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特許7505842融接合保護モジュールおよびこれを含むバッテリシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】融接合保護モジュールおよびこれを含むバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20240618BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240618BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02J7/00 S
H02H7/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023527464
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 KR2022013360
(87)【国際公開番号】W WO2023038400
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0119710
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、キフーン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チャンヨン
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034801(JP,A)
【文献】特開2002-175750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0299500(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02J 7/00
H02H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックの正極と第1出力端との間に連結されている正極コンタクタの融接合により、前記バッテリパックの負極と第2出力端との間に連結されている負極コンタクタを制御する融接合保護モジュールにおいて、
前記正極コンタクタの融接合の有無による融接合検知信号が入力されるセット端および、前記正極コンタクタの一端および他端の間の電圧差による比較信号が入力されるリセット端を含むSRラッチと、
前記SRラッチの反転出力である論理制御信号および前記負極コンタクタを制御する制御信号を論理積演算して補償制御信号を生成するANDゲートとを含む、融接合保護モジュール。
【請求項2】
前記正極コンタクタの一端の電圧と前記正極コンタクタの他端の電圧との間の差が所定の閾値以上であるかを比較して前記比較信号を生成する比較器をさらに含む、請求項1に記載の融接合保護モジュール。
【請求項3】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、
前記比較信号が前記正極コンタクタの一端および他端の間の電圧差が所定の閾値未満を指示するレベルの時、前記論理制御信号により、前記ANDゲートは、前記負極コンタクタを開放させるレベルの補償制御信号を生成する、請求項1または2に記載の融接合保護モジュール。
【請求項4】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、
前記比較信号が前記正極コンタクタの一端および他端の間の電圧差が所定の閾値以上を指示するレベルの時、前記ANDゲートは、前記制御信号の論理レベルに応じて前記補償制御信号を生成する、請求項1または2に記載の融接合保護モジュール。
【請求項5】
前記SRラッチは、
前記比較信号が論理レベル「0」に、前記融接合検知信号が論理レベル「1」に対応するレベルの時、前記論理制御信号を論理レベル「0」に対応するレベルで生成し、
前記比較信号が論理レベル「1」に、前記融接合検知信号が論理レベル「0」に対応するレベルの時、前記論理制御信号を論理レベル「1」に対応するレベルで生成し、
前記比較信号および前記融接合検知信号が論理レベル「0」に対応するレベルの時、前記論理制御信号のレベルを維持する、請求項1または2に記載の融接合保護モジュール。
【請求項6】
バッテリパックの正極と第1出力端との間に連結されている正極コンタクタと、
前記バッテリパックの負極と第2出力端との間に連結されている負極コンタクタと、
前記正極コンタクタおよび前記負極コンタクタの開放および閉鎖を制御し、前記正極コンタクタの融接合の有無によって融接合検知信号を生成するMCU(Main Control Unit)と、
前記正極コンタクタの一端および他端の間の両端の電圧差が所定の閾値以上の時、前記MCUから受信される前記負極コンタクタを制御するための制御信号により前記負極コンタクタを制御し、前記両端の電圧差が前記所定の閾値未満の時、前記制御信号に関係なく前記負極コンタクタを開放に維持する融接合保護モジュールとを含む、バッテリシステム。
