(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】加速器部品の過電圧保護
(51)【国際特許分類】
H05H 5/06 20060101AFI20240618BHJP
H05H 5/00 20060101ALI20240618BHJP
H02H 9/04 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H05H5/06
H05H5/00
H02H9/04 A
(21)【出願番号】P 2022568969
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 US2021031896
(87)【国際公開番号】W WO2021231514
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517385438
【氏名又は名称】ニュートロン・セラピューティクス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】タイラー アール ウィルス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エイチ パーク
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073680(JP,A)
【文献】実開昭61-085100(JP,U)
【文献】特表2013-545255(JP,A)
【文献】米国特許第03218562(US,A)
【文献】特表2020-506505(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046125(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 3/00-15/00
H02H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速器のための過電圧保護システムであって、
該加速器のための過電圧保護システムは、
所望の電圧レベルまでの複数の電圧レベルを提供するように構成された複数のDC電源と、
前記複数のDC電源に電気的に接続され、荷電粒子を加速するように構成された加速管と、を備え、
前記加速管は複数のステージを備え、各ステージは、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの1つの電極は、前記複数の電圧レベルのうちの1つの電圧レベルに電気的に結合されている、複数の電極と、
過電圧事象に応答してエネルギーを放電するように構成された複数のバリスタと、を備え、
前記複数の電極及び前記複数のバリスタは、互いに電気的に結合され、交互に配置さ
れ、
各ステージは複数の絶縁体を備え、各絶縁体はバリスタと並列に配置される、加速器のための過電圧保護システム。
【請求項2】
各ステージは、複数の水抵抗器を備え、各水抵抗器は、バリスタ及び絶縁体と並列に配置される、請求項
1に記載の過電圧保護システム。
【請求項3】
各バリスタは、
DC電源の出力と前記
DC電源の相対接地との間に接続される、請求項1に記載の過電圧保護システム。
【請求項4】
各バリスタは、金属酸化物バリスタである、請求項1に記載の過電圧保護システム。
【請求項5】
各バリスタはバリスタアセンブリを備え、前記バリスタアセンブリはバリスタ素子の線形積み重ねを備える、請求項1に記載の過電圧保護システム。
【請求項6】
各バリスタ素子はディスク形状である、請求項
5に記載の過電圧保護システム。
【請求項7】
前記複数のDC電源の各DC電源は、バリスタと並列に接続される、請求項1に記載の過電圧保護システム。
【請求項8】
前記複数のDC電源の各DC電源は、コッククロフト-ウォルトン乗算器を備える、請求項1に記載の過電圧保護システム。
【請求項9】
前記複数のDC電源の各DC電源は、直列に接続される、請求項1に記載の過電圧保護システム。
【請求項10】
各バリスタは、しきい値電圧を備え、各バリスタは、前記しきい値電圧を超えるバリスタの両端の電圧に応答して、電流が
DC電源に到達するのを制限するように構成される、請求項1に記載の過電圧保護システム。
【請求項11】
電流が前記
DC電源に到達するのを制限することは、前記複数の
DC電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電することを含む、請求項1
0に記載の過電圧保護システム。
【請求項12】
加速器のための保護システムであって、
該加速器のための保護システムは、
所望の電圧レベルまでの複数の電圧レベルを提供するように構成された複数のDC電源と、
複数のバリスタであって、前記複数のバリスタの各バリスタは、DC電源と並列に接続される、複数のバリスタと、
前記複数の
DC電源に電気的に接続され、荷電粒子を加速するように構成された加速管と、を備え、
前記加速管は複数のステージを備え、各ステージは、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの1つの電極は、前記複数の電圧レベルのうちの1つの電圧レベルに電気的に結合されている、複数の電極と、
複数の絶縁体と、
過電圧事象に応答してエネルギーを放電し、前記複数の絶縁体の両端の電圧の等級づけをするように構成される、複数の水抵抗器と、を備え、
前記複数の絶縁体及び前記複数の水抵抗器は電気的に並列である、加速器のための保護システム。
【請求項13】
各バリスタはバリスタアセンブリを備え、前記バリスタアセンブリはバリスタ素子の線形積み重ねを備える、請求項1
2に記載の保護システム。
【請求項14】
各DC電源は、コッククロフト-ウォルトン乗算器を備える、請求項1
2に記載の保護システム。
【請求項15】
各バリスタは、しきい値電圧を備え、各バリスタは、前記しきい値電圧を超えるバリスタの両端の電圧に応答して、前記複数の
