(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】測定装置により測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01Q 10/04 20100101AFI20240618BHJP
G01Q 60/32 20100101ALI20240618BHJP
G01Q 60/34 20100101ALI20240618BHJP
G01Q 20/02 20100101ALI20240618BHJP
【FI】
G01Q10/04
G01Q60/32
G01Q60/34
G01Q20/02
(21)【出願番号】P 2023513929
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 KR2021013064
(87)【国際公開番号】W WO2022065928
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0123731
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0125981
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515304628
【氏名又は名称】パーク システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、アージン
(72)【発明者】
【氏名】ベイク、セウン フン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、セオンフン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ビョウン-ウーン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン-イル
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-132823(JP,A)
【文献】特開2018-165690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01Q 10/04
G01Q 60/32
G01Q 60/34
G01Q 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップと測定対象の表面間の相互作用を測定することで前記測定対象の特性を測定する測定装置により前記測定対象の表面の特性を測定する方法において、
前記測定対象の表面の特定の位置に前記チップが接触するように位置させるアプローチステップ
;
接触した前記チップを前記測定対象の表面から離隔させるリフトステップ;
及び
特定の位置でのリフトステップが完了した後、他の位置でのアプローチステップが遂行される前に、前記チップを前記他の位置上に位置させるためのシフトステップ;を前記測定対象の表面の複数の位置に対して繰り返し遂行し、
前記アプローチステップ及び前記リフトステップの一部または全部で前記チップが振動するように制御され、
前記アプローチステップが進行しながら前記チップが前記測定対象の表面に近接するにつれ前記チップの振幅は減少し、前記チップの自由振動時の振幅より小さな振幅A以下と前記チップの振幅が感知されたとき、前記チップの振幅の変化に基づく制御をターンオフ(turn off)し、
前記チップが前記測定対象の表面を特定の力で押すように制御され、
上記アプローチステップでは、前記チップの振幅が減少することに比例して、アプローチ速度が減少して、
前記シフトステップの間、前記チップは、自由振動するように制御され、
前記シフトステップにおいて、前記チップと前記測定対象間のZ方向変位が変わらないように前記チップをX方向に相対移動させ、前記チップをX方向に相対移動させる際に前記チップの振幅が減少するときに前記チップと前記測定対象間のZ方向変位が増加するように前記チップをZ方向に相対移動させ、前記チップの振幅が事前に設定された振幅-セットポイントに到達したときに前記チップの相対移動を停止する、測定対象の表面の特性を測定する方法。
【請求項2】
前記リフトステップの間、前記チップは、自由振動するように制御され、
前記チップの振幅の変化により前記チップのリフト高さを制御するように構成される、請求項
1に記載の測定対象の表面の特性を測定する方法。
【請求項3】
前記リフトステップが進行しながら前記チップが前記測定対象の表面から離れるにつれ前記チップの振幅は増加し、前記チップの自由振動時の振幅より小さな振幅Bと前記チップの振幅が感知されたとき、リフト動作を止めるように制御される、請求項
2に記載の測定対象の表面の特性を測定する方法。
【請求項4】
前記アプローチステップで、原子顕微鏡の接触モード制御と非接触モード制御が区間を別にしてそれぞれ遂行される、請求項
1に記載の測定対象の表面の特性を測定する方法。
【請求項5】
前記リフトステップで、原子顕微鏡の接触モード制御と非接触モード制御が区間を別にしてそれぞれ遂行される、請求項
1に記載の測定対象の表面の特性を測定する方法。
【請求項6】
チップとカンチレバーを備える探針部により、測定対象の表面を測定するように構成された原子顕微鏡において、
前記チップが前記測定対象の表面に対してXY方向に相対移動するように、前記測定対象を移動させるように構成されるXYスキャナ;
