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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】所在確認システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240618BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20240618BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240618BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240618BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G08B27/00 Z
H04Q9/00 301A
H04Q9/00 311J
G06Q50/26
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020089090
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2021184534
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富岡 和幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 高章
(72)【発明者】
【氏名】武田 直也
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-197043(JP,A)
【文献】特開2017-005479(JP,A)
【文献】特開2004-302775(JP,A)
【文献】特開2007-082149(JP,A)
【文献】特開2001-148083(JP,A)
【文献】特開2014-165713(JP,A)
【文献】特開2015-211251(JP,A)
【文献】特開2013-146172(JP,A)
【文献】特開2018-163549(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1875377(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0365160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24- 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
G08B23/00-31/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
H03J 9/00- 9/06
H04B 1/02- 1/04
7/24- 7/26
H04L12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
H04Q 9/00- 9/16
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の携帯端末と、
1以上の受信装置と、
確認装置と、
を備え、
前記携帯端末は、
第1のボタンと、
前記第1のボタンが押下されることに応じ電力を発電する発電部と、
前記第1のボタンが押下されることにより前記発電部で発電された電力を用いて、自端末を識別する端末識別情報を含んだ端末信号を無線で送信する送信部と、
を含み、
前記受信装置は、
前記携帯端末が送信した前記端末信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記端末識別情報を前記確認装置に送信する送信部と、
を含み、
前記確認装置は、
前記受信装置が送信した、前記端末識別情報を受信する受信部と、
当該端末識別情報を有する前記携帯端末を所持するユーザの所在を登録し、登録した情報を前記確認装置と通信する情報処理装置に提供する処理を行う処理部を含む、
所在確認システム。
【請求項2】
前記携帯端末の前記送信部は、前記第1のボタンの1回の押下に応じて前記端末信号を1回送信する、請求項1に記載の所在確認システム。
【請求項3】
前記確認装置は、前記端末信号の送信パターンに応じた情報を判別する、請求項1又は2に記載の所在確認システム。
【請求項4】
前記受信装置は、前記端末信号の送信パターンに応じた情報を前記確認装置に送信する、請求項1又は2に記載の所在確認システム。
【請求項5】
前記情報は、前記ユーザの居場所を通知するための情報又は前記ユーザの健康状態を通知するための情報である、請求項3又は4に記載の所在確認システム。
【請求項6】
前記発電部は、前記第1のボタンの押下に伴うスイッチの作動により生じる電磁誘導で発電する、請求項1~5のいずれか1項に記載の所在確認システム。
【請求項7】
前記携帯端末は、前記第1のボタンの押下時に共に押下することで、押下されない場合と異なるパターンの信号を送信する第2のボタンをさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の所在確認システム。
【請求項8】
前記受信装置の送信部は、前記端末識別情報と、自装置を識別する装置識別情報との組を前記確認装置に送信し、
前記確認装置の処理部は、前記携帯端末を所持するユーザの居場所として、前記装置識別情報に対応する場所を登録する処理を行う、
請求項1~7のいずれか1項に記載の所在確認システム。
【請求項9】
前記受信装置の送信部は、前記端末識別情報と前記装置識別情報とに加え、前記端末信号の受信日時を組にして前記確認装置に送信する、請求項8に記載の所在確認システム。
