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特許7505812無線LANアクセスポイント、制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】無線LANアクセスポイント、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/16 20150101AFI20240618BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240618BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20240618BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H04B17/16
H04W84/12
H04W88/08
H04B1/04 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023019884
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 英明
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-231917(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0131438(KR,A)
【文献】特開2009-239662(JP,A)
【文献】特開平10-107744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/10 - 17/19
H04W 84/12
H04W 88/08
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN(Local Area Network)インタフェースと、
送信電力測定回路と、
演算部と、
を備える、無線LANアクセスポイントにおいて、
前記演算部
前記無線LANインタフェースと前記送信電力測定回路を、テストモードに移行し、
前記テストモードにおいて、
前記送信電力測定回路は、
前記無線LANインタフェースが出力する送信電力を測定し、
前記演算部は、
前記送信電力測定回路の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外であるかどうかを判断し、
前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である場合には、
前記演算部は、
単一の帯域の信号を出力する前記無線LANインタフェースに対しては信号の送信の停止を指示し、
複数の帯域の信号を出力することができる前記無線LANインタフェースに対しては前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である帯域の信号のみの送信の停止を指示する、
無線LANアクセスポイント。
【請求項2】
前記テストモードにおいて、
前記無線LANインタフェースは、
送信電力測定用のテスト信号を生成して出力する、
請求項1に記載の無線LANアクセスポイント。
【請求項3】
前記送信電力規格を格納する送信電力規格格納部をさらに含む、
請求項1に記載の無線LANアクセスポイント。
【請求項4】
前記演算部は、
起動されたときに、
前記無線LANインタフェースと前記送信電力測定回路を、前記テストモードに移行する、
請求項1に記載の無線LANアクセスポイント。
【請求項5】
送信電力測定時刻になると前記演算部に通知を行う送信電力測定タイマーをさらに含み、
前記演算部は、
前記送信電力測定タイマーから前記通知を受ける度に、
前記無線LANインタフェースと前記送信電力測定回路を、前記テストモードに移行する、
請求項1に記載の無線LANアクセスポイント。
【請求項6】
前記送信電力測定タイマーは、
予め設定された前記無線LANインタフェースの通信量の少ない時間期間に、
前記送信電力測定時刻が設定される、
請求項5に記載の無線LANアクセスポイント。
【請求項7】
アラーム通知部をさらに含み、
前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である場合には、
前記演算部は、
前記アラーム通知部へ、
前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外の状態であることを外部へ通知するように指示する、
請求項1に記載の無線LANアクセスポイント。
【請求項8】
無線LAN(Local Area Network)インタフェースと、
送信電力測定回路と、
を備える、無線LANアクセスポイントにおいて
前記無線LANインタフェースと前記送信電力測定回路を、テストモードに移行し、
前記テストモードにおいて、
前記送信電力測定回路の測定した前記無線LANインタフェースが出力する送信電力の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外であるかどうかを判断し、
前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である場合には、
単一の帯域の信号を出力する前記無線LANインタフェースに対しては信号の送信の停止を指示し、
複数の帯域の信号を出力することができる前記無線LANインタフェースに対しては前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である帯域の信号のみの送信の停止を指示する、
無線LANアクセスポイントの制御方法。
【請求項9】
無線LAN(Local Area Network)インタフェースと、
送信電力測定回路と、
を備える、コンピュータに、
請求項に記載の制御方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント、制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
