偏向装置の前記垂直電圧波形高圧極板群と前記水平電圧波形高圧極板群の間の距離は、前記環状の準連続射出電極の直径よりも大きい請求項1に記載の荷電粒子波発生装置。
【請求項7】
前記荷電粒子波射出ユニットは更にファンを含み、前記準連続射出電極は、前記ファンと前記静電偏向装置の間に位置し、且つ、前記ファンの中心は、前記準連続射出電極と前記静電偏向装置の同心軸線上に位置し、前記ファンの平面は同心軸線と垂直であり、前記ファンは、前記準連続射出電極から射出される荷電粒子波の射出方向の伝搬距離及び荷電粒子波の射出方向の空間被覆範囲を拡大する請求項1に記載の荷電粒子波発生装置。
【請求項8】
荷電粒子波発生方法であって、
荷電粒子波制御ユニットに接続される高圧発生器が、アナログ波形信号のパワー信号を高電圧に増幅し、
前記高圧発生器に接続される準連続射出電極が、前記アナログ波形信号に基づき粒子波を射出し、
前記準連続射出電極に接続され
る静電偏向装置が、前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の垂直及び水平の伝搬方向を交互に制御し、
前記静電偏向装置は、前記準連続射出電極の粒子波射出側に位置し、前記静電偏向装置は、垂直電圧波形高圧極板群と、水平電圧波形高圧極板群を含み、前記垂直電圧波形高圧極板群は垂直方向に設置され、前記水平電圧波形高圧極板群は水平方向に設置され、前記垂直電圧波形高圧極板群と前記水平電圧波形高圧極板群は互いに直交しており、且つ、これらはいずれも前記準連続射出電極が射出する荷電粒子の軸線と平行であり、それぞれ、荷電粒子波の垂直及び水平の伝搬方向を制御するために用いられ、前記静電偏向装置は、前記垂直電圧波形高圧極板群と前記水平電圧波形高圧極板群の間のパルス電場によって、前記準連続射出電極から射出される粒子波に対し交互に作用可能であり、前記静電偏向装置の前記垂直電圧波形高圧極板群及び前記水平電圧波形高圧極板群の交互に変化する電圧波形電場は、発生した粒子波の伝搬方向を変化させ、
前記垂直電圧波形高圧極板群は2つの第一の電圧波形高圧極板を含み、2つの前記第一の電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の軸線方向と平行に設置され、前記準連続射出電極までの距離をd1とし、前記水平電圧波形高圧極板群は2つの第二の電圧波形高圧極板を含み、2つの前記第二の電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の軸線と平行であり、前記準連続射出電極までの距離をd2とすると、d1≠d2である方法。
【請求項9】
前記荷電粒子波制御ユニットは、波形記憶モジュール、D/A変換モジュール及びパワー増幅モジュールを含み、前記荷電粒子波発生方法は、更に、
前記波形記憶モジュールに予め記憶されている波形情報に基づいて相応のデジタル波形信号を発生させ、前記波形情報は振幅及びフェーズを含み、
前記波形記憶モジュールに接続される前記D/A変換モジュールが、予め設定されたフェーズを有する前記デジタル波形信号をアナログ波形信号に変換し、
前記D/A変換モジュールに接続される前記パワー増幅モジュールが、前記アナログ波形信号のパワー増幅を行い、
前記パワー増幅モジュールに接続される前記高圧発生器が、前記アナログ波形信号のパワー信号を高電圧に増幅する請求項8に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項10】
前記波形記憶モジュールに予め記憶されている波形情報に基づいて相応のデジタル波形信号を発生させる際には、具体的に、
前記波形記憶モジュールに予め記憶されているいくつかの波形情報からユーザが選択した波形情報を特定し、相応のデジタル波形信号を発生させる請求項9に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項11】
ユーザが選択した波形情報を特定する際には、具体的に、
ユーザがリモコンで送信した選択命令を受け付け、
前記選択命令に基づいて、ユーザが選択した波形情報を特定する請求項10に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項12】
更に、パイロットランプの状態に基づいて、前記準連続射出電極の動作状態を特定する請求項8に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項13】
更に、前記準連続射出電極の射出方向から見て後端から後方に2cmの箇所に固定されたファンを使用して、前記準連続射出電極から射出される荷電粒子波の射出方向の伝搬距離及び荷電粒子波の射出方向の空間被覆範囲を拡大する請求項8に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項14】
前記パワー増幅モジュールは電圧増幅器及びバイポーラトランジスタを含み、
前記電圧増幅器は前記D/A変換モジュールに接続され、前記バイポーラトランジスタのベースは前記電圧増幅器に接続され、前記バイポーラトランジスタのコレクタは電源に接続され、前記バイポーラトランジスタのエミッタは前記高圧発生器に接続される請求項9に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項15】