【請求項10】
前記処理部は、前記ユーザの所在を提示するユーザインタフェースを前記情報処理装置に提供する、請求項1~9のいずれか1項に記載の所在確認システム。
【請求項11】
前記処理部は、受信した前記端末識別情報に対応するユーザに設定されている通知先に該ユーザの所在を自動で通知する、請求項1~10のいずれか1項に記載の所在確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所在確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯端末により所有者情報をサーバに登録し、ユーザが避難所に到着した際に、ユーザが携帯端末に表示させた情報コードを読みとることでユーザが避難所にいることを確認することができる災害ネットワークシステムの発明が記載されている。
【0003】
特許文献2には、災害時等に入室した者が避難せずに残っているか否かを確実に把握できる位置確認システムであって、無線通信によって、受信装置を設置したエリアに携帯端末がいるかどうかを検出するシステムの発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-72991号公報
【文献】特開2005-18452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害が発生した際に避難所に避難する場合、避難者はなるべく手持ちの電子機器の電力を消費したくないと考えられる。しかし、特許文献1に記載された発明では、携帯端末での作業が多いので携帯端末での電力の消費が大きく、携帯端末で電池が切れた場合には避難者の確認ができない。また特許文献2に記載された発明では、携帯端末は受信装置との間で無線通信を繰り返すため、携帯端末での電力の消費が大きく、携帯端末で電池が切れた場合には位置の確認ができない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、所在を知らせるために電池切れの心配をすることなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認できる所在確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る所在確認システムは、1以上の携帯端末と、1以上の受信装置と、確認装置と、を備え、前記携帯端末は、第1のボタンと、前記第1のボタンが押下されることに応じ電力を発電する発電部と、前記第1のボタンが押下されることにより前記発電部で発電された電力を用いて、自端末を識別する端末識別情報を含んだ端末信号を無線で送信する送信部と、を含み、前記受信装置は、前記携帯端末が送信した前記端末信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記端末識別情報を前記確認装置に送信する送信部と、を含み、前記確認装置は、前記受信装置が送信した、前記端末識別情報を受信する受信部と、当該端末識別情報を有する前記携帯端末を所持するユーザの所在を登録する処理を行う処理部を含む。
【0008】
第1態様によれば、自ら発電する機能を有する携帯端末を用いることで、所在を知らせるために電池切れの心配をすることなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認できる。
【0009】
本発明の第2態様に係る所在確認システムは、第1態様に係る所在確認システムであって、前記携帯端末の前記送信部は、前記第1のボタンの1回の押下に応じて前記端末信号を1回送信する。
【0010】
第2態様によれば、ボタンの1回の押下で端末信号を1回送信するので、携帯端末の位置を常に管理することなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認できる。
【0011】
本発明の第3態様に係る所在確認システムは、第1態様又は第2態様に係る所在確認システムであって、前記確認装置は、前記端末信号の送信パターンに応じた情報を判別する。
【0012】
第3態様によれば、確認装置は、端末信号の送信パターンに応じた異なる情報を保持することができる。
【0013】
本発明の第4態様に係る所在確認システムは、第1態様又は第2態様に係る所在確認システムであって、前記受信装置は、前記端末信号の送信パターンに応じた情報を前記確認装置に送信する。
【0014】
第4態様によれば、受信装置は、端末信号の送信パターンに応じ、異なる情報を確認装置に提供することができ、確認装置は、端末信号の送信パターンに応じた異なる情報を保持することができる。
【0015】
本発明の第5態様に係る所在確認システムは、第3態様又は第4態様に係る所在確認システムであって、前記情報は、前記ユーザの居場所を通知するための情報又は前記ユーザの健康状態を通知するための情報である。
【0016】
第5態様によれば、受信装置はユーザの居場所を通知するための情報又はユーザの健康状態を通知するための情報を確認装置に提供することができ、確認装置は、ユーザの居場所を通知するための情報又はユーザの健康状態を通知するための情報を保持することができる。
【0017】
本発明の第6態様に係る所在確認システムは、第1態様~第5態様のいずれかに係る所在確認システムであって、前記発電部は、前記第1のボタンの押下に伴うスイッチの作動により生じる電磁誘導で発電する。
【0018】
第6態様によれば、電池を用いずに、電磁誘導で発電した電力を用いて信号を無線で送信することで、所在を知らせるために電池切れの心配をすることなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認できる。