送信電力測定手段を備える基地局装置については、以下のような文献がある。
【0003】
特許文献1は、受信品質の測定結果を基地局装置に報告し、受信品質の報告結果に基づいて基地局装置で伝送レートを切り替える、基地局装置に関するものである。
【0004】
特許文献2は、通信品質を保持した状態で総送信電力を制御する基地局装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-217772号公報
【文献】特開2002-77040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。
【0007】
無線LANアクセスポイントの送信電力は電波法に基づく技術基準に適合させる必要がある。しかしながら、無線LANアクセスポイントの起動前に内部部品の故障が発生した場合や、送信電力の使用国の設定ミスで、無線LANアクセスポイントが日本国内の電波法に準拠していない送信電力に設定されてしまった場合や、無線LANアクセスポイントの送信電力の制御ソフトウェアにバグがあり、適切な送信電力が設定されない場合がある。このような場合には、無線LANアクセスポイントの送信電力が、電波法の送信電力規格を越えるような、適切でない状態となり、無線LANアクセスポイントが、電波法違反となってしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、無線LANアクセスポイントの送信電力が適切でない場合に、電波法違反となる送信を行うことを防止することを可能とする、無線LANアクセスポイント、制御方法、及び、プログラム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点によれば、無線LAN(Local Area Network)インタフェースと、
送信電力測定回路と、
演算部とを備える、無線LANアクセスポイントにおいて、
演算部が、
無線LANインタフェースと送信電力測定回路を、テストモードに移行し、
テストモードにおいて、
送信電力測定回路は、
無線LANインタフェースが出力する送信電力を測定し、
演算部は、
送信電力測定回路の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外であるかどうかを判断し、
送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外である場合には、
無線LANインタフェースに信号の送信の停止を指示する、
無線LANアクセスポイントを提供できる。
【0010】
本発明の第2の視点によれば、無線LAN(Local Area Network)インタフェースと送信電力測定回路とを備える、無線LANアクセスポイントが、
無線LANインタフェースと送信電力測定回路を、テストモードに移行し、
テストモードにおいて、
送信電力測定回路の測定した無線LANインタフェースが出力する送信電力の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外であるかどうかを判断し、送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外である場合には、無線LANインタフェースに信号の送信の停止を指示する、制御方法を、提供できる。本方法は、制御方法を行うコンピュータという、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
本発明の第3の視点によれば、無線LAN(Local Area Network)インタフェースと、
送信電力測定回路とを備える、コンピュータに、
第2の視点に記載の制御方法、
を実行させるプログラム、を提供できる。
【0012】
なお、これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線LANアクセスポイントの送信電力が適切でない場合に、電波法違反となる送信を行うことを防止することを可能とする、無線LANアクセスポイント、制御方法、及び、プログラム提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の無線LANアクセスポイントの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態の無線LANアクセスポイントの接続構成の一例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイントの構成の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイントの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態の送信電力規格格納部に格納された送信電力規格の情報の一例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態の送信電力の測定結果と送信電力規格の照合結果の一例を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイントの構成の一例を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイントの動作の一例を示す図である。
