(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】放射線検出器及び放射線診断装置
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20240618BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20240618BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/42 530S
A61B6/42 530R
A61B6/42 530W
G01T1/20 G
G01T1/20 E
G01T1/20 L
G01T7/00 B
(21)【出願番号】P 2020045856
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 輝
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-524853(JP,A)
【文献】特開2001-242253(JP,A)
【文献】特開2008-263190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0179040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、前記フォトダイオードが配列される平面と同一平面上の一部に放射線からの防護が必要な素子が設けられたチップと、
前記複数のフォトダイオードの放射線入射側に配置され、前記二次元方向に複数のシンチレータが配列されたシンチレータアレイと、
前記素子の放射線入射側に設けられた放射線防護シールドと
を備え、
前記放射線防護シールドは、前記シンチレータアレイにおける前記素子の放射線入射側に配置されるシンチレータの一部を切削した部分に配置された遮蔽材、又は、前記シンチレータアレイにおける前記素子の放射線入射側に配置されるシンチレータの放射線入射側の表面に配置された遮蔽材によって構成される、
放射線検出器。
【請求項2】
二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、前記フォトダイオードが配列される平面と同一平面上の一部に放射線からの防護が必要な素子が設けられたチップと、
前記複数のフォトダイオードの放射線入射側に配置され、前記二次元方向に複数のシンチレータが配列されたシンチレータアレイと、
前記素子の放射線入射側に設けられた放射線防護シールドと
を備え、
前記シンチレータアレイは、前記シンチレータ間の光のクロストークを防ぐための隔壁を介して並べられた複数のシンチレータと、前記隔壁を介さずに並べられた複数のシンチレータとを含み、
前記放射線防護シールドは、前記隔壁を介さずに並べられた複数のシンチレータによって構成される、
放射線検出器。
【請求項3】
二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、前記フォトダイオードが配列される平面と同一平面上の一部に放射線からの防護が必要な素子が設けられたチップと、
前記二次元方向に沿って格子状に配列された複数の放射線遮蔽板を有し、前記チップへの散乱放射線の入射を防護するコリメータと、
前記素子の放射線入射側に設けられた放射線防護シールドと
を備え、
前記放射線防護シールドは、前記コリメータの一部に設けられた遮蔽材によって構成される、
放射線検出器。
【請求項4】
前記複数のフォトダイオードの放射線入射側に配置され、前記二次元方向に複数のシンチレータが配列されたシンチレータアレイをさらに備え、
前記シンチレータアレイは、前記シンチレータ間の光のクロストークを防ぐための隔壁を介して並べられた複数のシンチレータを含む、
請求項3に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記素子は、前記シンチレータアレイに含まれる前記隔壁の配置間隔より大きい、
請求項2又は4に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記二次元方向に沿って格子状に配列された複数の放射線遮蔽板を有し、前記チップへの散乱放射線の入射を防護するコリメータをさらに備える、
請求項1
又は2に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記素子は、前記コリメータに含まれる前記放射線遮蔽板の厚さより大きい、
請求項3又は6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記素子は、ADC(Analog to Digital Converter)、AFE(Analog Front End)、増幅回路、又は、積分回路である、
請求項1~7のいずれか一つに記載の放射線検出器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一つに記載の放射線検出器と、
前記素子が配列された位置に対応するデータを生成する生成部と
を備える、放射線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、放射線検出器及び放射線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線CT(Computed Tomography)装置やPET(Positron Emission Tomography)装置等の放射線診断装置は、放射線を検出するための放射線検出器を備える。これらの放射線診断装置には、面検出器と呼ばれる検出器のように、広カバレッジの放射線検出器を備えるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-25187号公報
【文献】特開2009-118943号公報