【0019】
本発明の第7態様に係る所在確認システムは、第1態様~第6態様のいずれかに係る所在確認システムであって、前記携帯端末は、前記第1のボタンの押下時に共に押下することで、押下されない場合と異なるパターンの信号を送信する第2のボタンをさらに備える。
【0020】
第7態様によれば、携帯端末の操作に基づき、携帯端末から異なる情報を受信装置に送信することができる。
【0021】
本発明の第8態様に係る所在確認システムは、第1態様~第7態様のいずれかに係る所在確認システムであって、前記受信装置の送信部は、前記端末識別情報と、自装置を識別する装置識別情報との組を前記確認装置に送信し、前記確認装置の処理部は、前記携帯端末を所持するユーザの居場所として、前記装置識別情報に対応する場所を登録する処理を行う。
【0022】
本発明の第8態様によれば、受信装置が複数存在する場合、受信装置を識別する装置識別情報に対応する場所をユーザの居場所として登録できる。
【0023】
本発明の第9態様に係る所在確認システムは、第8態様に係る所在確認システムであって、前記受信装置の送信部は、前記端末識別情報と前記装置識別情報とに加え、前記端末信号の受信日時を組にして前記確認装置に送信する。
【0024】
第9態様によれば、確認装置は、ユーザが携帯端末の第1のボタンの押下時間に関する情報を保持することができる。
【0025】
本発明の第10態様に係る所在確認システムは、第1態様~第9態様のいずれかに係る所在確認システムであって、前記処理部は、前記ユーザの所在を提示するユーザインタフェースを提供する。
【0026】
第10態様によれば、確認装置に保存されている、ユーザの所在に関する情報を、ユーザインタフェースを通じて提示することができる。
【0027】
本発明の第11態様に係る所在確認システムは、第1態様~第10態様のいずれかに係る所在確認システムであって、前記処理部は、受信した前記端末識別情報に対応するユーザに設定されている通知先に該ユーザの所在を自動で通知する。
【0028】
第11態様によれば、受信装置からの送信に応じて、確認装置が自動的にユーザの所在を通知できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、自ら発電する機能を有する携帯端末を用いることで、所在を知らせるために電池切れの心配をすることなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認できる所在確認システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る所在確認システムの概略構成を示す図である。
図2】携帯端末の斜視図である。
図3】携帯端末の分解斜視図である。
図4】受信装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】受信装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図6】確認装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】確認装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図8】ユーザ情報記憶部が記憶するユーザ情報の一例を示す図である。
図9】避難情報記憶部が記憶する避難場所の情報の一例を示す図である。
図10】ユーザ登録処理の流れを示すフローチャートである。
図11】所在登録処理の流れを示すフローチャートである。
図12】ユーザインタフェースの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0032】
図1は、本実施形態に係る所在確認システムの概略構成を示す図である。
【0033】
所在確認システム1は、図1に示したように、1以上の携帯端末10と、1以上の受信装置20と、確認装置30と、情報処理装置40と、を含んで構成される。
【0034】
携帯端末10は、所定の端末信号を無線で送信することができるよう構成されており、携帯端末10が送信した信号は、受信装置20が受信することができる。携帯端末10が送信する信号には、携帯端末10を一意に識別する端末識別情報、例えば携帯端末10のシリアル番号等が含まれる。携帯端末10は、電池切れの心配が無いよう、後述するボタンの押下によって都度発電し、その発電された電力を用いて端末信号を送信する。携帯端末10は、例えば、電池なしで利用できる近距離無線技術であるEnOcean(登録商標)の規格に基づいて端末信号を無線で送信してもよい。EnOceanは、通信距離が数10mから200m程度であり、省電力でありながら遠くまで信号を送信できる規格である。
【0035】
携帯端末10は、例えば災害が発生し、ユーザが避難所に避難する際に持ち運べるような形態であることが望ましい。例えば、携帯端末10は、ユーザが避難所に避難する際に持ち運ぶ避難袋の中に、水及び食料品等と共に保管されていてもよい。
【0036】
受信装置20は、例えば公民館、体育館等の施設の内部、又はそれらの施設の近隣に設置される装置であり、災害が発生した際に自治体により避難所として指定される施設に設置される。従って、受信装置20は、施設ごとに設置されることが想定される。そして、受信装置20は、携帯端末10が送信した端末信号を受信するよう構成される。なお、受信装置20は、携帯電話の無線ネットワークの基地局のような装置、又は無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントのような装置であってもよい。また、携帯端末10から送信された端末信号は、1又は複数の中継装置を経由して、受信装置20に到達してもよい。
