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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】眼科用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/46 20060101AFI20240618BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240618BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240618BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A61K31/46
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/18
A61P27/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020014108
(22)【出願日】2020-01-30
(62)【分割の表示】P 2016574898の分割
【原出願日】2015-06-23
(65)【公開番号】P2020097599
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-02-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】62/096,433
(32)【優先日】2014-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/016,502
(32)【優先日】2014-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/726,139
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/151,926
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516383109
【氏名又は名称】シドネキシス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オストロー,グレゴリー,アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィダー,ケネス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,デビッド,エス.
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】石井 徹
【審判官】吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-032404(JP,A)
【文献】特開2007-308398(JP,A)
【文献】特開平1-203320(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161655(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/254914(US,A1)
【文献】宮崎順一、高野正彦,点眼剤,日本,株式会社南山堂,1962年10月20日,p.45
【文献】アトロピン硫酸塩注0.5mg「タナベ」 医薬品インタビューフォーム,2007年
【文献】佐々木均他,眼科領域の服薬・用法指導,株式会社医薬ジャーナル社,2009年,pp.134-135
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-31/80
CAPlus/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
唯一の有効成分としての0.001wt%から0.05wt%の濃度の硫酸アトロピンと、水と、4.8から6.4のpHを提供するための緩衝剤とを含み、
40℃及び相対湿度75%の保存条件下で2週間経過後に、初期の濃度に基づいて、少なくとも90%の前記硫酸アトロピンを含み、前記緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、またはそれらの組み合わせである、4.8から6.4のpHを有する眼科用組成物。
【請求項2】
前記硫酸アトロピンは、0.001wt%から0.03wt%、または0.01wt%から0.02wt%の濃度で眼科用組成物中に存在する、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】
前記眼科用組成物は、等張化剤をさらに含み、前記等張化剤はNaClである、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項4】
前記眼科用組成物は、防腐剤を含まない、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項5】
前記眼科用組成物は、防腐剤をさらに含み、前記防腐剤は塩化ベンザルコニウムである、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項6】
前記防腐剤の濃度は、0.0001%から1%である、請求項に記載の眼科用組成物。
【請求項7】
前記眼科用組成物は、プロカインおよびベナクチジン、またはその薬学的に許容可能な塩を本質的に含まない、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項8】
前記眼科用組成物は、局所的に投与される、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項9】
前記眼科用組成物は、注入により投与される、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項10】
前記眼科用組成物は、眼科用組成物を含む点眼瓶によって投与される、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項11】
前記眼科用組成物は、少なくとも2週間後に前記硫酸アトロピンの分解から形成される、10%未満の分解物を含む、請求項1に記載の眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2014年6月24日に出願された米国仮出願第62/016,502号、2014年12月23日に出願された第62/096,433号、および、2015年4月23日に出願された第62/151,926号の利益を主張するものであり、2015年5月29日に出願された米国出願第14/726,139号の一部継続出願であり、こうした文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
医薬製剤には活性成分の分解に基づく使用期限がある。
【発明の概要】
【0003】
眼科用組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、約0.001wt%から約0.05wt%のムスカリンアンタゴニストと重水素化水を含む、約4.2~約7.9のpDの眼科用組成物が本明細書で開示される。
【0004】
いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン(scopolomine)、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン(pirenzapine)、ホマトロピン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストはアトロピンである。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0005】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は以下の1つのpDを有する:保存条件下で長期間の経過後に、約7.3未満、約7.2未満、約7.1未満、約7未満、約6.8未満、約6.5未満、約6.4未満、約6.3未満、約6.2未満、約6.1未満、約6未満、約5.9未満、約5.8未満、約5.2未満、または約4.8未満。
【0006】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、以下の1つを含む:保存条件下で長期間の経過後に、初期の濃度に基づいて、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%のムスカリンアンタゴニスト。本開示で記載されるように、貯蔵後の組成物中の眼科用剤の割合は、組成物中に当初存在する(つまり、貯蔵の前)眼科用剤の量に基づく。
【0007】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は以下の1つの効能をさらに有する:保存条件下で長期間の経過後に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%。本開示に記載されるように、貯蔵後の組成物中の眼科用剤の効能は、組成物中に当初存在する(つまり、貯蔵の前)眼科用剤の効能に基づく。
【0008】
いくつかの実施形態では、長期間とは以下の1つである:約1週、約2週、約3週、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約8か月、約10か月、約12か月、約18か月、約24か月、約36か月、約4年、または約5年。
【0009】
いくつかの実施形態では、保存条件は2°Cから10°C、または16°Cから26°Cの保存温度を有する。いくつかの実施形態では、保存条件は約25°Cの保存温度を有する。いくつかの実施形態では、保存条件は約40°Cの保存温度を有する。いくつかの実施形態では、保存条件は約60°Cの保存温度を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、保存条件は約60%の相対湿度を有する。いくつかの実施形態では、保存条件は約75%の相対湿度を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストは以下の1つの濃度で組成物中に存在する:約0.001wt%から約0.04wt%、約0.001wt%から約0.03wt%、約0.001wt%から約0.025wt%、約0.001wt%から約0.02wt%、約0.001wt%から約0.01wt%、約0.001wt%から約0.008wt%、または約0.001wt%から約0.005wt%。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて主要分解物の20%未満を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて主要分解物の15%未満を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて主要分解物の10%未満を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて5%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて2.5%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて2.0%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて1.5%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて1.0%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて0.5%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて0.4%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて0.3%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて0.2%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に眼科用剤の濃度に基づいて0.1%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、主要分解物はトロパ酸である。本開示に記載されるように、貯蔵後の組成物中の主要分解物の割合は、組成物中に当初存在する(つまり、貯蔵の前)眼科用剤の量に基づく。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は水溶液の形態である。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物はモル浸透圧濃度調整剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、モル浸透圧濃度調整剤は塩化ナトリウムである。
【0016】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに保存剤を含む。いくつかの実施形態では、保存剤は、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウム、安定化したオキシクロロ複合体、SofZia、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、エデト酸二ナトリウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに等張化剤を含む。いくつかの実施形態では、等張化剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物はプラスチック容器に保存される。いくつかの実施形態では、プラスチック容器の材料は低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、プロカインとベナクチジン、またはその薬学的に許容可能な塩を本質的に含まない。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、50%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、40%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、30%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、20%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は10回の連続投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は8回の連続投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は5回の連続投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は3回の連続投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は2回の連続投与に基づく。
【0022】
いくつかの実施形態では、組成物はさらにpD調整剤を含む。いくつかの実施形態では、pD調整剤はDCl、NaOD、CDCOOD、またはCを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物はさらに薬学的に許容可能な担体を含む。いくつかの実施形態では、眼に許容可能な担体はさらに少なくとも1つの粘度増強剤を含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、セルロースベースのポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー、デキストランベースのポリマー、ポリビニルアルコール、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキルエングリコール、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、以下の1つを含む:60%未満のHO、55%未満のHO、50%未満のHO、45%未満のHO、40%未満のHO、35%未満のHO、30%未満のHO、25%未満のHO、20%未満のHO、15%未満のHO、または10%未満のHO。
【0025】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、以下の1つを含む:5%未満のHO、4%未満のHO、3%未満のHO、2%未満のHO、1%未満のHO、0.5%未満のHO、0.1%未満のHO、または、0%のHO。
【0026】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の前に室温以下で保存される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の前に約2°Cから約10°Cで保存される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の前に約4°Cから約8°Cで保存される。
【0027】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の後に室温で保存される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の後に約16°Cから約26°Cで保存される。
【0028】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は注射可能な製剤として処方されない。
【0029】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は眼の疾病の処置のための眼科用溶液として処方される。いくつかの実施形態では、眼の疾病または疾患は、近視前症(pre-myopia)、近視、または近視の進行である。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、近視前症、近視、または近視の進行の処置のための眼科用溶液として処方される。
【0030】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は溶液である。
【0031】
いくつかの実施形態では、近視の発症を抑える方法であって、必要としている個体の目に本明細書に記載される有効な量の眼科用組成物を投与する工程を含む方法が本明細書で開示される。さらに、近視の発症を予防する方法であって、必要としている個体の目に本明細書に記載される有効な量の眼科用組成物を投与する工程を含む方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、近視の発症を抑えるまたは予防する方法であって、約0.001wt%から約0.05wt%のムスカリンアンタゴニストと重水素化水を含む、約4.2~約7.9のpDの有効な量の眼科用組成物を、必要としている個体の目に投与する工程を含む方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は長期間にわたってあらかじめ決められた時間間隔で投与される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は毎日一度投与される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は一日おきに投与される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、1週、2週、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、または12-15年間、投与される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の前に室温以下に保存される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の前に約2°Cから約10°Cで保存される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の前に約4°Cから約8°Cで保存される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の後に室温で保存される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用の後に約16°Cから約26°Cで保存される。
【0032】
いくつかの実施形態では、約0.001wt%から約0.05wt%のムスカリンアンタゴニストと重水素化水を含む、約4.2~約7.9のpDの眼科用溶液が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、眼科用溶液は以下の1つのpDを有する:保存条件下で長期間の経過後に、約7.3未満、約7.2未満、約7.1未満、約7未満、約6.8未満、約6.5未満、約6.4未満、約6.3未満、約6.2未満、約6.1未満、約6未満、約5.9未満、約5.8未満、約5.2未満、または約4.8未満。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストはアトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、眼科用溶液は、以下の1つを含む:5%未満のHO、4%未満のHO、3%未満のHO、2%未満のHO、1%未満のHO、0.5%未満のHO、0.1%未満のHO、または、0%のHO。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、以下の1つを含む:保存条件下で長期間の経過後に、初期の濃度に基づいて、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%のムスカリンアンタゴニスト。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は以下の1つの効能をさらに有する:保存条件下で長期間の経過後に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%。いくつかの実施形態では、長期間は以下の1つである:約1週、約2週、約3週、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約8か月、約10か月、約12か月、約18か月、約24か月、約36か月、約4年、または約5年。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストは以下の1つの濃度で組成物中に存在する:約0.001wt%から約0.04wt%、約0.001wt%から約0.03wt%、約0.001wt%から約0.025wt%、約0.001wt%から約0.02wt%、約0.001wt%から約0.01wt%、約0.001wt%から約0.008wt%、または約0.001wt%から約0.005wt%。いくつかの実施形態では、保存条件は2°Cから10°C、または16°Cから26°Cの保存温度を有する。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、以下の1つの投与量間のムスカリンアンタゴニスト濃度変化を有する:50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または5%未満。いくつかの実施形態では、投与量間のムスカリンアンタゴニスト濃度変化は、以下の1つに基づく:10回の連続投与、8回の連続投与、5回の連続投与、3回の連続投与、または2回の連続投与。
【0033】
いくつかの実施形態では、約0.001wt%から約0.05wt%のムスカリンアンタゴニストと水を含む、約3.8~約7.5のpHの眼科用組成物が本明細書で開示される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストはアトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストはアトロピンまたは硫酸アトロピンである。
【0035】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、以下の1つを含む:保存条件下で長期間の経過後に、初期の濃度に基づいて、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%のムスカリンアンタゴニスト。
【0036】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は以下の1つのpHを有する:保存条件下で長期間の経過後に、約7.3未満、約7.2未満、約7.1未満、約7未満、約6.8未満、約6.5未満、約6.4未満、約6.3未満、約6.2未満、約6.1未満、約6未満、約5.9未満、約5.8未満、約5.2未満、約4.8未満、または約4.2未満。
【0037】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに以下の1つの効能を有する:保存条件下で長期間の経過後に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%。
【0038】
いくつかの実施形態では、長期間は以下の1つである:約1週、約2週、約3週、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約8か月、約10か月、約12か月、約18か月、約24か月、約36か月、約4年、または約5年。
【0039】
いくつかの実施形態では、保存条件は、以下の1つの保存温度を有する:約25°C、約40°C、または約60°C。いくつかの実施形態では、保存条件は約2°Cから約10°C、または約16°Cから約26°Cの保存温度を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、保存条件は約60%または約75%の相対湿度を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストは以下の1つの濃度で組成物中に存在する:約0.001wt%から約0.04wt%、約0.001wt%から約0.03wt%、約0.001wt%から約0.025wt%、約0.001wt%から約0.02wt%、約0.001wt%から約0.01wt%、約0.001wt%から約0.008wt%、または約0.001wt%から約0.005wt%。
【0042】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらにモル浸透圧濃度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、モル浸透圧濃度調整剤は塩化ナトリウムである。
【0043】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに保存剤を含む。いくつかの実施形態では、保存剤は、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウム、安定化したオキシクロロ複合体、SofZia、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、エデト酸二ナトリウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0045】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに等張化剤を含む。いくつかの実施形態では、等張化剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0046】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はプラスチック容器に保存される。いくつかの実施形態では、プラスチック容器の材料は低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、以下の1つの投与量間のムスカリンアンタゴニスト濃度変化を有する:50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または5%未満。
【0048】
いくつかの実施形態では、投与量間のムスカリンアンタゴニスト濃度変化は以下の1つに基づく:10回の連続投与、8回の連続投与、5回の連続投与、3回の連続投与、または2回の連続投与。
【0049】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は以下の1つのpHを有する:約3.8~約7.5、約4.2~約7.5、約4.8~約7.3、約5.2~約7.2、約5.8~約7.1、約6.0~約7.0、または約6.2~約6.8。
【0050】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらにpH調整剤を含む。いくつかの実施形態では、pH調整剤はHCl、NaOH、CHCOOH、またはCを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は以下の1つを含む:60%未満のDO、55%未満のDO、50%未満のDO、45%未満のDO、40%未満のDO、35%未満のDO、30%未満のDO、25%未満のDO、20%未満のDO、15%未満のDO、または10%未満のDO。
【0052】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は以下の1つを含む:5%未満のDO、4%未満のDO、3%未満のDO、2%未満のDO、1%未満のDO、0.5%未満のDO、0.1%未満のDO、または0%のDO。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、DOを本質的に含まない。
【0053】
いくつかの実施形態では、組成物はさらに薬学的に許容可能な担体を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、眼の疾病の処置のための眼科用溶液として処方される。いくつかの実施形態では、眼の疾病または疾患は、近視前症(pre-myopia)、近視、または近視の進行である。
【0055】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は注射可能な製剤として処方されない。
【0056】
本明細書に記載される方法および組成物の他の特徴および技術的な効果は、以下の詳細な記載から明らかとなる。しかしながら、詳細な記載と特定の例は、特定の実施形態を示しているが、例証目的でのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本開示の新規な特徴は添付の請求項で具体的に説明される。本開示の特徴と利点についてのよりよい理解は、本開示の原則が用いられている例証的な実施形態と添付の図面を説明する以下の詳細な記載を参照することによって得られる:
図1】A-Cは、25°Cと40°Cで保存されたサンプルから得られたデータに基づいて、主要分解物RRT0.87-0.89と0.5%以下の領域を備えた0.01%の硫酸アトロピン溶液の貯蔵期間予測を示す。硫酸アトロピン溶液のpH範囲は5.9-6.2である。
図2】A-Cは、25°Cと60°Cで保存されたサンプルから得られたデータに基づいて、主要分解物RRT0.87-0.89と0.5以下%の領域を備えた0.01%の硫酸アトロピン溶液の貯蔵期間予測を示す。硫酸アトロピン溶液のpH範囲は5.9-6.2である。
図3】実施例9で開示される硫酸アトロピン製剤について4週目および60°Cの条件での物質収支を例証する。
図4】酢酸中の硫酸アトロピン(0.010%)製剤の安定性を例証する。硫酸アトロピン製剤は、酢酸とHO(上部パネル、製剤3)またはDO(下部パネル、製剤7)のいずれかを用いて処方される。製剤3は4.8のpHを有し、製剤7は5.2のpDを有する。両方の製剤は分析の前に4週間60°Cで保存される。
図5】クエン酸中の硫酸アトロピン(0.01%)製剤の安定性を例証する。硫酸アトロピン製剤は、クエン酸と、HO(上部パネル、製剤5)またはDO(下部パネル、製剤8)のいずれかを用いて処方される。製剤5は5.8のpHを有し、製剤8は6.2のpDを有する。両方の製剤は分析の前に4週間60°Cで保存される。
図6】HO中pH4.8の硫酸アトロピン(0.025%)製剤(製剤4)の総RSとトロパ酸の比較を例証する。
図7】DO中のpD5.2の硫酸アトロピン(0.01%)製剤(製剤7)の総RSとトロパ酸の比較を例証する。
図8】HO中のpH5.8の硫酸アトロピン(0.01%)製剤(製剤5)の総RSとトロパ酸の比較を例証する。
図9】HO中のpH5.8の硫酸アトロピン(0.025%)製剤(製剤6)の総RSとトロパ酸の比較を例証する。
図10】実施例11と12において開示されたDOとHOの製剤の予想される貯蔵期間を例証する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本開示は、保存時の貯蔵期間を延長させた安定した眼科用組成物が必要とされていることを認めるものである。本開示はさらに、活性な薬剤の少なくとも一部の加水分解を抑えるまたは減少させることによって眼科用組成物を安定させる必要があることを認めるものである。本開示はさらに、患者の目の中にアトロピンなどのムスカリンアンタゴニストを都合よくかつ効率的に送達する眼科用組成物が必要とされていることを認めるものである。
【0059】