【請求項7】
前記融接合保護モジュールは、
前記両端の電圧差が前記所定の閾値以上であるかを比較して比較信号を生成する比較器と、
前記融接合検知信号が入力されるセット端および、前記比較信号が入力されるリセット端を含むSRラッチと、
前記SRラッチの反転出力である論理制御信号および前記制御信号を論理積演算して補償制御信号を生成するANDゲートとを含む、請求項6に記載のバッテリシステム。
【請求項8】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、
前記比較器が、前記両端の電圧差が前記所定の閾値未満を指示するレベルの前記比較信号を生成する時、前記SRラッチは、論理レベル「0」に対応する第1レベルの前記論理制御信号を生成する、請求項7に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
前記ANDゲートは、前記第1レベルの前記論理制御信号により前記負極コンタクタを開放させるレベルの補償制御信号を生成する、請求項8に記載のバッテリシステム。
【請求項10】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、
前記比較器が、前記両端の電圧差が前記所定の閾値以上を指示するレベルの比較信号を生成する時、前記SRラッチは、論理レベル「1」に対応する第2レベルの前記論理制御信号を生成する、請求項7から9のいずれか一項に記載のバッテリシステム。
【請求項11】
前記ANDゲートは、前記第2レベルの前記論理制御信号により、前記制御信号に応じたレベルの前記補償制御信号を生成する、請求項10に記載のバッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年9月8日付の韓国特許出願第10-2021-0119710号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本開示は、融接合保護モジュールおよびこれを含むバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリの正(+)極に連結された正極コンタクタに融接合が発生した状態で、バッテリの負(-)極に連結された負極コンタクタを閉じると、負極コンタクタに突入電流が発生する。すると、正極および負極コンタクタがすべて融接合される状況が発生しうる。
【0004】
バッテリ管理システムに設けられたソフトウェアを用いて、正極コンタクタの融接合が発生すると、負極コンタクタを動作させないことができる。しかし、欠陥クリア(Fault Clear)動作が行われたり、バッテリ管理システムの他のソフトウェアが動作したりして負極コンタクタを閉じることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソフトウェアを用いたコンタクタ保護動作において発生する限界点を改善するためのハードウェアである融接合保護モジュールおよびこれを含むバッテリシステムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一つの特徴による、バッテリパックの正極と第1出力端との間に連結されている正極コンタクタの融接合により、前記バッテリパックの負極と第2出力端との間に連結されている負極コンタクタを制御する融接合保護モジュールは、前記正極コンタクタの融接合の有無による融接合検知信号が入力されるセット端および、前記正極コンタクタの一端および他端の間の電圧差による比較信号が入力されるリセット端を含むSRラッチと、前記SRラッチの反転出力である論理制御信号および前記負極コンタクタを制御する制御信号を論理積演算して補償制御信号を生成するANDゲートとを含む。
【0007】
前記融接合保護モジュールは、前記正極コンタクタの一端の電圧と前記正極コンタクタの他端の電圧との間の差が所定の閾値以上であるかを比較して前記比較信号を生成する比較器をさらに含むことができる。
【0008】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、前記比較信号が前記正極コンタクタの一端および他端の間の電圧差が所定の閾値未満を指示するレベルの時、前記論理制御信号により、前記ANDゲートは、前記負極コンタクタを開放させるレベルの補償制御信号を生成することができる。
【0009】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、前記比較信号が前記正極コンタクタの一端および他端の間の電圧差が所定の閾値以上を指示するレベルの時、前記ANDゲートは、前記制御信号の論理レベルに応じて前記補償制御信号を生成することができる。
【0010】
前記SRラッチは、前記比較信号が論理レベル「0」に、前記融接合検知信号が論理レベル「1」に対応するレベルの時、前記論理制御信号を論理レベル「0」に対応するレベルで生成し、前記比較信号が論理レベル「1」に、前記融接合検知信号が論理レベル「0」に対応するレベルの時、前記論理制御信号を論理レベル「1」に対応するレベルで生成し、前記比較信号および前記融接合検知信号が論理レベル「0」に対応するレベルの時、前記論理制御信号のレベルを維持することができる。
