(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/06 20150101AFI20240618BHJP
A63B 53/00 20150101ALI20240618BHJP
A63B 53/04 20150101ALI20240618BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240618BHJP
【FI】
A63B53/06 B
A63B53/00 H
A63B53/04 A
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2019229475
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北川 知憲
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0321055(US,A1)
【文献】特開2019-025323(JP,A)
【文献】特開2006-141710(JP,A)
【文献】特開2011-030836(JP,A)
【文献】特開2009-112570(JP,A)
【文献】特開2011-229914(JP,A)
【文献】特開2000-254260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0143858(US,A1)
【文献】国際公開第2014/069406(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部、ソール部、及びバック部を有するゴルフクラブヘッドであって、
前記ソール部及び/または前記バック部の外面側に設けられた部品取付部と、
前記部品取付部に着脱自在に固定されたヘッド重量調整用部品と、を有し、
前記ヘッド重量調整用部品は、板状部と、複数の突起部と、を含み、
前記板状部は、前記部品取付部と対向する第1面と、前記第1面の反対面と、を有し、
前記第1面及び前記反対面は、いずれも四角形であり、
複数の前記突起部は、前記第1面に形成され、
前記板状部は貫通孔を有し、前記貫通孔に挿通されたネジにより前記部品取付部に螺合され、
複数の前記突起部は、互いに接しないように配置された3個のみの点状の突起部から構成され、
前記突起部の先端側が前記第1面と対向する前記部品取付部の第2面と接して、前記第1面と前記第2面との間に両者を離間する隙間が設けられていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1面の法線方向から視て、前記貫通孔内に位置する何れかの点と、各々の前記突起部の中心とを結ぶ線分の長さが同一であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記貫通孔の中心と各々の前記突起部の中心とを結ぶ線分の長さが同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1面の法線方向から視て、複数の前記突起部のうち最も近い2つの突起部の中心間の長さは、前記板状部の対角線の長さの1/2以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1面に凹部が設けられ、前記凹部には環状の弾性体が配置され、前記弾性体の内側にネジが挿通されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記部品取付部を複数有する請求項1乃至5の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフクラブヘッドにおいて、ボールの上がり易さや飛距離性能等のヘッド機能を向上させるための様々な技術が検討されている。ソール部等に凹部を形成し、この凹部にウェイトを取り付けることも、ヘッド機能を向上させる技術の1つである。凹部には、例えば、円形のウェイトが配置され、ボルト等によりヘッド本体のウェイトポートに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-435号公報
【文献】特許第4745807号
【文献】特許第6592975号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ウェイトとウェイトポートとが面で接していると、製造公差により生じる部分的な隙間により、打撃時に不要な振動(所謂ビビリ)が生じる。この不要な振動は、打球感やヘッド機能を低下させるおそれがあるため、できるだけ抑制することが好ましい。
【0005】