図9】本発明の無線LANアクセスポイントの演算部を構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態の無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントの構成の一例を示す図である。図1を参照すると、無線LANアクセスポイント100は、無線LANインタフェース103と、送信電力測定回路108と、演算部109を含む。演算部109は、無線LANインタフェース103と送信電力測定回路108を、テストモードに移行する。テストモードにおいて、送信電力測定回路108は、無線LANインタフェース103が出力する送信電力を測定する。演算部109は、送信電力測定回路108の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外であるかどうかを判断し、送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外である場合には、無線LANインタフェース103に信号の送信の停止を指示する。停止を指示された無線LANインタフェース103は、その後、信号の送信の停止を行う。無線LANインタフェース103の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外である場合には、無線LANアクセスポイントの送信電力が適切ではなく、電波法違反となる可能性がある。しかしながら、本発明の一実施形態では、無線LANインタフェース103の送信電力が適切でない場合に、無線LANインタフェース103は信号の送信の停止を指示され、信号の送信の停止を行うので、電波法違反となる送信を行うことを防止することができる。
【0017】
なお、テストモードにおいて、無線LANインタフェース103は、送信電力測定用のテスト信号を生成して出力するようにしてもよい。
【0018】
上記のように、本発明の一実施形態によれば、無線LANアクセスポイントの送信電力が適切でない場合に、電波法違反となる送信を行うことを防止することを可能とする、無線LANアクセスポイント、制御方法、及び、プログラム提供することができる。
【0019】
なお、本発明の一実施形態について、無線LANアクセスポイントを例にして説明したが、本発明の一実施形態は、無線LANアクセスポイントだけでなく、無線LANインタフェースを備えた無線LANクライアントでも同様に実施可能である。
【0020】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイントについて、図面を参照して説明する。図2は、本発明の一実施形態の無線LANアクセスポイントの接続構成の一例を示す図である。図2において、図1と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。図2を参照すると、本発明の一実施形態の無線LANアクセスポイント100は、有線ポートを介して、有線接続により、上位スイッチ200に接続され、無線ポート(アンテナ側)を介して、無線接続により、無線LANクライアント300Aおよび無線LANクライアント300Bに接続されている。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイントの構成の一例を示す図である。図3を参照すると、本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイント100は、アンテナ101、アンテナ切替部102、無線LANインタフェース103、スイッチ104、有線LANインタフェース105、ポート106、送信先切替部107、送信電力測定回路108、演算部109、送信電力規格格納部110、アラーム通知部111を含む。
【0022】
アンテナ101は、アンテナ切替部102に接続されており、図2の無線LANクライアント300Aおよび無線LANクライアント300Bと無線通信するための送受信共用のアンテナである。
【0023】
アンテナ切替部102は、送信/受信信号の切り替えを行うアンテナスイッチである。アンテナ101からの信号を無線LANインタフェース103へ送信し、送信先切替部107からの信号をアンテナ101へ送信する。
【0024】
無線LANインタフェース103は、無線LAN送信回路と無線LAN受信回路を含む、RF(Radio Frequency)回路である。アンテナ切替部102からの信号をスイッチ104へ送信し、スイッチ104からの信号を送信先切替部107へ送信する。また演算部109からテストモードの指示があった場合には、送信先切替部107へテスト信号を送信する。
【0025】
スイッチ104は、MAC(Media Access Control)アドレスに基づき信号転送を行うL2スイッチである。無線LANインタフェース103からの信号を有線LANインタフェース105へ送信し、有線LANインタフェース105からの信号を無線LANインタフェース103へ送信する。なお、図3に記載の構成は、スイッチ104に、1つの無線LANインタフェース103が接続された構成の一例を示しているが、複数の無線LANインタフェース103がスイッチ104に接続された構成でもよい。複数の無線LANインタフェース103がスイッチ104に接続された場合でも、スイッチ104は、スイッチング処理を行うことが可能である。
【0026】
有線LANインタフェース105は、有線LAN送信回路と有線LAN受信回路を含むEthernet(登録商標) PHY(Physical、物理)部である。スイッチ104からの信号をポート106へ送信し、ポート106からの信号をスイッチ104へ送信する。
【0027】
ポート106は、有線LANインタフェース105に接続され、図2に示す上位スイッチ200と有線通信するための有線LANポートである。
【0028】
送信先切替部107は、演算部109の指示に従い、無線LANインタフェース103からの信号をアンテナ切替部102または送信電力測定回路108へ送信する。
【0029】
送信電力測定回路108は、送信先切替部107から受信した信号の電力を測定する測定回路である。
【0030】
演算部109は、無線LANインタフェース103へのテストモード指示、送信先切替部107への切替指示、アラーム通知部111へのアラーム通知指示、送信電力測定回路108および送信電力規格格納部110からのデータ取得及び、判断を行う。
【0031】
送信電力規格格納部110は、送信電力の規格値を格納する格納部である。
【0032】
アラーム通知部111は、演算部109の指示に従い、無線LANインタフェース103がアラーム状態、即ち、送信電力測定回路108による無線LANインタフェース103の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外の状態であることを外部へ通知する通知部である。
【0033】