【0037】
また、受信装置20は、携帯端末10が送信した端末信号を受信すると、信号に含まれる端末識別情報と、自装置を一意に識別する装置識別情報と、受信した日時と、を組にして確認装置30に送信してもよい。装置識別情報は、例えば受信装置20のシリアル番号、又はMAC(Media Access Control)アドレスなどであってもよい。
【0038】
確認装置30は、所在確認システムを運用する事業者のデータセンタ等に設置される装置である。確認装置30は、各施設に設置された受信装置20から送信された、端末識別情報と、装置識別情報と、受信装置20で受信した日時と、が組になった情報を受信し、予め登録されているユーザ情報と、受信した端末識別情報とを照合する。確認装置30は、受信した端末識別情報が予め登録されているユーザ情報と一致していれば、避難所に当該ユーザが避難している旨のユーザの所在を登録する。そして、確認装置30は、端末識別情報に対応する携帯端末10を所有しているユーザの居場所として、端末識別情報を送信した受信装置20に対応する場所を登録する。受信装置20が装置識別情報を送信する場合は、確認装置30は、送信された装置識別情報に対応する場所を登録する。
【0039】
情報処理装置40は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット型端末等の、確認装置30と通信して、確認装置30が保持している情報を取得し、取得した情報を表示する機能を有する装置である。例えば、情報処理装置40は、災害が発生した際に家族がどの避難所に避難しているかを、確認装置30にアクセスして確認するために用いられる。
【0040】
本実施形態に係る所在確認システム1は、自ら発電する機能を有する携帯端末10を用いることで、所在を知らせるために電池切れの心配をすることなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認することができる。
【0041】
続いて、所在確認システム1を構成するそれぞれの端末及び装置の具体例を説明する。
【0042】
図2は、携帯端末10の斜視図である。また、図3は携帯端末10の分解斜視図である。なお、各部品の形状は図示したものに限定されるものではない。
【0043】
図2及び図3に示すように、携帯端末10は、カバー11、パッキン12、ボタン13、ばね14、通信モジュール15、発電モジュール16、及びケース17からなる。
【0044】
カバー11は、携帯端末10の表面を覆うためのものであり、例えばプラスチック製である。
【0045】
パッキン12は、通信モジュール15、及び発電モジュール16を水分から保護するためのものである。なお、通信モジュール15、及び発電モジュール16を水分から保護することができるものであればパッキン12の素材は問わない。そのような素材としては、例えばゴム、エラストマー等がある。
【0046】
ボタン13は、ユーザに押下させることで発電モジュール16のスイッチ16aを作動させて、発電モジュール16に発電させるものである。発電モジュール16が発電を行うことで、通信モジュール15に電力が供給され、通信モジュール15から信号を送信させることができる。
【0047】
ばね14は、ボタン13からユーザが指を離すと、弾性力によりボタン13を元の位置に戻すためのものである。
【0048】
通信モジュール15は、携帯端末10を一意に識別する端末識別情報を含んだ端末信号を送信するモジュールである。通信モジュール15の動作電力は、発電モジュール16から供給される。通信モジュール15としては、例えばEnOcean社によるPTM330が用いられてもよい。PTM330は、発電モジュール16からの電力の供給を受けて、所定の周波数帯の電波を送出できる。通信モジュール15は、ボタン13の1回の押下で、端末信号を1回だけ送信する。
【0049】
発電モジュール16は、ユーザによるボタン13の押下によりスイッチ16aが作動することでコイル16b内の磁束の向きが変化して電磁誘導が発生し、コイル16bに起電力を生じさせることで発電するモジュールである。発電モジュール16が発電した電力は、通信モジュール15の動作に用いられる。発電モジュール16としては、例えばEnOcean社によるECO200が用いられてもよい。ECO200は、電磁誘導を利用して発電を行う発電モジュールであり、スイッチの作動によりコイル内の磁束の向きが変化して電磁誘導が発生し、コイルに起電力を生じさせる。ECO200は、通信モジュール15の通信動作に十分な電力を発電できる。
【0050】
ケース17は、例えばプラスチック製であり、携帯端末10の底面を覆い、ボタン13、ばね14、通信モジュール15及び発電モジュール16を収納するためのものである。なお、図3では、説明の便宜上、通信モジュール15及び発電モジュール16を、ケース17からはみ出して図示している。
【0051】
携帯端末10は、図示したような構造により、電池を用いることなく、ボタン13の押下によって所定の周波数帯の信号を無線で送信することができる。
【0052】
図4は、受信装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0053】
図4に示すように、受信装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ストレージ24、入力部25、表示部26及び通信インタフェース(I/F)27を有する。各構成は、バス29を介して相互に通信可能に接続されている。