【文献】特表2019-502284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、広カバレッジの放射線検出器を低コストで実現することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る放射線検出器は、チップと、放射線防護シールドとを備える。チップは、二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、前記フォトダイオードが配列される平面と同一平面上の一部に放射線からの防護が必要な素子が設けられている。放射線防護シールドは、前記素子の放射線入射側に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るX線検出器の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るX線検出器モジュールの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る比較例である4sideタイラブル検出器及び3sideタイラブル検出器をチップとして用いる場合の例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る比較例である4sideタイラブル検出器及び3sideタイラブル検出器をチップとして用いる場合の例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る比較例である4sideタイラブル検出器及び3sideタイラブル検出器をチップとして用いる場合の例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る比較例である4sideタイラブル検出器及び3sideタイラブル検出器をチップとして用いる場合の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るX線検出器モジュールに含まれるシンチレータアレイ及びフォトダイオードアレイの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るX線防護シールドの一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係るX線防護シールドの一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の変形例に係るX線防護シールドの一例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の変形例に係るX線防護シールドの一例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の変形例に係る素子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、本願が開示する放射線検出器及び放射線診断装置の実施形態について説明する。ここで、各図面に示される構成は模式的なものであり、図示されている各構成要素の寸法や構成要素間の寸法の比率は実物と異なる場合がある。また、図面相互の間でも、同じ構成要素の寸法や構成要素間の寸法の比率が異なって示されている場合がある。
【0008】
なお、以下に示す実施形態では、本願が開示する放射線検出器及び放射線診断装置の構成をX線検出器及びX線CT装置に適用した場合の例を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。
【0010】
例えば、
図1に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。なお、
図1では説明の便宜上、架台装置10を複数示している。
【0011】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向を「Z軸方向」と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向を「X軸方向」と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向を「Y軸方向」と定義する。
【0012】
架台装置10は、被検体P(患者等)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール装置40に出力する装置である。架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、制御装置15と、ウェッジ16と、X線絞り17と、X線高電圧装置14とを有する。
【0013】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。例えば、X線管11は、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管である。
【0014】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
【0015】
X線絞り17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等を含み、複数の鉛板等を組み合わせることによってスリットを形成している。
【0016】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出する。具体的には、X線検出器12は、X線管11の焦点を中心として一つの円弧に沿ってチャネル方向に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。例えば、X線検出器12は、チャネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
【0017】
また、X線検出器12は、各検出素子から出力される電気信号を処理するDAS(Data Acquisition System)を有する。DASは、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に基づいて、検出データを生成する。DASが生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