前記探針部が取り付けられ得るように構成され、前記カンチレバーの振動または反りを測定できる光学システム及び前記光学システムにより得られるデータに基づいて前記チップと前記測定対象の表面間の距離を制御するように前記探針部をZ方向に移動させるように構成されるZスキャナを含むヘッド;及び
前記XYスキャナ及び前記ヘッドを制御するコントローラ;を含み、
前記コントローラは、
前記測定対象の表面の特定の位置に前記チップが接触するように位置させるアプローチステップ
;
接触した前記チップを前記測定対象の表面から離隔させるリフトステップ;
及び
特定の位置でのリフトステップが完了した後、他の位置でのアプローチステップが遂行される前に、前記チップを前記他の位置上に位置させるためのシフトステップ;を前記測定対象の表面の複数の位置に対して繰り返し遂行し、
前記アプローチステップ及び前記リフトステップの一部または全部で前記チップが振動するように制御され、
前記アプローチステップが進行しながら前記チップが前記測定対象の表面に近接するにつれ前記チップの振幅は減少し、前記チップの自由振動時の振幅より小さな振幅A以下と前記チップの振幅が感知されたとき、前記チップの振幅の変化に基づく制御をターンオフ(turn off)し、
前記チップが前記測定対象の表面を特定の力で押すように制御され、
上記アプローチステップでは、前記チップの振幅が減少することに比例して、アプローチ速度が減少して、
前記シフトステップの間、前記チップは、自由振動するように制御され、
前記シフトステップにおいて、前記チップと前記測定対象間のZ方向変位が変わらないように前記チップをX方向に相対移動させ、前記チップをX方向に相対移動させる際に前記チップの振幅が減少するときに前記チップと前記測定対象間のZ方向変位が増加するように前記チップをZ方向に相対移動させ、前記チップの振幅が事前に設定された振幅-セットポイントに到達したときに前記チップの相対移動を停止するように構成される、原子顕微鏡。
【請求項7】
前記請求項1に記載の方法を遂行するために格納媒体に格納されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置により測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラムに関し、より具体的には、より速い測定速度を有しながらチップの摩耗も減らすことができ、深くて狭いトレンチ構造の測定に適した、測定装置により測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラムに格納されたコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
走査探針顕微鏡(SPM、Scanning Probe Microscope)は、MEMS工程等を通して作製された微細なチップ(プローブ)を試料の表面上にスキャンさせながら(Scanning)、その測定対象の表面特性を測定して3Dイメージで示す顕微鏡をいう。このような走査探針顕微鏡は、測定方式によって、原子顕微鏡(AFM、Atomic Force Microscope)、走査トンネリング顕微鏡(STM、Scanning Tunneling Microscope)等に細分化される。
【0003】
走査探針顕微鏡でチップが測定対象の表面に追随しながらスキャンすることが一般的であるが、チップと測定対象の表面間の間隔をフィードバック制御するとしてもチップと測定対象の表面間の衝突は起こるようになり、チップが損傷される原因になる。このような損傷を減らそうとチップを測定対象の表面にアプローチし、一定高さにチップを持ち上げ、他の位置にチップを移動させ、またチップを測定対象の表面にアプローチする動作を繰り返すことで、特定の地点だけの高さをそれぞれ測定して測定対象の表面のトポグラフィーを得る試みがあってきた(特許文献1参照)。
【0004】
また、チップ損傷を最小化させるという目的の他に、EFMやMFMのようなオプション信号で測定対象の表面の屈曲イメージが反映されないように、上述した技術を活用する試みもあってきた(特許文献2参照)。このような技術を別名ピンポイントモード(PinPoint Mode)と称することもある。
【0005】
一方、半導体の微細化、集積化が進むにつれ、狭くて深いトレンチ(Trench)構造が生じた。このような狭くて深いトレンチの形状を得るために原子顕微鏡のような走査探針顕微鏡が活用されるが、狭くて深いという形状特性上、少なくともトレンチの高さよりは長いチップを選定しなければならない。また、トレンチの側壁との干渉が最小化されるようにチップはできるだけ薄くなければならない。このようなチップの制限要素のため、長いチップが狭くて深いトレンチの表面に追随するように制御することは非常に難しい。
【0006】
これによって、狭くて深いトレンチ形状を測定するためにピンポイントモードが活用されることもある。しかし、長いチップを利用したピンポイントモードの作動にはチップを持ち上げるのに過度な時間所要を伴い、スループット(throughput)を害する要素と作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特開2004-132823号(発明の名称:サンプリング走査プローブ顕微鏡及び走査方法)