【0054】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22またはストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22またはストレージ24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22またはストレージ24には、例えば、携帯端末10から送信された端末信号を受信し、確認装置30に情報を送信する送受信プログラムが格納されている。
【0055】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0056】
入力部25は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0057】
表示部26は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、入力部25として機能しても良い。
【0058】
通信インタフェース27は、携帯端末10及び確認装置30等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、EnOcean(登録商標)、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0059】
上記の送受信プログラムを実行する際に、受信装置20は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。受信装置20が実現する機能構成について説明する。
【0060】
図5は、受信装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
【0061】
図5に示すように、受信装置20は、機能構成として、受信部201、処理部202、及び送信部203を有する。各機能構成は、CPU21がROM22またはストレージ24に記憶された送受信プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0062】
受信部201は、携帯端末10から無線で送信された端末信号を受信する。受信部201が受信した信号には、携帯端末10を識別する端末識別情報が含まれる。端末識別情報は、処理部202に送られる。
【0063】
処理部202は、受信装置20の動作に関する種々の処理を実行する。例えば、処理部202は、受信部201が携帯端末10から受信した信号に含まれていた端末識別情報と、受信装置20を識別する装置識別情報と、受信部201が受信した日時と、を組にする処理を実行する。そして、処理部202は、組にした各情報を送信部203に送信させる処理を実行する。
【0064】
送信部203は、確認装置30へ情報を送信する。具体的に、送信部203は、処理部202が組にした情報、すなわち、受信部201が受信した信号に含まれていた端末識別情報と、受信装置20を識別する装置識別情報と、受信部201が受信した日時と、を確認装置30に送信する。
【0065】
図6は、確認装置30のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0066】
図6に示すように、確認装置30は、CPU31、ROM32、RAM33、ストレージ34、入力部35、表示部36及び通信インタフェース(I/F)37を有する。各構成は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。
【0067】
CPU31は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU31は、ROM32またはストレージ34からプログラムを読み出し、RAM33を作業領域としてプログラムを実行する。CPU31は、ROM32またはストレージ34に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM32またはストレージ34には、例えば、受信装置20から情報を受信し、情報処理装置40に情報を提供する所在確認プログラムが格納されている。
【0068】
ROM32は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM33は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ34は、HDD、SSDまたはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0069】
入力部35は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0070】
表示部36は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部36は、タッチパネル方式を採用して、入力部35として機能しても良い。
【0071】
通信インタフェース37は、受信装置20及び情報処理装置40等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0072】
図7は、確認装置30の機能構成の例を示すブロック図である。
【0073】
図7に示すように、確認装置30は、機能構成として、受信部301、処理部302、ユーザ情報記憶部303、避難情報記憶部304、及び送信部305を有する。各機能構成は、CPU31がROM32またはストレージ34に記憶された所在確認プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0074】
受信部301は、各受信装置20から送信される情報を受信する。各受信装置20から送信される情報は、各受信装置20が受信した信号に含まれていた端末識別情報と、受信装置20を識別する装置識別情報と、受信装置20が携帯端末10からの端末信号を受信した日時と、の組である。