前記第一と第二の電圧波形高圧極板は四角形の極板であり、前記垂直電圧波形高圧極板群及び前記水平電圧波形高圧極板群の2つの前記第一と第二の電圧波形高圧極板は、いずれも前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の中心軸線と平行であり、且つ、前記垂直電圧波形高圧極板群及び前記水平電圧波形高圧極板群の2つの前記第一と第二の電圧波形高圧極板の中心線は、前記準連続射出電極の荷電粒子波射出方向の中心軸線と垂直に直交する請求項8に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項16】
前記準連続射出電極は環状の準連続射出電極であり、前記静電偏向装置の前記垂直電圧波形高圧極板群と前記水平電圧波形高圧極板群の間の距離は、前記環状の準連続射出電極の直径よりも大きい請求項8に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項17】
前記垂直電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は5cmであり、前記水平電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は2~3cmである請求項8に記載の荷電粒子波発生方法。
【請求項18】
前記準連続射出電極は、前記ファンと前記静電偏向装置の間に位置し、且つ、前記ファンの中心は、前記準連続射出電極と前記静電偏向装置の同心軸線上に位置し、前記ファンの平面は同心軸線と垂直であり、前記ファンは、前記準連続射出電極から射出される荷電粒子波の射出方向の伝搬距離及び荷電粒子波の射出方向の空間被覆範囲を拡大するために用いられる請求項13に記載の荷電粒子波発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019年12月31日に中国特許庁に出願した出願番号201911421705.X、発明の名称「荷電粒子波発生方法及び装置」の中国特許出願について優先権を主張するとともに、2019年11月4日に中国特許庁に出願した出願番号2019110677514、発明の名称「荷電粒子波発生方法及び装置」の中国特許出願について優先権を主張する。これら全ての内容は、参照によって本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、空間内荷電粒子の発生技術の分野に関し、特に、荷電粒子波発生方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
空気中の帯電粒子には、短距離運動が可能な自由電子、負の酸素イオン、負の酸素分子及びその他の負イオンといった荷電粒子が含まれる。これらのうち、空気中の負の酸素イオンは、高圧電極上のコロナ又は紫外線の作用によって発生し、皮膚表面の神経終末と作用し合うことで、人体の生理機能を改善可能である。
【0004】
現在存在する粒子波発生装置では、いずれも高圧変圧器を使用して、金属電極表面の電子が獲得する仕事関数が金属表面の束縛エネルギーを上回るまで商用電源電圧を上昇させたときに、電子が金属電極表面から離脱して、十分な運動エネルギーを持って空間内で運動する。そして、運動エネルギーを持った運動電子が空気中の粒子(例えば、酸素分子等)に衝突することで、粒子が電離して正イオン及び負イオンを発生させる。正イオンは、負の高圧電極に速やかに捕獲されるが、電子又は負イオンは、負の高圧電極による負の高圧排斥作用を受けて空気中をより遠くまで伝搬する。しかし、このような荷電した負イオンは、制御可能な波動形式で空気中を伝搬運動するのではなく、粒子形式で空気中をランダムに運動する。特に、関連する荷電粒子発生装置は、空間内に射出する帯電粒子の強度や空間密度分布及び空間被覆率を人為的に制御することができず、射出される粒子の搬送距離が近い。特に、伝搬時の空間立体角が小さく、空間被覆率が低いため、より良好な体験をユーザに提供することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する上記の課題を解決するために、本発明は、空間に射出する粒子波のフェーズ、強度、空間密度分布及び空間被覆率を制御できないという空間内荷電粒子波発生装置の課題を解決する荷電粒子波発生方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明で提供する具体的技術方案は以下の通りである。
【0007】
荷電粒子波発生装置は、荷電粒子波制御ユニット及び荷電粒子波射出ユニットを含む。荷電粒子波射出ユニットは、高圧発生器、準連続射出電極及び静電偏向装置を含む。
【0008】
高圧発生器は、前記荷電粒子波制御ユニットに接続されており、前記荷電粒子波制御ユニットに出力された波形電圧信号に基づいて高圧制御を行うために用いられ、且つ、静電偏向装置に接続されており、静電偏向装置が水平及び垂直両方向において最大立体角での空間走査を実現するよう交互に同期してそれぞれ制御する。
【0009】
準連続射出電極は、前記高圧発生器に接続されており、受信した波形電圧信号に基づいて相応の密度の粒子波を射出する。
【0010】