本発明は、打撃時の不要な振動を抑制可能なゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本ゴルフクラブヘッドは、フェース部、ソール部、及びバック部を有するゴルフクラブヘッドであって、前記ソール部及び/または前記バック部の外面側に設けられた部品取付部と、前記部品取付部に着脱自在に固定されたヘッド重量調整用部品と、を有し、前記ヘッド重量調整用部品は、板状部と、複数の突起部と、を含み、前記板状部は、前記部品取付部と対向する第1面と、前記第1面の反対面と、を有し、前記第1面及び前記反対面は、いずれも四角形であり、複数の前記突起部は、前記第1面に形成され、前記板状部は貫通孔を有し、前記貫通孔に挿通されたネジにより前記部品取付部に螺合され、複数の前記突起部は、互いに接しないように配置された3個のみの点状の突起部から構成され、前記突起部の先端側が前記第1面と対向する前記部品取付部の第2面と接して、前記第1面と前記第2面との間に両者を離間する隙間が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、打撃時の不要な振動を抑制可能なゴルフクラブヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図である。
【
図2】ゴルフクラブヘッド1をフェース-バック方向に切断した縦断面図である。
【
図4】ウェイト30単体を例示する平面図(その1)である。
【
図5】ウェイト30単体を例示する平面図(その2)である。
【
図6】ウェイト30A近傍の部分拡大断面図である。
【
図7】ウェイト30A単体を例示する平面図(その1)である。
【
図8】ウェイト30A単体を例示する平面図(その2)である。
【
図9】ウェイト30A単体を例示する平面図(その3)である。
【
図10】ウェイト30B単体を例示する平面図である。
【
図11】ウェイト30C単体を例示する平面図である。
【
図12】ウェイト30D単体を例示する平面図である。
【
図13】ウェイト30E近傍の部分拡大断面図である。
【
図14】ウェイト30F近傍の部分拡大断面図である。
【
図15】第2実施形態に係るゴルフクラブヘッド2を例示する底面図である。
【
図16】第3実施形態に係るゴルフクラブヘッド3を例示する背面図である。
【
図17】第3実施形態に係るゴルフクラブヘッド3を例示する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図であり、
図1(a)は正面図、
図1(b)は底面図、
図1(c)は左側面図、
図1(d)は右側面図である。
【0011】
図1では、フェース面11f側から視た図を正面図としており、ゴルフクラブヘッド1を水平面H(地面に相当)に基準のライ角θ及び基準のロフト角(図示せず)通りに接地した場合を図示している。なお、Jはホゼル部15の穴の中心軸を示している。また、矢印d
1はトウ-ヒール方向(左右方向)を、矢印d
2はトップ-ソール方向(上下方向)を、矢印d
3はフェース-バック方向(前後方向)を示している。
【0012】
図1に示すゴルフクラブヘッド1は、ウッド型のゴルフクラブヘッドであって、例えばドライバであるが、ユーティリティやフェアウェイウッドであってもよい。ゴルフクラブヘッド1は、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄系金属、マグネシウム、マグネシウム合金、繊維強化樹脂等を用いて形成できる。ゴルフクラブヘッド1は、例えば、鋳造により作製される。以下、ゴルフクラブヘッド1について詳説する。
【0013】
ゴルフクラブヘッド1は、フェース部11と、クラウン部12と、ソール部13と、バック部14と、ホゼル部15とを有する中空の構造体である。なお、ゴルフクラブヘッド1の中空の内側の面をヘッド内面、外側の面をヘッド外面と称する場合がある。
【0014】
フェース部11は、打撃面となるフェース面11fを備えた部分である。なお、フェース部11は所定の厚みを有しており、フェース面11fはフェース部11の外面をなしている。クラウン部12は、ゴルフクラブヘッド1の上部を形成する部分である。ソール部13は、ゴルフクラブヘッド1の底部を形成する部分である。バック部14は、フェース部11とは反対側においてクラウン部12とソール部13とを繋ぐ部分である。ホゼル部15は、シャフトと連結される部分である。
【0015】
図2は、ゴルフクラブヘッド1をフェース-バック方向に切断した縦断面図である。
図1(b)及び
図2を参照すると、ゴルフクラブヘッド1のバック部14の外面側にウェイトポート20(部品取付部)が設けられている。但し、ウェイトポート20はソール部13及び/またはバック部14の外面側に設けることができる。
【0016】
ウェイトポート20には、ウェイト30(ヘッド重量調整用部品)がネジ40により着脱自在に固定されている。つまり、