【0075】
また、受信部301は、情報処理装置40から、所在確認システム1を利用するユーザの情報を登録するための、ユーザ登録に関する情報を受信する。受信部301が受信した情報は処理部302に送られる。
【0076】
処理部302は、確認装置30の動作に関する種々の処理を実行する。例えば、処理部302は、受信部301が受信した情報の登録処理を実行する。より具体的には、処理部302は、ユーザ登録に関する情報をユーザ情報記憶部303に登録する。また、処理部302は、各受信装置20から受信した情報に基づいて、携帯端末10を所有するユーザの居場所に関する情報を避難情報記憶部304に登録する。
【0077】
ユーザ情報記憶部303は、所在確認システムを利用するユーザの情報であるユーザ情報を記憶する。図8は、ユーザ情報記憶部303が記憶するユーザ情報の一例を示す図である。図8に示したように、ユーザ情報記憶部303は、ユーザを識別するユーザID、当該ユーザが所有する携帯端末10を識別する端末ID、及び当該ユーザの氏名の情報を含む。端末IDは、端末識別情報の一例である。なお、ユーザ情報記憶部303には、どのユーザとどのユーザとが家族であるかの情報が別途記憶されていてもよい。さらに、ユーザ情報記憶部303には、各ユーザの携帯電話番号、メールアドレス等の通知先の情報が記憶されていてもよい。
【0078】
避難情報記憶部304は、所在確認システムを利用し、携帯端末10のボタン13を押したユーザの避難場所を記憶する。図9は、避難情報記憶部304が記憶する避難場所の情報の一例を示す図である。避難情報記憶部304は、受信装置20が携帯端末10からの端末信号を受信した日時、端末信号を送信した携帯端末10の端末ID、受信装置20を識別する避難所IDの情報を含む。避難所IDは、装置識別情報の一例である。
【0079】
避難情報記憶部304に記憶されている情報は、所定のタイミングで消去されてもよい。例えば、避難者がいなくなり、避難所が閉鎖されたタイミングで、所在確認システム1の管理者によって避難情報記憶部304に記憶されている情報が消去されてもよい。また、避難情報記憶部304に記憶されている情報は、ユーザからの操作によって消去されてもよい。例えば、家族が避難所に無事避難していることが分かれば、ユーザが情報処理装置40を操作することによって、避難情報記憶部304に記憶されている情報が消去されてもよい。
【0080】
送信部305は、情報処理装置40からの情報の要求に応じて、避難情報記憶部304に記憶されている情報を情報処理装置40に送信する。情報処理装置40に送信されて提示される情報の例については後述する。
【0081】
次に、所在確認システム1の作用について説明する。
【0082】
まず、ユーザ情報を確認装置30に登録するユーザ登録処理の流れを説明する。図10は、確認装置30及び情報処理装置40によるユーザ登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
ユーザ情報は、例えば、地方公共団体、町内会等の管理者が確認装置30に登録する処理を実行する。管理者がユーザ情報を確認装置30に登録する際には、情報処理装置40を用いる。情報処理装置40は、例えばウェブブラウザ、又は専用のアプリケーションによって、管理者にユーザ情報を入力させる(ステップS101)。管理者に入力させるユーザ情報は、少なくとも、氏名等の自治体で管理している情報と、携帯端末10の端末IDと、を含む。その他、管理者に入力させるユーザ情報は、年齢、電話番号、住所、家族の氏名を含んでもよい。
【0084】
管理者がユーザ情報の入力を完了し、登録処理を実行すると、情報処理装置40は、管理者が入力した情報を確認装置30に送信する(ステップS102)。
【0085】
確認装置30は、情報処理装置40からユーザ情報を受信すると、処理部302により、受信したユーザ情報をユーザ情報記憶部303に登録する(ステップS103)。
【0086】
確認装置30は、ユーザ情報記憶部303へのユーザ情報の登録が完了すると、登録が完了した旨を情報処理装置40に返信する(ステップS104)。
【0087】
情報処理装置40は、確認装置30からの返信を受信すると、ウェブブラウザ、又は専用のアプリケーションで、登録が完了した旨のメッセージを画面に表示する(ステップS105)。なお、本実施形態では、地方公共団体、町内会等の管理者がユーザ情報を確認装置30に登録する例を示したが、携帯端末10が配布されたユーザがユーザ情報を確認装置30に登録してもよい。
【0088】
次に、ユーザが携帯端末10のボタン13を押してから、確認装置30に情報が登録されるまでの所在登録処理の流れを説明する。図11は、携帯端末10、受信装置20及び確認装置30による所在登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0089】
受信装置20が設置された避難所に避難したユーザによって、携帯端末10のボタン13が押されると(ステップS111)、携帯端末10は、ボタン13の押下に応じて、携帯端末10の端末IDを含んだ端末信号を電波で送信する(ステップS112)。
【0090】
携帯端末10の通信可能範囲にある受信装置20は、携帯端末10からの端末信号を電波で受信すると(ステップS113)、電波に含まれる携帯端末10の端末IDと、受信装置20が設置されている避難所の避難所IDと、受信した日時と、を組にして、確認装置30に送信する(ステップS114)。
【0091】
確認装置30は、受信装置20から送信された情報を受信すると、受信した情報を、処理部302によって、避難情報記憶部304に登録する情報登録処理を実行する(ステップS115)。
【0092】