静電偏向装置は、前記準連続射出電極に接続されており、前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の垂直及び水平の伝搬方向を交互に制御する。
【0011】
好ましくは、前記荷電粒子波制御ユニットは、波形記憶モジュール、D/A変換モジュール及びパワー増幅モジュールを含む。
【0012】
波形記憶モジュールは、予め記憶されている波形情報に基づいて相応のデジタル波形信号を発生させる。
【0013】
D/A変換モジュールは、前記波形記憶モジュールに接続されており、前記デジタル波形信号をアナログ波形信号に変換する。
【0014】
パワー増幅モジュールは、前記D/A変換モジュールに接続されており、前記アナログ波形信号のパワーを増幅する。
【0015】
好ましくは、前記パワー増幅モジュールは電圧増幅器及びバイポーラトランジスタを含む。
【0016】
前記電圧増幅器は前記D/A変換モジュールに接続される。前記バイポーラトランジスタのベースは前記電圧増幅器に接続され、前記バイポーラトランジスタのコレクタは電源に接続され、前記バイポーラトランジスタのエミッタは前記高圧発生器に接続される。
【0017】
好ましくは、前記静電偏向装置は、前記準連続射出電極の粒子波射出側に位置する。前記静電偏向装置は、垂直電圧波形高圧極板群と、水平電圧波形高圧極板群を含む。垂直電圧波形高圧極板群は垂直方向に設置され、水平電圧波形高圧極板群は水平方向に設置される。垂直電圧波形高圧極板群と水平電圧波形高圧極板群は互いに直交している。且つ、これらはいずれも準連続電極が射出する荷電粒子の軸線と平行であり、それぞれ、荷電粒子波の垂直及び水平の伝搬方向を制御するために用いられる。前記静電偏向装置は、垂直電圧波形高圧極板群と水平電圧波形高圧極板群の間のパルス電場によって、準連続射出電極から射出される粒子波に対し交互に作用可能である。静電偏向装置の垂直電圧波形高圧極板群及び水平電圧波形高圧極板群の交互に変化する電圧波形電場は、発生した粒子波の伝搬方向を変化させる。
【0018】
好ましくは、前記垂直電圧波形高圧極板群は2つの電圧波形高圧極板を含む。2つの電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、準連続電極が射出する荷電粒子波の軸線方向と平行に設置される。また、前記準連続射出電極までの距離をd1とする。前記水平電圧波形高圧極板群は2つの電圧波形高圧極板を含む。2つの電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、準連続電極が射出する荷電粒子波の軸線と平行である。また、前記準連続射出電極までの距離をd2とすると、d1≠d2である。
【0019】
好ましくは、前記電圧波形高圧極板は四角形の極板である。垂直電圧波形高圧極板群及び水平電圧波形高圧極板群の2つの前記電圧波形高圧極板は、いずれも前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の中心軸線と平行である。且つ、垂直電圧波形高圧極板群及び水平電圧波形高圧極板群の2つの前記電圧波形高圧極板の中心線は、前記環状の準連続射出電極の荷電粒子波射出方向の中心軸線と垂直に直交する。
【0020】
好ましくは、垂直電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は5cmであり、水平電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は2~3cmである。
【0021】
好ましくは、前記準連続射出電極は環状の準連続射出電極である。静電偏向装置の垂直電圧波形高圧極板群と水平電圧波形高圧極板群の間の距離は、環状の準連続射出電極の直径よりも大きい。
【0022】
好ましくは、前記荷電粒子波射出ユニットは更にファンを含む。前記準連続射出電極は、前記ファンと前記静電偏向装置の間に位置する。且つ、ファンの中心は、前記準連続射出電極と静電偏向装置の同心軸線上に位置する。ファンの平面は同心軸線と垂直である。前記ファンは、前記準連続射出電極から射出される荷電粒子波の空間内における伝搬距離及び被覆率を拡大するために用いられる。
【発明の効果】
【0023】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0024】
本発明の実施例は、荷電粒子波発生方法及び装置を提供する。本方法では、波形記憶モジュールに予め記憶されている予め設定されたフェーズを有する波形情報を利用して、波形信号を発生させる。そして、D/A変換モジュールのD/A変換、パワー増幅モジュールによるアナログ波形信号のパワー増幅、及び高圧発生器による高圧増幅を経て、最終的に準連続射出電極から荷電粒子波を射出する。このような方法によれば、ユーザのニーズに基づいて、必要とされる特定のフェーズ、強度を有する特定の波形信号を波形記憶ユニットに予め記憶可能である。そして、当該特定の波形信号を高頻度で読み取って増幅し、高圧発生器の電圧信号の強度を制御するとともに、高頻度で準連続射出電極に供給する。且つ、高圧発生器の電圧信号から一部を取り出して荷電粒子波射出ユニットの静電偏向装置に供給し、準連続射出電極と同期して、静電偏向装置が水平及び垂直両方向において最大立体角での空間走査を実現するよう制御する。これにより、準連続電極が射出する粒子波が最大の空間密度及び空間被覆率を実現するため、ユーザ別に粒子波の性能及び応用を調節するとのニーズが満たされる。