DC電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電するように構成される、請求項1
2に記載の保護システム。
【請求項16】
加速器の部品を保護するための方法であって、
該加速器の部品を保護するための方法は、
複数のDC電源により、所望の電圧レベルまでの複数の電圧レベルを提供するステップと、
前記複数のDC電源に電気的に接続された加速管により、1つ以上の荷電粒子を加速するステップであって、
前記加速管は複数のステージを備え、各ステージは、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの1つの電極は、前記複数の電圧レベルのうちの1つの電圧レベルに電気的に結合されている、複数の電極と、
過電圧事象に応答してエネルギーを放電するように構成された複数のバリスタと、を備え、
前記複数の電極及び前記複数のバリスタは、互いに電気的に結合され、交互に配置さ
れ、
各ステージは複数の絶縁体を備え、各絶縁体はバリスタと並列に配置される、ステップと、
前記複数のバリスタにより、前記複数のDC電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電するステップと、を有する、加速器の部品を保護するための方法。
【請求項17】
前記複数のDC電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電するステップは、過電圧事象に応答して生じる、請求項1
6に記載の方法。
【請求項18】
各バリスタはバリスタアセンブリを備え、前記バリスタアセンブリはバリスタ素子の線形積み重ねを備える、請求項1
6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年5月13日に出願された米国仮出願第63/024,102号に対する優先権を主張するものであり、その全体が引用により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
加速器は、高エネルギーの粒子ビームまたはイオンの必要性を有する多種多様な分野で使用されている。このような分野には、放射線治療または中性子捕獲療法のような医療用途、イオン注入、工業処理、生物医学用途、および核物理学研究が含まれる。しかし、その用途が研究ベースであろうと工業ベースであろうと、加速器は、典型的には、高電圧、電気的に高感度な部品を含み、従って、電気的破壊に対する脆弱性を含む。
【0003】
絶縁材料は、高感度な電気部品を囲い、絶縁し、保護するためにしばしば使用される。しかしながら、これらの材料は、過電圧による電気的破壊及び/又は電気的フラッシュオーバを経験することができる。絶縁体に材料の絶縁破壊電圧を超える電圧で電流が流れると、電気的破壊が起こる。これにより、材料が損傷し、及び/又は、材料がより導電性になり、高感度な電気部品から絶縁層が除去される可能性がある。絶縁層がないと、高感度な電気部品が重大な損傷や故障を起こす可能性がある。電気的フラッシュオーバは絶縁体の表面に沿って発生する可能性がある。フラッシュオーバは、表面の局所的な炭素化(導電性)を引き起こし、暴走状態に至り、短絡を引き起こす可能性がある。過電圧は、加速器システム内の回路または回路の一部の電圧が設計限界値または破壊電圧を超えて変化し、潜在的に危険で破壊的な状態を引き起こす可能性がある。過電圧は、電圧スパイクまたは電力サージの形をとることができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、加速器のための過電圧保護システムは、所望の電圧レベルまでの複数の電圧レベルを提供するように構成された複数のDC電源と、前記複数のDC電源に電気的に接続され、荷電粒子を加速するように構成された加速管と、を含むことができる。前記加速管は複数のステージを含むことができる。各ステージは、複数の電極と、過電圧事象に応答してエネルギーを放電するように構成された複数のバリスタと、を含むことができる。前記複数の電極のうちの1つの電極は、前記複数の電圧レベルのうちの1つの電圧レベルに電気的に結合することができる。前記複数の電極及び前記複数のバリスタは、互いに電気的に結合することができ、交互に配置することができる。
【0005】
いくつかの実施態様では、各ステージは複数の絶縁体を含むことができ、各絶縁体はバリスタと並列に配置される。いくつかの実施態様では、各ステージは、複数の水抵抗器を含むことができ、各水抵抗器は、バリスタ及び絶縁体と並列に配置される。いくつかの実施態様では、各バリスタは、電源の出力と前記電源の相対接地との間に接続することができる。いくつかの実施態様では、各バリスタは、金属酸化物バリスタとすることができる。いくつかの実施形態では、各バリスタはバリスタアセンブリを含むことができる。前記バリスタアセンブリはバリスタ素子の線形積み重ねを含むことができる。いくつかの実施態様では、各バリスタ素子はディスク形状とすることができる。
【0006】
いくつかの実施態様では、前記複数のDC電源の各DC電源は、バリスタと並列に接続することができる。いくつかの実施態様では、前記複数のDC電源の各DC電源は、コッククロフト-ウォルトン乗算器を含むことができる。いくつかの実施態様では、前記複数のDC電源の各DC電源は、直列に接続することができる。いくつかの実施態様では、各バリスタは、しきい値電圧を含むことができる。各バリスタは、しきい値電圧を超えるバリスタの両端の電圧に応答して、電流が電源に到達するのを制限するように構成することができる。いくつかの実施態様では、電流が前記電源に到達するのを制限することは、前記複数の電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電することを含むことができる。
【0007】
