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特許7505894熱交換コア、熱交換器、熱交換器のメンテナンス方法及び熱交換コアの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】熱交換コア、熱交換器、熱交換器のメンテナンス方法及び熱交換コアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 21/00 20060101AFI20240618BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20240618BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F28D21/00 A
F28F9/02 Z
F28F9/00 331
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020031252
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021134981
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓央
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】江口 駿作
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-204861(JP,A)
【文献】特開2009-281696(JP,A)
【文献】特開2018-122521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/00- 9/04,21/00
F28F 3/00- 3/14
B33Y 10/00-99/00
B22F 1/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部と、
前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部と、を備える金属粉末の積層造形体からなる熱交換コアであって
前記ヘッダ流路は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置し、
前記コア本体部は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有し、
前記ヘッダ部の外表面と、前記本体部側面とを接続する接続領域をさらに備え、
前記複数の流路の前記第1延在方向に対する前記接続領域の延在方向の傾斜角度は、25度以上60度以下である
熱交換コア。
【請求項2】
前記ヘッダ流路は、前記ヘッダ部内で前記第1延在方向と交差する第2延在方向に延在する共通流路と、前記共通流路と前記複数の流路とを接続する複数の分岐流路とを含み、
前記本体部側面は、前記平面視において、前記ヘッダ部内における前記共通流路の一方端又は他方端の少なくとも何れか一方まで前記第2延在方向に沿って延在する
請求項1に記載の熱交換コア。
【請求項3】
複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部と、
前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部と、を備える熱交換コアであって、
前記ヘッダ流路は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置し、
前記コア本体部は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有し、
前記ヘッダ流路は、前記ヘッダ部内で前記第1延在方向と交差する第2延在方向に延在する共通流路と、前記共通流路と前記複数の流路とを接続する複数の分岐流路とを含み、
前記本体部側面は、前記平面視において、前記ヘッダ部内における前記共通流路の一方端又は他方端の少なくとも何れか一方まで前記第2延在方向に沿って延在するとともに、
前記ヘッダ部は、前記第1延在方向に沿って前記熱交換コアの端部に位置して前記ヘッダ流路を覆うヘッダ蓋部を含み、
前記ヘッダ蓋部は、前記共通流路を覆う第1領域と、前記複数の分岐流路を覆う第2領域とを含み、
前記第2領域の少なくとも一部は、前記第1領域に対して前記第1延在方向に沿って前記コア本体部側に向かって凹んでい
交換コア。
【請求項4】
複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部と、
前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部と、を備える熱交換コアであって、
前記ヘッダ流路は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置し、
前記コア本体部は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有し、
前記ヘッダ流路は、前記ヘッダ部内で前記第1延在方向と交差する第2延在方向に延在する共通流路と、前記共通流路と前記複数の流路とを接続する複数の分岐流路とを含み、
前記本体部側面は、前記平面視において、前記ヘッダ部内における前記共通流路の一方端又は他方端の少なくとも何れか一方まで前記第2延在方向に沿って延在するとともに、
前記ヘッダ部は、前記第1延在方向に沿って前記熱交換コアの端部に位置して前記ヘッダ流路を覆うヘッダ蓋部を含み、
前記ヘッダ蓋部は、前記共通流路を覆う第1領域を含み、
前記熱交換コアの外表面のうち、前記第1領域及び前記第1領域と前記本体部側面との間の領域の少なくとも一部における前記外表面は、前記熱交換コアの外側に向かって凸となる曲面を含
交換コア。
【請求項5】
前記ヘッダ部の外表面と、前記本体部側面とを接続する接続領域、
をさらに備え、
前記第1延在方向に対する前記接続領域の延在方向の傾斜角度は、25度以上60度以下である
請求項3又は4に記載の熱交換コア。
【請求項6】
複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部と、
前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部と、を備え、
前記ヘッダ流路は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置し、
前記コア本体部は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有するとともに、
前記ヘッダ部は、前記コア本体部の一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含む第1ヘッダ部と、前記コア本体部の他方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含む第2ヘッダ部と、を含み、
前記第1ヘッダ部の外表面と、前記本体部側面とを接続する第1接続領域と、
前記第2ヘッダ部の外表面と、前記本体部側面とを接続する第2接続領域と、
をさらに備え、
前記第1延在方向に対する前記第1接続領域の延在方向の傾斜角度は、25度以上60度以下であり、
前記第1延在方向に対する前記第2接続領域の延在方向の傾斜角度は、85度以上95度以下であ
交換コア。
【請求項7】
複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部と、
前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部と、を備え、
前記ヘッダ流路は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置し、
前記コア本体部は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有するとともに、
前記ヘッダ流路は、前記ヘッダ部内で前記第1延在方向と交差する第2延在方向に延在する共通流路と、前記共通流路と前記複数の流路とを接続する複数の分岐流路とを含み、
前記ヘッダ部は、前記共通流路と連通する流路を有し、前記第2延在方向に沿って前記ヘッダ部から突出する突出管を含み、
前記突出管の側部と前記コア本体部とを接続し、前記側部を前記第1延在方向に沿って前記コア本体部側から支持する支持部をさらに備え、
前記支持部は、前記突出管の先端側から基端側に向かうにつれて前記第1延在方向に沿った前記側部からの距離が大きくなるように形成された傾斜面を有するように形成されてい
交換コア。
【請求項8】
前記第1延在方向に対する前記傾斜面の延在方向の傾斜角度は、25度以上60度以下である
請求項7に記載の熱交換コア。
【請求項9】
前記ヘッダ部は、前記コア本体部の一方の端部側にて前記複数の流路と連通する第1ヘッダ流路を含む第1ヘッダ部と、前記コア本体部の他方の端部側にて前記複数の流路と連通する第2ヘッダ流路を含む第2ヘッダ部と、を含み、
前記第1ヘッダ流路は、前記第1ヘッダ部内で前記第1延在方向と交差する第2延在方向に延在する第1共通流路と、前記第1共通流路と前記複数の流路とを接続する複数の第1分岐流路とを含み、