【0025】
本発明における静電偏向装置と準連続射出電極は、高圧発生器に並列に接続されている。射出される粒子濃度は準連続射出電極の数及び電圧と直接的な関係を有し、射出される荷電粒子波形の密度は、波形記憶ユニットからの読取頻度及び高圧発生器の波形電圧強度と直接的な関係を有している。また、静電偏向装置の偏向角度は高圧発生器が供給する波形電圧の高さと直接的な関係を有している。高圧発生器が相対的に高い電圧を出力すると、準連続射出電極が射出する粒子濃度も相対的に高くなる。且つ、静電偏向装置への印加に伴い発生する波形電場も強くなり、空間内における粒子伝搬の被覆率も大きくなる。反対に、高圧発生器が低い波形電圧を発生させて出力すると、準連続射出電極が射出する荷電粒子の密度は小さくなる。且つ、静電偏向装置に印加される波形電圧によって発生する対応電場も弱くなり、偏向角度が小さくなることで、空間被覆率が小さくなる。よって、空間内でより大きな荷電粒子の密度を得たければ、高圧発生器が供給する波形電圧の振幅を十分に高くする必要がある。その逆についても同様である。また、十分に大きな空間被覆率を得たい場合には、高圧発生器が2組の静電偏向装置に供給する波形電圧を十分に高くする必要がある。こうすることで、静電偏向装置の偏向角度をより大きくすることができ、粒子の空間被覆率を一段と大きくすることが可能となる。
【0026】
本発明における静電偏向装置の2組の波形高圧極板は、互いに直交する垂直方向に前後して設置される。このように設置することで、より容易に装着可能になるとともに、コストの節約となる。且つ、準連続電極が帯電粒子を射出すると、帯電粒子は、まず一方の垂直に設置された波形高圧極板に発生する電場を通過して垂直に偏向してから、もう一方の水平に設置された波形高圧極板に発生する電場を通過して水平に偏向する。これにより、粒子について大きな空間被覆率を実現可能となる。また、更に、本願の垂直及び水平に設置される2組の波形高圧極板は、特定の波形電圧信号を交互に制御するものである。つまり、2組の波形高圧極板は、必要に応じて選択的にスイッチング可能である。
【0027】
本発明で設置する準連続射出電極は、環状の準連続射出電極であり、α波、θ波又はβ波といった人体の生理機能に対し効果的な調節作用を有する生理機能性特定帯電粒子波を射出するために用いられる。当該帯電粒子は、厳密な特定の生理パラメータ及び性質を有しており、極めて厳密な制御可能性を備える必要がある。
【0028】
本発明で提供する荷電粒子波射出ユニットは、波形電圧によって発生する電場の排斥作用によって、粒子波を比較的遠くまで射出可能である。加えて、ファンの風力による補助作用で、荷電粒子波を空間内で相対的に遠くまで伝搬させられる。このとき、風場をできるだけ均一に保ち、荷電粒子波の波形ができるだけ変わらないよう維持する。空間に射出する荷電粒子波形を維持するためのポイントは、準連続電極の粒子波電圧信号と、静電偏向装置に印加される走査の同期波形電圧である。この2つが、荷電粒子波の波形を維持するための重要な要素となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本実施例で提供する荷電粒子波発生装置の電気回路の概略図である。
【
図2】
図2は、本実施例で提供する荷電粒子波発生方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施例で提供する異なる波形信号の概略図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)は、本実施例で提供する
図3の波形信号に対応して発生する粒子波の概略図である。
【
図5】
図5(a)は、本実施例で提供する荷電粒子波発生装置の正面構造の概略図であり、
図5(b)は、本実施例で提供する荷電粒子波発生装置の側面構造の概略図である。
【
図6】
図6は、本実施例で提供する荷電粒子波発生装置の動作原理の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願の目的、技術方案及び利点をより明瞭とするために、以下に、本願の具体的実施例及び対応する図面を組み合わせて、本願の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、言うまでもなく、記載する実施例は本願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を要することなく取得するその他あらゆる実施例は、いずれも本願の保護の範囲に属する。
【0031】
図1は、本願の実施例で提供する荷電粒子波発生装置の電気回路の概略図である。当該部分の電気回路は、主に、波形記憶モジュール1、D/A変換モジュール2、パワー増幅モジュール3及び荷電粒子波射出モジュール4を含む。前記波形記憶モジュール1、D/A変換モジュール2、パワー増幅モジュール3及び荷電粒子波射出モジュール4は順に接続される。
【0032】
図2は、本願の実施例で提供する荷電粒子波発生方法のフローチャートであり、具体的には以下のステップを含む。
【0033】
S101:波形記憶モジュールに予め記憶されている波形情報に基づいて、相応のデジタル波形信号を発生させる。