【文献】韓国登録特許第10-2102637号(発明の名称:トポグラフィー信号及びオプション信号獲得方法、装置及びそれを備える原子顕微鏡)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたものであって、より速い測定速度を有しながらチップの摩耗も減らすことができ、深くて狭いトレンチ構造の測定に適した、測定装置により測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラムを提供することにある。
【0009】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の一実施例に係る方法は、チップと測定対象の表面間の相互作用を測定することで前記測定対象の特性を測定する測定装置により前記測定対象の表面の特性を測定する方法である。本方法は、前記測定対象の表面の特定の位置に前記チップが接触するように位置させるアプローチステップ;及び接触した前記チップを前記測定対象の表面から離隔させるリフトステップ;を前記測定対象の表面の複数の位置に対して繰り返し遂行し、前記アプローチステップ及び前記リフトステップの一部または全部で前記チップが振動するように制御され、前記チップの振動特性の変化によって前記チップの移動特性が制御される。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記チップは、自由振動するように制御され、前記チップの振動特性は、振幅である。
【0012】
本発明のまた他の特徴によれば、前記アプローチステップの間、前記チップは、自由振動するように制御され、前記チップの振幅の変化により前記測定対象の表面に対する前記チップの接近速度を制御するように構成される。
【0013】
本発明のまた他の特徴によれば、前記アプローチステップが進行しながら前記チップが前記測定対象の表面に近接するにつれ前記チップの振幅は減少し、前記チップの自由振動時の振幅より小さな振幅A以下と前記チップの振幅が感知されたとき、前記チップの振幅の変化に基づく制御をターンオフ(turn off)し、前記チップが前記測定対象の表面を特定の力で押すように制御される。
【0014】
本発明のまた他の特徴によれば、前記リフトステップの間、前記チップは、自由振動するように制御され、前記チップの振幅の変化により前記チップのリフト高さを制御するように構成される。
【0015】
本発明のまた他の特徴によれば、前記リフトステップが進行しながら前記チップが前記測定対象の表面から離れるにつれ前記チップの振幅は増加し、前記チップの自由振動時の振幅より小さな振幅Bと前記チップの振幅が感知されたとき、前記リフト動作を止めるように制御される。
【0016】
本発明のまた他の特徴によれば、特定の位置でのリフトステップが完了した後、他の位置でのアプローチステップが遂行される前に、前記チップを前記他の位置上に位置させるためのシフトステップをさらに含み、前記シフトステップの間、前記チップは、自由振動するように制御され、前記シフトステップの間、前記チップの振動特性が一定であるように前記チップの移動経路が制御される。
【0017】
本発明のまた他の特徴によれば、前記アプローチステップで、原子顕微鏡の接触モード制御と非接触モード制御が区間を別にしてそれぞれ遂行される。
【0018】
本発明のまた他の特徴によれば、前記リフトステップで、原子顕微鏡の接触モード制御と非接触モード制御が区間を別にしてそれぞれ遂行される。
【0019】
前記課題を解決するための本発明の一実施例に係る原子顕微鏡は、チップとカンチレバーを備えた探針部により、測定対象の表面を測定するように構成された原子顕微鏡である。この原子顕微鏡は、前記チップが前記測定対象の表面に対してXY方向に相対移動するように、前記測定対象を移動させるように構成されるXYスキャナ;前記探針部が取り付けられ得るように構成され、前記カンチレバーの振動または反りを測定できる光学システム及び前記光学システムにより得られるデータに基づいて前記チップと前記測定対象の表面間の距離を制御するように前記探針部をZ方向に移動させるように構成されるZスキャナを含むヘッド;及び、前記XYスキャナ及び前記ヘッドを制御するコントローラ;を含む。前記コントローラは、前記測定対象の表面の特定の位置に前記チップが接触するように位置させるアプローチステップ;及び接触した前記チップを前記測定対象の表面から離隔させるリフトステップ;を前記測定対象の表面の複数の位置に対して繰り返し遂行し、前記アプローチステップ及び前記リフトステップの一部または全部で前記チップが振動するように制御され、前記チップの振動特性の変化によって前記チップの移動特性を制御するように構成される。
【0020】
前記課題を解決するための本発明の一実施例に係るコンピュータプログラムは、上述した方法を遂行するための格納媒体に格納される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方法によれば、より速い測定速度を有しながらチップの摩耗も減らすことができ、深くて狭いトレンチ構造の測定に適したピンポイントモードを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】XYスキャナとZスキャナが分離された原子顕微鏡の概略的な斜視図である。
【
図2】光学システムを利用して測定対象を測定する方式を説明した概念図である。
【
図3】本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法の概略的なフローチャートである。
【
図4】本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法を概略化して示した概念図である。