【0011】
発明の他の特徴による、バッテリシステムは、バッテリパックの正極と第1出力端との間に連結されている正極コンタクタと、前記バッテリパックの負極と第2出力端との間に連結されている負極コンタクタと、前記正極コンタクタおよび前記負極コンタクタの開放および閉鎖を制御し、前記正極コンタクタの融接合の有無によって融接合検知信号を生成するMCU(Main Control Unit)と、前記正極コンタクタの一端および他端の間の両端の電圧差が所定の閾値以上の時、前記MCUから受信される前記負極コンタクタを制御するための制御信号により前記負極コンタクタを制御し、前記両端の電圧差が前記所定の閾値未満の時、前記制御信号に関係なく前記負極コンタクタを開放に維持する融接合保護モジュールとを含む。
【0012】
前記融接合保護モジュールは、前記両端の電圧差が前記所定の閾値以上であるかを比較して前記比較信号を生成する比較器と、前記融接合検知信号が入力されるセット端および、前記比較信号が入力されるリセット端を含むSRラッチと、前記SRラッチの反転出力である論理制御信号および前記制御信号を論理積演算して補償制御信号を生成するANDゲートとを含む。
【0013】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、前記比較器が、前記両端の電圧差が前記所定の閾値未満を指示するレベルの前記比較信号を生成する時、前記SRラッチは、論理レベル「0」に対応する第1レベルの前記論理制御信号を生成することができる。前記ANDゲートは、前記第1レベルの前記論理制御信号により前記負極コンタクタを開放させるレベルの補償制御信号を生成することができる。
【0014】
前記正極コンタクタの融接合が検知されて前記融接合検知信号が第1レベルとなり、前記融接合検知信号が前記第1レベルと異なる第2レベルに変更された条件において、前記比較器が、前記両端の電圧差が前記所定の閾値以上を指示するレベルの比較信号を生成する時、前記SRラッチは、論理レベル「1」に対応する第2レベルの前記論理制御信号を生成することができる。前記ANDゲートは、前記第2レベルの前記論理制御信号により、前記制御信号に応じたレベルの前記補償制御信号を生成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、正極コンタクタの融接合発生時に多重コンタクタの融接合を防止して、危険な状況を未然に防止できる融接合保護モジュールおよびこれを含むバッテリシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施例によるバッテリシステムを図式的に示す図である。
図2】一実施例による融接合保護モジュールを示す図である。
図3】一実施例による正常状態におけるバッテリシステムの信号を示すタイミングチャートである。
図4】一実施例による正極コンタクタの融接合状態におけるバッテリシステムの信号を示すタイミングチャートである。
図5】一実施例による正極コンタクタの融接合状態におけるバッテリシステムの信号を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、バッテリの正(+)極に連結された正極コンタクタの融接合発生時に多重コンタクタの融接合を防止するためのハードウェアを提供する。バッテリ管理システムのソフトウェアが正極コンタクタの融接合を診断する場合、SRラッチ(latch)と論理積ゲート(AND Gate)を用いてバッテリ管理システムの任意のソフトウェアがバッテリの負(-)極に連結された負極コンタクタの閉鎖命令を行っても、負極コンタクタが閉じないようにする。本発明は、正極コンタクタの融接合の有無を確認し、融接合状況が解決された時にのみSRラッチをリセットする。
【0018】
以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」および/または「部」は、明細書作成の容易さだけが考慮されて与えられたり混用されたりするものであって、それ自体で互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、明細書に記載された「…部」、「…器」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの結合で実現される。
【0019】