【0034】
本願の実施例では、波形記憶モジュールに予め記憶されている波形情報を利用して、波形記憶モジュールにより相応のデジタル波形信号を発生可能である。
【0035】
図1に示すように、波形記憶モジュール1は、具体的にはマイクロコントローラユニット(Microcontroller Unit,MCU)とすることができる。MCUのいくつかのピンにはプログラム書き込みピンが含まれ得る。プログラム書き込みピンはメモリ(
図1には示していない)に接続される。ライタ(
図1には示していない)が、メモリに記憶されている予め書かれたプログラムをプログラム書き込みピン経由でMCUに書き込むと、MCUは対応する情報を読み取り可能となり、プログラムに含まれる波形情報に基づいて相応のデジタル波形信号を発生させる。波形情報には、波形の振幅及びフェーズが含まれる。波形のフェーズは、波形信号が有する周波数等を表す。
【0036】
更に、波形記憶モジュール1には、いくつかの異なる電圧波形情報を記憶することが可能である。波形記憶モジュール1は、予め記憶されているいくつかの電圧波形情報からユーザが選択した波形情報を特定し、ユーザの選択に基づいて相応のデジタル波形信号を発生させる。
【0037】
図3に示すように、図中に提示した実践正弦波と点線正弦波は2種類の異なる波形信号をそれぞれ表している。これら2種類の波形信号は、振幅及びフェーズが異なっている。実線正弦波の振幅Aは点線正弦波の振幅Bよりも高く、実線正弦波のフェーズは点線正弦波のフェーズよりも低い。
【0038】
可能な実現形態において、波形記憶モジュール1は、ユーザがリモコン又は制御ダイヤルを通じて送信した選択命令を受け付け可能である。そして、受け付けた選択命令に基づいて、ユーザが選択した波形情報を特定することで、粒子波発生装置が異なる強度及び空間密度の粒子波を射出可能となるよう制御する。
【0039】
S102:前記波形記憶モジュールに接続されるD/A変換モジュールによって、予め設定されたフェーズを有する前記デジタル波形信号をアナログ波形信号に変換する。
【0040】
本願の実施例では、D/A変換モジュールによって、波形記憶モジュールから送出されたデジタル波形信号をアナログ波形信号に変換可能である。
【0041】
具体的には、
図1に示すように、D/A変換モジュール2は波形記憶モジュール1に接続されている。D/A変換モジュール2は、波形記憶モジュール1から受信したデジタル波形信号をアナログ波形信号に変換することで、アナログ波形信号形式での粒子波の出力を実現可能とする。
【0042】
S103:前記D/A変換モジュールに接続されるパワー増幅モジュールによって、前記アナログ波形信号のパワー増幅を行う。
【0043】
本願の実施例では、パワー増幅モジュールによってアナログ波形信号のパワー増幅を行い、出力するアナログ波形信号の振幅及び周波数を増大させることで、出力するアナログ波形信号を後段の高圧電源に適用可能とする。
【0044】
図1に示すように、パワー増幅モジュール3はD/A変換モジュール2に接続されている。具体的に、パワー増幅モジュール3は電圧増幅器及びバイポーラトランジスタを含み得る。電圧増幅器はD/A変換モジュール2に接続され、バイポーラトランジスタのベースが電圧増幅器に接続され、バイポーラトランジスタのコレクタが電源に接続され、バイポーラトランジスタのエミッタが荷電粒子波射出モジュール4に接続される。
【0045】
電圧増幅器はアンプチップとすることができる。当該アンプチップのピンの1つは電源に接続される。通常、当該電源の電圧は増幅器に適用される比較的低い電圧であり、例えば5V等とする。電圧増幅器は、出力電圧が後段の粒子波射出デバイス(即ち、準連続射出電極)の電圧要求を満たし得るよう、入力電圧を増幅して比較的高い電圧を出力可能とする。また、出力電圧を増幅することで、電圧増幅器を通過したアナログ波形信号の振幅も増大し、波形の強度が強化される。電圧増幅器は、固定倍率で電圧に対し増幅作用を奏することが可能である。
【0046】
バイポーラトランジスタは、通過する電流を増幅可能である。これにより、信号パワーを増大させて、準連続射出電極の駆動に必要なパワーとする。且つ、バイポーラトランジスタによる電流の増幅作用を利用して、アナログ波形信号に対しパワー増幅作用を奏し、アナログ波形信号のフェーズを増大させることも可能である。これにより、粒子波出力後の空間密度が増大する。
【0047】
S104:パワー増幅モジュールに接続される高圧発生器によって、アナログ波形信号のパワー信号を高圧増幅する。
【0048】
S105:高圧発生器に接続される準連続射出電極によって、アナログ波形信号に基づき粒子波を射出する。
【0049】
図1に示すように、本願の実施例では、荷電粒子波射出モジュール4により荷電粒子波の射出を実現可能である。
【0050】
具体的に、荷電粒子波射出モジュール4は、高圧発生器41及び準連続射出電極42を含み得る。パワー増幅モジュールで増幅されたD/A変換モジュール2のアナログ波形信号は、高圧発生器41が準連続射出電極42に粒子波射出のための高圧を印加するよう制御し、相応の波形を有する粒子波が準連続射出電極42から空中に射出される。
【0051】