本発明の別の態様によれば、加速器のための保護システムは、所望の電圧レベルまでの複数の電圧レベルを提供するように構成された複数のDC電源と、複数のバリスタと、前記複数の電源に電気的に接続され、荷電粒子を加速するように構成された加速管と、を含むことができる。前記複数のバリスタの各バリスタは、DC電源と並列に接続することができる。前記加速管は複数のステージを含むことができる。各ステージは、複数の電極と、複数の絶縁体と、過電圧事象に応答してエネルギーを放電し、前記複数の絶縁体の両端の電圧の等級づけをするように構成される、複数の水抵抗器と、を含むことができる。前記複数の電極のうちの1つの電極は、前記複数の電圧レベルのうちの1つの電圧レベルに電気的に結合することができる。前記複数の絶縁体及び前記複数の水抵抗器は電気的に並列にすることができる。
【0008】
いくつかの実施態様では、各バリスタはバリスタアセンブリを含むことができる。前記バリスタアセンブリはバリスタ素子の線形積み重ねを含むことができる。いくつかの実施態様では、各DC電源は、コッククロフト-ウォルトン乗算器を含むことができる。いくつかの実施態様では、各バリスタは、しきい値電圧を含むことができる。各バリスタは、前記しきい値電圧を超えるバリスタの両端の電圧に応答して、前記複数の電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電するように構成することができる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、加速器の部品を保護するための方法は、複数のDC電源により、所望の電圧レベルまでの複数の電圧レベルを提供するステップと、前記複数のDC電源に電気的に接続された加速管により、1つ以上の荷電粒子を加速するステップと、前記複数のバリスタにより、前記複数のDC電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電するステップと、を有する。前記加速管は複数のステージを含むことができる。各ステージは、複数の電極と、過電圧事象に応答してエネルギーを放電するように構成された複数のバリスタと、を含むことができる。前記複数の電極のうちの1つの電極は、前記複数の電圧レベルのうちの1つの電圧レベルに電気的に結合することができる。前記複数の電極及び前記複数のバリスタは、互いに電気的に結合することができ、交互に配置することができる。
【0010】
いくつかの実施態様では、前記複数のDC電源内の少なくとも1つのコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電するステップは、過電圧事象に応答して生じる。いくつかの実施態様では、各ステージは複数の絶縁体を含むことができる。各絶縁体はバリスタと並列に配置することができる。いくつかの実施態様では、各バリスタはバリスタアセンブリを含むことができる。前記バリスタアセンブリはバリスタ素子の線形積み重ねを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の主題の種々の目的、特徴、及び利点は、同様の参照番号が類似の要素を識別する以下の図面に関連して考察した場合、本発明の主題の以下の詳細な説明を参照することにより、より完全に理解することができる。
【0012】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するためのシステムである。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、過電圧保護システムを備えた加速管の斜視図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、過電圧保護システムを備えた加速器の側面図である。
【
図4A】本発明のいくつかの実施形態による、MOVアセンブリの斜視図である。
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態による、MOVアセンブリの分解図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態による、過電圧保護システムを備えた加速管の正面斜視図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステムである。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステムである。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステムである。
【
図9】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステムである。
【
図10】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステムである。
【
図11】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステムである。
【
図12】本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステムである。
【0013】
図面は、必ずしもシステムの全ての要素を縮尺するものではなく、又は包含するものではなく、本明細書において保護されるように求められる概念、構造及び技術を図示することに一般的に代わりに重点が置かれる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明又はその使用の用途を限定することを意図したものではない。
【0015】