図1(b)及び
図2では、ウェイトポート20にネジ40でウェイト30を取り付けた状態を例示しているが、ウェイト30は着脱可能であって、必要に応じて必要な重量のウェイトを適宜取り付けることができる。
【0017】
図3は、ウェイト30近傍の部分拡大断面図である。
図4は、ウェイト30単体を例示する平面図である。
図3及び
図4を参照すると、ウェイト30は、板状部31と、複数の突起部32と、貫通孔33とを有している。
【0018】
板状部31は、ウェイトポート20と対向する面311と、その反対面となる面312とを有している。板状部31は、面311の法線方向から視て多角形とすることができるが、本実施形態では長方形の場合を例として説明する。板状部31の大きさは、例えば、縦17mm×横11mm×厚さ6mm程度である。
【0019】
板状部31のウェイトポート20と対向する面311には、ウェイトポート20側に突起する複数の突起部32が形成されている。本実施形態では、板状部31の面311に、所定間隔を空けて並置された2本の線状の突起部32が形成されている。2本の突起部32は、板状部31の長辺と略平行な直線状であり、貫通孔33を挟んで配置されている。なお、必要に応じて、2本の突起部32を、曲線状や、直線と曲線を含む形状としてもよい。
【0020】
突起部32の板状部31の面311からの突起量L1は、例えば、0.1mm以上2.0mm以下である。突起部32の幅W1は、例えば、0.1mm以上2.0mm以下である。
【0021】
板状部31と突起部32とは、鋳造や機械加工等により一体に形成されている。板状部31及び突起部32の材料としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、タングステンニッケル、ゴム、ポリマー等が挙げられる。ウェイト30の密度(板状部31及び突起部32の合計の密度)は、例えば、0.9g/cm3以上19g/cm3以下である。ウェイト30の重量(板状部31及び突起部32の合計の重量)は、例えば、1g以上20g以下である。
【0022】
突起部32の先端側は、板状部31の面311と対向するウェイトポート20の面201と接しており、面311と面201との間に両者を離間する隙間Sが設けられている。つまり、面311は面201とは接していなく、互いに対向する面201と面311との間には、突起部32の突起量L1に相当する隙間Sが形成されている。
【0023】
貫通孔33は、ネジ40を通す孔である。板状部31は貫通孔33に挿通されたネジ40によりウェイトポート20に螺合されている。なお、板状部31の面312側は、ゴルフクラブヘッド1の外面から突出していない。
【0024】
2本の突起部32の間隔L2は、突起部32と略垂直方向に位置する板状部31の短辺の長さL3の1/2以上であることが好ましい。これにより、ウェイト30を安定してウェイトポート20に取り付けることができる。
【0025】
なお、
図4の例では、板状部31の長辺と略平行に突起部32を配置しているが、板状部31の短辺と略平行に突起部32を配置してもよい。この場合には、2本の突起部32の間隔は、突起部32と略垂直方向に位置する板状部31の長辺の長さの1/2以上であることが好ましい。これにより、ウェイト30を安定してウェイトポート20に取り付けることができる。
【0026】
また、
図5に示すように、対向する2本の突起部32の最も遠い側の角を結ぶ対角線d
1及びd
2の交点Iを含む位置に貫通孔33が配置されることが好ましい。これにより、突起部32の圧力をウェイトポート20側に略均等にかけることができる。貫通孔33の中心が交点Iと一致することが、より好ましい。これにより、突起部32の圧力をウェイトポート20側に一層均等にかけることができる。
【0027】
このように、ゴルフクラブヘッド1は、ウェイトポート20と、ウェイトポート20に着脱自在に固定されるウェイト30とを有している。重量が異なる複数のウェイト30を準備し、必要な重量のウェイト30を選択してウェイトポート20に固定することで、ゴルフクラブヘッド1の重心位置の調整が可能となる。
【0028】
また、ウェイト30は突起部32を有しており、突起部32の先端側がウェイトポート20の面201と接している。そのため、ウェイト30の面311はウェイトポート20の面201とは接していなく、互いに対向する面201と面311との間には隙間Sが形成されている。従来のゴルフクラブヘッドでは、ウェイトとウェイトポートとが面で接しているため、製造公差により生じる部分的な隙間により、打撃時に不要な振動(所謂ビビリ)が生じる。これに対して、ゴルフクラブヘッド1では、互いに対向する面201と面311との間には隙間Sが形成されており、面201と面311とが直接接する部分がない。これにより、不要な振動が生じることを防止できる。その結果、良好な打球感が得られ、かつ、飛距離ロスの発生を抑制できる。