本願の実施例において、波形記憶モジュール1は、予め記憶されている波形情報に基づいてデジタル波形信号を発生可能である。そして、D/A変換モジュール2によるD/A変換、パワー増幅モジュール3によるパワー増幅を経て、最終的に荷電粒子波射出モジュール4から帯電した粒子波が射出される。
【0052】
当該荷電粒子波発生装置は、空気中の帯電粒子に波の属性を持たせることで荷電粒子波を形成可能である。当該粒子波発生装置は、予め設定された複数のフェーズ及び振幅パラメータの波形信号を選択し、高圧電源が十分な高圧を出力するよう調節することで、準連続射出電極からの荷電粒子の射出を保証するとともに、空気中の帯電粒子波のフェーズ、振幅及び粒子波密度を相応に変化させることが可能である。
【0053】
本方案において、波形記憶モジュールは、ユーザの選択に基づいて、いくつかの異なる波形情報からユーザが選択した波形情報を特定可能であり、最終的に、当該粒子波発生装置は、相応のフェーズ、強度及び空間密度分布を有する粒子波を発生させられる。本方案では、ユーザに対し複数の選択肢が提供されるため、ユーザは、粒子波のフェーズ、強度、空間密度分布を必要に応じて自由に制御可能である。よって、本方案で提供する粒子波発生装置は、より高い柔軟性、調節可能性及び一段と広範な応用性を有する。
【0054】
本方案は、波形記憶モジュールに記憶されている予め設定されたフェーズ等の波形パラメータを利用して、パワー増幅モジュールにより波形信号のパワーを増幅させることで、一段と容易に準連続射出電極が発生させる粒子波のフェーズ、振幅及び空間密度分布を正確に調整可能である。これにより、ニーズを満たす粒子波強度及び空間密度分布を発生させるよう制御して、空間内にユーザが必要とする空間密度分布の高いフェーズ、振動及び密度の荷電粒子波を実現する。よって、ユーザエクスペリエンスが向上する。
【0055】
図4(a)及び
図4(b)は、当該荷電粒子波発生装置が発生させる異なる粒子波の概略図を示している。
図4の丸は粒子波発生装置を表しており、図中の円弧状の曲線は伝搬する粒子波の波面の概略図を表している。また、波面間の距離は、粒子波の空間密度分布の高さを表している。対応する概略
図3から以下が明らかである。
図4(a)は、
図3の実線正弦波に対応する粒子波を表している。この粒子波は強度が相対的に高いが、密度分布は相対的に低い。また、
図4(b)は、
図3の点線正弦波に対応する粒子波を表している。この粒子波は強度が相対的に弱いが、密度分布は相対的に高い。
【0056】
このほか、波形記憶モジュールに異なる波形情報を予め記憶しておくことで、ユーザは、異なる粒子波を発生させるよう粒子波発生装置を制御する際に、命令を直接送信して波形記憶モジュールから呼び出すだけで、異なる波形の粒子波の切替を実現可能である。この場合、記憶されている波形情報を変更する必要がないため、構造がシンプルとなり、操作しやすい。且つ、いくつかの予め記憶されている波形情報により、ユーザ別のニーズを十分に考慮して異なる波形情報を設定することが可能である。これにより、異なるパラメータの帯電粒子波機能に対するユーザ別のニーズが満たされるため、ユーザは、必要に応じて自由に制御及び調節することで異なる粒子波を発生させられる。
【0057】
図5(a)及び
図5(b)は、それぞれ、本願の実施例で提供する荷電粒子波発生装置の正面構造の概略図及び側面構造の概略図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、粒子波発生装置は、準連続射出電極42、静電偏向装置5及びファン6を含む。前記準連続射出電極42は、前記ファン6と前記静電偏向装置5の間に位置する。且つ、ファン6の中心は、前記準連続射出電極42と静電偏向装置5の同心軸線上に位置する。ファン6の平面は同心軸線と垂直である。前記ファン6は、前記準連続射出電極42から射出される荷電粒子波の空間内における伝搬距離及び被覆率を拡大するために用いられる。
【0058】
静電偏向装置5は、高圧発生器に外部接続される同一サイズの2組の波形高圧極板を含む。波形高圧極板は、組ごとに、2つの対向し且つ平行な同一の波形高圧極板からなる。2組の波形高圧極板は、それぞれ上下において垂直に直交するよう準連続射出電極5の荷電粒子波射出方向の前端に設置される。
【0059】
静電偏向装置は、2組の波形高圧極板間の波形電場によって、準連続射出電極から射出される粒子波に対し交互に作用することで、粒子波の伝搬方向を偏向可能とする。これにより、いっそう広い空域被覆率が達せられる。発生した粒子波の伝搬方向を静電偏向装置の交互に変化する2組の波形電場により変化させることで、一段と大きな空域被覆率を実現し、利用率を向上させる。また、人体の使用習慣に基づいて、最も使用に適した方式で当該粒子波発生装置に粒子波を射出させることで、ユーザに使用上の利便性を提供する。
【0060】
ユーザは、粒子波発生装置を使用する際に、静電偏向装置が2組の波形高圧電場強度の大きさを制御するよう調整することで、射出空間における粒子波の立体角の大きさを制御可能である。これにより、荷電粒子波の空間内における広い被覆率を実現することで、ユーザの異なるニーズに適応する。
【0061】