【
図5】
図4の各ステップの遂行による制御方式を時系列的に示したグラフである。
【
図6】アプローチステップでのF-DカーブとA-Dカーブを示す。
【
図7】
図6のF-DカーブとA-Dカーブの合成カーブとこれによるV-D関係図を示す。
【
図9】シフトステップで異常状況が発生した時の制御方式を時系列的に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、明確になるだろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され、単に、本実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
【0024】
第1、第2等が多様な構成要素を述べるために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないことはもちろんである。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。従って、以下において言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよいことはもちろんである。併せて、第1コーティング後、第2コーティングを行うと記載したとしても、その反対の順にコーティングを行うことも本発明の技術的思想内に含まれることはもちろんである。
【0025】
本明細書において図面符号を使用するにあたって、図面が異なる場合でも同じ構成を示している場合は、できるだけ同じ図面符号を使用する。
【0026】
図面で示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために示されたものであり、本発明は、示された構成の大きさ及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0027】
本発明を実行するための原子顕微鏡の構成
まず、本発明の方法を遂行するための測定装置としての原子顕微鏡の構成について例示として説明する。
【0028】
図1は、XYスキャナとZスキャナが分離された原子顕微鏡の概略的な斜視図であり、
図2は、光学システムを利用して測定対象を測定する方式を説明した概念図である。
【0029】
図1を参照すると、原子顕微鏡100は、探針部110と、XYスキャナ120と、ヘッド130と、Zステージ140と、固定フレーム150と、コントローラ160を含んで構成される。
【0030】
探針部110は、カンチレバー111とチップ112を備え、チップ112が測定対象1の表面に接触または非接触状態で沿うように構成される。探針部110は、以下の他の構成と別に提供され得、後述するヘッド130に固定して使用する。
【0031】
XYスキャナ120は、チップ112が測定対象1の表面に対して第1方向に相対移動するように、測定対象1を移動させるように構成される。具体的に、XYスキャナ120は、測定対象1をXY平面でX方向及びY方向にスキャンするように機能する。
【0032】
ヘッド130は、探針部110が取り付けられ得るように構成され、カンチレバー111の振動または反りを測定できる光学システム及びこの光学システムにより得られるデータに基づいてチップと測定対象の表面間の距離を制御するように探針部110を少なくとも第2方向及びその反対方向に移動させるように構成されるZスキャナ131を含む。光学システムは、
図2を参照して後述する。ここで、Zスキャナ131は、探針部110を比較的に小さな変位で移動させる。
【0033】
Zステージ140は、探針部110とヘッド130を相対的に大きな変位でZ方向に移動させる。
【0034】
固定フレーム150は、XYスキャナ120とZステージ140を固定する。
【0035】
コントローラ160は、少なくともXYスキャナ120、ヘッド130及びZステージ140を制御するように構成される。
【0036】
一方、原子顕微鏡110は、大きな変位でXYスキャナ120をXY平面上で移動させることができるように構成される図示しないXYステージをさらに含むことができる。この場合、XYステージは、固定フレーム150に固定されるだろう。
【0037】
原子顕微鏡100は、測定対象1の表面を探針部110でスキャンしてトポグラフィー(topography)等のイメージを得る。測定対象1の表面と探針部110間の相対移動は、XYスキャナ120により行われ得、測定対象1の表面に沿うように探針部110を上下に移動させることは、Zスキャナ131により行われ得る。一方、探針部110とZスキャナ131は、プローブアーム(probe arm)132により連結される。
【0038】
図2を参照すると、XYスキャナ120は、測定対象1を支持し、測定対象1をXY方向にスキャンする。XYスキャナ120の駆動は、例えば、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)により発生でき、本実施例のようにZスキャナ131と分離された場合は、積層された圧電駆動機(staced piezo)を使用することもできる。XYスキャナ120については、本出願人が登録権者である韓国登録特許第10-0523031号(発明の名称:走査探針顕微鏡でのXYスキャナ及びその駆動方法)及び第10-1468061号(発明の名称:スキャナの制御方法とそれを利用したスキャナ装置)を参照する。
【0039】