次に、本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイント100の動作について、図面を参照して、詳細に説明する。図4は、本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイントの動作の一例を示すフローチャートである。図5は、本発明の第1の実施形態の送信電力規格格納部110に格納された送信電力規格の情報の一例を示す図である。図6は、本発明の第1の実施形態の送信電力の測定結果と送信電力規格の照合結果の一例を示す図である。図4において、図3と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。
【0034】
無線LANアクセスポイント100の動作の一例として、無線LANアクセスポイント100が起動し、送信動作開始前に送信電力を測定し、適切な送信電力であるか否かを判断する場合の動作の一例を、図3から図6を参照して説明する。
【0035】
図4を参照すると、図3の無線LANアクセスポイント100が起動すると(ステップS10)、演算部109は、無線LANインタフェース103に対しテストモードへ移行するよう指示を行い、同時に送信先切替部107に対し送信電力測定回路108側へ信号を送信するよう設定する(ステップS11)。
【0036】
無線LANインタフェース103は、テストモードへ移行すると、テスト信号の生成を行い、送信先切替部107へテスト信号を送信する。なお、テスト信号とは、送信電力測定回路108で測定可能な各種無線通信モード(例えば、2.4GHz帯のIEEE802.11b信号、5.6GHz帯のIEEE802.11a信号等)に準拠した信号である。
【0037】
無線LANインタフェース103から送信されたテスト信号は、送信先切替部107を通過して、送信電力測定回路108へ送信される。
【0038】
送信電力測定回路108は、テスト信号を受信すると、テスト信号の電力測定を行い、測定が完了すると、演算部109へ測定結果を通知する(ステップS12)。
【0039】
演算部109は、送信電力測定回路108から送信電力測定結果を受け取ると、送信電力規格格納部110から送信電力規格の情報を取得し、送信電力測定結果と送信電力規格を照合する(ステップS13)。
【0040】
図5に、送信電力規格格納部110に格納された送信電力規格の情報の一例を示す。送信電力規格(出力可能な送信電力範囲)は、無線LANアクセスポイント100が、出荷検査時に調整される電力範囲である。無線LANアクセスポイント100の送信電力が、各周波数帯501の、各通信モード502に対して、この送信電力規格(出力可能な送信電力範囲)503内であれば、電波法規格を満足する送信を行うことが保証される範囲である。
【0041】
再度、図4を参照すると、演算部109は、送信電力測定結果と送信電力規格とを照合した結果、送信電力測定結果が送信電力規格の範囲内であれば、送信電力測定結果を合格と判断し、送信先切替部107に対して、アンテナ切替部102側へ信号を送信するよう設定する(ステップS15)。また、無線LANインタフェース103に対して、通常通信モードへ移行するよう指示を行う(ステップS16)。通常通信モードへ移行する指示により、無線LANインタフェース103は通常通信モードとなり、無線LANアクセスポイント100は、通常の通信動作を行う。
【0042】
演算部109は、送信電力測定結果と送信電力規格と照合した結果、送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外であれば、測定結果を不合格と判断し、無線LANインタフェース103に対して、信号の送信を停止するよう指示を行う(ステップS14参照)。無線LANインタフェース103は、信号の送信を停止する指示を受信すると、信号の送信を停止する。
【0043】
同時に演算部109は、アラーム通知部111に対して、測定結果が不合格であること、即ち、送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外の状態であることの、アラームを、外部へ通知するよう指示する。
【0044】
図3は、1つの無線LANインタフェース103を含む無線LANアクセスポイント100の構成の一例であるが、例えば、2.4GHz帯の無線LANインタフェース103-1と、5.2G/5.3GHz帯の無線LANインタフェース103-2と、5.6GHz帯の無線LANインタフェース103-3を備える無線LANアクセスポイント100を構成してもよい。このような無線LANアクセスポイント100の場合には、一例として、2.4GHz帯の送信電力測定回路108-1と、5.2G/5.3GHz帯の送信電力測定回路108-2と、5.6GHz帯の送信電力測定回路108-3を含むように構成されてもよい。一例として、2.4GHz帯の送信電力測定回路108-1からは2.4GHz帯のテスト信号の送信電力測定結果が演算部109へ送信され、5.2G/5.3GHz帯の送信電力測定回路108-2からは5.2G/5.3GHz帯のテスト信号の送信電力測定結果が演算部109へ送信され、5.6GHz帯の送信電力測定回路108-3からは5.6GHz帯のテスト信号の測定結果が演算部へ送信されてもよい。なお、2.4GHz帯の送信電力測定回路108-1と、5.2G/5.3GHz帯の送信電力測定回路108-2と、5.6GHz帯の送信電力測定回路108-3は、1つの送信電力測定回路108として構成されてもよい。
【0045】
図6は、2.4GHz帯、5.2G/5.3GHz帯、5.6GHz帯の送信電力測定結果504と、送信電力規格の照合結果(判定)505の一例である。図6において、図5と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。
【0046】
図6に示す送信電力の測定結果と送信電力規格の照合結果の一例の場合には、測定結果504に記載された2.4GHz帯の送信電力測定結果は、送信電力規格の範囲外のため照合結果(判定)505に示すように、不合格の判定となり、測定結果504に記載された5.2G/5.3GHz帯、5.6GHz帯の測定結果は、それぞれ、照合結果505に示すように、送信電力規格の範囲内のため、合格の判定となる。この場合、不合格の判定となった、送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である2.4GHz帯の信号のみの送信を停止して、電波法違反となる送信を行うことを防止し、一方、5.2G/5.3GHz帯、5.6GHz帯は通常通信をするようにすることが可能である。