前記第2ヘッダ流路は、前記第2ヘッダ部内で前記第2延在方向に延在する第2共通流路と、前記第2共通流路と前記複数の流路とを接続する複数の第2分岐流路とを含み、
前記突出管は、
前記第1ヘッダ部において、前記第1共通流路と連通する流路を有し、前記第2延在方向に沿って前記第1ヘッダ部から突出する第1突出管と、
前記第2ヘッダ部において、前記第2共通流路と連通する流路を有し、前記第2延在方向に沿って前記第2ヘッダ部から突出する第2突出管と、
を含み、
前記支持部は、前記第1突出管、又は、前記第2突出管の何れか一方だけに設けられている
請求項7又は8に記載の熱交換コア。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の熱交換コアの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの前記熱交換コアが取り付けられる筐体と、
を備える熱交換器。
【請求項11】
請求項7乃至9の何れか1項に記載の熱交換コアの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの前記熱交換コアが取り付けられる筐体と、
を備え、
前記筐体は、前記少なくとも1つの前記熱交換コアが取り付けられると前記支持部が嵌合される嵌合凹部を有する
熱交換器。
【請求項12】
熱交換器のメンテナンス方法であって、
前記熱交換器は、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の熱交換コアの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの前記熱交換コアが取り付けられる筐体と、
を備え、
前記熱交換コアを治具で保持する工程と、
前記治具で保持した前記熱交換コアを前記治具とともに前記筐体における前記熱交換コアの装着部に挿入する工程と、
前記装着部に挿入された前記熱交換コアを前記装着部に残して前記装着部から前記治具を抜き出す工程と、
を備え、
前記熱交換コアを治具で保持する工程は、前記本体部側面を前記治具で側方から支持しながら前記熱交換コアを保持する
熱交換器のメンテナンス方法。
【請求項13】
金属粉末の積層造形体からなる熱交換コアの製造方法であって、
積層造型によって、複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部を形成する工程と、
積層造型によって、前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部を形成する工程と、
を備え、
前記ヘッダ部を形成する工程は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置するように前記ヘッダ流路を形成し、
前記コア本体部を形成する工程は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有するように前記コア本体部を形成するとともに、
前記熱交換コアは、前記ヘッダ部の外表面と、前記本体部側面とを接続する接続領域をさらに含み、
前記複数の流路の前記第1延在方向に対する前記接続領域の延在方向の傾斜角度は、25度以上60度以下である
熱交換コアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換コア、熱交換器、熱交換器のメンテナンス方法及び熱交換コアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な装置やプラント等において、流体の加熱又は冷却を目的に熱交換器が使用されている。熱交換器には様々なタイプのものが存在するが、例えば、筒状のケーシングの内側に、プレートの積層体から形成された熱交換コアを収容した構成のものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3406896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにプレートを積層して熱交換コアを形成すると、どうしても熱交換コアの形状に制約ができてしまう。これに対し、近年では、積層造形によって熱交換器を製造することが行われるようになっている。積層造形によって熱交換器を製造すること、熱交換コアの形状の制約を大幅に緩和することができる。
【0005】
しかし、熱交換コアの全体的な形状を単純な柱形状等とすると、熱交換コアの強度や熱交換効率等に寄与しない余剰となる領域が発生し、熱交換コアの重量の増加や製造コストの増加を招いてしまう。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、合理的な形状を有する熱交換コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換コアは、
複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部と、
前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部と、を備え、
前記ヘッダ流路は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置し、
前記コア本体部は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有する。
【0008】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器は、
上記(1)の構成の熱交換コアの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの前記熱交換コアが取り付けられる筐体と、
を備える。
【0009】
(3)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器のメンテナンス方法は、
熱交換器のメンテナンス方法であって、
前記熱交換器は、
上記(1)又は(2)の構成の熱交換コアの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの前記熱交換コアが取り付けられる筐体と、
を備え、
前記熱交換コアを治具で保持する工程と、
前記治具で保持した前記熱交換コアを前記治具とともに前記筐体における前記熱交換コアの装着部に挿入する工程と、
前記装着部に挿入された前記熱交換コアを前記装着部に残して前記装着部から前記治具を抜き出す工程と、
を備え、
前記熱交換コアを治具で保持する工程は、前記本体部側面を前記治具で側方から支持しながら前記熱交換コアを保持する。
【0010】
(4)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換コアの製造方法は、
熱交換コアの製造方法であって、
積層造型によって、複数の流路を形成する複数の空洞部を内部に有するコア本体部を形成する工程と、
積層造型によって、前記コア本体部の少なくとも一方の端部側にて前記複数の流路と連通するヘッダ流路を含むヘッダ部を形成する工程と、
を備え、
前記ヘッダ部を形成する工程は、前記複数の流路の第1延在方向から視た平面視にて前記複数の流路の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置するように前記ヘッダ流路を形成し、
前記コア本体部を形成する工程は、前記平面視において前記ヘッダ流路のうち前記配置エリアから最も外側に離れた部位よりも前記配置エリア寄りにおいて、前記第1延在方向に沿って延在する本体部側面を有するように前記コア本体部を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、合理的な形状を有する熱交換コアを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】幾つかの実施形態に係る熱交換コアの模式的な斜視図である。
図2図1の破線L1に沿って切断した切断面の端面図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図1の熱交換コアにおいて蓋部材を取外した状態のコア本体部の端面の一部の平面図である。
図5図1の破線L2に沿って切断した切断面の端面図である。
図6図1の破線L3に沿って切断した切断面の端面図である。
図7】幾つかの実施形態に係る熱交換コアの本体部の長手方向の一端の端面近傍の一部の拡大断面図である。
図8】幾つかの実施形態のうちの一実施形態に係る熱交換コアを図1の破線L2に沿って切断した切断面の一部を拡大した図である。
図9】幾つかの実施形態のうちの他の実施形態に係る熱交換コアを図1の破線L2に沿って切断した切断面の一部を拡大した図である。
図10】幾つかの実施形態のうちのさらに他の実施形態に係る熱交換コアを図1の破線L2に沿って切断した切断面の一部を拡大した図である。
図11】幾つかの実施形態のうちのさらに他の実施形態に係る熱交換コアの一部についての斜視図である。
図12】一実施形態に係る熱交換器の概略の構成を示す模式的な分解図である。
図13】他の実施形態に係る熱交換器の概略の構造を示す模式的な断面図である。
図14】熱交換器の一実施形態に係るメンテナンス方法における処理手順を示すフローチャートである。
図15】一実施形態に係るメンテナンス方法において用いる治具の模式的な斜視図である。