【0018】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線出力に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、後述する回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10において回転フレーム13を回転可能に支持する支持フレーム(図示は省略)に設けられてもよい。
【0019】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14を更に備えて支持する。ここで、X線検出器12が有するDASが生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば、支持フレーム等)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へ転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0020】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェース43によって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。
【0021】
寝台装置30は、スキャン対象である被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0022】
コンソール装置40は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された検出データを用いてCT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、ここでは、コンソール装置40と架台装置10とが別体である場合の例を説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の構成要素の一部が含まれていてもよい。
【0023】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。
【0024】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、例えば、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられていてもよい。また、例えば、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されていてもよい。
【0025】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。なお、例えば、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられていてもよい。また、例えば、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されていてもよい。
【0026】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、及び画像処理機能444を実行する。
【0027】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能441は、X線CT装置1において実行されるCTスキャンを制御する。また、システム制御機能441は、前処理機能442、再構成処理機能443、及び画像処理機能444を制御することで、コンソール装置40におけるCT画像データの生成や表示を制御する。
【0028】
前処理機能442は、X線検出器12のDASから出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施した投影データを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0029】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データ(再構成画像データ)を生成する。
【0030】
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。なお、3次元画像データの生成は再構成処理機能443が直接行っても構わない。
【0031】
ここで、例えば、処理回路44は、プロセッサにより実現される。この場合に、処理回路44が有する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41に記憶される。そして、処理回路44は、メモリ41から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、
図1の処理回路44内に示された各処理機能を有することとなる。
【0032】
なお、ここでは、単一の処理回路44によって、上述した各処理機能が実現されるものとして説明したが、例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路44が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路44が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、単一のメモリ41が各処理機能に対応するプログラムを記憶する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、複数の記憶回路が分散して配置され、処理回路44が、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
【0033】
図2は、本実施形態に係るX線検出器12の構成例を示す図である。
【0034】
例えば、
図2に示すように、X線検出器12は、全体として略円弧状に形成されており、当該円弧の中心がX線管11の位置と一致するように、前述した回転フレーム13に固定されている。
【0035】