【0047】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、無線LANアクセスポイントの送信電力が適切でない場合に、電波法違反となる送信を行うことを防止することを可能とする、無線LANアクセスポイント、制御方法、及び、プログラム提供することができる。
【0048】
また、送信電力が異常となり、アラーム通知部111により、外部にアラームが通知された無線LANアクセスポイントのシリアルナンバーを収集することにより、そのシリアルナンバーに紐づけられた内部部品のロット番号やソフトウェアバージョンを確認し、ロット不良や特性ソフトウェアに問題がある可能性があるかどうかを確認することが可能である。これは、内部部品のロット不良や特性ソフトウェアバージョンのバグがあった場合に、不具合解析のための情報として有効である。
【0049】
なお、本発明の第1の実施形について、無線LANアクセスポイント100を例にして説明したが、本発明の第1の実施形態は、無線LANアクセスポイント100だけでなく無線LANインタフェースを備えた無線LANクライアント300A、300Bでも同様に利用可能である。
【0050】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイントについて、図面を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイントの構成の一例を示す図である。また、図8は、本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイントの動作の一例を示す図である。図7において、図3と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。図7に記載の本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイント150は、図3に記載の本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイント100に、送信電力測定タイマー112を更に設けた実施形態である。
【0051】
本発明の第1の実施形態の無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100が起動し、送信動作開始前に送信電力を測定し、適切な送信電力であるか否かを判断する構成である。これに対して、本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイント150は、起動時だけなく、指定したタイミングでテストモードへ移行するよう送信電力測定タイマー112を設定することにより、常に適切な送信電力であるか否かを確認することが可能な実施形態である。なお、テストモードは、起動時には行わず、通常運用中にタイマー起動する場合も考えられる。
【0052】
図8は、本発明の第2の実施形態の無線LANアクセスポイントの動作の一例を示す図である。図8は、図4に記載のように、フローチャートのステップS16から、続いて開始する。すなわち、第1の実施形態の図4のフローチャートにおいて、無線LANアクセスポイント150を起動し(ステップS10)、送信電力測定結果と送信電力規格を照合し(ステップS13)、送信電力測定結果を合格と判断して、通常通信モードへ移行し(ステップS16)、無線LANインタフェース103は通常通信モードとなり、無線LANアクセスポイント150が、通常の通信動作を行っている場合に、更に、送信電力測定結果と送信電力規格の照合を実行する場合の動作の一例である。
【0053】
図8において、送信電力測定タイマー112は、送信電力測定時刻が設定されており、送信電力測定時刻になると通知を行うように設定されている。設定された送信電力測定時刻になり、送信電力測定タイマー112が、演算部109へ通知を行った場合には(ステップS17、Yes)、ステップS19へ進む。設定された送信電力測定時刻にならず、送信電力測定タイマー112が、演算部109へ通知を行っていない場合には(ステップS17、No)、ステップS18へ進み、通常通信モードを継続する。
【0054】
送信電力の測定中は、通常通信を停止しなければならないが、例えば、無線LANインタフェースの通信量の少ない時間期間に、予め、送信電力測定タイマー112の送信電力測定時刻を設定することにより、実際の通信に大きな影響を与えないで、送信電力の測定を行うよう設定することが可能である。
【0055】
演算部109は、送信電力測定タイマー112から通知を受け取ると、無線LANインタフェース103に対して、テストモードへ移行するよう指示を行い、同時に送信先切替部107に対して、送信電力測定回路108側へ信号を送信するよう設定する(ステップS19)。
【0056】
図8のステップS19以降の動作については、図8のステップS20、S21、S22、S23において、それぞれ、第1の実施形態の図4のステップS12、S13、S14、S15と同一の内容の動作を実行する。図8においては、ステップS23が終了すると、ステップS17に戻る。この後、送信電力測定タイマー112が、演算部109へ通知しない限り、ステップS16と同じように、通常通信モードを実行する、ステップS18の通常通信モードを実行する。
【0057】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、無線LANアクセスポイントの送信電力が適切でない場合に、電波法違反となる送信を行うことを防止することを可能とする、無線LANアクセスポイント、制御方法、及び、プログラム提供することができる。
【0058】