図16】幾つかの実施形態に係る熱交換コアの製造方法における処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0014】
<熱交換コアの全体構成>
図1は、幾つかの実施形態に係る熱交換コアの模式的な斜視図である。
図1に示されるように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1流体と第2流体とを熱交換させるための熱交換コアであって、複数の流路4を形成する複数の空洞部40を内部に有するコア本体部2と、コア本体部2の一方及び他方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含むヘッダ部30とを備えている。ここで、第1流体及び第2流体はそれぞれ、液体でも気体でもよく、通常は両者の温度は異なっている。限定はしないが、コア本体部2は直方体形状とすることができる。コア本体部2が直方体形状を有する場合、コア本体部2における互いに直交する3つの軸のうちの一つの軸に沿った一方及び他方の端部側に、ヘッダ部30を設けてもよい。図1に示した例では、コア本体部2の長手方向の一方及び他方の端部側にヘッダ部30が設けられている。
【0015】
以下の説明では、一方のヘッダ部30と他方のヘッダ部30とを結ぶ方向(上記長手方向)に沿って複数の流路4が延在しているものとする。また、以下の説明では、一方のヘッダ部30と他方のヘッダ部30とを結ぶ方向、すなわち複数の流路4が延在方向を第1延在方向D1又は第1方向D1と称する。また、以下の説明では、図1における図示上側に表れた一方のヘッダ部30を第1ヘッダ部31とも称し、図1における図示下側に表れた他方のヘッダ部30を第2ヘッダ部32とも称する。
すなわち、幾つかの実施形態では、ヘッダ30部は、コア本体部2の一方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含む第1ヘッダ部31と、コア本体部2の他方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含む第2ヘッダ部と、を含む。
なお、以下の説明において、第1ヘッダ部31と第2ヘッダ部32とを特に区別する必要がない場合には、単にヘッダ部30と称する。
【0016】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1ヘッダ部31に対して第1延在方向D1に沿った外側から被覆部材である矩形の蓋部材3aが取り付けられていてもよい。蓋部材3aは第1ヘッダ部31に対して、ボルトによる締結等によって取外し可能に取り付けられてもよいし、溶接や接着剤等で不可逆的に取り付けられてもよい。
なお、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1において、蓋部材3aが第1ヘッダ部31と一体的に形成されていてもよい。
また、第2ヘッダ部32に対しても同様に、第2ヘッダ部32とは別に形成された不図示の蓋部材が取り付けられていてもよく、図1において図示したように、蓋部材に相当する部位が第2ヘッダ部32と一体的に形成されていてもよい。
【0017】
図2は、図1の破線L1に沿って切断した切断面の端面図である。
図2に示されるように、コア本体部2に形成された複数の流路4には、第1流体が流通する第1流路21と、第2流体が流通する第2流路22とが含まれる。第1流路21及び第2流路22はそれぞれ、コア本体部2の長手方向である第1方向D1(図2では紙面に対して垂直な方向)に沿って延びるように形成されている。第1流路21及び第2流路22は、コア本体部2の長手方向に対して垂直な方向(後述する第2延在方向D2)に交互に配列されている。隣り合う第1流路21と第2流路22とは、隔壁23によって隔てられている。尚、第1流路21及び第2流路22それぞれの個数、すなわち隔壁23の個数については、図2で示される個数に限定するものではなく、任意の個数に設計可能である。
【0018】
必須の構成ではないが、各第1流路21及び各第2流路22はそれぞれ、複数の区画壁24,25によって複数の分割流路21a及び分割流路22aに区画されてもよい。この場合、分割流路21a及び22aそれぞれの個数、すなわち区画壁24,25の個数については、図2で示される個数に限定するものではなく、任意の個数に設計可能である。
図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。図3に示される構成も必須の構成ではないが、各第1流路21及び各第2流路22には、隣り合う隔壁23,23間を延びるように1つ以上のリブ26を設けてもよい。
【0019】
図4は、図1の熱交換コア1において蓋部材3aを取外した状態のコア本体部2の端面の一部の平面図であり、第1ヘッダ部31の内部の構成を示している。なお、詳細な説明は省略するが、第2ヘッダ部32の内部の構成も、以下で説明する第1ヘッダ部31の内部の構成と同様である。
図5は、図1の破線L2に沿って切断した切断面の端面図であり、第1流路21の内部で切断している。
図6は、図1の破線L3に沿って切断した切断面の端面図であり、第2流路22の内部で切断している。
図7は、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の本体部の長手方向の一端の端面2a近傍の一部の拡大断面図であり、後述する第3延在方向から見た図である。
【0020】
図4に示されるように、コア本体部2の長手方向の一端の端面2aには、各第1流路21の第1開口部27及び各第2流路22の第2開口部28が形成されている。すなわち、コア本体部2に蓋部材3a(図1参照)を取付けていない状態では、端面2aにおいて各第1流路21の第1開口部27及び各第2流路22の第2開口部28が露出する。第1開口部27及び第2開口部28を覆うようにコア本体部2の端面2aに蓋部材3aを取付けると(図1の状態)、第1開口部27及び第2開口部28の露出が被覆される。
【0021】
図1図5及び図6に示されるように、熱交換コア1には、第1流体を各第1流路21(図2及び3参照)に流入させるためのヘッダ流路5である第1ヘッダ流路51と、第1流体が各第1流路21を流通した後に集めるためのヘッダ流路5である第2ヘッダ流路52とが設けられている。熱交換コア1には、第2流体を各第2流路22(図2及び3参照)に流入させるためのヘッダ流路5である第3ヘッダ流路53と、第2流体が各第2流路22を流通した後に集るためのヘッダ流路5である第4ヘッダ流路54とが設けられている。熱交換コア1における熱交換動作を説明する際に詳述するが、図1図5及び図6の構成は、各第1流路21を流通する第1流体と各第2流路22を流通する第2流体とが対向流の場合であり、第1流体と第2流体とが並流の場合は、第1ヘッダ流路51と第2ヘッダ流路52との位置を入れ替えた構成、又は第3ヘッダ流路53と第4ヘッダ流路54との位置を入れ替えた構成のいずれかとなる。
【0022】
第1ヘッダ流路51は、第1ヘッダ部31内で第1延在方向D1と交差する第2延在方向D2に延在する共通流路511と、共通流路511と複数の第1流路21とを接続する複数の分岐流路512とを含む。
同様に、第2ヘッダ流路52は、第2ヘッダ部32内で第2延在方向D2に延在する共通流路521と、共通流路521と複数の第1流路21とを接続する複数の分岐流路522とを含む。
第3ヘッダ流路53は、第2ヘッダ部32内で第2延在方向D2に延在する共通流路531と、共通流路531と複数の第2流路22とを接続する複数の分岐流路532とを含む。
第4ヘッダ流路54は、第1ヘッダ部31内で第2延在方向D2に延在する共通流路541と、共通流路541と複数の第2流路22とを接続する複数の分岐流路542とを含む。
【0023】
すなわち、幾つかの実施形態において、第2延在方向D2は、コア本体部2における互いに直交する3つの軸のうちの一つが延在する方向であり、ヘッダ流路5のうち、共通流路511、521、531、541が延在する方向である。第2延在方向D2は、第2方向D2とも称する。
なお、幾つかの実施形態において、コア本体部2における互いに直交する3つの軸のうち、第1延在方向D1に沿って延在する軸及び第2延在方向D2に沿って延在する軸以外の軸が延在する方向を第3延在方向D3又は第3方向D3と称する。
幾つかの実施形態では、各分岐流路512、522、532、542は、第3延在方向D3に沿って延在する。
【0024】
なお、第1ヘッダ部31における第1ヘッダ流路51の共通流路511、及び、第4ヘッダ流路54の共通流路541のことを第1共通流路151とも称する。第1ヘッダ部31における第1ヘッダ流路51の分岐流路512、及び、第4ヘッダ流路54の分岐流路542のことを第1分岐流路152とも称する。
また、第2ヘッダ部における第2ヘッダ流路52の共通流路521、及び、第3ヘッダ流路53の共通流路531のことを第2共通流路251とも称する。第2ヘッダ部における第2ヘッダ流路52の分岐流路522、及び、第3ヘッダ流路53の分岐流路532のことを第2分岐流路252とも称する。
【0025】
図7に示されるように、区画壁24,25のそれぞれの端部24a,25aは、隔壁23の端部23aよりもコア本体部2の長手方向の他端側(図7では下方側)に位置している。このため、端面2aの近傍では、各第1流路21及び各第2流路22は区画壁24,25によって複数の分割流路21a及び分割流路22aに区画されておらず、各分割流路21a及び分割流路22aに連通する分岐流路512及び分岐流路542が構成されている。