また、本明細書に開示された実施例を説明するにあたり、かかる公知の技術に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨をあいまいにしうると判断された場合、その詳細な説明を省略する。さらに、添付した図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0020】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0021】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いたり、「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいことが理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いたり、「直接接続されて」いたりすると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないことが理解されなければならない。
【0022】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0023】
図1は、一実施例によるバッテリシステムを図式的に示す図である。
【0024】
図1にて、バッテリシステム1の両出力端P+、P-の間には外部装置2が連結されており、リレー21、22が閉じる場合、バッテリパック10と外部装置2とが電気的に連結される。バッテリシステム1の両出力端P+、P-の間にはリンクキャパシタCLが連結されており、リンクキャパシタCLの両端の電圧がバッテリシステム1の出力電圧である。
【0025】
外部装置2が電装負荷の場合、バッテリシステム1は、電装負荷2にエネルギーを供給する電源として動作して放電される。電装負荷は、移動手段またはエネルギー貯蔵システム(energy storage system、ESS)であってもよいし、移動手段は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車またはスマートモビリティ(smart mobility)であってもよい。外部装置2が充電器の場合、バッテリシステム1は、充電器2を介して電力系統からエネルギーを受けて充電される。
【0026】
バッテリシステム1は、バッテリパック10と、正極コンタクタ21と、負極コンタクタ22と、プリチャージコンタクタ23と、プリチャージ抵抗24と、電流センサ25と、融接合保護モジュール30と、バッテリ管理システム(Battery Management System、BMS)100とを含む。
【0027】
バッテリパック10は、直列連結された複数のバッテリセル10_1-10_4を含む。図1には、バッテリパック10が直列連結された4つのバッテリセル10_1-10_4を含むものとして示されているが、これは一例であって、発明がこれに限定されない。例えば、5つ以上のバッテリセルが直列連結されるか、並列連結された2以上のバッテリセルが複数個直列連結されていてもよい。
【0028】
正極コンタクタ21は、バッテリパック10の正極と出力端P+との間に連結されており、負極コンタクタ22は、バッテリパック10の負極と出力端P-との間に連結されており、直列連結されたプリチャージコンタクタ23およびプリチャージ抵抗24は、正極コンタクタ21と並列連結されて、バッテリパック10の正極と出力端P+との間に連結されている。正極コンタクタ21の融接合が発生しない正常状態において、BMS100のメイン制御部(Main Control Unit、MCU)110の制御により、正極、負極、およびプリチャージコンタクタ21、22、23の開放および閉鎖が制御される。正極コンタクタ21は制御信号SR1により、負極コンタクタ22は制御信号SR2により、プリチャージコンタクタ23は制御信号SR3により開放または閉鎖される。
【0029】
電流センサ25は、バッテリパック10に流れる電流を検知し、検知した電流を指示する電流検知信号ISをMCU110に伝送することができる。
【0030】
BMS100は、MCU(Main Control Unit)110と、セル管理モジュール120とを含む。
【0031】
セル管理モジュール120は、複数のバッテリセル10_1-10_4に連結されており、複数のバッテリセル10_1-10_4それぞれのセル電圧および温度を測定してMCU110に伝送し、MCU110から受信されるセルバランシング制御信号により、複数のバッテリセル10_1-10_4のうち特定セルのバランシング動作を行うことができる。
【0032】
MCU110は、バッテリパック10に対する充放電制御、セルバランシング制御、および保護動作制御などに関するプログラムを含むソフトウェアが設けられている。MCU110は、セル管理モジュール120、電流センサ25、および外部から受信された情報および信号に基づき、バッテリパック10の充放電、セルバランシング、保護動作などを制御することができる。
【0033】
外部装置2とバッテリシステム1とが連結されて充電または放電が行われる時、MCU110は、負極コンタクタ22とプリチャージコンタクタ23を閉じ、所定の期間後に正極コンタクタ21を閉じることができる。この時、所定の期間は、プリチャージコンタクタ23を閉じた時点から、リンクキャパシタCLに充電されたリンクキャパシタ電圧がバッテリパック10の電圧対比の所定の比率(例えば、95%)に到達した時点までの期間に設定される。
【0034】