本発明の実施形態は、過電圧事象中に生じ得る電気的破壊および/または電気的フラッシュオーバから粒子加速器内の絶縁体および高電圧電源を保護するためのシステムに関する。加速器は、静電加速器であってもよく、シングルエンドまたはタンデムであってもよい。いくつかの実施形態では、直列に接続された複数の高電圧電源を含むことができ、ここで、各高電圧電源は、後続の電源に給電することができる。いくつかの実施形態では、加速器アセンブリは、加速管の各絶縁部材間にバリスタ(例えば、金属酸化物バリスタ又はMOV)の直鎖を含むことができる。バリスタの直鎖は、各絶縁部材及び電力供給に過電圧事象からの実質的な保護を提供することができる。
【0016】
加速器システムは、過電圧破壊及び/又はフラッシオーバ事象から保護されるべき絶縁体を有する。典型的には、種々の他の用途における絶縁体は、スパークギャップを用いて保護される。スパークギャップは、ガス(例えば、空気、六フッ化硫黄)が充填された2つの導電性電極間のギャップであり得る。スパークギャップは、導電体間を電気スパークが通過することを可能にし得る。導体間の電圧が絶縁破壊電圧を超えると(電圧サージや過電圧事象のためなど)、スパークが形成され、スパークギャップ内のガスが電離してエネルギーを消散し、抵抗が減少するため、高感度な部品が保護される。スパークギャップは広く使用され、安価であるが、特に加速器に関連して、重大な欠点を有し得る。SF6 (六フッ化硫黄)スパークギャップは、ガス純度、ガス圧、ギャップ距離、幾何学的形状などの広範な影響力のあるデザイン可変を持つことができる。スパークギャップ保護システムを有する加速器システムを設計する際に潜在的に考慮し制御するための多数の変数は、各スパークギャップのタイミングと電圧セットポイントを制御することを困難にする可能性がある。さらに、スパークギャップはタイムラグの影響を受けやすい場合がある。事象の立ち上がり時間が速くなり、スパークギャップが火災になる電圧が高くなると、スパークギャップが火災になるまでの時間も長くなる可能性があり、絶縁体の保護に失敗する可能性がある。
【0017】
さらに、特定タイプの加速器には、過電圧事象に高感度で影響を受けやすい追加の部品(絶縁体以外)を設けることができる。例えば、静電加速器は、過電圧事象により深刻な損傷を受ける可能性のある高電圧電源部品を利用する。線形加速器(リニアック)、磁気誘導加速器、サイクロトロンで使用される交流電位および動的電位とは対照的に、静電加速器は粒子を加速するために直流電圧を使用する。しかしながら、粒子を必要なエネルギーレベルまで加速するのに十分な高さの直流電圧を加速器内で発生させることは、通常、電圧をステップアップさせるために複雑な回路の高感度な部品(例えば、ダイオードおよびコンデンサ)を含む。これの一例は、コッククロフト-ウォルトン回路または増幅器である。いくつかの実施形態では、コッククロフト-ウォルトン増幅器は、電圧レベルをステップアップするために、高電圧ダイオードの鎖またはラダーを含んでもよい。また、高電圧電源の部品は、過電圧事象や電気的破壊の影響を受けやすくなる。加速器アセンブリにおける絶縁材料のような高感度な部品を保護する多くの試みは、高電圧電源を保護することに失敗する。これらの試みは、また、通常、単一の大型高電圧電源のみを含む。したがって、単一の高圧電源を保護できないことに加えて、これらの試みは、同一システム内の複数の高圧電源に対する保護を提供する際に、さらに不十分であろう。
【0018】
金属酸化物バリスタ(MOV)は静電加速器における過電圧保護デバイスとして役立つことができる。MOVは、電圧によって変化し得る抵抗を有し、従って、他の部品が過剰な電流を受けないように保護する。MOVは、高い抵抗を有する順方向領域を有することができ、電圧が低い場合には、非常に少ない電流を伝導する。しかし、バリスタ電圧を過ぎて電圧が増加すると、MOVの抵抗は著しく減少し、MOVを流れる電流を大幅に増加させることができる。MOV材料の固有応答時間は500ピコ秒のオーダであり得、MOVデバイスは1~10ナノ秒スケールで動作できる。また、MOVの使用は、過電圧が加速器アセンブリを活性化し、絶縁体を環境変化から保護する正確な電圧閾値を提供することができる。MOVの抵抗特性と、過電圧条件の間にMOVがシステム内に蓄積されたエネルギーを放電できる速度は、蓄積されたエネルギーの放電を減衰させ、加速器アセンブリ内の絶縁体および高電圧電源の両方を保護するのを助けることができる。MOV を電源の出力とその相対接地の間に直列に接続すると、MOV の導通時に電源がショートアウトする可能性がある。この短絡は、したがって、電源内のコンデンサに蓄積されたエネルギーを放電することができる。システム内に蓄積された全てのエネルギーが電源コンデンサ内にあるわけではないが、構造システム全体のキャパシタンスは、MOV鎖を通して放電することができる。
【0019】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するためのシステム100である。システム100は絶縁体を保護することもできる。システム100は、加速器支持構造101(カラムと呼ばれることもある)および加速管103を含むことができる。加速器支持構造101は、電源102a~b(本明細書では一般に電源102と呼ぶ)、第1の複数の構造絶縁体110a~n(一般に構造絶縁体110と呼ぶ)、および第2の複数の構造絶縁体112a~n(一般に構造絶縁体112と呼ぶ)を含むことができる。
【0020】