本開示は、例えば、若者の近視の上昇率の低下からも明らかなように、ムスカリンアンタゴニスト(例えば、アトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩)がヒトの近視の進行を予防するまたは抑えることを認めるものである。本開示はさらに、視覚障害のあるひよこの目における眼軸の延長と近視の低下と、若いアカゲザルにおける目の成長およびムスカリン性コリン受容体に対する、ムスカリンアンタゴニスト(例えば、アトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩)の効果を認めるものである。
【0060】
加えて、本開示は、ムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の全身吸収がしばしば望ましくない副作用を引き起こすこと、およびムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩)のその局所的な送達が前述の全身曝露を減少させるまたは防ぐことを認めるものである。
【0061】
さらに、本開示は、ムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩)の安定性のために、液体のムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)組成物の中には比較的低いpH範囲(例えば4.5未満)で処方されるものもあることを認めるものである。個人によっては、いくつかの例のより低いpH範囲は目の疼痛または灼熱感のような不快感または他の副作用を引き起こすものがあり、これはより高いpH範囲でムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)組成物を処方することによって予防されるまたは緩和される。個人によっては、いくつかの例のより低いpHは、目の薬物の吸収を低下させ、ゆえに有効性を低下させる涙応答を誘発する。
【0062】
またさらに、本開示は、より低い濃度(例えば、0.001%~0.05%)で処方されたムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)液体組成物のなかには、より高い濃度(例えば0.1-1%)ではさほど見られない安定性の問題を示すものがあることを認めるものである。任意の特定の理論の制約を受けることなく、ムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の中には水溶液のような眼科用組成物の安定性に寄与するものがあることが企図される。例えば、いくつかの実施形態のムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の濃度は、緩衝剤として作用するムスカリンアンタゴニストを用いるなどして、眼科用組成物のpHまたはpDに影響を与える。さらに、いくつかの実施形態のムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の濃度は、ムスカリンアンタゴニストと眼科用組成物の他の成分との間の相互作用に影響を与え、それは眼科用組成物の安定性にも影響を及ぼす。
【0063】
最後に、本開示は、重水素化水が眼科用組成物を安定させることを認めるものである。場合によっては、重水素化水は低濃度の反応種(例えば-OD)を含むためHOと比較して弱酸であり、眼科用組成物中の有効な薬剤の塩基触媒加水分解を引き起こすこともある。そのため、いくつかの例では、重水素化水を含む組成物は、HOを含む組成物と比較すると、還元型の塩基触媒加水分解を誘発する。いくつかの例では、重水素化水はさらに眼科用組成物の緩衝能を低下させ、目の涙の反射(tear reflex)を減少させる。
【0064】
目の眼軸の延長である近視は人口の大部分に影響を与える。近視の発症は一般に小学校時代であり、目の成長が完了するまで進行する。本開示は、近視の進行を防ぐまたは抑えるための組成物と処置、とりわけ、投与しやすく、潜在的な副作用を減らし、適切な安定性を誇り、および/または、比較的一貫した治療効果をもたらす組成物と処置の重要性を認めるものである。
【0065】
眼科用ムスカリンアンタゴニスト組成物
【0066】
低濃度の眼科用剤を含む眼科用組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、眼の疾患または疾病の処置のための約0.001wt%から約0.05wt%の眼科用剤と眼に許容可能な担体を含み、眼科用剤は眼に許容可能な担体の全体にわたって実質的に均一に分布する。いくつかの例では、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。
【0067】
低濃度のムスカリンアンタゴニストを含む眼科用組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、眼の疾患または疾病の処置のための約0.001wt%から約0.05wt%のムスカリンアンタゴニストと眼に許容可能な担体を含み、ムスカリンアンタゴニストは眼に許容可能な担体の全体にわたって実質的に均一に分布する。
【0068】
いくつかの例では、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキセート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポラミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウム臭化物、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トルテロジン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストはアトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグである。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0069】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキセート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポラミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウム臭化物、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トルテロジン、またはこれらの組み合わせから選択されるムスカリンアンタゴニストを含む。いくつかの例では、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、またはホマトロピンを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は2つ以上のムスカリンアンタゴニストを含み、2つ以上のムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキセート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポラミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウム臭化物、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トルテロジン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は1つ以上の交感神経性のアゴニストと組み合わせた1つ以上のムスカリンアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、交感神経性のアゴニストはフェニレフリンまたはハイドロキシアンフェタミンから選択される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、ムスカリンアンタゴニストの1つ以上:交感神経性のアゴニストの1つ以上と組み合わせた、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキセート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポラミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウム臭化物、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、またはトルテロジン;フェニレフリンまたはハイドロキシアンフェタミンを含む。
【0072】
アトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩の低濃度を含む眼科用組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、眼の疾病または疾患の処置のための約0.001wt%から約0.05wt%のアトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩と、眼に許容可能な担体を含み、眼科用剤は眼に許容可能な担体の全体にわたって実質的に均一に分布する。
【0073】
低濃度の硫酸アトロピンを含む眼科用組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、眼の疾病または疾患の処置のための約0.001wt%から約0.05wt%の硫酸アトロピンと、眼に許容可能な担体を含み、眼科用剤は眼に許容可能な担体の全体にわたって実質的に均一に分布する。
【0074】
いくつかの実施形態では、眼の疾病または疾患は近視前症、近視、または近視の進行である。
【0075】
本開示はさらに、遠近調節の喪失による瞳孔の拡張とかすみ目からのグレアを含む目の副作用により治療としてのアトロピンの臨床用途が制限されることを認めるものである。任意の特定の理論の制約を受けることなく、近視の発症に対するアトロピンの用途の制限は、既存の眼科用製剤で使用されるアトロピンの濃度(例えば、1wt%以上)に起因する。
【0076】
本開示はさらに、低濃度、とりわけ、非常に低濃度(例えば、約0.001wt%から約0.5wt%)のムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩)などの眼科用剤を含む組成物の製剤中にある問題を認めるものである。特に、こうした低濃度の眼科用剤を含む医薬組成物は、眼科用剤の内容物および/または分布の観点から投与量間の均一性を維持することが難しい。
【0077】
いくつかの態様において、重水素化水中で処方されるムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の製剤または溶液が本明細書に記載される。いくつかの態様において、重水素化水中で処方されるムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の製剤または溶液は、眼科用剤に比べて様々な温度で、様々な相対湿度で、酸性のpDで、および少なくとも80%の効能で安定している。さらなる態様において、重水素化水中で処方されるムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の製剤または溶液は緩衝能が低い。こうした例では、緩衝能の低い製剤または溶液が目へ投与されると、HO中に処方される同等の眼科用の製剤または溶液と比較して、眼科用の製剤または溶液はより早く生理学的なpHに到達する。
【0078】
いくつかの態様では、投与量間の変化がない低濃度のムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の製剤が本明細書に記載されている。いくつかの態様では、眼科用剤に比べて様々な温度で、様々な相対湿度で、酸性のpDで、および少なくとも80%の効能で安定している低濃度のムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)の製剤が本明細書に記載されている。
【0079】
他の態様において、本明細書の記載は眼科用のゲルまたは眼軟膏として眼科用組成物を処方することを含む。例えば、本明細書に記載される眼科用のゲルまたは眼軟膏により、望ましい投与量間の均一性、全身曝露の減少または制約、あるいはこれらの組み合わせが可能となる。
【0080】
眼科用溶液ムスカリンアンタゴニスト組成物
【0081】
ある実施形態において、水溶液として処方される眼科用組成物が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約0.001wt%から約0.05wt%のムスカリンアンタゴニストと重水素化水を含む。本明細書で使用されるように、重水素化水とは、DO、DHO、重水、および/または酸化ジューテリウムを指す。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約80%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約81%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約82%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約83%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約84%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約85%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約86%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約87%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約88%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約89%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約90%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約91%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約92%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約93%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約94%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約95%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約96%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約97%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約98%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は保存条件下で長期間にわたって少なくとも約99%の眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約80%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約81%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約82%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約83%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約84%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約85%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約86%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約87%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約88%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも約89%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも90%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも91%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも92%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも93%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも94%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも95%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも96%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも97%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも98%の効能を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、保存条件下で長期間の経過後に少なくとも99%の効能を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも1週間である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも2週間である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも3週間である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも1か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも2か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも3か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも4か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも5か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも6か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも7か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも8か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも9か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも10か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも11か月である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも12か月(つまり1年)である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも18か月(つまり1.5年)である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも24か月(つまり2年)である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも36か月(つまり3年)である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも3年である。いくつかの実施形態では、長期間は少なくとも5年またはそれ以上である。
【0085】
いくつかの実施形態では、保存条件の温度は約20°Cから約70°Cである。いくつかの実施形態では、保存条件の温度は約25°Cから約65°C、約30°Cから約60°C、約35°Cから約55°C、または約40°Cから約50°Cである。いくつかの実施形態では、保存条件の温度は約25°Cである。いくつかの実施形態では、保存条件の温度は約40°Cである。いくつかの実施形態では、保存条件の温度は約60°Cである。
【0086】
いくつかの実施形態では、保存条件の相対湿度は約50%-約80%、または約60%-約75%である。いくつかの実施形態では、保存条件の相対湿度は約60%である。いくつかの実施形態では、保存条件の相対湿度は約75%である。
【0087】
いくつかの実施形態では、組成物は、60%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、55%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、50%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、45%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、40%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、35%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、30%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、25%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、20%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、15%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満のHOを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、組成物は、5%未満のHOから0%のHOまでを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、5%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、4.5%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、4%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、3.5%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、3%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、2.5%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、2%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1.5%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.4%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.3%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.2%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.1%未満のHOを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0%のHOを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、組成物は、約4-約8、約4.5-約7.8、5-約7.5、または約5.5-約7のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.9未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.8未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.9未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.8未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.9未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.8未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約4未満のpDを有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、重水素化水を含む組成物は、HOを含む当量の組成物よりも緩衝能が低い。本明細書で別記されるように、いくつかの実施形態では、緩衝能の低下により、重水素化水を含む組成物はHOを含む組成物よりも早く生理学的なpHに正規化される。いくつかの実施形態では、緩衝能の低下により、組成物はHOを含む当量の組成物よりも誘発する涙の反射が少ない。
【0091】
幾つかの例において、重水素化水を含む組成物は、ムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)を安定させる。幾つかの実施形態において、このことは、同等なHO水溶液系における反応種(例えば-OH)の濃度と比較して、DO水溶液系における反応種(例えば-OD)の濃度が低いためである。場合によっては、塩基触媒加水分解によって、アトロピンからトロピン分解物がもたらされる。場合によっては、反応種が、トロピン分解物の形成を引き起こす低い濃度であることで、アトロピン溶液は、同等なHOの水性系と比較して、DOの水性系においてより安定している。幾つかの実施形態において、眼科用組成物は、HOで製剤されるよりも、重水素化水で製剤される方がより安定化することができる。
【0092】
幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の20%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の15%未満を含む。
【0093】
幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の10%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の5%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の2.0%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の1.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の1.0%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.4%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.3%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.2%未満を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.1%未満を含む。幾つかの実施形態において、主要分解物はトロパ酸である。
【0094】
幾つかの実施形態において、主要分解物は、本明細書に記載されるUPLC方法に従い、0.87-0.89のRRTにおいて早期に溶出する関連物質である(表10)。幾つかの例において、早期に溶出する関連物質はRRT0.87-0.89と称される。幾つかの実施形態において、主要分解物はRRT-0.87-0.89である。
【0095】
<眼科用ムスカリンアンタゴニストの濃度>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.050重量%の間、約0.005重量%と約0.050重量%の間、約0.010重量%と約0.050重量%の間、約0.015重量%と約0.050重量%の間、約0.020重量%と0.050重量%の間、約0.025重量%と0.050重量%の間、約0.030重量%と約0.050重量%の間、約0.035重量%と約0.050重量%の間、約0.040重量%と約0.050重量%の間、又は約0.045重量%と約0.050重量%の間の、眼科用剤、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの例において、眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)のプロドラッグは、眼科用組成物の投与後に眼科用剤(例えばムスカリンアンタゴニスト)へと化学的に変換される。限定しない例において、ムスカリンアンタゴニストのプロドラッグは、涙の中の1以上の酵素により開裂可能な化学結合を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。本明細書に記載されるように、眼科用剤は、光学的に純粋な立体異性体、光学的に豊富な立体異性体、及び立体異性体のラセミ混合物を含む。例えば、本明細書に開示される眼科用粗製物の中には、アトロピン、又は、アトロピンがD異性体とL異性体のラセミ混合物である硫酸アトロピンを含むものがあり;及び、本明細書に開示される眼科用粗製物の中には、アトロピン、又は、アトロピンがより光学的に活性なL異性体を好んで光学的に豊富である硫酸アトロピンを含むものがある。
【0096】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.045重量%の間、約0.005重量%と約0.045重量%の間、約0.010重量%と約0.045重量%の間、約0.015重量%と約0.045重量%の間、約0.020重量%と約0.045重量%の間、約0.025重量%と約0.045重量%の間、約0.030重量%と約0.045重量%、約0.035重量%と約0.045重量%の間、又は約0.040重量%と約0.045重量%の間の、眼科用剤、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0097】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.040重量%の間、約0.005重量%と約0.040重量%の間、約0.010重量%と約0.040重量%の間、約0.015重量%と約0.040重量%の間、約0.020重量%と0.040重量%の間、約0.025重量%と0.040重量%の間、約0.030重量%と約0.040重量%、約0.035重量%と約40重量%の、眼科用剤、即ち有効成分、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0098】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.035重量%の間、約0.005重量%と約0.035重量%の間、約0.010重量%と約0.035重量%の間、約0.015重量%と約0.035重量%の間、約0.020重量%と約0.035重量%の間、約0.025重量%と約0.035重量%の間、又は約0.030重量%と約0.035重量%の間の、眼科用剤、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0099】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.030重量%の間、約0.005重量%と約0.030重量%の間、約0.010重量%と約0.030重量%の間、約0.015重量%と約0.030重量%の間、約0.020重量%と約0.030重量%の間、又は約0.025重量%と約0.030重量%の間の、眼科用剤、即ち有効成分、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0100】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.025重量%の間、約0.005重量%と約0.025重量%の間、約0.010重量%と約0.025重量%の間、約0.015重量%と約0.025重量%の間、又は約0.020重量%と約0.025重量%の間の、眼科用剤、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0101】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.020重量%の間、約0.005重量%と約0.020重量%の間、約0.010重量%と約0.020重量%の間、又は約0.015重量%と約0.020重量%の間の、眼科用剤、即ち有効成分、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0102】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.015重量%の間、約0.005重量%と約0.015重量%の間、又は約0.010重量%と約0.015重量%の間の、眼科用剤、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0103】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%と約0.010重量%の間、約0.005重量%と約0.010重量%の間、又は約0.008重量%と約0.010重量%の間の、眼科用剤、又はその薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0104】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.001重量%、0.005重量%、0.010重量%、0.015重量%、0.020重量%、0.025重量%、0.030重量%、0.035重量%、0.040重量%、0.045重量%、又は0.050重量%の、眼科用剤、その薬学的に許容可能なプロドラッグ或いは塩の濃度を有する。幾つかの実施形態において、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその薬学的に許容可能な塩である。幾つかの実施形態において、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0105】