【0026】
図4に示されるように、各分岐流路512は第1ヘッダ流路51の共通流路511に連通し、各分岐流路542は第4ヘッダ流路54の共通流路541に連通している。各分岐流路542は、第1ヘッダ流路51側の端部で、第2流路22を画定する隣り合う2つの隔壁23,23のそれぞれに接続された壁23bによって封止されることにより、第1ヘッダ流路51の共通流路511に連通しないようになっている。各分岐流路512は、第4ヘッダ流路54側の端部で、第1流路21を画定する隣り合う2つの隔壁23,23のそれぞれに接続された壁23cによって封止されることにより、第4ヘッダ流路54の共通流路541に連通しないようになっている。
【0027】
上述した第1ヘッダ流路51と第1流路21とが連通する構成及び第4ヘッダ流路54と第2流路22とが連通する構成と同様に、コア本体部2の長手方向の他端側において、第2ヘッダ流路52と第1流路21とが連通するとともに第3ヘッダ流路53と第2流路22とが連通しているので、詳細な説明は省略する。
【0028】
コア本体部2の長手方向の一端側が上述した図4の構成の場合、蓋部材3aをコア本体部2の端面2aに取付ける際に、第1流路21及び第2流路22間のシールを形成する必要がある。蓋部材3aを取外し可能にコア本体部2の端面2aに取付ける場合には、例えば、ゴム製の板や液状ガスケット等のシール部材を蓋部材3aと端面2aとの間に挟み込んで、蓋部材3aをコア本体部2に対してボルトで締結することで、上記シールの形成が可能である。また、蓋部材3aを不可逆的にコア本体部2の端面2aに取付ける場合には、例えば、蓋部材3aを端面2aに載置した状態で、蓋部材3aの外表面側から、隔壁23の端部23a(図7参照)及び壁23b,23cそれぞれの端部に沿ってレーザー照射することにより、蓋部材3aの裏面と隔壁23の端部23a及び壁23b,23cそれぞれの端部とが接合されて、上記シールの形成が可能である。その他に、蓋部材3aとコア本体部2の端面2aとの接合位置にろう材を塗布し、蓋部材3aを端面2aに載置した状態で炉中ろう付けをしたり、蓋部材3aとコア本体部2の端面2aとを接着剤で接着すること等によっても上記シールの形成は可能である。
【0029】
<本開示の実施形態1に係る熱交換コアにおける熱交換動作>
次に、熱交換コア1において第1流体と第2流体とが熱交換される熱交換動作について説明する。図1に示されるように、第1流体が第1ヘッダ流路51に供給されるとともに第2流体が第3ヘッダ流路53に供給される。図4に示されるように、コア本体部2の長手方向の一端側では、第1ヘッダ流路51の共通流路511に供給された第1流体は、複数の分岐流路512を介して、各第1流路21の各分割流路21aに流入する。一方、コア本体部2の長手方向の他端側では、第3ヘッダ流路53の共通流路531に供給された第2流体は、複数の分岐流路532を介して、各第2流路22の各分割流路22aに流入する。第1流路21を流通する第1流体と第2流路22を流通する第2流体とは、隔壁23を介して熱交換される。尚、熱交換コア1が図1の構成を有する場合、第1流体及び第2流体それぞれの流れる方向は、コア本体部2の長手方向において逆方向である。ただし、第1流体及び第2流体はこのような対向流で流れることに限定するものではなく、並流で流れてもよい。
【0030】
第1流路21及び第2流路22にリブ26が設けられている場合には、第1流体及び第2流体がリブ26に衝突したりリブ26を迂回するように流れたりして第1流体及び第2流体の流れが乱されることにより、熱交換の阻害要因となる境界層の破壊が行われる。これにより、第1流体及び第2流体間の熱交換効率が向上する。また、リブ26が一対の隔壁23,23の両方に接続する場合、隔壁23の変形のおそれ、すなわち流路の狭窄のおそれを低減することもできる。
【0031】
コア本体部2の長手方向の一端側では、第2流体が第2流路22を流通して第1流体と熱交換した後、各第2流路22を流通した第2流体は、複数の分岐流路542を介して第4ヘッダ流路54の共通流路541に流入して集められ、熱交換コア1から流出する。一方、コア本体部2の長手方向の他端側では、第1流体が第1流路21を流通して第2流体と熱交換した後、各第1流路21を流通した第1流体は、複数の分岐流路522を介して第2ヘッダ流路52の共通流路521に流入して集められ、熱交換コア1から流出する。
【0032】
<熱交換コアの軽量化について>
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、その構成の複雑さから、プレートの積層や鋳造等では製造が難しい。このため、熱交換コア1は、原材料としての金属粉末を積層造形することにより製造することが好ましい。この場合、熱交換コア1は、金属粉末の積層造形体である。熱交換コア1の積層造形に用いられる金属粉末は特に限定しないが、ステンレスやチタン等の粉末を用いることができる。尚、蓋部材3aは、その構成が熱交換コア1のコア本体部2やヘッダ部30ほど複雑ではないので鋳造等で製造してもよく、コア本体部2やヘッダ部30と同様に金属粉末を積層造形することにより製造してもよい。また、コア本体部2やヘッダ部30とともに積層造形によって一体的に形成してもよい。
【0033】
しかし、熱交換コア1の全体的な形状を単純な柱形状等とすると、熱交換コア1の強度や熱交換効率等に寄与しない余剰となる領域が発生し、熱交換コア1の重量の増加や製造コストの増加を招いてしまう。
そこで、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、例えば以下のようにして軽量化を図っている。
【0034】
図8は、幾つかの実施形態のうちの一実施形態に係る熱交換コア1を図1の破線L2に沿って切断した切断面の一部を拡大した図である。
図9は、幾つかの実施形態のうちの他の実施形態に係る熱交換コア1を図1の破線L2に沿って切断した切断面の一部を拡大した図である。
図10は、幾つかの実施形態のうちのさらに他の実施形態に係る熱交換コア1を図1の破線L2に沿って切断した切断面の一部を拡大した図である。
【0035】
図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、ヘッダ流路5は、複数の流路4の第1延在方向D1から視た平面視にて複数の流路4の配置エリア7から外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置する。コア本体部2は、平面視においてヘッダ流路5のうち配置エリア7から最も外側に離れた部位8(図8乃至図10参照)よりも配置エリア7寄りにおいて、第1延在方向D1に沿って延在する本体部側面9を有する。
なお、図4では、幾つかの実施形態に係る配置エリア7は、例えば2点鎖線の矩形で囲んだ範囲となる。また、上記部位8は、例えば図8乃至図10において破線で囲んだ領域内に存在する。
【0036】
すなわち、図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、コア本体部2において第3延在方向D3に沿って離間している2つの側面203は、少なくとも一部が上記部位8よりも第3延在方向D3に沿ってコア本体部2の内側に存在している。
例えば、図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1を単純な柱形状等とすると、コア本体部2において第3延在方向D3に沿って離間している2つの仮想的な側面203Aは、図8乃至図10において2点鎖線で示したような形状となる。そのため、熱交換コア1の強度や熱交換効率等に寄与しない余剰となる領域(余剰領域)が発生し、熱交換コア1の重量の増加や製造コストの増加を招いてしまう。なお、図8乃至図10において、余剰領域250は、例えば、実線で描いた側面203と、2点鎖線で描いた仮想的な側面203Aとの間の領域となる。
【0037】
すなわち、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、上記平面視において配置エリア7から最も外側に離れた部位8よりも本体部側面9が配置エリア7寄りに位置するので、コア本体部2において、本体部側面9と配置エリア7との距離を抑制できる。これにより、本体部側面9と配置エリア7との間に存在する部位の肉厚を抑制でき、コア本体部2を軽量化できる。
また、本体部側面9と配置エリア7との間に存在する部位の肉厚を抑制できるので、熱交換コアの製造コスト及び製造時間を抑制できる。なお、熱交換コアを積層造形によって形成する場合、熱交換コアの製造コスト及び製造時間の抑制効果は、より顕著となる。
【0038】
図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、ヘッダ流路5は、ヘッダ部30内で第1延在方向D1と交差する第2延在方向D2に延在する共通流路511、521、531、541と、共通流路511、521、531、541と複数の流路4とを接続する複数の分岐流路512、522、532、542とを含む。本体部側面9は、平面視において、ヘッダ部30内における共通流路511、521、531、541の一方端5a又は他方端5bの少なくとも何れか一方まで第2延在方向D2に沿って延在しているとよい。例えば、図1に示した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、本体部側面9は、平面視において、ヘッダ部30内における共通流路511、521、531、541の一方端5aから他方端5bまで第2延在方向D2に沿って延在している。