Zスキャナ131は、探針部110と連結され、探針部110の高さを調節できる。Zスキャナ131の駆動もXYスキャナ120のように圧電アクチュエータにより行われてもよい。Zスキャナ131については、本出願人が登録権者である韓国登録特許第10-1476808号(発明の名称:スキャナ装置及びそれを含む原子顕微鏡)を参照する。Zスキャナ131が収縮すると、探針部110は、測定対象1の表面から遠くなり、Zスキャナ131が拡張されると、探針部110は、測定対象1の表面に近くなる。
【0040】
XYスキャナ120とZスキャナ131は、
図1及び
図2のように分離されて別個の部材で存在することもできるが、チューブ型圧電アクチュエータにより一つの部材に統合されて存在することもできる。このようなチューブ型圧電アクチュエータの場合、XY方向の移動とZ方向の移動を共に行うことができるが、XY方向への挙動とZ方向への挙動がカップリングされてイメージを歪める問題を有している。しかし、このような限界にもかかわらず、このような構造が本発明に活用され得ることはもちろんである。このようなXYZ統合型スキャナは、米国特許公開第2012-0079635A1(発明の名称:Methods and devices for correcting errors in atomic force microscopy)等に開示されており、この他にも公知の原子顕微鏡の構造が使用され得る。
【0041】
ヘッド130は、探針部110のカンチレバー111の振動または反りを測定できる光学システムを有し、この光学システムは、レーザ発生ユニット132とディテクタ(detector)133を含む。
【0042】
レーザ発生ユニット132では、レーザ光(点線で示す)を探針部110のカンチレバー111の表面に照射し、カンチレバー111の表面から反射したレーザ光は、PSPD(Position Sensitive Photo Detector)のような2軸のディテクタ133に結像する。このようなディテクタ133で検出される信号は、制御のためにコントローラ160に送られる。
【0043】
コントローラ160は、XYスキャナ120とZスキャナ131と連結されて、XYスキャナ120とZスキャナ131の駆動を制御する。また、コントローラ160は、ディテクタ133から得られた信号をADCコンバータによりデジタル信号に変換し、これを活用して探針部110のカンチレバー111の反り、ねじれ等の程度を判断できる。コントローラ160には、コンピュータが統合されていてもよく、別途のコンピュータとコントローラ160と連結されていてもよい。コントローラ160は、一つに統合されてラックに入れられてもよいが、2つ以上に分割されて存在してもよい。
【0044】
コントローラ160は、測定対象1をXYスキャナ120によりXY方向にスキャンできるようにXYスキャナ120を駆動する信号を送る一方、探針部110が測定対象1の表面と一定の相互力を有するように(即ち、カンチレバー111が一定の程度の反りを維持するように、またはカンチレバー111が一定の振幅で振動するように)Zスキャナ131を制御する。即ち、コントローラ160は、ソフトウェア的なまたは電気回路的な閉ループフィードバックロジック(closed loof feedback logic)を有する。また、コントローラ160は、Zスキャナ131の長さ(またはZスキャナ131に使用されたアクチュエータの長さ)を測定するか、Zスキャナ131に使用されたアクチュエータに印加される電圧等を測定することで、測定対象1の表面の形状データ(topography)を得る。
【0045】
ここで、探針部110のチップ112は、測定対象1の表面と接触した状態で測定対象1の表面と相対移動をすることもでき(これを「接触モード」という)、表面と接触していない状態で振動しながら測定対象1の表面と相対移動をすることもでき(これを「非接触モード」という)、また測定対象1の表面を叩く状態で振動しながら測定対象1の表面と相対移動をすることもできる(これを「タッピングモード」(tapping mode)という)。このような多様なモードは、既存に開発されたモードに該当するので、詳細な説明は省略する。
【0046】
一方、コントローラ160が得る測定対象1の表面に関するデータは、形状データ以外に多様であり得る。例えば、探針部110に磁力を帯びるようにするか、静電力等を加える特殊な処理をすることで、測定対象1の表面の磁力に関するデータ、静電気力に関するデータ等を得ることができる。このような原子顕微鏡のモードは、MFM(Magnetic Force Microscopy)、EFM(Electrostatic Force Microscopy)等があり、これは公知の方法を使用して具現され得る。この他にも、測定対象1の表面に関するデータは、表面の電圧、表面の電流等であってもよい。
【0047】
一方、ヘッド130の構成は、説明の便宜上、必須な構成要素のみを記載しただけで、この他の光学システム等の具体的な構成は省略したことに留意すべきであり、例えば、ヘッド130には、韓国登録特許第10-0646441号に開示された構成がさらに含まれ得る。
【0048】
測定対象の表面の特性を測定する方法
以下、添付の図面を参考にして本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法の実施例について説明する。
【0049】
図3は、本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法の概略的なフローチャートであり、