加速器支持構造101は、構造的支持および種々の段階の電圧レベルを加速管103に提供することができる。動作中、加速管103を使用して、荷電粒子または荷電粒子ビームを所望のエネルギーレベルまで加速することができる。加速管103は、真空管とも呼ばれることができる。各電源ユニット102は、アセンブリに対する所望の量の電力を含むことができる。例えば、各電源102は、アセンブリに10kWを供給することができ、又は200kV及び50mAを供給することができる。各電源102は、電力供給を制御するための各種検出回路を含むことができる。検出回路はまた、過電圧事象からの損傷を受けやすくすることができ、したがって、本発明のMOV配置によって保護することができる。なお、システム100は、2つの電源102aおよび102b、したがって2つの電圧レベルに限定されない。いくつかの実施形態では、加速器支持構造101は、15以上の電源またはステージを含み、15以上の電圧レベルを生成することができる。いくつかの実施形態では、各電源は、加速器構造101に沿って等間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電源102は、コッククロフト-ウォルトン増幅器を含んでもよい。一定の電圧レベルが標準電圧源から提供されてもよく、電源回路(例えば、電源102a、電源102bなど)の各ステージは、一定の予め規定された量だけ電圧をステップアップすることができる。例えば、100kVの入力電圧を仮定すると、各電源は、その後、100kVだけ電圧をステップアップすることができる。以下にさらに説明するように、電圧レベルの一定の増加は、加速管103内に電場を生じさせ得、次いで、粒子を加速するために使用され得る。各電源102の電圧レベルは、粒子の所望の最終エネルギーレベルに基づいて決定されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、加速管103は、複数の電圧設定電極104a~n(一般に電圧設定電極104と呼ぶ)、複数のMOV106a~n(一般にMOV 106と呼ぶ)、複数の電気絶縁体108a~n(一般に絶縁体108と呼ぶ)、および複数の二次電極114a~n(一般に二次電極114と呼ぶ)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、二次電極114は、加速管103内を移動する陽子(または他の荷電粒子)の軌道を輸送し、形作り、制御することができる。また、二次電極114は、電場を等級付けして、線形加速を提供するのを助けることができる。いくつかの実施形態では、MOV106の配置は、電源102、構造絶縁体110および112、ならびに絶縁体108の両方を、過電圧事象中に電気的破壊および/またはフラッシュオーバを経験することから保護することができる。例えば、先に説明したように、バリスタ(例えば、MOVまたは任意の他の種類のバリスタ)の両端の電圧が増加すると、材料の抵抗は減少する。バリスタでは、バリスタが高抵抗から高導電性に切り替わる閾値電圧が存在する(すなわち、バリスタが低電流で動作している状態から非常に高電流に切り替わる)。したがって、過電圧事象および高電圧の大きなサージに応じて、各MOVの抵抗が減少し、それを流れる電流が増加する可能性がある。この利点は、MOVと絶縁体の並列配置から得られる。並列部品を流れる全電流(例えば、2つの並列部品を流れる電流の合計)は一貫性を保ち、バリスタは大量の電流を取り込むように構成されるため(例えば、過電圧事象に応じて)、これは、絶縁体に過剰な電流が流れないようにすることができる。絶縁体に過剰な電流が流れると、特に粒子加速器の運転レベルにおいて、重大な損傷や故障を引き起こす可能性がある。MOVの応答時間により、電流がこれらの部品を破壊するのを迅速かつ効率的に防止することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、各電圧設定電極104は、電源102に電気的に接続され、前記電源102の電圧レベルで動作してもよい。例えば、点Aにおける電圧は、100 kVであってもよく、次に、電圧設定電極104aにおける電圧も、100 kVであってもよい。電源102aは、電圧を100 kVから200 kVにステップアップすることができ、したがって、点Bおよび電圧設定電極104bにおける電圧を200 kVに設定することができる。同様に、電源102bは、電圧を200 kVから300 kVにステップアップすることができ、したがって、点Cおよび電圧設定電極104nにおける電圧を300 kVに設定することができる。加速管は、
図1に明示的におよび/または絵を用いて示されていないが、電圧設定電極104は、したがって、加速管の内側領域に沿って均一またはほぼ均一な電圧差を作り出し、加速管の水平方向に均一またはほぼ均一な電場を誘導する。得られた電場は、粒子を加速するために使用することができる。
【0023】
ここでは、電源および関連する電圧設定電極を、ステージと称することができる。ステージは、関連する電圧設定電極と前のステージの電圧設定電極との間のMOVおよび二次電極をさらに含むことができる。例えば、電源102a及び電圧設定電極104bは第1ステージを形成し、電源102b及び電圧設定電極104nは第2ステージを形成することができる。第1ステージは、MOV106a~106g、二次電極114a~f、および絶縁体108a~gを含んでもよい。第2ステージは、MOV106h-n、二次電極114g-n、および絶縁体108h-nを含んでもよい。いくつかの実施形態において、二次電極114及びMOV106を交互に接続することができる。なお、
図1は単なる例示的なものであり、加速器システムは2ステージに限定されない。いくつかの実施形態では、加速器は、最大15ステージ以上を含んでもよい。各ステージは、交互のMOVおよび二次電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各ステージはまた、各MOVと並列の絶縁体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、MOV 106は、
図4Aおよび4Bのアセンブリ400などのMOVアセンブリであってもよい。換言すれば、MOV 106は、1つ以上の個々のMOVを含んでもよい。各MOV 106が複数のMOVを含む実施形態では、MOVは、直列または直鎖で配置されてもよい。
【0024】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、過電圧保護システム200を備えた加速管の斜視図である。システム200は、加速管103およびステージ206a~g(一般にステージ206と呼ぶ)を含んでもよい。なお、