【0039】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1において、本体部側面9がヘッダ部30内における共通流路511、521、531、541の一方端5a又は他方端5bの少なくとも何れか一方まで第2延在方向D2に沿って延在するように熱交換コア1を構成することで、コア本体部2において、本体部側面9と配置エリア7との距離を抑制できる範囲をより大きくできる。これにより、コア本体部2を一層軽量化できるとともに、熱交換コア1の製造コスト及び製造時間を一層抑制できる。
【0040】
なお、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、共通流路511、521、531、541の一方端5aは、ヘッダ部30において第2延在方向D2に沿って離間している2つの側面302(図1参照)の一方における開口端である。幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、共通流路511、521、531、541の他方端5bは、ヘッダ部30において第2延在方向D2に沿って離間している2つの側面302の他方における閉止端である。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、本体部側面9は、平面視において、上記2つの側面302(図1参照)の少なくとも何れか一方まで第2延在方向D2に沿って延在していてもよい。
【0041】
図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、ヘッダ部30は、第1延在方向D1に沿って熱交換コア1の端部に位置してヘッダ流路5を覆うヘッダ蓋部35を含む。なお、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、蓋部材3aであってもよい。
図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、ヘッダ蓋部35は、共通流路511、521、531、541を覆う第1領域351と、複数の分岐流路512、522、532、542を覆う第2領域352とを含む。第2領域352の少なくとも一部は、第1領域351に対して第1延在方向D1に沿ってコア本体部2側に向かって凹んでいる。
これにより、第2領域352がコア本体部2側に向かって凹んでいない場合と比べてヘッダ蓋部35を軽量化できる。これにより、熱交換コア1を軽量化できるとともに、熱交換コア1の製造コスト及び製造時間を一層抑制できる。
【0042】
図9に示す熱交換コア1では、熱交換コア1の外表面101のうち、第1領域351及び第1領域351と本体部側面9との間の領域の少なくとも一部における外表面101は、熱交換コア1の外側に向かって凸となる曲面102を含む。
すなわち、図9に示す熱交換コア1では、共通流路511、521を形成する流路壁部56における外周部56aの少なくとも一部が、例えば第2延在方向D2から見たときに曲率中心が共通流路511、521内に存在するような円弧形状を有していてもよい。
熱交換コア1が上記曲面102を含むことで、上記曲面102の曲率中心が存在する領域とは上記曲面102に対して反対側の領域において、熱交換コア1を構成する肉の部分が存在しないので、熱交換コア1を軽量化できるとともに、熱交換コア1の製造コスト及び製造時間を抑制できる。
【0043】
図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、ヘッダ部30の外表面110と、本体部側面9とを接続する接続領域120を備えている。すなわち、図8乃至図10に示す幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1ヘッダ部31の外表面111と、本体部側面9とを接続する第1接続領域121と、第2ヘッダ部32の外表面112と、本体部側面9とを接続する第2接続領域122とを備える。
【0044】
図10に示す熱交換コア1では、第1延在方向D1に対する第1接続領域121の延在方向の傾斜角度θ1は、25度以上60度以下である。
上述したように、熱交換コア1では、平面視においてヘッダ流路5が複数の流路4の配置エリア7から外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置する。
そのため、例えば、熱交換コア1を積層造形によって第2ヘッダ部32から第1ヘッダ部31に向かって積層して形成する場合、第1ヘッダ部31は本体部側面9よりも第1延在方向D1と直交する方向(第3延在方向D3)に向かって外側に突出するオーバーハング領域Ohを含むこととなる。
図10に示す熱交換コア1によれば、第1ヘッダ部31のオーバーハング領域Ohを下方から第1接続領域121で支えることができる。これにより、第1接続領域121が上記オーバーハング領域Ohの積層造形時のサポートを兼ねるので、該サポートの除去工程をなくすことができる。
ここで、上記傾斜角度θ1が25度未満であると、第1延在方向D1に沿った第1接続領域121の大きさが大きくなり、熱交換コア1における不必要な重量増を招くおそれがある。そのため、上記傾斜角度θ1は、25度以上であることが望ましい。
また、上記傾斜角度θ1が60度を超えると、第1接続領域121のオーバーハング角度が大きくなり過ぎて、所望の形状に造形できなくなるおそれがある。そのため、上記傾斜角度θ1は、60度以下であることが望ましい。
したがって、図10に示す熱交換コア1によれば、上記傾斜角度θ1が望ましい角度となる。
【0045】
なお、図10に示した熱交換コア1において、第2接続領域122の形状を第1接続領域121の形状と同様にしてもよい。すなわち、図10に示した熱交換コア1において、第1延在方向D1に対する第2接続領域122の延在方向の傾斜角度θ2は、25度以上60度以下であってもよい。
【0046】
なお、図10に示す熱交換コア1では、第1延在方向D1に対する第2接続領域122の延在方向の傾斜角度θ2は、85度以上95度以下であるとさらによい。
例えば、熱交換コア1を積層造形によって第2ヘッダ部32から第1ヘッダ部31に向かって積層して形成する場合、第2ヘッダ部32の上方に位置することとなるコア本体部2は、本体部側面9が第2ヘッダ部32よりも第1延在方向D1と直交する第3延在方向D3に向かって内側に向かって凹んでいる。そのため、第2ヘッダ部32の上方にコア本体部2を形成する際にオーバーハング領域Ohが生じない。
したがって、例えば、第2接続領域122についての上記傾斜角度θ2が90度よりも小さくなるほど、第1延在方向D1に沿った第2接続領域122の大きさが大きくなるので、上記傾斜角度θ2が例えば85度未満であると、熱交換コア1における不必要な重量増を招くおそれがある。そのため、該傾斜角度θ2は、85度以上であることが望ましい。
また、例えば、該傾斜角度θ2が95度を超えると、第2接続領域122と本体部側面9との接続位置における形状変化が大きくなって、応力集中を招くおそれがある。そのため、該傾斜角度θ2は、95度以下であることが望ましい。
したがって、図10に示す熱交換コア1によれば、該傾斜角度θ2が望ましい角度となる。
【0047】
図11は、幾つかの実施形態のうちのさらに他の実施形態に係る熱交換コア1の一部についての斜視図である。図11に示す熱交換コア1では、ヘッダ部30は、共通流路511、521、531、541と連通する流路60aを有し、第2延在方向D2に沿ってヘッダ部30から突出する突出管60を含んでいてもよい。突出管60の側部60bとコア本体部2とを接続し、側部60bを第1延在方向D1に沿ってコア本体部2側から支持する支持部70をさらに備えていてもよい。支持部70は、突出管60の先端60c側から基端60d側に向かうにつれて第1延在方向D1に沿った側部60bからの距離H1が大きくなるように形成された傾斜面71を有するように形成されているとよい。
すなわち、図11に示す熱交換コア1は、第1ヘッダ部31において、第1共通流路151と連通する流路60aを有し、第2延在方向D2に沿って第1ヘッダ部31から突出する第1突出管61と、第2ヘッダ部32において、第2共通流路251と連通する流路60aを有し、第2延在方向D2に沿って第2ヘッダ部32から突出する第2突出管62とを含んでいてもよい。
支持部70は、第1突出管61及び第2突出管62に設けられていてもよく、第1突出管61又は第2突出管62の何れか一方だけに設けられていてもよい。
【0048】
例えば、熱交換コア1を積層造形によって第1延在方向D1に沿って積層して形成する場合、第1突出管61及び第2突出管62は第2延在方向D2に沿って第1ヘッダ部31及び第2ヘッダ部32から突出するオーバーハング領域となる。
したがって、支持部70を第1突出管61又は第2突出管62の少なくとも何れか一方に設ければ、オーバーハング領域となる第1突出管61又は第2突出管62の少なくとも、何れか一方を下方から支持部70で支えることができる。