一実施例において、準連続射出電極42は環状又はその他の形状とすることができる。また、静電偏向装置5は、上下に密着して直交するよう配置される2組の四角形の波形高圧極板からなり、波形高圧発生器41に接続される。2組の波形高圧極板は、環状の準連続射出電極の中心軸線と平行である。且つ、各組の波形高圧極板の中心線は、環状の準連続射出電極の中心軸線と垂直に直交する。また、波形高圧極板における環状の準連続射出電極に近接する一端は、準連続射出電極の射出端から約5cmの箇所に固定される。
【0062】
環状の準連続射出電極から射出された粒子波は、2組の上下に装着される波形高圧極板を通過して外部に伝搬する。荷電粒子波は、環状の準連続射出電極の中心軸線と平行な静電偏向装置における2組の波形極板内で交互に変化する電場を通過する際に、波形電場の制御により交互に変化する電場の作用を受けて、2つの垂直及び水平両方向へ伝搬する。ユーザは、必要に応じて、交互に変化する波形電圧の高さを制御することで、空間内における粒子波の射出立体角の大きさを制御可能である。これにより、荷電粒子波について大きな空間被覆率を実現し、当該装置をより効果的に使用したいとのユーザニーズを向上させる。
【0063】
ファン6の中心が環状の準連続射出電極と2組の静電偏向装置との同心軸線上に位置するよう設置し、ファンの平面を同心軸線に対し垂直とする。且つ、ファンを環状の準連続射出電極の後端辺縁から約2cmの箇所に設置する。静電偏向装置の2組の電圧波形極板間の距離は、環状の準連続射出電極の直径よりもやや大きい。静電偏向装置の2組の電圧波形高圧極板は、環状の準連続射出電極における粒子射出方向の前端から約5cmの箇所に設置する。環状の準連続射出電極が射出した粒子波は、外部に伝搬する際に、波形高圧制御を受ける静電偏向装置内で交互に変化する電圧波形電場を通過して偏向する。これにより、大きな空間被覆率が実現される。
【0064】
波形電圧の高さを調節することで、ユーザは、粒子波の伝送距離及び空間被覆率を自在に調節可能である。このほか、ノイズのないファンを設置することで、空間内を伝搬する荷電粒子波をより遠くまで容易に伝搬させられるため、ユーザエクスペリエンスが向上する。
【0065】
また、
図1において、波形記憶モジュール1には48個のピンが設けられている。1番ピンはコンデンサC2に接続され、コンデンサC2はグランドに接続されている。7番ピンは抵抗R6に接続され、抵抗R6は更に9番ピンに接続されている。7番ピンはコンデンサC5に接続され、コンデンサC5はグランドに接続されている。24番ピンはコンデンサC6に接続され、コンデンサC6は更に23番ピンとグランドにそれぞれ接続されている。36番ピンはコンデンサC3に接続され、コンデンサC3は更に35番ピンとグランドにそれぞれ接続されている。44番ピンは抵抗R1に接続され、抵抗R1は更に47番ピンに接続されている。48番ピンはコンデンサC1に接続され、コンデンサC1は更にグランドに接続されている。1番ピン、24番ピン、36番ピン及び48番ピンはそれぞれ電源端に接続されている。
【0066】
波形記憶モジュール1の12番ピン及び13番ピンはファンピンであり、15番ピン及び17番ピンはLEDパイロットランプピンであり、16番ピンは粒子波発生装置の制御ボタンピンであり、19番ピンはリモコンピンであり、30番ピン及び31番ピンはシリアルポートピンであり、34番ピン及び37番ピンはプログラム書き込みピンである。
【0067】
D/A変換モジュール2には6つのピンが設けられている。波形記憶モジュール1は、25番ピン及び26番ピンを通じてD/A変換モジュール2の4番ピン及び5番ピンにそれぞれ接続されている。波形記憶モジュール1の25番ピンは抵抗R7に接続され、26番ピンは抵抗D4に接続され、抵抗R7は抵抗R4に接続されている。また、波形記憶モジュール1の25番ピン及び26番ピンはそれぞれ電源端に接続されている。
【0068】
D/A変換モジュール2の2番ピンはグランドに設置されている。3番ピンはコンデンサC4に接続され、コンデンサC4はグランドに接続されている。また、3番ピンは更に電源端に接続されている。1番ピンは抵抗R8に接続され、抵抗R8はパワー増幅モジュール3に接続されている。
【0069】
電圧増幅器には8つのピンが設けられている。8番ピンは供給電源に接続され、4番ピンはグランドに接続されている。2番ピンは抵抗R2に接続され、抵抗R2はグランドに接続されている。更に、2番ピンは抵抗R5に接続され、抵抗R5は1番ピンに接続されている。1番ピンは抵抗R3に接続され、抵抗R3はバイポーラトランジスタのベースに接続されている。
【0070】
バイポーラトランジスタは高圧発生器41に接続されるとともに、グランドに接続されている。バイポーラトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタのコレクタは供給電源に接続され、エミッタは高圧発生器41に接続されている。また、エミッタは更に抵抗R9に接続され、抵抗R9はグランドに接続されている。
【0071】
電源端の電圧値は3.3Vであり、供給電源の電圧値は15Vである。
【0072】
一実施例において、粒子波発生装置は更にパイロットランプを含む。パイロットランプは、当該粒子波発生装置の動作状態を示すために使用可能である。具体的なパイロットランプの色及び対応して表示する意味は必要に応じて設定すればよく、本願では特に限定しない。
【0073】
図6は、本願の実施例で提供する荷電粒子波発生装置の動作原理の概略図である。