任意の特定の理論に組み合わされることなく、本明細書では、開示された眼科用組成物中の低濃度の眼科用剤(例えば、アトロピン又は硫酸アトロピンなどのムスカリンアンタゴニスト)が、必要とする個体に十分且つ一貫した治療効果をもたらす一方で、より高濃度の眼科用剤(例えば、アトロピン又は硫酸アトロピン等のムスカリンアンタゴニスト)を含有する眼科用製剤に関連する調節作用の損失による、瞳孔の拡大及びかすみ目からのグレア(glare)を含む目の副作用を低減又は回避することが、考慮される。
【0106】
<水溶液の安定性>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は緩衝液を含む。幾つかの実施形態において、緩衝液は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、又はそれらの組み合わせから選択される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、重水素化水を含む緩衝液を含む。幾つかの実施形態において、重水素化水素化緩衝液は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、又はそれらの組み合わせから選択され、重水素化水の中で処方される。
【0107】
幾つかの例において、ホウ酸塩は、ホウ酸、ホウ酸の塩、他の薬学的に許容可能なホウ酸塩、及びそれらの組み合わせを含む。場合によっては、ホウ酸塩は、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン、及び他のそのようなホウ酸塩を含む。
【0108】
本明細書で使用されるように、用語「ポリオール」は、互いに対してトランス構造中にはない、2つの隣接した炭素原子の各々の上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有している任意の化合物を含む。幾つかの実施形態において、ポリオールは、結果として生じる複合体が水溶性であり且つ薬学的に許容可能である限り、線形又は環式、置換又は非置換、或いはそれらの混合物である。幾つかの例において、ポリオールの例は、糖、糖アルコール、糖酸、及びウロン酸を含む。場合によっては、ポリオールは、限定されないが、マンニトール、グリセリン、キシリトール、及びソルビトールを含む。
【0109】
幾つかの実施形態において、リン酸塩緩衝剤は、リン酸;リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、及びリン酸三カリウムなどアルカリ金属リン酸塩;リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム(リン酸水素マグネシウム)、及び第三リン酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属リン酸塩;リン酸水素二アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムなどのリン酸アンモニウム;又は、それらの組み合わせを含む。幾つかの例において、リン酸塩緩衝剤は無水物である。幾つかの例において、リン酸塩緩衝剤は水和物である。
【0110】
幾つかの実施形態において、ホウ酸塩-ポリオール複合体は、米国特許第6,503,497号に記載されるものを含む。幾つかの例において、ホウ酸塩-ポリオール複合体は、約0.01から約2.0% w/vの量のホウ酸塩、及び約0.01%から約5.0% w/vの1以上のポリオールを含む。
【0111】
場合によっては、クエン酸塩緩衝剤はクエン酸とクエン酸ナトリウムを含む。
【0112】
幾つかの例において、酢酸塩緩衝剤は、酢酸、酢酸カリウム、及び酢酸ナトリウムを含む。
【0113】
幾つかの例において、炭酸塩緩衝剤は、重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムを含む。
【0114】
場合によっては、有機緩衝剤は、グッド緩衝液、例えば、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N-(2-アセタミド)イミノ二酢酸、N-(カルバモイルメチル)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸(PIPES)、N-(2-アセタミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、β-ヒドロキシ-4-モルホリンプロパンスルホン酸、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、コラミンクロリド、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、2-[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸(TES)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、アセタミドグリシン、3-{[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-プロパニル]アミノ}-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン-1,4,-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(POPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)水和物(HEPPSO)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPPS)、トリシン、グリシンアミド、ビシン、又はN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸ナトリウム(TAPS);グリシン;及びジエタノールアミン(DEA)などを含む。
【0115】
場合によっては、アミノ酸緩衝剤は、タウリン、アスパラギン酸及びその塩(例えばカリウム塩など)、E-アミノカプロン酸などを含む。
【0116】
幾つかの例において、本明細書に記載される組成物は等張化剤を更に含む。等張化剤は、適用の部位にて浸透圧刺激を防ぐことにより局所刺激を減少させるための眼科用組成物などの調製物に導入される薬剤である。幾つかの例において、緩衝液溶液、及び/又は、特定のイオン濃度で眼科用溶液とpDを広く維持するpD調整剤は、等張化剤と見なされる。場合によっては、等張化剤は、一価カチオンのハロゲン塩などの様々な塩を含む。場合によっては、等張化剤は、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、及びグリセリンを含む。幾つかの例において、適切な等張調整剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0117】
幾つかの例において、本明細書に記載される組成物中の等張化剤の濃度は、約0.5%と約2.0%の間である。幾つかの例において、本明細書に記載される組成物中の等張化剤の濃度は、約0.7%と約1.8%の間、約0.8%と約1.5%の間、又は約1%と約1.3%の間である。幾つかの例において、等張化剤の濃度は、約0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、又は1.9%である。場合によっては、パーセンテージは重量パーセントである。
【0118】
場合によっては、本明細書に記載される組成物はpD調整剤を更に含む。幾つかの実施形態において、使用されるpD調整剤は酸又は塩基である。幾つかの実施形態において、塩基は、オキシド、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などである。幾つかの例において、オキシドは、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物であり;水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属、或いはそれらの重水素化水素化された同等物であり、炭酸塩は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどである。幾つかの例において、酸は、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸などの鉱酸及び有機酸、或いはそれらの重水素化水素化された同等物である。幾つかの例において、pD調整剤は、限定されないが、酢酸塩、炭酸水素塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩、それらの薬学的に許容可能な塩、及びそれらの組み合わせ或いは混合物を含む。幾つかの実施形態において、pD調整剤はDCl及びNaODを含む。
【0119】
幾つかの例において、組成物は、約4と約8の間、約4.5と約7.8の間、約5と約7.5の間、又は約5.5と約7の間のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.9未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.8未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.9未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.8未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.9未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.8未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、pDは、保存条件下で長期間経過後の組成物のpDである。
【0120】
幾つかの例において、組成物は、約4と約8の間、約4.5と約7.8の間、約5と約7.5の間、又は約5.5と約7の間の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.5の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.4の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.3の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.2の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7.1の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約7の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.9の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.8の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.7の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.6の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.5の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.4の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.3の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.2の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6.1の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約6の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.9の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.8の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.7の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.6の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.5の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.4の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.3の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.2の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5.1の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.9の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.8の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.7の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.6の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.5の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.4の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.3の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.2の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4.1の初期のpDを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約4の初期のpDを有する。
【0121】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物のpDは、組成物の安定性に関連する。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4と約8の間、約4.5と約7.8の間、約5と約7.5の間、又は約5.5と約7の間のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約7.5未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約7.4未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約7.3未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約7.2未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約7.1未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約7未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.9未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.8未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.7未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.6未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.5未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.4未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.3未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.2未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6.1未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約6未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.9未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.8未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.7未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.6未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.5未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.4未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.3未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.2未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5.1未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約5未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.9未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.8未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.7未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.6未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.5未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.4未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.3未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.2未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4.1未満のpDを含む。幾つかの実施形態において、安定した組成物は、約4未満のpDを含む。
【0122】
本明細書の至る所に記載されるように、幾つかの例において、DO水溶液系は、ムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピン)を安定させる。幾つかの実施形態において、このことは、同等なHO水溶液系における反応種(例えば-OH)の濃度と比較して、DO水溶液系における反応種(例えば-OD)の濃度が低いためである。幾つかの例において、DO水溶液系における反応種(例えば-OD)の濃度は、同等なHO水溶液系における反応種(例えば-OH)の濃度の約3分の1未満である。場合によっては、このことは、DOの解離定数がHOよりも低い又は小さいことが原因である。例えば、K(HO)は1x10-14である一方、K(DO)は1x10-15である。そのため、DOはHOよりも弱い酸である。場合によっては、塩基触媒加水分解によって、アトロピンからトロピン分解物がもたらされる。場合によっては、反応種が、トロピン分解物の形成を引き起こす低い濃度であることで、アトロピン溶液は、同等なHOの水性系と比較して、DOの水性系においてより安定している。幾つかの実施形態において、眼科用組成物は、HOで製剤されるよりも、重水素化水で製剤される方がより安定化することができる。
【0123】
幾つかの実施形態において、重水素化水の存在によって、緩衝液のpKaは変化する。幾つかの実施形態において、重水素化水の存在によって、眼科用組成物は、より低いpH系の安定性をシミュレートすることができる。幾つかの例において、眼科用組成物の緩衝能は、低下され、それにより、pHのより速い変化が可能となる。幾つかの例において、眼に投与されたときの眼科用組成物の緩衝能の低下によって、眼科用組成物は、HO中で製剤された眼科用組成物よりも速い速度で生理的pHに達することができる。幾つかの例において、重水素化水で製剤された眼科用組成物は、HOで製剤された眼科用組成物と比較して、より低い涙の生成、または眼内のより少ない涙の反射(tear reflex)が可能となる。
【0124】
幾つかの例において、本明細書に記載される組成物は殺菌剤を更に含む。場合によっては、殺菌剤は、ポリマーのビグアニド、ポリマーの第四級アンモニウム化合物、亜塩素酸塩、ビスビグアニド、亜塩素酸塩化合物(例えば、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩化カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、又はそれらの混合物)、及びそれらの組み合わせを含む。
【0125】
幾つかの例において、本明細書に記載される組成物は保存剤を更に含む。場合によっては、防腐剤は、組成物に導入される微生物の増殖を防ぐために、又は該微生物を破壊するために、一定の濃度で、本明細書に記載される組成物に加えられる。幾つかの例において、微生物は、細菌(例えば、Proteus mirabilis、Serratia marcesens)、ウィルス(例えば、Herpes simplex virus、herpes zoster virus)、真菌類(例えば、genus Fusariumからの真菌類)、酵母菌(例えばCandida albicans)、寄生虫(例えば、Plasmodium spp.、Gnathostoma spp.)、原虫(例えば、Giardia lamblia)、線虫(例えば、Onchocercus volvulus)、ワーム(例えばDirofilaria immitis)、及び/又はアメーバ(例えばAcanthameoba)を指す。
【0126】
幾つかの例において、防腐剤の濃度は、約0.0001%と約1%の間、約0.001%と約0.8%の間、約0.004%と約0.5%の間、約0.008%と約0.1%の間、及び約0.01%と約0.08%の間である。場合によっては、防腐剤の濃度は、約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.008%、0.009%、0.009%、0.01%、0.015%、0.02%、0.025%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、又は1.0%である。
【0127】
幾つかの実施形態において、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウム、安定したオキシクロロ複合体、SofZia(Alcon)、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、エデト酸二ナトリウム、及びポリヘキサメチレンビグアニドをから選択される。
【0128】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物はプラスチック容器に保存される。幾つかの実施形態において、プラスチック容器の材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ素処理したHDPE、消費後樹脂(PCR)、K-レジン(SBC)、又はビオプラスト質を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器の材料はLDPEを含む。
【0129】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物はプラスチック容器に保存される。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4と約8の間、約4.5と約7.9の間、又は約4.9と約7.5の間のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約7.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約7.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約7.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約7.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.9未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.8未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.9未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.8未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.9未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.8未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.7未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.6未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.5未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.4未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.3未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.2未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4.1未満のpDを有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約4未満のpDを有する。
【0130】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも80%の効能を有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも85%の効能を有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも90%の効能を有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも93%の効能を有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも95%の効能を有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも97%の効能を有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも98%の効能を有する。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも99%の効能を有する。幾つかの例において、保存条件は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度を含む。幾つかの例において、長期間は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月である。
【0131】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも80%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも85%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも90%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも93%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも95%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも97%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも98%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で少なくとも99%の効能を有している。
【0132】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも80%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも85%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも90%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも93%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも95%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも97%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも98%の効能を有している。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、少なくとも99%の効能を有している。
【0133】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の20%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の15%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の10%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の5%未満を含む。
【0134】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の2.5%未満から0.1%未満までを含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の2.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の2.0%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の1.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の1.0%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.4%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.3%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.2%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、保存条件下で長期間経過後、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.1%未満を含む。幾つかの例において、保存条件は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度を含む。幾つかの例において、長期間は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月である。