例えば、支持部70が第1突出管61だけに設けられている場合、例えば、熱交換コア1を積層造形によって第2ヘッダ部32から第1ヘッダ部31に向かって積層して形成すれば、積層造形時において第2突出管62は熱交換コア1の下部の領域に位置することとなる。したがって、支持部70が第2突出管62に対して設けられていなくても、第2突出管62を造形する際のサポートが不要となるか、必要となる場合であっても、積層造形装置の造形台からの距離が短いため、サポートの積層方向の長さが短くて済む。そのため、該サポートの造形に要する時間が短時間で済むとともに、該サポートの除去工程における所要時間も短時間で済む。
同様に、例えば、支持部70が第2突出管62だけに設けられている場合、例えば、熱交換コア1を積層造形によって第1ヘッダ部31から第2ヘッダ部32に向かって積層して形成すれば、積層造形時において第1突出管61は熱交換コア1の下部の領域に位置することとなる。したがって、支持部70が第1突出管61に対して設けられていなくても、第1突出管61を造形する際のサポートが不要となるか、必要となる場合であっても、積層造形装置の造形台からの距離が短いため、サポートの積層方向の長さが短くて済む。そのため、該サポートの造形に要する時間が短時間で済むとともに、該サポートの除去工程における所要時間も短時間で済む。
【0049】
<熱交換器について>
図12は、一実施形態に係る熱交換器10の概略の構成を示す模式的な分解図である。一実施形態に係る熱交換器10は、上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の少なくとも1つと、該少なくとも1つの熱交換コア1が取り付けられる筐体11とを備える。
筐体11には、熱交換コア1が挿入される挿入空間12が形成されている。図12では挿入空間12の個数は6つであるが、1つの挿入空間12のみが形成されてもよいし、6つに限定せずに任意の複数の個数の挿入空間12が形成されてもよい。筐体11に複数の挿入空間12が形成されている場合には、各挿入空間12のレイアウトは任意に設計可能である。
これにより、少なくとも1つの熱交換コア1を含む熱交換器10を提供できる。なお、この熱交換器10が2つ以上の熱交換コア1を含むのであれば、熱交換器10の能力を熱交換コア1の数だけ増やすことができる。
【0050】
図13は、他の実施形態に係る熱交換器10の概略の構造を示す模式的な断面図である。
図13に示す熱交換器10は、図11に示す熱交換コア1の少なくとも1つと、該少なくとも1つの熱交換コア1が取り付けられる筐体11とを備える。該筐体11は、図11に示す熱交換コア1が取り付けられると支持部70が嵌合される嵌合凹部14を有する。
なお、図13に示す熱交換器10では、筐体11は、図11に示す熱交換コア1が取り付けられると突出管60が嵌合される凹部13を有する。
これにより、図11に示す熱交換コア1を少なくとも1つ含む熱交換器10を提供できる。なお、この熱交換器10が2つ以上の熱交換コア1を含むのであれば、熱交換器10の能力を熱交換コア1の数だけ増やすことができる。
また、図13に示す熱交換器10では、熱交換コア1の支持部70と筐体11の嵌合凹部14とを嵌合させることで筐体11に対する熱交換コア1の取り付け位置の微調整が容易となる。
さらに、図13に示す熱交換器10では、例えば、図13において熱交換コア1の姿勢が上下で反転した場合のように、筐体11に対する熱交換コア1の取り付け向き等を誤った状態で熱交換コア1を筐体11に取り付けようとしても、熱交換コア1の支持部70と筐体11の嵌合凹部14とが嵌合できないようにすることも可能である。そのため、取り付け向き等が誤った状態で熱交換コア1が筐体11に取り付けられる可能性を低減できる。
【0051】
<熱交換器のメンテナンス方法について>
図14は、熱交換器の一実施形態に係るメンテナンス方法における処理手順を示すフローチャートである。
図15は、一実施形態に係るメンテナンス方法において用いる治具80の模式的な斜視図である。
【0052】
一実施形態に係るメンテナンス方法は、熱交換コア1を治具80で保持する熱交換コア保持工程S101と、治具80で保持した熱交換コア1を治具80とともに筐体11における熱交換コア1の装着部(挿入空間12)に挿入する挿入工程S102と、挿入空間12に挿入された熱交換コア1を挿入空間12に残して挿入空間12から治具80を抜き出す治具抜き出し工程S103と、を備える。
熱交換コア保持工程S101は、本体部側面9を治具80で側方から支持しながら熱交換コア1を保持する。
【0053】
すなわち、一実施形態に係るメンテナンス方法では、筐体11に対する熱交換コア1の着脱に、図15に示す治具80を用いる。
図15に示す治具80は、第1ヘッダ部31を上に向け、第2ヘッダ部32を下に向けた姿勢とされた熱交換コア1を第2ヘッダ部32の下方から支持可能な第1腕部81と、一対の本体部側面9を側方から支持可能な一対の第2腕部82と、第1腕部81及び第2腕部82が取り付けられた本体部83とを有する。
【0054】
また、図15に示す治具80は、本体部83の上部に昇降装置等のフックが取り付け可能なハンガー部84が設けられている。図15に示す治具80は、本体部83において第1腕部81及び第2腕部82が取り付けられている面とは反対側の面に、ハンドル部85が設けられている。
【0055】
熱交換コア保持工程S101では、作業者が図15に示す治具80の第1腕部81及び第2腕部82を熱交換コア1に対して第2延在方向D2から装着することで、第1腕部81で熱交換コア1を第2ヘッダ部32の下方から支持でき、一対の第2腕部82で一対の本体部側面9を側方から支持できる。
熱交換コア保持工程S101では、ハンガー部84に不図示の昇降装置のフックを装着し、不図示の昇降装置で治具80を昇降させることで、熱交換コア1を第1腕部81及び第2腕部82で支持しながら第1延在方向D1に沿って昇降させることができる。
熱交換コア保持工程S101では、例えば、治具80を用いて不図示の昇降装置で熱交換コア1を持ち上げたまま、作業者がハンドル部85を把持しながら押し引きすれば、第2延在方向D2や第3延在方向D3に沿って熱交換コア1を移動させることができる。
【0056】
挿入工程S102では、作業者は、上述のようにして治具80で保持している熱交換コア1を治具80とともに筐体11の挿入空間12に挿入することができる。
挿入工程S102において熱交換コア1を筐体11の挿入空間12に挿入した後、治具抜き出し工程S103において、作業者は、挿入空間12に挿入された熱交換コア1を挿入空間12に残して挿入空間12から治具80を抜き出すことができる。
なお、挿入空間12に挿入された熱交換コア1を挿入空間12から取り出す場合、上述した手順とは逆の手順を経ることで、熱交換コア1を挿入空間12から取り出すことができる。
【0057】
上述したメンテナンス方法によれば、治具80で保持した熱交換コア1を治具80とともに筐体11の挿入空間12に挿入できるので、熱交換コア1の挿入空間12への挿入作業が容易となる。また、上述したメンテナンス方法によれば、挿入空間12に挿入された熱交換コア1を挿入空間12に残して挿入空間12から治具80を抜き出すことができるので、治具80の取り外し作業が容易となる。
【0058】
<熱交換コアの製造方法について>
以下、上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の製造方法の一例について説明する。
図16は、上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の製造方法における処理手順を示したフローチャートである。
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の製造方法は、積層造型によって、複数の流路4を形成する複数の空洞部40を内部に有するコア本体部2を形成するコア本体部形成工程S1と、積層造型によって、コア本体部2の少なくとも一方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含むヘッダ部30を形成するヘッダ部形成工程S2と、を備える。
ヘッダ部形成工程S2は、複数の流路4の第1延在方向D1から視た平面視にて複数の流路4の配置エリア7から外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置するようにヘッダ流路5を形成する。
コア本体部形成工程S1は、平面視においてヘッダ流路5のうち配置エリア7から最も外側に離れた部位8よりも配置エリア7寄りにおいて、第1延在方向D1に沿って延在する本体部側面9を有するようにコア本体部2を形成する。
【0059】
これにより、積層造形により、コア本体部2とヘッダ部30とを一体に形成できる。
【0060】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0061】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換コア1は、複数の流路4を形成する複数の空洞部40を内部に有するコア本体部2と、コア本体部2の少なくとも一方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含むヘッダ部30とを備える。ヘッダ流路5は、複数の流路4の第1延在方向D1から視た平面視にて複数の流路4の配置エリア7から外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置する。コア本体部2は、平面視においてヘッダ流路5のうち配置エリア7から最も外側に離れた部位8よりも配置エリア7寄りにおいて、第1延在方向D1に沿って延在する本体部側面9を有する。