【0029】
また、面311の法線方向から視て、ウェイト30の板状部31は多角形であり円形でないため、1本のネジ40で固定しても回転するおそれがない。そのため、回転に伴ってネジ40が緩むことを防止できる。また、ウェイト30は1本のネジ40で固定するため、着脱が容易である。
【0030】
また、特許文献1等のように、ウェイトとウェイトポートとの間に弾性体を挟む必要がないため、コスト上昇を抑制できる。
【0031】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、ウェイトの突起部の形状が異なるゴルフクラブヘッドの例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0032】
図6は、ウェイト30A近傍の部分拡大断面図である。
図7は、ウェイト30A単体を例示する平面図である。
図6及び
図7を参照すると、ウェイト30Aは、突起部32が突起部32Aに置換された点が、ウェイト30(
図3、
図4等参照)と相違する。
【0033】
ウェイト30Aにおいて、板状部31のウェイトポート20と対向する面311には、ウェイトポート20側に突起する複数の突起部32Aが設けられている。本実施形態では、板状部31の面311に、互いに接しないように3個の点状(ドット状)の突起部32Aが、貫通孔33の外側に配置されている。突起部32Aは、例えば、略半球状であるが、これには限定されない。
【0034】
突起部32Aの板状部31の面311からの突起量L1は、突起部32の場合と同様である。平面視における(面311の法線方向から視て)突起部32Aの直径φ1は、例えば、0.1mm以上2.0mm以下である。板状部31と突起部32Aとは、一体に形成されている。板状部31及び突起部32Aの材料や、ウェイト30Aの密度や重量は、ウェイト30の場合と同様である。
【0035】
突起部32Aの先端側は、ウェイトポート20のウェイト30側の面201と接している。つまり、面311は面201とは接していなく、互いに対向する面201と面311との間には、突起部32の突起量L1に相当する隙間Sが形成されている。
【0036】
図8に示すように、複数の突起部32Aのうち最も近い2つの突起部32Aの中心間の長さL
4は、板状部31の対角線の長さL
5の1/2以上であることが好ましい。これにより、ウェイト30Aを安定してウェイトポート20に取り付けることができる。
【0037】
また、
図9に示すように、面311の法線方向から視て、貫通孔33内に位置する何れかの点と、各々の突起部32Aの中心とを結ぶ線分L
6、L
7、及びL
8の長さが同一であることが好ましい。これにより、突起部32Aの圧力をウェイトポート20側に略均等にかけることができる。貫通孔33の中心と各々の突起部32Aの中心とを結ぶ線分L
6、L
7、及びL
8の長さが同一であることが、より好ましい。これにより、突起部32Aの圧力をウェイトポート20側に一層均等にかけることができる。
【0038】
このように、ウェイト30Aは、互いに接しないように配置された3個の点状の突起部32Aを有しており、3個の突起部32Aの先端により1つの面が決まる。そのため、ウェイト30Aは、ウェイトポート20の面201が平面か曲面かを問わずに、面201に安定して接することができる。その他の効果については、ウェイト30の場合と同様である。なお、突起部32Aの先端がウェイトポート20の面201と点で接すれば、突起部32Aは略半球状以外の任意の形状として構わない。
【0039】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、ウェイトの他のバリエーションの例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0040】
図10は、ウェイト30B単体を例示する平面図である。
図10を参照すると、ウェイト30Bは、互いに接しないように配置された4個の点状の突起部32Aが配置された点が、ウェイト30A(
図7等参照)と相違する。
【0041】
ウェイト30Bは、曲率の異なる複数箇所に好適に配置できる。例えば、4つの突起部32Aを貫通孔33の中心に対して非対称に配置し、4つの突起部32Aのうちの特定の3つの組み合わせで決まる第1の曲面と、特定の他の3つの組み合わせで決まる第2の曲面に好適に配置可能である。すなわち、4つの突起部32Aのうちの何れか3つを選択して使用することで、曲率の異なる複数箇所に好適に配置できる。
【0042】
図11は、ウェイト30C単体を例示する平面図である。