また、本発明の第2の実施形態は、送信電力測定タイマー112に送信電力測定時刻を設定することにより、定期的に送信電力を確認することができる。これにより、無線LANアクセスポイント150を使用中に偶発的に発生した内部部品の故障を検出することも可能となり、無線LANアクセスポイント150を使用中に偶発的に発生した内部部品の故障により電波法違反となる送信を行うことを防止することが可能である。
【0059】
なお、本発明の第2の実施形について、無線LANアクセスポイントを例にして説明したが、本発明の第2の実施形態は、無線LANアクセスポイントだけでなく無線LANインタフェースを備えた無線LANクライアント300A、300Bでも同様に利用可能である。
【0060】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0061】
また、上記した一実施形態から第2の実施形態に示した手順は、本発明の無線LANアクセスポイント又は無線LANアクセスポイントの演算部として機能するコンピュータ(図9の9000)に、無線LANアクセスポイント又は無線LANアクセスポイントの演算部としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、図9のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、図9のCPU9010にて、無線LANアクセスポイント又は無線LANアクセスポイントの演算部の制御プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメータの更新処理を実施させればよい。
【0062】
メモリ9030は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0063】
即ち、上記した一実施形態から第2の実施形態に示した無線LANアクセスポイント又は無線LANアクセスポイントの演算部の各部(処理手段、機能)は、上記コンピュータのプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0064】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による無線LANアクセスポイントを参照)
[第2の形態]
第1の形態に記載の無線LANアクセスポイントは、前記テストモードにおいて、
前記無線LANインタフェースは、
送信電力測定用のテスト信号を生成して出力する、ことが好ましい。
[第3の形態]
第1の形態に記載の無線LANアクセスポイントは、前記送信電力規格を格納する送信電力規格格納部をさらに含む、ことが好ましい。
[第4の形態]
第1の形態に記載の無線LANアクセスポイントは、前記演算部は、
起動されたときに、
前記無線LANインタフェースと前記送信電力測定回路を、前記テストモードに移行する、ことが好ましい。
[第5の形態]
第4の形態に記載の無線LANアクセスポイントは、送信電力測定時刻になると前記演算部に通知を行う送信電力測定タイマーをさらに含み、
前記演算部は、
前記送信電力測定タイマーから前記通知を受ける度に、
前記無線LANインタフェースと前記送信電力測定回路を、前記テストモードに移行する、ことが好ましい。
[第6の形態]
第5の形態に記載の無線LANアクセスポイントは、前記送信電力測定タイマーは、
予め設定された前記無線LANインタフェースの通信量の少ない時間期間に、
前記送信電力測定時刻が設定される、ことが好ましい。
[第7の形態]
第1の形態に記載の無線LANアクセスポイントは、アラーム通知部をさらに含み、
前記演算部は、前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である場合には、
前記アラーム通知部へ、
前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外の状態であることを外部へ通知するように指示する、ことが好ましい。
[第8の形態]
第1の形態に記載の無線LANアクセスポイントは、前記無線LANインタフェースが、
複数の帯域の信号を出力することができる場合には、
前記演算部は、
前記送信電力測定結果が前記送信電力規格の範囲外である帯域の信号のみの送信の停止を指示する、ことが好ましい。
[第9の形態]
(上記第2の視点による制御方法を参照)
[第10の形態]
(上記第3の視点によるプログラムを参照)
なお、上記第9から10の形態は、第1の形態と同様に、第2から第8の形態に展開することが可能である。
【0065】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0066】
100、150 無線LANアクセスポイント
101 アンテナ
102 アンテナ切替部
103 無線LANインタフェース
104 スイッチ
105 有線LANインタフェース
106 ポート
107 送信先切替部
108 送信電力測定回路
109 演算部
110 送信電力規格格納部
111 アラーム通知部
112 送信電力測定タイマー
200 上位スイッチ
300A、300B 無線LANクライアント
501 周波数帯
502 通信モード
503 送信電力規格
504 測定結果
505 照合結果(判定)
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
【要約】
【課題】無線LANアクセスポイントの送信電力が適切でない場合に、電波法違反となる送信を行うことを防止する無線LANアクセスポイントを提供する。
【解決手段】無線LANアクセスポイントは、無線LAN(Local Area Network)インタフェースと、送信電力測定回路と、演算部とを備える。前記演算部が、無線LANインタフェースと送信電力測定回路を、テストモードに移行し、テストモードにおいて、前記送信電力測定回路は、無線LANインタフェースが出力する送信電力を測定し、演算部は、送信電力測定回路の送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外であるかどうかを判断し、送信電力測定結果が送信電力規格の範囲外である場合には、無線LANインタフェースに信号の送信の停止を指示する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9