図4は、本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法を概略化して示した概念図である。
【0050】
図3を参照すると、本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法は、チップと測定対象の表面間の相互作用を測定することで測定対象の特性を測定する
図1及び
図2において例示した原子顕微鏡100のような測定装置によりなされ、アプローチステップ(S10)と、リフトステップ(S20)と、シフトステップ(S30)を含む。以下、本方法についての説明は、
図1及び
図2も共に参照する。
【0051】
まず、測定対象の表面の特定の位置(第1位置)にチップ112が接触するように位置させる(アプローチステップ、S10)。
【0052】
図4を参照すると、本ステップ(S10)で、測定装置は、a地点に位置したチップの端をb地点(第1位置)に送って接触させる動作を遂行する。a地点は、任意の位置であって、以前のシフトステップ(S30)が完了した後のチップ112の端の位置であってよい。アプローチ後のチップ112の位置(第1位置)は、測定しようとする任意の地点である。
【0053】
アプローチステップ(S10)は、Zスキャナ131を利用してチップ112を測定対象1の表面に近接させることでなされる。アプローチステップ(S10)は、チップ112の端が測定対象1の表面を特定の力で押すようにすることで完了する。チップ112の端が特定の力で押されるとカンチレバー111が反るようになり、カンチレバー111の反りは、レーザ発生ユニット133とディテクタ134を含む光学システムにより感知される。カンチレバー111が一定程度反るようになると、アプローチステップ(S10)が完了し、チップ112の端の位置に対するデータが収集される。このようなデータは、Zスキャナ131から得られることもあり、Zスキャナ131に取り付けられた長さセンサ(例えば、ストレインゲージセンサ)等により得られることもある。この他にアプローチステップ(S10)での具体的な制御方式は後述する。
【0054】
アプローチステップ(S10)が完了した後、上述したデータが得られると、接触したチップ112を測定対象の表面から離隔させる(リフトステップ、S20)。
【0055】
図4を参照すると、本ステップ(S20)で、測定装置は、b地点に位置したチップ112の端をc地点にリフトさせる。参考までに、c地点は、a地点と同一であってもよく、
図4のように同一でなくてもよい。チップ112をz方向に移動させるZスキャナ131が完全な直進性を具現するならば、a、c地点は一致し、アプローチステップ(S10)によるチップ112の経路とリフトステップ(S20)によるチップ112の経路は互いに重畳され得る。
【0056】
リフトステップ(S20)により持ち上げられたチップ112は、他の地点でのデータ収集のために第1位置と異なる位置(第2位置)上に位置されるように制御される(シフトステップ、S30)。
【0057】
図4を参照すると、本ステップ(S30)で、測定装置は、c地点に位置したチップの端を第2位置の上側に位置するd地点に移動させる。このようなチップ112の移動は、チップ112を移動させても具現され得るが、XYスキャナ120により測定対象1を移動させても具現され得る。
図1及び
図2に示された測定装置によれば、XYスキャナ120を制御して測定対象1を移動させることでシフトステップ(S30)が遂行され得る。
【0058】
ここで、シフトステップ(S30)は、
図4に示されたように、X方向と水平にチップ112を移動させるように具現されてもよいが、計画された他の位置上に移動させることさえできれば、どのような経路を有しても構わない。
【0059】
また、リフトステップ(S20)にシフトステップ(S30)が含まれて別途のステップで遂行されなくてもよい。リフトステップ(S20)の遂行時、チップ112を持ち上げながら水平移動させることでリフトステップ(S20)が省略され得る。
【0060】
上述したアプローチステップ(S10)、リフトステップ(S20)及びシフトステップ(S30)が測定対象1の表面の複数の位置に対して繰り返し遂行されることで、測定対象1の特性を測定できる。ここで、測定対象1の特性は、測定対象1の表面のトポグラフィー(topography)等であってよい。しかし、この他にもチップ(1)に特殊な特性(磁気的特性、電気的特性等)を付与することでトポグラフィー以外の情報を得ることもできる。
【0061】
図4のようにX方向に沿って測定対象1の表面の複数の位置に対して上述したステップ(S10、S20、S30)を繰り返し遂行して通常の接触モードや非接触モードで得ることのできるデータを得ることができる。特に、
図4において例示された深くて狭いトレンチ構造の測定で既存の接触モードや非接触モードでは測定対象1の表面にチップ112が追随するために非常にややこしいフィードバック条件を見出さなければならず、フィードバック条件が満足されなければチップ112が測定対象1に衝突するようになって優れていないイメージを得るようになることはもちろん、チップ112をよく取り替えなければならない問題も有していた。これに対して、本発明による方法を活用すれば、深くて狭いトレンチ構造の測定でもチップ112の損傷を最小化させながら優れたイメージを得ることができる。
【0062】