【0062】
上記(1)の構成によれば、上記平面視において配置エリア7から最も外側に離れた部位8よりも本体部側面9が配置エリア7寄りに位置するので、コア本体部2において、本体部側面9と配置エリア7との距離を抑制できる。これにより、本体部側面9と配置エリア7との間に存在する部位の肉厚を抑制でき、コア本体部2を軽量化できる。
また、本体部側面9と配置エリア7との間に存在する部位の肉厚を抑制できるので、熱交換コアの製造コスト及び製造時間を抑制できる。なお、熱交換コアを積層造形によって形成する場合、熱交換コアの製造コスト及び製造時間の抑制効果は、より顕著となる。
【0063】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、ヘッダ流路5は、ヘッダ部30内で第1延在方向D1と交差する第2延在方向D2に延在する共通流路511、521、531、541と、共通流路511、521、531、541と複数の流路4とを接続する複数の分岐流路512、522、532、542とを含む。本体部側面9は、平面視において、ヘッダ部30内における共通流路511、521、531、541の一方端又は他方端の少なくとも何れか一方まで第2延在方向D2に沿って延在する。
【0064】
上記(2)の構成によれば、本体部側面9がヘッダ部30内における共通流路511、521、531、541の一方端5a又は他方端5bの少なくとも何れか一方まで第2延在方向D2に沿って延在するように熱交換コア1を構成することで、コア本体部2において、本体部側面9と配置エリア7との距離を抑制できる範囲をより大きくできる。これにより、コア本体部2を一層軽量化できるとともに、熱交換コア1の製造コスト及び製造時間を一層抑制できる。
【0065】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、ヘッダ部30は、第1延在方向D1に沿って熱交換コア1の端部に位置してヘッダ流路5を覆うヘッダ蓋部35を含む。ヘッダ蓋部35は、共通流路511、521、531、541を覆う第1領域351と、複数の分岐流路512、522、532、542を覆う第2領域352とを含む。第2領域352の少なくとも一部は、第1領域351に対して第1延在方向D1に沿ってコア本体部2側に向かって凹んでいる。
【0066】
上記(3)の構成によれば、第2領域352がコア本体部2側に向かって凹んでいない場合と比べてヘッダ蓋部35を軽量化できる。これにより、熱交換コア1を軽量化できるとともに、熱交換コア1の製造コスト及び製造時間を一層抑制できる。
【0067】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、ヘッダ部30は、第1延在方向D1に沿って熱交換コア1の端部に位置してヘッダ流路5を覆うヘッダ蓋部35を含む。ヘッダ蓋部35は、共通流路511、521、531、541を覆う第1領域351を含む。熱交換コア1の外表面101のうち、第1領域351及び第1領域351と本体部側面9との間の領域の少なくとも一部における外表面101は、熱交換コア1の外側に向かって凸となる曲面102を含む。
【0068】
上記(4)の構成によれば、熱交換コア1が上記曲面102を含むことで、上記曲面102の曲率中心が存在する領域とは上記曲面102に対して反対側の領域において、熱交換コア1を構成する肉の部分が存在しないので、熱交換コア1を軽量化できるとともに、熱交換コア1の製造コスト及び製造時間を抑制できる。
【0069】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、熱交換コア1は、ヘッダ部30の外表面110と、本体部側面9とを接続する接続領域120をさらに備える。第1延在方向D1に対する接続領域120の延在方向の傾斜角度は、25度以上60度以下である。
【0070】
上述したように、熱交換コア1では、平面視においてヘッダ流路5が複数の流路4の配置エリア7から外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置する。
そのため、例えば、熱交換コア1を積層造形によってコア本体部2からヘッダ部30に向かって積層して形成する場合、ヘッダ部30は本体部側面9よりも第1延在方向D1と直交する方向に向かって外側に突出するオーバーハング領域Ohを含むこととなる。
上記(5)の構成によれば、ヘッダ部30のオーバーハング領域Ohを下方から上記接続領域120で支えることができる。これにより、上記接続領域120が上記オーバーハング領域Ohの積層造形時のサポートを兼ねるので、該サポートの除去工程をなくすことができる。
ここで、上記傾斜角度が25度未満であると、第1延在方向D1に沿った接続領域120の大きさが大きくなり、熱交換コア1における不必要な重量増を招くおそれがある。そのため、上記傾斜角度は、25度以上であることが望ましい。
また、上記傾斜角度が60度を超えると、接続領域120のオーバーハング角度が大きくなり過ぎて、所望の形状に造形できなくなるおそれがある。そのため、上記傾斜角度は、60度以下であることが望ましい。
したがって、上記(5)の構成によれば、上記傾斜角度が望ましい角度となる。
【0071】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、ヘッダ部30は、コア本体部2の一方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含む第1ヘッダ部31と、コア本体部2の他方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含む第2ヘッダ部32と、を含む。熱交換コア1は、第1ヘッダ部31の外表面111と、本体部側面9とを接続する第1接続領域121と、第2ヘッダ部32の外表面112と、本体部側面9とを接続する第2接続領域122とをさらに備える。第1延在方向D1に対する第1接続領域121の延在方向の傾斜角度θ1は、25度以上60度以下であり、第1延在方向D1に対する第2接続領域122の延在方向の傾斜角度θ2は、85度以上95度以下である。
【0072】
上述したように、熱交換コア1では、平面視においてヘッダ流路5が複数の流路4の配置エリアから外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置する。
そのため、例えば、熱交換コア1を積層造形によって第2ヘッダ部32から第1ヘッダ部31に向かって積層して形成する場合、第1ヘッダ部31は本体部側面9よりも第1延在方向D1と直交する方向に向かって外側に突出するオーバーハング領域Ohを含むこととなる。
上記(6)の構成によれば、第1ヘッダ部31のオーバーハング領域Ohを下方から第1接続領域121で支えることができる。これにより、第1接続領域121が上記オーバーハング領域Ohの積層造形時のサポートを兼ねるので、該サポートの除去工程をなくすことができる。
ここで、第1接続領域121についての上記傾斜角度θ1が25度未満であると、第1延在方向D1に沿った第1接続領域121の大きさが大きくなり、熱交換コア1における不必要な重量増を招くおそれがある。そのため、該傾斜角度θ1は、25度以上であることが望ましい。
また、該傾斜角度θ1が60度を超えると、第1接続領域121のオーバーハング角度が大きくなり過ぎて、所望の形状に造形できなくなるおそれがある。そのため、該傾斜角度θ1は、60度以下であることが望ましい。
したがって、上記構成によれば、該傾斜角度が望ましい角度となる。
【0073】
一方、第2ヘッダ部32の上方に位置することとなるコア本体部2は、本体部側面9が第2ヘッダ部32よりも第1延在方向D1と直交する方向に向かって内側に向かって凹んでいる。そのため、第2ヘッダ部32の上方にコア本体部2を形成する際にオーバーハング領域が生じない。
したがって、例えば、第2接続領域122についての上記傾斜角度θ2が85度未満であると、熱交換コア1における不必要な重量増を招くおそれがある。そのため、該傾斜角度θ2は、85度以上であることが望ましい。
また、例えば、該傾斜角度θ2が95度を超えると、第2接続領域122と本体部側面9との接続位置における形状変化が大きくなって、応力集中を招くおそれがある。そのため、該傾斜角度θ2は、95度以下であることが望ましい。
したがって、上記構成によれば、該傾斜角度θ2が望ましい角度となる。
【0074】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、ヘッダ流路5は、ヘッダ部30内で第1延在方向D1と交差する第2延在方向D2に延在する共通流路511、521、531、541と、共通流路511、521、531、541と複数の流路4とを接続する複数の分岐流路512、522、532、542とを含む。ヘッダ部30は、共通流路511、521、531、541と連通する流路60aを有し、第2延在方向D2に沿ってヘッダ部30から突出する突出管60を含む。突出管60の側部60bとコア本体部2とを接続し、側部60bを第1延在方向D1に沿ってコア本体部2側から支持する支持部70をさらに備える。支持部70は、突出管60の先端60c側から基端60d側に向かうにつれて第1延在方向D1に沿った側部60bからの距離H1が大きくなるように形成された傾斜面71を有するように形成されている。