【0135】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の20%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の15%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の10%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の5%未満を含む。
【0136】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の2.5%未満から0.1%未満までを含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の2.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の2.0%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の1.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の1.0%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.5%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.4%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.3%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.2%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、約25℃、約40℃、又は約60℃の温度で、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の0.1%未満を含む。
【0137】
幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の20%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の15%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の10%未満を含む。幾つかの実施形態において、プラスチック容器に保存される組成物は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、又は少なくとも24か月の期間、眼科用剤の濃度に基づき、主要分解物の5%未満を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、2.5%未満の主要分解物から0.1%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、2.5%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、2.0%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、1.5%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、1.0%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、0.5%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、0.4%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、0.3%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、0.2%未満の主要分解物を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、眼科用剤の濃度に基づいて、0.1%未満の主要分解物を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、ガラス容器に保存される。
いくつかの実施形態では、ガラス容器は、例えば、I型、II型、またはIII型のガラスバイアルなどの、ガラスバイアルである。いくつかの実施形態では、ガラス容器は、I型ガラスバイアルである。いくつかの実施形態では、I型ガラスバイアルは、ホウケイ酸ガラスバイアルである。
【0140】
いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、約7より高いpDを有する。いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、約7.5より高いpDを有する。いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、約8より高いpDを有する。いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、約8.5より高いpDを有する。いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、約9より高いpDを有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、約25℃、約40℃、または約60℃の温度で60%未満の効能を有する。いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも8か月、少なくとも10か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、または少なくとも24か月の期間の間、60%未満の効能を有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、ガラス容器に保存された組成物は、プラスチック容器に保存された組成物ほど安定していない。
【0143】
いくつかの実施形態では、組成物は、暗所に保存される。いくつかの例では、組成物は、光の存在下で保存される。いくつかの例では、光は、屋内光、室内光、または太陽光である。いくつかの例では、組成物は、光の存在下で保存される間、安定している。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、水溶液として製剤される。いくつかの実施形態では、水溶液は、安定した水溶液である。いくつかの例では、水溶液は、上に記載されるようなプラスチック容器に保存される。いくつかの例では、水溶液は、ガラス容器に保存されない。いくつかの例では、水溶液は、暗所に保存される。いくつかの例では、水溶液は、光の存在下で保存される。いくつかの例では、水溶液は、光の存在下で安定している。
【0145】
具体的な実施形態では、眼に許容可能な製剤は、シクロデキストリンを代替的に含む。シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、またはγ-シクロデキストリンと呼ばれる、それぞれ、6、7、または8のグルコピラノース単位を含有している環状オリゴ糖である。シクロデキストリンは、水溶性を増強する親水性外部およびキャビティを形成する疎水性内部を有する。水環境では、他の分子の疎水性部分は、しばしば、シクロデキストリンの疎水性キャビティに入り、包接化合物が形成される。さらに、シクロデキストリンは、疎水性キャビティの内部にない分子との他のタイプの非結合相互作用も可能である。シクロデキストリンは、各グルコピラノース単位に対する3つの遊離ヒドロキシル基、あるいはα-シクロデキストリン上の18のヒドロキシル基、β-シクロデキストリン上の21のヒドロキシル基、およびγ-シクロデキストリンの上の24のヒドロキシル基を有する。いくつかの実施形態では、これらのヒドロキシル基の1つ以上は、多くの試薬のいずれかと反応させられ、ヒドロキシプロピルエーテル、スルホン酸塩、およびスルホアルキルエーテル(sulfoalkylethers)を含む、多種多様のシクロデキストリン誘導体が形成される。β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)の構造が、以下に示される。
【0146】
【化1】
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物におけるシクロデキストリンの使用は、薬物の溶解度を向上させる。包接化合物は、増強された溶解度の多くの事例に関連しているが、シクロデキストリンと不溶性化合物との間の他の相互作用も、溶解度を向上させる。ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)は、パイロジェンフリー生成物として市販で入手可能である。これは、水に容易に溶ける非吸湿性白色粉体である。HPβCDは、熱的に安定しており、中性のpHで分解しない。それ故、シクロデキストリンは、組成物または製剤における治療剤の溶解度を向上させる。したがって、いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、本明細書に記載される製剤内の眼に許容可能な眼科用剤の溶解度を増加させるために含まれる。他の実施形態では、シクロデキストリンはさらに、本明細書に記載される製剤内の制御放出賦形剤として働く。
【0148】
ほんの一例ではあるが、使用のためのシクロデキストリン誘導体は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシ-エチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、硫酸化したβ-シクロデキストリン、硫酸化したα-シクロデキストリン、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンを含む。
【0149】
本明細書に開示される組成物および方法に使用されるシクロデキストリンの濃度は、生理化学的特性、薬物動態学的特性、副作用または有害事象、製剤考察(formulation considerations)、あるいは組成物における治療上の眼科用剤、またはその塩またはプロドラッグに、または他の賦形剤の特性に関連する他の因子によって様々である。したがって、特定の環境では、本明細書に開示される組成物および方法に従って使用されるシクロデキストリンの濃度または量は、必要に応じて様々である。本明細書に記載される製剤のいずれかにおいて眼科用剤の溶解度を増加させる及び/又は制御放出賦形剤として機能させるために必要とされるシクロデキストリンの使用されるときの量は、本明細書に記載される原則、例、および教示を使用して選択される。
【0150】
本明細書に開示される眼に許容可能な製剤に有用な他の安定剤は、例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、アルコール、長鎖脂肪酸エステル、長鎖エーテル、脂肪酸の親水性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、炭化水素、疎水性ポリマー、吸湿性ポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、安定剤のアミドアナログも使用される。さらなる実施形態では、選択された安定剤は、製剤の疎水性を変化させるか、製剤中の様々な成分の混合を改善させるか、製剤中の水分レベルを制御するか、または相の移動度を制御する。
【0151】
他の実施形態では、安定剤は、眼科用剤の分解を阻害するのに十分な量で存在する。そのような安定剤の例には、限定されないが、グリセロール、メチオニン、モノチオグリセロール、EDTA、アスコルビン酸、ポリソルベート80、ポリソルベート20、アルギニン、ヘパリン、デキストラン硫酸塩、シクロデキストリン、ペントサンポリサルフェートおよび他のヘパリノイド、マグネシウムおよび亜鉛などの二価カチオン、あるいはそれら組み合わせが挙げられる。
【0152】
眼に許容可能な製剤のための追加の有用な安定剤は、タンパク質凝集率を低下させることによって眼科用製剤の安定性を増強する、1つ以上の抗凝集添加剤を含む。選択される抗凝集添加剤は、眼科用剤、例えばムスカリンアンタゴニスト(例えば、アトロピンまたはその薬学的に許容する塩)がさらされる症状の性質に依存する。例えば、撹拌および熱応力を受けている製剤には、凍結乾燥および再構成を受けている製剤とは異なる抗凝集添加剤が必要とされる。有用な抗凝集添加剤は、ほんの一例として、尿素、塩化グアニジニウム、グリシンまたはアルギニンなどの単純なアミノ酸、糖、ポリアルコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコールおよびデキストランなどのポリマー、アルキルグリコシドなどのアルキルサッカライド、および界面活性剤を含む。
【0153】
他の有用な製剤は、随意に、必要に応じて化学的安定性を増強する、1つ以上の眼に許容可能な抗酸化剤を含む。適切な抗酸化剤は、ほんの一例として、アスコルビン酸、メチオニン、チオ硫酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。一実施形態では、抗酸化剤は、金属キレート剤、チオール含有化合物、および他の一般的な安定剤から選択される。
【0154】
また他の有用な組成物は、物理的安定性を増強するまたは他の目的のための、1つ以上の眼に許容可能な界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤は、限定されないが、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;およびポリオキシエチレン・アルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼に許容可能な医薬製剤は、保存条件(例えば室温)下で、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約3か月間、少なくとも約4か月間、少なくとも約5か月間、または少なくとも約6か月間のいずれかの期間の間、化合物分解に対して安定している(例えば、30%未満の分解、25%未満の分解、20%未満の分解、15%未満の分解、10%未満の分解、8%未満の分解、5%未満の分解、3%未満の分解、2%未満の分解、または5%未満の分解)。他の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも約1週間の期間の間、化合物分解に対して安定している。本明細書にはまた、少なくとも約1か月の期間の間、化合物分解に関して安定している製剤が記載されている。
【0156】
他の実施形態では、追加の界面活性剤(補助界面活性剤)及び/又は緩衝剤が、本明細書で前に記載された薬学的に許容可能なビヒクルの1つ以上と組み合わされ、その結果、界面活性剤及び/又は緩衝剤は、生成物を安定性に対する最適なpDで維持する。適切な補助界面活性剤は、限定されないが、以下を含む:a)天然および合成の親油性薬剤、例えば、リン脂質、コレステロール、コレステロール脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体;b)例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル(Spans)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアリン酸塩(Tween 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween 20)、および他のTween)、ソルビタンエステル、グリセロールエステル、例えば、Myrjおよびグリセロールトリアセテート(トリアセチン)、ポリエチレングリコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート80、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレン、ヒマシ油誘導体(例えば、Cremophor(登録商標)RH40、Cremphor A25、Cremphor A20、Cremophor(登録商標)EL)および他のCremophor、スルホサクシネート、アルキル硫酸塩(SLS)を含む、非イオン性界面活性剤;PEG-8グリセリルカプリル酸塩/カプリン酸塩(Labrasol)、PEG-4グリセリルカプリル酸塩/カプリン酸塩(Labrafac Hydro WL 1219)、PEG-32ラウリン酸グリセリル(Gelucire 444/14)、PEG-6グリセリルモノオレエート(Labrafil M 1944 CS)、PEG-6グリセリルリノール酸塩(Labrafil M 2125 CS)などの、PEGグリセリル脂肪酸エステル;ラウリン酸プロピレングリコール、プロピレングリコールカプリル酸塩/カプリン酸塩などの、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびプロピレングリコールジ脂肪酸エステル;Brij(登録商標)700、アスコルビル-6-パルミチン酸塩、ステアリルアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、トリイリシンオレイン酸ポリオキシエチレングリセロール(polyoxethyleneglycerol triiricinoleate)、およびそれらの任意の組み合わせ又は混合物;c)陰イオン性界面活性剤は、限定されないが、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、スルホコハク酸ナトリウム、ジオクチル、アルギン酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ラウリン酸カリウム、胆汁酸塩、およびそれらの任意の組み合わせ又は混合物;およびd)臭化セチルトリメチルアンモニウム、およびラウリルジメチルベンジル-塩化アンモニウムなどの、陽イオン性界面活性剤。
【0157】
さらなる実施形態では、1つ以上の補助界面活性剤は、本開示の眼に許容可能な製剤に利用されるときに、例えば、薬学的に許容可能なビヒクルと組み合わせられ、例えば、約0.1%乃至約20%、約0.5%乃至約10%の範囲の量で、最終的な製剤中に存在する。
【0158】
一実施形態では、界面活性剤は、0~20のHLB値を有する。追加の実施形態では、界面活性剤は、0~3、4~6、7~9、8~18、13~15、または10~18のHLB値を有する。
【0159】
<pD>
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物のpDは、(例えば、緩衝液及び/又はpD調整剤の使用によって)約4~約8、約4.5~約7.5、または約5~約7の範囲の、眼に適合可能なpD範囲に調整される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約5.0~約7.0のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約5.5~約7.0のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約6.0~約7.0のpDを有する。
【0160】
いくつかの実施形態では、有用な製剤は、1以上のpD調整剤または緩衝剤を含む。
適切なpD調整剤または緩衝剤は、限定されないが、酢酸塩、重炭酸塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、重炭酸塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩の重水素化した形態、あるいはそれらの薬学的に許容する塩およびそれらの組み合わせ及び混合物を含む。いくつかの実施形態では、pD調整剤または緩衝剤は、重水素化した塩酸(DCl)、重水素化水酸化ナトリウム(NaOD)、重水素化した酢酸(CDCOOD)、または重水素化したクエン酸(C)を含む。
【0161】
一実施形態では、1つ以上の緩衝液は、本開示の製剤に利用されるときに、例えば、薬学的に許容可能なビヒクルと組み合わせられ、例えば、約0.1%乃至約20%、約0.5%乃至約10%の範囲の量で、最終的な製剤中に存在する。本開示の特定の実施形態では、ゲル製剤に含まれる緩衝液の量は、ゲル製剤のpDが身体の天然の緩衝系を妨害しないような量である。
【0162】
一実施形態では、化合物を安定させるために、希釈剤も使用され、なぜなら希釈剤は、より安定した環境を提供するからである。いくつかの例では、(pDの制御または維持も提供する)緩衝液中に溶解された塩が、限定されないが、リン酸緩衝食塩水溶液を含む、当該技術分野における希釈剤として利用される。
【0163】
いくつかの実施形態では、pDは、Glasoe et al., ”Use of glass electrodes to measure acidities in deuterium oxide,” J. Physical Chem. 64(1): 188-190 (1960)に開示される式に従って計算される。いくつかの実施形態では、pDは、pD=pH+0.4として計算され、式中、pHは、重水素化水(例えば、DO)を含む溶液中で製剤された眼科用組成物の測定された又は観察されたpHである。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4から約8の間、約4.5から約8の間、約4.9から約7.9の間、約5.4から約7.9の間、約5.9から約7.9の間、約6.4から約7.9の間、または約7.4から約7.9の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.5から約7.5の間、約5.0から約7.5の間、約5.5から約7.5の間、約6.0から約7.5の間、または約7.0から約7.5の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.5から約7.0の間、約5.0から約7.0の間、約5.5から約7.0の間、約6.0から約7.0の間、または約6.5から約7.0の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.9から7.4の間、約5.4から約7.4の間、約5.9から約7.4の間、約6.4から約7.4、または約6.9から約7.4の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.5から6.5の間、約5.0から約6.5の間、約5.5から約6.5、または約6.0から約6.5の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.9から6.9の間、約5.4から約6.9の間、約5.9から約6.9、または約6.4から約6.9の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.5から6.0の間、約5.0から約6.0、または約5.5から約6.0の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.9から6.4の間、約5.4から約6.4、または約5.9から約6.4の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.5から5.5、または約5.0から約5.5の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.9から5.9、または約5.4から約5.9の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.5から5.0の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物は、約4.9から5.4の間のpDを有する。
【0165】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、眼科用水性組成物である。いくつかの例では、眼科用水性組成物は、約4から約8、約4.5から約7.8、約5から約7.5、または約5.5から約7の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.5のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.4のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.3のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.2のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.1のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.9のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.8のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.7のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.6のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.5のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.4のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.3のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.2のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.1のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.9のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.8のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.7のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.6のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.5のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.4のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.3のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.2のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.1のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.9のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.8のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.7のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.6のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.5のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.4のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.3のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.2のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.1のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4のpDを有する。いくつかの実施形態では、pDは、眼科用水性組成物の初期のpDである。いくつかの実施形態では、pDは、保存条件下での長期間後の眼科用水性組成物のpDである。
【0166】
いくつかの例では、眼科用水性組成物は、約4から約8、約4.5から約7.8、約5から約7.5、または約5.5から約7の間の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.5の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.4の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.3の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.2の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.1の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.9の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.8の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.7の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.6の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.5の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.4の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.3の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.2の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.1の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.9の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.8の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.7の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.6の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.5の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.4の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.3の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.2の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.1の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.9の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.8の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.7の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.6の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.5の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.4の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.3の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.2の初期のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4の初期のpDを有する。
【0167】