一方、深くて狭いトレンチ構造は、既存の非接触モードではチップ112がトレンチの底と相互作用をする前に側壁と相互作用をするようになって、深くチップ112がトレンチ内に入ることができないことで、測定が難しかった。このために長いチップ112を使用しなければならず、長いチップ112で本発明のような方法を遂行する場合、チップ112をトレンチの外に完全に取り出すことが一般的であったが、これによって測定時間が長くなる短所を有するようになった。しかし、後述する特徴でこのような短所が補完された。
【0063】
図5は、
図4の各ステップの遂行による制御方式を時系列的に示したグラフであり、
図6は、アプローチステップでのF-DカーブとA-Dカーブを示し、
図7は、
図6のF-DカーブとA-Dカーブの合成カーブとこれによるV-D関係図を示し、
図8は、リフトステップでのV-D関係図を示し、
図9は、シフトステップで異常状況が発生した時の制御方式を時系列的に示したグラフである。
【0064】
図5を参照すると、アプローチステップ(S10)、リフトステップ(S20)及びシフトステップ(S30)が順に遂行され、押し力-セットポイント(Force Set Point)及び振幅-セットポイント(Amplitude Set Point)を設定して接触モード及び非接触モードの制御を共に遂行する。
【0065】
図5から
図7を参照してアプローチステップ(S10)での具体的な制御方法を説明する。
【0066】
アプローチステップ(S10)で、チップ112が特定の周波数fで振動するように制御される。ここで、特定の周波数は、カンチレバー111の共振周波数であってよい。チップ112は、自由振動し、自由振動の振幅Afreeを有する。
【0067】
本ステップ(10)の完了時、チップ112は振動するが、チップ112は測定対象1の表面に接触するように制御される。即ち、接触モードでアプローチが遂行されるが、非接触モードでもアプローチステップ(S10)で制御が遂行される。
【0068】
図6の(a)では、接触モードでのチップ112の端と測定対象1の表面間の距離(D)と押し力(F)の関係を示すグラフ(F-Dカーブ)が示される。チップ112の端は、測定対象1と遠く離れている時には力をほとんど受けず、非常に近くなるとチップ112の端が測定対象1の表面に付くようになり、さらに近くなるとチップ112が測定対象1を押すようになり、押し力は増加し続け得る。
【0069】
図6の(b)では、非接触モードでのチップ112の振幅(A)とチップ112の端と測定対象1の表面間の距離(D)間の関係を示すグラフ(A-Dカーブ)が示される。チップ112は、測定対象1の表面との相互作用により距離が近くなるにつれその振幅が減少し、チップ112が測定対象1に接触すると物理的拘束により振幅が0に近く減少する。
【0070】
図6の接触モードと非接触モードでのチップ112の挙動特性を利用して、
図7のように、チップ112が測定対象1の表面にアプローチされる動作を制御する。
【0071】
図7の(a)は、
図6のF-DカーブとA-Dカーブを合成したものであって、押し力(F)と振幅(A)を一定比率で合成してY軸に示したものである。これを通して、
図7の(b)のような接近速度制御方式が定められる。
【0072】
まず、アプローチステップ(S10)で、チップ112と測定対象1が特定の距離(d1)だけ接近するまで接触モードによる制御は動作させず、非接触モードによる制御だけを動作させる。
【0073】
特定の距離(d1)は、任意に定められ得るが、チップ112の端が測定対象1の表面に付く地点(g)と同一であるか、もう少し大きな値に定められることが好ましい。特定の距離(d1)でのチップ112の振幅である振幅-セットポイントAsetlは、チップ112付きのカンチレバー111の種類によって定められ得る。例えば、振幅-セットポイントAsetlは、Afreeに対する比率で表現され得、例えば5%であってもよく、10%であってもよく、15%であってもよい。
【0074】
チップ112と測定対象1が特定の距離(d
1)だけ接近するまで遂行される非接触モードによる制御は、振幅Aでもってアプローチ速度(接近速度)Vを制御することを内容とする。即ち、
図7の(b)のように振幅Aが減ることに比例して、アプローチ速度Vを減少させるように制御する。
【0075】
振幅が振幅-セットポイントAsetlに達すると、非接触モードによる制御は終了し、接触モードによる制御が遂行される。即ち、チップ112が測定対象1の表面を押す力(押し力)によってアプローチ速度Vが制御され、結果として押し力-セットポイントFsetでチップ112が測定対象1の表面を押すように制御される。
【0076】
ここで、押し力-セットポイントFsetは、探針部110の特性、測定対象1の表面特性、測定対象1の構造特性によって適宜決定され得、例えば、数~数十nNであってよい。
【0077】
言い換えれば、アプローチステップ(S10)が進行しながらチップ112が測定対象1の表面に近接するにつれチップ112の振幅は減少し、チップ112の自由振動時の振幅より小さな振幅Asetl以下とチップ112の振幅が感知されたとき、チップ112の振幅の変化に基づく制御(非接触モード制御)をターンオフ(turn off)し、チップ112が測定対象1の表面を特定の力で押すように制御される制御(接触モード制御)を遂行する。
【0078】
図5をまた参照すると、アプローチステップ(S10)の遂行時、押し力-セットポイントがF
setに設定され、振幅-セットポイントがA
setlに設定される。このセットポイントにより接触モード制御と非接触モード制御が区間を別にして遂行される。