ここで、X線検出器12における円弧の周方向は、チャネル方向に一致している。また、X線検出器12における円弧の軸方向は、列方向に一致している。また、X線検出器12における円弧の径方向は、X線の照射方向に一致している。なお、以下の説明で参照する各図面では、チャネル方向を矢印Cで示し、列方向を矢印Rで示し、X線の照射方向を矢印Iで示している。
【0036】
例えば、X線検出器12は、複数のX線検出器モジュール121と、コリメータ122と、第1の固定フレーム123と、第2の固定フレーム124と、第1の支持フレーム125と、第2の支持フレーム126と、遮光板127とを有する。
【0037】
X線検出器モジュール121は、それぞれ、X線検出アレイ1211と、支持部材1212と、DAS1213とを有する。
【0038】
X線検出アレイ1211は、シンチレータアレイと、フォトダイオードアレイとを有する。シンチレータアレイは、チャネル方向及び列方向に配列された複数のシンチレータを有し、各シンチレータが、入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。フォトダイオードアレイは、チャネル方向及び列方向に配列された複数のフォトダイオードを検出素子として有する。ここで、フォトダイオードアレイに含まれるフォトダイオードは、それぞれ、シンチレータアレイに含まれるシンチレータと1対1で対応するように配置されており、対応するシンチレータから出力される光量に応じた電気信号をDAS1213に出力する。
【0039】
支持部材1212は、略直方体状に形成されており、X線管11と対向して配置される面上にX線検出アレイ1211が固定され、当該X線検出アレイ1211を支持する。
【0040】
DAS1213は、支持部材1212におけるX線検出アレイ1211とは反対側の面に、X線の照射方向に沿って延在するように取り付けられており、X線検出アレイ1211の各フォトダイオードから出力される電気信号に基づいて、検出データを生成する。
【0041】
コリメータ122は、チャネル方向及び列方向に沿って格子状に配列された複数のX線遮蔽板を有し、当該X線遮蔽板によって各X線検出器モジュール121のX線検出アレイ1211への散乱X線の入射を防護する。具体的には、コリメータ122は、チャネル方向に沿った略円弧状に形成され、各X線検出器モジュール121を覆うように配置されており、各X線遮蔽板が、各X線検出器モジュール121のX線検出アレイ1211に入射するX線から散乱線を除去する。
【0042】
ここで、本実施形態では、コリメータ122は、格子状に配列されたX線遮蔽板によって形成される複数のスリット(矩形状の貫通孔)のそれぞれが、一つのX線検出アレイ1211に含まれるシンチレータ及びフォトダイオードのチャネル方向に沿った一列ごとに配置されるように構成されている。
【0043】
第1の固定フレーム123及び第2の固定フレーム124は、コリメータ122の列方向における両端に固定されており、X線が入射する側とは反対側に、複数のX線検出器モジュール121がチャネル方向に並べて取り付けられる。ここで、第1の固定フレーム123及び第2の固定フレーム124は、各X線検出器モジュール121が単独で着脱可能となるように構成されている。
【0044】
第1の支持フレーム125及び第2の支持フレーム126は、コリメータ122及び固定フレームを支持する。具体的には、第1の支持フレーム125及び第2の支持フレーム126は、列方向に両側から第1の固定フレーム123、第2の固定フレーム124及びコリメータ122挟み込むように支持し、その状態で、架台装置10の支持フレーム(図示は省略)に固定されている。
【0045】
遮光板127は、各X線検出器モジュール121のX線検出アレイ1211に入射する光を抑制する。例えば、遮光板127は、光を抑制することが可能な材料を用いて薄い板状に形成された部材であり、コリメータ122の全体を覆うように、第1の支持フレーム125及び第2の支持フレーム126に取り付けられている。
【0046】
図3は、本実施形態に係るX線検出器モジュール121の構成例を示す図である。
【0047】
例えば、
図3に示すように、X線検出器モジュール121に含まれるX線検出アレイ1211は、シンチレータアレイ12111と、フォトダイオードアレイ12112とを有する。
【0048】
シンチレータアレイ12111は、フォトダイオードアレイ12112に含まれる複数のフォトダイオードのX線入射側に配置され、チャネル方向及び列方向に配列された複数のシンチレータを有する。ここで、シンチレータアレイ12111は、シンチレータ間の光のクロストークを防ぐための隔壁を介して並べられた複数のシンチレータを含む。
【0049】
フォトダイオードアレイ12112は、チャネル方向及び列方向に配列された複数のフォトダイオードを検出素子として有する。ここで、前述したように、フォトダイオードアレイ12112に含まれるフォトダイオードは、それぞれ、シンチレータアレイに含まれるシンチレータと1対1で対応するように配置されている。
【0050】
以上、X線CT装置1及びX線検出器12の構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態では、広カバレッジのX線検出器12を実現するために、各X線検出器モジュール121のフォトダイオードアレイ12112が、複数のフォトダイオードを有するチップ50を列方向に複数並べて配列することによって構成されている。
【0051】
ここで、チップ50は、二次元方向に配列された複数のフォトダイオードと、各フォトダイオードから出力される電気信号をデジタル信号に変換するADC(Analog to Digital Converter)を有する。
【0052】
このように、複数のフォトダイオードを有するチップを複数並べて配列することによってフォトダイオードアレイを構成する技術として、例えば、4sideタイラブル検出器や3sideタイラブル検出器をチップとして用いる方法がある。
【0053】
図4~7は、本実施形態に係る比較例である4sideタイラブル検出器及び3sideタイラブル検出器をチップとして用いる場合の例を示す図である。
【0054】
例えば、
図4に示すように、4sideタイラブル検出器50aは、X線が入射する入射面の全体にわたって二次元方向に複数のフォトダイオード51aが配列され、フォトダイオードが配列された基板の裏側にADC(図示は省略)が設けられた構成を有する。