いくつかの例では、眼科用水性組成物は、約4から約8、約4.5から約7.8、約5から約7.5、または約5.5から約7の間のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.9未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.8未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.9未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.8未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.9未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.8未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.7未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.6未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.5未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.3未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.2未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4.1未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用水性組成物は約4未満のpDを有する。いくつかの実施形態では、pDは、保存条件下での長期間後の眼科用水性組成物のpDである。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用水性組成物のpDは、眼科用水性組成物の安定性に関係している。いくつかの実施形態では、安定した組成物は、約4から約8、約4.5から約7.8、約5から約7.5、または約5.5から約7の間のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約7.5未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約7.4未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約7.3未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約7.2未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約7.1未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約7未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.9未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.8未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.7未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.6未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.5未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.4未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.3未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.2未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6.1未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約6未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.9未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.8未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.7未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.6未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.5未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.4未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.3未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.2未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5.1未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約5未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.9未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.8未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.7未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.6未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.5未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.4未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.3未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.2未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4.1未満のpDを含む。いくつかの実施形態では、安定した組成物は約4未満のpDを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、DOの水性系は、ムスカリンアンタゴニスト(例えば、アトロピン)を安定させる。いくつかの実施形態では、これは、DOの水性系における反応種(例えば-OD)の濃度が、同等なHOの水性系における反応種(例えば-OH)の濃度と比較して低いことが原因である。いくつかの例では、DOの水性系における反応種(例えば-OD)の濃度は、同等なHOの水性系における反応種(例えば-OH)の濃度の約3分の1未満である。いくつかの場合には、これは、DOの解離定数が、HOの解離定数より低い又は少ないことが原因である。例えば、Ka(HO)は1×10-14であるが、K(DO)は1×10-15である。そのため、DOはHOより弱酸性である。いくつかの場合には、塩基触媒加水分解によって、アトロピンからトロピン分解物がもたらされる。いくつかの場合には、反応種が、トロピン分解物の形成を引き起こす低い濃度であることで、アトロピン溶液は、同等なHOの水性系と比較して、DOの水性系においてより安定している。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、HOで製剤されるよりも、重水素化水で製剤される方がより安定化することができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、重水素化水の存在によって、緩衝液のpKaは変化する。いくつかの実施形態では、重水素化水の存在によって、眼科用組成物は、より低いpH系の安定性をシミュレートすることができる。いくつかの例では、眼科用組成物の緩衝能は、低下され、それにより、pHのより速い変化が可能となる。いくつかの例では、眼に投与されたときの眼科用組成物の緩衝能の低下によって、眼科用組成物は、HO中で製剤された眼科用組成物よりも速い速度で生理的pHに達することができる。いくつかの例では、重水素化水で製剤された眼科用組成物は、HOで製剤された眼科用組成物と比較して、より低い涙の生成、または眼内のより少ない涙の反射が可能となる。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用のゲルまたは軟膏の組成物は、約4、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、または約7.9のpDを有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の、水性の、ゲルまたは軟膏の組成物のpDは、本明細書に記載される眼科用製剤の(例えば、濾過または無菌混合あるいは熱処理及び/又はオートクレーブ(例えば最終滅菌)による)滅菌に適している。本開示で使用されるように、用語「水性組成物」は、DOに基づく組成物を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬製剤は、少なくとも約1日、少なくとも約2日間、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約1か月間、少なくとも約2か月間、少なくとも約3か月間、少なくとも約4か月間、少なくとも約5か月間、少なくとも約6か月間、少なくとも約7か月間、少なくとも約8か月間、少なくとも約9か月間、少なくとも約10か月間、 少なくとも約11か月間、少なくとも約12か月間、少なくとも約18か月間、少なくとも約24か月間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、少なくとも約6年間、少なくとも約7年間、少なくとも約8年間、少なくとも約9年間、少なくとも約10年間、またはそれ以上のいずれかの期間にわたって、pDに対して安定している。他の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも約1週間の期間にわたって、pDに対して安定している。他の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも約2週間の期間にわたって、pDに対して安定している。他の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも約3週間の期間にわたって、pDに対して安定している。他の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも約1か月間の期間にわたって、pDに対して安定している。本明細書にはまた、少なくとも約2か月間、少なくとも約3か月間、少なくとも約4か月間、少なくとも約5か月間、少なくとも約6か月間、少なくとも約12か月間、少なくとも約18か月間、少なくとも約2年間、またはそれ以上の期間にわたってpDに対して安定している製剤が記載される。
【0174】
<水溶液の投与量間の均一性>
典型的な眼科用水溶液は、点眼瓶にパッケージ化され、滴剤として投与される。例えば、眼科用水溶液の単回投与(つまり単回投与量)は、患者の眼への1滴、2滴、3滴、またはそれ以上の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用水溶液の1回の投与量は、点眼瓶からの水溶液組成物の1滴である。
【0175】
いくつかの場合では、本明細書には記載される眼科用水溶液は、投与量間の均一濃度を提供する眼科用水性組成物を含む。いくつかの例では、投与量間の均一濃度は、1回の投与量から別の投与量までの薬物含有量の著しい変化を示さない。いくつかの例では、投与量間の均一濃度は、1回の投与量から別の投与量までの一貫した薬剤含量を提供する。
【0176】
いくつかの実施形態では、組成物は、50%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、40%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、30%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、20%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5%未満の投与量間の眼科用剤の濃度変化を有する。
【0177】
いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は、10回連続の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は、8回連続の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は、5回連続の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は、3回連続の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変化は、2回連続の投与に基づく。
【0178】
非沈降性の(nonsettling)製剤は、薬物を一様に分散させるために振盪を必要としないはずである。「非振盪(no-shake)」製剤は、患者の振盪行動(shaking behavior)が、投与される薬物の量の可変性の主な源である、という単純な理由で振盪を必要とする製剤よりも、潜在的に利点を有する。患者が、振盪するようにという指示がラベル上に明確に記されているにもかかわらず、投与前に振盪の必要がある眼科用組成物を、しばしば振盪しない又は振盪し忘れることが報告されてきた。他方では、生成物を振盪するこれらの患者にとってさえ、生成物を均一にするために強度及び/又は期間の点で振盪が十分であるかどうかを判断することは通常可能ではない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用ゲル組成物および眼科用軟膏組成物は、本明細書に記載される投与量間の均一性を維持した「非振盪」製剤である。
【0179】
投与量間の均一性を評価するために、眼科用水性組成物、眼科用ゲル組成物、または眼科用軟膏組成物を含有している滴瓶またはチューブを、試験の開始前に最小で12時間、直立させて(upright)保存する。これらの生成物の推奨される投薬をシミュレートするために、予め決められた量の滴剤または小片(strips)を、長期間の間または瓶またはチューブに生成物が残らなくなるまで、予め決められた間隔で、各々の商用の瓶またはチューブから調剤する。すべての滴剤または小片を、風袋計量された(tared)ガラスバイアルへと調剤し、分析するまで室温で保存する。表わされた滴剤中のアトロピンなどのムスカリンアンタゴニストの濃度を、逆相HPLC法を使用して判定した。
【0180】
<水溶液粘度>
いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃且つ1s-1のせん断速度で、約10から約50,000cpsのBrookfield RVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃且つ1s-1のせん断速度で、約100から約40,000cpsのBrookfield RVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃且つ1s-1のせん断速度で、約500から約30,000cpsのBrookfield RVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃且つ1s-1のせん断速度で、約1000から約20,000cpsのBrookfield RVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃且つ1s-1のせん断速度で、約2000から約10,000cpsのBrookfield RVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃且つ1s-1のせん断速度で、約4000から約8000cpsのBrookfield RVDV粘度を有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、眼科用水性製剤は、約500から50,000センチポアズの間、約750から50,000のセンチポアズの間;約1000から50,000センチポアズの間;約1000から40,000センチポアズの間;約2000から30,000センチポアズの間;約3000から20,000センチポアズの間;約4000から10,000センチポアズの間、または約5000から8000センチポアズの間の粘度を提供するのに十分な粘度増強剤を含有している。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、体温での低粘度組成物である。いくつかの実施形態では、低粘度組成物は、約1%から約10%まで粘度増強剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有している。いくつかの実施形態では、低粘度組成物は、約2%から約10%まで粘度増強剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有している。いくつかの実施形態では、低粘度組成物は、約5%から約10%まで粘度増強剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有している。いくつかの実施形態では、低粘度組成物は、粘度増強剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を略含有していない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される低粘度の眼科用剤組成物は、約100cPから約10,000cPまでの見掛け粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用剤組成物は、約500cPから約10,000cPまでの見掛け粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用剤組成物は、約1000cPから約10,000cPまでの見掛け粘度を提供する。
【0183】
<モル浸透圧濃度>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、眼のイオンバランスを崩さないように製剤される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、眼と同じ又は略同じであるイオンバランスを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、眼のイオンバランスを崩さない。
【0184】
本明細書で使用されるように、「実用的なモル浸透圧濃度(practical osmolarity/osmolality)」または「送達可能なモル浸透圧濃度(deliverable osmolarity/osmolality)」は、眼科用剤、およびゲル化剤及び/又は増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、 カルボキシメチルセルロースなど)を除くすべての賦形剤のモル浸透圧濃度を測定することによって判定されるような組成物のモル浸透圧濃度を意味する。本明細書に開示される組成物の実用的なモル浸透圧濃度は、適切な方法、例えば、Viegas et. al., Int. J. Pharm., 1998, 160, 157-162に記載されるような氷点降下法によって測定される。いくつかの例では、本明細書に開示される組成物の実用的なモル浸透圧濃度は、より高温での組成物のモル浸透圧濃度の決定を可能にする蒸気圧浸透圧法(例えば、蒸気圧降下法)によって測定される。いくつかの例では、蒸気圧降下法は、より高温でのゲル化剤(例えば、熱可逆性ポリマー)を含む組成物のモル浸透圧濃度の決定を可能にし、ここでゲル化剤はゲルの形態である。
【0185】
いくつかの実施形態では、作用の標的部位(例えば、眼)のモル浸透圧濃度は、本明細書に記載される組成物の送達されたモル浸透圧濃度と略同じである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、約150mOsm/Lから約500mOsm/L、約250mOsm/Lから約500mOsm/L、約250mOsm/Lから約350mOsm/L、約280mOsm/Lから約370mOsm/L、または約250mOsm/Lから約320mOsm/Lまでの送達可能なモル浸透圧濃度を有する。
【0186】
本明細書に開示される眼科用組成物の実用的なモル浸透圧濃度は、約100mOsm/kgから約1000mOsm/kg、約200mOsm/kgから約800mOsm/kg、約250mOsm/kgから約500mOsm/kg、約250mOsm/kgから約320mOsm/kg、約250mOsm/kgから約350mOsm/kg、または約280mOsm/kgから約320mOsm/kgまでである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、約100mOsm/Lから約1000mOsm/L、約200mOsm/Lから約800mOsm/L、約250mOsm/Lから約500mOsm/L、約250mOsm/Lから約350mOsm/L、約250mOsm/Lから約320mOsm/L、または約280mOsm/Lから約320mOsm/Lまでの実用的なモル浸透圧濃度を有する。
【0187】
いくつかの実施形態では、適切な等張化剤は、限定されないが、デキストロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、および他の電解質などの、任意の薬学的に許容可能な糖、塩、あるいはそれらの任意の組み合わせ又は混合物を含む。いくつかの例では、等張化剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素二ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、 リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用組成物は、組成物のモル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要とされる量で1以上の塩を含む。そのような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、またはアンモニウムカチオン、および塩素アニオン、クエン酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、重炭酸アニオン、硫酸アニオン、チオ硫酸アニオン、または重亜硫酸アニオンを有するものを含み;適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および硫酸アンモニウムを含む。
【0189】
<滅菌>
いくつかの実施形態では、組成物は滅菌される。本明細書に開示される実施形態内には、ヒトでの使用のための本明細書に開示される医薬組成物の減菌のための手段およびプロセスが含まれる。その目的は、感染を引き起こす微生物が比較的含まない、安全な薬剤製品を提供することである。米国食品医薬品局は、http://www.fda.gov/cder/guidance/5882fnl.htmで入手可能な、刊行物「Guidance for Industry: Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing」において規制ガイダンスを提供しており、これは、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0190】
本明細書で使用されるように、減菌は、製品またはパッケージング中に存在する微生物を破壊または除去するために使用されるプロセスを意味する。対象および組成物の減菌に利用可能な任意の適切な方法が使用される。微生物の不活性化のために利用可能な方法は、限定されないが、極熱、致死薬、またはガンマ線の適用を含む。幾つかの実施形態では、眼科用製剤の調製のためのプロセスは、製剤を、加熱減菌、化学滅菌、放射線減菌または濾過滅菌から選択される滅菌法にさらすことを含む。使用される方法は、滅菌されるデバイスまたは組成物の性質に大きく依存する。滅菌の多くの方法の詳細な記載は、Lippincott, Williams & Wilkinsによって公開された、Remington: The Science and Practice of Pharmacy publishedのChapter 40で与えられ、この主題に関する引用によって組み込まれる。
【0191】
<濾過>
濾過滅菌は、溶液から微生物を除去するが破壊しないために使用される方法である。
感温性溶液を濾過するために、メンブレンフィルターが使用される。このようなメンブレンフィルターは、混合したセルロースエステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVF;PVDFとしても知られる)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の、薄く、強い、均質ポリマーであり、0.1乃至0.22μmの範囲の孔径を有する。様々な特性の溶液が、随意に、異なるメンブレンフィルターを使用して濾過される。例えば、PVFおよびPTFEの膜は、濾過する有機溶媒に十分に合わせられ、一方で、水溶液は、PVFまたはMCEの膜に通して濾過される。濾過装置は、シリンジに付けられた単一のユースポイントの(point-of-use)使い捨てフィルターから、製造工場での使用のための工業規模のフィルターまで及ぶ、多くの規模での使用に利用可能である。メンブレンフィルターは、オートクレーブまたは化学滅菌によって滅菌される。膜濾過システムの確証が、標準化したプロトコル(Microbiological Evaluation of Filters for Sterilizing Liquids, Vol 4, No. 3. Washington, D.C: Health Industry Manufacturers Association, 1981)に従って実行され、Brevundimonas diminuta(ATCC 19146)などの、既知量(約10/cm)の異常に小さな微生物を用いてメンブレンフィルターを検証する(challenging)ことを含む。
【0192】
医薬組成物は、随意に、メンブレンフィルターを通り抜けることによって滅菌される。
ナノ粒子(米国特許第6,139,870号)または多層ベシクル(Richard et al., International Journal of Pharmaceutics (2006), 312(1-2):144-50)を含む製剤は、それらの組織化した構造を破壊することなく、0.22μmのフィルターに通す濾過滅菌に適している。
【0193】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、濾過滅菌によって製剤(またはその成分)を滅菌する工程を含む。熱硬化性ポリマーを含む眼科用ゲル組成物において、濾過は、本明細書に記載される製剤のゲル化温度(Tgel)より下の温度(例えば約5℃)および蠕動ポンプを使用する合理的な時間内での濾過を可能にする粘度(例えば100cPの理論値より下)で実行される。
【0194】
従って、滅菌のプロセス中にポリマーの成分(例えば熱硬化性薬剤および/または他の粘度増強剤)および/または眼科用剤の分解を防ぐ、眼科用製剤の滅菌のための方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、製剤中の緩衝液成分および特定の比率の粘度増強剤のための特定のpD範囲の使用を通じて、眼科用剤(例えばアトロピンまたは硫酸アトロピンなどのムスカリンアンタゴニスト)の分解は縮小または排除される。いくつかの実施形態では、適切な粘度増強剤または熱硬化性ポリマーの選択は、濾過により本明細書において記載された製剤の滅菌を可能にする。いくつかの実施形態では、製剤のための特定のpD範囲と組み合わされた適切な熱硬化性ポリマーまたは他の粘度増強剤の使用は、実質的に治療薬またはポリマーの賦形剤の分解が無く、記載された製剤の高温滅菌を可能にする。本明細書において提供される滅菌の方法の利点は、特定の場合において、製剤が滅菌工程中の眼科用剤および/または賦形剤および/または粘度増強剤の損失が無くオートクレーブによって最終滅菌にさらされ、微生物および/または発熱物質が実質的に無くなることである。
【0195】
放射線減菌
放射線減菌の1つの利点は、熱分解または他の損傷を伴わずに多くのタイプの生成物を滅菌する能力である。一般に使用される放射はベータ線、または代替的に、60Co源からのガンマ線である。ガンマ線の透過する能力は、溶液、組成物、および不均一な混合物を含む多くの生成物のタイプの滅菌での使用を可能にする。照射の殺菌の効果は、ガンマ線と生体ポリマーとの相互作用から発生する。この相互作用は荷電種および遊離ラジカルを生成する。再配列および架橋結合工程などの、後に続く化学反応は、これらの生体ポリマーの正常な機能の損失を結果としてもたらす。本明細書において記載された製剤はまた、随意にベータ照射を使用して滅菌される。
【0196】
加熱滅菌
高熱の適用による滅菌のための多くの方法が利用可能である。1つの方法は飽和した蒸気オートクレーブの使用を介したものである。この滅菌方法では、少なくとも121℃の温度の飽和している蒸気が、滅菌される物体と接触させられる。熱の転移は、滅菌される物体の場合には微生物に対し直接的に、または滅菌される大量の水溶液を加熱することにより微生物に対し間接的に、行なわれる。この方法は、それが滅菌工程において柔軟性、安全性、および経済性を可能にするため広く実施されている。
【0197】
微生物
いくつかの実施形態では、組成物は実質的に微生物が無い。許容可能な生物汚染度または滅菌レベルは、限定されないが、United States Pharmacopeia Chapters <1111>以下を含む、治療上許容可能な組成物を定義する適用可能な基準に基づく。例えば、許容可能な滅菌(例えば生物汚染度)レベルは、製剤1グラム当たり約10のコロニー形成単位(cfu)、製剤1グラム当たり約50cfu、製剤1グラム当たり約100cfu、製剤1グラム当たり約500cfu、または製剤1グラムあたり約1000cfuを含む。いくつかの実施形態では、製剤のための許容可能な生物汚染度レベルまたは滅菌は10cfu/mL未満、50cfu/mL未満、500cfu/mL未満、または1000cfu/mL未満の微生物剤を含む。さらに、許容可能な生物汚染度レベルまたは滅菌は、特定された好ましくない微生物学的な薬剤の排除を含む。一例として、特定された好ましくない微生物学的な薬剤は、限定されないが、Escherichia coli(E.coli)、 Salmonella sp.、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、および/または他の特定の微生物剤を含む。
【0198】

無菌保証品質管理、品質保証、および確認プロセスの重要な構成要素は、無菌試験の方法である。無菌試験は、例として、2つの方法で実行される。第1は、試験される組成物のサンプルを増殖培地に加えて、21日までの期間インキュベートする、直接の接種である。増殖培地の混濁度は汚染を示す。この方法の短所は、感受性を弱めてしまうバルク物質の小さな標本サイズ、および眼視観測に基づく微生物増殖の検知を含む。代替の方法は、膜濾過による無菌試験である。この方法では、多量の生成物が小さなメンブレンフィルター紙を通される。その後、濾紙は、微生物の増殖を促進するために、培地に配置される。この方法は、バルク物質全体がサンプリングされるため、より高い感受性という長所を有する。膜濾過による無菌試験において判定のために、市販されているMillipore Steritest無菌試験システムが、随意に使用される。クリーム剤または軟膏剤による濾過試験のために、SteritestフィルターシステムNo.TLHVSL210が使用される。エマルジョンまたは粘性の生成物の濾過試験のために、SteritestフィルターシステムNo.TLAREM210またはTDAREM210が使用される。あらかじめ充填されたシリンジの濾過試験のために、SteritestフィルターシステムNo.TTHASY210が使用される。エアロゾルまたは泡として調剤された物質の濾過試験のために、SteritestフィルターシステムNo.TTHVA210が使用される。アンプルまたはバイアル中の溶解性粉末の濾過試験のために、SteritestフィルターシステムNo.TTHADA210またはTTHADV210が使用される。
【0199】
E. coliおよびSalmonellaの試験は、24-72時間の30-35℃でインキュベートされたラクトースブロスの使用、18-24時間のMacConkeyおよび/またはEMB寒天でのインキュベーション、および/またはRappaport媒体の使用を含む。P. aeruginosaの検知のための試験は、NAC寒天の使用を含む。United States Pharmacopeia Chapter <62>は、特定の好ましくない微生物のための試験手順をさらに列挙する。
【0200】
特定の実施形態では、本明細書において記載された眼科用製剤は、製剤1グラム当たりの約60未満のコロニー形成単位(CFU)、約50未満のコロニー形成単位、約40未満のコロニー形成単位、または約30未満のコロニー形成単位の微生物剤を有する。特定の実施形態では、本明細書において記載された眼科用製剤は、眼と等張であるように処方される。
【0201】
内毒素
滅菌プロセスの追加の態様は、微生物(以下において「生成物」(Product))の殺菌からの副産物の除去である。パイロジェン除去のプロセスはサンプルから発熱物質を取り除く。発熱物質は免疫反応を引き起こす内毒素または外毒素である。内毒素の一例は、グラム陰性菌の細胞壁で発見されたリポ多糖類(LPS)分子である。オートクレーブまたはエチレンオキシドを用いる処置などの滅菌処理は、バクテリアを殺菌するが、LPS残留物が敗血症性ショックなどの炎症誘発性の免疫反応を引き起こす。内毒素の分子の大きさは広く変動するため、内毒素の存在は「内毒素単位」(EU)で示される。1EUは E. coliLPSの100ピコグラムと同等である。ある場合には、ヒトは、体重のわずか5EU/kg程度に対する反応を起こす。生物汚染度(例えば微生物の限界)および/または無菌性(例えば内毒素レベル)は、当該技術で認識される単位で表される。特定の実施形態では、本明細書において記載された眼科用組成物は、慣習的に許容可能な内毒素レベル(例えば対象の体重に対し5EU/kg)と比較した時、より低い内毒素レベル(例えば対象の体重に対し4EU/kg未満)を含有する。いくつかの実施形態では、眼科用製剤は、対象の体重の約5EU/kg未満を有する。他の実施形態では、眼科用製剤は、対象の体重の約4EU/kg未満を有する。追加の実施形態では、眼科用製剤は、対象の体重の約3EU/kg未満を有する。追加の実施形態では、眼科用製剤は、対象の体重の約2EU/kg未満を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、眼科用製剤は、約5EU/kg未満の製剤を有する。他の実施形態では、眼科用製剤は、約4EU/kg未満の製剤を有する。追加の実施形態では、眼科用製剤は、約3EU/kg未満の製剤を有する。いくつかの実施形態では、眼科用製剤は、約5EU/kg未満の生成物を有する。他の実施形態では、眼科用製剤は、約1EU/kg未満の生成物を有する。追加の実施形態では、眼科用製剤は、約0.2EU/kg未満の生成物を有する。いくつかの実施形態では、眼科用製剤は、約5EU/g未満のユニットまたは生成物を有する。他の実施形態では、眼科用製剤は、約4EU/g未満のユニットまたは生成物を有する。追加の実施形態では、眼科用製剤は、約3EU/g未満のユニットまたは生成物を有する。いくつかの実施形態では、眼科用製剤は、約5EU/mg未満のユニットまたは生成物を有する。他の実施形態では、眼科用製剤は、約4EU/mg未満のユニットまたは生成物を有する。追加の実施形態では、眼科用製剤は、約3EU/mg未満のユニットまたは生成物を有する。特定の実施形態では、本明細書において記載された眼科用製剤は、約1から約5EU/mLの製剤を含有する。特定の実施形態では、本明細書において記載された眼科用製剤は、約2から約5EU/mLの製剤、約3から約5EU/mLの製剤、または約4から約5EU/mLの製剤を含有する。