MCU110は、正極コンタクタ21を閉じた後に、プリチャージコンタクタ23を開けることができる。バッテリパック10の充電または放電中には正極コンタクタおよび負極コンタクタ21、22が閉じて、充電電流経路または放電電流経路を構成することができる。MCU110は、複数の制御信号SR1-SR3のレベルを調節して、正極コンタクタ、負極コンタクタ、およびプリチャージコンタクタの開放または閉鎖を制御することができる。
【0035】
バッテリシステム1が電気的に連結遮断されるオフの時に、MCU110は、正極コンタクタ21の一端の電圧VAおよび正極コンタクタ21の他端の電圧VBの間の所定の閾値未満の時、正極コンタクタ21の融接合状態と判断することができる。電圧VAは、バッテリパック10の正極に隣接した正極コンタクタ21の一端の電圧であり、電圧VBは、出力端P+に隣接した正極コンタクタ21の他端の電圧であってもよい。
【0036】
MCU110は、正極コンタクタ21の融接合状態を検知し、検知された状態を指示する融接合検知信号CSTを生成する。MCU110は、正極コンタクタ21の融接合状態を検知する場合、ハイレベルの融接合検知信号CSTを生成し、融接合状態でない正常状態の場合、ローレベルの融接合検知信号CSTを生成することができる。MCU110は、外部から供給される融接合クリア信号により融接合検知信号CSTをローレベルで生成することができる。例えば、正極コンタクタ21の融接合が整備によって物理的に解決される場合、BMS100が外部から通信により融接合クリア信号を受信し、これをMCU110に伝達することができる。すると、MCU110は、ハイレベルの融接合検知信号CSTをローレベルにリセットすることができる。
【0037】
融接合保護モジュール30は、MCU110から制御信号SR2を受信し、正極コンタクタ21が融接合状態の時は、制御信号SR2のレベルに関係なく負極コンタクタ22を開放させるレベルの補償制御信号SRC2を生成して負極コンタクタ22に供給し、正極コンタクタ21が融接合でない正常状態の時は、制御信号SR2のレベルに応じて補償制御信号SRC2を生成して負極コンタクタ22に供給することができる。
【0038】
図2は、一実施例による融接合保護モジュールを示す図である。
【0039】
融接合保護モジュール30は、比較器31と、SRラッチ32と、ANDゲート33とを含む。
【0040】
比較器31は、正極コンタクタ21の一端の電圧VAと他端の電圧VBとを比較して、電圧VAと電圧VBとの間の差が所定の閾値以上の時、ハイレベルの出力を生成し、そうでない場合、ローレベルの出力を生成する。比較器31の出力を比較信号CSという。
【0041】
比較器31は、正極コンタクタ21の融接合の有無を判断するための構成であり、正極コンタクタ21が融接合状態でない正常状態の時、電圧VAと電圧VBとの間の閾値以上であるので、比較器31は、ハイレベルの比較信号CSを生成して出力することができる。正極コンタクタ21が融接合状態の時、電圧VAと電圧VBとの間の差が閾値より小さいので、比較器31は、ローレベルの比較信号CSを生成して出力することができる。
【0042】
SRラッチ32は、セット端Sに供給される信号の論理レベルとリセット端Rに供給される信号の論理レベルに応じた出力および反転出力を出力端Qおよび反転出力端Q'を介して提供することができる。一実施例では、SRラッチ32の反転出力がANDゲート33に提供され、SRラッチ32の反転出力を論理制御信号LCSという。SRラッチ32のセット端Sおよびリセット端Rに供給される信号の論理レベルは、「0」または「1」であってもよい。SRラッチ32のセット端Sには融接合検知信号CSTが入力され、SRラッチ32のリセット端Rには比較信号CSが入力される。
【0043】
SRラッチ32がセット端Sおよびリセット端Rに入力される信号の論理レベルに応じて出力および反転出力それぞれの論理レベルを決定する方式は、下記表1の通りである。
【0044】
【表1】
【0045】
ANDゲート33は、制御信号SR2と論理制御信号LCSとを論理積演算して補償制御信号SRC2を生成する。論理制御信号LCSが論理レベル「0」に対応するローレベルの場合、ANDゲート33は、制御信号SR2のレベルに関係なくローレベルの補償制御信号SRC2を生成する。負極コンタクタ22は、補償制御信号SRC2により開放される。論理制御信号LCSがローレベルの期間、負極コンタクタ22は、開放状態に維持される。論理制御信号LCSが論理レベル「1」に対応するハイレベルの場合、ANDゲート33は、制御信号SR2の論理レベルに応じて補償制御信号SRC2を生成する。つまり、制御信号SR2が負極コンタクタ22の閉鎖を指示する論理レベル「1」に対応するハイレベルの時、ANDゲート33は、ハイレベルの補償制御信号SRC2を生成する。制御信号SR2が負極コンタクタ22の開放を指示する論理レベル「0」に対応する論理レベルの時、ANDゲート33は、ローレベルの補償制御信号SRC2を生成する。負極コンタクタ22は、ハイレベルの補償制御信号SRC2により閉じ、ローレベルの補償制御信号SRC2により開放される。
【0046】