【0055】
そして、例えば、
図5の左側に示すように、4sideタイラブル検出器50aを用いる場合には、複数の4sideタイラブル検出器50aを列方向に並べて配列することによって、X線検出器のフォトダイオードアレイが実現される。この場合には、例えば、
図5の右側に示すように、フォトダイオードアレイ上に配置される範囲の全体にわたって複数のシンチレータが隔壁(太い実線で示す)を介して並べられたシンチレータアレイ60aが用いられる。
【0056】
ここで、4sideタイラブル検出器50aは、入射面の全体にわたってフォトダイオード51aが配列されているため、複数の4sideタイラブル検出器50aを連続して並べることによって、フォトダイオード51aを広い範囲に切れ目なく配置することができる。このため、4sideタイラブル検出器50aは、広カバレッジのX線検出器12を実現するために有効である。
【0057】
しかしながら、4sideタイラブル検出器50aを用いる場合には、一般的に、X線検出器12のコストが高くなる。例えば、4sideタイラブル検出器50aでは、フォトダイオード51aが配列された基板の裏側にADCが設けられるため、TSV(Through Silicon Via)等を介してフォトダイオード51aとADCとを垂直方向に接続する必要があり、製造にかかるコストが高くなる。また、セラミック基板をインターポーザーとして裏面にADCを接続する方法もあるが、アナログ配線が長くなるため性能が悪くなることや、フォトダイオード51aをBIP(Backside Illuminated Photodiode)接続する必要がある制約等から実装が難しく、製造にかかるコストが高くなる。
【0058】
一方、例えば、
図6に示すように、3sideタイラブル検出器50bは、二次元方向に複数のフォトダイオード51bが配列され、当該複数のフォトダイオード51bが配列された基板と同内平面上の一辺にADC52bが設けられた構成を有する。これにより、3sideタイラブル検出器50bは、矩形状の四つの辺のうちの三辺に複数のフォトダイオード51bが配置され、一辺にADC52bが配置された構成となっている。
【0059】
そして、例えば、
図7の左側に示すように、3sideタイラブル検出器50bを用いる場合には、二つの3sideタイラブル検出器50bを列方向に並べて配列することによって、X線検出器のフォトダイオードアレイが実現される。この場合には、例えば、
図7の右側に示すように、フォトダイオードアレイ上に配置される範囲のみに複数のシンチレータが隔壁(太い実線で示す)を介して並べられたシンチレータアレイ60bが用いられる。
【0060】
ここで、3sideタイラブル検出器50bは、フォトダイオード51bとADC52bとをCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスによって同一シリコン面内で形成することができるため、4sideタイラブル検出器50aを用いる場合と比べて、性能が良いX線検出器を低コストで実現することができる。
【0061】
しかしながら、3sideタイラブル検出器50bは、フォトダイオード51bとADC52bとが同一平面上に配置されているため、フォトダイオード51bを切れ目なく配置するためには、ADC52bが設けられている辺の対辺同士が隣接するように並べられることになる。そのため、3sideタイラブル検出器50bを用いる場合には、二つの3sideタイラブル検出器50bだけでX線検出器のフォトダイオードアレイを実現することになり、広カバレッジのX線検出器12を実現することが難しい。
【0062】
このようなことから、本実施形態では、広カバレッジのX線検出器12を低コストで実現することができるようにしている。
【0063】
具体的には、本実施形態では、X線検出器12は、二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、当該フォトダイオードが配列される平面と同一平面上の一部にADCが設けられたチップ50を備える。
【0064】
ここで、本実施形態では、チップ50として、二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、フォトダイオードが配列された基板と同一平面上の一辺にADCが設けられた3sideタイラブル検出器が用いられる。
【0065】
図8は、本実施形態に係るX線検出器モジュール121に含まれるシンチレータアレイ12111及びフォトダイオードアレイ12112の一例を示す図である。
【0066】
例えば、
図8の左側に示すように、本実施形態では、X線検出器モジュール121に含まれるフォトダイオードアレイ12112が、3sideタイラブル検出器であるチップ50を列方向に複数配列することによって構成されている。具体的には、チップ50は、二次元方向に複数のフォトダイオード51が配列され、当該複数のフォトダイオード51が配列された基板と同内平面上の一辺にADC52が設けられた構成を有する。
【0067】
例えば、列方向に四つのチップ50が配列されることによって、フォトダイオードアレイ12112が構成される。ここで、列方向における内側に配置される二つのチップ50は、ADC52が設けられている辺の対辺同士が隣接するように並べて配置される。また、列方向における外側に配置される二つのチップ50は、それぞれ、ADC52が設けられている辺の対辺と、内側に配置されたチップ50におけるADC52が設けられている辺とが隣接するように並べて配置される。
【0068】
このように、3sideタイラブル検出器であるチップ50を列方向に複数配列した場合には、複数のフォトダイオード51とADC52とが列方向に交互に配置されることになる。この結果、X線検出器12は、感度領域と不感領域とが周期的に出現するような面検出器の構造となる。
【0069】
ここで、ADC52は、X線が入射すると劣化が懸念されるため、X線からの防護が必要な素子である。そこで、本実施形態では、X線検出器12が、ADC52のX線入射側に設けられたX線防護シールドを備える。
【0070】
例えば、