【0203】
特定の実施形態では、本明細書において記載された眼科用組成物は、慣習的に許容可能な内毒素レベル(例えば0.5EU/mLの製剤)と比較した時、より低い内毒素レベル(例えば0.5EU/mL未満の製剤)を含有する。いくつかの実施形態では、眼科用製剤は、約0.5EU/mL未満の製剤を有する。他の実施形態では、眼科用製剤は、約0.4EU/mL未満の製剤を有する。追加の実施形態では、眼科用製剤は、約0.2EU/mL未満の製剤を有する。
【0204】
発熱物質の検知は、例として、いくつかの方法で実行される。滅菌に対して適した試験は、United States Pharmacopoeia (USP) <71> Sterility Tests(23rd edition,1995年)に記載の試験を含む。ウサギ発熱性物質試験法およびカブトガニ血球抽出成分試験は、United States Pharmacopeia Chapters <85> and <151>(USP23/NF 18, Biological Tests, The United States Pharmacopeial Convention, Rockville, MD, 1995)でいずれも指定されている。単球活性化サイトカインアッセイに基づいて、代替の発熱物質アッセイが開発されている。品質管理の適用に対して適している特定の細胞株が開発されており、ウサギ発熱性物質試験法およびカブトガニ血球抽出成分試験(Taktak et al、J.Pharm.Pharmacol.(1990)、43:578-82)を通過したサンプルから発熱性を検知する能力を示した。追加の実施形態において、眼科用製剤は、パイロジェン除去にさらされる。さらなる実施形態では、眼科用製剤の製造のプロセスは、発熱性に関して製剤を試験することを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される製剤は実質的に発熱物質が無い。
【0205】
眼科用ムスカリンアンタゴニスト-粘液通過粒子(Mucus-penetrating particles)(MPP)の組成物
【0206】
粘液通過粒子(MPP)は、急速に粘液を(例えばヒト粘液)横断する粒子である。いくつかの場合には、MPPは、約200nmから500nmの間の粒度を有するナノ粒子から構成される。いくつかの実例では、ナノ粒子はさらに、粘液通過薬剤でコーティングされる。いくつかの実例では、本明細書に記載される組成物は、粘液通過のためにMPPで処方される。いくつかの実例では、本明細書において記載された眼科用剤の組成物は、粘液通過のためにMPPで処方される。いくつかの実例では、眼科用剤はムスカリンアンタゴニストである。いくつかの実例では、本明細書において記載されるムスカリンアンタゴニスト組成物は、粘液通過のためにMPPで処方される。いくつかの実例では、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノラトロピン、アトロピンN-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキセート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポラミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウムブロミド、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、またはトルテロジンを含む。いくつかの実例では、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実例では、ムスカリンアンタゴニストは、硫酸アトロピン塩である。いくつかの実例では、本明細書において記載されたアトロピン組成物は、粘液通過のためにMPPで処方される。いくつかの実例では、本明細書において記載された硫酸アトロピン塩組成物は、粘液通過のためにMPPで処方される。非限定的な実施例において、開示された組成物で使用されるMMPは、Kala Pharmaceuticals Inc.(100 Beaver Street #201,Waltham,MA 02453)から得られる。
【0207】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、有機的な物質、無機的な物質、ポリマー、またはそれらの組み合わせなどの、任意の適した物質を含む。いくつかの実例では、ナノ粒子は、金属(例えばAg、Au、Pt、Fe、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、および他の遷移金属)、半導体(例えばシリコン、シリコン化合物および合金、カドミウムセレン化物、硫化カドミウム、インジウム砒化物、およびインジウムリン化物)、または絶縁体(例えばシリコンオキシドなどのセラミックス)などの無機的な物質を含む。いくつかの実例では、ナノ粒子は、合成ポリマーおよび/または天然のポリマーなどの有機的な物質を含む。合成ポリマーの例は、ポリメタクリラートなどの非分解性のポリマー、およびポリ乳酸、ポリグリコール酸、などの分解性のポリマー、およびそれらのコポリマーを含む。天然のポリマーの例は、ヒアルロン酸、キトサン、およびコラーゲンを含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、粘液通過剤でコーティングされる。いくつかの実例では、粘液通過剤は、疎水性の物質、親水性の物質、および/または両親媒性の物質などの、任意の適切な物質を含む。いくつかの実例では、粘液通過剤はポリマーである。いくつかの実例では、ポリマーは、合成ポリマー(すなわち、天然に生成されないポリマー)である。他の実施形態では、ポリマーは、天然のポリマー(例えば、タンパク質、多糖類、ゴム)である。特定の実施形態では、ポリマーは界面活性のポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは非イオン性のポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは非イオン性のブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、であって、例えば、1つのブロックが疎水性ポリマーで別のブロックが親水性ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、荷電または無荷電である。
【0209】
適切なポリマーの追加の例は、限定されないが、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリ(メタ)クリレート、ポリアクリロニトリル、およびポリアリレートを含む。特定のポリマーの非限定的な例は、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-co-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D、L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PEO-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PPO-co-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ‐L‐リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、ポリ(エチレングリコール)、ポリL-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリアンハイドライド、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)などのポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレンテレフタラート)などのポリアルキレンテレフタラート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)などのポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)(PVC)などのポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロースなどの誘導されたセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ(メチル(メタ)クリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)クリレート)、ポリ(ブチル(メタ)クリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)クリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)クリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)クリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)クリレート)、ポリ(フェニル(メタ)クリレート)、ポリ(メチルアクリル酸塩)、ポリ(イソプロピルアクリル酸塩)、ポリ(イソブチルアクリル酸塩)、ポリ(オクタデシルアクリル酸塩)などのアクリル酸のポリマー(一緒に本明細書において「ポリアクリル酸」として言及される)、およびそれらのコポリマーおよび混合物、ポリジオキサノンおよびそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレン・フマル酸塩、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、およびトリメチレン炭酸塩、ポリビニルピロリドンを含む。
【0210】
ある場合には、眼科用剤(例えばアトロピンまたは硫酸アトロピンなどのムスカリンアンタゴニスト)は、組成物の重量で、眼科用剤の約0.001wt%から約0.05wt%の間、約0.005wt%から約0.050wt%の間、約0.010wt%から約0.050wt%の間、約0.015wt%から約0.050wt%の間、約0.020wt%から約0.050wt%の間、約0.025wt%から約0.050wt%の間、約0.030wt%から約0.050wt%の間、約0.035wt%から約0.050wt%の間、約0.040wt%から約0.050wt%の間、または約0.045wt%から約0.050wt%の間の濃度でMPP製剤中に存在し、またはそれらの薬学的に許容可能なプロドラッグまたは塩として存在する。いくつかの実例では、緩衝液、pD調節剤、および/または保存剤などの追加の薬剤がMPP製剤中に、処方される。
【0211】
いくつかの実例では、眼科用剤-MPP組成物は、任意の適した方法で処方される。いくつかの実施形態では、固形物の大きさを縮小してマイクロメートルからナノメートルの大きさの範囲へ粒子を形成するために、粉砕プロセスが使用される。ある場合には、ジェット粉砕、凍結粉砕、ボールミル粉砕、溶媒粉砕および均質化などの乾式および湿式の粉砕工程が公知であり、本明細書で記載された方法において使用される。一般に、湿式粉砕工程では、ナノ粒子として使用される物質の懸濁液は、粒度を縮小するために賦形剤とともに、または賦形剤のない粉砕媒体と混合される。乾式粉砕は、ナノ粒子として使用される物質が、粒度を縮小するために賦形剤と共に、または賦形剤なしで粉砕媒体と混合される工程である。
凍結粉砕工程では、ナノ粒子として使用される物質の懸濁液は、冷却された温℃下で、賦形剤を共に、または賦形剤なしで粉砕媒体と混合される。
【0212】
いくつかの実施形態では、任意の適した研磨媒体が粉砕に使用される。いくつかの実施形態では、セラミック、および/またはポリマー物質、および/または金属が使用される。適切な物質の例は酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、シリコンオキシド、窒化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、イットリウムオキシド、ガラス、アルミナ、アルファ-アルミナ、酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリラート)、チタン、鋼を含む。いくつかの場合は、研磨媒体は任意の適した大きさを有する。例えば、研磨媒体は、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、または少なくとも約5mmの平均の直径を有する。いくつかの場合には、研磨媒体は、約5mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約0.8mm以下、約0.5mm以下、または約0.2mm以下の平均の直径を有する。前述の範囲の組み合わせも同様に可能である(例えば少なくとも約0.5ミリメートル、および約1mm以下の平均の直径)。他の範囲も可能である。
【0213】
いくつかの実施形態では、任意の適した溶媒が粉砕に使用される。いくつかの場合には、溶媒の選択は、とりわけ、粉砕される固形の物質(例えばアトロピンなどのムスカリンアンタゴニスト)、使用されている安定剤/粘液の浸透剤の特定のタイプ(例えば粒子を粘液通過させるもの)、使用されている研磨材などの要素に依存する。ある場合には、適切な溶媒は、固形物または研削材を実質的に溶かさないが、適切な程度まで安定剤/粘液の浸透剤を溶かす溶媒である。溶媒の非限定的な例は、限定されないが、水、緩衝液、他の水溶液、アルコール(例えばエタノール、メタノール、ブタノール)、および、製薬の賦形剤、ポリマー、薬剤、塩類、防腐剤、粘性変更遺伝子、等張化剤、矯味剤、酸化防止剤、pD変更遺伝子、および他の製薬の賦形剤などの他の成分を随意に含む、それらの混合物を含む。他の実施形態では、有機的な溶媒が使用される。ある場合には、薬剤(例えばアトロピンなどのムスカリンアンタゴニスト)は、例えば水溶解度またはコーティング溶液の溶解度に対して、上に記載された範囲の1つ以上における溶解度などの、これらの溶媒または他の溶媒において任意の適切な溶解度を有する。
【0214】
いくつかの実例では、MPPは、WO2013/166385に記載されているようなMPPである。いくつかの実例では、MPPは、Lai et al.,“Rapid transport of large polymeric nanoparticles in fresh undiluted human mucus”、PNAS 104(5):1482-1487(2007)に記載されているようなMPPである。いくつかの実例では、眼科用剤-MPP組成物は、WO2013/166385に記載されているような方法を使用して処方される。いくつかの実例では、眼科用剤-MPP組成物は、Lai et al.,“Rapid transport of large polymeric nanoparticles in fresh undiluted human mucus”、PNAS 104(5):1482-1487(2007)に述べられているような方法を使用して、処方される。いくつかの実施形態では、眼科用剤は、アトロピンまたは硫酸アトロピンなどのムスカリンアンタゴニストである。
【0215】
眼科用のゲルムスカリンアンタゴニストの組成物
【0216】
様々な方法でゲル剤は定義される。例えば、United States Pharmacopoeiaは、ゲル剤を、液体によって浸透させられた小さな無機の粒子または大きな有機分子のいずれかから構成される懸濁液からなる半固体の系として定義する。ゲル剤は、単相、または二相の系を含む。単相のゲル剤は、明白な境界が分散したポリマーと液体の間に存在しないような方法で、液体の全体にわたって一様に分配された有機ポリマーからなる。いくつかの単相のゲル剤は、合成ポリマー(例えばカルボマー)、または天然ゴム(例えばトラガカントゴム)から調製される。いくつかの実施形態では、単相のゲル剤は一般に水性であるが、アルコールと油剤を使用しても生成される。二相のゲル剤は、小さな離散粒子のネットワークからなる。
【0217】
いくつかの実施形態では、ゲル剤はまた、疎水性または親水性として分類される。特定の実施形態では、疎水性のゲルの非限定的な例の塩基は、コロイダル-シリカ、またはアルミニウムまたは亜鉛の石鹸でゲル化した、ポリエチレンまたは脂肪油を有する流動パラフィンを含む。対照的に、親水性のゲルの非限定的な例の塩基は、適切なゲル化剤(例えば、トラガカント、デンプン、セルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、およびケイ酸アルミニウムマグネシウム)でゲル化された水、グリセロール、または、プロピレングリコールを含む。特定の実施形態では、本明細書において開示された組成物のレオロジーは偽塑性、塑性、揺変性(thixotropic)、または膨張性(dilatant)である。
【0218】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、眼科用のゲルであり、および、そこでは眼に許容可能な担体は水および少なくとも1つの粘度増強剤を含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、セルロースベースのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリブロックコポリマー、デキストランベースのポリマー、ポリビニルアルコール、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0219】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載された眼科用のゲル組成物は、(例えば室温で)局所的に投与される前の、ゲル化された状態の半固形または固形である。例えば、そのようなゲル剤に対して適した粘度増強剤は、一例であるが、ゲル化剤および懸濁化剤を含む。1つの実施形態において、増粘性の製剤は、緩衝液を含まない。他の実施形態では、増粘性の製剤は、薬学的に許容可能な緩衝液を含む。必要ならば、塩化ナトリウムまたは他の等張化剤は、張度を調節するために随意に使用される。
【0220】
一例のみであるが、眼に許容可能な粘性製剤はmヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムを含む。標的となった眼の部位と適合可能他の粘度増強剤は、限定されないが、アカシア(アラビアゴム)、寒天培地、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒバマタ、ベントナイト、カルボマー、カラゲナン、カーボポール、キサンタン、セルロース、微結晶性セルロース(MCC)、セラトニア、キチン、カルボキシメチル化キトサン、ツノマタ、デキストロース、ファーセレラン、ゼラチン、ガティガム(Ghatti gum)、グアーガム、ヘクトライト、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、蜂蜜、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、アラヤゴム、キサンタンゴム、トラガカントゴム、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチル)メタクリラート、オキシポリゼラチン、ペクチン、ポリゲリン、ポビドン、プロピレンカーボネート、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(PVM/MA)、ポリ(メトキシエチルメタクリラート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリラート)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース(HPMC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン(PVP:povidone)、Splenda(登録商標)(デキストロース、マルトデキストリンおよびスクラロース)、またはそれらの組み合わせを含む。具体的な実施形態では、粘性を増強する賦形剤は、MCCおよびCMCの組み合わせである。別の実施形態では、粘度増強剤はカルボキシメチル化キトサン、またはキチンおよびアルギン酸塩の組み合わせである。本明細書において開示された眼科用製剤とのキチンおよびアルギン酸塩の組み合わせは、製剤からの眼科用製剤の拡散を制限する、放出制御製剤として作用する。さらに、カルボキシメチル化キトサンとアルギン酸塩の組み合わせは、眼の中での眼科用製剤の浸透性の増大を支援するために随意に使用される。
【0221】
いくつかの実施形態では、増粘性の製剤であり、該増粘性の製剤は、約0.1mMおよび約100mMの眼科用剤、薬学的に許容可能な粘性製剤および注射用の蒸留水を含み、水中の粘性製剤の濃度は約100から約100,000cPの最終的な粘性を有する、増粘性の製剤を提供するのに十分である。特定の実施形態では、ゲル剤の粘性は、約100から約50,000cP、約100cPから約1,000cP、約500cPから約1500cP、約1000cPから約3000cP、約2,000cPから約8000cP、約4,000cPから約50,000cP、約10,000cPから約500,000cP、約15,000cPから約1,000,000cPの範囲にある。他の実施形態では、さらにより高い粘性の媒地が望まれる場合は、生体適合性のゲル剤は、眼科用剤の重量あたり、少なくとも約35%、少なくとも約45%、少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、またはさらに少なくとも約80%をも含む。高濃縮のサンプルでは、生体適合性の増粘性の製剤は、眼科用剤の重量あたり、少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約45%、少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%以上を含む。
【0222】
1つの実施形態では、薬学的に許容可能な増粘性の、眼に許容可能な製剤は、少なくとも1つの眼科用製剤および少なくとも1つのゲル化剤を含む。ゲル製剤の調製で使用される適切なゲル化剤は、限定されないが、セルロース、セルロース誘導体、セルロースエーテル(例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース)、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩(例えばアルギン酸)、ケイ酸塩、デンプン、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、カラゲーニン、パラフィン、ペトロラタム、およびそれの任意の組み合わせ、または混合物を含む。いくつかの他の実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(登録商標))はゲル化剤として利用される。特定の実施形態では、本明細書において記載された粘度増強剤は、本明細書において示されるゲル製剤のためのゲル化剤として利用すされる。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される眼科用のゲル組成物は、インサイチュのゲル製剤である。いくつかの実例では、インサイチュのゲル製剤は、眼の生体適合性、角膜の粘膜付着、リソソームの相互作用およびイオンのゲル化を改善する眼科用組成物の角膜前の滞留時間の増加、改善された角膜の吸収、熱によるゲル化、またはそれらの組み合わせに基づく。いくつかの実例では、インサイチュのゲル製剤は、pH、温度、イオン、UV、または溶液の交換によって活性化される。
【0224】
いくつかの実例では、眼科用のゲル組成物はムスカリンアンタゴニストおよび1つ以上のゲル化剤を含む。いくつかの実例では、ゲル化剤は、限定されないが、ポロキサマー(例えばPoloxamer 407)、テトロニクス、エチル(ヒドロキシエチル)セルロース、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カーボポール(例えばCarbopol 1342P NF、Carbopol 980 NF))、アルギン酸塩(例えば、低アセチルゲランガム(Gelrite(登録商標)))、ゲラン、ヒアルロン酸、プルロニクス(例えばPluronic F-127)、キトサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、デキストラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、チオール化キシログルカン、ポリメタクリル酸(PMMA)、ポリエチレングリコール(PEG)、偽ラテックス、キシログルカンまたは組み合わせを含む。いくつかの例では、インサイチュのゲル製剤はさらに、透過促進剤を含む。いくつかの実例では、浸透促進剤は、界面活性剤(例えば非イオン性界面活性剤)、塩化ベンザルコニウム、EDTA、表面活性のヘテログリコシド(heteroglycosides)、カルシウムキレート化剤、ヒドロキシルのプロピルベータシクロデキストリン(HPベータCD)、胆汁酸塩などを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、他のゲル製剤は、特定の眼科用製剤、他の使用される薬剤または賦形剤/添加物に依存して有用であり、それゆえに本開示の範囲内にあると考えられる。例えば、市販で入手可能な他の、グリセリンベースのゲル剤、グリセリン由来の化合物、抱合型または架橋したゲル、マトリックス、ヒドロゲル、およびポリマーと、同様に、ゼラチンおよびそれらの誘導体、アルギン酸塩、およびアルギン酸塩ベースのゲル剤、および様々な天然および合成ヒドロゲル、および、さらにヒドロゲルに由来する化合物はすべて、本明細書において記載された眼科用製剤に有用であると推測される。いくつかの実施形態では、眼に許容可能なゲル剤は、限定されないが、アルギン酸塩ヒドロゲルSAF(登録商標)-Gel(ConvaTec,Princeton(N.J.))、Duoderm(登録商標)HydroactiveGel(ConvaTec)、Nu-gel(登録商標)(Johnson & Johnson Medical, Arlington, Tex.);Carrasyn(登録商標)(V)AcemannanHydrogel(Carrington Laboratories, Inc., Irving, Tex.);グリセリンゲルElta(登録商標)Hydrogel(Swiss-American Products, Inc., Dallas, Tex.)およびKY(登録商標)Sterile(Johnson & Johnson)を含む。さらなる実施形態では、生物分解性である生体適合性のゲル剤は、同様に本明細書において開示および記載された、眼に許容可能な製剤において存在する化合物を表わす。
【0226】
いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、セルロースガム、アルキルセルロース、ヒドロキシル-アルキルセルロース、ヒドロキシル-アルキルアルキルセルロース、カルボキシ-アルキルセルロース、またはそれらの組み合わせから選択された、セルロースベースのポリマーである。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、ヒドロキシル-アルキルアルキルセルロースである。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0227】
特定の実施形態では、増粘性の製剤は、室温と体温(例えば約42℃までの深刻な熱を有する個体を含む)の間の相転移を特徴とする。いくつかの実施形態はで、相転移は体温より1℃下、体温より2℃下、体温より3℃下、体温より4℃下、体温より6℃下、体温より8℃下、または体温より10℃下で生じる。いくつかの実施形態では、相転移は、体温より15℃下、体温より20℃下、または体温より25℃下で生じる。具体的な実施形態では、本明細書において記載された製剤のゲル化温度(Tgel)は約20℃、約25℃、または約30℃のまわりに、℃である。特定の実施形態では、本明細書において記載された製剤のゲル化温度(Tgel)は約35℃、または約40℃である。体温の定義内には、健康な個体、または、熱(42℃まで)熱を有する個体を含む不健康な個体の体温を含んでいる。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された薬剤組成物は室温において液体であり、室温で、または室温低度で投与される。
【0228】
コポリマーポリオキシプロピレンおよびポリオキシエチレン(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)は、水溶液に組み入れられた時、熱硬化性のゲルを形成する。これらのポリマーは、体温に近い温度で液体の状態からジェル状まで変化する能力を有し、したがって標的とされた眼の部位に有用な製剤を適用することが可能になる。液体状態からジェル状への相転移は、溶液中のポリマーの濃度および成分に依存する。
【0229】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている任意の製剤中の熱硬化性ポリマーの量は、製剤の全重量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、または約40%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている任意の製剤中の熱硬化性ポリマーの量は、製剤の全重量の約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、または約25%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約7.5%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約10%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約11%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約12%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約13%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約14%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約15%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約16%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約17%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約18%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約19%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約20%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約21%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約23%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えばPoloxamer 407)の量は、製剤の全重量の約25%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤での増粘剤(例えばゲル化剤)の量は、製剤の全重量の約1%、約5%、約10%、または約15%である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された任意の製剤での増粘剤(例えばゲル化剤)の量は、製剤の全重量の約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、または約5%である。
【0230】
代替の実施形態では、サーモゲルは、PEG-PLGA-PEG トリブロックコポリマー( Jeong etal, Nature (1997), 388:860-2; Jeong etal, J. Control. Release (2000), 63:155-63; Jeong etal, Adv. Drug Delivery Rev. (2002), 54:37-51)である。ポリマーは、約5%のw/wから約40%のw/wの濃度にわたってゾル-ゲル挙動を示す。望まれる特性によって、PLGAコポリマー中のラクチド/グリコリドのモル比は、約1:1から約20:1に及ぶ。結果として生じるコポリマーは、水に可溶性であり、室温で自由に流動する液体を形成するが、体温ではヒドロゲルを形成する。市販で入手可能なPEG-PLGA-PEGトリブロックコポリマーはBoehringer Ingelheimによって製造されたRESOMER RGP t50106である。この物質は、)50:50のポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)のPLGAコポリマーから構成され、PEGの10%のw/wであり、かつ約6000の分子量を有する。