以下、図3図5を参照して、一実施例による融接合保護モジュールの動作を説明する。
【0047】
図3は、一実施例による正常状態におけるバッテリシステムの信号を示すタイミングチャートである。
【0048】
まず、時点T1で制御信号SR2がハイレベルとなって、負極コンタクタ22が閉じる。時点T2で制御信号SR3がハイレベルとなって、プリチャージコンタクタ23が閉じる。時点T1が時点T2より早かったり、2つの時点T1およびT2が同一であったりしてもより。時点T3で制御信号SR1がハイレベルとなって、正極コンタクタ21が閉じ、時点T4で制御信号SR3がローレベルとなって、プリチャージコンタクタ23が開かれる。
【0049】
時点T3の前には正極コンタクタ21が開放状態であるので、正常状態において電圧VAと電圧VBとの間の電圧差が閾値以上であり、比較信号CSはハイレベルである。正常状態であるので、融接合検知信号CSTはローレベルである。したがって、論理制御信号LCSはハイレベルの比較信号CSによりハイレベルである。
【0050】
時点T3の後に正極コンタクタ21が閉じて、電圧VAと電圧VBとの間の電圧差が閾値未満であり、比較信号CSはローレベルである。融接合検知信号CSTおよび比較信号CSがローレベルであるので、SRラッチ32は、論理制御信号LCSをハイレベルに維持する。ANDゲート33にハイレベルの論理制御信号LCSが入力されるので、ANDゲート33は、制御信号SR2により補償制御信号SRC2を生成する。したがって、補償制御信号SRC2は、制御信号SR2と同一の波形であってもよい。
【0051】
時点T5で制御信号SR1、SR2がローレベルとなって、正極コンタクタ21および負極コンタクタ22が開放される。時点T5の後に電圧VAと電圧VBとの間の電圧差が閾値以上であり、比較信号CSはハイレベルである。SRラッチ32は、ハイレベルの比較信号CSにより論理制御信号LCSをハイレベルに維持し続ける。
【0052】
一実施例では、正極コンタクタ21が開放された後、MCU110が正極コンタクタ21の融接合の有無を診断する。例えば、時点T6でMCU110が正極コンタクタ21の融接合を検知して融接合検知信号CSTがハイレベルに上昇できる。
【0053】
図4は、一実施例による正極コンタクタの融接合状態におけるバッテリシステムの信号を示すタイミングチャートである。
【0054】
図4には、正極コンタクタ21の融接合が検知された後、実際に正極コンタクタ21の融接合が解決されず、MCU110に設けられたソフトウェアによって欠陥クリア(Fault clear)が行われて、時点T7で融接合検知信号CSTがハイレベルからローレベルに変更された場合に関するタイミングチャートである。
【0055】
時点T7の後に、融接合検知信号CSTはローレベルであるが、比較信号CSがローレベルであるので、論理制御信号LCSはローレベルに維持される。したがって、ANDゲート33は、制御信号SR2に関係なくローレベルの補償制御信号SRC2を出力する。例えば、時点T8で制御信号SR2がハイレベルに上昇するが、補償制御信号SRC2はローレベルに維持される。
【0056】
図5は、一実施例による正極コンタクタの融接合状態におけるバッテリシステムの信号を示すタイミングチャートである。
【0057】
図5には、正極コンタクタ21の融接合が検知された後、実際に正極コンタクタ21の融接合が解決された後、MCU110に設けられたソフトウェアによって欠陥クリア(Fault clear)が行われたり、外部から欠陥クリアのための信号がBMS100に伝達されたりした場合に関するタイミングチャートである。例えば、時点T9で正極コンタクタ21の融接合が解決されたものと仮定する。
【0058】
時点T9で正極コンタクタ21の融接合が解決されて電圧VAと電圧VBとの間の電圧差が閾値以上となり、比較信号CSはハイレベルとなる。時点T10で、欠陥クリアによって融接合検知信号CSTがハイレベルからローレベルに変更される。時点T10の後に、SRラッチ32は、ハイレベルの比較信号CSおよびローレベルの融接合検知信号CSTによりハイレベルの論理制御信号LCSを生成する。したがって、ANDゲート33は、制御信号SR2により補償制御信号SRC2のレベルを決定して出力する。
【0059】
例えば、時点T11で制御信号SR2がハイレベルに上昇すれば、ANDゲート33は、補償制御信号SRC2をローレベルからハイレベルに変更する。ロー維持される。
【0060】
本明細書において、論理レベル「0」に対応する信号レベルはローレベルであり、論理レベル「1」に対応する信号レベルはハイレベルであると説明した。例えば、MCU110から出力される制御信号SR1-SR3および融接合検知信号CST、SRラッチ32の入出力信号、比較器31の出力信号、ANDゲート33の入出力信号は論理レベル「0」に対応してローレベルであり、論理レベル「1」に対応してハイレベルであってもよい。ただし、これは発明を説明するための一例であって、発明がこれに限定されるものではない。
【0061】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5