図8の右側に示すように、X線検出器モジュール121に含まれるシンチレータアレイ12111が、隔壁を介さずに並べられた複数のシンチレータをさらに含み、当該複数のシンチレータによって、X線防護シールド70が構成される。
【0071】
図9及び10は、本実施形態に係るX線防護シールド70の一例を説明するための図である。
【0072】
ここで、本実施形態では、ADC52は、シンチレータアレイ12111に含まれる隔壁の配置間隔より大きく、コリメータ122に含まれるX線遮蔽板の厚さより大きいこととする。また、前述したように、本実施形態では、コリメータ122は、格子状に配列されたX線遮蔽板によって形成される複数のスリットのそれぞれが、一つのX線検出アレイ1211に含まれるシンチレータ及びフォトダイオードのチャネル方向に沿った一列ごとに配置されるように構成されている。
【0073】
このような場合に、例えば、
図9に示すように、仮に、ADC52のX線入射側に配置された複数のシンチレータが隔壁(太い実線で示す)を介して並べられていたとすると、コリメータ122のスリットを通り抜けたX線(矢印線で示す)が、シンチレータ間の隔壁を通って、基板53上に配置されたADC52に入射することになる。
【0074】
これに対し、例えば、
図10に示すように、本実施形態では、ADC52のX線入射側に、隔壁を介さずに並べられた複数のシンチレータが配置され、当該複数のシンチレータによってX線防護シールド70が構成される。すなわち、本実施形態では、ADC52のX線入射側に、互いに密着して並べられた複数のシンチレータが配置される。これにより、コリメータ122のスリットを通り抜けたX線(矢印線で示す)は、ADC52のX線入射側に配置された複数のシンチレータによって減衰し、ADC52に入射しないようになる。
【0075】
さらに、本実施形態では、前処理機能442が、ADC52が配列された位置に対応するデータを生成する。ここで、前処理機能442は、生成部の一例である。
【0076】
例えば、前処理機能442は、各X線検出器モジュール121のDAS1213から出力された検出データに基づいて、線形補間や重み付け補間等の補間処理によって、ADC52が配列された位置に対応するデータを生成することで、ADC52が配列された位置に対応するデータが補間された投影データを生成する。
【0077】
または、例えば、前処理機能442は、ディープラーニング等の機械学習によって作成された学習済みモデルを用いて、ADC52が配列された位置に対応するデータが補間された投影データを生成してもよい。この場合に、例えば、学習済みモデルは、予め、本実施形態に係るX線検出器12を用いて被検体から収集された検出データと、複数のフォトダイオードが切れ目なく配置されたX線検出器を用いて同じ被検体から収集された投影データと学習用データとした機械学習によって作成されて、メモリ41に記憶される。ここで、例えば、学習済みモデルは、各X線検出器モジュール121のDAS1213から出力された検出データを入力して、ADC52が配列された位置に対応するデータが補間された投影データを出力するモデルとなる。
【0078】
上述したように、本実施形態では、X線検出器12が、二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、当該フォトダイオードが配列される平面と同一平面上の一部にX線からの防護が必要なADC52が設けられたチップ50を備える。また、X線検出器12は、ADC52のX線入射側に設けられたX線防護シールド70を備える。また、X線CT装置1は、ADC52が配列された位置に対応するデータを生成する前処理機能442を備える。
【0079】
このような構成によれば、3sideタイラブル検出器のようなコストが安い検出器をチップ50として用いて、X線検出器12を構成することができる。したがって、本実施形態によれば、広カバレッジのX線検出器12を低コストで実現することができる。
【0080】
(変形例)
なお、上述した実施形態は、適宜に変形して実施することも可能である。
【0081】
例えば、上述した実施形態では、チップ50として、3sideタイラブル検出器が用いられる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、フォトダイオードが配列された基板と同一平面上であって、フォトダイオードの間にADCが設けられた検出器が用いられてもよい。
【0082】
すなわち、二次元方向に複数のフォトダイオードが配列され、当該フォトダイオードが配列される平面と同一平面上の一部にADCが設けられた検出器であれば、各種の検出器をチップ50として用いることができる。このような検出器は、フォトダイオードとADCとをCMOSプロセスによって同一シリコン面内で形成することができるため、4sideタイラブル検出器のようにフォトダイオードが配列された基板の裏側にADCが設けられる検出器と比べて、性能が良いX線検出器を低コストで実現することができる。
【0083】
また、上述した実施形態では、複数のチップ50を列方向に複数並べて配列することによってX線検出器モジュール121のフォトダイオードアレイ12112が構成される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、列方向に並べられたチップ50の列がさらにチャネル方向に複数並べられてもよい。これにより、X線検出器12のカバレッジを列方向に広げるだけでなく、チャネル方向にも広げることができる。
【0084】
また、上述した実施形態では、複数のフォトダイオード51とADC52とが列方向に交互に配置されるように複数のチップ50が並べられる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、ADC52がチャネル方向の一端側でチャネル方向に連続して一列に並ぶように、複数のチップ50が並べられてもよい。または、例えば、チャネル方向に沿って配置されたADC52と、列方向に沿って配置されたADC52とが交互に並ぶように、複数のチップ50が並べられてもよい。
【0085】
また、例えば、上述した実施形態では、隔壁を介さずに並べられた複数のシンチレータによってX線防護シールド70が構成される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