【0231】
追加の生物分解性の熱可塑性ポリエステルは、AtriGel(登録商標)(Atrix Laboratories, Inc.に提供された)および/または、例えば、米国特許第5,324,519号;第4,938,763号;第5,702,716号;第5,744,153号;および第5,990,194号;に開示されたものを含み、ここで、適切な生物分解性の熱可塑性ポリエステルは、熱可塑性のポリマーとして開示される。適切な生物分解性の熱可塑性ポリエステルの例は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、それらのコポリマー、それらのターポリマー、およびそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかのこのような実施形態では、適切な生物分解性の熱可塑性ポリエステルは、ポリラクチド、ポリグリコリド、それらのコポリマー、それらのターポリマー、およびそれらの任意の組み合わせである。1つの実施形態では、生物分解性の熱可塑性のポリエステルは、カルボキシ末端基を有する50/50のポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)であり;
組成物の約30重量%から約40重量%で存在し;および、約23,000から約45,000の平均分子量を有する。代替的に、別の実施形態では、生物分解性の熱可塑性のポリエステルはカルボキシ末端基の無い75/25のポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)であり;組成物の約40重量%から約50重量%で存在し;および、約15,000から約24,000の平均分子量を有する。さらなる、あるいは代替的な実施形態では、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)の末端基は、重合の方法によって、ヒドロキシル、カルボキシル、またはエステルのいずれかである。乳酸またはグリコール酸の重縮合は、末端のヒドロキシルおよびカルボキシル基を有するポリマーを提供する。水、乳酸、またはグリコール酸を有する環式のラクチドまたはグリコリドモノマーの開環重合は、同じ末端基を有するポリマーを提供する。しかしながら、メタノール、エタノール、または1-ドデカノールなど単機能的なアルコールを有する環式のモノマーの開環は、1つのヒドロキシル基および1つのエステル末端基を有するポリマーを提供する。1,6-ヘキサンジオールまたはポリエチレングリコールなどのジオールを有する環式のモノマーの開環重合は、ヒドロキシル末端基のみを有するポリマーを提供する。
【0232】
熱硬化性のゲル剤のポリマー系は還元温度でより完全に溶けるため、可溶化の方法は、に必要とされる量のポリマーを還元温度で使用される量の水加える工程を含む。一般に、振盪でポリマーを湿らせた後、ポリマーを溶かすために、混合物はキャッピングされ、約0-10℃でコールドチャンバまたはサーモスタットの容器に配置される。混合物は、熱硬化性のゲルポリマーのより迅速な溶解を引き起こすために撹拌または振盪される。緩衝液、塩類、および保存剤などの眼科用製剤および様々な添加物は、続いて加えられ、溶かされる。いくつかの実例では、製剤は、水に溶けない場合薬学的に、懸濁される。pDは適切な緩衝剤の追加で調節される。
【0233】
眼軟膏剤ムスカリンアンタゴニストの組成物
【0234】
軟膏は、皮膚または粘膜への外用を意図された、均質な、粘性の、半固形の調製剤であり、最も一般的には、高い粘性を有する、グリース状の濃い油(例えば油80%-水20%)である。軟膏剤は含んでいる水の最大の含有量を定義する水数を有する。これらは、保護眼的、治療の眼的、または予防的な眼的で、皮膚軟化剤として、または皮膚への有効成分の適用のため、およびある程度の閉塞が望まれる場合に使用される。軟膏剤は、身体表面の様々な箇所で局所的に使用される。これらは皮膚、および眼(眼軟膏剤)、外陰、肛門および鼻の粘膜を含む。
【0235】
軟膏のビヒクルは軟膏基剤として既知である。基剤の選択は、軟膏の臨床の適応に依存する。異なるタイプの軟膏基剤は:炭化水素基剤、例えば固形パラフィン、軟質のパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、およびセレシン;吸水性基剤、例えば羊毛脂、蜜蝋;
水溶性基剤、例えばマクロゴール200、300、400;乳化基剤、例えば乳化ろう、セトリミド;植物油、例えばオリーブオイル、やし油、胡麻油、扁桃油、および落花生油である。
【0236】
軟膏剤は、皮膚分泌と、不混和性、混和性、または乳化可能な調製剤を提供するために、疎水性、親水性、または水を乳化する基剤を使用して処方される。いくつかの実施形態では、それらはまた、炭化水素(脂肪性)、吸収、水除去可能の、または水溶性の基剤に由来する。活性剤は、基剤内で分散され、その後、それらは標的部位(例えば膜、皮膚など)への薬物の浸透後に分割される。
【0237】
本開示は、障害または疾患を有効に処置するために、投与量間の十分な均一性を有する低濃度の薬を軟膏に組み入れることは、時に難しいことを認識する。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレン-グリコール)、ポリオキシエチレンヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL)、12から20の炭素原子を有しているアルコールまたは前記成分の2つ以上の混合物は、軟膏基剤中、特に油性および炭化水素の成分を含む軟膏基剤中で、有効な量の眼科用薬剤、特にアスコマイシンおよびスタウロスポリン誘導体を分散および/または溶解させるための有効な賦形剤であり、結果として生じる軟膏は、皮膚および眼組織で優れた耐性を示した。
【0238】
本開示はさらに、本明細書において記載される軟膏組成物に組み入れられた、ムスカリンアンタゴニスト(例えばアトロピンまたはその薬学的に許容可能な塩)のような眼科用の薬は、組成物が眼の表面、特に患者の強膜に局所的に投与される時に、前記患者の脈絡膜および/または網膜を標的とすることを認識している。いくつかの実施形態では、眼科用の軟膏剤の組成物は、眼科用の薬、軟膏基剤、および、ポリ(エチレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、12から20の炭素原子を有しているアルコールおよび前記成分の2つ以上の混合物がから選択された、軟膏基剤中の前記の薬剤を分散および/または溶解するための薬剤を含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、軟膏基剤は、天然の蝋、例えば白色および黄色の蜜蝋、カルナウバ蝋、羊毛蝋(羊毛脂)、精製されたラノリン、脱水ラノリン;石油ろう、例えば固形パラフィン、微小蝋;炭化水素、例えば流動パラフィン、白色および黄色の軟性パラフィン、白色ワセリン、黄色ワセリン);またはそれらの組み合わせなどの、眼に許容可能な油性基剤および脂性基剤を含む。
【0240】
上述の油脂基剤は、例えばBritish Pharmacopoeia, Edition 2001、またはEuropean Pharmacopoeia, 3rd Editionにおいて、より詳細に記載されている。
【0241】
いくつかの実施形態では、軟膏基剤は、組成物の全重量に基づき、約50重量%から約95重量%、好ましくは70重量%から90重量%の量で存在する。
【0242】
好ましい軟膏基剤は、流動パラフィンと結合した、上記に示されたもののような1つ以上の天然の蝋、好ましくは羊毛蝋(羊毛脂)と、上記に示されたもののような1つ以上の炭化水素、好ましくは軟性パラフィンまたはワセリン、より好ましくは、流動パラフィンとの組み合わせとの1つ以上の組み合わせを含む。
【0243】
前述の軟膏基剤の特別な実施形態は、例えば5から17重量部の羊毛脂、および50から65重量部の白色ワセリン、同様に、20から30重量部の部分の流動パラフィンを含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、軟膏基剤中の眼科用の薬を分散および/または溶解するための薬剤は、ポリ(エチレン-グリコール)、ポリオキシエチレンヒマシ油、12から20の炭素原子を有するアルコールおよび前記成分の2つ以上の混合物から選択される。薬剤は、好ましくは半固体の眼科用組成物全体の1重量パーセントから20重量パーセント、より好ましくは、1重量パーセントから10重量パーセントの量で使用される。
【0245】
12から20の炭素原子を有するアルコールは、特にステアリルアルコール(C18H37OH)、セチルアルコール(C16H33OH)、およびそれらの混合物を含む。いわゆるセトステアリルアルコール、実質的にステアリルとセチルアルコールからなる、および好ましくはステアリルアルコールの40重量パーセント以上を含む、固形のアルコールの混合物、および、少なくとも90重量パーセントになるステアリルアルコールとセシルアルコールの合計、および、セチルステアリルアルコールおよび、特に好ましくは7重量パーセント以上の量の乳化剤、セトステアリル硫酸ナトリウムおよび/またはラウリル硫酸ナトリウムの少なくとも80の重量パーセントを含む組成物が好ましい。
【0246】
ポリエトキシ化ヒマシ油は、天然または硬化ヒマシ油およびエチレングリコールの反応生成物である。いくつかの実例では、そのような生成物は、既知の方式によって得られ、例えばGerman Auslegeschriften 1,182,388および1,518,819に開示された方法に従い遊離したポリエチレングリコール成分の生成物からの随意の除去を伴う、例えば約1:30から約1:60のモル比での、天然または硬化ヒマシ油、またはそのごく一部分の、エチレンオキシドとの反応から得られる。特に適切かつ好ましいものは、分子量(蒸気浸透圧測定による)=ca.1630、けん化、No.=ca.65-70、酸、No.=ca.2、ヨウ素、No.=ca.28-32、およびnD 25=ca.1.471を有する、商標Cremophor(登録商標)ELの下で市販で入手可能な生成物である。同様にこのカテゴリーでの使用に対して適しているものは、例えばNikkol(登録商標)HCO-60、硬化ヒマシ油、エチレンオキシド、および次の特性:酸no.=ca.0.3;けん化、no.=ca.47.4;ヒドロキシ価=ca.42.5.pH(5%)=ca.4.6;ColorAPHA=ca.40;m.p.=ca.36.0℃.;氷点=ca.32.4℃;H2O含有量(%、KF)=ca.0.03を示す反応生成物である。
【0247】
ポリ(エチレン-グリコール)は、本開示に従って、軟膏基剤中の眼科用の薬を分散および/または溶解するための製剤としていくつかの実施形態で使用される。適切なポリ(エチレン-グリコール)は、典型的に一般的な公式H-(OCH2-CH2)nOHのポリマー化合物の混合物であり、ここで、指数nは、典型的には4から230で変動する、および平均分子量は約200から約10000である。好ましくは、nは、約6から約22、および約300と約1000の間の平均分子量までの数であり、より好ましくは、nは、約6から約13で変動し、および平均分子量は約300から約600であり、最も好ましくは、nは、約8.5から9の値を有し、かつ相対的な分子量は約400である。適切なポリ(エチレン-グリコール)、例えば、約200、300、400、600、1000、1500、2000、3000、4000、6000、8000、10000の平均分子量を有するポリ(エチレン-グリコール)は容易に、商業的に利用可能である。
【0248】
ポリ(エチレン-グリコール)、特に前述の段落に述べられていた好ましいタイプは、半固体の眼科用組成物全体の、好ましくは1から10で、より好ましくは1から5重量パーセントの量で使用される。
【0249】
本発明の開示に従った組成物の特に好ましい実施形態は、ポリ(エチレン-グリコール)、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、および好ましくは前記の成分の混合物から選択される軟膏基剤中の薬の分散および/または溶解のための薬剤を含む。
【0250】
ゲル/軟膏粘性
【0251】
いくつかの実施形態では、組成物は20℃および1s-1のせん断速度で、約10,000から約300,000cpsのBrookfieldRVDV粘性を有する。いくつかの実施形態では、組成物は20℃および1s-1のせん断速度で、約15,000から約200,000cpsのBrookfieldRVDV粘性を有する。いくつかの実施形態では、組成物は20℃および1s-1のせん断速度で、約50,000から約150,000cpsのBrookfieldRVDV粘性を有する。いくつかの実施形態では、組成物は20℃および1s-1のせん断速度で、約70,000から約130,000cpsのBrookfieldRVDV粘性を有する。いくつかの実施形態では、組成物は20℃および1s-1のせん断速度で、約90,000から約110,000cpsのBrookfieldRVDV粘性を有する。
【0252】
いくつかの実施形態では、眼科用のゲル製剤は、約500から1,000,000センチポアズの間、約750から1,000,000センチポアズの間;約1000から1,000,000センチポアズの間;約1000から400,000センチポアズの間;約2000から100,000センチポアズの間;約3000から50,000センチポアズの間;約4000から25,000センチポアズの間;約5000から20,000センチポアズの間;または約6000から15,000センチポアズの間の粘性を提供するのに十分な粘度増強剤を含む。いくつかの実施形態では、眼科用のゲル製剤は約50、0000のから1,000,000センチポアズ間の粘性を提供するのに十分な粘度増強剤を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、体温において低い粘性の組成物である。いくつかの実施形態では、低い粘性の組成物は、約1%から約10%の粘度増強剤(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化する成分)を含む。いくつかの実施形態では、低い粘性の組成物は、約2%から約10%の粘度増強剤(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化する成分)を含む。いくつかの実施形態では、低い粘性の組成物は、約5%から約10%の粘度増強剤(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化する成分)を含む。いくつかの実施形態では、低い粘性の組成物は、粘度増強剤(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化する成分)が実質的にない。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された低い粘性の眼科用剤の組成物は、約100cPから約10,000cPまでの見かけ粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された低い粘性の眼科用剤の組成物は、約500cPから約10,000cPまでの見かけ粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された低い粘性の眼科用剤の組成物は、約1000cPから約10,000cPまでの見かけ粘度を提供する。
【0254】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、体温において粘性の組成物である。いくつかの実施形態では、粘性の組成物は、約10%から約25%の粘度増強剤(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化する成分)を含んでいる。いくつかの実施形態では、粘性の組成物は、約14%から約22%の粘度増強剤(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化する成分)を含んでいる。いくつかの実施形態では、粘性の組成物は、約15%から約21%の粘度増強剤(例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化する成分)を含んでいる。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された粘性の眼科用組成物は、約100,000cPから約1,000,000cPの見かけ粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された粘性の眼科用組成物は、約150,000cPから約500,000cPの見かけ粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された粘性の眼科用組成物は、約250,000cPから約500,000cPの見かけ粘度を提供する。そのような実施形態のうちのいくつかでは、粘性の眼科用組成物は室温では液体であり、室温と体温(例えば約42℃までの重大な熱を有する個体を含む)の間ではゲル剤である。いくつかの実施形態では、粘性の眼科用組成物は、本明細書において記載された眼の疾患または疾病の処置のための単独療法として投与される。
【0255】
いくつかの実施形態では、本明細書において示されたゲル製剤の粘性は、記載されている任意の手段によって測定される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書において記載されたゲル製剤の粘性を計算するために、LVDV-II+CPCone Plate ViscometerおよびCone Sprindle CPE-40が使用される。他の実施形態では、本明細書において記載されたゲル製剤の粘性を計算するために、Brookfield(スピンドルおよびカップ)粘度計が使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される粘性の範囲は、室温で計測される。他の実施形態では、本明細書で言及される体温(例えば健康な人間の平均体温の)で本明細書において引用された粘性範囲を測定する。
【0256】
ゲル/軟膏の投与量間の均一性
【0257】
典型的な眼科用のゲル剤は点眼瓶で包装され、滴剤として投与される。例えば、眼科用のゲルの一回の投薬(すなわち単回投与)は、患者の眼の中への1滴、2滴、3滴、またはそれ以上の投与を含む。さらに、典型的な眼軟膏剤は、軟膏の小片を伝える分配ノズルを備えた、チューブまたは他の押し出し可能な容器で包装される。例えば、眼軟膏剤の一回の投薬(すなわち単回投与)は、患者の眼の中への1本の小片、または複数の小片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された眼科用のゲル剤の1回分は、点眼瓶からのゲル組成物の1滴である。いくつかの実施形態では、眼軟膏剤の1回分は、分散するチューブのノズルを通じて分配された軟膏組成物の1本の小片である。
【0258】
ある場合には、本明細書において記載される組成物は、投与量間に一定の濃度を供給する眼科用のゲル組成物を含む。いくつかの実例では、投与量間の一定の濃度は、ある投与から別の投与までの薬剤含有量の著しい変動を示さない。いくつかの実例では、投与量間の特定の濃度は、ある投与から別の投与までの一貫した薬剤含有量を提供する。
【0259】
ある場合には、本明細書において記載される組成物は、投与量間に特定の濃度を供給する眼軟膏剤組成物を含む。いくつかの実例では、投与量間の特定の濃度は、ある投与から別の投与まで薬剤含有量の著しい変動を提示しない。いくつかの実例では、投与量間の特定の濃度は、ある投与から別の投与までの一貫した薬剤含有量を提供する。
【0260】
いくつかの実施形態では、組成物には50%未満の投与量間の眼科用製剤濃度変動がある。いくつかの実施形態では、組成物は、投与量間の眼科用剤の濃度において40%未満の変動がある。いくつかの実施形態では、組成物は、投与量間の眼科用剤の濃度において30%未満の変動がある。いくつかの実施形態では、組成物は、投与量間の眼科用剤の濃度において20%未満の変動がある。いくつかの実施形態では、組成物は、投与量間の眼科用剤の濃度において10%未満の変動がある。いくつかの実施形態では、組成物は、投与量間の眼科用剤の濃度において5%未満の変動がある。
【0261】
いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用剤の濃度変動は連続した10回分の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用製剤の濃度変動は連続した8回分の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用製剤の濃度変動は連続した5回分の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用製剤の濃度変動は連続した3回分の投与に基づく。いくつかの実施形態では、投与量間の眼科用製剤の濃度変動は連続した2回分の投与に基づく。
【0262】
非沈降製剤は、薬を一様に分散させるために振盪を必要としてはならない。「非振盪」の製剤は、患者の振盪する行動が薬の量の不安定性の主要な原因であるという単純な理由から、振盪が必要な製剤に対して潜在的に都合がよい。患者は多くの場合、ラベル上ではっきりと記された振盪する説明があるにもかかわらず、投与量を投与する前に振盪することを必要とする眼科用組成物を振盪しない、または忘れてしまうことが報告されている。生成物を振盪する患者についてさえも、振盪生成物の均一性を与えるための強さ、および/または継続期間が適切かどうかを判断することは、通常不可能である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された眼科用のゲル組成物および眼軟膏剤組成物は、本明細書において記載された投与量間の均一性を維持した、「非振盪」製剤である。
【0263】
投与量間の均一性を評価するために、眼科用の水性組成物、眼科用のゲル組成物または眼軟膏剤組成物を含む滴びんまたはチューブは、試験の開始前に最小12時間、直立して保存される。これらの生成物の勧められた投与をシミュレートするために、設定された数の滴剤または小片は、個々の商用ボトルまたはチューブからあらかじめ定められた間隔で、長期間あるいはボトルまたはチューブから分配される生成物が残らなくなるまで分配される。すべての滴剤および小片は、風袋計量されたガラスバイアルに分配され、キャッピングされ、分析まで室温で保存される。押し出された滴剤中の、アトロピンなどのムスカリンアンタゴニストの濃度は、逆相のHPLC方法を使用して判断される。
【0264】
治療法
【0265】
上記のような有効な量の眼科用組成物をその必要性のある個体の眼に投与することにより、近視の進行を妨げる方法が本明細書において開示される。同様に、上記のような有効な量の眼科用組成物をその必要性のある個体の眼に投与することにより、近の視開発を防ぐ方法が本明細書において開示される。
【0266】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される眼科用の水溶性の製剤は、滴びんに包装され適材として投与される。例えば、眼科用の水性製剤の一回の投薬(すなわち単回投与)は、患者の眼の中への1滴、2滴、3滴、またはそれ以上の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された眼科用のゲル製剤は、点眼瓶で包装され、滴剤として投与される。例えば、眼科用のゲル剤の一回の投薬(すなわち単回投与)は、患者の眼の中への1滴、2滴、3滴、またはそれ以上の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された眼軟膏剤の製剤は、軟膏の小片を送達する分配ノズルを備えた、チューブまたは他の押し出し可能な容器で包装される。例えば、眼軟膏剤の一回の投薬(すなわち単回投与)は、患者の眼の中への1本の小片、または複数の小片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された眼科用の水性製剤の1回の投与は、点眼瓶からの水性組成物の1滴である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載された眼科用のゲルの1回の投与は、点眼瓶からのゲル組成物の1滴である。いくつかの実施形態では、眼軟膏剤の1回分は、分散するチューブのノズルを通じて分配された軟膏組成物の1本の小片である。
【0267】
開示された方法のいくつかの実施形態では、最初の使用前に室温未満で眼科用組成物を保存する。開示された方法のいくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用前に約2℃から約10℃の間で保存される。開示された方法のいくつかの実施形態では、眼科用組成物は最初の使用前に約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、または約10℃で保存される。開示された方法のいくつかの実施形態では、眼科用組成物は、最初の使用前に約4℃から約8℃の間で保存される。
【0268】
開示された方法のいくつかの実施形態では、眼科用組成物は、第1の使用の後に室温で保存する。開示された方法のいくつかの実施形態では、眼科用組成物は第1の使用の後に約16℃から約26℃の間で保存される。開示された方法のいくつかの実施形態では、眼科用組成物は第1の使用の後に約16℃で、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、または約26℃で保存される。
【0269】
いくつかの実施形態では、眼科用の水性製剤は、以下のように投薬される:投薬される眼の下瞼が引き下ろされ、眼瞼の内部にあらかじめ定められた量の水性製剤(例えば、1-3滴)が適用される。眼科用の分配メカニズムの先端は、汚染および/または外傷を回避するために、表面に触れない。
【0270】
いくつかの実施形態では、眼科用のゲル製剤は以下のように投薬される:投薬される眼の下瞼が引き下ろされ、眼瞼の内部にあらかじめ定められた量のゲル(例えば、1-3滴)が適用される。眼科用の分配メカニズムの先端は、汚染および/または外傷を回避するために、表面に触れない。
【0271】
いくつかの実施形態では、眼軟膏剤の製剤は以下のように投薬される:処理される眼の下瞼が引き下ろされ、眼瞼の内部に少量の軟膏(およそ0.25インチ)が適用される。眼科用の分配メカニズムの先端は、汚染および/または外傷を回避するために、表面に触れない。
【0272】
いくつかの実施形態では眼科用組成物は、長期間にわたって、あらかじめ定められた間隔で投薬される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、毎日1回投薬される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、隔日で投薬される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、1週間、2週間、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、または12-15年にわたって投薬される。
【0273】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満または5%未満の投与量間の眼科用製剤の濃度変動がある投与で投薬される。
【0274】
その必要性のある個体に組成物を処理する回数は、医療の専門家の判断、障害、障害の重症度、および個体の製剤に対する反応に依存する。いくつかの実施形態では、本明細書において開示された組成物は、軽度の急性の疾病を有する、その必要性のある個体に一回投薬される。いくつかの実施形態では、本明細書において開示された組成物は、中程度か重篤な急性の疾病を有する、その必要性のある個体に一回より多く投薬される。患者の疾病が改善しない場合に、医者の判断で、眼科用剤の投薬は慢性的に実施される、すなわち、患者の疾病または状態の症状を回復するため、またはさもなければ、制御、または抑えるために、患者の生活の期間全体を含む長期間にわたって実施される。
【0275】
患者の疾病が改善しない場合に、医者の判断で、眼科用剤の投薬は慢性的に実施される、すなわち、患者の疾病または状態の症状を回復するため、またはさもなければ、制御、または抑えるために、患者の生活の期間全体を含む長期間にわたって実施される。
【0276】
患者の疾病が改善する場合には、医者の判断で、眼科用製剤の投薬は連続的に与えられる;あるいは、投薬されている薬の投与は一時的に減少させられるか、または特定の期間(すなわち「休薬期間」)の間一時的に停止される。休薬期間の長さは、ほんの一例に過ぎないが、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、および365日を含む、2日から1年の間で変動する。休薬期間中の投薬量の減少は、ほんの一例に過ぎないが、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む10%‐100%である。
【0277】
一旦患者の眼の疾病の改善が生じたならば、必要ならば、維持のための眼科用剤の投与量が投薬される。その後、投薬の量または頻度、またはその両方は、改善された疾病、障害または状態を保持するレベルに、症状を抑える眼的として随意に低減される。特定の実施形態では、患者は症状の任意の再発で長期間にわたり断続的な処置を必要とする。
【0278】
そのような量に相当する眼科用製剤の量は、例えば投薬されている特定の眼科用剤、投薬の経路、処置されている状況、処置されている対象の範囲、および処置されている被検体または宿主を含む、症例を取り巻く特定の状況による、特定の化合物、疾病の状態と重症度などの因子によって変動する。所望の投与量は、一回量、あるいは、同時(または短期間)に、または適切な間隔で投薬される分割量として提供される。
【0279】
いくつかの実施形態では、最初の投薬は、特定の眼科用剤、および後に続く異なる種類の製剤または眼科用剤の投薬である。
【0280】
キット/製品
【0281】
本発明の開示は、同様に近視の進行を防ぐ、または停止するためのキットを提供する。そのようなキットは、一般に本明細書において開示された眼科用組成物の1つ以上、およびキットを使用するための説明書を含むことになる。本発明の開示はまた、近視を進行させる危険性がある、または疑われるヒトなどの哺乳動物の疾患、機能不全、または障害の症状を処置、緩和、減少、または改善するための薬物の製造において、1つ以上の眼科用組成物の使用を熟考する。
【0282】
いくつかの実施形態では、キットは、それぞれが本明細書において記載された方法で使用される分離した要素の1つを含む、ガラス瓶、チューブなどの1つ以上の容器を収容するために仕切られるキャリアー、包装または容器を含む。適切な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、および試験管を含む。他の実施形態では、容器は、ガラスまたはプラスチックなど様々な材料から形成される。
【0283】
本明細書において提供される製品は包装資材を含んでいる。薬剤の包装で使用される包装資材はまた、本明細書において示される。例えば米国特許第5,323,907号、第5,052,558号および第5,033,252号を参照されたい。製薬の包装材料の例は、限定されないが、滴びん、チューブ、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、ボトル、および選択された製剤、および意図された投与と処置の様式に対して適している任意の包装材料を含む。眼への眼科用製剤の制御放出の投与による有益性を得られる任意の疾病、異常、または状態に対して様々な処置があるように、本明細書において提供される多くの眼科用組成物が熟考される。
【0284】
いくつかの実施形態では、キットは1つ以上の追加の容器を含み、その各々は本明細書において記載された製剤の使用のための商業上および利用者の見地から望ましい様々な材料(リンス、ワイプ、および/またはデバイスなど)の1つ以上を有する。そのような材料はまた、内容物および/または使用のための説明をリストするラベル、および使用のための説明を有する添付文書を含む。説明のセットは随意に含まれる。さらなる実施形態では、ラベルは、容器の上にある、または付随している。またさらなる実施形態では、ラベルを形成する文字、数または他の特徴は容器自体に貼り付けられる、成型される、または刻印される場合、ラベルは容器上にある;同様に容器を保持する入れ物またはキャリアー内に、例えば添付文書として存在する場合、ラベルは容器に付随する。他の実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療適用に対して使用することになっていることを示すために使用される。さらなる別の実施形態では、ラベルはまた、本明細書において記載された方法などで、内容物の使用のための説明を示す。
【0285】
特定の実施形態では、眼科用組成物は、本明細書において提供される化合物を含む1ユニット以上の剤形を含んでいるディスペンサデバイスで提供される。さらなる実施形態では、ディスペンサデバイスは投薬のための説明が付随する。またさらなる実施形態では、ディスペンサはまた、薬剤の製造、使用、販売を規制する政府機関に決められた形式で容器に付随した通知を伴い、それらの通知は、ヒトまたは獣医学における投与のための薬の形式が政府機関に承認されている事を反映する。別の実施形態では、そのような通知は、例えば、処方箋調剤薬のためにアメリカ食品薬品局で承認された表示、または承認された製品挿入物である。さらなる別の実施形態では、互換性をもつ製薬の担体において処方された、本明細書において提供される化合物を含む組成物はまた、示された疾病の処置のために調製され、適切な容器に配置され、ラベル付けをされる。
【実施例
【0286】
実施例1 - 眼科用製剤
眼科用製剤の調製のための典型的な組成物は、表1-8に記載される。
【0287】
【表1】