図11を参照すると、ウェイト30Cは、1本の線状の突起部32と、線状の突起部32に接しないように配置された1個の点状の突起部32Aとを有する点が、ウェイト30A(
図7等参照)と相違する。突起部32と突起部32Aは、貫通孔33を挟んで配置されている。
【0043】
このように、線状の突起部32と点状の突起部32Aが混在してもよい。突起部32と突起部32Aの位置は、ウェイト30Cを取り付ける曲面に合わせて適宜決定できる。
【0044】
図12は、ウェイト30D単体を例示する平面図である。
図12を参照すると、ウェイト30Dは、長方形の板状部31が台形の板状部31Dに置換された点が、ウェイト30C(
図11等参照)と相違する。
【0045】
このように、板状部の形状は長方形には限定されず、台形等の長方形以外の多角形でもよい。但し、ゴルフクラブヘッドを継続的に使用している間に板状部が回転して板状部を固定するネジが緩むおそれがあるため、板状部は円形でないことが好ましい。板状部の形状を多角形とすることで、板状部が回転しないため、ネジが緩むおそれを低減できる。なお、板状部に線状の突起部のみが設けられている場合や、板状部に点状の突起部のみが設けられている場合についても同様である。
【0046】
図13は、ウェイト30E近傍の部分拡大断面図である。
図13を参照すると、ウェイト30Eは、部分的に高さの異なる線状の突起部32Eが設けられている点が、ウェイト30(
図3等参照)と相違する。なお、
図13は、
図3とは異なり、線状の突起部の長手方向に沿って切断した断面を示している。
【0047】
図13ではウェイトポート20の面201が曲面であり、突起部32Eのウェイトポート20と接する面も面201と曲率を合わせた曲面となっている。すなわち、突起部32Eの面311からの高さは、曲面である面201に合わせて両端が高く中央が低い。このように、突起部のウェイトポートと接する面をウェイトポートの曲率と合わせた曲面とすることで、安定してウェイトを取り付けることができる。
【0048】
〈第1実施形態の変形例3〉
第1実施形態の変形例3では、ウェイトを固定するネジの落下を防止する例を示す。なお、第1実施形態の変形例3において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0049】
図14は、ウェイト30F近傍の部分拡大断面図である。
図14を参照すると、ウェイト30Fは、板状部31のウェイトポート20と対向する面311の貫通孔33の周囲に凹部34が設けられた点が、ウェイト30(
図3等参照)と相違する。凹部34には環状の弾性体50が配置され、弾性体50の内側にネジ40が挿通されている。弾性体50は、例えば、ゴムワッシャーである。
【0050】
このように、ネジ40の周囲に弾性体50を配置することで、ネジ40が板状部31から脱落することを防止できる。
【0051】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、ウェイトポートを複数有するゴルフクラブヘッドの例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0052】
図15は、第2実施形態に係るゴルフクラブヘッド2を例示する底面図である。
図15に示すゴルフクラブヘッド2は、5個のウェイトポート20を有しており、各々のウェイトポート20には、ネジ40によりウェイト30D(
図12参照)が取り付けられている。
【0053】
但し、5個のウェイトポート20の全てにウェイト30Dを取り付ける必要はなく、必要なウェイトポート20のみにウェイト30Dを取り付ければよい。また、各々のウェイト30Dは同じ重さであってもよいし、異なる重さであってもよい。また、突起部の形状は、
図12に示すように線状と点状が混在していてもよいし、何れか一方のみであってもよく、各々のウェイトポートの面形状に合わせて適宜選択できる。
【0054】
また、ウェイトポート及びウェイトの形状は台形には限定されず、長方形としてもよいし、他の多角形としてもよい。但し、ウェイトポート及びウェイトの形状を台形とすることで、狭い領域にも効率よく配置できる。
【0055】
このように、ゴルフクラブヘッドは複数のウェイトを取り付け可能な構造としてもよい。これにより、ゴルフクラブヘッドの重心位置の調整の自由度を向上できる。なお、本実施形態において、ウェイトポートの個数は5個には限定されず、2個以上の任意の個数とすることができる。
【0056】
〈第3実施形態〉
第3実施形態では、ウェイトを固定可能なアイアン型のゴルフクラブヘッドの例を示す。なお、第3実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0057】
図16は、第3実施形態に係るゴルフクラブヘッド3を例示する背面図である。