図1の加速器構造101は、この図では示されていない。各ステージ206は、電圧設定電極104と、複数の交互MOV及び二次電極204(例えば、
図1の二次電極114及びMOV106)とを含むことができる。いくつかの実施形態では、各ステージはまた、MOVと並列に、
図1の絶縁体108のような絶縁体を含んでもよい。例えば、ステージ206aは、電圧設定電極104aと、複数の交互MOV及び二次電極204aとを含むことができる。各電圧設定電極104は、別個の高電圧電源(例えば、別個のCockcroft-Walton乗算器および電源)に電気的に結合されるように構成することができ、したがって、
図1に関連して説明されるように、ある電圧レベルに設定される。各電圧設定電極104は、加速管103内に電圧レベルを設定するように構成することができ、したがって、加速管103内に均一またはほぼ均一な電場を生成する。次いで、粒子を加速管103内で加速することができる。
【0025】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、過電圧保護システム300を備えた加速器の側面図である。システム300は、加速器構造101、加速管103、および複数の電気絶縁体302a~n(例えば、
図1の絶縁体110an~)を含むことができる。いくつかの実施形態では、加速器構造101は、
図1で説明したものと類似または同じように、複数の高圧電源102a~eを含むことができる。加速管103は、DC電場を介して粒子を加速するように構成されてもよい。電圧設定電極104a~dは、関連する電圧に設定され、したがって、加速管103内の様々な電圧レベルを設定するように、電源102に電気的に結合されてもよい。ステージは、
図1および2に関連して記載されるように定義されてもよい。例えば、電源102bおよび電圧設定電極104bは、ステージを形成してもよく、このステージは、MOV106a~cおよび少なくとも二次電極114a~cも含んでもよい。また、ステージは、電気絶縁体を含んでもよい。例えば、電源102aおよび電圧設定電極104aを含むステージは、電気絶縁体302bも含むことができる。電気絶縁体302は、二次電極114を物理的に覆うことができる。
【0026】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態による、MOVアセンブリ400の斜視図である。
図4Bは、本発明のいくつかの実施形態による、MOVアセンブリの分解図である。いくつかの実施形態において、MOVアセンブリ400は、
図1~3のいずれかにおいて、MOV106として使用されてもよい。MOVアセンブリ400は、MOVハードディスク402a~h、タイロッド404a~d、端部マウント406a~b、および中央マウント408を含んでもよい。いくつかの実施形態では、MOVハードディスク402a~hは、「積み重ね」に配置されてもよい。積み重ね構成は、伝導中に良好な電気的接続を確保することができる。積み重ね内の各バリスタハードディスクは、互いに「強制的に」入れることができるので、増加した機械的圧力は、電気的な接続を増加させるのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、MOVハードディスクは、他の形状態様で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、各MOV (例えば、MOV 402)は、ハードディスク以外の形状であってもよく、例えば、各MOVは、立方体、プリズム、または任意の他の断面形状であってもよい。中央マウント408および端部マウント406a~bは、MOVアセンブリを加速管103のような加速管に構造的に固定するタイロッド404を受け入れるように構成することができる。また、中央マウント408および端部マウント406a~bは、MOVハードディスク402を受け入れて所定の位置に保持するように構成されてもよい。
【0027】
MOVハードディスク402は、任意の金属酸化物材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、バリスタアセンブリのための電圧トリガ点は、電極/絶縁体あたり24 kVであってもよい。MOVハードディスクの実施例としては、ディーン・テクノロジーズ社のBHD1375-ALがある。このバリスタは、一例として、絶縁体あたり24 kV V
rmsの総定格電圧を提供することができる。いくつかの実施形態では、個々のMOVハードディスクは、6 kVおよび55 kAなどの電気的特性/定格を含んでもよい。いくつかの実施形態では、MOVハードディスクは、直径32 **、長さ42 **を有することができる。いくつかの実施形態では、MOVアセンブリ400は、各部品の所望の保護レベルに応じて、8つより少ないか又はそれより多いMOVハードディスクを含んでもよい。いくつかの実施形態において、MOVハードディスク402は、直列に配置されてもよい。一連の部品の全抵抗は、各部品の抵抗の和である。したがって、
図4Aと4Bについては、MOVアセンブリ400の全抵抗がMOV402a~hの抵抗の合計となる。
【0028】
いくつかの実施形態では、MOVアセンブリ400は、3つの電極をまたぐことができる。アセンブリ400の中心は、電極に取り付ける内蔵クランプを有することができる。アセンブリは、わずかな角度で配置することができるので、MOVアセンブリ400の各端部を、電極にクランプを備えたアルミニウムバーで隣接する電極に取り付けることができる。MOVアセンブリ400は、2つの絶縁体を直列に保護することができる。
【0029】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、過電圧保護システム500を備えた加速管の正面斜視図である。システム500は、
図2に関連して説明したように、加速管103と、ステージ206に類似する、またはそれと同じである複数のステージ206a~dとを含むことができる。いくつかの実施形態では、各ステージ206は、複数の交互MOVおよび二次電極204(例えば、