【0075】
例えば、熱交換コア1を積層造形によってコア本体部2からヘッダ部30に向かって積層して形成する場合、突出管60は第2延在方向D2に沿ってヘッダ部30から突出するオーバーハング領域となる。
上記(7)の構成によれば、オーバーハング領域となる突出管60を下方から上記支持部70で支えることができる。
【0076】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、第1延在方向D1に対する傾斜面71の延在方向の傾斜角度は、25度以上60度以下である。
【0077】
上記(8)の構成によれば、熱交換コア1が上記支持部70を含むので、上述したように、オーバーハング領域となる突出管60を下方から上記支持部70で支えることができる。
ここで、上記傾斜角度が25度未満であると、第1延在方向D1に沿った支持部70の大きさが大きくなり、熱交換コア1における不必要な重量増を招くおそれがある。そのため、上記傾斜角度は、25度以上であることが望ましい。
また、上記傾斜角度が60度を超えると、支持部70のオーバーハング角度が大きくなり過ぎて、所望の形状に造形できなくなるおそれがある。そのため、上記傾斜角度は、60度以下であることが望ましい。
したがって、上記(8)の構成によれば、上記傾斜角度が望ましい角度となる。
【0078】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)又は(8)の構成において、ヘッダ部30は、コア本体部2の一方の端部側にて複数の流路4と連通する第1ヘッダ流路51を含む第1ヘッダ部31と、コア本体部2の他方の端部側にて複数の流路4と連通する第2ヘッダ流路52を含む第2ヘッダ部32と、を含む。第1ヘッダ流路51は、第1ヘッダ部31内で第1延在方向D1と交差する第2延在方向D2に延在する第1共通流路151と、第1共通流路151と複数の流路4とを接続する複数の第1分岐流路152とを含む。第2ヘッダ流路52は、第2ヘッダ部32内で第2延在方向D2に延在する第2共通流路251と、第2共通流路251と複数の流路4とを接続する複数の第2分岐流路252とを含む。突出管60は、第1ヘッダ部31において、第1共通流路151と連通する流路60aを有し、第2延在方向D2に沿って第1ヘッダ部31から突出する第1突出管61と、第2ヘッダ部32において、第2共通流路251と連通する流路60aを有し、第2延在方向D2に沿って第2ヘッダ部32から突出する第2突出管62とを含む。支持部70は、第1突出管61、又は、第2突出管62の何れか一方だけに設けられている。
【0079】
例えば、熱交換コア1を積層造形によって第1延在方向D1に沿って積層して形成する場合、第1突出管61及び第2突出管62は第2延在方向D2に沿って第1ヘッダ部31及び第2ヘッダ部32から突出するオーバーハング領域となる。
上記(9)の構成によれば、オーバーハング領域となる第1突出管61及び第2突出管62のうち、何れか一方を下方から上記支持部70で支えることができる。
例えば、支持部70が第1突出管61だけに設けられている場合、例えば、熱交換コア1を積層造形によって第2ヘッダ部32から第1ヘッダ部31に向かって積層して形成すれば、積層造形時において第2突出管62は熱交換コア1の下部の領域に位置することとなる。したがって、支持部70が第2突出管62に対して設けられていなくても、第2突出管62を造形する際のサポートが不要となるか、必要となる場合であっても、積層造形装置の造形台からの距離が短いため、サポートの積層方向の長さが短くて済む。そのため、該サポートの造形に要する時間が短時間で済むとともに、該サポートの除去工程における所要時間も短時間で済む。
同様に、例えば、支持部70が第2突出管62だけに設けられている場合、例えば、熱交換コア1を積層造形によって第1ヘッダ部31から第2ヘッダ部32に向かって積層して形成すれば、積層造形時において第1突出管61は熱交換コア1の下部の領域に位置することとなる。したがって、支持部70が第1突出管61に対して設けられていなくても、第1突出管61を造形する際のサポートが不要となるか、必要となる場合であっても、積層造形装置の造形台からの距離が短いため、サポートの積層方向の長さが短くて済む。そのため、該サポートの造形に要する時間が短時間で済むとともに、該サポートの除去工程における所要時間も短時間で済む。
【0080】
(10)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器10は、上記(1)乃至(9)の何れかの構成の熱交換コア1の少なくとも1つと、少なくとも1つの熱交換コア1が取り付けられる筐体11とを備える。
【0081】
上記(10)の構成によれば、少なくとも1つの熱交換コア1を含む熱交換器10を提供できる。なお、この熱交換器10が2つ以上の熱交換コア1を含むのであれば、熱交換器10の能力を熱交換コア1の数だけ増やすことができる。
【0082】
(11)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器は、上記(7)乃至(9)の何れかの構成の熱交換コア1の少なくとも1つと、少なくとも1つの熱交換コア1が取り付けられる筐体11とを備える。筐体11は、少なくとも1つの熱交換コア1が取り付けられると支持部70が嵌合される嵌合凹部14を有する。
【0083】
上記(11)の構成によれば、少なくとも1つの熱交換コア1を含む熱交換器10を提供できる。なお、この熱交換器10が2つ以上の熱交換コア1を含むのであれば、熱交換器10の能力を熱交換コア1の数だけ増やすことができる。
また、上記(11)の構成によれば、熱交換コア1の支持部70と筐体11の嵌合凹部14とを嵌合させることで筐体11に対する熱交換コア1の取り付け位置の微調整が容易となる。
さらに、上記(11)の構成によれば、筐体11に対する熱交換コア1の取り付け向き等を誤った状態で熱交換コア1を筐体に取り付けようとしても、熱交換コア1の支持部70と筐体11の嵌合凹部14とが嵌合できないようにすることも可能である。そのため、取り付け向き等が誤った状態で熱交換コア1が筐体11に取り付けられる可能性を低減できる。
【0084】
(12)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器のメンテナンス方法では、熱交換器10は上記(1)乃至(9)の何れかの構成の熱交換コア1の少なくとも1つと、少なくとも1つの熱交換コア1が取り付けられる筐体11とを備える。
本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器のメンテナンス方法は、熱交換コア1を治具80で保持する熱交換コア保持工程S101と、治具80で保持した熱交換コア1を治具80とともに筐体11における熱交換コア1の装着部(挿入空間12)に挿入する挿入工程S102と、挿入空間12に挿入された熱交換コア1を挿入空間12に残して挿入空間12から治具80を抜き出す治具抜き出し工程S103と、を備える。熱交換コア保持工程S101は、本体部側面9を治具80で側方から支持しながら熱交換コア1を保持する。
【0085】
上記(12)の方法によれば、治具80で保持した熱交換コア1を治具80とともに筐体11における熱交換コア1の装着部である挿入空間12に挿入できるので、熱交換コア1の挿入空間12への挿入作業が容易となる。また、上記(12)の方法によれば、挿入空間12に挿入された熱交換コア1を挿入空間12に残して挿入空間12から治具80を抜き出すことができるので、治具80の取り外し作業が容易となる。
【0086】
(13)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換コアの製造方法は、熱交換コアの製造方法であって、積層造型によって、複数の流路4を形成する複数の空洞部40を内部に有するコア本体部2を形成するコア本体部形成工程S1と、積層造型によって、コア本体部2の少なくとも一方の端部側にて複数の流路4と連通するヘッダ流路5を含むヘッダ部30を形成するヘッダ部形成工程S2と、を備える。ヘッダ部形成工程S2は、複数の流路4の第1延在方向D1から視た平面視にて複数の流路4の配置エリア7から外側に外れた領域に少なくとも部分的に位置するようにヘッダ流路5を形成する。コア本体部形成工程S1は、平面視においてヘッダ流路5のうち配置エリア7から最も外側に離れた部位8よりも配置エリア7寄りにおいて、第1延在方向D1に沿って延在する本体部側面9を有するようにコア本体部2を形成する。
【0087】
上記(13)の方法によれば、積層造形により、コア本体部2とヘッダ部30とを一体に形成できる。
【符号の説明】
【0088】
1 熱交換コア
2 コア本体部
3a 蓋部材
4 流路
5 ヘッダ流路
10 熱交換器
30 ヘッダ部
31 第1ヘッダ部
32 第2ヘッダ部
35 ヘッダ蓋部
40 空洞部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16