【0079】
このようにアプローチを遂行すれば、アプローチを速く遂行することができ、チップ112の端が接触対象1の表面に近くなるほどアプローチ速度を下げてチップ112の端と接触対象1の表面間の衝突量を減らすことで、チップ112を長く使用することができる。
【0080】
図8を参照すると、リフトステップ(S20)で初期には高い速度でチップ112が測定対象1の表面から離れるように制御し、d1より大きな距離を有するようになると非接触モード制御で速度を制御できる。チップ112の振幅が大きくなるほど速度は低くなるように制御し、振幅が一定値以上大きくならないようにリフト高さを制限する。
【0081】
言い換えれば、振幅-セットポイントAsethを設定し、リフトステップ(S20)の完了時、振幅-セットポイントAsethを維持するようにチップ112の端と測定対象1の表面間の距離(D)が制御される。振幅AがAsethである時の距離d2は、リフト高さと称し得る。
【0082】
振幅-セットポイントAsethは、Asetlよりは大きな値に多様に設定され得るが、例えば、最大振幅Afreeの50~95%の値であってよい。振幅-セットポイントAsethは、リフト高さd2と関連するので、リフト高さをどの程度に設定するかによって振幅-セットポイントAsethが設定される。
【0083】
このとき、非接触モード制御において、ゲイン(gain)値は低く維持することが好ましい。なぜなら、リフトステップ(S20)ではリフトする動作が重要なものであり、敏感な制御が重要なものではないためである。
【0084】
言い換えれば、リフトステップ(S20)が進行しながらチップ112が測定対象1の表面から離れるにつれチップ112の振幅は増加し、チップ112の自由振動時の振幅より小さな振幅Asethとチップ112の振幅が感知されたとき、リフト動作を止めるように制御される。
【0085】
図5をまた参照すると、リフトステップ(S20)では、押し力-セットポイントを0やそれに近い値に設定し、振幅-セットポイントを最大であるA
sethに設定してリフト速度と高さを制御する。
【0086】
本方法によれば、リフトステップ(S20)で非接触モード制御を活用することで最小リフト高さを設定してピン-ポイントモードを遂行することができる。即ち、既存のピン-ポイントモードは、十分にチップ112を持ち上げた後、他の位置でのアプローチを行うのに対し、本発明の方法によれば、リフト速度を高めながらもリフト高さを画期的に減らして測定速度を高めることができる。
【0087】
図5を参照すると、シフトステップ(S30)は、持ち上げられたZ方向変位を維持しながらX方向(あるいはY方向)の変位を発生させることで行われる。シフトステップ(S30)の間、リフトステップ(S20)と同様に押し力-セットポイントを0やそれに近い値に設定し、振幅-セットポイントをA
sethに設定する。
図5は、チップ112が移動するとき、いかなる障害物が感知されていない場合を例示するものであって、X方向への変位が一定に変わりながらZ方向の変位は維持される。
【0088】
しかし、シフトステップ(S30)中に、障害物(例えば、
図9の(a)の側壁)によりX方向へのチップ112の移動が不可能であり得る。このようなイベントは、深くて狭いトレンチ構造の測定時によく発生し得る。
【0089】
図9を参照すると、シフトステップ(S30)時、初期区間(S30-1)では、チップ112のZ方向変位が変わらずにX方向への移動だけがなされる。チップ112と側壁との衝突がなされると振幅Aは減るようになり、
図5のようにこれをまた振幅-セットポイントA
sethに合わせる制御が遂行される。チップ112の振幅を増加させるためにチップ112が持ち上げられる。この時にもチップ112のX方向への移動は進行し続ける。即ち、S30-2区間では振幅が減ることが測定されるが、チップ112のZ方向変位の変化によってS30-3区間ではまた振幅がA
sethに制御される。
【0090】
参考までに、衝突は、押し力の変化で確認することができる。
図9の(b)を参照すると、衝突時、押し力がマイナス値を有することでチップ112が測定対象1を押すということが分かる。
【0091】
即ち、シフトステップ(S30)の遂行時、非接触モード制御を活用してチップ112と測定対象1の表面間の距離を維持するので、過度にチップ112を持ち上げる動作を省略することで測定時間を画期的に減らすことができる。
【0092】
言い換えれば、シフトステップ(S30)の間、チップ112の振動特性(例えば、振幅)が一定であるようにチップ112の移動経路が制御される。
【0093】
上述によれば、チップ112の振動特性の変化によってチップ112の移動特性が制御される。ここで、移動特性とは、上で例示したチップ112のアプローチ速度、チップ112のリフト高さであってよい。
【0094】
また、チップ112の振動特性として本実施例においては振幅だけを例示したが、これは例示に過ぎず、周波数、位相等、チップ112の振動と関連した特性を包括する。
【0095】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明のその技術的思想や必須な特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施され得るということが理解できるだろう。それゆえ、以上において記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解すべきである。