【0288】
【表2】
【0289】
【表3】
【0290】
【表4】
【0291】
【表5】
【0292】
【表6】
【0293】
【表7】
【0294】
【表8】
【0295】
実施例2 - DO中に0.01%のアトロピンを含有している水溶液製剤の調製
ストック1%の溶液
100mLの溶液中に、1グラムのアトロピンおよび0.77gのNaCl(および好ましくは乾燥状態の他の成分/構成要素)を、注射用の100mLの無菌の重水素化水に等しい十分な量とともに加える。固体粉末がすべて溶けて、溶液が、目視できる粒子がなく透明になるまで、溶液を、ホットプレート上で撹拌棒を用いて適切に大きさを合わせられたビーカー中で混合する。次に、撹拌棒を取り外し、溶液を、濾過瓶に注ぎ、0.22ミクロンのポリエーテルスルホンのメンブレンフィルターに通して滅菌した瓶へと真空濾過する。フィルター上部を滅菌したストック瓶から取り外し、ストック瓶を、滅菌したボトルキャップを用いて保存のためにキャップする。
【0296】
<希釈した0.01%の溶液>
1%の溶液、0.3mLを、滅菌した0.9%の注射USP用の塩化ナトリウム(Sodium Chloride For Injection USP)を合計で30mL達成するのに十分な量と組み合わせた。溶液を徹底的に混合した。溶液のpHを記録した。0.22ミクロンのフィルターを、シリンジの先端上に置き、溶液を別々の滅菌容器に等分した。
【0297】
実施例3 - 0.01%の硫酸アトロピンを含有している水溶液製剤の調製
ストック1%の溶液
100mLの溶液中に、1グラムの硫酸アトロピンおよび0.77gのNaCl(および好ましくは乾燥状態の他の成分/構成要素)を、注射用の100mLの滅菌水に等しい十分な量とともに加えた。固体粉末がすべて溶けて、溶液が、目視できる粒子がなく透明になるまで、溶液を、ホットプレート上で撹拌棒を用いて適切に大きさを合わせられたビーカー中で混合した。次に、撹拌棒を取り外し、溶液を、濾過瓶に注ぎ、0.22ミクロンのポリエーテルスルホンのメンブレンフィルターに通して滅菌した瓶へと真空濾過した。フィルター上部を滅菌したストック瓶から取り外し、ストック瓶を、滅菌したボトルキャップを用いて保存のためにキャップした。
【0298】
<希釈した0.01%の溶液>
1%の溶液、0.3mLを、滅菌した0.9%の注射USP用の塩化ナトリウムを合計で30mL達成するのに十分な量と組み合わせた。溶液を徹底的に混合した。溶液のpHを記録した。0.22ミクロンのフィルターを、シリンジの先端上に置き、溶液を別々の滅菌容器に等分した。
【0299】
実施例4 - 安定性解析
5つの0.01%の硫酸アトロピン溶液を、1%の硫酸アトロピン保存溶液から調製した(実施例2に記載されるような調製)。5つの溶液のpHは、溶液1-5に対して、それぞれ、5.87、5.97、5.90、6.24、および6.16であった。各溶液を徹底的に混合した。0.22ミクロンのフィルターを、シリンジの先端上に置き、表9に従って溶液を別々の滅菌容器に等分した。
【0300】
【表9】
【0301】
その後、サンプルを、安定性解析のために異なる条件で保存した。サンプルを、2か月までの異なる時間点で分析した。保存条件は以下を含む:75%の相対湿度(RH)で40℃(サンプルを、3日後に2-8℃の状態から移した)、60%のRHで25℃、および60℃。時間点は、1週、2週、1か月、および2か月であった。時間点の各々で、保存状態の各々からの1つのプラスチック点眼器(LDPEプラスチック)および1つのガラスバイアルを、取り外し、周囲条件に平衡させた。一旦平衡させると、プラスチック点眼器およびガラスバイアルの両方を、3回反転させた。点眼器中の溶液を、点滴器を介して滴下によってHPLCバイアルに移した。ガラスバイアル中の溶液を、ガラスのパスツールピペットを使用して、HPLCバイアルへと等分した。その後、サンプルを、表10にリストされたUPLC方法を使用して、純度および効能に関して試験した。
【0302】
【表10】
【0303】
表11は、0.01%の硫酸アトロピン溶液用の安定性データをリストする。
【0304】
【表11】
【0305】
0.01%の硫酸アトロピン溶液のpHの変化を、安定性研究の期間にわたって観察した。プラスチック(LDPE)点眼器は、2か月間25℃で保存されたときに、およそ6.2のpHを維持した。しかしながら、同じ時間点で、0.01%のアトロピンのpHは、ガラスバイアルに保存されたときに7.2まで増加した。さらに、高温(例えば40℃および60℃)で保存されたときに、プラスチック(LDPE)点眼器中のpHは、およそ4-5まで低下し、一方でガラスバイアルに保存されたときのpHはおよそ7.2を維持した。
【0306】
また、プラスチック(LDPE)点眼器に保存したときとタイプIガラスバイアルに保存したときとの硫酸アトロピン(0.01%)に対する分解の速度に著しい差があった。しかしながら、両方の容器において、相対保持時間(RRT)=0.87-0.89での初期溶出関連の物質の増加があった。幾つかの場合では、この初期溶出関連の物質は、主要分解物として言及される。いくつかの例では、主要分解物は、RRT 0.87-0.89として言及される。この初期溶出関連の物質は、容器にかかわらず仕様に適合しない(fail specification)第1パラメーターとなる傾向にある。この初期溶出関連の物質の量を、各時間点で追跡し、表12にリストする。
【0307】
【表12】
【0308】
アレニウスベースの貯蔵期間の予測値を、表12からの関連物質のデータを使用して計算した。これらの予測値は、分解が一次(線形)であるという仮定に基づく。これらの予測値を、図1および2で例証する。図1は、25℃および40℃で保存されたサンプルから得られたデータに基づいた、主要分解物RRT 0.87-0.89、および高くて0.5%の領域での、0.01%の硫酸アトロピン溶液の貯蔵期間の予測値を示す。硫酸アトロピン溶液のpH領域は、5.9-6.2である。図2は、25℃および60℃で保存されたサンプルから得られたデータに基づいた、主要分解物RRT 0.87-0.89、および多くて0.5%の領域での、0.01%の硫酸アトロピン溶液の貯蔵期間の予測値を示す。硫酸アトロピン溶液のpH領域は、5.9-6.2である。
【0309】
実施例5 - 1%の硫酸アトロピン(Bausch + Lomb)のサンプル分析
1%の硫酸アトロピンのサンプルを、Bausch + Lomb(Lot 198421)から得た。比較のために、1%の硫酸アトロピン製剤のpHを、未希釈の(neat)溶液中の他に、ビヒクルを使用して現状の名目濃度(0.01%の硫酸アトロピン)に希釈されたサンプル中でも判定した。さらに、サンプルを、希釈法(method diluent)により名目濃度に希釈した。名目濃度に希釈した両方のサンプルを、RP-UPLC法(表10)を使用して分析した。結果を表13にリストする。
【0310】
【表13】
【0311】
実施例6 - 投与の均一性(10回の投与)
投与量間の均一性を評価するために、眼科用水性組成物を含有している滴瓶を、試験の開始前の予め決められた期間の間(例えば12時間)、直立させて保存する。生成物の推奨される投薬をシミュレートするために、10滴の水性組成物を、予め決められた時間間隔で(例えば、連続して、1分ごと、10分ごと、1時間ごとまたは24時間ごとに)各瓶から調剤する。すべての滴剤または小片を、風袋ガラスバイアルへと調剤し、キャップし、分析するまで室温で保存する。表わされた滴剤中のアトロピンの濃度を、逆相HPLC法を使用して判定する。
【0312】
実施例7 - 投与の均一性(5回の投与)
投与量間の均一性を評価するために、眼科用水性組成物を含有している滴瓶を、試験の開始前の予め決められた期間の間(例えば12時間)、直立させて保存する。生成物の推奨される投薬をシミュレートするために、5滴の水性組成物を、予め決められた時間間隔で(例えば、連続して、1分ごと、10分ごと、1時間ごとまたは24時間ごとに)各瓶から調剤する。すべての滴剤または小片を、風袋ガラスバイアルへと調剤し、キャップし、分析するまで室温で保存する。表わされた滴剤中のアトロピンの濃度を、逆相HPLC法を使用して判定する。
【0313】
実施例8 - 投与の均一性(2回の投与)
投与量間の均一性を評価するために、眼科用水性組成物を含有している滴瓶を、試験の開始前の予め決められた期間の間(例えば12時間)、直立させて保存する。生成物の推奨される投薬をシミュレートするために、2滴の水性組成物を、予め決められた時間間隔で(例えば、連続して、1分ごと、10分ごと、1時間ごとまたは24時間ごとに)各瓶から調剤する。すべての滴剤または小片を、風袋ガラスバイアルへと調剤し、キャップし、分析するまで室温で保存する。表わされた滴剤中のアトロピンの濃度を、逆相HPLC法を使用して判定する。
【0314】
実施例9 - 製剤安定性の比較
硫酸アトロピン一水和物(MP Bio; Lot Number 7825K)およびトロパ酸(Sigma Aldrich; Lot Number STBD6457V)を、この実験に使用した。表14Aで例証される8つの製剤を、t=0、2週、および4週で分析した。分析を行うために使、RP-HPLC法を使用した。
【0315】
【表14A】
【0316】
値は%w/vである。製剤を、測容ガラス器具中で100mLスケールで調製した。製剤7および製剤8のpDは、それぞれ5.2および6.2である。いくつかの例では、pDを、pD=0.4+pHとして計算し、式中、pHは、重水素化水を含有している溶液中で製剤された溶液の測定された又は観察されたpHである。
【0317】
表14Bは、表14Aにリストされた製剤のための解析時間点を例証する。
【0318】
【表14B】
【0319】
表15は、8つの製剤の各々に関係する硫酸アトロピン純度のデータを例証する。
純度を、曲線下面積のパーセントとして示す。
【0320】
【表15】
いくつかの例では、システムに関連付けられることが提案された。
【0321】
60℃での4週間の保存後に、いくつかの例において、硫酸アトロピン濃度は、pH4.2で酢酸を含有している製剤に関する安定性に影響を与える。例えば、0.025%w/v(製剤2)での硫酸アトロピン濃度は、0.010%w/v(製剤1)での硫酸アトロピン濃度と比較して、pH4.2で%純度の2.8%の増加を示した。この傾向は、pH4.8での酢酸製剤(製剤3および4)に対しては観察されず、むしろ、%純度の0.6%の減少が、高投与量に対して観察された。
【0322】
pH=4.2で観察された用量依存性の安定性の傾向も、pH5.8でのクエン酸を含有している製剤(製剤5および6)中で見られた。60℃での4週間の保存後に、低投与量で観察された分解よりも、高い投与量でおよそ14%少ない分解が観察される。
【0323】
高投与量および低投与量の両方で、より多くの分解が、より高いpHで開始する製剤中で観察される。この分解は、主にトロパ酸の成長である。いくつかの例では、緩衝種は、異なるpH値間で観察された分解に役割を果たす。
【0324】
t=4週および60℃での製剤の各々に対して観察されたトロパ酸のパーセントは、以下の通りである。
製剤1 - 観察されたトロパ酸は0.54%である。
製剤2 - 観察されたトロパ酸は0.93%である。
製剤3 - 観察されたトロパ酸は1.58%である。
製剤4 - 観察されたトロパ酸は3.03%である。
製剤5 - 観察されたトロパ酸は29.13%である。
製剤6 - 観察されたトロパ酸は16.84%である。
製剤7 - 観察されたトロパ酸は1.07%である。
製剤8- 観察されたトロパ酸は4.03%である。
【0325】
いくつかの実施形態では、水源から重水素化水(DO)への切り替えは、pD5.2での酢酸を含有している製剤(製剤7)に対するトロパ酸のピークの成長を安定させることに影響を与える(図4を参照)。さらに、pD6.2でのクエン酸を含有している製剤(製剤8)において、重水素化水はまた、硫酸アトロピンを安定させる(図5を参照)。
【0326】
表16は、8つの製剤の各々に対する曲線下面積としてトロパ酸を例証している。トロパ酸は、硫酸アトロピンの分解物である。いくつかの例では、LOQは、RP-HPLC法に対して0.05%であると以前に分かった。
【0327】
【表16】
【0328】
表17は、8つの製剤中のアトロピンの効能のパーセントを例証している。
【0329】
【表17】
【0330】
4週間の保存後に、分解が原因で効能が低下した60℃での製剤5および6を除いて、観察された効能値は、t=0および2週時間点から上昇した。いくつかの例では、これらの効能値は、HPLC法の誤差内にあるが、上昇する傾向にある。物質収支を60℃のデータに対して計算し、結果は、製剤および分解のレベルにわたって一貫していたが、4週で予期された効能値よりも高かったために下方に傾いた(skewed lower)(図3を参照)。
【0331】
表18は、8つの製剤のpHあるいはpDの安定性を例証している。
【0332】
【表18】
【0333】
イタリック体の値は、重水素化したサンプルに対するpD値である。いくつかの実施形態では、重水素化したサンプルのpDは、pD=pHreading+0.4である(Glasoe, et al. "Use of glass electrodes to measure acidities in deuterium oxide" J. Physical Chem. 64(1): 188-190 (1960))。
【0334】
2つのより低い温度で、t=4週でのpH値は、t=2週での時間点からわずかに上昇している。これらのデータを、ニューガラスpHプローブを使用して生成した。いくつかの例では、観察された差は、例えば、標準的な緩衝液の年齢または研究室環境内の温度勾配などの、プローブ差(probe differences)または追加変数が原因である。t=4週で上昇する温度を用いる各製剤に対するpHの低下傾向は、前のデータと一致しており、安定性サンプル中に存在するトロパ酸の量の増加と一致している。
【0335】
実施例10 - 貯蔵期間および活性化エネルギーの決定
活性化エネルギーを、実施例9に開示された8つの製剤に対して計算し、参照標準との比較を、製剤4-7を用いて行った。
【0336】
表19は、活性化エネルギー(Ea)計算を例証している。Eaの最小値は17.8kcal/molであり、Eaの最大値は21.3kcal/molであり、Eaの平均値は19.5kcal/molである。平均は、+/-3stdevである。図6および7は、それぞれ、製剤4および製剤7を用いるRSとトロパ酸との間の乏しい相関性を例証している。図8および9は、それぞれ、製剤5および製剤6を用いるRSとトロパ酸との間の改善された相関性を例証している。より低いpH(例えば、pH4.8以下)では、乏しい相関性が観察された(製剤4および製剤7)。これは、加水分解の遅延および代替的な分解経路の増加が原因であった。より高いpH(例えば、pH5.8以上)では、改善された又はより良い相関性が観察された(製剤5および製剤6)。これは、主要分解物としてのアトロピンの加水分解が原因であった。活性化エネルギーは、pH5.8以上で作動するトロパ酸-主な分解産物への特殊酸触媒の分解および分解機構のためのものであることが留意される。
【0337】
【表19】
【0338】
表20は、40℃での1週当たりのRSまたはトロパ酸の形成の速度を例証している。
【0339】
【表20】
【0340】
表21は、表20に基づいて計算した30℃での活性化エネルギーおよび予測される貯蔵期間を例証している。トロパ酸および合計のRSが5%(貯蔵期間)であるという計算が仮定される。
【0341】
【表21A】
【0342】
【表21B】
【0343】
pD6.2で、重水素化した製剤(製剤8)は、30℃で2年に近い予測される貯蔵期間を有している。
【0344】
表22は、合計のRSおよびトロパ酸のための、それぞれ、製剤4-8に対する40℃、30℃、25℃、および2-8℃の温度での予測される貯蔵期間を例証する。
【0345】
【表22】
【0346】
実施例11 - 追加の製剤安定性の比較
硫酸アトロピン一水和物(MP Bio; Lot Number 7825K)およびトロパ酸(Sigma Aldrich; Lot Number STBD6457V)を、この実験に使用した。表23Aで例証される13の製剤を分析した。製剤1-8は、t=0、2週、4週、および8週で分析されている。製剤9-13は、t=0、2週、および4週で分析されている。本明細書で報告されたpH値は、Thermo Scientific, Orion Dual Star pH/ISのベンチトップpH計およびH2Oベースの規格で較正されたOrion Double Junction MicroのpHプローブS/N S01-18520を用いて得た、測定されたpH値である。
【0347】
【表23A】
【0348】
値は、%w/vである。製剤を、測容ガラス器具中で100mLスケールで調製し、LDPE点眼瓶へと充填した。いくつかの例では、pDを、pD=0.4+pHとして計算し、式中、pHは、重水素化水を含有している溶液中で製剤された溶液の測定された又は観察されたpHである。
【0349】
表23Bは、表23Aにリストされた製剤に対する解析時間点を例証している。
【0350】
【表23B】
【0351】
表24Aおよび表24Bは、硫酸アトロピン製剤に関係する硫酸アトロピン純度のデータを例証している。純度は、曲線下面積のパーセントとして示される。↑および↓は、硫酸アトロピン一水和物の高濃度または低濃度(0.01%および0.025%)を示す。AおよびCは、それぞれ、使用される緩衝種である、酢酸およびクエン酸を示す。
【0352】
【表24A】
【0353】
【表24B】
【0354】
表25Aおよび表25Bは、硫酸アトロピン製剤に関係するトロパ酸の形成を例証している。トロパ酸は、硫酸アトロピンの分解物であり、曲線下面積のパーセントとして示される。LOQは、RP-HPLC法に対して0.05%であると分かった。↑および↓は、硫酸アトロピン一水和物の高濃度または低濃度(0.01%および0.025%)を示す。AおよびCは、それぞれ、使用される緩衝種である、酢酸およびクエン酸を示す。
【0355】
【表25A】
【0356】
【表25B】
【0357】
表26Aおよび表26Bは、製剤中のアトロピンの効能のパーセントを例証している。↑および↓は、硫酸アトロピン一水和物の高濃度または低濃度(0.01%および0.025%)を示す。AおよびCは、それぞれ、使用される緩衝種である、酢酸およびクエン酸を示す。
【0358】
【表26A】
【0359】
【表26B】
【0360】
表27Aおよび表27Bは、硫酸アトロピン製剤に対するpHまたはpDの安定性を例証している。↑および↓は、硫酸アトロピン一水和物の高濃度または低濃度(0.01%および0.025%)を示す。AおよびCは、それぞれ、使用される緩衝種である、酢酸およびクエン酸を示す。
【0361】
【表27A】
【0362】
【表27B】
【0363】
<実施例12:実施例11の硫酸アトロピン製剤についての貯蔵期間と活性化エネルギーの決定>
実施例11に開示された硫酸アトロピン製剤について、活性化エネルギーを計算した。具体的に、活性化エネルギーを、40℃と60℃(2点の計算)での関連物質(RS)の合計%から、及び40℃と60℃(2点の計算)でのトロパ酸形成から計算した。次にこれらの値を平均化した。表28は活性化エネルギー計算を示す。表29は、%RSとトロパ酸それぞれの形成の40℃での速度から推測された貯蔵期間を示す。図10は、DOとHO製剤について推測された貯蔵期間を示す。
【0364】
【表28】
【0365】
【表29-1】
【0366】
【表29-2】
【0367】
表30は、合計のRSとトロパ酸に関する製剤2-8についての、40℃、30℃、25℃、及び2-8℃の温度での予測された貯蔵期間をそれぞれ示す。
【0368】
【表30-1】
【0369】
【表30-2】
【0370】
<実施例13-モルモットにおける眼の許容可能性に対するpHの効果>
モルモットのコホートに、本明細書に記載される、異なるpH値を有する50μLの眼科用製剤を投与する。例えば、HO又は重水素化水(例えばDO)を含む眼科用製剤を、動物に投与する。動物の行動を、予め定められた時間間隔で記録することで、眼科用製剤の受け入れを評価する。
【0371】
<実施例14-インビボでのウサギの眼の刺激試験>
本明細書に開示される典型的な組成物を、ウサギの眼の刺激試験にさらして、それらの安全性プロフィールを評価する。試験組成物を、ニュージーランドウサギにおける眼の刺激試験について試験する(例えば、Abraham M H, et al., Draize rabbit eye test compatibility with eye irritation thresholds in humans:a quantitative structure-activity relationship analysis. Toxicol Sci. 2003 December; 76(2):384-91. Epub 2003 Sep. 26を参照;同じく、Gettings S D et al., A comparison of low volume, Draize and in vitro eye irritation test data. III. Surfactant-based formulations. Food Chem Toxicol. 1998 March; 36(3):209-31を参照)。研究は、3羽のウサギの各々の右眼への単一の眼投与、及び、その左眼への同じ容量のそのプラセボの投与を含む。もしあれば、目の刺激の兆候/症状に注意するために、ウサギを直ちに、及び、注入後4、24、48、及び72時間後の組成物の注入後に、検査する。試験組成物は、ウサギの目の角膜、虹彩、及び結膜における刺激性の兆候を示さない。
【0372】
<実施例15-モルモットにおける眼科用水性製剤のインビボでの試験>
ラテックスシールドを使用して片目を覆うことで、焦点遮断近視(FDM)を達成する。焦点ぼけにより誘発された近視のために、動物の頭部の周囲でゴムバンドによりラテックス製のフェイスマスクを適所に保持して、両眼、鼻、口、及び耳を自由に露出したままにした。A-4.00Dレンズをプラスチックレンズフレーム上に接着する。その後、レンズの光学的中心を瞳の中心と位置合わせした後、レンズフレームを、布製面ファスナにより片目の周囲でフェイスマスクに付ける。少なくとも1日1回、レンズを取り外し、水に湿らせられたガーゼで両側を掃除し、その後、フェイスマスクに再度付ける。動物を全て、実験期間中、12時間の明(500Lux)と12時間の暗のサイクルで維持する。
【0373】
3週齢のモルモットのコホートを、FDM(片目にフェイスマスクが着用される)、又は焦点ぼけにより誘発された近視(片目に-4.00Dレンズが着用される)、及び対照群へと無作為に割り当てる。FDM群を、眼科用水性製剤、眼科用担体(眼科用剤無し)、又はFDMのみで処置した。焦点ぼけにより誘発された近視眼の群を、眼科用水性製剤、眼科用担体(眼科用剤無し)、又は焦点ぼけのみで処置した。対照群を、眼科用水性製剤、眼科用担体(眼科用剤無し)、で処置し、又は処置しなかった。処置の11日目の前、及びその時点で、個々の動物の両眼における眼の生体認証パラメーターを測定する。
【0374】
生体認証のパラメーター(例えば、目の屈折、角膜曲率、及び軸成分)を、フェイスマスク又はレンズの取り外し後、光サイクル(昼間)中に動物介護者からの協力と共に、検眼士、視能訓練士、又は眼科医が測定する。検眼士、視能訓練士、又は眼科医は、各動物の治療条件に関して伏せられる。
【0375】
瞳が1%の塩酸シクロペントレートの局所投与により完全に拡張した後、屈折を網膜検視法により測定する。網膜検視法の結果を、水平で垂直な経線の平均値として記録する。
【0376】
角膜曲率を、ケラトメータの前面上への+8Dレンズの取り付けにより修飾されるケラトメータにより測定する。5.5から11.0mmまでの直径を持つステンレス鋼ボールの群を、修飾されたケラトメータで測定する。3つの読み取り値を、各々の測定のために記録して、平均結果を得る。その後、角膜曲率の半径を、既知の半径を持つボール上での読み取り値から推定する。
【0377】
スキャン超音波検査装置を用いて、目の軸成分(レンズの厚み、ガラス質の長さ、及び軸長)を測定する。実行速度は、レンズの厚みの測定に関しては1,723.3m/sであり、前述のようにガラス質の長さの測定値に関しては1,540m/sであった。軸成分の各々を、10の反復測定の平均として計算する。
【0378】
<実施例16-眼科用水性製剤の安全性と効果の研究>
臨床試験を行い、近視である患者(patents)における,本明細書に記載される眼科用水性製剤の効果と安全性を調査する。幾つかの例において、研究は、非盲検の、単一盲検の、又は二重盲検の研究である。患者の選択基準は、両眼において少なくとも1.0Dの近視の屈折、並びに、非点収差、文書化された近視の進行、年齢、性別、及び/又は健康状態などの付加的な要素を含む。
【0379】
患者を無作為化し、両眼において、毎晩1回、HO又は重水素化水(例えばDO)の何れかにおいて処方された0.05%、0.01%、又は0.001のアトロピン水性製剤を受けさせた。幾つかの例における割当比率を、患者集団に基づいて定める。
【0380】
患者を、0日目(ベースライン)、14日目、30日目、及びその後、2、3、4、5、6、8、10、12、18、20、24、及び36か月目に評価する。各訪問時に、最良に補正された距離logMar視力(BCVA)を、糖尿病性網膜症の早期治療研究のチャートを用いて、検眼士、視能訓練士、又は眼科医が評価する。近視力を、明るい条件下で、40cmで配される換算(reduced)logMar読み取りチャートを伴う、最良に補正された距離の眼鏡矯正(best-corrected distance spectable correction)を用いて、評価する。調節近点(NPA)を、最良の補正された距離の眼鏡矯正を用いたRAFの規則を使用して、測定する。患者には、N5プリントが僅かにかすむまで内側に、その後N5プリントがようやく明白になるまで外側へと、標的を動かすよう指示する。調節幅を、NPAの逆として計算する。薄明視の瞳の大きさを、Procyon3000の瞳孔計で測定する。明所視の瞳の大きさを、Neuropticsの瞳孔計を用いて測定する。
【0381】
3滴のシクロペントレート1%を5分間隔で投与した後30分で、毛様体筋麻痺性の自動屈折を、Canon RK-F1の自動屈折計を用いて判定する。Zeiss IOL Master、即ち非接触部分干渉性干渉法を用いて、眼の軸長を測定する。
【0382】
第一義的転帰は、研究の期間にわたる近視進行である。安全性を、片目又は両眼におけるアレルギー反応、刺激、又は霧視の進行を含む有害事象により評価する。
【0383】
<実施例17-硫酸アトロピンを含有する軟膏製剤の調製>
硫酸アトロピンを、加熱及び超音波処理の下で分散剤(例えば、ポリエチレングリコール)と混合させ、この混合物を更に、溶融軟膏基剤(例えば、羊毛ワックス、白色ワセリン、及び流動パラフィンの混合物)と完全に混合させる。混合物を圧力容器に配し、125℃で30-45分間殺菌し、室温に冷却する。別の実施形態において、オートクレーブ滅菌を窒素下で行う。結果として生じる眼軟膏剤を、予め殺菌された容器(例えばチューブ)へ無菌で充填する。
【0384】
<実施例18-アトロピン粘液浸透粒子の組成物>
0.01%のアトロピン粘液浸透粒子の組成物を、製粉手順を用いて調製した。動的光散乱により測定されるように、粒径が約200nmに減らされ且つ多分散性指数が0.15未満になるまで、アトロピン粒子を包含する水分散液及びMPP可能な(MPP-enabling)粘液浸透剤を、粉砕媒体で粉砕した。防腐剤などの追加の薬剤もミリング手順の間に加える。後に、アトロピン-MPP組成物を、約15℃と約25℃の間の温度で保存する。
【0385】
<実施例19-硫酸アトロピン粘液浸透粒子の組成物>
0.01%の硫酸アトロピン粘液浸透粒子の組成物を、製粉手順を用いて調製した。動的光散乱により測定されるように、粒径が0.15未満の多分散性指数と共に約200nmに減らされるまで、アトロピン粒子を包含する水分散液及びMPP可能な(MPP-enabling)粘液浸透剤を、粉砕媒体で粉砕した。防腐剤などの追加の薬剤もミリング手順の間に加える。後に、アトロピン-MPP組成物を、約15℃と約25℃の間の温度で保存する。
【0386】
開示の別の態様に従い、本明細書には、約3.8から約7.5のpHで約0.001wt%から約0.05wt%のムスカリンアンタゴニスト及び水を含む、眼科用組成物が記載される。
【0387】
幾つかの例において、ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、ヒヨスチン、スコポラミン、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、又はそれらの組み合わせを含む。場合によっては、ムスカリンアンタゴニストはアトロピンである。場合によっては、ムスカリンアンタゴニストは硫酸アトロピンである。
【0388】
幾つかの例において、眼科用組成物は、保存条件下で長期間経過後、初期の濃度に基づいて、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のムスカリンアンタゴニストの1つを含む。
【0389】
幾つかの例において、眼科用組成物は、保存条件下で長期間経過後、約7.3未満、約7.2未満、約7.1未満、約7未満、約6.8未満、約6.5未満、約6.4未満、約6.3未満、約6.2未満、約6.1未満、約6未満、約5.9未満、約5.8未満、約5.2未満、約4.8未満、又は約4.2未満のpHを有する。
【0390】
幾つかの例において、眼科用組成物は、保存条件下で長期間経過後、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の1つの効能を有する。
【0391】
幾つかの例において、長期間は、約1週、約2週、約3週、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約8か月、約10か月、約12か月、約18か月、約24か月、約36か月、約4年、又は約5年の1つである。
【0392】
幾つかの例において、保存条件は、約25℃、約40℃、又は約60℃の1つの保存温度を有する。場合によっては、保存条件は、約2℃から約10℃、又は約16℃から約26℃の保存温度を有する。場合によっては、保存条件は、約60%又は約75%の相対湿度を有する。
【0393】
幾つかの例において、眼科用組成物は、水溶液の形態である。場合によっては、ムスカリンアンタゴニストは、約0.001wt%から約0.04wt%、約0.001wt%から約0.03wt%、約0.001wt%から約0.025wt%、約0.001wt%から約0.02wt%、約0.001wt%から約0.01wt%、約0.001wt%から約0.008wt%、又は約0.001wt%から約0.005wt%の1つの濃度で組成物中に存在する。
【0394】
幾つかの例において、眼科用組成物はモル浸透圧濃度調整剤を更に含む。場合によっては、モル浸透圧濃度調整剤は塩化ナトリウムである。
【0395】
幾つかの例において、眼科用組成物は保存剤を更に含む。場合によっては、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウム、安定したオキシクロロ複合体、SofZia、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、エデト酸2ナトリウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0396】
幾つかの例において、眼科用組成物は緩衝剤を更に含む。場合によっては、緩衝剤は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0397】
幾つかの例において、眼科用組成物は等張化剤を更に含む。場合によっては、等張化剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0398】
幾つかの例において、眼科用組成物はプラスチック容器に保存される。場合によっては、プラスチック容器の材料は低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0399】
幾つかの例において、眼科用組成物は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、又は5%未満の1つの、投与量間のムスカリンアンタゴニストの濃度変化を有する。場合によっては、投与量間のムスカリンアンタゴニストの濃度変化は、10回の連続投与、8回の連続投与、5回の連続投与、3回の連続投与、又は2回の連続投与の1つに基づく。
【0400】
幾つかの例において、眼科用組成物は、約3.8から約7.5、約4.2から約7.5、約4.8から約7.3、約5.2から約7.2、約5.8から約7.1、約6.0から約7.0、又は約6.2から約6.8の1つのpHを有する。
【0401】
幾つかの例において、眼科用組成物はpH調整剤を更に含む。場合によっては、pH調整剤は、HCl、NaOH、CHCOOH、又はCを含む。
【0402】
幾つかの例において、眼科用組成物は、5%未満のDO、4%未満のDO、3%未満のDO、2%未満のDO、1%未満のDO、0.5%未満のDO、0.1%未満のDO、又は0%のDOの1つを含む。場合によっては、眼科用組成物は実質的にDOを含まない。
【0403】
幾つかの例において、眼科用組成物は薬学的に許容可能な担体を更に含む。
【0404】
幾つかの例において、眼科用組成物は、眼科障害の処置のための眼科用液剤として処方される。場合によっては、眼科障害又は疾病は、前近視(pre-myopia)、近視、又は近視の進行である。
【0405】
幾つかの例において、眼科用組成物は注入可能な製剤として処方されない。
【0406】
本開示の好ましい実施形態が本明細書中で示されるとともに記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものである。本明細書中に記載の実施形態の様々な代替形態が、本開示を実行する際に随意に採用される。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内の方法及び構成は、それによって包含されることが、意図される。
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