図1の二次電極114およびMOV106)を含んでもよい。目には見えないが、絶縁材料を保護するために、各MOVを絶縁材料と並列に配置することができる。過電圧事象が発生した場合、1つ以上のMOVが、それらの抵抗を減少させ、MOVを流れる電流の量を増加させることによって、電圧サージに応答することができる。本質的に、1つまたは複数のMOVは、電気ショートとして動作し始め、保護された部品(例えば、絶縁材料または高圧電源)が、過剰な量の電流を受けて損傷するのを防止することができる。
【0030】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステム600である。システム100と同様に、システム600は、加速器支持構造101および加速管103を含むことができる。加速器支持構造101は、電源102、第1の複数の構造絶縁体110、および第2の複数の構造絶縁体112を含むことができる。
【0031】
図1のシステム100と同様に、加速器支持構造101は、構造的支持および種々のステージの電圧レベルを加速管103に提供することができる。動作中、加速管103を使用して、荷電粒子を所望のエネルギーレベルまで加速することができる。電源102は、ある所望のレベルまで、様々なレベルのDC電圧をステップアップし、生成するための回路を含むことができる。なお、システム600は、2つの電源102aおよび102b、したがって2つの電圧レベルにも限定されない。いくつかの実施形態では、加速器支持構造101は、15以上の電源またはステージを含み、15以上の電圧レベルを生成することができる。いくつかの実施形態では、各電源は、加速器構造101に沿って等間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電源102は、コッククロフト-ウォルトン乗算器を含んでもよい。一定の電圧レベルが標準電圧源から提供されてもよく、電源回路(例えば、電源102a、電源102bなど)の各ステージは、一定の予め規定された量だけ電圧をステップアップすることができる。例えば、100 kVの入力電圧を仮定すると、各電源は、その後、100 kVだけ電圧をステップアップすることができる。以下にさらに説明するように、電圧レベルの一定の増加は、加速管103内に電場を生じさせ得、次いで、粒子を加速するために使用され得る。各電源102の電圧レベルは、粒子の所望の最終エネルギーレベルに基づいて決定されてもよい。
【0032】
システム600は、複数の電力抵抗器601a~n(本明細書では、一般に電力抵抗器601と呼ぶ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、各電力抵抗器601は、電圧設定電極104と関連する電源との間に電気的に配置することができる。例えば、電力抵抗器601bは、電圧設定電極104bと電源102a(電圧設定電極104bに電圧レベルを供給する電源)との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、過電圧事象の間、各電力抵抗器601は、加速器構造101と加速管103との間の電圧サージを阻止することができる。電力抵抗器は、典型的には、大量の電力に耐え、かつ消散するように設計されており、高い熱伝導率を有する材料を含むことができる。
【0033】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステム700である。システム100と同様に、システム700は、加速器支持構造101及び加速管103を含むことができる。加速器支持構造101は、電源102、第1の複数の構造絶縁体110、および第2の複数の構造絶縁体112を含むことができる。
【0034】
システム700は、複数のMOV106a~n及び複数の電気絶縁体108a~nを含むことができる。本明細書で先に説明したように、MOV106の配置は、電源102、構造絶縁体110および112、および絶縁体108の両方を、過電圧事象中に電気的破壊および/またはフラッシュオーバを経験することから保護することができる。いくつかの実施形態では、装置700は、複数の水抵抗器701a~n(一般に、本明細書に記載されるように、701)も含むことができる。いくつかの実施形態では、各水抵抗器701は、可変抵抗器(例えば、バリスタ)として動作することができ、電圧によって変化する抵抗を有することができる。MOV106に加えて、水抵抗器701は、過電圧事象中の電気的破壊および/またはフラッシュオーバから電源102、構造絶縁体110および112、および絶縁体108を保護するのにも役立つことができる。いくつかの実施形態では、水抵抗器701は、絶縁体108の両端の電圧の均等な等級づけを確実にすることができる。いくつかの実施形態では、MOV(例えば、106a)、電気絶縁体(例えば、108a)、および水抵抗器(例えば、701a)のそれぞれは、2つの電極(例えば、104aおよび114a)の間に並列に接続され得る。いくつかの実施形態において、これは、加速管103の長さに沿った等級づけ及び保護を均等にすることを確実にするのに役立つことができる。
【0035】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステム800である。システム100と同様に、システム800は、加速器支持構造101及び加速管103を含むことができる。加速器支持構造101は、電源102、第1の複数の構造絶縁体110、および第2の複数の構造絶縁体112を含むことができる。
【0036】
図7に関連して上述したように、システム800は、複数のMOV106a~n、複数の電気絶縁体108a~n、および複数の水抵抗器701a~nを含むことができる。加えて、システム800は、複数の電力抵抗器601a~nを含むことができる。