図17は、第3実施形態に係るゴルフクラブヘッド3を例示する縦断面図である。
【0058】
図16及び
図17では、ゴルフクラブヘッド3のフェース面801側を正面としており、ゴルフクラブヘッド3を水平面に基準のライ角及び基準のロフト角通りに接地した場合を図示している。
【0059】
図16及び
図17に示すゴルフクラブヘッド3は、アイアン型のゴルフクラブヘッドであり、本体部70と、本体部70に溶接等により接合されたフェース部80とを有する構造体である。なお、構造体を構成する各部において、フェース側の面を表面、バック側の面を背面と称する場合がある。
【0060】
図16及び
図17を参照すると、本体部70は、フレーム部71と、フェース配置部72と、ソール部73と、バック部74と、ホゼル部75とを有している。
【0061】
本体部70は、例えば、チタン合金、チタン、ステンレス、アルミニウム合金、炭素鋼等の金属材料を用いて形成できる。本体部70は、例えば、鍛造、鋳造、機械加工等によって、またはこれらを組み合わせることで製造できるが、これには限定されない。
【0062】
フェース部80は、フェース面801と、フェース面801の反対面となる背面802とを備えている。なお、フェース部80は所定の厚みを有しており、フェース面801はフェース部80の外面をなしている。
【0063】
フェース部80は、例えば、チタン合金、チタン、ステンレス、アルミニウム合金、炭素鋼等の金属材料を用いて形成できる。フェース部80は、例えば、鍛造、鋳造、機械加工等によって、またはこれらを組み合わせることで製造できるが、これには限定されない。
【0064】
本体部70において、枠状に形成されたフレーム部71の内側には、フェース部80を位置決めするフェース配置部72が設けられている。フェース配置部72の表面(フェース側の面)は、フレーム部71の表面(フェース側の面)からバック部74側に窪んだ位置にある。フェース配置部72の表面は、フェース部80の背面802の外縁部と接する。フェース配置部72の表面の、フレーム部71の表面からの窪み量は、フェース部80の厚さと同程度である。
【0065】
バック部74は、平坦部77と、凸部78と、後方凸部79とを含む。平坦部77は、バック部74のトウ-ヒール方向の中央付近に位置する略逆三角状の部分である。平坦部77の外面側に銘板等が配置される場合もある。
【0066】
凸部78は、平坦部77のトウ側に形成された、平坦部77よりもゴルフクラブヘッド3の外側に突出するトウ側凸部781と、平坦部77のヒール側に形成された、平坦部77よりもゴルフクラブヘッド3の外側に突出するヒール側凸部782とを含む。
【0067】
後方凸部79は、平坦部77及び凸部78よりもソール部13側であってゴルフクラブヘッド3の中央よりも下方にトウ-ヒール方向に延びるように設けられた、平坦部77及び凸部78よりもゴルフクラブヘッド3の後方に突出している部分である。
【0068】
バック部74の後方凸部79には、ゴルフクラブヘッド1と同様に、ウェイト30を取り付け可能なウェイトポート20が配置されている。
【0069】
図16及び
図17では、ウェイトポート20にネジ40でウェイト30を取り付けた状態を例示しているが、ウェイト30は着脱可能であって、必要に応じて必要な重量のウェイトを適宜取り付けることができる。なお、ウェイトポート20は、ソール部73に配置されてもよい。
【0070】
このように、ゴルフクラブヘッド3は、ウェイトポート20と、ウェイトポート20に着脱自在に固定されるウェイト30とを有している。重量が異なる複数のウェイト30を準備し、必要な重量のウェイト30を選択してウェイトポート20に固定することで、ゴルフクラブヘッド3の重心位置の調整が可能となる。その他の効果については、ゴルフクラブヘッド1及び2の場合と同様である。なお、ゴルフクラブヘッド3において、ウェイト30は必ずしも複数でなくてもよく、1つだけでもよい。
【0071】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0072】
1、2、3 ゴルフクラブヘッド
11 フェース部
11f フェース面
12 クラウン部
13 ソール部
14 バック部
15 ホゼル部
20 ウェイトポート
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F ウェイト
31、31D 板状部
32、32A 突起部
33 貫通孔
34 凹部
40 ネジ
50 弾性体
70 本体部
71 フレーム部
72 フェース配置部
73 ソール部
74 バック部
75 ホゼル部
77 平坦部
78 凸部
79 後方凸部
80 フェース部
201、311、312 面
781 トウ側凸部
782 ヒール側凸部
801 フェース面
802 背面