ステップS114で、受信装置20は、端末信号の送信パターンに応じた情報を確認装置30に送信してもよい。この場合、受信装置20が確認装置30に送信する情報は、ユーザの居場所を通知するための情報又はユーザの健康状態を通知するための情報であってもよい。
【0093】
例えば、携帯端末10から一度だけ端末信号が送信された場合、受信装置20は、携帯端末10からはユーザの居場所を通知していると判断し、ユーザの居場所を通知するための情報を確認装置30に送信してもよい。一方、携帯端末10から短時間の間に連続して端末信号が送信された場合、受信装置20は、携帯端末10からはユーザの健康状態を通知していると判断し、ユーザの健康状態を通知するための情報を確認装置30に送信してもよい。そして、確認装置30は、ユーザの避難場所の情報に加え、ユーザの健康状態の情報を避難情報記憶部304に登録してもよい。例えば、短時間の間に2回連続して端末信号が送信された場合は、受信装置20は、当該ユーザは健康状態に問題がない旨の情報を確認装置30に送信してもよい。また例えば、短時間の間の3回連続して端末信号が送信された場合は、受信装置20は、当該ユーザは健康状態に問題がある旨の情報を確認装置30に送信してもよい。なお、上述したような、受信装置20が端末信号の送信パターンに応じた情報を確認装置30に送信することに代えて、確認装置30が端末信号の送信パターンを判別してもよい。例えば、携帯端末10から短時間の間に連続して端末信号が送信された場合、確認装置30は、携帯端末10からはユーザの健康状態を通知していると判断してもよい。
【0094】
携帯端末10、受信装置20及び確認装置30は、図11に示した一連の動作を実行することで、所在を知らせるために電池切れの心配をすることなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認できるようになる。
【0095】
続いて、情報処理装置40が表示するユーザインタフェースの例を示す。図12は、情報処理装置40が表示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【0096】
家族の避難状況を確認したい場合、ユーザは情報処理装置40を用いて、確認装置30に登録されている情報を得る。情報処理装置40は、例えば図12に示したユーザインタフェースにより、家族の避難場所及び避難日時を提示する。ユーザは、図12に示したようなユーザインタフェースを参照することで、家族がいつ、どの避難所に避難したかを把握することができる。
【0097】
確認装置30は、受信装置20からの情報の受信に応じて、受信した端末IDに対応するユーザに設定されている通知先に、当該ユーザの所在を自動で通知してもよい。例えば、確認装置30は、携帯電話のショートメッセージ、又は電子メールで、ユーザの所在を自動で通知してもよい。
【0098】
受信装置20は、端末信号の送信パターンに応じた情報を確認装置30に送信している場合、確認装置30は、端末信号の送信パターンに応じた情報を情報処理装置40に提供してもよい。受信装置20が、ユーザの居場所を通知するための情報又はユーザの健康状態を通知するための情報を確認装置30へ送信している場合、確認装置30は、携帯端末10のボタン13を押したユーザの居場所の情報だけでなく、ユーザの健康状態の情報を情報処理装置40に提供してもよい。
【0099】
また、確認装置30に各受信装置20からの情報が集約されることで、所在確認システム1の管理者は、どの避難所にどれだけの携帯端末10を持った人が避難しているかを容易に把握することができる。
【0100】
なお、図2及び図3では、1つのボタン13のみを備える携帯端末10の例を図示したが、本発明は係る例に限定されるものではない。携帯端末10に2つ目のボタンを別途設け、当該第2のボタンを押下した状態でボタン13を押下した場合と、押下しない状態でボタン13を押下した場合とで、携帯端末10が異なる情報が含まれた信号を送出できるようにしてもよい。通信モジュール15としてEnOcean社によるPTM330を用いた場合、上述のような2つのボタンの操作により、2種類の信号を送出することが可能である。
【0101】
特許文献1、2で記載された発明では、携帯端末の電池が切れた場合には、避難者の位置を確認することができなくなっていた。これに対し、本発明の実施の形態によれば、簡素な構成でありながら、電池を用いずに電波を送信できる携帯端末10を用いることで、所在を知らせるために電池切れの心配をすることなく、ユーザの所在を家族等の他のユーザが確認できる所在確認システムを提供することができる。
【0102】
また、特許文献2で記載された発明では、携帯端末の位置を常に管理されるために、ユーザの行動を監視されてしまう恐れがあった。これに対して、本発明の実施の形態によれば、携帯端末10のボタン13の1回の押下で端末信号を1回しか送出しない。また、本発明の実施の形態によれば、携帯端末10が発信する信号は、携帯端末10の通信可能距離以内にある受信装置20しか受信することができず、携帯端末10を所有するユーザの行動を必要以上に追跡しないので、ユーザに安心して使用させることができる。
【0103】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0104】
また、上記各実施形態では、上記各処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 所在確認システム
10 携帯端末
11 カバー
12 パッキン
13 ボタン
14 ばね
15 通信モジュール
16 発電モジュール
17 ケース
20 受信装置
30 確認装置
40 情報処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12