図6に関連して上述したように、各電力抵抗器601は、電圧設定電極104と関連する電源との間に電気的に配置することができる。例えば、電力抵抗器601bは、電圧設定電極104bと電源102a(電圧設定電極104bに電圧レベルを供給する電源)との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、過電圧事象の間、各電力抵抗器601は、加速器構造101と加速管103との間の電圧サージを阻止することができる。電力抵抗器は、典型的には、大量の電力に耐え、かつ消散するように設計されており、高い熱伝導率を有する材料を含むことができる。
【0037】
図9は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源を保護するための別のシステム900である。システム900は、複数の電気絶縁体108a~nと、複数の水抵抗器701a~nとを含むことができる。加えて、システム900は、複数のMOV901及び902を含むことができる。
図7および
図8に関連して説明したように、水抵抗器701a~nは、電極114間で絶縁体108と直列に接続することができる。いくつかの実施形態では、水抵抗器は、過電圧事象中の電気的破壊および/またはフラッシュオーバからの保護を提供することができ、絶縁体108の両端の電圧を等級付けることができる。いくつかの実施形態では、MOV901及び902は、絶縁体110及び112並びに電源102a~bに対する保護を提供することができる。なお、システム900は、2つのMOV901及び902に限定されず、各電源のためのMOVを含んでもよい。例えば、加速器が、加速管103内に15個の電圧レベルを作り出すために15個の電源を有する場合、このシステムは、各々が電源及び絶縁体と並列に接続された15個のMOVを含むことができる。いくつかの実施形態では、電源側のMOV901及び902は、各電源102内に収容される高感度な部品を保護することができる。
【0038】
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源システムを保護するための別のシステム1000である。上述した
図9と同様のシステム1000は、
図6に関連して説明したものと同様に、複数の電気絶縁体108a~n、複数の水抵抗器701a~n、複数の電源側のMOV901および902、ならびに複数の電力抵抗器601a~nを含むことができる。いくつかの実施形態では、MOV901および901と電力抵抗器601a~nとの組み合わせは、水抵抗器701a~nによって提供され得る保護および電圧等級付け特性に加えて、電源102に対する改善された保護を提供することができる。
【0039】
図11は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源システムを保護するための別のシステム1100である。システム1100は、
図1、
図7、および
図9に記載される種々の部品の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、システム1100は、複数のMOV106a~n、複数の電気絶縁体108a~n、複数の水抵抗器701a~n、及び複数の電源側のMOV901及び902を含むことができる。前の図で説明したように、MOV106、電気絶縁体108、及び水抵抗器701は、電極間に並列に接続することができ、過電圧事象中の電気的破壊及び/又は電気的フラッシュオーバからの保護を提供することができる。また、水抵抗器701は、絶縁体108内の電圧等級付けを補助することができる。
【0040】
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、加速器内の高電圧電源システムを保護するための別のシステム1200である。システム1200は、
図11に記載される部品と同様の部品を含んでもよいが、複数の電力抵抗器601a~nも含んでもよい。いくつかの実施形態では、電力抵抗器601は、
図6に関連して説明したものと類似または同じように動作することができる。各電力抵抗器601は、電圧設定電極104と関連する電源との間に電気的に配置することができる。例えば、電力抵抗器601bは、電圧設定電極104bと電源102a(電圧設定電極104bに電圧レベルを供給する電源)との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、過電圧事象の間、各電力抵抗器601は、加速器構造101と加速管103との間の電圧サージを阻止することができる。電力抵抗器は、典型的には、大量の電力に耐え、かつ消散するように設計されており、高い熱伝導率を有する材料を含むことができる。
【0041】
本発明の主題は、その出願において、構造の詳細、及び以下の説明に記載された又は図面に図示された部品の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明の主題は、他の実施態様が可能であり、様々な方法で実行及び実施されることが可能である。また、本明細書に採用されている言葉遣い及び用語は、説明の目的のためのものであり、限定的なものとみなすべきではないことを理解すべきである。このように、当業者は、本発明が根拠となる概念が、本発明の主題のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、及びシステムの設計の基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱しない限り、均等の構造を含むものとみなすことが重要である。
【0042】
本発明の主題については、前記の例示的な実施形態において説明し、図示したが、本発明は、例としてのみなされたものであり、本発明の主題の実施の詳細については、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、数多くの変更を行うことができることが理解される。