【0086】
例えば、X線防護シールド70は、シンチレータアレイ12111の一部に設けられた遮蔽材によって構成されてもよい。
【0087】
図11は、本実施形態の変形例に係るX線防護シールド70の一例を説明するための図である。
【0088】
例えば、
図11に示すように、シンチレータアレイ12111において、ADC52のX線入射側に配置されるシンチレータの一部を切削し、その部分に鉛等の遮蔽材を配置することによって、X線防護シールド70が構成される。
【0089】
または、例えば、ADC52のX線入射側に配置されるシンチレータの一部を切削するのではなく、当該シンチレータを全て取り除き、その位置に遮蔽材を配置することによって、X線防護シールド70が構成されてもよい。
【0090】
または、例えば、ADC52のX線入射側に配置されるシンチレータは残したまま、当該シンチレータのX線入射側の表面、又は、当該シンチレータとADC52との間に遮蔽材を配置することによって、X線防護シールド70が構成されてもよい。
【0091】
また、例えば、X線防護シールド70は、コリメータ122の一部に設けられた遮蔽材によって構成されてもよい。
【0092】
図12は、本実施形態の変形例に係るX線防護シールド70の一例を説明するための図である。
【0093】
例えば、
図12に示すように、コリメータ122において、ADC52のX線入射側に位置するスリット内に鉛等の遮蔽材を配置することによって、X線防護シールド70が構成される。
【0094】
また、上述した実施形態では、チップ50に設けられる素子がADC52である場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、チップ50に設けられる素子は、AFE(Analog Front End)、増幅回路、積分回路、スイッチアレイチップ等であってもよい。
【0095】
さらに、例えば、チップ50に設けられる素子は、ボンディングパッドでもよい。
【0096】
図13は、本実施形態の変形例に係る素子の一例を示す図である。
【0097】
例えば、
図13に示すように、チップ50において、複数のフォトダイオード51が配列される平面と同一平面上にボンディングパッド54が設けられる。この場合には、例えば、ADC52は、チップ50の基板53の裏側に設けられ、ボンディングパッド54を介して、ワイヤボンディングによってフォトダイオード51と接続される。または、ADC52は、DAS1213に設けられ、チップ50の基板53とDAS1213との間に設けられたコネクタ及びボンディングパッド54を介して、フォトダイオード51と接続されてもよい。
【0098】
なお、チップ50に設けられる素子がボンディングパッドである場合、これらの素子はX線からの防護は不要であるため、X線防護シールド70は設けられなくてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態では、前処理機能442が、ADC52が配列された位置に対応するデータを生成する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、架台装置10に含まれる制御装置15や、コンソール装置40に含まれる処理回路44の再構成処理機能443が、ADC52が配列された位置に対応するデータを生成してもよい。この場合に、制御装置15又は再構成処理機能443は、生成部の一例である。
【0100】
また、上述した実施形態では、前処理機能442が、機械学習によって作成された学習済みモデルを用いて、ADC52が配列された位置に対応するデータが補間された投影データを生成する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、再構成処理機能443が、ADC52が配列された位置に対応するデータを生成する場合には、機械学習によって作成された学習済みモデルを用いて、ADC52が配列された位置に対応するデータが補間されたCT画像データを生成してもよい。この場合に、例えば、学習済みモデルは、予め、本実施形態に係るX線検出器12を用いて収集されたCT画像データと、複数のフォトダイオードが切れ目なく配置されたX線検出器を用いて同じ被検体から収集されたCT画像データと学習用データとした機械学習によって作成されて、メモリ41に記憶される。ここで、例えば、学習済みモデルは、本実施形態に係るX線検出器12を用いて収集された投影データから再構成されたCT画像を入力して、ADC52が配列された位置に対応するデータが補間されたCT画像データを出力するモデルとなる。
【0101】
また、上述した実施形態では、本願が開示する放射線検出器及び放射線診断装置の構成をX線検出器及びX線CT装置に適用した場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本願が開示する放射線検出器及び放射線診断装置の構成は、γ線検出器及びPET装置等のように、他の放射線検出器及び放射線診断装置にも同様に適用することが可能である。
【0102】
なお、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を一つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0103】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0104】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0105】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、広カバレッジの放射線検出器を低コストで実現することができる。
【0106】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 X線CT装置
12 X線検出器
12111 シンチレータアレイ
122 コリメータ
44 処理回路
442 前処理機能
50 チップ
51 フォトダイオード
52 ADC
70 X線防護シールド