【0074】
図6に示すように、粒子波発生装置は、荷電粒子波制御ユニット8及び荷電粒子波射出ユニット9を含む。荷電粒子波制御ユニット8は、波形記憶モジュール1、D/A変換モジュール2及びパワー増幅モジュール3を含む。荷電粒子波射出ユニット9は、高圧発生器41、環状の準連続射出電極42及び静電偏向装置5を含む。
【0075】
粒子波発生装置において、荷電粒子波制御ユニット8は、粒子波のフェーズ、振幅等のパラメータを制御することで、射出する粒子波のフェーズ、強度、空間密度分布及び空間被覆率を制御するために用いられる。荷電粒子波射出ユニット9は、荷電粒子波制御ユニット8の荷電粒子波制御命令に基づいて、相応の振幅及びフェーズを有する高密度分布及び大空間被覆率の粒子波を射出する。
【0076】
具体的に、波形記憶モジュール1は波形情報を記憶するために用いられる。波形情報には、粒子波の振幅やフェーズ等のパラメータが含まれる。且つ、異なるフェーズや振幅を有する粒子波の射出を実現するために、波形記憶モジュール1にはいくつかの異なる波形情報を記憶可能である。
【0077】
D/A変換モジュール2は、後段の粒子波の出力のために、受信したデジタル波形信号をD/A変換して、相応のアナログ波形信号に変換するために用いられる。
【0078】
パワー増幅モジュール3は、アナログ波形信号が後段の粒子波射出デバイスの電圧要求を満たし得るよう、電圧や電流等を増幅することでアナログ波形信号のパワーを増幅するために用いられる。且つ、パワーの増幅後に、アナログ波形信号の振幅、フェーズ等が強化され得る。
【0079】
高圧発生器41は、準連続射出電極42に接続されており、荷電粒子波を射出するために用いられる。受信したアナログ波形信号に基づいて、相応の高密度の荷電粒子波が射出される。
【0080】
高圧発生器41は、静電偏向装置4に接続されており、静電偏向装置4が水平及び垂直両方向において最大立体角での空間走査を実現するよう制御する。
【0081】
静電偏向装置5は、環状の準連続射出電極42から射出される粒子波の伝搬方向を調節し、高密度粒子波の射出方向を制御することで空間被覆率を拡大するために用いられる。
【0082】
前記静電偏向装置は、前記準連続射出電極の粒子波射出側に位置する。前記静電偏向装置は、垂直電圧波形高圧極板群と、水平電圧波形高圧極板群を含む。垂直電圧波形高圧極板群は垂直方向に設置され、水平電圧波形高圧極板群は水平方向に設置される。垂直電圧波形高圧極板群と水平電圧波形高圧極板群は互いに直交している。且つ、これらはいずれも準連続電極が射出する荷電粒子の軸線と平行であり、それぞれ、荷電粒子波の垂直及び水平の伝搬方向を制御するために用いられる。前記静電偏向装置は、垂直電圧波形高圧極板群と水平電圧波形高圧極板群の間のパルス電場によって、準連続射出電極から射出される粒子波に対し交互に作用可能である。静電偏向装置の垂直電圧波形高圧極板群及び水平電圧波形高圧極板群の交互に変化する電圧波形電場は、発生した粒子波の伝搬方向を変化させる。
【0083】
具体的に、前記垂直電圧波形高圧極板群は2つの電圧波形高圧極板を含む。2つの電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、準連続電極が射出する荷電粒子波の軸線方向と平行に設置される。また、前記準連続射出電極までの距離をd1とする。前記水平電圧波形高圧極板群は2つの電圧波形高圧極板を含む。2つの電圧波形高圧極板は、対向して設けられるとともに、準連続電極が射出する荷電粒子波の軸線と平行である。また、前記準連続射出電極までの距離をd2とすると、d1≠d2である。
【0084】
垂直電圧波形高圧極板群及び水平電圧波形高圧極板群の2つの前記電圧波形高圧極板は、いずれも前記準連続射出電極が射出する荷電粒子波の中心軸線と平行である。且つ、垂直電圧波形高圧極板群及び水平電圧波形高圧極板群の2つの前記電圧波形高圧極板の中心線は、前記環状の準連続射出電極の荷電粒子波射出方向の中心軸線と垂直に直交する。
【0085】
垂直電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は5cmであり、水平電圧波形高圧極板群と前記準連続射出電極の射出端との距離は2~3cmである。
【0086】
前記準連続射出電極は、環状の準連続射出電極である。静電偏向装置の垂直電圧波形高圧極板群と水平電圧波形高圧極板群の間の距離は、環状の準連続射出電極の直径よりも大きい。
【0087】
説明すべき点として、
図6の各モジュールは上述した
図1の各デバイスに対応している。よって、本願の実施例で詳述していない部分については、具体的に上述した
図1の関連の記載を参照すればよい。
【0088】
以上の記載は本願の実施例にすぎず、本願を制限するものではない。当業者にとって、本願には各種の変更及び変形が存在し得る。本願の精神及び原理の範囲内で実施されるあらゆる修正、等価の置換、改良等は、いずれも本願の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 波形記憶モジュール
2 D/A変換モジュール
3 パワー増幅モジュール
4 荷電粒子波射出モジュール
41 高圧発生器
42 準連続射出電極
5 静電偏向装置
6 ファン
8 荷電粒子波制御ユニット
9 荷電粒子波射出ユニット